説明

情報判断支援システム、情報監視方法及びサーバ装置

【課題】遠隔地の各監視者から送られる報告書に記載された事象について、中央にいる管理者がその知識や経験によらず状況の判断を迅速に行い、管理者及び各監視者の間で状況についての情報を共有する。
【解決手段】監視サーバ3が、遠隔地に配置された監視端末1a〜1eからネットワーク2を介して各遠隔地にいる監視者によって監視された事象についての情報を含むファイルを報告書として受信する受信部8と、監視される事象に関連付けられた複数のフォルダを記憶する記憶部9と、この報告書に含まれる事象についての情報に基づいて、この情報に対応するいずれかのフォルダにこの報告書を振り分ける振り分け処理部11と、各フォルダへ振り分けられた報告書に記載された事象についての情報を表示する表示部10と、表示部10に表示された情報に基づき管理者によって判断された監視対象の状況を監視端末1a〜1eへ送信する送信部8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の監視端末より送信される監視事象についての情報に基づき、各監視事象について所定の状況判断を行うことを支援する情報判断支援システム、情報判断支援システムにおける情報監視方法、及び情報判断支援システムに用いられるサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、監視業務においては、複数の監視事象から、人が総合的な検討を行って、監視対象の状況や状態を判断する場合がある。例えば衛星画像に含まれる特定地域の森林伐採面積の推移や、雨量計の観測値の変動といった事象を監視することによって、防災のための予測といった判断を人が行う。
【0003】
また、複数の監視すべき事象を、中央の監視センター等において管理者が一括して管理し、これらの事象の実際の監視は、遠隔地など別々の場所にいる複数の監視者によって行われることがある。例えば環境変化の状況を判断する場合、複数の場所について撮影された衛星画像の中の特定領域内における人あるいは車両の数の変動や、これらの場所における所定の音声周波数を有する騒音の出現回数を各監視者が監視し、管理者が、これらの数の変動や出現回数といった事象を一括管理する。
【0004】
このような場合には、それらの複数の監視者は、事象についての情報を自己の監視端末を用いて監視センターへ送り、この監視センターにいる管理者が各事象についての情報に基づいて、監視対象の状況を判断する。各監視者は、監視している事象に関して変化があった場合、監視端末を用いて事象の変化があった旨のファイルを報告書として監視センターの監視サーバに送信する。
【0005】
従来、遠方監視の技術に関しては、複数の被監視端末から送信されてくる監視情報を解析する解析用サーバを設け、この解析用サーバが、被監視端末のエラー動作の情報を取り出すフィルタリング機能と、緊急性のある状態か否かを識別する優先度設定機能とを備え、これらの2つの機能による解析結果を被監視端末に報告する遠方監視システムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−34713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、管理者が監視センターにおいて全ての監視事象を一元的に管理しているため、この管理者が各監視者からのファイルを報告書として受け取ったとしても、それらの報告書に記載されている事象についての全ての内容を管理者が把握しているとは限らない。管理者が事象についての内容を把握していない場合には、各監視端末から送られてきた報告書が複数の事象のうちのどの事象に関連するものであるかを管理者が速やかに判断することは難しい。
【0007】
事象の変化が起きた際に、将来起こりうる事態を予測すること、又は何らかの行動をとるべきか若しくはしばらく様子を見るべきかなどの対策を検討すること、といった状況についての判断を管理者及び遠隔地の各監視者が行って迅速な結論を得ることは困難である。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み、遠隔地に設けられた複数の監視端末からの報告書に記載された事象について管理者が持つ知識や経験にかかわらず、監視対象の状況についての判断を管理者が迅速に行えるようにし、管理者及び各監視者の間で監視対象の状況についての情報を共有できるようにした情報判断支援システム、情報監視方法、及びサーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1によれば、それぞれが遠隔地に配置されて、各遠隔地にいる監視者によって監視された事象についての情報をファイルに挿入し、このファイルを報告書として送信可能な複数の監視端末と、これらの監視端末から送信される情報を一元的に管理し、ネットワークを介してこれらの監視端末と通信する監視サーバとを具備し、この監視サーバが、前記複数の監視端末から送信された報告書を前記ネットワークを介して受信する受信部と、それぞれが各監視者によって監視される事象に関連付けられた複数のフォルダを記憶する記憶部と、前記受信部にて受信された前記報告書に含まれる事象についての情報に基づいて、この情報に対応するいずれかのフォルダにこの報告書を振り分ける振り分け処理部と、この振り分け処理部によって各フォルダへ振り分けられた報告書に記載された事象についての情報を表示する表示部と、この表示部によって表示された情報に基づき管理者によって判断された監視対象の状況を前記複数の監視端末へ送信する送信部と、を備えたことを特徴とする情報判断支援システムが提供される。
【0010】
本発明の請求項4によれば、それぞれ遠隔地に配置された複数の監視端末とネットワークを介して通信可能にされた監視サーバが、いずれかの遠隔地にいる監視者によって監視された事象についての情報を含むファイルを、これらの監視端末のうちのいずれかの監視端末から報告書として受信するステップと、この監視サーバが、この報告書に含まれる事象についての情報に基づいて、各監視者によって監視される事象に関連付けて記憶装置に記憶した複数のフォルダのうちのこの情報に対応するいずれかのフォルダに前記報告書を振り分けるステップと、前記監視サーバが、各フォルダへ振り分けた報告書に記載された事象についての情報を表示装置に表示させるステップと、前記監視サーバが、この表示装置に表示させた情報に基づき管理者によって判断された監視対象の状況を前記複数の監視端末へ送信するステップと、を備えたことを特徴とする情報監視方法が提供される。
【0011】
本発明の請求項5によれば、それぞれが遠隔地に配置された複数の監視端末から、ネットワークを介して、各遠隔地にいる監視者によって監視された事象についての情報を含むファイルを報告書として受信する受信部と、それぞれが各監視者によって監視される事象に関連付けられた複数のフォルダを記憶する記憶部と、前記受信部にて受信された前記報告書に含まれる事象についての情報に基づいて、この情報に対応するいずれかのフォルダにこの報告書を振り分ける振り分け処理部と、この振り分け処理部によって各フォルダへ振り分けられた報告書に記載された事象についての情報を表示する表示部と、この表示部によって表示された情報に基づき管理者によって判断された監視対象の状況を前記複数の監視端末へ送信する送信部と、を備えたことを特徴とするサーバ装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、遠隔地から送られてくる報告書についての管理者が持つ知識や経験によらず、管理者は監視対象の状況についての判断を迅速且つ的確に行うことが可能になり、中央にいる管理者及び遠隔地にいる監視者どうしが、連携して対象への監視を行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る情報判断支援システム、情報監視方法及びサーバ装置について、図1乃至図5を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0014】
(1)システム構成
本発明の一実施形態に係る情報判断支援システムは、システム管理者、及び遠隔地である複数の拠点にいる各監視者が、事象の変化が起きた際に送られるファイルに記載された情報を用いて、将来起こりうる事態を予測すること、又は何らかの行動をとるべきか若しくはしばらく様子を見るべきかなどの対策を検討すること、を行うことを支援するものである。
【0015】
図1は本実施形態に係る情報判断支援システムの構成図である。この情報判断支援システムは、それぞれが遠隔地に配置されて、各遠隔地にいる監視者によって監視された事象についての状況変化等の情報をファイルに挿入し、このファイルを報告書として送信可能な監視端末1a,1b,1c,1d及び1eと、通信回線であるネットワーク2と、これらの監視端末1a〜1eから送信される情報を一元的に管理し、ネットワーク2を介してこれらの監視端末1a〜1eと通信する監視サーバ3とから成る。
【0016】
事象とは、システム管理者が環境変化など監視対象の状況を判断するために用いられる事柄を指す。監視事象の具体例は、複数の地域の環境政策についてマスメディアから得られる情報や、複数の場所における所定の音声周波数のレベルの計測値あるいはこの音声周波数を有する騒音の出現回数である。複数の場所について撮影された航空写真あるいは衛星画像の中の特定領域内での人あるいは車両の数の変動、交通量の変化、及び建造物の数の増減などの値も監視事象の変化として集められる。監視端末1aは、監視事象の変化に関するレポートが記述されたファイルを作成し、このファイルを監視サーバ3へ送信する。
【0017】
