説明

情報処理装置

【課題】画像形成装置がドキュメントボックスを備えていなくても、画像形成装置がドキュメントボックスを備えているのと同様の機能をユーザが利用できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1のユーザには、メールサーバ3を利用した電子メールの送受信ができるメールアドレスが付与されていると共にメールアドレスを宛先とする電子メールが保存されるメールボックス5が割り当てられている。画像形成装置1は、ユーザの操作により、該ユーザが保存したい画像データを受け付ける保存受付部25と、保存受付部25で受け付けられた画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールを作成するメール作成部27と、メール作成部27で作成された電子メールを、上記メールアドレスを宛先として送信するメール送信部29と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば画像形成装置のような情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置の一例である画像形成装置にはドキュメントボックスを備えるものがある。ドキュメントボックスには画像データ(コピーした原稿の画像データ、ファクシミリ受信した画像データ、パソコンから送信された画像データ等)を保存することができる。例えば、ユーザ毎にドキュメントボックスを割り当て、各ユーザは保存したい画像データを自身に割り当てられたドキュメントボックスに保存することができる。
【0003】
画像形成装置がドキュメントボックスを備えるためには大容量の記憶装置が必要である。そこで、画像形成装置にハードディスクを搭載し、ドキュメントボックスに対応する記憶領域をハードディスクに設けた技術が提案されている(特許文献1(段落0019、0021、0032)参照)。この技術では画像データをドキュメントボックスに保存した時とドキュメントボックスに保存されているその画像データを印刷する時において、印刷設定に関するアクセス権が異なる場合、画像データを印刷しない制御をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−132671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、ドキュメントボックスを備えるために画像形成装置に大容量の記憶装置を搭載している。これは画像形成装置のコストを上昇させる原因となる。
【0006】
本発明は情報処理装置がドキュメントボックスを備えていなくても、情報処理装置がドキュメントボックスを備えているのと同様の機能を情報処理装置のユーザが利用できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の一の局面に係る情報処理装置は、メールサーバとインターネットを利用して通信することができる情報処理装置であって、前記情報処理装置のユーザには、前記メールサーバを利用した電子メールの送受信ができるメールアドレスが付与されていると共に前記メールアドレスを宛先とする電子メールが保存されるメールボックスが割り当てられており、前記情報処理装置のユーザの操作により、該ユーザが保存したい画像データを受け付ける保存受付部と、前記保存受付部で受け付けられた画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールを作成するメール作成部と、前記メール作成部で作成された電子メールを、前記メールアドレスを宛先として送信するメール送信部と、リスト表示部と、前記情報処理装置のユーザの操作により、画像データのリストの表示を受け付けて、前記メールボックスに保存された電子メールの中で、前記情報処理装置を利用して送信された電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データのリストを前記リスト表示部に表示させる表示受付部と、前記リスト表示部に表示された画像データのリストから前記ユーザの操作により、画像データの指定を受け付ける指定受付部と、前記指定受付部で指定された画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールを前記メールサーバに要求し、前記メールサーバから送られた前記電子メールを受信するメール受信部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、情報処理装置のユーザが保存したい画像データは添付ファイル形式によって、インターネット上のメールサーバに割り当てられたそのユーザのメールボックスに保存される。ユーザはリストを見て画像データを指定すると、指定された画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールがメールサーバから情報処理装置に送られる。したがって、情報処理装置がドキュメントボックスを備えていなくても、情報処理装置のユーザは情報処理装置がドキュメントボックスを備えているのと同様の機能を利用することができる。
【0009】
上記構成において、前記情報処理装置のユーザが前記メールサーバを利用して電子メールを送受信する場合に用いるメールアドレス、ID、パスワード及び前記メールサーバのアドレスを含む情報を記憶した記憶媒体を読み取る記憶媒体読取部をさらに備えており、前記情報処理装置は、前記記憶媒体読取部で読み取られた前記記憶媒体に記憶された情報を用いて前記メールサーバと通信する、ようにすることができる。
