説明

情報処理装置及び情報処理プログラム

【課題】処理能力が相互に異なる複数のノード装置が含まれ得るネットワークシステムにおいて、不要な待ち時間等の発生を防止してスムーズなコンテンツ配信を行うことが可能なノード装置を提供する。
【解決手段】メッセージの送信/転送先を示すルーティングテーブルを更新するに当たり、パーソナルコンピュータPの如き処理能力が高いノード装置と、セットトップボックスBの如き処理能力が低いノード装置と、が交互に接続されるように各ノード装置のルーティングテーブルを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び当該情報処理装置用の情報処理プログラムの技術分野に属し、より詳細には、インターネット等のネットワークを介して複数の情報処理装置が接続されなるネットワークシステムを構成する当該情報処理装置及び当該情報処理装置用の情報処理プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等のネットワーク技術は著しく進歩しつつあり、その中で、例えば下記特許文献1に開示されている如きコンテンツ配信システムに関する研究が行われている。
【0003】
ここで、このコンテンツ配信システムに新たな加入する場合には、所定の加入登録手続(例えば自己の名称やメールアドレス等を登録する加入登録手続等)がその加入者について必要とされており、当該手続を完了した加入者において所望するコンテンツ(具体的には、例えば映画等のコンテンツ)の配信を受けることが可能となる構成とされている。
【0004】
一方、当該特許文献1の第2図に開示されている如きコンテンツ配信システムにおいて各種メッセージの授受を当該コンテンツ配信システムに加入している加入者に係るノード装置間で実行する場合、当該コンテンツ配信システムについて上記加入登録手続が必要とされていることから、当該ノード装置間でのメッセージの授受においても、当該授受の当事者たるノード装置間で事前に端末間認証処理を行う必要がある。
【0005】
他方、上記コンテンツ配信システムに加入可能なノード装置として具体的には、例えば個人が所有するパーソナルコンピュータを初め、配信されて来るコンテンツの受信処理や他のノード装置への転送処理を行うセットトップボックス(STB)や配信専門のサーバ等が当該ノード装置に含まれる。よって、当該ノード装置間で処理能力に差があるのが通常であり、例えば上記セットトップボックスとサーバ装置とではそれらの処理能力間に大きな差がある場合が多い。
【0006】
そして、この処理能力の差は、上記メッセージ授受等の処理に係る端末間認証処理等において顕著に表れる。
【特許文献1】特開2006−197400
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
すなわち、上記コンテンツ配信システムにおいては、例えば、コンテンツの配信元となるサーバ装置と配信先となるパーソナルコンピュータとして実現されるノード装置との間の配信経路上に、セットトップボックスとして実現されるノード装置同士が複数連続して接続されるような接続態様が発生し得る。そしてこのような場合、上記端末間認証処理等をそのセットトップボックスとして実現されるノード装置同士で複数回行う状態となるのであり、このような場合には、パーソナルコンピュータであるノード装置同士が当該端末間認証処理を複数連続して行う場合に比して著しく時間を要することとなり、結果としてコンテンツの配信が遅延してしまう場合があるという問題点があった。
【0008】
そこで、本願は上記の問題点に鑑みて為されたもので、その目的は、処理能力が相互に異なる複数のノード装置が含まれ得るネットワークシステムにおいて、低処理能力のノード装置同士が連続して接続されることによる不要な待ち時間等の発生を防止してスムーズなコンテンツ配信を行うことが可能な当該ノード装置及び当該ノード装置用の情報処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ネットワークを介して相互にメッセージの授受を実行しつつ情報の処理を行う複数の情報処理装置であって当該授受の処理を行うための処理能力が相対的に異なる複数の情報処理装置と、当該ネットワークと、により構成されるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置において、前記授受の相手方となる他の前記情報処理装置を前記ネットワークシステム内において識別するための識別情報を記憶する記憶部等の記憶手段と、前記記憶されている識別情報により識別される他の前記情報処理装置との間で前記授受の処理を行う制御部等の処理手段と、前記記憶手段に対する前記識別情報の記憶を制御する制御部等の記憶制御手段と、を備え、前記処理能力が相対的に低い前記処理手段である低処理能力処理手段を備える前記情報処理装置に備えられた前記記憶手段に新たな前記識別情報を記憶させるに当たり、当該情報処理装置に備えられた前記記憶制御手段は、前記低処理能力処理手段の前記処理能力に対して相対的に高い前記処理能力を有する前記処理手段を備える他の前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させるように構成される。
【0010】
よって、低処理能力処理手段を備える情報処理装置に備えられた記憶手段に新たな識別情報を記憶させるに当たり、低処理能力処理手段の処理能力に対して相対的に高い処理能力を有する処理手段を備える他の情報処理装置を識別するための識別情報を記憶させるので、当該低処理能力処理手段を備える情報処理装置同士が連続して接続される場合に比してメッセージ授受のための処理時間を短縮することができる。
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記処理能力が相対的に高い前記処理手段である高処理能力処理手段を備える前記情報処理装置に備えられた前記記憶手段に新たな前記識別情報を記憶させるに当たり、当該情報処理装置に備えられた前記記憶制御手段は、前記低処理能力処理手段を備える他の前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させるように構成される。
【0012】
よって、高処理能力処理手段を備える情報処理装置に備えられた記憶手段に新たな識別情報を記憶させるに当たっては、低処理能力処理手段を備える他の情報処理装置を識別するための識別情報を記憶させるので、結果的に、低処理能力処理手段を備える情報処理装置の記憶手段には高処理能力処理手段を備える情報処理装置を識別するための識別情報が記憶されると共に、高処理能力処理手段を備える情報処理装置の記憶手段には低処理能力処理手段を備える情報処理装置を識別するための識別情報が記憶されることとなり、各情報処理装置を均等に用いてメッセージの授受を行うことができる。
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のからに記載の情報処理装置において、全ての前記情報処理装置に夫々備えられた前記処理手段が有する前記処理能力の夫々について処理能力ランク値が予め付与されており、各前記情報処理装置における前記記憶制御手段は、夫々に、当該記憶制御手段が備えられている前記情報処理装置に対応する前記処理能力ランク値と、新たに前記記憶手段に記憶される前記識別情報により識別される前記情報処理装置に対応する前記処理能力ランク値と、の平均値が、全処理能力ランク値の平均値となるように当該新たな識別情報を選択して記憶させるように構成される。
【0014】
よって、各情報処理装置における記憶制御手段が、夫々に、当該記憶制御手段が備えられている情報処理装置に対応する処理能力ランク値と、新たに記憶される識別情報により識別される情報処理装置に対応する処理能力ランク値と、の平均値が、全処理能力ランク値の平均値となるように当該新たな識別情報を選択して記憶させるので、ネットワーク全体としてみたときにメッセージの授受に供される処理手段の処理能力がより高いランクで平均化されることとなり、結果として、低処理能力処理手段を備える情報処理装置同士が連続して接続される場合に比してネットワーク全体としてメッセージ授受のための処理時間を短縮することができる。
【0015】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記処理能力が相対的に高い前記処理手段である高処理能力処理手段を備える前記情報処理装置に備えられた前記記憶手段に新たな前記識別情報を記憶させるに当たり、当該情報処理装置に備えられた前記記憶制御手段は、当該高処理能力処理手段と同等以上の前記処理能力を有する前記処理手段を備える他の前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させるように構成される。
