説明

情報収集システム及び方法

【課題】顔画像を登録処理を行うことなく、カメラで撮影された人物の家族構成を精度良く推定し、家族構成に応じたコンテンツを配信する。
【解決手段】顔検出部22は、カメラ13の撮影画像から、人間の顔を検出して、顔画像ファイルを作成し、顔認識部23は、認識を行い、カメラ13で撮影されているのがどの人物であるかを判定し、年齢判定部25はその人物の年齢判定を行い、性別判定部26はその人物の性別判定を行う。家族構成推定部33は、カメラ13で撮影された人物の年齢と性別とから、親子関係となる人物の年齢層差から親子関係を仮定し、兄弟姉妹関係となる人物の年齢層差から子供世代の兄弟姉妹関係を確定し、男性と女性との一対となる人物の性別から、夫婦関係を確定することで、家族構成を推定する。この家族構成に応じて、コンテンツサーバから配信するコマーシャルを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴者の家族構成を収集するのに用いて好適な情報収集システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタル放送やブロードバンド回線などの通信技術が発達し、このような通信技術に基づいて動画などのコンテンツをリアルタイム又はオンデマンドに配信する放送事業が本格的な成長段階に差し掛かっている。
【0003】
地上波を利用した従来のテレビジョン放送は、一方向の放送であるため、コマーシャルを配信する際、すべての視聴者に同一のコマーシャルを配信している。これに対して、インターネット放送事業では、リアルタイムかつオンデマンドなコンテンツ配信が可能であり、テレビジョン放送を視聴している人の年齢や性別、趣味や嗜好等に応じて、広告効率の高いコマーシャルを配信することが可能である。例えば、特許文献1には、地上波や衛星やケーブル等を媒体とした放送で、画像認識処理によってユーザを特定し、特定されたユーザの嗜好情報に基づき番組を提示することを可能にする番組選択装置が記載されている。
【0004】
また、テレビジョン放送のコンテンツの中には、不適切な番組やコマーシャルで、子供に見せたくないものもある。インターネット放送事業では、例えば特許文献2に示されているように、テレビジョン視聴者を顔認識によって特定し、特定された人物の視聴履歴情報に基づきテレビジョンの視聴制限の必要性を判定して、必要な視聴制限を行うことが可能である。
【0005】
また、カメラで撮影した画像から顔検出を行い、年齢や性別を推定するための技術としては、例えば、非特許文献1に示されるようなものが提案されている。
さらに、特許文献3には、「虹彩・網膜認証」「顔認証」システムを搭載し、テレビジョンを視聴しているユーザがどういう人物であるか、テレビジョン画面にユーザの目・顔が向いていて実際にテレビジョンを視聴しているかといった情報を放送局側にフィードバックできるようなテレビジョン受信機及び視聴情報収集機器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−311121号公報
【特許文献2】特開2008−182392号公報
【特許文献3】特開2008−278302号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】インターネット<URL:http://www.oki.com/jp/fse/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、インターネット放送事業では、テレビジョン放送の視聴者の年齢や性別、趣味や嗜好に応じて、コマーシャル等のコンテンツを配信することが可能である。ところが、従来では、視聴者を個人という単位で捉えており、家族という単位で視聴者を捉えてコンテンツの配信が行われていない。視聴者を家族という単位で捉え、家族構成に応じたコンテンツの配信が行えれば、より効率的にコンテンツ配信を行える。
【0009】
例えば、25歳の女性に対して旅行というジャンルのコマーシャルを配信する場合、独身女性なら、ハイセンスでラグジュアリーなホテルの人気が高く、一方、同じ25歳の女性でも、小さい子供がいる場合には、子供用の施設の整っているホテルを望んでいることが考えられる。したがって、同じ年齢、性別の人物でも、家族構成によって、レコメンドする広告は異なってくる。
【0010】
また、同じ人物に対するコマーシャルであっても、その人物が個人でテレビジョンを見ているときと、家族全体でテレビジョンを見ているときとでは、レコメンドするコマーシャルは異なってくる。例えば、その家族の父が一人でテレビジョンを見ている場合には、個人で楽しむゴルフのコマーシャル等が有効であるが、家族でテレビジョンを見ている場合には、レジャーランド等の家族全体で楽しむ場所のコマーシャルが有効になる。
