説明

情報処理装置及び省電力効果表示方法

【課題】個々の構成要素の省電力設定の内容に対応する省電力効果をユーザに提示することができる情報処理装置を実現する。
【解決手段】節電量計測部303は、コンピュータ10内の各構成要素に対応する省電力化パラメータに設定される値に応じて、省電力状態に設定された各構成要素の節電量を測定する。使用時間計測部304は、所定の期間内におけるコンピュータ10の使用時間を測定する。そして、省電力効果値算出部305は、測定された構成要素毎の節電量とコンピュータ10の使用時間とに基づいて、省電力効果値を算出する。また、消費電力計測部306は、所定の期間内における実際のコンピュータ10の消費電力量を測定する。ログ情報表示部308は、測定されたコンピュータ10の消費電力量と算出された省電力効果値とをそれぞれ一定期間毎に累計した値を示すグラフを画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力機能を有する情報処理装置及び同装置に適用される省電力効果表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力機能を有するさまざまなパーソナルコンピュータが開発されている。このようなパーソナルコンピュータには、例えば、ユーザが省電力化のためのパラメータを設定できるユーティリティプログラムが設けられている。ユーザは、このユーティリティプログラムを用いて、例えば、パーソナルコンピュータを休止状態にするまでの時間等を設定することができる。ユーザによる操作がなく設定された時間が経過した後、パーソナルコンピュータは休止状態に設定され、消費電力は低減される。
【0003】
特許文献1には、消費電力が高い高電力使用と消費電力が低い低電力使用のいずれで電子器具を動作させるかを選択でき、低電力使用が選択された場合には、高電力使用時に対する低電力使用時の節約分を表示する節約表示装置が開示されている。
【0004】
この節約表示装置では、高電力使用と低電力使用の二つのモードが切り替えられ、低電力使用により節約された電力量が表示される。この場合、高電力使用時の消費電力量と低電力使用時の消費電力量との差分を、節約された電力量として用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−354253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置では、該情報処理装置を構成する複数の構成要素それぞれについて、省電力機能を有効にするか否かが設定され得る。また、節電し得る電力は、構成要素毎に異なる。
【0007】
このため、情報処理装置では、2つの動作モード間の消費電力量の差分を算出するという手法を単純に適用しただけでは、省電力効果を求めることは困難である。
【0008】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、個々の構成要素の省電力設定の内容に対応する省電力効果をユーザに提示することができる情報処理装置及び省電力効果表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明の情報処理装置は、省電力機能を有する情報処理装置であって、前記情報処理装置内の所定の複数の構成要素に対応する複数の省電力化パラメータの値に基づいて、前記複数の構成要素の各々を通常動作状態又は省電力状態の一方に設定する省電力制御手段と、所定の期間内に前記情報処理装置によって消費される総電力量を測定する消費電力測定手段と、前記複数の省電力化パラメータの値と、前記複数の構成要素それぞれの単位時間当たりの節電量と、前記所定の期間内における前記情報処理装置の使用時間とに基づいて、前記複数の省電力化パラメータの値の設定によって前記所定の期間内に節約される電力量を示す省電力効果値を算出する省電力効果値算出手段と、前記所定の期間毎に、前記総電力量と前記省電力効果値とを示す情報をログ情報として記憶装置に蓄積するログ蓄積手段と、前記ログ情報に基づいて、前記総電力量と前記省電力効果値とをそれぞれ一定期間毎に累計した値を表示するログ表示手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、個々の構成要素の省電力設定の内容に対応する省電力効果をユーザに提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の外観の例を示す斜視図。
【図2】同実施形態の情報処理装置の構成を示すブロック図。
【図3】同実施形態の情報処理装置で用いられる省電力効果表示アプリケーションの機能構成を示すブロック図。
【図4】図3に示す省電力効果表示アプリケーションにより設定される省電力効果が高い省電力化パラメータの例を示す図。
【図5】図3に示す省電力効果表示アプリケーションによって記録されるログ情報の例を示す図。
【図6】図3に示す省電力効果表示アプリケーションによって表示される省電力効果表示画面の例を示す図。
【図7】同実施形態の情報処理装置によって実行される省電力効果記録処理の手順の例を示すフローチャート。
【図8】同実施形態の情報処理装置によって実行される省電力効果表示処理の手順の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0013】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成を説明する。本実施形態の情報処理装置は、例えば、ノートブック型の携帯型パーソナルコンピュータ10から実現されている。
【0014】
図1はコンピュータ10のディスプレイユニットを開いた状態における斜視図である。本コンピュータ10は、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、TFT−LCD(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)17から構成される表示装置が組み込まれている。
【0015】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対し、コンピュータ本体11の上面が露出される開放位置とコンピュータ本体11の上面を覆う閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11は薄い箱形の筐体を有しており、その上面にはキーボード13、本コンピュータ10をパワーオン/パワーオフするための電源スイッチ14、入力操作パネル15、タッチパッド16、及びスピーカ18A,18B等が配置されている。コンピュータ本体11の例えば右側面には、ワイヤレスコミュニケーションスイッチ19、光ディスクドライブ(ODD)20、SDカードスロット22、USBポート23等が設けられている。入力操作パネル15は、押されたボタンに対応するイベントを入力する入力装置であり、複数の機能をそれぞれ起動するための複数のボタンを備えている。