【0016】
よって、高処理能力処理手段を備える情報処理装置に備えられた記憶手段に新たな識別情報を記憶させるに当たっては、同等以上の処理能力を有する処理手段を備える他の情報処理装置を識別するための識別情報を記憶させるので、各情報処理装置間におけるメッセージの授受をより高速化することができる。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の情報処理装置において、全ての前記情報処理装置に夫々備えられた前記処理手段が有する前記処理能力の夫々について処理能力ランク値が予め付与されており、各前記情報処理装置における前記記憶制御手段は、夫々に、当該記憶制御手段が備えられている前記情報処理装置に備えられている前記記憶手段に新たに前記識別情報を記憶させるに当たり、当該情報処理装置に対して接続可能な前記情報処理装置のうち、対応する前記処理能力ランク値が最も高い前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させるように構成される。
【0018】
よって、各記憶手段に新たな識別情報を記憶するに当たり、接続可能な情報処理装置のうち最も処理能力ランク値が高い情報処理装置を識別するための識別情報を記憶させるので、ネットワーク内においてより高速にメッセージの授受を実行することができる。
【0019】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記メッセージは、複数の前記情報処理装置間を段階的に授受されていくものであり、前記記憶手段は、前記ネットワーク内における前記授受の段階に応じて前記識別情報を記憶するものであり、更に前記記憶制御手段は、新たな前記識別情報を前記記憶手段に記憶させるに当たり、前記段階として前の当該段階に属する前記情報処理装置を識別するための前記識別情報ほど、前記処理能力が相対的に高い前記処理手段を備える前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を充てて前記記憶手段に記憶させるように構成される。
【0020】
よって、メッセージが複数の情報処理装置間を段階的に授受されていくものであり且つ記憶手段が当該段階に応じて識別情報を記憶するものである場合、新たな識別情報を記憶させるに当たって、段階として前の当該段階に属する情報処理装置を識別するための識別情報ほど、処理能力が相対的に高い処理手段を備える情報処理装置を識別するための識別情報を充てて記憶させるので、段階的に前の段階に属する情報処理装置として処理能力の高い処理手段を備えるものを記憶させることで、段階的なメッセージの授受をより迅速に行うことができる。
【0021】
上記の課題を解決するために、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の情報処理装置において、全ての前記情報処理装置に夫々備えられた前記処理手段が有する前記処理能力の夫々について処理能力ランク値が予め付与されており、各前記段階毎に対応する前記処理能力ランク値が予め設定されており、更に各前記情報処理装置における前記記憶制御手段は、夫々に、当該記憶制御手段が備えられている前記情報処理装置に備えられている前記記憶手段に前記段階毎に新たに前記識別情報を記憶させるに当たり、当該段階に対応する前記処理能力ランク値以上の処理能力ランク値が付与されている前記処理手段を備える前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させるように構成される。
【0022】
よって、新たな識別情報を記憶手段に記憶させるに当たって、各段階に設定されている処理能力ランク値以上の処理能力ランク値が付与されている情報処理装置を識別するための識別情報を充てて記憶させるので、各情報処理装置間におけるメッセージの授受をより高速化することができる。
【0023】
上記の課題を解決するために、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の情報処理装置において、各前記記憶制御手段は、当該記憶制御手段が備えられている前記情報処理装置に備えられている前記記憶手段に前記段階毎に新たに前記識別情報を記憶させるに当たり、当該段階に対応する前記処理能力ランク値以上の処理能力ランク値が付与されている前記処理手段を備える前記情報処理装置が検索できないとき、当該新たに前記識別情報を記憶させる際に検索されている前記情報処理装置のうち、前記処理手段における前記処理能力ランク値が最も高い当該処理手段を備える前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させるように構成される。
【0024】
よって、メッセージ授受の段階に対応する処理能力ランク値以上の処理能力ランク値が付与されている処理手段を備える情報処理装置が検索できないとき、新たに識別情報を記憶させる際に検索されている情報処理装置のうち、処理手段における処理能力ランク値が最も高い当該処理手段を備える情報処理装置を識別するための識別情報を記憶させるので、新規に識別情報を記憶させる場合であっても可能な限り処理能力の高い処理手段を備える情報処理装置を識別するための識別情報を記憶させることができる。
【0025】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記処理能力は、前記授受の処理の基準となる基準クロック信号の周波数の値で示される。
【0026】
よって、処理能力が処理手段における処理に供される基準クロック信号の周波数の値で示される処理能力であるので、当該周波数を手掛かりに、より高速にメッセージの授受を実行することが可能なネットワークを構築することができる。
【0027】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記授受のための処理は、接続される他の前記情報処理装置を認証するための認証処理を少なくとも含むように構成される。
【0028】
よって、授受のための処理が認証処理を少なくとも含むので、メッセージの授受の前提となる認証処理を、ネットワーク全体としてより高速化することができる。
【0029】
上記の課題を解決するために、請求項11に記載の発明は、コンピュータを、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させる。
【0030】
よって、当該コンピュータを、本発明に係る情報処理装置として機能させる場合には、低処理能力処理手段として機能するコンピュータを備える情報処理装置に備えられた記憶手段として機能するコンピュータに新たな識別情報を記憶させるに当たり、低処理能力処理手段として機能するコンピュータの処理能力に対して相対的に高い処理能力を有する処理手段として機能するコンピュータを備える他の情報処理装置を識別するための識別情報を記憶させるので、当該低処理能力処理手段として機能する当該コンピュータを備える情報処理装置同士が連続して接続される場合に比してメッセージ授受のための処理時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、処理能力が相互に異なる複数の情報処理装置が接続されたネットワークシステムにおいて、低処理能力の情報処理装置同士が連続して接続される場合に比してメッセージ授受のための処理時間を短縮することができる。
【0032】
従って、当該複数種類の情報処理装置が含まれるネットワークシステムにおける各種の処理をより高速化して不要な待ち時間等の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、上記特許文献1に記載の発明と同様のコンテンツ配信システム(すなわち、映画や音楽等のコンテンツを配信するいわゆるP2P(Pear-to-Pear)型のコンテンツ配信システム)に対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0034】
(I)本発明の原理
初めに、本発明に係る各実施形態について具体的に説明する前に、本発明の原理について説明する。
【0035】
本発明におけるコンテンツ配信システムに係るハードウエア構成、当該コンテンツの配信に係るメッセージの授受に用いられる分散ハッシュテーブル(いわゆるDHT(Distributed Hash Table))及びルーティングテーブルは、夫々、基本的には上記特許文献1に開示されているコンテンツ配信システムに係るハードウエア構成、DHT及びルーティングテーブルと同様のものが適用される。本実施形態のコンテンツ配信システムに係るハードウエア構成、DHT及びルーティングテーブルは、具体的には、例えば上記特許文献1の明細書段落番号[0039]乃至[0072]並びに図1乃至図5に記載されているハードウエア構成、DHT及びルーティングテーブルが用いられる。