【0011】
視聴者の家族構成は、視聴者の情報を予め放送事業者に登録しておけば、この登録情報から簡単に知ることができる。しかしながら、全ての視聴者の情報を集めて登録することは難しい。
そこで、本願出願人は、テレビジョン受信機の前にカメラを設け、このカメラで視聴者を撮影し、この撮影画像から視聴者の年齢や性別を推定して、家族構成を推測することを検討している。カメラの撮影画像から視聴者の年齢を推定するには、例えば、非特許文献1に示されているようなものを用いることができる。
【0012】
しかしながら、カメラの撮影画像から視聴者の年齢を推定して、家族構成を推定するためには、以下のような解決しなければならない課題がある。
先ず、従来の顔認識では、周囲の環境やカメラの撮影画像によっては、認識精度が著しく低下するという課題がある。すなわち、精度の高い顔認識を行うためには、テレビジョン受信機の前に設けられたカメラに向かって視聴者の顔が真っ直ぐに向けられており、また、視聴者の顔がある程度大きく撮影されている必要がある。また、周囲が暗かったり、明る過ぎたりすると、高い精度で顔認識を行うことはできない。家族を構成する人物がカメラの前に立ち、周囲環境の条件を整えて、顔画像を撮影して登録するようにすれば、顔画像の解析は簡単に行える。しかしながら、この場合には、視聴者に顔画像を登録させる処理が必要になる。
【0013】
次に、家族を構成する人物だけを抽出して家族構成推定を行わないと、家族構成推定結果が誤りになるという課題がある。すなわち、カメラの前にいるのは、常に家族を構成する人物であるとは限らない。来客が訪問し、カメラの前にいる可能性もある。したがって、家族構成推定を行う場合には、カメラで撮影された人物から、来客を除いて、家族構成推定を行う必要がある。しかしながら、カメラの撮影画像から得られる情報からでは、直接、来客がどうかは判定できない。
【0014】
さらに、複雑な家族構成を考慮しなければならないという課題がある。すなわち、家族を構成する人数は、様々である。3世代家族や、おじ、おばとの同居等、家族構成には様々の形態がある。したがって、様々な人数や家族形態を考慮して、家族構成推定を行う必要がある。
【0015】
上述の課題を鑑み、本発明は、顔画像を登録処理を行うことなく、カメラで撮影された人物の家族構成を精度良く推定できる情報収集システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するために、本発明は、人物の顔が撮影された顔画像に基づいて、人物の年齢と性別とを判定する顔認識システムから出力される判定結果が入力される情報収集システムであって、定められた家庭内の複数の人物の顔画像を撮影するカメラと、カメラによって撮影された顔画像に基づいて、顔認識システムによって判定され出力される判定結果が記憶される顔データベースと、判定結果が示す年齢及び性別に応じて家庭内の家族構成の関係を辿り家族構成を判定する家族構成推定手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、家族構成推定手段が、顔データベースに記憶された判定結果によって示される複数の人物の年齢層差および性別に基づいて人物間の親子関係および兄弟姉妹関係を判定し、年齢層差および性別に基づいて、男性と女性との一対となる人物の夫婦関係を判定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、家族構成推定手段が、複数の人物の外出パターンを判定し、外出パターンと、カメラによって人物が撮影された時間帯とに基づいて人物が来客であるか否かを判定し、家族構成を判定する際に、来客であると判定された人物を除外することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、カメラによって撮影された顔画像に基づく顔認識の難易度を判定する認識難易度判定手段を有し、家族構成推定手段が、家族構成を判定する際に、認識難易度判定手段により判定された難易度が所定値以上であり顔認識が困難であると判定された顔画像を除外することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、認識難易度判定手段が、カメラで撮影された顔画像の属性により、認識難易度を判定することを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、情報収集システムが、定められた複数のコンテンツのうちコンテンツ要求に応じたコンテンツを配信するコンテンツサーバと、コンテンツを受信して表示するテレビジョン受信機とに接続され、家族構成推定手段によって判定された家族構成と、カメラによって撮影された顔画像とに基づいて、テレビジョン受信機に送信するコンテンツを判定し、判