説明

情報処理装置及び情報処理プログラム

【課題】本構成を有していない場合に比較して、符号化にかかる処理時間を短縮するようにした情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置の受付手段は、符号化対象である情報を受け付け、分離手段は、前記受付手段によって受け付けられた符号化対象である情報を予め定められた条件に基づいて、第1の情報と第2の情報に分離し、第1の符号化手段は、前記分離手段によって分離された第1の情報を符号化し、第2の符号化手段は、前記分離手段によって分離された第2の情報を、前記第1の符号化手段とは異なる符号化方式で符号化し、前記第1の符号化手段は、第1の情報に対して前記第2の符号化手段に比較して高効率な符号化方式で符号化を行い、前記第2の符号化手段は、第2の情報に対して前記第1の符号化手段に比較して低効率な符号化方式で符号化を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報の符号化、復号に関する技術がある。
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、画像情報符号化装置や復号化装置がある一定の処理時間を保証することができるようにすることを課題とし、CABAC符号化器、及び復号化器において入出力されるデータ量を、1ピクチャ、又はスライス、又はマクロブロック、又はブロックといったある符号化単位内において制限することと非圧縮画像データを符合化することにより、画像情報符号化装置や復号化装置がある一定の処理時間を保証することが可能となり、その処理時間を保証した装置を実装することが可能となることが開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2、特許文献3には、より効率的な符号化処理を実現する符号化装置を提供することを課題とし、画像処理装置は、ソースコーダで生成されたシンボルを、既定数のシンボルからなるブロックにまとめ、ブロック毎に符号語を割り振り、ブロックに対しては1対1の符号であるが、シンボルから見ると多対1の符号を構成し、これにより、可変長符号の処理に起因する分岐処理又はフィードバックループは、シンボル単位で発生することがなくなり、処理速度の向上が期待できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−135251号公報
【特許文献2】特開2008−067351号公報
【特許文献3】特開2008−067361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、本構成を有していない場合に比較して、符号化にかかる処理時間を短縮するようにした情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
請求項1の発明は、符号化対象である情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた符号化対象である情報を予め定められた条件に基づいて、第1の情報と第2の情報に分離する分離手段と、前記分離手段によって分離された第1の情報を符号化する第1の符号化手段と、前記分離手段によって分離された第2の情報を、前記第1の符号化手段とは異なる符号化方式で符号化する第2の符号化手段を具備し、前記第1の符号化手段は、第1の情報に対して前記第2の符号化手段に比較して高効率な符号化方式で符号化を行い、前記第2の符号化手段は、第2の情報に対して前記第1の符号化手段に比較して低効率な符号化方式で符号化を行うことを特徴とする情報処理装置である。
【0007】
請求項2の発明は、前記第1の符号化手段及び前記第2の符号化手段による符号化結果を統合する統合手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
【0008】
請求項3の発明は、前記統合手段は、いずれの符号化方式で符号化されたかを示す符号を符号化結果に付した統合処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置である。
【0009】
請求項4の発明は、前記受付手段によって受け付けられた符号化対象である情報を解析する解析手段をさらに具備し、前記分離手段は、前記解析手段による解析結果に応じた分離を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置である。
【0010】
請求項5の発明は、コンピュータを、符号化対象である情報を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた符号化対象である情報を予め定められた条件に基づいて、第1の情報と第2の情報に分離する分離手段と、前記分離手段によって分離された第1の情報を符号化する第1の符号化手段と、前記分離手段によって分離された第2の情報を、前記第1の符号化手段とは異なる符号化方式で符号化する第2の符号化手段として機能させ、前記第1の符号化手段は、第1の情報に対して前記第2の符号化手段に比較して高効率な符号化方式で符号化を行い、前記第2の符号化手段は、第2の情報に対して前記第1の符号化手段に比較して低効率な符号化方式で符号化を行うことを特徴とする情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の情報処理装置によれば、本構成を有していない場合に比較して、符号化にかかる処理時間を短縮することができる。
【0012】
請求項2の情報処理装置によれば、複数の符号化処理の統合した結果を符号化結果として出力することができる。
【0013】
請求項3の情報処理装置によれば、統合した結果であっても、いずれの符号化方式で符号化されたかを判別することができるようになる。
【0014】
請求項4の情報処理装置によれば、解析した結果に応じた分離を行うことができる。
【0015】
請求項5の情報処理プログラムによれば、本構成を有していない場合に比較して、符号化にかかる処理時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図2】第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図4】第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図5】第3の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図6】第3の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