【0036】
ここで、各ノード装置における上記ルーティングテーブルの新規登録及び更新につき、上記特許文献1に記載の発明では、当該ノード装置自体の処理速度の差異(すなわち、当該ノード装置がパーソナルコンピュータとして実現される場合と上記セットトップボックスとして実現される場合とでは、必然的にそれらの処理能力の間に差異が生じることとなる)とは無関係に、当該各ノード装置に夫々割り当てられるノードIDの内容のみに基づいて当該新規登録又は更新が行われていた。
【0037】
これに対し、以下に実施形態を説明する本発明では、コンテンツ配信システムに含まれる全てのノード装置には、当該各ノード装置に含まれる後述する制御部における処理能力のコンテンツ配信システム内におけるランクを示す処理能力ランク値が予め付与されている。そして、上記ルーティングテーブルの新規登録又は更新に当たり、当該ノード装置夫々に含まれている制御部間の処理能力の差異を考慮し、処理能力の低い制御部を夫々に含むノード装置同士(例えば、上記セットトップボックス同士)が物理的に連続して接続されることに起因する各種メッセージ授受時における端末間認証処理の遅延化等の発生を防止し、これにより、当該メッセージの授受の長時間化を防止する。
【0038】
次に、上記原理に基づく本発明に係る各実施形態について、具体的に図1乃至図6を用いて説明する。
【0039】
(II)第1実施形態
先ず、上記原理に則った本発明に係る第1実施形態について、図1乃至図4を用いて説明する。なお、上述したように、第1実施形態におけるコンテンツ配信システムに係るハードウエア構成、DHT及びルーティングテーブルは、夫々、基本的には上記特許文献1に開示されているコンテンツ配信システムに係るものと同様のものが適用されるので、以下に説明する各実施形態においては、本発明に係るルーティングテーブルの新規登録方法及び更新方法について、主として説明する。
【0040】
また、以下に説明する第1実施形態に係るコンテンツ配信システムには、上記パーソナルコンピュータとして実現されるノード装置と、上記セットトップボックスとして実現されるノード装置と、の二種類のノード装置のみが含まれているものとする。そして、各ノード装置から送信(転送)される各メッセージには、その送信元たるノード装置が上記パーソナルコンピュータとして実現されるノード装置であるか、或いは上記セットトップボックスとして実現されるノード装置であるか、を示す識別情報(当該識別情報の値が上記処理能力ランク値に相当することとなる)が付加されている。
【0041】
更に、図1は第1実施形態に係るノード装置の概要構成を示すブロック図であり、図2は第1実施形態に係るルーティングテーブルの一例を示す図であり、図3は当該ノード装置のメッセージ処理の全体を示すフローチャートであり、図4は当該ノード装置における第1実施形態に係るルーティングテーブルの更新処理を夫々示すフローチャートである。
【0042】
なお、第1実施形態に係る各ノード装置は、基本的には同様のハードウエア構成を備えており、コンテンツ配信システム内における役割の相違に応じて異なる動作をすることとなる。ここで、当該役割とは、具体的には、配信対象たるコンテンツの所在を問い合わせるリクエストノードとしての役割、当該リクエストノードや配信経路上にある他のノード装置からクエリを受信するキャッシュノードとしての役割、当該コンテンツを管理するルートノードとしての役割、及び、配信対象たるコンテンツに相当するコンテンツデータを保持するコンテンツノードとしての役割、の四つがある。このとき、上記「リクエストノード」の定義付けについては、例えば上記特許文献1の明細書段落番号[0064]及び[0065]を参照することができ、上記「クエリ」の定義付けについては、例えば上記特許文献1の明細書段落番号[0065]を参照することができ、上記「キャッシュノード」の定義付けについては、例えば上記特許文献1の明細書段落番号[0071]及び[0072]を参照することができ、上記「ルートノード」の定義付けについては、例えば上記特許文献1の明細書段落番号[0053]を参照することができ、上記「コンテンツノード」の定義付けについては、例えば上記特許文献1の明細書段落番号[0071]を参照することができる。更に、各役割としてのノード装置の動作についての詳細は、例えば上記特許文献1の明細書段落番号[0093]乃至[0115]並びに同図10及び図11を参照することができる。
【0043】
図1に示すように、第1実施形態に係るノード装置1は、演算機能を有するCPU、作業用RAM、各種データ及びプログラムを記憶するROM等から構成された処理手段、記憶制御手段及びコンピュータとしての制御部11と、コンテンツデータ、インデックス情報(当該インデックス情報については、例えば上記特許文献1の明細書段落番号[0071]を参照することができる)、上記DHT及びその他のプログラム等を記憶保存(格納)するためのHDD等から構成された記憶手段としての記憶部12(上記コンテンツデータについては、保存されていないノード装置1もある)と、受信されたコンテンツデータを一時蓄積するバッファメモリ13と、コンテンツデータに含まれるエンコードされたビデオデータ(映像情報)及びオーディオデータ(音声情報)等をデコード(データ伸張や復号化等)するデコーダ部14と、当該デコードされたビデオデータ等に対して所定の描画処理を施しビデオ信号として出力する映像処理部15と、当該映像処理部15から出力されたビデオ信号に基づき映像表示するCRT又は液晶ディスプレイ等の表示部16と、上記デコードされたオーディオデータをアナログオーディオ信号にD(Digital)/A(Analog)変換した後これをアンプにより増幅して出力する音声処理部17と、当該音声処理部17から出力されたオーディオ信号を音波として出力するスピーカ18と、ネットワークを通じて他のノード装置1との間の情報の通信制御を行なうための通信部20と、ユーザからの指示を受け付け当該指示に応じた指示信号を制御部11に対して与える入力部(例えば、キーボード、マウス、或いは、操作パネル等)21と、を備えて構成され、制御部11、記憶部12、バッファメモリ13、デコーダ部14及び通信部20はバス22を介して相互に接続されている。
【0044】
そして、制御部11に含まれるCPUが記憶部12等に記憶された各種プログラムを実行することにより、上記リクエストノード、上記キャッシュノード、上記ルートノード又は上記コンテンツノードのいずれか一つとしてノード装置1全体を統括制御する。
【0045】
また、記憶部12内には、図2に示す如き、上記特許文献1の第4図(d)に例示された如きルーティングテーブルRTが不揮発性に記憶され、上記メッセージの授受やコンテンツの配信に供されている。
【0046】
次に、第1実施形態に係るノード装置1において主として制御部11により実行される、コンテンツ配信システムとしてのメッセージ処理(第1実施形態に係る上記ルーティングテーブルRTの更新処理を含む)について、具体的に図3及び図4を用いて説明する。なお、以下に説明するメッセージ処理に係る各種メッセージには、夫々、当該メッセージの送信元となった他のノード装置1の制御部11における処理能力のランクを示す上記処理能力ランク値が含まれているものとする。
【0047】
図3に示すように、各ノード装置1において実行される当該メッセージ処理としては、初めに、当該ノード装置1自体の電源スイッチがオフとされたか否かを確認し(ステップS1)、オフとされているときは(ステップS1;YES)そのまま当該メッセージ処理を終了し、一方、オフとされていないときは(ステップS1;NO)、次に、何らかの新たなメッセージをネットワーク及び通信部20を介して受信したか否かを確認する(ステップS2)。このステップS2の処理には、当該受診したメッセージの送信元たる他のノード装置1との間における上記端末間認証処理が含まれている。
【0048】
ステップS2の判定において、新たなメッセージを何ら受信していないときは(ステップS2;NO)、コンテンツ配信システム内で伝送されるメッセージを使用しない処理としてノード装置1において予め定義付けられている他の処理を実行し(ステップS3)、上記ステップS1に戻って上述してきた一連の処理を繰り返す。
【0049】