【0010】
この構成によれば、情報処理装置のユーザはメールサーバとの通信に必要な設定をすることなく、情報処理装置にドキュメントボックスが備えられているのと同様の機能を利用することができる。特に、複数の情報処理装置がインターネットに接続されている場合、ユーザは記憶媒体を携帯していれば、情報処理装置にドキュメントボックスが備えられているのと同様の機能を、どの情報処理装置においても利用することができる。
【0011】
上記構成において、前記メール作成部は、前記メールアドレスを宛先とする電子メールの中で前記情報処理装置を利用して送信された電子メールであることを特定できる特定情報をヘッダ情報に含む電子メールを作成する、ようにすることができる。
【0012】
この構成によれば、ユーザのメールボックスに保存される電子メールについて、情報処理装置を利用して送信された電子メールとその他の電子メールとを特定情報により区別できる。したがって、例えばメールボックスをドキュメントボックスとその他の電子メール用ボックスに分けることが可能となる。ドキュメントボックスには情報処理装置を利用して送信された電子メールが保存される。その他の電子メール用ボックスにはそれ以外の装置を利用して送信された電子メールが保存される。
【0013】
上記構成において、ヘッダ情報に前記特定情報が含まれる電子メールが保存されるドキュメントボックスを前記メールボックスに作成するドキュメントボックス作成部をさらに備える、ようにすることができる。
【0014】
この構成によれば、ユーザのメールボックスにドキュメントボックスを作成することができる。情報処理装置を利用して送信された電子メールはドキュメントボックスに保存されるので、その他の電子メールと区別できる。したがって、リストを作成する場合にヘッダ情報に特定情報が含まれるか否かの判断が不要となるため、リストの作成の高速化が図れる。
【0015】
上記構成において、前記メール受信部は、前記指定受付部で指定された画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールのコピーを前記メールサーバに要求し、前記メールサーバから送られた前記電子メールのコピーを受信する、ようにすることができる。
【0016】
この構成によれば、電子メールのコピーをメール受信部が受信する。電子メールのオリジナルをメールボックスに保存しておくことにより、次回もその電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データを利用することができる。
【0017】
上記構成において、前記情報処理装置は画像形成装置であり、前記メール受信部で受信された前記電子メールのコピーに添付ファイルとして付けられている画像データに基づいて、用紙に画像を形成する画像形成部をさらに備える、ようにすることができる。
【0018】
この構成は情報処理装置を画像形成装置に適用したものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、情報処理装置がドキュメントボックスを備えていなくても、情報処理装置がドキュメントボックスを備えているのと同様の機能を情報処理装置のユーザは利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造の概略を示す図である。
【図2】上記画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】情報処理装置が上記画像形成装置の態様において、画像形成装置がドキュメントボックスを備えているのと同様の機能を実現する構成のブロック図である。
【図4】上記画像形成装置を利用して画像データをメールサーバのドキュメントボックスに保存する処理のフローチャートである。
【図5】上記画像形成装置を利用して画像データを保存する時の操作画面を示す図である。
【図6】上記画像形成装置を利用してメールサーバのドキュメントボックスに保存された画像データを受け取る処理のフローチャートである。
【図7】上記画像形成装置を利用して画像データを受け取る時の操作画面において、リストが表示された画面を示す図である。
【図8】上記画像形成装置を利用して画像データを受け取る時の操作画面において、画像データから生成された画像が表示された画面を示す図である。
【図9】情報処理装置をパソコンに適用した態様において、図3と対応するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造の概略を示す図である。画像形成装置1は情報処理装置の一例である。画像形成装置1は例えば、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリの機能を有するデジタル複合機に適用することができる。画像形成装置1は装置本体100、装置本体100の上に配置された原稿読取部200、原稿読取部200の上に配置された原稿給送部300及び装置本体100の上部前面に配置された操作表示部400を備える。
【0022】
原稿給送部300は自動原稿送り装置として機能し、原稿載置部301に置かれた複数枚の原稿を連続的に原稿読取部200に送ることができる。
【0023】