【0016】
次に、図2を参照して、本コンピュータ10のシステム構成について説明する。
【0017】
本コンピュータ10は、図2に示されているように、CPU101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)105、ビデオメモリ(VRAM)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM107、Bluetooth(登録商標)モジュール108、ハードディスクドライブ(HDD)109、ODD20、SDカードスロット22、USBポート23、IEEE 1394コントローラ113、有線LANコントローラ114、無線LANコントローラ115、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116、EEPROM117、キーボード(KB)13、電源スイッチ14、タッチパッド16、ワイヤレスコミュニケーションスイッチ19、照度センサ21、電源回路24、バッテリ25、ACアダプタ30等を備えている。
【0018】
CPU101は本コンピュータ10の動作を制御するプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)109から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム(OS)201、及び省電力効果表示アプリケーションプログラム202のような各種アプリケーションプログラムを実行する。省電力効果表示アプリケーションプログラム202は、本コンピュータ10の省電力機能の効果を表示するためのソフトウェアである。この省電力効果表示アプリケーションプログラム202は、コンピュータ10の消費電力量及び節電量を示す情報をログ情報として収集する省電力効果記録処理、ログ情報を解析して省電力機能の効果を表示する省電力効果表示処理等を実行する。また、CPU101は、BIOS−ROM107に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0019】
ノースブリッジ102はCPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、PCI EXPRESS規格のシリアルバスなどを介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0020】
GPU105は、本コンピュータ10のディスプレイモニタとして使用されるLCD17を制御する表示コントローラである。このGPU105によって生成される表示信号はLCD17に送られる。
【0021】
サウスブリッジ104は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイス、及びPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ104は、HDD109及びODD20を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。サウスブリッジ104は、Bluetoothモジュール108及びサウンドコントローラ106の各々との通信を実行する機能も有している。サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ18A,18Bに出力する。さらに、サウスブリッジ104は、SDカードスロット22に取り外し自在に装着されるカードデバイス(SDカード)を制御するSDカードコントローラ、及びUSBポート23に取り外し自在に接続されるUSBデバイスを制御するUSBコントローラを内蔵している。
【0022】
PCIバス上には、IEEE 1394コントローラ113、有線LANコントローラ114、無線LANコントローラ115等が接続されている。
【0023】
IEEE 1394コントローラ113は、IEEE 1394規格のシリアルバスを介して外部機器との通信を実行する。有線LANコントローラ114は、例えばIEEE 802.3規格の通信を実行する通信デバイスである。無線LANコントローラ115は、例えばIEEE 802.11規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。
【0024】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)13、タッチパッド16等を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。
【0025】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、電源回路24と協働して、ユーザによる電源スイッチ14の操作に応じて本コンピュータ10をパワーオン又はパワーオフする機能を有している。電源回路24は、ACアダプタ30を介して外部から供給される電力、又はバッテリ25から供給される電力を用いて、コンピュータ10内の各部に電力を供給する。換言すれば、コンピュータ10は、AC商用電源のような外部電源から供給される電力、又はバッテリ25から供給される電力によって駆動される。ACアダプタ30はコンピュータ10内に設けることもできる。また、電源回路24は、ACアダプタ30を介してコンピュータ10に外部電源から電力が供給されているか否かを判別する機能を有している。コンピュータ10に外部電源から電力が供給されている場合、電源回路24は、外部電源から供給される電力を用いてコンピュータ10を駆動するための電力を供給する。一方、コンピュータ10に外部電源から電力が供給されていない場合、電源回路24は、バッテリ25から供給される電力を用いて、コンピュータ10を駆動するための電力を供給する。さらに、電源回路24は、外部電源からの電力を用いてバッテリ25を充電する機能も有している。
【0026】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、電源用マイコン118を備える。電源用マイコン118は、電源回路24から出力される電力(電源電流及び電源電圧)を測定するマイクロコンピュータである。また、電源用マイコン118は、コンピュータ10を駆動するための電源電流及び電源電圧と、バッテリ25を充電するために使用される電源電流及び電源電圧とを別々に測定することができる。コンピュータ10上で実行される省電力効果表示アプリケーション202は、BIOSを介して、電源用マイコン118により測定された電源電流値及び電源電圧値を参照し、コンピュータ10の駆動のために供給される電力(瞬間値)[W]を算出することができる。したがって、省電力効果表示アプリケーション202は、算出された電力[W]を所定の期間毎に累計してコンピュータ10の消費電力量[Wh]を算出することもできる。