【図7】JPEGでの分離例を示す説明図である。
【図8】ランレングス符号の例を示す説明図である。
【図9】ランレングス符号の分離処理例を示すフローチャートである。
【図10】本実施の形態によるランレングス符号の例を示す説明図である。
【図11】多段階による分離処理例を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図13】第5の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図14】第6の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
【図15】本実施の形態による実験結果の例を示す説明図である。
【図16】本実施の形態を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、実施の形態の理解を助けるために、その基本となる技術、本実施の形態の概要等を説明する。
符号化方式(圧縮方式)として、QM−Coder等の算術符号化、ハフマン(Huffman)符号化等の可変長符号化、固定長RLE等や非圧縮の固定長符号化等が一般的であり、圧縮率が高い符号化方式ほど演算量が増えるため、処理時間がかかることになる。なお、非圧縮、つまり、対象の情報を変化させることなく、そのまま出力することも符号化の一種として含める。
ここで、各符号化方式について、圧縮率、符号化処理時間、復号処理時間について比較する。なお、「高」は他の符号化方式と比べて高圧縮率又は高速であることを示し、「低」は他の符号化方式と比べて低圧縮率又は低速であることを示し、「中」は他の符号化方式と比べて「高」と「低」の中間であることを示す。
算術符号化は、圧縮率は「高」、符号化処理時間は「低」、復号処理時間は「低」である。
可変長符号化は、圧縮率は「中」、符号化処理時間は「中」、復号処理時間は「中」である。
固定長符号化は、圧縮率は「低」、符号化処理時間は「高」、復号処理時間は「高」である。
【0018】
そのため、高速な処理時間が求められるケースでは、算術符号化や可変長符号化は利用されないのが一般的である。
符号化処理時間又は復号処理時間が固定長符号化に比べて低いのは、算術符号化では1[bit]、可変長符号で8[bit]程度の符号化対象しか取り扱えないためである。これをハードウェア動作としてみると、1クロックでの処理単位が算術符号化では1[bit]、可変長符号では8[bit]ということになる。例えば、8[bit]の符号化対象情報4個を1クロックで可変長符号化する場合を考えると、32[bit]単位の処理が必要だが、符号表エントリ数が4ギガ個(2の32乗)になり、非現実的なものになる。そのため、可変長符号化や、算術符号化でのN(N<<1)[クロック/符号化対象情報]は困難である。
また、実際には、可変長符号化には可変ビット詰め演算処理が、算術符号化ではさらに状態更新処理が必要であるため、固定長符号化に比べ、処理時間が大きくなるのが一般的である。
【0019】
特許文献1に記載の技術では、高効率符号化(算術符号化)と低効率符号化(可変長符号化)で同時に圧縮し、高効率符号化が間に合わない場合は、低圧縮率符号化結果で補償する。これにより圧縮処理時間と圧縮率を両立するようにしている。
一般的な符号化方式では、前述のように圧縮率と処理時間の性能を両立させることは困難である。特許文献1に記載の技術は、圧縮率と処理時間の性能を両立できるが、符号化対象情報を同時に圧縮することが必要であるため、書き出し用バッファが複数(この例ではN倍)必要となる。
【0020】
予め定められた条件を満たす領域(例えば、ミクロな領域)の符号化対象情報はデータ数が多く、処理時間をかけることはできない。一方で、予め定められた条件を満たす領域(例えば、マクロな領域)はデータ数が少なく、処理時間をかけても、全体処理時間に影響しない。
そこで、本実施の形態では、符号化対象情報を予め定められた条件に基づいて分離し(例えば、前述のようにマクロな領域単位で出現する情報とミクロな領域単位で出現する情報に分離し)、その分離した符号化対象情報に対して、高効率符号化、低効率符号化方式を使い分けることを行う。
なお、一般的にミクロな領域はノイズ等の影響もあり、高効率符号化の効果が小さい。そのため圧縮率の低下は少ない。例えば、ミクロな領域に対して、高効率な符号化(ハフマン符号化)と低効率な符号化(特許文献3に記載の技術)を適用した結果、ハフマン符号化では2.45ビットレート[bit/画素]であり、特許文献3に記載の技術では2.56ビットレート[bit/画素]であった。このように、ビットレートで比較してみても5[%]未満しか差がない。そのため、ミクロな領域に低効率符号化を適用しても圧縮率への悪影響は少ない。
【0021】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な各種の実施の形態の例を説明する。
図1は、第1の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するの意である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0022】
第1の実施の形態である情報処理装置は、情報を圧縮するものであって、図1の例に示すように、受付モジュール110、マクロ・ミクロ分離モジュール120、A符号化モジュール130、B符号化モジュール140、出力モジュール150、出力モジュール160を有している。
【0023】
受付モジュール110は、マクロ・ミクロ分離モジュール120と接続されている。受付モジュール110は、符号化対象である情報を受け付ける。符号化対象である情報としては、デジタルデータであればよく、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、RLE符号、予測符号等の圧縮情報、画像情報、テキストデータ等がある。符号化対象である情報を受け付けるとは、例えば、スキャナ、カメラ等で画像を読み込むこと、ファックス等で通信回線を介して外部機器から画像を受信すること、ハードディスク(コンピュータに内蔵されているものの他に、ネットワークを介して接続されているもの等を含む)等に記憶されている情報を読み出すこと、これらの画像に対して圧縮処理を行った結果を受け取ること等が含まれる。画像は、2値画像、多値画像(カラー画像を含む)であってもよい。受け付ける画像は、1枚であってもよいし、複数枚であってもよい。また、情報の内容として、ビジネスに用いられる文書、広告宣伝用のパンフレット等であってもよい。