原稿読取部200はCCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等を搭載したキャリッジ201、ガラス等の透明部材により構成された原稿台203、及び原稿読取スリット205を備える。原稿台203に載置された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿台203の長手方向に移動させながらCCDセンサにより原稿を読み取る。これに対して、原稿給送部300から給送された原稿を読み取る場合、キャリッジ201を原稿読取スリット205と対向する位置に移動させて、原稿給送部300から送られてきた原稿を、原稿読取スリット205を通してCCDセンサにより読み取る。CCDセンサは読み取った原稿を画像データとして出力する。
【0024】
装置本体100は用紙貯留部101、画像形成部103及び定着部105を備える。用紙貯留部101は装置本体100の最下部に配置されており、用紙の束を貯留することができる用紙トレイ107を備える。用紙トレイ107に貯留された用紙の束において、最上位の用紙がピックアップローラ109の駆動により、用紙搬送路111へ向けて繰り出される。用紙は用紙搬送路111を通って、画像形成部103へ搬送される。
【0025】
画像形成部103は搬送されてきた用紙にトナー画像を形成する。画像形成部103は感光体ドラム113、露光部115、現像部117及び転写部119を備える。露光部115は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)に対応する光を生成し、一様に帯電された感光体ドラム113の周面に照射する。これにより、感光体ドラム113の周面には画像データに対応する静電潜像が形成される。この状態で感光体ドラム113の周面に現像部117からトナーを供給することにより、周面には画像データに対応するトナー画像が形成される。このトナー画像は転写部119によって先ほど説明した用紙貯留部101から搬送されてきた用紙に転写される。
【0026】
トナー画像が転写された用紙は定着部105に送られる。定着部105において、トナー画像と用紙に熱と圧力が加えられて、トナー画像を用紙に定着させる。用紙はスタックトレイ121又は排紙トレイ123に排紙される。
【0027】
操作表示部400にはハードキーからなる操作キーが設けられている。具体的にはスタートキー401、テンキー403、ストップキー405、リセットキー407、コピー、プリンタ、スキャナ及びファクシミリを切り換えるための機能切換キー409等が設けられている。また、操作表示部400にはタッチパネル411が設けられている。タッチパネル411の画面には各種の操作及び動作の内容等が表示されると共にソフトキーからなる操作キーが表示される。
【0028】
図2は図1に示す画像形成装置1の電気的な構成を示すブロック図である。画像形成装置1は装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300、操作表示部400、MPU(Micro Processing Unit)500、通信部600及びメモリ部700がバスによって相互に接続された構成を有する。装置本体100、原稿読取部200、原稿給送部300及び操作表示部400に関しては図1で説明しているので、説明を省略する。
【0029】
MPU500は画像形成装置1を動作させるために必要な制御を、画像形成装置1を構成する上記ハードウェアに対して実行する。
【0030】
通信部600はファクシミリ通信部601及びネットワークI/F部603を備える。ファクシミリ通信部601は相手先ファクシミリとの電話回線の接続を制御するNCU(Network Control Unit)及びファクシミリ通信用の信号を変復調する変復調回路を備える。ファクシミリ通信部601は電話回線605に接続される。
【0031】
ネットワークI/F部603はLAN(Local Area Network)607に接続される。ネットワークI/F部603はLAN607に接続されたパソコン等の端末装置との間で通信を実行するための通信インターフェイス回路である。
【0032】
メモリ部700はROM(Read Only Memory)701、RAM(Random Access Memory)703及び画像メモリ705を備える。ROM701は画像形成装置1の動作の制御に必要なソフトウェアを記憶しており、フラッシュメモリ等により実現される。
【0033】
RAM703はソフトウェアの実行時に発生するデータの一時的な記憶及びアプリケーションソフトの記憶等に利用される。RAM703はSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により実現される。
【0034】
画像メモリ705は画像データ(原稿読取部200から出力された画像データ、パソコンから送信された画像データ、ファクシミリ受信の画像データ等)を一時的に記憶する。画像メモリ705はDRAM等で実現される。
【0035】
本実施形態は情報処理装置の一例である画像形成装置1がドキュメントボックスを備えていなくても、画像形成装置1がドキュメントボックスを備えているのと同様にしたことを一つの特徴とする。本実施形態では画像形成装置1とインターネット上のメールサーバのメールボックスとを組み合わせて、画像形成装置1がドキュメントボックスを備えているのと同様の機能を実現している。図3はこの機能に関連する画像形成装置1及びメールサーバ3のブロック図である。