【0027】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、ワイヤレスコミュニケーションスイッチ19の操作に応じて、Bluetoothモジュール108及び無線LANコントローラ115の各々をオン又はオフする機能を有している。ワイヤレスコミュニケーションスイッチ19がオフ位置に設定された場合、Bluetoothモジュール108及び無線LANコントローラ115の双方がオフ状態(電源オフ状態)に設定される。
【0028】
また、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、照度センサ21を制御する機能を有している。照度センサ21は、コンピュータ10が使用される環境の照度を計測するセンサである。
【0029】
図3は、省電力効果表示アプリケーション202の機能構成を示すブロック図である。
【0030】
省電力効果表示アプリケーション202は、制御部301、省電力機能設定部302、節電量計測部303、使用時間計測部304、省電力効果値算出部305、消費電力計測部306、ログ情報解析部307、及びログ情報表示部308から構成される。省電力効果表示アプリケーション202は、データベース310に対して、データの読み出し又は書き込みを行う処理を実行する。データベース310は、ログ情報310Aを格納するHDD109等の記憶装置である。
【0031】
制御部301は、省電力効果表示アプリケーション202の各部の動作を制御する。
【0032】
省電力機能設定部302は、コンピュータ10内の各部に設定される省電力化パラメータの値を設定する。省電力化パラメータは、省電力機能の内容を規定するパラメータである。省電力化パラメータは、コンピュータ10内の予め決められたいくつかの構成要素それぞれに適用されるパラメータである。コンピュータ10内の構成要素とは、図2を参照して説明した各部を指す。つまり、省電力化パラメータは、各構成要素に適用される省電力機能の内容を示す。省電力化パラメータは、各構成要素を通常の消費電力により動作させる通常動作状態、又は各構成要素を通常よりも低い消費電力により動作させる省電力状態のいずれかを指定することができる。省電力機能設定部302は、各構成要素に対応する省電力化パラメータの設定値に基づいて、各構成要素を通常動作状態又は省電力状態のいずれか一方に設定することができる。また、省電力状態を指定する省電力化パラメータはさらに、消費電力が異なる複数の動作レベルのうちの一つの動作レベルを指定することもできる。
【0033】
したがって省電力化パラメータは、例えば、コンピュータ10内の各部の消費電力、コンピュータ10内の各部の熱制御条件、CPU101の処理速度、主メモリ103の使用量、LCD17の輝度、バックライトの点灯時間、LCD17の電源を切るまでの時間、HDD109の電源を切るまでの時間、ODD20の電源を切るまでの時間、システムをスリープ状態にするまでの時間、コンピュータ10を休止状態にするまでの時間等をそれぞれ指定する複数のパラメータ値を含む。省電力化パラメータはさらに、サウンドコントローラ106、スピーカ18A,18B、ODD20、Bluetoothモジュール108、有線LANコントローラ114、無線LANコントローラ115、SDカードスロット22に挿入されたSDカードとの通信を制御するSDカードコントローラ、USBポート23に接続されたデバイス等との通信を制御するUSBコントローラ等のコンピュータ10内の所定のI/Oデバイスそれぞれの電源のオン又はオフを指定する複数のパラメータ値も含む。
【0034】
コンピュータ10内の各部は、省電力機能設定部302により設定された省電力化パラメータの値に応じて制御される。例えば、省電力化パラメータであるLCD17の電源を切るまでの時間が10分に設定されている場合、ユーザによる操作がなくLCD17が10分以上表示された状態にあると、LCD17の電源がオフにされる。また、例えば、ODD20の電源のオン又はオフを示す省電力化パラメータがオフに設定されている場合、ODD20の電源がオフにされる。
【0035】
ODD20等のコンピュータ10内のI/Oデバイスの電源をオフにする場合、I/Oデバイスへの給電を全て遮断するほか、I/Oデバイスのバス接続部分への給電を維持したまま、その他の部分への給電を遮断するようにしてもよい。I/Oデバイスのバス接続部分への給電を維持することで、I/Oデバイスとバスとの間の接続を維持しつつ、I/Oデバイスのその他の部分への給電を遮断することで、I/Oデバイスへ供給される電力を節減することができる。
【0036】
また、コンピュータ10内のI/Oデバイスの電源をオン又はオフにする制御に加えて、IEEE 1394コントローラ113に接続されるIEEE 1394デバイス、USBポート23に接続されるUSBデバイス等のリムーバブルデバイス(外付けデバイス)の電源をオン又はオフにする制御、すなわち、リムーバブルデバイスへの給電の制御も行われる。リムーバブルデバイスの電源のオン又はオフを示す省電力化パラメータがオフに設定されている場合、該リムーバブルデバイスへの給電が遮断される。これにより、リムーバブルデバイスへ供給される電力を節減することができる。
【0037】
なお、I/Oデバイスやリムーバブルデバイスの電源をオン又はオフにする場合、上述のように、直接、デバイスの電源をオン又はオフにする制御を行うほか、デバイスの電源をオン又はオフにする制御信号をBIOSに対して送出してもよい。その場合、制御信号を受け取ったBIOSは、EC/KBC116及び電源回路24を介して、デバイスへ供給される電力を制御する。例えば、ODD20の電源のオン又はオフを示す省電力化パラメータがオフに設定されている場合、ODD20の電源をオフにするための制御要求が、省電力効果表示アプリケーション202からBIOSへ送信される。BIOSは、EC/KBC116に対して、ODD20への給電を遮断するための制御コマンドを送信する。EC/KBC116は、BIOSから送信された制御コマンドに従い、電源回路24と協働して、ODD20への給電を遮断する。
【0038】
省電力機能設定部302は、ユーザにより指定された値等を上述の各省電力化パラメータに設定する。なお、省電力機能設定部302は、各省電力化パラメータに、ユーザによるコンピュータ10の使用状況等に応じた省電力効果が高い推奨値を設定してもよい。例えば、省電力機能設定部302は、消費電力が異なる8段階のLCD17の輝度レベルを、出荷時の輝度レベル8から推奨値である輝度レベル4に変更する。