定したコンテンツのコンテンツ要求をコンテンツサーバに送信するレコメンド処理部を備えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、撮影された人物の顔画像に基づいて、人物の年齢と性別とを判定する顔認識システムから出力される判定結果が記憶される顔データベースを備える情報収集システムの情報収集方法であって、カメラが、定められた家庭内の複数の人物の顔画像を撮影するステップと、顔認識システムが、カメラによって撮影された顔画像に基づいて判定結果を出力するステップと、家族構成推定手段が、判定結果が示す年齢及び性別に応じて家庭内の家族構成の関係を辿り家族構成を判定するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、カメラで撮影された人物の顔認識を行い、顔認識された人物の年齢や性別から、兄弟姉妹関係、夫婦関係、親子関係等の家族構成の関係を辿り、その人物の家族構成の推定を行うようにしている。これにより、顔認識の際に参照する顔画像をあらかじめ視聴者に登録することなく、複雑な家族構成の場合でも、高い精度で、家族構成を推定できる。
【0024】
また、本発明によれば、コンテンツ配信システムにおいて、カメラで撮影された人物の顔認識を行い、顔認識された人物の年齢や性別から、家族構成を推定することで、実際にコンテンツを視聴している人の年齢や性別、家族構成、嗜好に応じて、その視聴者に適したコマーシャル等のコンテンツを配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態のネットワーク放送システムを示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における家族構成推定システムの機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における家族構成推定システムにおける認識難易度の判定の説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における家族構成推定システムにおける顔データベースの説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における家族構成推定システムの処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態における家族構成の推定処理の概要を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態における来客判定処理の在宅・外出時間のパターンの説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における来客判定処理での在宅・外出時間のパターンの説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における来客判定処理で来客確率を判定するためのグラフである。
【図10】本発明の第1の実施形態における来客判定処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態における顔認識ログの説明図である。
【図12】本発明の第1の実施形態における家族指数テーブルの説明図である。
【図13】本発明の第1の実施形態における家族構成の推定処理の概要を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第1の実施形態における家族構成の推定処理での親子関係を仮定する処理の説明に用いるフローチャートである。
【図15】本発明の第1の実施形態における家族構成の推定処理での子供世代の兄弟姉妹関係を確定する処理を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第1の実施形態における家族構成の推定処理での親子関係及び夫婦関係を確定する処理を示すフローチャートである。
【図17】本発明の第1の実施形態における家族構成の推定処理での未確定の人物を確定する処理を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第1の実施形態における家族関係の説明図である。
【図19】本発明の第1の実施形態における家族構成データベースの説明図である。
【図20】本発明の第1の実施形態における家族関係の推定処理の説明図である。
【図21】本発明の第1の実施形態におけるレコメンド基礎データベースの説明図である。
【図22】本発明の第1の実施形態における視聴者パターンリストの説明図である。
【図23】本発明の第1の実施形態におけるレコメンドリストの説明図である。
【図24】本発明の第1の実施形態におけるレコメンド処理部での処理を示すシーケンス図である。