【0036】
画像形成装置1はインターネットを利用してメールサーバ3と通信することができる。メールサーバ3はプロバイダー等によって有料又は無料で提供される。画像形成装置1の各ユーザにはメールサーバ3を利用した電子メールの送受信ができるメールアドレスが付与されていると共にそのメールアドレスを宛先とする電子メールが保存されるメールボックス5が割り当てられている。例えば、画像形成装置1のユーザAはユーザA用のメールアドレスとメールボックス5、ユーザBはユーザB用のメールアドレスとメールボックス5、・・・を有する。
【0037】
メールサーバ3はSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)サーバ7及びPOP(Post Office Protocol)3サーバ9を備える。SMTPサーバ7はメールサーバ3のユーザの電子メールを送信するためのサーバである。POP3サーバ9はメールサーバ3のユーザの電子メールを受信するためのサーバである。メールサーバ3のユーザには画像形成装置1のユーザが含まれる。
【0038】
画像形成装置1の各ユーザのメールボックス5について、ユーザAを例にして説明する。メールボックス5はドキュメントボックス11とその他の電子メール用ボックス13に分けられている。ドキュメントボックス11には画像形成装置1を利用して送信されたユーザAのメールアドレスを宛先とする電子メールが保存される。その他の電子メール用ボックス13には画像形成装置1以外からのユーザAのメールアドレスを宛先とする電子メールが保存される。したがって、ユーザAのメールアドレスを宛先とする電子メールは、画像形成装置1から送信された電子メールとその他の電子メールに分けられる。
【0039】
これを実現するために、電子メールを作成する際にヘッダ情報に特定情報を含めている。特定情報とはXML(eXtensible Markup Language)言語であれば、例えば、<XML=KYM−Mail Box>である。これは画像形成装置1のユーザ(ユーザA、ユーザB、・・・)のメールアドレスを宛先とする電子メールの中で、画像形成装置1を利用して送信された電子メールであることを特定できる情報である。セキュリティのために特定情報を暗号化してもよい。ドキュメントボックス11は、メールボックス5に保存される電子メールの中でヘッダ情報に特定情報が含まれる電子メールか否かを判断して、ヘッダ情報に特定情報が含まれる電子メールを保存する。
【0040】
ドキュメントボックス11にはリスト管理ファイル15が格納されていると共にコピー作成部17が形成されている。リスト管理ファイル15はドキュメントボックス11に保存されている電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データのリストを作成する。コピー作成部17はドキュメントボックス11に保存されている電子メールのコピーを作成する。ユーザB等の他のユーザのメールボックス5はユーザAのメールボックス5と同じ構造を有する。
【0041】
画像形成装置1は記憶媒体読取部21、ドキュメントボックス作成部23、保存受付部25、メール作成部27、メール送信部29、表示受付部31、リスト表示部33、指定受付部35、メール受信部37、画像生成部39及び画像表示部41を備える。
【0042】
記憶媒体読取部21は記憶媒体43を読み取る機能を有しており、カードリーダ等により実現される。記憶媒体43としてはIC(Integrated Circuit)カード、磁気カード等のカード又は携帯電話等を用いることができる。記憶媒体43は画像形成装置1の各ユーザに用意されている。記憶媒体43にはメールサーバ3のアドレス、本実施形態ではSMTPサーバ7のアドレス及びPOP3サーバ9のアドレスが記憶されている。これらの情報に加えて、記憶媒体43には各ユーザの情報が記憶されている。例えばユーザAであれば、メールサーバ3を利用して電子メールを送受信する場合に用いるユーザAのメールアドレス、ID及びパスワードがユーザA用の記憶媒体43に記憶されている。
【0043】
画像形成装置1は記憶媒体読取部21で読み取られた記憶媒体43に記憶された情報を用いてメールサーバ3と通信する。図3に示す画像形成装置1の構成の中でメールサーバ3の通信と関係するのは、ドキュメントボックス作成部23、メール送信部29、表示受付部31及びメール受信部37である。
【0044】
ドキュメントボックス作成部23はユーザのメールボックス5にそのユーザのドキュメントボックス11を作成する機能を有する。ドキュメントボックス作成部23はユーザがドキュメントボックス11の使用を開始する時に機能する。例えばユーザAがドキュメントボックス11の使用を開始する場合、ユーザAの記憶媒体43を記憶媒体読取部21に読み取らせる。画像形成装置1、ここではドキュメントボックス作成部23がメールサーバ3と通信しながら、ユーザAのメールボックス5にドキュメントボックス11を自動的に作成する。ドキュメントボックス作成部23はドキュメントボックス11の作成後、リスト管理ファイル15及びコピー作成部17をドキュメントボックス11に作成する。以上によって、ユーザAはドキュメントボックス11を使用することができる。ドキュメントボックス作成部23は図2に示すMPU500、ネットワークI/F部603及びメモリ部700等により実現される。
【0045】