【0039】
省電力機能設定部302は、設定された省電力化パラメータを節電量計測部303へ通知する。
【0040】
節電量計測部303は、省電力状態に設定されることによって単位時間当たりに節約される電力量(節電量)[W]を構成要素毎に測定する。コンピュータ10内の構成要素毎に、省電力状態に設定された場合に節約される電力量は異なる。このため、コンピュータ10全体で節約される電力量を求めるためには、コンピュータ10内の構成要素それぞれの節電量を測定する必要がある。したがって、節電量計測部303は、コンピュータ10内の各構成要素に対応する省電力化パラメータの値に基づき、該構成要素の通常動作状態での消費電力と、該省電力化パラメータの値により指定された省電力状態での消費電力との差を節電量として算出する。
【0041】
節電量計測部303は、例えば以下のように節電量を求める。
【0042】
まず、節電量計測部303は、コンピュータ10内の構成要素をすべて通常動作状態に設定して、コンピュータ10によって使用される消費電力を測定する。節電量計測部303は、上述したように、電源用マイコン118により測定される、コンピュータ10の駆動のために使用される電流値及び電圧値を用いて、コンピュータ10によって使用される消費電力を算出する。
【0043】
次に、節電量計測部303は、コンピュータ10内の所定の複数の構成要素から、省電力化パラメータに省電力状態が指定された構成要素群を選択する。節電量計測部303は、選択された構成要素群のうちの一つの構成要素を省電力状態に設定し、この場合にコンピュータ10によって使用される消費電力を測定する。そして、節電量計測部303は、コンピュータ10内の構成要素をすべて通常動作状態に設定して測定した消費電力と、一つの構成要素を省電力状態に設定して測定した消費電力との差分を、省電力状態に設定した構成要素の節電量として算出する。
【0044】
また、節電量計測部303は、選択された構成要素群のうち、別の一つの構成要素をさらに省電力状態に設定し、この場合にコンピュータ10によって使用される消費電力を測定する。つまり、選択された構成要素群のうち、二つの構成要素が省電力状態に設定され、コンピュータ10により使用される消費電力が測定される。そして、節電量計測部303は、コンピュータ10内の一つの構成要素を省電力状態に設定して測定した消費電力と、二つの構成要素を省電力状態に設定して測定した消費電力との差分を、新たに省電力状態に設定した別の一つの構成要素の節電量として算出する。
【0045】
節電量計測部303は、選択された構成要素群に含まれる全ての構成要素について、同様の方法で節電量を求める。なお、構成要素毎の節電量の測定には、上述のコンピュータ10全体の消費電力の差分を用いて求める方法以外にも、各構成要素が通常動作状態で使用する電流値及び電圧値と省電力状態で使用する電流値及び電圧値とを比較して求める方法等、あらゆる方法を用いることができる。また、節電量計測部303は、コンピュータ10で使用され得るあらゆる省電力設定のパターンに応じた、構成要素毎の節電量を測定してもよいし、現在の省電力設定に応じた構成要素毎の節電量(現在、省電力状態に設定された各構成要素の節電量)を測定してもよい。
【0046】
節電量計測部303は、算出した省電力状態に設定された構成要素毎の節電量を省電力効果値算出部305へ出力する。
【0047】
なお、節電量計測部303は、コンピュータ10が起動されたこと、省電力効果表示アプリケーション202が実行されたこと、省電力化パラメータが設定又は変更されたこと等に応答して、構成要素毎の節電量を測定する。また、省電力化パラメータに設定される値は、ユーザによる設定変更等により随時変更することができる。このため、節電量計測部303は、ユーザによる省電力化パラメータの設定変更等を動的に検知してその設定値に応じた節電量を測定する。
【0048】
使用時間計測部304は、所定の期間内におけるコンピュータ10の使用時間、つまりコンピュータ10の動作時間を測定する。したがって例えば、使用時間計測部304は、一日のうちの何時間、コンピュータ10が使用されたかを測定する。コンピュータ10が9時から17時まで使用された場合、使用時間計測部304は、使用時間を8時間と測定する。
【0049】
なお、所定の期間内において、途中で省電力化パラメータの値が変更された場合、変更前の使用時間と変更後の使用時間とは、別々に測定してもよい。すなわち、所定の期間内において、第一の省電力化パラメータ設定から第二の省電力化パラメータ設定への変更が行われた場合、使用時間計測部304は、第一の省電力化パラメータ設定によるコンピュータ10の使用時間と第二の省電力化パラメータ設定によるコンピュータ10の使用時間とを測定する。したがって例えば、コンピュータ10が第一の省電力化パラメータ設定により9時から12時まで使用された後、第二の省電力化パラメータ設定により13時から17時まで使用された場合、使用時間計測部304は、第一の省電力化パラメータ設定によるコンピュータ10の使用時間を3時間、また、第二の省電力化パラメータ設定によるコンピュータ10の使用時間を4時間と測定する。
【0050】
使用時間計測部304は、測定した使用時間を省電力効果値算出部305へ出力する。
【0051】
省電力効果値算出部305は、節電量計測部303から入力された構成要素毎の節電量と、使用時間計測部304から入力された所定の期間内におけるコンピュータ10の使用時間とに基づき、省電力効果値を算出する。省電力効果値は、コンピュータ10において、所定の期間内に節約された電力量を示す値である。
【0052】
具体的には、まず、省電力効果値算出部305は、コンピュータ10内の所定の複数の構成要素のうち、省電力状態に設定された構成要素それぞれの節電量と所定の期間内におけるコンピュータ10の使用時間とを乗じ、構成要素毎の省電力化効果値を算出する。すなわち、構成要素毎の省電力効果値は、次式により算出される。
【0053】
構成要素毎の省電力効果値[Wh]=構成要素毎の節電量[W]×使用時間[h]
次に、省電力効果算出部305は、構成要素毎の省電力化効果値を、省電力状態に設定された全ての構成要素について積算し、この積算した値を所定の期間内におけるコンピュータ10の省電力効果値として算出する。そして、省電力効果値算出部305は、算出した所定の期間内におけるコンピュータ10の省電力効果値を、データベース310へログ情報310Aとして記録する。
【0054】
消費電力計測部306は、コンピュータ10によって消費される総電力量を測定する。コンピュータ10によって消費される消費電力[W]は、上述したように、電源用マイコン118により測定される電流値及び電圧値を用いて算出される。消費電力計測部306は、一定期間毎(例えば1秒毎)に、消費電力を算出する。そして、消費電力計測部306は、所定の期間内(例えば1日の間)において、一定期間毎に算出した消費電力から、当該所定の期間内における消費電力量(総電力量)[Wh]を算出する。