【0024】
マクロ・ミクロ分離モジュール120は、受付モジュール110、A符号化モジュール130、B符号化モジュール140と接続されている。マクロ・ミクロ分離モジュール120は、受付モジュール110によって受け付けられた符号化対象である情報を予め定められた条件に基づいて、第1の情報と第2の情報に分離する。
ここで、予め定められた条件とは、マクロな領域単位で出現する情報であるか否か、又はミクロな領域単位で出現する情報であるか否かである。したがって、第1の情報は、符号化対象である情報の内、マクロな領域単位で出現する情報であり、第2の情報に比較して、出現頻度が低い情報をいう。第2の情報は、符号化対象である情報の内、ミクロな領域単位で出現する情報であり、第1の情報に比較して、出現頻度が高い情報をいう。
ここで、マクロな領域単位とは、ミクロな領域単位に比べて広い領域をいい、ミクロな領域単位とは、マクロな領域単位に比べて狭い領域をいう。例えば、ミクロな領域単位で出現する情報として、ピクセル(画素)単位で出現する情報があり、マクロな領域単位で出現する情報として、複数ピクセルからブロック単位(例えば、8画素×8画素の矩形内の画素群)で出現する情報がある。
【0025】
A符号化モジュール130は、マクロ・ミクロ分離モジュール120、出力モジュール150と接続されている。A符号化モジュール130は、マクロ・ミクロ分離モジュール120によって分離された第1の情報を符号化する。第1の情報に対してB符号化モジュール140に比較して高効率な符号化方式で符号化を行う。高効率とは、B符号化モジュール140による符号化方式と比べて、圧縮率において高い圧縮率を達成し得ることをいう。具体的な符号化方式として、例えば、算術符号化、可変長符号化である。
B符号化モジュール140は、マクロ・ミクロ分離モジュール120、出力モジュール160と接続されている。B符号化モジュール140は、マクロ・ミクロ分離モジュール120によって分離された第2の情報を、A符号化モジュール130とは異なる符号化方式で符号化する。第2の情報に対してA符号化モジュール130に比較して低効率な符号化方式で符号化を行う。低効率とは、A符号化モジュール130による符号化方式と比べて、圧縮率において低い圧縮率になり得ることをいう。具体的な符号化方式として、例えば、固定長符号化である。
【0026】
出力モジュール150は、A符号化モジュール130と接続されている。出力モジュール150は、A符号化モジュール130による符号化結果を出力する。
出力モジュール160は、B符号化モジュール140と接続されている。出力モジュール160は、B符号化モジュール140による符号化結果を出力する。
出力モジュール150、出力モジュール160による出力とは、例えば、データベース等の記憶装置へ符号化結果を書き込むこと、メモリーカード等の記憶媒体に記憶すること、他の情報処理装置へ渡すこと等が含まれる。なお、復号機能を有する情報処理装置として、例えば、プリンタ等の印刷装置、ディスプレイ等の表示装置、ファックス等の画像送受信装置等があるが、これらに出力するとは、印刷装置で印刷させること、表示装置に表示させること、画像送受信装置に送信することがある。
なお、出力モジュール150、出力モジュール160と別々に出力しているが、復号する場合には、それぞれの符号化方式に対応する復号方式で復号し、復号した情報を合成すればよい。
【0027】
図2は、第1の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS202では、受付モジュール110が、符号化対象を受け付ける。
ステップS204では、マクロ・ミクロ分離モジュール120が、マクロとミクロに分離し、マクロの場合はステップS206へ進み、ミクロの場合はステップS210へ進む。
ステップS206では、A符号化モジュール130が、高効率な符号化処理を行う。
ステップS208では、出力モジュール150が、出力処理を行う。
ステップS210では、B符号化モジュール140が、低効率な符号化処理を行う。
ステップS212では、出力モジュール160が、出力処理を行う。
【0028】
図3は、第2の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
第2の実施の形態は、符号化の処理結果を1本の符号ストリームに統合(マージ)するものであり、受付モジュール110、マクロ・ミクロ分離モジュール120、A符号化モジュール130、B符号化モジュール140、マージモジュール345、出力モジュール350を有している。なお、以下、前述の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
A符号化モジュール130は、マクロ・ミクロ分離モジュール120、マージモジュール345と接続されており、B符号化モジュール140は、マクロ・ミクロ分離モジュール120、マージモジュール345と接続されている。
マージモジュール345は、A符号化モジュール130、B符号化モジュール140、出力モジュール350と接続されている。マージモジュール345は、A符号化モジュール130及びB符号化モジュール140による符号化結果を統合する。より具体的には、ラインやバンド単位の符号化処理の終了後に、それぞれの符号をインタリーブして統合する。なお、この際、固定長符号化のアライメントずれを防ぐために、各符号はインタリーブ時に、アライメントを8[bit]の倍数にすることが好ましい。必要ならば算術符号は都度初期化してもよい。
また、マージモジュール345は、いずれの符号化方式で符号化されたかを示す符号を符号化結果に付した統合処理を行うようにしてもよい。この例については、図10を用いて後述する。なお、この符号を用いない場合、復号処理においてコンテクストから符号化方式を推定すればよい。
出力モジュール350は、マージモジュール345と接続されている。マージモジュール345によって統合された符号結果を出力する。第1の実施の形態の出力モジュール150又は出力モジュール160と同等の処理を行う。
【0029】