保存受付部25は画像形成装置1のユーザの操作により、該ユーザが保存したい画像データを受け付ける機能を有する。ここでの画像データとは、例えばユーザが画像形成装置1でコピーした原稿の画像データである。保存受付部25は操作表示部400、MPU500及びメモリ部700等によって実現される。
【0046】
メール作成部27は保存受付部25で受け付けられた画像データを添付ファイルとし、ヘッダ情報に上記特定情報が含まれる電子メールを作成する機能を有する。メール作成部27はMPU500及びメモリ部700等によって実現される。
【0047】
メール送信部29はメール作成部27で作成された電子メールを送信する機能を有する。電子メールの宛先は記憶媒体43に記憶されているメールアドレスである。ユーザAであれば、ユーザAのメールアドレスが宛先となる。メール送信部29はMPU500、ネットワークI/F部603及びメモリ部700等によって実現される。
【0048】
メール送信部29から送信された電子メール、すなわち画像形成装置1を利用して送信された電子メールは、LAN607及びインターネットを経由してメールサーバ3に送られて、メールボックス5のドキュメントボックス11に保存される。ユーザAであれば、ユーザAのメールボックス5のドキュメントボックス11に保存される。
【0049】
以上がドキュメントボックス11に画像データを保存する機能ブロックに関する説明である。ドキュメントボックス11に保存された画像データの取り出しには、次の機能ブロックが用いられる。
【0050】
表示受付部31は画像処理装置1のユーザの操作により、画像データのリストの表示を受け付けて、画像データのリストをリスト表示部33に表示させる機能を有する。表示受付部31は図2に示す操作表示部400、MPU500、ネットワークI/F部603及びメモリ部700等によって実現される。リスト表示部33はタッチパネル411によって実現される。
【0051】
画像データのリストとはメールボックス5に保存された電子メールの中で、画像形成装置1を利用して送信された電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データのリストである。画像形成装置1を利用して送信された電子メールとは、ヘッダ情報に特定情報が含まれる電子メールである。したがって、ドキュメントボックス11に保存された電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データがリストの対象となる。リストはリスト管理ファイル15で作成される。
【0052】
画像形成装置1を利用して送信された電子メールにはヘッダ情報に特定情報が含まれるので、ドキュメントボックス11を設けなくても、メールボックス5に保存された電子メールの中から画像形成装置1を利用して送信された電子メールを特定できる。したがって、本実施形態においてドキュメントボックス11を備えない態様も可能である。しかし、画像形成装置1を利用して送信された電子メールをドキュメントボックス11に保存するようにすれば、リスト管理ファイル15でリストを作成する場合にヘッダ情報に特定情報が含まれるか否かの判断が不要となるので、リストの作成の高速化が図れる。
【0053】
指定受付部35はリスト表示部33に表示された画像データのリストからユーザの操作により、画像データの指定を受け付ける機能を有する。指定受付部35は操作表示部400、MPU500及びメモリ部700等によって実現される。
【0054】
メール受信部37は指定受付部35で指定された画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールのコピーをメールサーバ3に要求し、メールサーバ3から送られた電子メールのコピーを受信する機能を有する。電子メールのコピーとしたのは、電子メールのオリジナルをドキュメントボックス11に保存しておくことにより、次回もその電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データを利用できるようにするためである。メールサーバ3は電子メールのコピーをコピー作成部17に作成させる。メール受信部37はMPU500、ネットワークI/F部603及びメモリ部700等によって実現される。なお、電子メールのコピーを作成することなく、メール受信部37が電子メールのオリジナルを受信する態様でもよい。この態様ではコピー作成部17が不要となる。
【0055】
画像生成部39はメール受信部37で受信した電子メールのコピーに添付ファイルとして付けられた画像データから画像を生成する。画像生成部39はMPU500及びメモリ部700等によって実現される。
【0056】
画像表示部41は画像生成部39で生成された画像を表示する。画像表示部41はタッチパネル411によって実現される。
【0057】
本実施形態では画像データを、画像形成装置1を利用して、インターネット上のメールサーバ3に設けられたドキュメントボックス11に保存することができる。図4はこれを説明するフローチャートである。ユーザAを例にして説明する。
【0058】
ユーザAは記憶媒体43を記憶媒体読取部21に読み取らせて、ドキュメントボックス11を利用する機能にログインする(ステップS1)。読み取られた情報は画像形成装置1のメモリ部700に格納される。情報とは上述したように、ユーザAがメールサーバ3を利用して電子メールを送受信する場合に用いるメールアドレス、ID、パスワード、SMTPサーバ7のアドレス及びPOP3サーバ9のアドレスである。