【0055】
具体的には、消費電力計測部306は、BIOS等を介して、電源用マイコン118が測定した、コンピュータ10で現在使用されている電流値及び電圧値を一定期間毎に参照する。消費電力計測部306は、これら電流値と電圧値とを乗じて消費電力を算出する。そして、消費電力計測部306は、算出した消費電力を所定の期間内において積算し、当該所定の期間内における総電力量を算出する。したがって例えば、コンピュータ10が、1[W]の消費電力で8時間動作した場合、消費電力計測部306は、コンピュータ10によって消費される総電力量を8[Wh]と算出する。
【0056】
消費電力計測部306は、算出した総電力量をデータベース310へログ情報310Aとして記録する。
【0057】
ログ情報解析部307は、データベース310からログ情報310Aを読み出し、読み出したログ情報310Aを解析する。
【0058】
具体的には、まず、ログ情報解析部307は、データベース310のログ情報310Aから所定の期間内(例えば、ある一年間)の日付が付加されたデータを抽出する。抽出された各データは、日付が示す一日の消費電力量及び省電力効果値を示す情報を含む。
【0059】
次に、ログ情報解析部307は、抽出した一日毎の消費電力量及び省電力効果値をそれぞれ積算して、一定期間(例えば、一年間、一ヶ月間、又は一週間)毎の消費電力量及び省電力効果値を算出する。つまり、ログ情報解析部307は、抽出した一日毎の消費電力量及び省電力効果値をそれぞれ一定期間毎に累計した値を算出する。したがって例えば、ログ情報解析部307は、1月から12月までの一年間のデータをデータベース310から読み出し、1月から12月までの毎月の消費電力量及び省電力効果値を算出する。
【0060】
ログ情報解析部307は、算出した一定期間毎の消費電力量及び省電力効果値、並びに一日毎の消費電力量及び省電力効果値を、日付の情報と共にログ情報表示部308へ出力する。
【0061】
ログ情報表示部308は、ログ情報解析部307から入力された一定期間毎のコンピュータ10の消費電力量及び省電力効果値、並びに一日毎の消費電力量及び省電力効果値に基づき、省電力効果表示画面40を生成し、LCD17等へ表示する。ログ情報表示部308は、例えば、図6を用いて後述する省電力効果表示画面40の例のように、消費電力量及び省電力効果値をグラフにより表示する。ユーザは、表示されたコンピュータ10の消費電力量及び省電力効果値を示す情報により、省電力設定による省電力効果や省電力効果の時系列に基づく変化を把握することができる。
【0062】
なお、省電力効果表示アプリケーション202は、OS201の起動に応答して起動し、OS201の終了に応じて終了する常駐プログラムとして実現し得る。省電力効果表示アプリケーション202は、OS201が起動している期間内(コンピュータ10の電源がオンである期間内)において、ユーザによるコンピュータ10の消費電力量及び節電量を監視し、データベース310へログ情報310Aとして記録する。また、ユーザによる要求等に応じて、省電力効果表示画面40をLCD17へ表示する。
【0063】
また、省電力効果表示アプリケーション202は、コンピュータ10の消費電力量及び省電力効果値を算出するための省電力機能設定部302、節電量計測部303、使用時間計測部304、省電力効果値算出部305、及び消費電力計測部306のみを常駐プログラムとし、省電力効果の表示に関するログ情報解析部307及びログ情報表示部308を、所定の期間毎に、又はユーザによる要求があった場合にのみ実行するプログラムとしてもよい。
【0064】
図4は、省電力効果表示アプリケーション202により設定される省電力化パラメータのうち、省電力効果が高い省電力化パラメータを示している。
【0065】
省電力効果が高い省電力化パラメータ設定は、例えば、ODD20の電源のオフ、USBポート23(USBコントローラ)のオフ、SDカードスロット22等のマルチメディアスロット(SDカードコントローラ)のオフ、IEEE 1394ポート(IEEE 1394コントローラ113)のオフ、HDD109のスピンドルモータの回転のオフ(プラッター回転停止)、無線LAN115,3G,Bluetoothモジュール108等の無線通信デバイスのオフ、有線LAN114のオフ、電源スイッチ14等のボタンLEDのオフ、キーボード13のLEDのオフ、ブランドロゴ等のLEDのオフ、LCD17の輝度レベルの低設定、LCDの電源のオフ、コンピュータ10のスリープ移行時間の短縮、PCI Expressの電源のオフ、CPU101の最大クロック数の低設定等である。以上のように、各省電力化パラメータに、対応する構成要素を省電力状態に設定する値を指定することで、該構成要素で使用される電力が抑制され、高い省電力効果値を得ることができる。
【0066】
次に、図5を参照して、省電力効果表示アプリケーション202によってデータベース310のログ情報310Aとして記録されるデータの例を説明する。
【0067】
ログ情報310Aは、例えば、測定日、総消費電力量、及び省電力効果値の各データから構成される。
【0068】
測定日は、総消費電力量及び省電力効果値が測定(算出)された日付を示す。したがって例えば、“2009/4/13”という日付が記録される。
【0069】
総消費電力量は、測定日で指定される一日の間にコンピュータ10により使用された電力量[Wh]を示す。したがって例えば、測定日“2009/4/13”にコンピュータ10により使用された“120 Wh”という電力量が記録される。
【0070】
省電力効果値は、測定日で指定される一日の間に省電力効果表示アプリケーション202の省電力化機能により節約された、コンピュータ10の消費電力量[Wh]を示す。したがって例えば、測定日“2009/4/13”に省電力効果表示アプリケーション202の省電力化機能により節約された“20 Wh”という電力量が記録される。
【0071】
以上のように記録されたログ情報310Aを用いて、ログ情報解析部307及びログ情報表示部308は、省電力効果表示画面40を生成する。
【0072】
図6は、省電力効果表示アプリケーション202によって表示される省電力効果表示画面40の例を示す。
【0073】
省電力効果表示画面40は、一定期間毎の消費電力量及び省電力効果値をグラフにより表示する。図6では、省電力効果表示画面40の上部から順に、月毎の消費電力量及び省電力効果値を示す棒グラフ41、週毎の消費電力量及び省電力効果値を示す棒グラフ42、並びに日毎の消費電力量及び省電力効果値を示す棒グラフ43がそれぞれ表示されている。
【0074】