他方、ステップS2の判定において、何らかの新たなメッセージを受信したときは(ステップS2;YES)、当該受信したメッセージが、他のノード装置1に対して転送すべき内容を有するメッセージ(例えば、他のノード装置1がルートノードとして機能する場合におけるクエリ等)であるか、或いは、ノード装置1自体において処理すべき内容を有するメッセージ(例えば、当該ノード装置1自体がリクエストノードである場合等)であるか、を確認する(ステップS4)。当該受信したメッセージが他のノード装置1に対して転送すべき内容を有するメッセージであるときは(ステップS4;YES)、ノード装置1自体がルートノードとして機能するノード装置1であるか否かを確認する(ステップS5)。
【0050】
次に、ステップS5の判定において、当該ノード装置1がルートノードとして機能するノード装置1でない場合は(ステップS5;NO)、当該受信したメッセージをその転送先たる他のノード装置1に転送して(ステップS6)後述するステップS8の処理に移行する。一方、ステップS5の判定において、当該ノード装置1がルートノードとして機能するノード装置1である場合は(ステップS5;YES)、受信したメッセージの内容に相当するルートノードとしての処理を実行し(ステップS7)、後述するステップS8の処理に移行する。
【0051】
他方、上記ステップS4の判定において、当該受信したメッセージが他のノード装置1に対して転送すべき内容を有するメッセージでないときは(ステップS4;NO)、当該受信したメッセージの内容に相当する処理を実行する(ステップS7)。その後、ノード装置1自体のルーティングテーブルRT内に対して当該受信したメッセージの送信元であるノード装置1のノードID及びIPアドレス(以下、当該ノードID及びIPアドレスを、単にノードID等と称する)を登録する際の当該ルーティングテーブル内の位置(より具体的には、例えば図2に例示するルーティングテーブルRT内の座標値。以下、当該位置を単に「エントリポイント」と称する。図2符合「EP」参照)を、当該送信元であるノード装置1のノードID等に基づいて上記DHTに準拠したルール(より詳細には、上記特許文献1の明細書段落番号[0041]乃至[0061]並びに同図2乃至図4参照)に則って求める(ステップS8)。
【0052】
そして、当該求められたエントリポイントEPに既に登録済みの他のノード装置1のノードID等が記憶(以下、エントリポイントEPに対してノード装置1のノードID等を記憶させることを、単に「登録する」と称する)されているか否かを確認する(ステップS9)。当該エントリポイントEPが空である場合は(ステップS9;YES)、当該送信元のノード装置1に対応する処理能力ランク値に拘わらず、その空のエントリポイントEPに当該送信元のノード装置1のノードID等を登録し(ステップS12)、上記ステップS1に戻って上述してきた一連の処理を繰り返す。
【0053】
一方、ステップS9の判定において、当該エントリポイントEPに既に登録されているノードID等がある、すなわち、当該エントリポイントEPに既に登録されているノード装置1がある時は(ステップS9;NO)、図4において詳述するルーティングテーブルRTの更新処理(すなわち、当該エントリポイントEPに登録されているノードID等の更新処理)を実行する(ステップS10)。
【0054】
そして、当該ステップS10の処理の結果としての「返り値」が「T(True)」であるか否かを確認し(ステップS11)、当該返り値が「T」であるときは(ステップS11;YES)、上記ステップS12に移行して当該受信したメッセージの送信元たるノード装置1のノードID等を今まで登録されていたノードID等に置換して(ステップS12)上記ステップS1に戻って上述してきた一連の処理を繰り返す。
【0055】
一方、ステップS11の判定において、当該返り値が「T」でない、すなわち「F(False)」であるときは(ステップS11;NO)、当該エントリポイントEPに既に登録されているノードID等を更新する必要がない(すなわち、ルーティングテーブルRTを更新する必要がない)として、そのまま上記ステップS1に戻って上述してきた一連の処理を繰り返す。
【0056】
次に、第1実施形態に係るステップS10としてのルーティングテーブルRTの更新処理について、具体的に図4を用いて説明する。
【0057】
上述したように、第1実施形態に係るコンテンツ配信システムを構成するノード装置1には、上記パーソナルコンピュータとして実現される(すなわち、上記処理能力ランク値が相対的に高い)ノード装置1と、上記セットトップボックスとして実現される(すなわち、上記処理能力ランク値が相対的に低い)ノード装置1と、の二種類のノード装置1しか含まれていない。そこで、上記本発明の原理に基づく第1実施形態に係るステップS10の更新処理としては、三種類の処理方法が考えられる。具体的には、
(1A)自らとは別種類のノード装置1である時にのみ更新する(図4(a)及び図4(b)を用いて説明する)、
(1B)更新時には可能な限りパーソナルコンピュータとして実現されるノード装置1を登録する(図4(c)及び図4(d)を用いて説明する)、及び、
(1C)ルーティングテーブルRTにおけるレベル(すなわちルーティングテーブルRTの行)において、予め定められた閾値レベル(例えば図2に示すルーティングテーブルRTにおける「レベル4」)より高い(すなわち、図2に例示するルーティングテーブルRTにおける「レベル1」から「レベル3」まで)のレベルにはパーソナルコンピュータとして実現されるノード装置1のみを登録し、当該閾値レベル以下のレベル(すなわち、図2に例示するルーティングテーブルRTにおける「レベル4」から「レベル7」まで)にはいずれのノード装置1でも登録可能とする(図4(e)を用いて説明する)、
の三種類の処理方法がある。以下、夫々について詳述する。
【0058】
(A)処理方法(1A)について
初めに、上記処理方法(1A)について、図4(a)及び図4(b)を用いて説明する。なお、図4(a)は当該処理方法(1A)に相当する上記ステップS10としての処理を示すフローチャートであり、図4(b)は当該ステップS10の処理が実行された結果実現されるノード装置1の接続態様(いわゆるスパニングツリー(詳細は、上記特許文献1の明細書段落番号[0080]及び同図7を参照することができる))を例示する図である。
【0059】
図4(a)に示すように、当該処理方法(1A)に係るステップS10の処理として具体的には、メッセージを受信した(図3ステップS2;YES参照)ノード装置1と当該メッセージの送信元たるノード装置1とが同じ種類のノード装置1であるか否か(すなわち、双方共にパーソナルコンピュータとして実現されるノード装置1同士であるか否か、或いは双方共にセットトップボックスとして実現されるノード装置1同士であるか否か)を、当該受信したメッセージに含まれている上記識別情報に基づいて確認する(ステップS20)。同じ種類のノード装置1同士である場合は(ステップS20;YES)、上記返り値を「F」として図3に示すステップS11の処理に移行する。一方、ステップS20の判定において、当該メッセージの送受信に係るノード装置1同士が相互に異なる種類のノード装置1同士であった場合は(ステップS20;NO)、上記返り値を「T」として図3に示すステップS11の処理に移行する。
【0060】
以上のステップS20の動作に続いて図2に示すステップS11及びS12の処理が夫々実行されることにより、結果として、当該メッセージの送受信に係るノード装置1同士が相互に異なる種類のノード装置1同士であった場合は(ステップS20;NO。返り値T)、その後の図2ステップS11及びS12の処理により、当該送信元たるノード装置1のノードID等を用いてそのエントリポイントEPの情報が更新されることとなる。また、当該メッセージの送受信に係るノード装置1同士が相互に同じ種類のノード装置1同士であった場合は(ステップS20;YES。返り値F)、その後の図2ステップS11及びS12の処理により、当該エントリポイントEPの情報は更新されず図2ステップS1の処理に移行されることとなる。
【0061】
そして、上記ステップS20の処理がステップS10の処理として図2に示す一連の処理が実行された結果としては、図4(b)に例示するように、スパニングツリーを構成するノード装置1としては、パーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1と、セットトップボックスBとして実現されるノード装置1と、が交互に接続された状態のスパニングツリーが形成されることとなる。
【0062】
(B)処理方法(1B)について
次に、上記処理方法(1B)について、図4(c)及び図4(d)を用いて説明する。なお、図4(c)は当該処理方法(1B)に相当する上記ステップS10としての処理を示すフローチャートであり、図4(d)は当該ステップS10の処理が実行された結果実現されるノード装置1のスパニングツリーを例示する図である。