図4は、第2の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS402では、受付モジュール110が、符号化対象を受け付ける。
ステップS404では、マクロ・ミクロ分離モジュール120が、マクロとミクロに分離し、マクロの場合はステップS406へ進み、ミクロの場合はステップS408へ進む。
ステップS406では、A符号化モジュール130が、高効率な符号化処理を行う。
ステップS408では、B符号化モジュール140が、低効率な符号化処理を行う。
ステップS410では、マージモジュール345が、符号化結果をマージする。
ステップS412では、出力モジュール350が、出力処理を行う。
【0030】
図5は、第3の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
第3の実施の形態は、符号化対象である情報を解析して、この解析結果を用いて分離するものであり、受付モジュール110、マクロ・ミクロ分離モジュール120、解析モジュール505、A符号化モジュール130、B符号化モジュール140、マージモジュール345、出力モジュール350を有している。
これは、図3に例示の第2の実施の形態に解析モジュール505を付加したものである。なお、図1に例示の第1の実施の形態に解析モジュール505を付加してもよい。すなわち、図1に例示の受付モジュール110とマクロ・ミクロ分離モジュール120に接続した解析モジュール505を配置してもよい。
【0031】
受付モジュール110は、マクロ・ミクロ分離モジュール120、解析モジュール505と接続されており、マクロ・ミクロ分離モジュール120は、受付モジュール110、解析モジュール505、A符号化モジュール130、B符号化モジュール140と接続されている。
解析モジュール505は、受付モジュール110、マクロ・ミクロ分離モジュール120と接続されている。解析モジュール505は、受付モジュール110によって受け付けられた符号化対象である情報を解析する。例えば、符号化予測誤差数を用いる符号化方式では、符号化予測誤差数は符号化対象情報で変化する。そこで、解析モジュール505は、符号化対象情報を解析して、符号化予測誤差数を抽出し、その符号化予測誤差数をマクロ・ミクロ分離モジュール120に渡す。
マクロ・ミクロ分離モジュール120は、解析モジュール505による解析結果に応じた分離を行う。例えば、符号化予測誤差数に応じて、符号化対象情報をA符号化モジュール130かB符号化モジュール140に渡すように分離してもよい。
【0032】
図6は、第3の実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS602では、受付モジュール110が、符号化対象を受け付ける。
ステップS604では、解析モジュール505が、符号化対象を解析する。
ステップS606では、マクロ・ミクロ分離モジュール120が、マクロとミクロに分離し、マクロの場合はステップS608へ進み、ミクロの場合はステップS610へ進む。
ステップS608では、A符号化モジュール130が、高効率な符号化処理を行う。
ステップS610では、B符号化モジュール140が、低効率な符号化処理を行う。
ステップS612では、マージモジュール345が、符号化結果をマージする。
ステップS614では、出力モジュール350が、出力処理を行う。
【0033】
次に、第1の実施の形態から第3の実施の形態において、受付モジュール110が受け付ける符号化対象情報として変換符号化(JPEG)への対応例を示す。これは、主にマクロ・ミクロ分離モジュール120による処理例を示すものである。
図7は、JPEGでの分離例を示す説明図である。JPEGにおけるDCT方式は、ジグザグスキャンで一次元情報となったDCT係数を可変長符号化する。DCT係数はブロック(8×8ピクセル、図7(a)に例示の2次元DCT係数700)に1個のDC値(2次元DCT係数700の左上の値であり、図7(b)に例示するDC成分701)と63個のAC値(2次元DCT係数700の左上以外の値であり、図7(b)に例示するAC成分702〜AC成分764)から成り立っている。ここでは、図7(c)に例示するように、出現単位がマクロなDC値(DC成分701)をA符号化モジュール130によって可変長符号化し、ミクロなAC成分(AC成分702〜AC成分764)はB符号化モジュール140によって固定長RLEで符号化する。JPEGのAC成分は大抵ゼロのランになるので、固定長のRLE符号化方式であっても高圧縮率となることが期待できる。
なお、可変長符号化を算術符号化に変更してもよいし、その際RLE符号化を可変長符号化にするようにしてもよい。これは目標となる処理時間に応じて決めればよい。
【0034】
次に、第1の実施の形態から第3の実施の形態において、受付モジュール110が受け付ける符号化対象情報としてRLE符号化への対応例を示す。これは、主にマクロ・ミクロ分離モジュール120による処理例を示すものである。
図8は、ランレングス符号の例を示す説明図である。ランレングス符号化(ここでは固定長RLE)は隣接画素との一致数(以下、ランレングス)と、そのピクセル値を符号化する方式である。そのため、ランレングス符号800は、ランレングス部810と画素値部820を有している。通常、ランレングス部810と画素値部820は8[bit]の固定長である。
ランレングスはランの一致が中断された単位で符号化されていくため、ランの一致長で符号化対象の単位とみなすことができる。図9は、ランレングス符号の分離処理例を示すフローチャートである。ステップS904の処理は、図2に例示のフローチャートのステップS204、図4に例示のフローチャートのステップS404、図6に例示のフローチャートのステップ606に該当するものである。ステップS904では、ラン長<閾値であるか否かを判断し、ラン長<閾値である場合(ミクロ)は、ステップS210、ステップS408、又はステップS610へ進み、それ以外の場合(マクロ)は、ステップS206、ステップS406、又はステップS608へ進む。つまり、ランレングスが予め定められた閾値よりも短い部分には固定長符号化(ランレングス、画素値共に対象)を、長い部分には可変長符号化(ランレングス、画素値共に対象)の方式を用いる。この場合、全てが固定長であったものが(図8参照)、一部可変長化できるので、ランレングス符号化の圧縮率を改善し得る。図10は、ランレングス符号の例を示す説明図である。図10(a)に例示するように、固定長符号化されたランレングス符号1010は、符号識別部1012、ランレングス部(固定長)1014、画素値(固定長)1016を有している。ランレングス符号1010は、図8に例示のランレングス符号800に符号識別部1012を付加したものである。図10(b)に例示するように、可変長符号化されたランレングス符号1050は、符号識別部1052、ランレングス部(可変長)1054、画素値(可変長)1056を有している。なお、ここでは2種類に分類したが、2つ以上の予め定められた閾値を用いることによって3種類以上に分類してもよい。