各棒グラフは、消費電力量(総消費電力量)を示す棒グラフ上に、省電力効果値を示す棒グラフが積み上げられた積み上げ棒グラフである。したがって、各棒グラフから各月(又は各週、各日)の消費電力量及び省電力効果値を読み取ることができる。また、月毎(又は週毎、日毎)の消費電力量及び省電力効果値が所定の期間分(例えば、1年間)、表示されることで、所定の期間内における消費電力量及び省電力効果値の変化を把握することができる。なお、各積み上げ棒グラフ全体が示す値(消費電力量と省電力効果値との和)は、コンピュータ10が通常動作状態で動作した場合に消費される電力量、すなわち、コンピュータ10が省電力機能を用いずに動作した場合に消費される電力量を表している。
【0075】
なお、省電力効果表示画面40上に表示されるグラフは、例えば、直近の所定の期間に測定された消費電力量及び省電力効果値を用いて生成される。図6では、例えば、月毎のグラフ41の生成には、直近の1年間に測定された消費電力量及び省電力効果値が用いられている。週毎のグラフ42の生成には、直近の9週間に測定された消費電力量及び省電力効果値が用いられている。また、日毎のグラフ43の生成には、直近の7日間に測定された消費電力量及び省電力効果値が用いられている。
【0076】
図7は、コンピュータ10によって実行される省電力効果記録処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0077】
まず、省電力効果表示アプリケーション202は、コンピュータ10の省電力機能が有効であるかどうかを判定する(ステップS101)。コンピュータ10の省電力機能は、例えば、ユーザによって有効又は無効に設定される。
【0078】
コンピュータ10の省電力機能が有効である場合(ステップS101のYES)、省電力効果表示アプリケーション202は、所定の複数の省電力化パラメータにそれぞれ値を設定する(ステップS102)。各省電力化パラメータは、上述したように、コンピュータ10内の一つの構成要素の電源オンもしくは電源オフ、又は消費電力の異なる動作のレベルを指定するパラメータである。つまり、省電力効果表示アプリケーション202は、省電力化パラメータに指定した値に応じて、コンピュータ10内の各構成要素を、電源オンである通常動作状態、又は電源オフもしくは消費電力を抑えた動作レベルである省電力状態に設定する。
【0079】
次いで、省電力効果表示アプリケーション202は、構成要素毎に省電力効果の基準値である節電量を測定(キャリブレーション)する(ステップS103)。各構成要素の節電量は、その構成要素が省電力状態に設定されることによって単位時間当たりに節約される電力量である。したがって、省電力効果表示アプリケーション202は、省電力状態に設定されることによって単位時間当たりに節約される節電量を、構成要素毎に測定する。
【0080】
そして、省電力効果表示アプリケーション202は、所定の期間内にコンピュータ10で使用される消費電力量を測定する(ステップS104)。具体的には、省電力効果表示アプリケーション202は、BIOSを介して、電源用マイコン118で測定されたコンピュータ10で現在使用されている電流値及び電圧値を参照する。そして、省電力効果表示アプリケーション202は、参照した電流値と電圧値とを用いて、コンピュータ10で現在消費されている消費電力量を算出する。そして、省電力効果表示アプリケーション202は、所定の期間内(例えば、一日の間)において、これまでにコンピュータ10が使用した消費電力量に、算出した消費電力量を加えた値を、所定の期間内の消費電力量として算出する。
【0081】
つまり、省電力効果表示アプリケーション202は、例えばコンピュータ10で現在使用されている消費電力(すなわち、1秒当たりの消費電力量)を1秒毎に算出する場合、この1秒毎に算出された消費電力を所定の期間内(例えば、1日)で累計した値を、所定の期間内(1日)の消費電力量として算出する。
【0082】
また、省電力効果表示アプリケーション202は、例えばコンピュータ10で現在使用されている消費電力(すなわち、1秒当たりの消費電力量)を2秒毎に算出する場合、この2秒毎に算出された消費電力を、2秒分の消費電力量に換算する。そして、省電力効果表示アプリケーション202は、この2秒分の消費電力量を所定の期間内(例えば、1日)で累計した値を、所定の期間内(1日)の消費電力量として算出する。
【0083】
また、省電力効果表示アプリケーション202は、所定の期間内においてコンピュータ10が使用された時間を示す使用時間を測定する(ステップS105)。前回、使用時間を測定した際と同様の省電力化パラメータの設定でコンピュータ10が使用されている場合には、省電力効果表示アプリケーション202は、使用時間として設定されている値を、前回測定してから経過した時間を加えた値に更新する。前回、使用時間を測定した際と異なる省電力化パラメータの設定でコンピュータ10が使用されている場合には、省電力効果表示アプリケーション202は、使用時間として設定される値を、現在の省電力化パラメータ設定で使用を開始してから経過した時間に設定する。
【0084】
次いで、省電力効果表示アプリケーション202は、消費電力量及び省電力効果値をデータベース310へ記録するタイミングであるかどうかを判定する(ステップS106)。省電力効果表示アプリケーション202は、一定のタイミングで(例えば一日毎に)、消費電力量及び省電力効果値を日付等の情報と共に、ログ情報310Aとしてデータベース310へ格納する。
【0085】
消費電力量及び省電力効果値をデータベース310へ記録するタイミングである場合(ステップS106のYES)、省電力効果表示アプリケーション202は、省電力状態に設定されている構成要素それぞれに対応する節電量(省電力効果の基準値)の合計値に、ステップS105で測定した使用時間を乗じた値である省電力効果値を算出する(ステップS107)。そして、省電力効果表示アプリケーション202は、ステップS104で測定した消費電力量と、ステップS107で算出した省電力効果値とをログ情報310Aとしてデータベース310へ格納する(ステップS108)。
【0086】
ステップS108の処理を完了した後、又は消費電力量及び省電力効果値をデータベース310へ記録するタイミングでない場合(ステップS106のNO)、省電力効果表示アプリケーション202は、省電力化パラメータに設定される値が変更されたかどうかを判定する(ステップS109)。
【0087】
省電力化パラメータに設定される値が変更されている場合(ステップS109のYES)、省電力効果表示アプリケーション202は、ステップS103以降の処理を実行する。すなわち、省電力効果表示アプリケーション202は、新たに省電力状態に設定されたコンピュータ10内の構成要素について節電量を測定して、消費電力量の測定及び省電力効果値の算出を行う。
【0088】