図2は監視端末1aのブロック図である。監視端末1aは、報告書作成端末であって、データを送受信する送受信部4と、事象に関連するキーワードを含むファイルを報告書として作成する報告書作成部5と、情報を表示する表示部6と、監視している事象に変化があるかどうかを判定するための条件を設定する設定部7とを備えている。キーワードとは、例えば監視事象名や、監視事象について記述された文字列を指す。
【0018】
監視端末1aには例えばパソコンが用いられる。監視端末1aの近くには、事象を監視する監視者が待機しており、監視端末1aはこの監視者によって操作される。送受信部4の機能はパソコンの通信手段により実現される。報告書作成部5の機能はワープロソフトウェアにより実現される。表示部6にはディスプレイが用いられる。
【0019】
監視者が報告書を作成しているとき、報告書作成部5は、複数の監視事象名に対応する項目を並べたドロップダウンリストを表示部6に表示する。監視者によってこのドロップダウンリストから選択された監視事象名が報告書作成部5によって報告書に挿入される。文字列は監視者によるキーボードやマウスの操作によって報告書に記述される。
【0020】
設定部7は、報道内容の重要度や、音声周波数のレベルあるいは騒音の出現回数や、人あるいは車両の数についての閾値等、事象についての情報を監視サーバ3へ送るかどうかの条件を監視端末1aに設定する。設定部7にはキーボード、マウス、CPU(中央演算装置)、ROM及びRAM等が用いられる。
【0021】
監視端末1aは、自端末以外の他の監視端末1b、1c、1d及び1eが得た事象についての情報を閲覧可能になっており、設定部7は、他の監視端末1b〜1eにおいて得られた監視事象の情報を監視サーバ3経由で取得する際に取得するその情報の詳細設定をも行う。
【0022】
また、監視端末1b、1c、1d及び1eの構成も、監視端末1aの構成と同じである。
【0023】
これにより、各拠点において監視されている事象に関して変化があったと各監視者が判断した場合には、報告書作成部5は監視事象に関連するキーワードを含むファイルを作成する。各監視端末1a〜1eは、作成したファイルを報告書として監視サーバ3に宛てて送信する。
【0024】
図3は監視サーバ3のブロック図である。サーバ装置である監視サーバ3は、パソコンによって構成されており、送受信部8、記憶部9、表示部10、及び自動振り分け部11を備えている。
【0025】
送受信部8は、監視端末1a〜1eとの間でファイルを送受信するものである。送受信部8は、監視端末1a〜1eから送信された報告書をネットワーク2を介して受信する受信部として機能する。この送受信部8は、報告書に記載された事象についての状況変化等の情報に基づきシステム管理者によって判断された監視対象の状況を監視端末1a〜1eへ送信する送信部としても機能する。送受信部8にはパソコンの通信手段が用いられる。
【0026】
記憶部9は、それぞれが各監視者によって監視される事象に関連付けられた複数のフォルダを記憶する。図3の例では、本実施形態に係る情報判断システムが監視する全ての監視事象のうちの3つの監視事象A,B及びCにそれぞれ対応するフォルダ9A,9B及び9Cが、記憶部9に作成されている。これらの監視事象Aから監視事象Cのためのフォルダ9A〜9Cには、いずれも、予め適当な語句(例えばキーワードや文字列)が自動振り分け部11によって設定されている。
【0027】
全ての監視事象のうちのどの監視事象を記憶部9に作成するかについては、システム管理者によって決められる。これらのフォルダの作成は予めシステム管理者によって行われる。システム管理者は、全ての監視事象に対応するフォルダを記憶部9に作成しておいてもよい。記憶部9には、パソコンに内蔵又は増設されたハードディスクや、パソコンと挿抜可能なフラッシュメモリや、CD−RW、DVD−RWといった記憶媒体あるいは記録媒体が用いられる。
【0028】
表示部10は、自動振り分け処理部11によって各フォルダへ振り分けられた報告書に記載された事象についての情報を表示するものである。表示部10にはパソコンのディスプレイが用いられる。
【0029】
自動振り分け部11は、送受信部8にて受信された報告書に含まれる事象についての状況変化等の情報に基づいて、この情報に対応するいずれかのフォルダにこの報告書を振り分ける振り分け処理部である。自動振り分け部11は、予めフォルダ9A〜9Cに対してこれらのフォルダ9A〜9Cを識別するキーワードを設定しておき、報告書の中に3つのキーワードのうちのいずれかが含まれているか否かについての全文検索を行って、報告書を振り分ける。
【0030】
図4は自動振り分け部11のブロック図である。自動振り分け部11は、バッファ12と、キーワード設定部13と、抽出処理部14とを備えている。このバッファ12は、送受信部8からの報告書の検索用の検索対象ファイルを記憶する。キーワード設定部13は、キーワード(あるいは語句)を記憶するとともにこのキーワードをフォルダ9A〜9Cのそれぞれに設定するものである。