なお、マージモジュール345による処理によって、固定長符号化と可変長符号化のどちらを利用しているかは別途1[bit]の符号(符号識別部1012、符号識別部1052)に含めるとする。また、識別情報の1[bit]は別ストリームとしてもよい。別ストリームとした場合、固定長側のアライメントずれは起こらない。
【0035】
次に、第1の実施の形態から第3の実施の形態において、受付モジュール110が受け付ける符号化対象情報として予測符号化への対応例を示す。これは、主にマクロ・ミクロ分離モジュール120による処理例を示すものである。
予測モードをブロック(例えば、4×4ピクセル)単位で切り替える圧縮方式がある。この方式の被符号化対象は少なくとも予測モードと、予測誤差値からなる。この場合は、前述の変換符号化(JPEG)への対応例と同等である。つまり、ブロック単位で発生するモードは可変長符号化の対象(マクロ)とし、ピクセル単位で発生する誤差は固定長符号化の対象(ミクロ)とすればよい。
【0036】
次に、第1の実施の形態から第3の実施の形態において、多段階による分離処理例を示す。図11は、多段階による分離処理例を示すフローチャートである。ステップS1104、ステップS1108、ステップS1112の処理は、図2に例示のフローチャートのステップS204、図4に例示のフローチャートのステップS404、図6に例示のフローチャートのステップ606に該当するものである。
ステップS1104では、ブロック単位で判断し、ブロック単位でのマクロである場合(ブロック単位で発生する情報である場合)はステップS1106へ進み、ブロック単位でのミクロである場合はステップS1108へ進む。
ステップS1106では、算術符号化処理を行う。
ステップS1108では、数ピクセル単位で判断し、数ピクセル単位でのマクロである場合(複数のピクセル単位で発生する情報である場合)はステップS1110へ進み、数ピクセル単位でのミクロである場合はステップS1112へ進む。
ステップS1110では、可変長符号化処理を行う。
ステップS1112では、ピクセル単位で判断し、ピクセル単位でのマクロの場合(ピクセル単位で発生する情報である場合)はステップS1114へ進み、ピクセル単位でのミクロの場合は、ステップS212B、ステップS410、又はステップS612へ進む。
ステップS1114では、固定長符号化処理を行う。
なお、ステップS208A、ステップS208Bは、図2に例示のフローチャート内のステップS208と同等の処理を行う。また、ステップS212A、ステップS212Bは、図2に例示のフローチャート内のステップS212と同等の処理を行う。
【0037】
図12は、第4の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
第4の実施の形態は、受付モジュール110、ラン・レギュラ計数モジュール1215、分離モジュール1220、可変長符号化モジュール1225、可変長符号化モジュール1230、固定長符号化モジュール1240、マージモジュール345、出力モジュール350を有している。これは、図5に例示の第3の実施の形態の解析モジュール505を具体化したものであり、受付モジュール110が受け付ける符号化対象情報としてJPEG−LSへの対応例(1)を示す。
【0038】
JPEG−LSはランモードとレギュラーモードを周辺画素の文脈(コンテクスト)に応じて切り替える方式である。ランモードはランを、レギュラーモードは誤差を符号化する。そのため、符号語置換の単位は、ランモードではラン(1〜数十ピクセル)、レギュラーモードでは誤差(ピクセル)となる。そのためレギュラーモードが処理速度上でのボトルネックといえる。なお、JPEG−LSは、注目画素周辺の画素値の勾配で、文脈を720通りに分ける。
【0039】
受付モジュール110は、ラン・レギュラ計数モジュール1215、分離モジュール1220と接続されており、符号化対象情報を受け付けて、ラン・レギュラ計数モジュール1215、分離モジュール1220に渡す。
ラン・レギュラ計数モジュール1215は、受付モジュール110、分離モジュール1220と接続されており、符号化対象情報であるJPEG−LSの情報を解析して、その解析結果を分離モジュール1220へ渡す。具体的には、1パス目で、レギュラーモードにおいて符号化するピクセル数を計数する。
分離モジュール1220は、受付モジュール110、ラン・レギュラ計数モジュール1215、可変長符号化モジュール1225、可変長符号化モジュール1230、固定長符号化モジュール1240と接続されており、ラン情報を可変長符号化モジュール1225へ渡し、予測誤差数(小)を可変長符号化モジュール1230へ渡し、予測誤差数(大)を固定長符号化モジュール1240へ渡す。具体的には、ランモードの場合は、可変長符号化モジュール1225へラン情報を渡し、レギュラーモードの処理数が予め定められた閾値よりも多い場合には、レギュラーモードの予測誤差数を固定長符号化で置換するために固定長符号化モジュール1240へ渡し、それ以外の場合は可変長符号化モジュール1230へ渡す。
【0040】
可変長符号化モジュール1225は、分離モジュール1220、マージモジュール345と接続されており、ラン情報を可変長符号化方式によって符号化する。
可変長符号化モジュール1230は、分離モジュール1220、マージモジュール345と接続されており、予測誤差数を可変長符号化方式によって符号化する。
固定長符号化モジュール1240は、分離モジュール1220、マージモジュール345と接続されており、予測誤差数を固定長符号化方式によって符号化する。
マージモジュール345は、可変長符号化モジュール1225、可変長符号化モジュール1230、固定長符号化モジュール1240、出力モジュール350と接続されている。固定長/可変長の使い分け情報は、符号に含めるとする。又は、復号側で推定してもよい。