【図25】本発明の第2の実施形態のネットワーク放送システムを示すブロック図である。
【図26】本発明の第2の実施形態におけるパーソナルコンピュータの構成を示すブロック図である。
【図27】本発明の第2の実施形態におけるPC操作履歴データベースの説明図である。
【図28】本発明の第2の実施形態における嗜好データの説明図である。
【図29】本発明の第3の実施形態における家族構成推定システムの構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の第3の実施形態での処理の説明に用いるフローチャートである。
【図31】本発明の第4の実施形態のネットワーク放送システムを示すブロック図である。
【図32】本発明の第4の実施形態におけるカメラ配置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態のネットワーク放送システムを示すものである。このネットワーク放送システムは、コンテンツプロバイダ1のコンテンツサーバ5から通信ネットワーク3を介してネットワーク通信でテレビジョン放送を行うものである。通信ネットワーク3は、双方向のネットワーク例えばインターネットである。
【0027】
各家庭2には、テレビジョン受信機11が設置されている。このテレビジョン受信機11はネットワーク対応のテレビジョン受信機で、家庭2内のコンテンツの受信端末となるものである。テレビジョン受信機11は、ホームネットワーク4に接続されている。ホームネットワーク4は、家庭内の機器を接続するネットワークである。このホームネットワーク4には、テレビジョン受信機11の他、パーソナルコンピュータ12等、種々の機器を接続することができる。
通信ネットワーク3とホームネットワーク4との間には、ホームゲートウェイ6が設けられている。ホームゲートウェイ6は、通信ネットワーク3とホームネットワーク4との間で、ルータ、プロトコル変換、ファイアウォールなどの機能を提供している。
【0028】
本発明の第1の実施形態においては、テレビジョン受信機11にカメラ13が設置されている。また、ホームゲートウェイ6に、家族構成推定システム20が設けられている。
コンテンツプロバイダ1のコンテンツサーバ5からは、通信ネットワーク3を介して、テレビジョン放送が配信される。このテレビジョン放送は、通信ネットワーク3、ホームゲートウェイ6、ホームネットワーク4を介して、テレビジョン受信機11に送られる。テレビジョン受信機11には、コンテンツサーバ5から配信されてきたコンテンツ(映像、動画)が映し出される。
【0029】
また、カメラ13では、テレビジョン受信機11を見ている人物の画像が撮影される。このカメラ13の撮影画像がホームネットワーク4を介してホームゲートウェイ6に送られる。ホームゲートウェイ6の家族構成推定システム20により、このカメラ13で撮影した動画像から、テレビジョン受信機11を見ている人物が判定されると共に、視聴者の年齢や性別から、家族構成が推測される。コンテンツサーバ5からテレビジョン受信機11にコマーシャルのコンテンツを配信する際には、家族構成推定システム20で推定された家族構成の情報を用いて、家族構成に応じたコマーシャルを配信させることができる。
【0030】
次に、本発明の第1の実施形態における家族構成推定システム20について説明する。家族構成推定システム20は、カメラ13の撮影画像から顔画像を検出し、この顔画像から、顔認識を行い、人物を判定し、その人の年齢や性別を推定し、これに基づいて、家庭2の家族構成推定を行うものである。
【0031】
カメラ13で撮影した動画像から、視聴者の年齢を推定して、家族構成を推定する場合、精度の高い顔認識を行うためには、テレビジョン受信機11の前に設けられたカメラ13に向かって視聴者の顔が真っ直ぐに向けられており、また、視聴者の顔がある程度大きく撮影されている必要がある。また、周囲が暗かったり、明る過ぎたりすると、高い精度で顔認識を行うことはできない。
そこで、本発明の第1の実施形態における家族構成推定システム20では、顔画像の属性から、顔認識の認識難易度を判定し、認識しにくい顔データを除外することで、顔認識の精度の向上を図るようにしている。ここで、顔画像の属性とは、例えば、顔の向き、明るさ、顔の大きさ等である。
【0032】
また、カメラ13の前にいるのは、常に家族を構成する人物であるとは限らない。来客が訪問し、カメラ13の前にいる可能性もある。家族構成推定を行う場合には、カメラ13で撮影された人物から、来客を除いて、家族構成推定を行う必要がある。
そこで、本発明の第1の実施形態における家族構成推定システム20では、統計的手法を用いて、カメラ13の前にいるのが来客かどうかを判定し、カメラ13で撮影された人物から、来客を除いて、家族構成推定を行うようにしている。