【0059】
ユーザAは画像データを用いる処理、例えば、画像形成装置1を利用してコピーをする(ステップS3)。コピー終了後、保存受付部25によって図2のタッチパネル411に図5に示す操作画面51が表示される(ステップS5)。操作画面51にはコピーした原稿の画像53及びソフトキー55,57,59が含まれる。コピーした原稿が複数枚であれば、ソフトキー55を操作することにより、各ページの画像53を表示させることができる。ソフトキー57を操作すれば、操作画面51が閉じられて画像形成装置1においてドキュメントボックス11を利用する機能がログオフされる。
【0060】
ユーザAはコピーした原稿の画像データをユーザAのドキュメントボックス11に保存したい場合(ステップS7でYes)、図2に示す操作表示部400のキーを操作してファイル名を入力し、ソフトキー59を操作する。
【0061】
これにより、コピーした原稿の画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールがメール作成部27によって作成される。この電子メールのヘッダ情報には上述した特定情報が含まれる。画像データの量が多ければ圧縮形式の添付ファイルにされる。この電子メールはメール送信部29によってユーザAのメールアドレスを宛先として送信される(ステップS9)。
【0062】
メール送信部29から、すなわち画像形成装置1を利用して送信された電子メールは、LAN607及びインターネットを経由してメールサーバ3のSMTPサーバ7に送られ、SMTPサーバ7よってユーザAのメールボックス5に設けられたドキュメントボックス11に保存される(ステップS11)。
【0063】
電子メールの保存後又は画像データの保存をしない場合(ステップS7でNo)、ソフトキー57を操作する。これにより、画像形成装置1においてドキュメントボックス11を利用する機能がログアウトされる(ステップS13)。
【0064】
以上によって、ユーザAが画像形成装置1を利用してコピーした原稿の画像データは、ユーザAのメールボックス5のドキュメントボックス11に保存される。
【0065】
次にドキュメントボックス11に保存された画像データを画像形成装置1で受け取る操作について、ユーザAを例にして説明する。図6はこれを説明するフローチャートである。
【0066】
ステップS21のログインは図4のステップS1のログインと同じである。次に、ユーザAは図2に示す操作表示部400のキーを操作して、表示受付部31によって画像データのリストをタッチパネル411に表示させる(ステップS23)。図7に示すように、タッチパネル411にはリスト61を含む操作画面63が表示されている。リスト61は各画像データの情報が表示された情報領域65に区分けされている。情報領域65には画像データのファイル名、保存日、ファイル形式及びデータ量等が表示されている。図7では5つの画像データのリスト61が表示されている。画像データが5つよりも多ければ、ソフトキー55を操作することにより、他の画像データのリスト61に切り替えることができる。
【0067】
リスト61は図3に示すユーザAのドキュメントボックス11に格納されたリスト管理ファイル15に記憶されている。ここに記憶されたリスト61はドキュメントボックス11から表示受付部31に送られてメモリ部700に格納された後、タッチパネル411に表示される。リスト管理ファイル15はドキュメントボックス11に保存される電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データのリストを管理する。例えば、ユーザAのドキュメントボックス11に電子メールが保存される場合(図4のステップS11)、その電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データの情報(ファイル名、保存日等)をリスト61に追加する。また、ユーザAのドキュメントボックス11に保存された電子メールが削除された場合、その電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データの情報をリスト61から削除する。さらに、画像データの情報がリスト61に追加された場合、追加後のリスト61に掲載されている画像データのファイル名等とユーザAのドキュメントボックス11に保存されている電子メールに添付ファイルとして付けられている画像データのファイル名等が整合するか確認する。削除された場合も同様に整合するか確認する。
【0068】
なお、リスト61は画像形成装置1で作成することもできる。この場合はメール送信部29が電子メールを送信する毎に、画像形成装置1がリスト管理ファイル15に記憶されているリストを受信して、画像データのリストを更新し、更新したリストをリスト管理ファイル15に送信する。
【0069】
図6の説明に戻る。ユーザAは利用したい画像データの情報領域65をタッチすることにより、利用したい画像データを指定する(ステップS25)。すなわち、表示されたリスト61からユーザAの操作により、画像データの指定が指定受付部35によって受け付けられる。メール受信部37は、指定された画像データが添付ファイルとして付けられている電子メールのコピーをメールサーバ3に要求する。この電子メールのコピーはユーザAのドキュメントボックス11に形成されているコピー作成部17で作成される。POP3サーバ9はユーザAのドキュメントボックス11から電子メールのコピーを取り出して、画像形成装置1へ送信し、メール受信部37が電子メールのコピーを受信する(ステップS27)。受信した電子メールのコピーはメモリ部700に格納される。