出力モジュール350は、マージモジュール345と接続されている。
【0041】
図13は、第5の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
第5の実施の形態は、受付モジュール110、誤差計数モジュール1315、分離モジュール1320、可変長符号化モジュール1325、可変長符号化モジュール1330、固定長符号化モジュール1340、マージモジュール345、出力モジュール350を有している。これは、図5に例示の第3の実施の形態の解析モジュール505を具体化したものであり、受付モジュール110が受け付ける符号化対象情報として予測符号化への対応例を示す。
【0042】
予測誤差の発生個数は画像によって異なる。一般的に写真では多く、CG(Computer Graphics)では少なくなる。予測誤差はピクセル単位で発生し、通常は可変長符号化されるため、ここが処理速度上でのボトルネックになる。
【0043】
受付モジュール110は、誤差計数モジュール1315、分離モジュール1320と接続されており、符号化対象情報を受け付けて、誤差計数モジュール1315、分離モジュール1320に渡す。
誤差計数モジュール1315は、受付モジュール110、分離モジュール1320と接続されており、符号化対象情報である予測誤差の情報を解析して、その解析結果を分離モジュール1320へ渡す。
分離モジュール1320は、受付モジュール110、誤差計数モジュール1315、可変長符号化モジュール1325、可変長符号化モジュール1330、固定長符号化モジュール1340と接続されており、モードを可変長符号化モジュール1325へ渡し、予測誤差数(小)を可変長符号化モジュール1330へ渡し、予測誤差数(大)を固定長符号化モジュール1340へ渡す。具体的には、モード情報を可変長符号化モジュール1325に渡し、予測誤差数が多くなる場合は、固定長符号化モジュール1340にその予測誤差数を渡し、それ以外の場合は可変長符号化モジュール1330へ渡す。
【0044】
可変長符号化モジュール1325は、分離モジュール1320、マージモジュール345と接続されており、モード情報を可変長符号化方式によって符号化する。
可変長符号化モジュール1330は、分離モジュール1320、マージモジュール345と接続されており、予測誤差数を可変長符号化方式によって符号化する。
固定長符号化モジュール1340は、分離モジュール1320、マージモジュール345と接続されており、予測誤差数を固定長符号化方式によって符号化する。
マージモジュール345は、可変長符号化モジュール1325、可変長符号化モジュール1330、固定長符号化モジュール1340、出力モジュール350と接続されている。いずれの符号化方式で符号化したかをヘッダ情報に含めてもよいし、復号側がいずれの符号化方式で符号化したか都度計算して求めるようにしてもよい。
出力モジュール350は、マージモジュール345と接続されている。
【0045】
図14は、第6の実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図である。
第6の実施の形態は、受付モジュール110、文脈頻度計数モジュール1415、分離モジュール1420、可変長符号化モジュール1425、可変長符号化モジュール1430、固定長符号化モジュール1440、マージモジュール345、出力モジュール350を有している。これは、図5に例示の第3の実施の形態の解析モジュール505を具体化したものであり、受付モジュール110が受け付ける符号化対象情報としてJPEG−LSへの対応例(2)を示す。
【0046】
JPEG−LSにおいて、発生する文脈の出現回数は画像によって異なる。そこで、文脈の発生回数を1パス目で計数し、その文脈の計数値毎に符号化方式を使い分けてもよい。なお、これは第4の実施の形態と組み合わせて使ってもよい。
【0047】
受付モジュール110は、文脈頻度計数モジュール1415、分離モジュール1420と接続されており、符号化対象情報を受け付けて、文脈頻度計数モジュール1415、分離モジュール1420に渡す。
文脈頻度計数モジュール1415は、受付モジュール110、分離モジュール1420と接続されており、符号化対象情報であるJPEG−LSの情報を解析して、その解析結果を分離モジュール1420へ渡す。具体的には、文脈の発生回数を1パス目で計数する。
分離モジュール1420は、受付モジュール110、文脈頻度計数モジュール1415、可変長符号化モジュール1425、可変長符号化モジュール1430、固定長符号化モジュール1440と接続されており、ラン情報を可変長符号化モジュール1425へ渡し、低頻度文脈の誤差を可変長符号化モジュール1430へ渡し、高頻度文脈の誤差を固定長符号化モジュール1440へ渡す。具体的には、ランモードの場合は、可変長符号化モジュール1425へラン情報を渡し、予め定められた閾値よりも多い文脈である場合は予測誤差を固定長符号化モジュール1440へ渡し、それ以外の場合は可変長符号化モジュール1430へ渡す。
【0048】
可変長符号化モジュール1425は、分離モジュール1420、マージモジュール345と接続されており、ラン情報を可変長符号化方式によって符号化する。
可変長符号化モジュール1430は、分離モジュール1420、マージモジュール345と接続されており、予測誤差数を可変長符号化方式によって符号化する。
固定長符号化モジュール1440は、分離モジュール1420、マージモジュール345と接続されており、予測誤差数を固定長符号化方式によって符号化する。
マージモジュール345は、可変長符号化モジュール1425、可変長符号化モジュール1430、固定長符号化モジュール1440、出力モジュール350と接続されている。
出力モジュール350は、マージモジュール345と接続されている。
【0049】
図15は、本実施の形態による実験結果の例を示す説明図である。
前述の予測符号化のケースで確認を行った。図15に例示のグラフは、横軸が対象サンプル番号であり、左縦軸が符号量であり、右縦軸が処理時間を示している。そして、左側の斜線の棒グラフが本実施の形態による符号量、右側の白の棒グラフが従来の技術による符号量、実線の折れ線グラフが本実施の形態による処理時間、点線の折れ線グラフが従来の技術による処理時間を示している。この例は符号量を維持したまま、処理時間を改善していることを示している。
【0050】
なお、固定長の符号化方式であるB符号化モジュール140として、以下の符号化モジュールを用いてもよい。