【0033】
また、家族を構成する人数は、様々である。したがって、様々な人数や家族形態を考慮して、家族構成推定を行う必要がある。
そこで、本発明の第1の実施形態における家族構成推定システム20では、顔認識された人物の年齢や性別から、論理的手法により、兄弟姉妹関係、夫婦関係、親子関係等の家族構成の関係を辿り、その人物の家族構成の推定を行うようにしている。これにより、複雑な家族構成の場合でも、高い精度で、家族構成を推定できる。
【0034】
図2は、本発明の第1の実施形態における家族構成推定システム20の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、家族構成推定システム20は、顔認識システム21を含んでいる。顔認識システム21は、カメラの撮影画像から顔検出を行い、表情や、年齢、性別を推定するものである。顔認識システム21としては、例えば、非特許文献1に示されるようなものを用いることができる。
【0035】
顔認識システム21は、顔検出部22と、顔認識部23と、表情判定部24と、年齢判定部25と、性別判定部26と、顔向き判定部27と、明るさ判定部28と、顔の大きさ判定部29と、顔データベース30と、ログ31とを有している。
顔検出部22は、カメラ13の撮影画像から、人間の顔を検出して、顔画像ファイルを作成する。
【0036】
顔認識部23は、顔検出部22からの顔画像ファイルに基づき、顔認識を行う。顔認識部23に対して、表情判定部24と、年齢判定部25と、性別判定部26と、顔向き判定部27と、明るさ判定部28と、顔の大きさ判定部29と、顔データベース30と、ログ31とが設けられる。
顔認識部23は、顔検出部22から顔画像ファイルが送られると、認識を行い、カメラ13で撮影されているのがどの人物であるかを判定する。表情判定部24は、カメラ13で撮影されている人物の表情判定を行う。年齢判定部25は、カメラ13で撮影されている人物の年齢判定を行う。性別判定部26は、カメラ13で撮影されている人物の性別判定を行う。
【0037】
また、顔認識部23で顔認識を行う際に、顔向き判定部27で顔の向きが判定され、明るさ判定部28で周囲の明るさが判定され、顔の大きさ判定部29でカメラ13の撮影画像中の顔の大きさが判定される。これらの判定結果は認識難易度判定部32に送られる。認識難易度判定部32は、顔向き判定部27、明るさ判定部28、顔の大きさ判定部29からの判定出力を基に、顔認識の認識難易度を判定する。本実施形態では、このように顔の向き、明るさ、大きさに基づいて認識難易度を判定する例を説明するが、顔画像において認識難易度の判定基準となるこの他の属性を判定し、判定出力に基づいて認識難易度の判定を行なうようにしても良い。
【0038】
認識難易度判定部32は、例えば、顔の向きが横向きの場合には、認識しにくいと判定する。また、認識難易度判定部32は、周囲が暗い場合や明る過ぎる場合には、認識しにくいと判定する。また、認識難易度判定部32は、顔画像が小さい場合や大きすぎる場合には、認識しにくいと判定する。認識難易度判定部32の判定結果は、顔データベース30に送られる。
【0039】
具体的な認識難易度の設定としては、認識難易度判定部32は、例えば、以下の条件を満たした時、一定以上の認識し易いさがあると判定する。
・正面向きを0度とし、左向きを−、右向きを+として角度表示した場合、顔の向きが±10度以内である。
・明るさを0〜100で表したとき、明るさが60以上90以下の範囲である。
・顔を覆う正方形の一辺をピクセル値で表示した場合、顔の大きさが60以上200ピクセル以下である。
【0040】
また、認識難易度を判定するためには、図3に示すように、顔の向き、明るさ、顔の大きさ等の顔画像の属性に対して、得点を設定して処理するようにしても良い。すなわち、認識難易度判定部32は、顔の向きについては、図3(A)に示すように、0度なら10点、+5度又は−5度なら8点、+10度又は−10度なら3点に設定する。明るさについては、図3(B)に示すように、60〜70なら6点、70〜80なら10点、80〜90なら3点に設定する。顔の大きさについては、図3(C)に示すように、60〜70ピクセルなら4点、80〜120ピクセルなら8点、120〜160なら10点、160〜200ピクセルなら3点に設定する。そして、認識難易度判定部32は、例えば、顔の向き、明るさ、顔の大きさの得点の合計を計算し、その合計値がある得点以上なら、一定以上の認識し易さがあると判定する。また、単純な合計値ではなく、顔の向きを、明るさや顔の大きさよりも優先して評価するようにしても良い。その他、評価の方法は、種々考えられる。
【0041】
図2において、顔データベース30には、図4に示すように、個人番号、顔画像ファイル名、顔の向き、明るさ、顔の大きさ等からなる顔データが蓄積される。ログ31には、顔認識を行った時刻と、個人番号とが対応して蓄積される。