【0070】
画像生成部39は電子メールに付けられた添付ファイルを開けて、画像データから画像を生成する。そして図8に示すように、画像生成部39によって生成された画像67含む操作画面69が、タッチパネル411に表示される(ステップS29)。画像67が複数ページであれば、ソフトキー55を操作することにより、各ページを表示させることができる。ソフトキー71を操作すれば、図7に示す操作画面63に戻る。
【0071】
ユーザAは画像67を印刷したい場合(ステップS31でYes)、ソフトキー73を操作することにより、画像形成装置1は画像67を用紙に記録して出力する。画像67の印刷後又は画像の印刷をしない場合(ステップS31でNo)、ソフトキー57を操作する。これにより、画像形成装置1においてドキュメントボックス11を利用する機能がログアウトされる(ステップS33)。ログアウトすることにより、リスト61、電子メールのコピー及び画像67は画像形成装置1のメモリ部700から消去される(ステップS35)。
【0072】
本実施形態の主な効果は以下の通りである。
【0073】
(1)画像形成装置1のユーザが画像データを保存したい場合、図5に示すようにファイル名を入力し、ソフトキー59を操作する。これにより、画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールの作成及び送信が自動的に実行されて、画像データは添付ファイル形式によって、そのユーザに割り当てられたメールボックス5のドキュメントボックス11に保存される。
【0074】
また、画像形成装置1のユーザがドキュメントボックス11に保存した画像データを利用(例えば印刷)したい場合、図7に示すようにリスト61を見て利用したい画像データを指定する。これにより、指定された画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールのコピーが自動的に作成されて画像形成装置1へ送られる。
【0075】
以上のように本実施形態によれば、画像形成装置1がドキュメントボックスを備えていなくても、画像形成装置1のユーザは画像形成装置1にドキュメントボックスが備えられているのと同様の機能を利用することができる。
【0076】
(2)本実施形態では画像データの保存と受け取りに電子メールの送受信を利用している。(1)で説明したように本実施形態では画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールの作成及び送信並びに画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールのコピー及び受信が自動的に実行される。したがって、電子メールの送受信をユーザに意識させることなく、インターネット上のメールサーバ3に設けられたドキュメントボックス11を利用することができる。
【0077】
(3)本実施形態によれば無料のメールサーバ3を利用することにより、ドキュメントボックス11を無料で利用することができる。
【0078】
(4)本実施形態によれば、画像形成装置1とメールサーバ3の通信に必要な情報が記憶媒体43に記憶されている。したがって、画像形成装置1のユーザはメールサーバ3との通信に必要な設定をすることなく、画像形成装置1にドキュメントボックスが備えられているのと同様の機能を利用することができる。特に、複数の画像形成装置1がインターネットに接続されている場合、ユーザは記憶媒体43を携帯していれば、どの画像形成装置1においてもドキュメントボックスが備えられているのと同様の機能を利用することができる。
【0079】
以上は情報処理装置を画像形成装置1に適用した態様である。次に情報処理装置をパソコンに適用した態様について説明する。図9は情報処理装置をパソコン81に適用した態様のブロック図であり、図3と対応する。
【0080】
画像形成装置1の各ユーザのパソコン81及び画像形成装置1はLAN607によって接続されている。LAN607はインターネットに接続されている。メールサーバ3と通信するのに必要な情報が各ユーザのパソコン81に予め設定されている。情報とは上述したように、ユーザがメールサーバ3を利用して電子メールを送受信する場合に用いるメールアドレス、ID、パスワード、SMTPサーバ7のアドレス及びPOP3サーバ9のアドレスである。したがって、情報処理装置がパソコン81の態様では図3の記憶媒体43及び記憶媒体読取部21が不要である。図3に示す画像形成装置1に備えられる構成の中で、記憶媒体読取部21以外の構成がパソコン81に備えられている。
【0081】
パソコン81を利用した画像データの保存と受け取りは画像形成装置1を利用したそれらと同じである。例えばユーザAがパソコン81で画像ファイルの印刷を指示した場合で説明する。ユーザAがパソコン81で画像ファイルの印刷を指示すると、画像形成装置1がその画像ファイルの画像を用紙に記録して出力する。保存受付部25はパソコン81のディスプレイにその画像データをドキュメントボックス11に保存するか否かを選択させる画面を表示させる。ユーザAが保存を選択した場合、メール作成部27によって、画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールが作成される。電子メールはユーザAのメールアドレスを宛先としてメール送信部29によって送信される。送信された電子メールはメールサーバ3に設けられたユーザAのメールボックス5のドキュメントボックス11に保存される。