【0031】
抽出処理部14は、バッファ12に記憶された検索対象ファイルを全文検索し、この検索対象ファイルからフォルダ9A〜9Cのいずれかを識別するキーワードを抽出し、この検索対象ファイルに対応する報告書を記憶部9に作成されているフォルダ9A〜9Cのうちの抽出したキーワードに対応するフォルダに移す処理を行うものである。抽出処理部14によるキーワードの抽出処理は、検索対象ファイルに含まれるテキストと、キーワード設定部13に記憶された各キーワードとのマッチングをとることによって行われる。
【0032】
このキーワード設定部13に記憶されるキーワードや語句の設定については、監視サーバ3に、キーワード設定部13へのデータ書き込みを行える図示しない書き込み処理部が設けられており、これらのキーワードや語句は、システム管理者からの指令により、設定可能である。
【0033】
バッファ12及びキーワード設定部13にはRAMが用いられる。抽出処理部14の機能はファイルに含まれるキーワードを全文検索するプログラムにより実現される。
【0034】
これにより、監視端末1a,1b,1c,1d及び1eからの報告書は、監視事象A,B,C毎に設定されたキーワードにしたがって全文検索されて、各フォルダ9A〜9Cに自動的に振り分けられる。
【0035】
また、送受信部8は、監視端末1aに対して、この送り先の監視端末1a以外の他の監視端末1b〜1eが個別に取得した事象についての情報を送信する。同様に、監視端末1b、1c、1d及び1eに対して、それぞれ、送受信部8は、これらの送り先の監視端末1b〜1e以外の他の監視端末からの事象の情報を送信する。
【0036】
本実施形態に係る情報監視方法は、監視サーバ3が、いずれかの遠隔地にいる監視者によって監視された事象についての情報を含むファイルを、監視端末1a〜1eのうちのいずれかの監視端末から報告書として受信する。そして、監視サーバ3は、受信したこの報告書に含まれる事象についての情報に基づいて、記憶部9に記憶したフォルダ9A〜9Cのうちのこの情報に対応するいずれかのフォルダに報告書を振り分けて、各フォルダへ振り分けた報告書に記載された事象についての情報を表示部10に表示させ、そして、この表示部10に表示させた情報に基づきシステム管理者によって判断された監視対象の状況を監視端末1a〜1eへ送信する。
【0037】
(2)動作の説明
このような構成の本実施形態に係る情報判断支援システムの動作を説明する。
【0038】
図5は本実施形態に係る情報判断支援システムにおける情報監視管理方法を説明するためのフローチャートである。システム管理者は、監視サーバ3を操作して、キーワード設定部9に所望の語句を設定する。
【0039】
ステップA1においては、各監視端末1a〜1eの近くに待機している監視者は各々、各場所において、担当する監視事象、例えば各種のマスメディアによる情報や、計測値や出現回数などセンサにより収集される情報を利用して事象を監視している。
【0040】
ステップA2において、各監視者は、事象の変化が生じているかどうかを判定する。ステップA2において、事象の変化が生じていないと監視者が判断している間はNOルートを通り、事象の監視がそのまま続けられる。
【0041】
ステップA2において、事象の変化が生じたと監視者が判断した場合にはYESルートを通り、ステップA3において、監視者は自己の監視端末を用いてその監視事象に変化があった旨の文字列を報告書に記述し、監視対象名を選択して監視対象名を報告書に設定する。監視端末1a〜1eは、この報告書を、ネットワーク2を介して監視サーバ3宛てに送信する。
【0042】
なお、各監視者は、報告書への文字列の記述と、報告書への監視対象名の設定とのうちのいずれか一方だけを行うようにすることもできる。
【0043】
ステップA4において、監視サーバ3内の自動振り分け部11は、この送信された報告書に含まれているキーワードを検索し、報告書に付随する監視対象名を判断する手法などによって、監視事象フォルダ9A〜9Cのいずれかに振り分ける。これらの監視事象フォルダ9A〜9Cには、報告書が蓄積されていく。
【0044】
監視事象A,B,Cのフォルダ9A〜9Cに報告書が振り分けられる際に、システム管理者へメール等を用いてその旨を通知してもよく、このようにすれば、監視ミス等を防ぐことも可能である。
【0045】
ステップA5において、システム管理者は、各監視事象フォルダ9A〜9Cに入っている各監視端末1a〜1eからの報告書に含まれる情報を、表示部10を用いて監視することにより、監視対象の状況を判断する。
【0046】
ステップA6において、監視サーバ3は、システム管理者によって分析及び検討のうえ判断された監視対象の状況を、監視端末1a〜1eに対して送信する。このように、遠隔地にある各拠点において個別に集められた情報が監視センターに集約されるとともに、監視センターからの監視対象の全体の状況が各拠点にフィードバックされる。