家族構成推定部33は、顔認識部23での認証結果と、顔データベース30の蓄積データと、ログ31の蓄積データを用いて、家族構成を推定する。家族構成推定部33により推定された家族構成のデータは、家族構成データベース34に送られて保存される。
【0042】
レコメンド処理部35は、レコメンドするコマーシャルの処理を行うものである。レコメンド処理部35には、時間データ発生部36からの時間データ、天気データベース37からの天気データ、レコメンド基礎データベース38からのレコメンド基礎データ、嗜好データベース39からの嗜好データと共に、顔認識システム21で認識された顔認識データ、家族構成データベース34からの家族構成データが送られる。
【0043】
コンテンツサーバインタフェース部40は、通信ネットワーク3とホームネットワーク4との間のインタフェース機能を持つ。また、このコンテンツサーバインタフェース部40は、コンテンツサーバ5とのインタフェース機能も持つ。
【0044】
図5は、図2に示す家族構成推定システム20の処理を示すフローチャートである。図5において、顔検出部22は、テレビジョン受信機11に設置したカメラ13が撮影した動画より顔を検出し、顔画像ファイルを作成する(ステップS1)。顔検出部22で顔画像ファイルを作成すると、顔認識部23は、顔検出部が作成した顔画像ファイルを利用して顔の認識処理を行い、認識した顔が顔データとして顔データベース30に登録されているか否かを判定する(ステップS2)。
【0045】
ステップS2で、認識した顔が顔データとして顔データベース30に登録されていないと判定されると、顔向き判定部27、明るさ判定部28、顔の大きさ判定部29は、顔画像の顔向き、明るさ、顔の大きさを調べ、認識難易度判定部32へ通知する(ステップS3)。認識難易度判定部32は、顔の向き、明るさ、顔の大きさにより、顔画像の認識難易度を調べ、一定以上の認識し易さか否かを判定する(ステップS4)。
【0046】
ステップS4で、認識難易度判定部32が一定値よりも認識し難いと判定した場合には、ステップS1に処理を戻す。ステップS4で、認識難易度判定部32が一定値よりも認識し易いと判定した場合には、認識難易度判定部32は、顔データベース30のテーブルに、顔画像ファイル名、顔の向き、明るさ、顔の大きさを書き込み、顔データとして登録する(ステップS5)。
【0047】
ステップS2で、認識した顔が顔データとして顔データベース30に登録されていると判定されると、顔向き判定部27、明るさ判定部28、顔の大きさ判定部29は、顔画像の顔向き、明るさ、顔の大きさを調べ、認識難易度判定部32へ通知する(ステップS6)。認識難易度判定部32は、顔の向き、明るさ、顔の大きさにより、検出した顔画像と既に登録済みの顔画像との認識難易度を比較し、登録済みの顔画像よりも認識し易いか否かを判定する(ステップS7)。そして、登録済みの顔画像よりも認識し易いと判定した場合、認識難易度判定部32は、検出した顔データを登録済みの顔データと入れ替え、顔データベース30のテーブルを更新する(ステップS8)。
【0048】
ステップS5で、顔認識部23は、顔データを登録し、又は、ステップS8で、顔データを更新したら、顔認識部23は、誰の顔を何時何分に検出したか等をログ31を書き込む(ステップS9)。そして、一定期間(例えば1週間程度)経過したかどうかを判定し、一定期間経過していなければ、ステップS1に処理を戻す。
【0049】
以上の処理を繰り返していくことで、顔データベース30には、検出した顔データの顔画像ファイル名、顔の向き、明るさ、顔の大きさが蓄積され、ログ31には、誰の顔を何時何分に検出したかが蓄積されていく。
ステップS10で、一定期間(例えば1週間程度)経過したと判定されると、家族構成推定部33は、ログ31を解析し、顔データとして登録された人物がカメラに映っている時間帯や滞在時間を考慮し、来客か否かを判断する(ステップS11)。次に、家族構成推定部33は、顔認識部23へ家族の年齢・性別の判定を依頼し、判定結果を受信する(ステップS12)。家族構成推定部33は、家族の年齢・性別をもとにして、家族構成を推定し、家族構成データを作成する(ステップS13)。
【0050】
次に、家族構成推定部33での家族構成の推定処理について更に詳述する。図6は、家族構成推定部33での家族構成の推定処理の概要を示すフローチャートである。図6に示すように、家族構成推定部33での処理は、統計的手法により来客推定を行う処理(ステップS51(図5におけるステップS11に対応))と、来客を除いた人物の中から、年齢や性別により、家族構成を推定する処理(ステップS52(図5におけるステップS13に対応))とに分かれる。
【0051】