【0063】
図4(c)に示すように、当該処理方法(1B)に係るステップS10の処理として具体的には、当該メッセージの送信元たるノード装置1がパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1であるか否かを、当該受信したメッセージに含まれている上記識別情報に基づいて確認し(ステップS21)、当該送信元のノード装置1がパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1である場合は(ステップS21;YES)、上記返り値を「T」として図3に示すステップS11の処理に移行する。一方、ステップS21の判定において、当該送信元のノード装置1がパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1でない場合は(ステップS21;NO)、上記返り値を「F」として図3に示すステップS11の処理に移行する。
【0064】
以上のステップS21の動作に続いて図2に示すステップS11及びS12の処理が夫々実行されることにより、結果として、当該送信元のノード装置1がパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1であった場合は(ステップS21;YES。返り値T)、その後の図2ステップS11及びS12の処理により、常に当該送信元たるノード装置1のノードID等を用いてそのエントリポイントEPの情報が更新されることとなる。また、当該送信元のノード装置1がセットトップボックスBとして実現されるノード装置1であった場合は(ステップS21;NO。返り値F)、その後の図2ステップS11及びS12の処理により、当該エントリポイントEPの情報は更新されず図2ステップS1の処理に移行されることとなる。
【0065】
そして、上記ステップS21の処理がステップS10の処理として図2に示す一連の処理が実行された結果としては、図4(d)に例示するように、スパニングツリーを構成するノード装置1としては、その全てがパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1が接続された状態のスパニングツリーが形成されることとなる。
【0066】
(C)処理方法(1C)について
最後に、上記処理方法(1C)について、図4(e)を用いて説明する。なお、図4(e)は当該処理方法(1C)に相当する上記ステップS10としての処理を示すフローチャートである。
【0067】
図4(e)に示すように、当該処理方法(1C)に係るステップS10の処理として具体的には、メッセージを受信した(図3ステップS2;YES参照)際の更新対象となるエントリポイントEP(図3ステップS8参照)が属するルーティングテーブルRTのレベルが上記閾値レベル以下であるか否かを確認する(ステップS22)。そして、当該エントリポイントEPが属するレベルが閾値レベル以下のレベルであるときは(ステップS22;YES)、上記返り値を「T」として図3に示すステップS11の処理に移行する。
【0068】
一方、ステップS22の判定において、当該エントリポイントEPが属するレベルが閾値レベルより大きいのレベルであるときは(ステップS22;NO)、次に、当該メッセージの送信元たるノード装置1がパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1であるか否かを、当該受信したメッセージに含まれている上記識別情報に基づいて確認し(ステップS23)、当該送信元のノード装置1がパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1である場合は(ステップS23;YES)、上記返り値を「T」として図3に示すステップS11の処理に移行する。一方、ステップS23の判定において、当該送信元のノード装置1がパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1でない場合は(ステップS23;NO)、上記返り値を「F」として図3に示すステップS11の処理に移行する。
【0069】
以上のステップS22及びS23の動作に続いて図2に示すステップS11及びS12の処理が夫々実行されることにより、結果として、メッセージを受信したノード装置1内のルーティングテーブルRTにおいて、その更新対象たるエントリポイントEPが属するレベルが上記閾値レベル以下であるときは、送信元たるノード装置1がいずれの種類のノード装置1であっても当該エントリポイントEPは更新され、一方、当該更新対象たるエントリポイントEPが属するレベルが閾値レベルより大きいときは、送信元たるノード装置1がパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1である場合にのみ、当該エントリポイントEPがそのノード装置1のノードID等を用いて更新されることとなる。
【0070】
以上夫々説明したように、第1実施形態に係るノード装置1におけるルーティングテーブルRTの更新方法によれば、処理能力が低い制御部11を備えるノード装置1(例えばセットトップボックスBとして実現されるノード装置1)に記憶されたルーティングテーブルRTに新たなノードID等を登録するに当たり、当該処理能力が低い制御部11の処理能力に対して相対的に高い処理能力を有する制御部11を備える他のノード装置1(例えばパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1)を識別するためのノードID等を登録するので、当該処理能力が低い制御部11を備えるノード装置1同士が連続して接続される場合に比してメッセージ授受のための処理時間を短縮することができる。
【0071】
また、上記処理方法(A)を用いる場合には、処理能力が高い制御部11を備えるノード装置1に記憶されたルーティングテーブルRTに新たなノードID等を登録するに当たっては、処理能力が低い制御部11を備える他のノード装置1を識別するためのノードID等を登録するので、結果的に、処理能力が低い制御部11を備えるノード装置1のルーティングテーブルRTには処理能力が高い制御部11を備えるノード装置1を識別するためのノードID等が記憶されると共に、処理能力が高い制御部11を備えるノード装置1のルーティングテーブルRTには処理能力が低い制御部11を備えるノード装置1を識別するためのノードID等が記憶されることとなり、各ノード装置1を均等に用いてメッセージの授受を行うことができる。
【0072】
更に、上記処理方法(B)を用いる場合には、処理能力が高い制御部11を備えるノード装置1に記憶されたルーティングテーブルRTに新たなノードID等を登録するに当たっては、同等以上の処理能力を有する処理手段を備える他のノード装置1を識別するためのノードID等を登録するので、各ノード装置1間におけるメッセージの授受をより高速化することができる。
【0073】
更にまた、予め定められた閾値レベルより大きいレベルのエントリポイントEPにノードID等を登録する場合にはパーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1を登録し、当該閾値レベル以下のレベルのエントリポイントEPにノードID等を登録する場合にはいずれのノード装置1でも登録可能とするので、新たなノードID等を登録するに当たって、DHTを用いた段階的なメッセージの授受をより迅速に行うことができる。
【0074】
また、メッセージ授受のための処理が端末間認証処理を少なくとも含むので、メッセージの授受の前提となる端末間認証処理を、コンテンツ配信システムとしてより高速化することができる。
【0075】
(III)第2実施形態
次に、本発明に係る他の実施形態である第2実施形態について、図5及び図6を用いて説明する。なお、図5は第2実施形態に係るノード装置1の処理ランク値の例を示す図であり、図6はは当該ノード装置における第2実施形態に係るルーティングテーブルの更新処理を夫々示すフローチャートである。
【0076】
上述した第1実施形態に係るルーティングテーブルRTの更新方法においては、コンテンツ配信システムに属するノード装置1が、パーソナルコンピュータPとして実現されるノード装置1と、セットトップボックスとして実現されるノード装置1と、の二種類のみとした場合について説明したが、以下に説明する第2実施形態に係るルーティングテーブルRTの更新方法においては、コンテンツ配信システムに属するノード装置1各々における処理能力が、夫々に備えられた制御部11を構成するCPUの動作クロック周波数数に基づき、複数段階に区分されており、当該段階毎に予め異なる処理ランク値が付与されている。