一方、省電力化パラメータに設定される値が変更されていない場合(ステップS109のNO)、省電力効果表示アプリケーション202は、ステップS104以降の処理を実行する。
【0089】
以上の処理により、所定の期間内に、コンピュータ10によって消費される総電力量(消費電力量)と、コンピュータ10内の省電力状態に設定された構成要素により節約される省電力効果値とをデータベース310へ記録することができる。
【0090】
また、図8は、コンピュータ10によって実行される省電力効果表示処理の手順の例を示すフローチャートである。
【0091】
まず、省電力効果表示アプリケーション202は、省電力効果の表示要求が入力されたかどうかを判定する(ステップS201)。省電力効果の表示要求は、例えば、ユーザによる要求や前回の表示から所定の期間が経過したこと等をトリガとする。
【0092】
省電力効果の表示要求が入力されている場合(ステップS201のYES)、省電力効果表示アプリケーション202は、データベース310のログ情報310Aから、ある所定の期間内の消費電力量及び省電力効果値を含むデータを読み出す(ステップS202)。
【0093】
次いで、省電力効果表示アプリケーション202は、読み出した消費電力量と省電力効果値を、一定の期間毎に(例えば、週毎又は月毎に)積算した値を算出する(ステップS203)。そして、省電力効果表示アプリケーション202は、図6に示すような、横軸が日付や期間を示し、縦軸が消費電力量と省電力効果値とを積み上げた値を示す棒グラフを生成する(ステップS204)。
【0094】
省電力効果表示アプリケーション202は、生成した棒グラフをLCD17等に表示して、ユーザへ提示する(ステップS205)。
【0095】
以上の処理により、一定期間毎のコンピュータ10の消費電力量と省電力設定により節約された電力量(省電力効果値)とが画面に表示される。これによりユーザは、省電力設定によって削減できた電力量を視認でき、省電力機能の効果を把握することができる。また、ユーザが省電力機能の効果を容易に確認できることで、コンピュータ10の省電力設定での使用の推進を図ることができる。
【0096】
なお、省電力効果表示アプリケーション202は、省電力化パラメータに省電力効果の高い値(推奨値)が設定されていない場合や、コンピュータ10のパフォーマンスを重視した省電力効果の低い省電力化パラメータ設定である場合に、省電力効果の高い省電力化パラメータ設定によりコンピュータ10を使用したと仮定した場合の省電力効果値を表示することもできる。すなわち、省電力効果表示アプリケーション202は、省電力効果の高い省電力化パラメータ設定を選択した場合に得られたであろう省電力効果値を、コンピュータ10の実際の消費電力量と対比して表示する。この仮定による省電力効果値は、図6に示したような実際に節約された電力量を推定した省電力効果値とは別の色で表示するなど、区別して表示してもよい。このように、省電力効果の高い省電力化パラメータ設定を選択した場合に得られたであろう省電力効果値を示すことにより、ユーザに対して省電力設定の有効性をアピールすることができ、省電力設定の推進を図ることができる。
【0097】
また、パーソナルコンピュータ等では、同型の装置であっても、ユーザによるカスタマイズやロットの違い等によりコンピュータ10内の構成要素が異なる可能性がある。省電力効果表示アプリケーション202は、使用するコンピュータ10毎に、該コンピュータ10内の各構成要素の節電量を測定して省電力効果値を算出する。つまり、省電力効果表示アプリケーション202は、コンピュータ10毎のシステム構成に適応した省電力効果値を算出する。このため、コンピュータ10の出荷時等に予め測定された節電量を用いるよりも、より正確な省電力効果値を算出することができる。
【0098】
また、コンピュータ10内の構成要素毎の節電量は、同一の構成要素の節電量であっても、コンピュータ10の使用状態等によって変動する可能性がある。上述したように、省電力効果表示アプリケーション202は、コンピュータ10が起動されたこと、省電力効果表示アプリケーション202が実行されたこと、省電力化パラメータが設定又は変更されたこと等に応答して、構成要素毎の節電量を測定する。したがって、同一の構成要素の節電量が複数回測定される可能性がある。このため、同一の構成要素の節電量が複数回測定された場合、省電力効果表示アプリケーション202は、複数回測定された節電量を平均した値を該構成要素の節電量として用いる。これにより、節電量を用いて算出される省電力効果値の精度を高めることができる。
【0099】
さらに、ユーザが、コンピュータ10に推奨されるデフォルトの省電力設定(エコ設定)を選択した場合、省電力効果表示アプリケーション202は、このデフォルトの省電力設定に応じて、コンピュータ10内の構成要素を省電力状態で動作させる。そして、省電力効果表示アプリケーション202は、このデフォルトの省電力設定による省電力効果をユーザへ提示することができる。つまり、ユーザにより設定された省電力化パラメータの値に基づく省電力効果に加えて、システムが提供するデフォルトの省電力設定に基づく省電力効果を、ユーザへ提示することができる。
【0100】
なお、本実施形態では、節電量計測部303によりコンピュータ10内の各構成要素に対応する節電量を測定したが、各構成要素に対応する節電量を予めテーブル等に記憶しておいてもよい。その場合、節電量計測部303は、必要に応じて、各構成要素に対応する節電量をテーブルから読み出す処理を実行する。
【0101】
以上説明したように、本実施形態によれば、個々の構成要素の省電力設定に応じた省電力効果を表示することができる。コンピュータ10は、コンピュータ10内の各構成要素に対応する省電力化パラメータに設定される値に応じて、省電力状態に設定された各構成要素の節電量を測定する。コンピュータ10は、測定された構成要素毎の節電量とコンピュータ10の使用時間とに基づいて、省電力効果値を算出する。そして、コンピュータ10は、実際のコンピュータ10の消費電力量と算出した省電力効果値とをそれぞれ一定期間毎に累計した値を示すグラフを画面に表示する。これによりユーザは、個々の構成要素の省電力設定を反映した省電力効果を把握することができる。また、コンピュータ10は、ユーザに対して、省電力効果が高い省電力パラメータを設定するよう促すことができる。
【0102】
なお、本実施形態の省電力設定は、本実施形態の説明で例示した省電力化パラメータに限らず、コンピュータ10の消費電力を変動させるあらゆる要素に適用することができる。したがって、コンピュータ10は、コンピュータ10の消費電力を変動させるあらゆる要素について、要素毎の省電力効果値を算出し得る。
【0103】