なお、これらの処理に入る前処理として、本発明の第1の実施形態では、認識難易度判定部32において、顔の向き、明るさ、顔の大きさにより、一定以上の認識し易さかどうかを判定し、一定値の認識し易さに到達しない場合のデータは除外している。したがって、顔認識、年齢判定、性別判定結果は、信頼性が高いものとなっている。
【0052】
先ず、ステップS51の来客推定処理について説明する。家族には、在宅・外出時間のパターンがある。例えば、勤務している人物なら、朝、家を出て勤務先に行き、夜、勤務先から帰宅すると仮定する。子供なら、朝、家を出て学校に行き、夕方、学校から帰宅すると仮定する。専業主婦なら、一日中、家の中にいると仮定する。これが、家族の在宅・外出時間のパターンである。また、来客が存在する時間帯は、この家族の在宅・外出時間のパターンに関連している。例えば、子供の友達なら、子供が学校から帰ってくる夕方に、来客が集中する。また、来客は、家族に比べて、滞在時間は短時間である。このような家族の在宅・外出時間のパターンや、来客の存在時間のパターンに基づいて、統計的手法により、カメラで撮影した画像から認識された人物が来客かどうかを推定し、判定する。
【0053】
例えば、家族の在宅・外出時間については、アンケート調査等による解析結果から、図7及び図8に示すように、パターンP1〜P3の3種類のパターンがあることが分かったとする。図7は、パターンP1からP3と家族形態との対応関係を示すものであり、図8(A)〜図8(C)は、各パターンで来客が存在する可能性の高い時間帯を示すものである。
【0054】
図7に示すように、パターンP1は、父母が共に就労しているか又は片親で就労しており、学校に行っている児童や学生がいない家庭のパターンである。図8(A)に示すように、このようなパターンP1の場合には、平日では、朝から夜まで、家族を構成する全ての人物は勤務先におり、不在である。そして、来客のある時間帯T1は、平日では、夜勤務先から帰ったから後の時間となる。また、来客頻度は少ない。
【0055】
図7に示すように、パターンP2は、学校に行っている児童や学生がおり、父母が共に就労しているか又は片親で就労している家庭のパターンである。このようなパターンP2の場合には、図8(B)に示すように、平日では、子供は朝から夕方まで学校に行っており、朝から夜まで父母は勤務先におり、その間、不在になる。そして、来客のある時間帯T2は、平日では、子供が帰ってから後の時間となる。また、子供の年齢層が上がるほど、遅くの時間まで来客が存在する可能性がある。
【0056】
図7に示すように、パターンP3は、専業主婦や、老人、未就学児がいるような、パターンP1やP2には当てはまらない任意の組み合わせの場合である。このようなパターンP3の場合には、図8(C)に示すように、特定の在宅、外出のパターンはない。また、来客のある時間帯T3は、昼間の広い時間帯に亘る。
【0057】
このような家族の在宅・外出時間のパターンの解析から、来客確率を求めることができる。図9は、来客の確率を判定するための3次元グラフである。この例は、図7及び図8におけるパターンP2の場合のグラフを示している。図9において、X軸は滞在時間を示し、Y軸は検出開始時刻を示し、Z軸は来客である確率を示している。
【0058】
図9のグラフによれば、滞在時刻が15時頃に、来客である確率のピークがある。滞在時刻が6時から10時、又は、19時以降の場合には、来客である可能性は低くなる。滞在時刻が15時頃でも、その滞在時間が60分を越えるような場合には、来客である確率は低くなる。来客の確率を判定するための3次元グラフでは、他のパターンの場合についても同様にして作成できる。
【0059】
図9に示すような来客確率のグラフが作成できれば、これを用いて、来客推定を行うことができる。図10は、来客判定処理を示すフローチャートである。
図10において、来客判定処理では、家族構成推定部33は、家族の在宅・外出時間のパターンがパターンP1〜P3のどのパターンであるかを判定する(ステップS101)。パターンの判定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
【0060】
抽出した顔認識ログ(図11参照)の情報により、各曜日の0時から24時まで1時間毎の顔認識回数をカウントし、各時間帯の顔認識回数を表す表を作成する。顔認識ログには、図11に示すように、個人を識別する個人番号と、顔認識された時刻とが格納されている。
【0061】