【0077】
なお、第2実施形態に係るコンテンツ配信システム自体の全体構成、各ノード装置1におけるハードウエア的な概要構成、ルーティングテーブルRTの構成及び各ノード装置1におけるメッセージ処理の全体(ステップS10を除いた図2に示す各処理ステップ)は、全て第1実施形態に係る夫々と同様であるので、細部の説明は省略し、更に同一の構成部材又は処理ステップについては、以下の第2実施形態においても同一の部材番号及びステップ番号を付して用いることとする。
【0078】
先ず、第2実施形態に係る各ノード装置1各々における処理能力は、夫々に備えられた制御部11を構成するCPUの動作クロック周波数に基づき、図5に例示するように合計十段階に区分されており、当該段階毎に予め異なる処理能力ランク値(「1」から「10」まで)が付与されている。そして、この処理能力ランク値を夫々に示す識別情報が、当該各ノード装置1から送信(又は転送)されるメッセージ内に付加されている。
【0079】
次に、第2実施形態として独特の、当該第2実施形態に係るステップS10としてのルーティングテーブルRTの更新処理について、具体的に図6を用いて説明する。
【0080】
上述したように、第2実施形態に係るコンテンツ配信システムを構成するノード装置1は、夫々の処理能力に応じて十段階に区分されており、当該段階に応じた処理能力ランク値が付与されている。そこで、上記本発明の原理に基づく第2実施形態に係るステップS10の更新処理としては、以下の三種類の処理方法が考えられる。具体的には、
(2A)メッセージを受信したノード装置1の処理能力ランク値と、そのノード装置1のルーティングテーブルRTにノードID等が登録される他のノード装置1の処理能力ランク値と、の平均値が、処理能力ランク値全体としての平均値(すなわち、第2実施形態の場合は「5.5(=(1+2+3+…+8+9+10)/10)」)になるべく近いものとなるように当該ノードID等が登録される他のノード装置を選択する(図6(a)を用いて説明する)、
(2B)メッセージを受信したノード装置1のルーティングテーブルRTに新たに登録するノード装置1として、その時点で選択可能ななるべく高い処理能力ランク値を有するノード装置1を登録する(図6(b)を用いて説明する)、及び、
(2C)ルーティングテーブルRTのレベル(行)各々に対して、レベルが高いほど処理能力ランク値が高くなるように、当該レベルに登録可能なノード装置1の処理能力ランク値が予め一対一に対応付けて設定されており、その設定された処理能力ランク値以上の処理能力ランク値を有するノード装置1のみを登録する(図6(c)を用いて説明する)、
の三種類の処理方法がある。以下、夫々について詳述する。
【0081】
(A)処理方法(2A)について
初めに、上記処理方法(2A)について、図6(a)を用いて説明する。なお、図6(a)は当該処理方法(2A)に相当する上記ステップS10としての処理を示すフローチャートである。
【0082】
図6(a)に示すように、当該処理方法(2A)に係るステップS10の処理として具体的には、先ず、メッセージを受信した(図3ステップS2;YES参照)ノード装置1に対応する処理能力ランク値と、当該メッセージの送信元たるノード装置1(を示すノードID等)が登録されようとしているエントリポイントEPに既に登録されているノードID等により示されるノード装置1に対応する処理能力ランク値と、の平均値Xを求める(ステップS30)。
【0083】
次に、当該メッセージを受信したノード装置1に対応する処理能力ランク値と、当該メッセージの送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値と、の平均値Yを、当該受信したメッセージに付加されている処理能力ランチを示す識別情報に基づいて求める(ステップS31)。
【0084】
そして、夫々求められた二つの平均値XとYのうち、上記処理能力ランク値全体としての平均値に近いのが平均値Yの方であるか否かを確認する(ステップS32)。平均値Yの方が当該全体平均値に近い場合は(ステップS32;YES)、上記返り値を「T」として図3に示すステップS11の処理に移行する。一方、ステップS32の判定において、平均値Xの方が当該全体平均値に近いか、又は平均値XとYが同値の場合は(ステップS32;NO)、上記返り値を「F」として図3に示すステップS11の処理に移行する。
【0085】
以上のステップS30乃至S32の動作に続いて図2に示すステップS11及びS12の処理が夫々実行されることにより、結果として、平均値Yの方が全体平均値に近い場合(ステップS32;YES。返り値T)は、その後の図2ステップS11及びS12の処理により、そのときにメッセージを送信(転送)して来たノード装置1のノードID等がそのときに判断対象となっているエントリポイントEPに新たに登録される(すなわち、そのエントリポイントEPの情報が更新される)こととなる。また、平均値Xの方が全体平均値に近いか又は平均値XとYとが同値である場合(ステップS32;NO。返り値F)は、その後の図2ステップS11及びS12の処理により、当該エントリポイントEPの情報は更新されず図2ステップS1の処理に移行されることとなる。
【0086】
そして、上記ステップS30乃至32の処理がステップS10の処理として図2に示す一連の処理が実行された結果としては、メッセージを受信したノード装置1の処理能力ランク値と、そのノード装置1のルーティングテーブルRTにノードID等が登録されている他のノード装置1の処理能力ランク値と、の平均値が、上記全体平均値になるべく近いものとなる。
【0087】
(B)処理方法(2B)について
次に、上記処理方法(2B)について、図6(b)を用いて説明する。なお、図6(b)は当該処理方法(2B)に相当する上記ステップS10としての処理を示すフローチャートである。
【0088】
図6(b)に示すように、当該処理方法(2B)に係るステップS10の処理として具体的には、メッセージを受信した(図3ステップS2;YES参照)ノード装置1に対応する処理能力ランク値と、当該メッセージの送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値と、が比較される(ステップS33)。
【0089】
そして、メッセージの送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値の方が大きい場合は(ステップS33;YES)、上記返り値を「T」として図3に示すステップS11の処理に移行する。一方、ステップS33の判定において、メッセージを受信したノード装置1に対応する処理能力ランク値の方が大きいか、又は二つの処理能力ランク値が同値である場合は(ステップS33;NO)、上記返り値を「F」として図3に示すステップS11の処理に移行する。
【0090】
以上のステップS33の動作に続いて図2に示すステップS11及びS12の処理が夫々実行されることにより、結果として、メッセージの送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値の方が大きい場合は(ステップS33;YES。返り値T)、常に、その後の図2ステップS11及びS12の処理により、そのときにメッセージを送信(転送)して来たノード装置1のノードID等がそのときに判断対象となっているエントリポイントEPに新たに登録されることとなる。また、メッセージの送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値の方が小さいか又は二つの処理能力ランク値が同値の場合は(ステップS33;NO。返り値F)、その後の図2ステップS11及びS12の処理により、当該エントリポイントEPの情報は更新されず図2ステップS1の処理に移行されることとなる。
【0091】
そして、上記ステップS33の処理がステップS10の処理として図2に示す一連の処理が実行された結果としては、メッセージを受信したノード装置1のルーティングテーブルRTに新たに登録するノード装置1として、その時点で選択可能ななるべく高い処理能力ランク値を有するノード装置1が登録されることとなる。
【0092】
(C)処理方法(2C)について
次に、上記処理方法(2C)について、図6(c)を用いて説明する。なお、図6(c)は当該処理方法(2C)に相当する上記ステップS10としての処理を示すフローチャートである。
【0093】