【0047】
監視サーバ3は、監視端末1aに対して、監視端末1b〜1eが個別に集めた監視事象についての情報も送信する。同様に、監視端末1b、1c、1d及び1eは、それぞれ、自端末以外の他の監視端末が個別に集めた監視事象についての情報を監視サーバ3から送信される。
【0048】
いずれかの監視端末において監視された事象の進行の度合いが上がっていることを表示部6によって他の監視者が知った場合には、監視者は画面上の進行の度合いが表示される部分をクリックする。他の監視端末からの監視事象を閲覧することにより、他の遠隔地の監視者は、所望の拠点における詳細な情報を得ることができる。従って、監視端末1a〜1eが、互いの事象の進行の度合いを表示することによって、遠隔地にある拠点間の横のつながりが実現する。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る情報判断支援システムによれば、監視事象ごとに報告書を自動的に振り分けることによって、システム管理者は監視対象の状況について迅速且つ的確に判断を下すことが可能となる。
【0050】
また、各監視端末1a〜1eからの複数の報告書が、自動的に振り分けられるため、システム管理者が、受信した報告書の内容を熟知しておらず、あるいは内容判断についての経験が十分でない場合にも、監視対象について何らかの現象が起きる可能性が高まった事態であることを知ることができるようになる。
【0051】
事象についての情報は細部に亘ることもあり、各拠点において監視者は別々に監視業務を行っている。細部に亘る情報が報告書に書き込まれると、この報告書が監視サーバ3に送られても、システム管理者が報告書に記載された情報を理解できない場合があるが、本実施形態に係る情報判断支援システムによれば、システム管理者の知識や経験に依存することなく、システム管理者は的確に且つ確実に状況の判断を行えるようになる。
【0052】
このように、本発明のこの実施形態の情報判断支援システム、情報監視方法及びサーバ装置によれば、遠隔地にある複数の拠点が独立して事象を監視しており、これらの拠点からの報告書が中央に集められて、また、中央からの監視対象に関して集約された情報が遠隔地の拠点の間で共有されるようになり、これらの拠点の間で連携して監視業務を行えるようになる。
【0053】
(3)変形例
また、各拠点の監視者は、複数の事象を監視し、これらの事象の情報を含めたファイルを複数、監視サーバ3へ送るようにもできる。各監視端末1a〜1eから複数の報告書が監視サーバ3へ送られる場合においても、本実施形態に係る情報判断支援システムによれば、監視サーバ3が複数の報告書を機械的に振り分けることができるため、監視対象についての状況の判断や分析を行えるようになる。
【0054】
また、各監視端末1a〜1eに監視サーバ3からフィードバックされた全体情報が送信されるため、各監視者は、監視している事象の数が複数である場合にも、複数の事象のうちの特定の事象について注意して監視することができるようになる。全体情報のフィードバックによって、複数の拠点のうちの特定の地域や方面に属する拠点にいる監視者が、事象を強化して見ることもできるようになる。
【0055】
(4)その他
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0056】
上記の実施形態では、監視端末1a〜1eが、事象に関して状況変化等の情報を示す文字列やキーワードが記述されたファイルを報告書として作成していたが、これらの監視端末1a〜1eは、事象に関する複数の項目名をテンプレートとして予め書き込まれたファイルを用いてもよい。
【0057】
テンプレートを有する報告書を用いる場合には、事象についての変化があったときに、監視者がファイル中の複数の項目のうち所望の項目を選択したうえで、このファイルを報告書として監視サーバ3に宛てて送信する。
【0058】
上記の実施形態では、システム管理者がキーワードを報告書が送信される前に予め設定していたが、このキーワードを設定するタイミングは、一定時間間隔ごとでもよい。キーワードの設定のタイミングは、事象に何らかの変化が起きたときでもよい。このタイミングは各監視者あるいはシステム管理者によって決められる。
【0059】