(1)複数の符号化対象情報をまとめて、符号化対象情報のグループを生成するグループ生成モジュールと、前記グループ生成モジュールにより生成されたグループに対して、符号を割り当てる符号割当モジュールと、それぞれのグループに属する符号化対象情報を、各グループに割り当てられた符号を用いて符号化する符号化対象情報符号化モジュールを有する符号化モジュール。
(2)前記グループ生成モジュールは、複数の符号化対象情報をまとめて、符号化対象情報の下位グループを生成し、前記グループ生成モジュールにより生成された下位グループを、上位グループに分類するグループ分類モジュールをさらに有し、前記符号割当モジュールは、前記上位グループに対して、符号を割り当て、前記符号化対象情報符号化モジュールは、同一の前記上位グループに属する下位グループの符号化対象情報を、この上位グループに割り当てられた可変長符号を用いて符号化する(1)に記載の符号化モジュール。
(3)前記グループ生成モジュールは、入力された複数の符号化対象情報を入力順に既定数ずつまとめて、既定数の符号化対象情報が含まれた下位グループを生成し、前記グループ分類モジュールは、前記下位グループに属する符号化対象情報を表現するためのビット数に基づいて、下位グループを上位グループに分類する(2)に記載の符号化モジュール。
(4)前記符号割当モジュールは、各グループの出現確率に応じて、それぞれのグループにエントロピー符号を割り当てる(1)に記載の符号化モジュール。
(5)入力された符号化対象情報に基づいて、この符号化対象情報よりも少ないビット数で表現されたビット列に変換する符号化対象情報変換モジュールをさらに有し、前記符号化対象情報符号化モジュールは、それぞれのグループに属する符号化対象情報について前記符号化対象情報変換モジュールにより変換されたビット列と、このグループに割り当てられた符号とを用いて、符号化する(1)に記載の符号化モジュール。
(6)グループに含まれうる複数の符号化対象情報をこれらの符号化対象情報の符号データに対応付ける符号テーブルを用いて、符号化対象情報のグループを符号化するテーブル利用符号化モジュールと、前記グループ生成モジュールにより生成された符号化対象情報のグループを、前記符号割当モジュールと前記符号化対象情報符号化モジュールとの組、又は、前記テーブル利用符号化モジュールに割り振る割振りモジュールとをさらに有し、前記符号割当モジュールは、前記割振りモジュールにより割り振られたグループについて、符号を割り当て、前記符号化対象情報符号化モジュールは、前記割振りモジュールにより割り振られたグループの符号化対象情報を符号化する(1)に記載の符号化モジュール。
【0051】
また、(1)〜(6)の符号化モジュールに対応する復号モジュールは以下(7)に示す構成である。
(7)複数の符号化対象情報からなるグループに割り当てられた符号に基づいて、このグループに属する符号化対象情報の符号長を特定する符号長特定モジュールと、前記符号長特定モジュールにより特定された各符号化対象情報の符号長に基づいて、前記グループに属する符号化対象情報を復号する符号化対象情報復号モジュールを有する復号モジュール。
【0052】
図16を参照して、本実施の形態の情報処理装置のハードウェア構成例について説明する。図16に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)などによって構成されるものであり、スキャナ等のデータ読み取り部1617と、プリンタなどのデータ出力部1618を備えたハードウェア構成例を示している。
【0053】
CPU(Central Processing Unit)1601は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、受付モジュール110、マクロ・ミクロ分離モジュール120、A符号化モジュール130、B符号化モジュール140、マージモジュール345、出力モジュール350、解析モジュール505、ラン・レギュラ計数モジュール1215、分離モジュール1220、可変長符号化モジュール1225、可変長符号化モジュール1230、固定長符号化モジュール1240、誤差計数モジュール1315、文脈頻度計数モジュール1415等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0054】
ROM(Read Only Memory)1602は、CPU1601が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)1603は、CPU1601の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス1604により相互に接続されている。
【0055】
ホストバス1604は、ブリッジ1605を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス1606に接続されている。
【0056】
キーボード1608、マウス等のポインティングデバイス1609は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ1610は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)などがあり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0057】
HDD(Hard Disk Drive)1611は、ハードディスクを内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU1601によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、受け付けた符号化対象の画像等のデータ、圧縮処理の結果などが格納される。さらに、その他の各種のデータ処理プログラム等、各種コンピュータ・プログラムが格納される。
【0058】
ドライブ1612は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体1613に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース1607、外部バス1606、ブリッジ1605、及びホストバス1604を介して接続されているRAM1603に供給する。リムーバブル記録媒体1613も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0059】