処理方法(2C)が実行される前提としては、上述したように、ルーティングテーブルRTのレベル(行)各々に対して、レベルが高いほど処理能力ランク値が高くなるように、当該レベルに登録可能なノード装置1の処理能力ランク値が予め一対一に対応付けて設定されている。より具体的には、例えば、図2に例示するルーティングテーブルRTについて、「レベル1」には図5に例示する処理能力ランク値「10」が対応付けられており、「レベル2」には図5に例示する処理能力ランク値「9」が対応付けられており、「レベル3」には図5に例示する処理能力ランク値「8」が対応付けられており、「レベル4」には図5に例示する処理能力ランク値「7」が対応付けられており、「レベル5」には図5に例示する処理能力ランク値「6」及び「5」が対応付けられており、「レベル6」には図5に例示する処理能力ランク値「4」及び「3」が対応付けられており、「レベル7」には図5に例示する処理能力ランク値「2」及び「1」が対応付けられている。
【0094】
そして、このことを前提とした処理方法(2C)に係るステップS10の処理として具体的には、図6(c)に示すように、メッセージを受信した(図3ステップS2;YES参照)際の更新対象となるエントリポイントEP(図3ステップS8参照)が属するルーティングテーブルRTのレベルに対して上記処理能力ランク値が対応付けられているか否かを先ず確認する(ステップS34)。当該対応付けがされてないときは(ステップS34;NO)、上記返り値を「T」として図3に示すステップS11の処理に移行する。
【0095】
一方、ステップS34の判定において、当該対応付けがされているときは(ステップS34;YES)、次に、当該メッセージ送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値が、当該エントリポイントEPが属するレベルに予め対応付けられている処理能力ランク値以上であるか否かが確認される(ステップS35)。そして、当該メッセージ送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値が、当該エントリポイントEPが属するレベルに予め対応付けられている処理能力ランク値以上であるときは(ステップS35;YES)、上記返り値を「T」として図3に示すステップS11の処理に移行する。
【0096】
他方、ステップS35の判定において、当該メッセージ送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値が、当該エントリポイントEPが属するレベルに予め対応付けられている処理能力ランク値未満であるときは(ステップS35;NO)、次に、既にそのエントリポイントEPに登録されているノードID等により識別されるノード装置1に対応する処理能力ランク値と、メッセージを送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値と、が比較される(ステップS36)。
【0097】
そして、当該登録済みのノード装置1に対応する処理能力ランク値よりもメッセージを送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値の方が大きい場合は(ステップS36;YES)、上記返り値を「T」として図3に示すステップS11の処理に移行する。更に、ステップS36の判定において、登録済みのノード装置1に対応する処理能力ランク値よりもメッセージを送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値の方が小さいか、或いは二つの処理能力ランク値が同値の場合は(ステップS36;NO)、上記返り値を「F」として図3に示すステップS11の処理に移行する。
【0098】
以上のステップS34乃至S36の動作に続いて図2に示すステップS11及びS12の処理が夫々実行されることにより、結果として、メッセージを受信したノード装置1内のルーティングテーブルRTにおいて、その更新対象たるエントリポイントEPが属するレベルに対して予め処理能力ランク値が設定されている場合は、その設定されている処理能力ランク値以上の処理能力ランク値を有するノード装置1からメッセージが送信されてきた場合にのみ当該エントリポイントEPは更新される。
【0099】
また、当該送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値が更新されようとしているエントリポイントEPが属するレベルに対応付けられている処理能力ランク値未満である場合でも、既にそのエントリポイントEPに登録されているノードID等により示されるノード装置1の処理能力ランク値よりも高い場合にも、当該エントリポイントEPは更新される。
【0100】
更に、更新されようとしているエントリポイントEPが属するレベルに処理能力ランク値が対応付けられていない場合は、送信元たるノード装置1を示すノードID等がそのままそのエントリポイントEPに登録されることとなる。
【0101】
以上夫々説明したように、第2実施形態に係るノード装置1におけるルーティングテーブルRTの各更新方法によれば、第1実施形態に係るノード装置1におけるルーティングテーブルRTの更新方法による効果に加えて、以下の効果を夫々に有する。
【0102】
すなわち、上記処理方法(2A)に係る更新方法によれば、各ノード装置1における制御部11が、夫々に、当該制御部11が備えられているノード装置1に対応する処理能力ランク値と、新たに記憶されるノードID等により識別されるノード装置1に対応する処理能力ランク値と、の平均値が、処理能力ランク値全体の平均値(第2実施形態の場合「5.5」)となるように当該新たなノードID等を選択して登録するので、コンテンツ配信システム全体としてみたときにメッセージの授受に供される制御部11の処理能力がより高いランクで平均化されることとなり、結果として、処理能力が低い制御部11を備えるノード装置1同士が連続して接続される場合に比してコンテンツ配信システム全体としてメッセージ授受のための処理時間を短縮することができる。
【0103】
また、上記処理方法(2B)に係る更新方法によれば、各ルーティングテーブルRTに新たなノードID等を記憶するに当たり、接続可能なノード装置1のうち最も処理能力ランク値が高いノード装置1を識別するためのノードID等を登録するので、コンテンツ配信システム内においてより高速にメッセージの授受を実行することができる。
【0104】
更に、上記処理方法(2C)に係る更新方法によれば、ルーティングテーブルRTがレベルに応じてノードID等を登録するものである場合、新たなノードID等を登録するに当たって、レベルとして上の当該レベルに属するノード装置1を識別するためのノードID等ほど、処理能力が相対的に高い制御部11を備えるノード装置1を識別するためのノードID等を充てて登録するので、上のレベルに属するノード装置1として処理能力の高い制御部11を備えるものを登録することで、段階的なメッセージの授受をより迅速に行うことができる。
【0105】
更にまた、上記処理方法(C)に係る更新方法によれば、新たなノードID等をルーティングテーブルRTに登録するに当たって、各段階に設定されている処理能力ランク値以上の処理能力ランク値が付与されているノード装置1を識別するためのノードID等を充てて登録するので、各ノード装置1間におけるメッセージの授受をより高速化することができる。
【0106】
更にまた、上記処理方法(A)乃至(C)のいずれを用いる場合でも、処理能力ランク値が制御部11を構成するCPUの動作クロック信号の周波数の値で示される処理能力に応じて付与されているので、当該周波数を手掛かりに、より高速にメッセージの授受を実行することが可能なコンテンツ配信システムを構築することができる。
【0107】
なお、上記第2実施形態に係る処理方法(A)乃至(C)によると、登録対象たるエントリポイントEPに登録済みのノードID等がない場合は、結果的に無条件にそのときのメッセージの送信元たるノード装置1を示すノードID等が登録されることとなる。この場合には、当該メッセージの送信元たるノード装置1に対応する処理能力ランク値が当該エントリポイントEPが属するレベルに対応付けられている処理能力ランク値に満たない場合でも、その時点で選択可能なノード装置1のうち、対応する処理能力ランク値が最も高いノード装置1を示すノードID等をそのエントリポイントEPに登録するように構成するのが好ましい。
【0108】
この新規登録方法によれば、ルーティングテーブルRTのレベルに対応する処理能力ランク値以上の処理能力ランク値が付与されている制御部11を備えるノード装置1が検索できないとき、新たにノードID等を登録する際に検索されているノード装置1のうち、制御部11における処理能力ランク値が最も高い当該制御部11を備えるノード装置1を識別するためのノードID等を登録することとなるので、新規にノードID等を登録する場合であっても可能な限り処理能力の高い制御部11を備えるノード装置1を識別するためのノードID等を登録することができる。