上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報監視システムの構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る監視端末のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る監視サーバのブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る監視サーバの振り分け処理部のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る情報判断支援システムにおける情報監視管理方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1a,1b,1c,1d,1e…監視端末、2…ネットワーク、3…監視サーバ、4,8…送受信部、5…報告書作成部、6,10…表示部、7…設定部、9…記憶部、11…自動振り分け部(振り分け処理部)、12…バッファ、13…キーワード設定部、14…抽出処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが遠隔地に配置されて、各遠隔地にいる監視者によって監視された事象についての情報をファイルに挿入し、このファイルを報告書として送信可能な複数の監視端末と、
これらの監視端末から送信される情報を一元的に管理し、ネットワークを介してこれらの監視端末と通信する監視サーバとを具備し、
この監視サーバが、
前記複数の監視端末から送信された報告書を前記ネットワークを介して受信する受信部と、
それぞれが各監視者によって監視される事象に関連付けられた複数のフォルダを記憶する記憶部と、
前記受信部にて受信された前記報告書に含まれる事象についての情報に基づいて、この情報に対応するいずれかのフォルダにこの報告書を振り分ける振り分け処理部と、
この振り分け処理部によって各フォルダへ振り分けられた報告書に記載された事象についての情報を表示する表示部と、
この表示部によって表示された情報に基づき管理者によって判断された監視対象の状況を前記複数の監視端末へ送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする情報判断支援システム。
【請求項2】
前記振り分け処理部は、
前記受信部にて受信された報告書の検索用のファイルを記憶するバッファと、
前記各遠隔地にいる監視者又は前記管理者からの指令にしたがって設定可能なキーワードを記憶するとともにこのキーワードを前記いずれかのフォルダに設定するキーワード設定部と、
このバッファに記憶された検索用のファイルを全文検索し、この検索用のファイルから前記複数のフォルダのうちのいずれかを識別するキーワードを抽出し、前記検索用のファイルに対応する報告書を前記記憶部に作成されている複数のフォルダのいずれかに移す処理を行う抽出処理部と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の情報判断支援システム。
【請求項3】
前記送信部は、前記複数の監視端末に対して、これらの送り先の監視端末以外の他の監視端末が個別に取得した事象についての情報を送信することを特徴とする請求項1記載の情報判断支援システム。
【請求項4】
それぞれ遠隔地に配置された複数の監視端末とネットワークを介して通信可能にされた監視サーバが、いずれかの遠隔地にいる監視者によって監視された事象についての情報を含むファイルを、これらの監視端末のうちのいずれかの監視端末から報告書として受信するステップと、
この監視サーバが、この報告書に含まれる事象についての情報に基づいて、各監視者によって監視される事象に関連付けて記憶装置に記憶した複数のフォルダのうちのこの情報に対応するいずれかのフォルダに前記報告書を振り分けるステップと、
前記監視サーバが、各フォルダへ振り分けた報告書に記載された事象についての情報を表示装置に表示させるステップと、
前記監視サーバが、この表示装置に表示させた情報に基づき管理者によって判断された監視対象の状況を前記複数の監視端末へ送信するステップと、
を備えたことを特徴とする情報監視方法。
【請求項5】
それぞれが遠隔地に配置された複数の監視端末から、ネットワークを介して、各遠隔地にいる監視者によって監視された事象についての情報を含むファイルを報告書として受信する受信部と、
それぞれが各監視者によって監視される事象に関連付けられた複数のフォルダを記憶する記憶部と、
前記受信部にて受信された前記報告書に含まれる事象についての情報に基づいて、この情報に対応するいずれかのフォルダにこの報告書を振り分ける振り分け処理部と、
この振り分け処理部によって各フォルダへ振り分けられた報告書に記載された事象についての情報を表示する表示部と、
この表示部によって表示された情報に基づき管理者によって判断された監視対象の状況を前記複数の監視端末へ送信する送信部と、
を備えたことを特徴とするサーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−27365(P2009−27365A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187316(P2007−187316)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】