【0082】
なお、ユーザAが画像データの保存を選択した場合、ユーザAであることを認証するために、ユーザAのIDとパスワードを入力させるようにしてもよい。
【0083】
情報処理装置をパソコン81に適用した態様は情報処理装置を画像形成装置1に適用した態様と同じく、画像形成装置1がドキュメントボックス11を備えていなくても、ユーザは画像形成装置1がドキュメントボックス11を備えているのと同様の機能を利用することができる。
【0084】
本実施形態では画像形成装置1がドキュメントボックスを備えていない態様について説明した。図9に示すパソコン81はユーザがドキュメントボックスと同様の機能を利用できるのに必要な構成を備えている。したがって、パソコン81が画像形成装置1に接続されていなくてもよい。この場合はパソコン81がドキュメントボックスを備えていなくても、パソコン81のユーザはパソコン81がドキュメントボックス11を備えているのと同様の機能を利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 画像処理装置(情報処理装置の一例)
3 メールサーバ
5 メールボックス
11 ドキュメントボックス
43 記憶媒体
51 操作画面
53 コピーした原稿の画像
55,57,59 ソフトキー
61 リスト
63 操作画面
65 情報領域
67 画像
69 操作画面
71,73 ソフトキー
81 パソコン(情報処理装置の一例)
411 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メールサーバとインターネットを利用して通信することができる情報処理装置であって、
前記情報処理装置のユーザには、前記メールサーバを利用した電子メールの送受信ができるメールアドレスが付与されていると共に前記メールアドレスを宛先とする電子メールが保存されるメールボックスが割り当てられており、前記情報処理装置のユーザの操作により、該ユーザが保存したい画像データを受け付ける保存受付部と、
前記保存受付部で受け付けられた画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールを作成するメール作成部と、
前記メール作成部で作成された電子メールを、前記メールアドレスを宛先として送信するメール送信部と、
リスト表示部と、
前記情報処理装置のユーザの操作により、画像データのリストの表示を受け付けて、前記メールボックスに保存された電子メールの中で、前記情報処理装置を利用して送信された電子メールに添付ファイルとして付けられた画像データのリストを前記リスト表示部に表示させる表示受付部と、
前記リスト表示部に表示された画像データのリストから前記ユーザの操作により、画像データの指定を受け付ける指定受付部と、
前記指定受付部で指定された画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールを前記メールサーバに要求し、前記メールサーバから送られた前記電子メールを受信するメール受信部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置のユーザが前記メールサーバを利用して電子メールを送受信する場合に用いるメールアドレス、ID、パスワード及び前記メールサーバのアドレスを含む情報を記憶した記憶媒体を読み取る記憶媒体読取部をさらに備えており、
前記情報処理装置は、前記記憶媒体読取部で読み取られた前記記憶媒体に記憶された情報を用いて前記メールサーバと通信する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記メール作成部は、前記メールアドレスを宛先とする電子メールの中で前記情報処理装置を利用して送信された電子メールであることを特定できる特定情報をヘッダ情報に含む電子メールを作成する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ヘッダ情報に前記特定情報が含まれる電子メールが保存されるドキュメントボックスを前記メールボックスに作成するドキュメントボックス作成部をさらに備える、ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記メール受信部は、前記指定受付部で指定された画像データが添付ファイルとして付けられた電子メールのコピーを前記メールサーバに要求し、前記メールサーバから送られた前記電子メールのコピーを受信する、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は画像形成装置であり、
前記メール受信部で受信された前記電子メールのコピーに添付ファイルとして付けられている画像データに基づいて、用紙に画像を形成する画像形成部をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−154600(P2011−154600A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16507(P2010−16507)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】