【0109】
また、図3、図4(a)、図4(c)、図4(e)及び図6に夫々示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを実施形態に係る制御部11として活用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上夫々説明したように、本願はいわゆるP2P型のコンテンツ配信システムの分野に利用することが可能であり、特に多数の異なる種類のパーソナルコンピュータやセットトップボックスとして夫々実現されるノード装置を含み得るコンテンツ配信システムの分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】実施形態に係るノード装置の概要構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るルーティングテーブルを例示する図である。
【図3】第1実施形態のノード装置におけるメッセージ処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係るルーティングテーブルの更新方法を夫々示す図であり、(a)は処理方法(1A)を示すフローチャートであり、(b)は当該処理方法(1A)の実行結果を例示するスパニングツリーの図であり、(c)は処理方法(1B)を示すフローチャートであり、(d)は当該処理方法(1B)の実行結果を例示するスパニングツリーの図であり、(e)は処理方法(1C)を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る処理能力ランク値を例示する図である。
【図6】第2実施形態に係るルーティングテーブルの更新方法を夫々示す図であり、(a)は処理方法(2A)を示すフローチャートであり、(b)は処理方法(2B)を示すフローチャートであり、(c)は処理方法(2C)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0112】
1 ノード装置
11 制御部
12 記憶部
13 バッファメモリ
14 デコーダ部
15 映像処理部
16 表示部
17 音声処理部
18 スピーカ
20 通信部
21 入力部
22 バス
RT ルーティングテーブル
EP エントリポイント
P パーソナルコンピュータ
B セットトップボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互にメッセージの授受を実行しつつ情報の処理を行う複数の情報処理装置であって当該授受の処理を行うための処理能力が相対的に異なる複数の情報処理装置と、当該ネットワークと、により構成されるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置において、
前記授受の相手方となる他の前記情報処理装置を前記ネットワークシステム内において識別するための識別情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶されている識別情報により識別される他の前記情報処理装置との間で前記授受の処理を行う処理手段と、
前記記憶手段に対する前記識別情報の記憶を制御する記憶制御手段と、
を備え、
前記処理能力が相対的に低い前記処理手段である低処理能力処理手段を備える前記情報処理装置に備えられた前記記憶手段に新たな前記識別情報を記憶させるに当たり、当該情報処理装置に備えられた前記記憶制御手段は、前記低処理能力処理手段の前記処理能力に対して相対的に高い前記処理能力を有する前記処理手段を備える他の前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記処理能力が相対的に高い前記処理手段である高処理能力処理手段を備える前記情報処理装置に備えられた前記記憶手段に新たな前記識別情報を記憶させるに当たり、当該情報処理装置に備えられた前記記憶制御手段は、前記低処理能力処理手段を備える他の前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
全ての前記情報処理装置に夫々備えられた前記処理手段が有する前記処理能力の夫々について処理能力ランク値が予め付与されており、
各前記情報処理装置における前記記憶制御手段は、夫々に、当該記憶制御手段が備えられている前記情報処理装置に対応する前記処理能力ランク値と、新たに前記記憶手段に記憶される前記識別情報により識別される前記情報処理装置に対応する前記処理能力ランク値と、の平均値が、全処理能力ランク値の平均値となるように当該新たな識別情報を選択して記憶させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記処理能力が相対的に高い前記処理手段である高処理能力処理手段を備える前記情報処理装置に備えられた前記記憶手段に新たな前記識別情報を記憶させるに当たり、当該情報処理装置に備えられた前記記憶制御手段は、当該高処理能力処理手段と同等以上の前記処理能力を有する前記処理手段を備える他の前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置において、
全ての前記情報処理装置に夫々備えられた前記処理手段が有する前記処理能力の夫々について処理能力ランク値が予め付与されており、
各前記情報処理装置における前記記憶制御手段は、夫々に、当該記憶制御手段が備えられている前記情報処理装置に備えられている前記記憶手段に新たに前記識別情報を記憶させるに当たり、当該情報処理装置に対して接続可能な前記情報処理装置のうち、対応する前記処理能力ランク値が最も高い前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記メッセージは、複数の前記情報処理装置間を段階的に授受されていくものであり、
前記記憶手段は、前記ネットワーク内における前記授受の段階に応じて前記識別情報を記憶するものであり、
更に前記記憶制御手段は、新たな前記識別情報を前記記憶手段に記憶させるに当たり、前記段階として前の当該段階に属する前記情報処理装置を識別するための前記識別情報ほど、前記処理能力が相対的に高い前記処理手段を備える前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を充てて前記記憶手段に記憶させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置において、
全ての前記情報処理装置に夫々備えられた前記処理手段が有する前記処理能力の夫々について処理能力ランク値が予め付与されており、
各前記段階毎に対応する前記処理能力ランク値が予め設定されており、
更に各前記情報処理装置における前記記憶制御手段は、夫々に、当該記憶制御手段が備えられている前記情報処理装置に備えられている前記記憶手段に前記段階毎に新たに前記識別情報を記憶させるに当たり、当該段階に対応する前記処理能力ランク値以上の処理能力ランク値が付与されている前記処理手段を備える前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報処理装置において、
各前記記憶制御手段は、当該記憶制御手段が備えられている前記情報処理装置に備えられている前記記憶手段に前記段階毎に新たに前記識別情報を記憶させるに当たり、当該段階に対応する前記処理能力ランク値以上の処理能力ランク値が付与されている前記処理手段を備える前記情報処理装置が前記ネットワークシステム内において検索できないとき、当該新たに前記識別情報を記憶させる際に検索されている前記情報処理装置のうち、前記処理手段における前記処理能力ランク値が最も高い当該処理手段を備える前記情報処理装置を識別するための前記識別情報を記憶させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記処理能力は、前記授受の処理の基準となる基準クロック信号の周波数の値で示されることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記授受のための処理は、接続される他の前記情報処理装置を認証するための認証処理を少なくとも含むことを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−227905(P2008−227905A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63112(P2007−63112)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】