また、本実施形態の省電力効果記録処理及び省電力効果表示処理の手順は全てソフトウェアによって実行することができる。このため、省電力効果記録処理及び省電力効果表示処理の手順を実行するプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じて通常のコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0104】
また本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0105】
202…省電力効果表示アプリケーション、301…制御部、302…省電力機能設定部、303…節電量計測部、304…使用時間計測部、305…省電力効果値算出部、306…消費電力計測部、307…ログ情報解析部、308…ログ情報表示部、310…データベース、310A…ログ情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
省電力機能を有する情報処理装置であって、
前記情報処理装置内の所定の複数の構成要素に対応する複数の省電力化パラメータの値に基づいて、前記複数の構成要素の各々を通常動作状態又は省電力状態の一方に設定する省電力制御手段と、
所定の期間内に前記情報処理装置によって消費される総電力量を測定する消費電力測定手段と、
前記複数の省電力化パラメータの値と、前記複数の構成要素それぞれの単位時間当たりの節電量と、前記所定の期間内における前記情報処理装置の使用時間とに基づいて、前記複数の省電力化パラメータの値の設定によって前記所定の期間内に節約される電力量を示す省電力効果値を算出する省電力効果値算出手段と、
前記所定の期間毎に、前記総電力量と前記省電力効果値とを示す情報をログ情報として記憶装置に蓄積するログ蓄積手段と、
前記ログ情報に基づいて、前記総電力量と前記省電力効果値とをそれぞれ一定期間毎に累計した値を表示するログ表示手段とを具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の複数の構成要素から一つの構成要素を選択し、前記選択した構成要素を前記通常動作状態に設定した場合に前記情報処理装置が消費する第1の消費電力を測定し、前記選択した構成要素を前記省電力状態に設定した場合に前記情報処理装置が消費する第2の消費電力を測定し、前記第1の消費電力と前記第2の消費電力との差分を前記選択した構成要素の節電量として算出する節電量測定手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記省電力効果値算出手段は、前記複数の省電力化パラメータに基づいて前記所定の複数の構成要素から前記省電力状態に設定された構成要素を選択し、前記選択した各構成要素に対応する節電量と前記情報処理装置の使用時間とに基づいて前記省電力効果値を算出することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記複数の省電力化パラメータは、前記情報処理装置内の所定の複数の構成要素のうち、一つの構成要素の消費電力が異なる動作のレベルを指定する第1パラメータを含み、
前記節電量測定手段は、該構成要素を前記通常動作状態に設定した場合に前記情報処理装置が消費する第1の消費電力を測定し、該構成要素を前記第1パラメータで指定される前記省電力状態に設定した場合に前記情報処理装置が消費する第2の消費電力を測定し、前記第1の消費電力と前記第2の消費電力との差分を該構成要素の節電量として算出することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ログ表示手段は、日毎、週毎、月毎、又は年毎に累計した前記総電力量及び前記省電力効果値をグラフにより表示することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ログ表示手段は、前記ログ情報から、第1の期間内に蓄積された前記総電力量及び前記省電力効果値を示す情報を抽出し、前記抽出した前記総電力量及び前記省電力効果値をそれぞれ、前記第1の期間よりも短い第2の期間毎に累計した、前記第2の期間毎の総電力量及び前記第2の期間毎の省電力効果値を算出し、前記算出した第2の期間毎の総電力量及び第2の期間毎の省電力効果値を表示することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置の省電力機能の効果を表示するための省電力効果表示方法であって、
前記情報処理装置内の所定の複数の構成要素に対応する複数の省電力化パラメータの値に基づいて、前記複数の構成要素の各々を通常動作状態又は省電力状態の一方に設定する省電力制御ステップと、
所定の期間内に前記情報処理装置によって消費される総電力量を測定する消費電力測定ステップと、
前記複数の省電力化パラメータの値と、前記複数の構成要素それぞれの単位時間当たりの節電量と、前記所定の期間内における前記情報処理装置の使用時間とに基づいて、前記複数の省電力化パラメータの値の設定によって前記所定の期間内に節約される電力量を示す省電力効果値を算出する省電力効果値算出ステップと、
前記所定の期間毎に、前記総電力量と前記省電力効果値とを示す情報をログ情報として記憶装置に蓄積するログ蓄積ステップと、
前記ログ情報に基づいて、前記総電力量と前記省電力効果値とをそれぞれ一定期間毎に累計した値を表示するログ表示ステップとを具備することを特徴とする省電力効果表示方法。
【請求項8】
コンピュータの省電力機能の効果を表示するプログラムであって、
前記コンピュータ内の所定の複数の構成要素に対応する複数の省電力化パラメータの値に基づいて、前記複数の構成要素の各々を通常動作状態又は省電力状態の一方に設定する省電力制御処理を実行する手順と、
所定の期間内に前記コンピュータによって消費される総電力量を測定する消費電力測定処理を実行する手順と、
前記複数の省電力化パラメータの値と、前記複数の構成要素それぞれの単位時間当たりの節電量と、前記所定の期間内における前記コンピュータの使用時間とに基づいて、前記複数の省電力化パラメータの値の設定によって前記所定の期間内に節約される電力量を示す省電力効果値を算出する省電力効果値算出処理を実行する手順と、
前記所定の期間毎に、前記総電力量と前記省電力効果値とを示す情報をログ情報として記憶装置に蓄積するログ蓄積処理を実行する手順と、
前記ログ情報に基づいて、前記総電力量と前記省電力効果値とをそれぞれ一定期間毎に累計した値を表示するログ表示処理を実行する手順とを前記コンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−257232(P2010−257232A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106674(P2009−106674)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】