接続ポート1614は、外部接続機器1615を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート1614は、インタフェース1607、及び外部バス1606、ブリッジ1605、ホストバス1604等を介してCPU1601等に接続されている。通信部1616は、ネットワークに接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部1617は、例えばスキャナであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部1618は、例えばプリンタであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0060】
なお、図16に示す情報処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、図16に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに図16に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナ、プリンタ、複合機(スキャナ、プリンタ、複写機、ファックス等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)などに組み込まれていてもよい。
【0061】
なお、前述の各種の実施の形態を組み合わせてもよく(例えば、ある実施の形態内のモジュールを他の実施の形態内に追加する、入れ替えをする等も含む)、また、各モジュールの処理内容として背景技術で説明した技術を採用してもよい。
【0062】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通などのために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray Disc(登録商標))、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、あるいは無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、あるいは別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して
記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化など、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
110…受付モジュール
120…マクロ・ミクロ分離モジュール
130…A符号化モジュール
140…B符号化モジュール
150…出力モジュール
160…出力モジュール
345…マージモジュール
350…出力モジュール
505…解析モジュール
1215…ラン・レギュラ計数モジュール
1220…分離モジュール
1225…可変長符号化モジュール
1230…可変長符号化モジュール
1240…固定長符号化モジュール
1315…誤差計数モジュール
1320…分離モジュール
1325…可変長符号化モジュール
1330…可変長符号化モジュール
1340…固定長符号化モジュール
1415…文脈頻度計数モジュール
1420…分離モジュール
1425…可変長符号化モジュール
1430…可変長符号化モジュール
1440…固定長符号化モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化対象である情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた符号化対象である情報を予め定められた条件に基づいて、第1の情報と第2の情報に分離する分離手段と、
前記分離手段によって分離された第1の情報を符号化する第1の符号化手段と、
前記分離手段によって分離された第2の情報を、前記第1の符号化手段とは異なる符号化方式で符号化する第2の符号化手段
を具備し、
前記第1の符号化手段は、第1の情報に対して前記第2の符号化手段に比較して高効率な符号化方式で符号化を行い、
前記第2の符号化手段は、第2の情報に対して前記第1の符号化手段に比較して低効率な符号化方式で符号化を行う
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の符号化手段及び前記第2の符号化手段による符号化結果を統合する統合手段
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記統合手段は、いずれの符号化方式で符号化されたかを示す符号を符号化結果に付した統合処理を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受付手段によって受け付けられた符号化対象である情報を解析する解析手段
をさらに具備し、
前記分離手段は、前記解析手段による解析結果に応じた分離を行う
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
符号化対象である情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた符号化対象である情報を予め定められた条件に基づいて、第1の情報と第2の情報に分離する分離手段と、
前記分離手段によって分離された第1の情報を符号化する第1の符号化手段と、
前記分離手段によって分離された第2の情報を、前記第1の符号化手段とは異なる符号化方式で符号化する第2の符号化手段
として機能させ、
前記第1の符号化手段は、第1の情報に対して前記第2の符号化手段に比較して高効率な符号化方式で符号化を行い、
前記第2の符号化手段は、第2の情報に対して前記第1の符号化手段に比較して低効率な符号化方式で符号化を行う
ことを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−160985(P2012−160985A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20355(P2011−20355)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】