例えば、勤務時間帯である10:00〜17:00に顔認識回数0の日が、5日程度あればパターンP1と判断できる。そのうち、10:00〜17:00に顔認識回数が0でない日(曜日)が休日、それ以外の日(曜日)を出勤日と判断できる。学校にいる時間帯である10:00〜15:00に顔認識回数が0であり、かつ勤務時間帯である15:00〜17:00に顔認識回数が0でない日が5日程度あれば、パターンP2と判断できる。そのうち、10:00〜15:00に顔認識回数が0でない日(曜日)が休日、それ以外の日(曜日)を登校日と判断できる。これらのいずれにも該当しない場合には、パターンP3と判断できる。パターンP3では、平日でも在宅のため、休日か否かの判断は不要である。
【0062】
ステップS101で、パターンが判定できたら、家族構成推定部33は、顔認識ログを参照し(ステップS102)、認識した時刻の来客確率が予め定められた閾値よりも低いかどうかを判定する(ステップS103)。来客確率の閾値は、図9に示したグラフに基づいて取得できる。
【0063】
ステップS103で、顔認識された時刻が来客確率の高い時刻であれば、家族構成推定部33は、滞在時間が定められた閾値を超えて長いかどうかを判定する(ステップS104)。ステップS103で、顔認識された時刻が来客確率の高い時刻であり、ステップS104で、滞在時間が短いと判定された場合には、来客である確率が高い。この場合には、家族構成推定部33は、ログ31の情報の終了か否かを判定し(ステップS105)、ログの終了でなければ、ステップS102に戻る。
【0064】
ステップS103で、顔認識された時刻が来客確率が低い時刻なら、家族である確率が高い。また、ステップS103で、顔認識された時刻が来客確率の高い時刻であると判定された場合でも、ステップS104で、滞在時間が長いと判定された場合には、家族である確率が高い。この場合には、家族構成推定部33は、家族指数テーブル(図12参照)の家族指数を加算して(ステップS106)、ログ31の情報の終了か否かを判定し(ステップS105)、ログ終了でなければ、ステップS102に戻る。
【0065】
ステップS105で、ログ31の情報の終了になったと判定されたら、家族指数テーブル(図12)から、一定値未満の家族指数の人を来客と判定して(ステップS107)、処理を終了する。
以上のように、家族構成推定部33では、統計的手法を用いて、カメラ13の前にいるのが来客かどうかを判定することができる。
【0066】
次に、図6におけるステップS52の家族構成を推定する処理について説明する。家族構成を推定する処理では、年齢や性別により、家族を構成する人物の兄弟姉妹関係、夫婦関係、親子関係等の家族構成の関係を辿り、家族構成を推定している。家族を構成する人物について、兄弟姉妹関係、夫婦関係、親子関係を論理的に解析すると、以下のようになる。
【0067】
兄弟姉妹関係の論理的解析
(a).兄弟姉妹関係となる人物の年齢層差は、0又は10である(但し、年齢層は、0歳代の年齢層(0歳〜9歳)、10歳代の年齢層(10歳〜19歳)、20歳代の年齢層(20歳〜29歳)、…、のように、10歳毎の年齢層である)。
多くの場合、兄弟姉妹は、2〜5歳の年齢差であるが、10歳以上離れている場合もある。よって、年齢層差は0又は10である。希に、20歳以上の年の差の兄弟姉妹も存在するが、それは例外とする。
【0068】
(b).一家族に存在する兄弟姉妹関係の集合数は、0又は1である。
多くの場合、同一の父母の子供であるので、兄弟姉妹関係の集合数は1である。夫婦だけで、子供がいない場合には、兄弟姉妹関係の集合数は0になる。
(c).兄弟姉妹関係と夫婦関係とは同時には成立しない。
兄弟姉妹が夫婦になることはないので、兄弟姉妹関係と夫婦関係とは同時に成立しない。
【0069】
(d).ある人物と兄弟姉妹となる人物の兄弟姉妹となる人物は、その人物にとっても、兄弟姉妹となる人物である。
例えば、長男、次男、三男の兄弟の場合、長男と次男とが兄弟で、次男と三男が兄弟なら、長男と三男は兄弟である。
(e).一家族で兄弟姉妹関係がある場合には、その兄弟姉妹関係となる人物に対して、親子関係となる人物が必ず存在する。
一般的に、子供だけの家族は希であり、子供がいれば、その親がいる。
【0070】
夫婦関係の論理的解析
(f).夫婦関係となる人物の年齢層差は、0、10、又は20である(但し、年齢層は、0歳代の年齢層(0歳〜9歳)、10歳代の年齢層(10歳〜19歳)、20歳代の年齢層(20歳〜29歳)、…、のように、10歳毎の年齢層である)。
一般的に、夫婦の年齢差は、20歳以下である。希に、30歳以上の年の差の夫婦も存在するが、それは例外とする。
(g).夫婦関係となる人物の年齢層は、20歳代以上である(但し、年齢層は、0歳代の年齢層(0歳〜9歳)、10歳代の年齢層(10歳〜19歳)、20歳代の年齢層(20歳〜29歳)、…、のように、10歳毎の年齢層である)。
希に、10代の夫婦もあるが、それは例外とする。
【0071】
(h).一家族に存在する夫婦関係の数は、0,1,又は2である。
1家族で一組の夫婦であるが、祖父母や、おじ、おばの夫婦と同居している場合がある。
【0072】
(i).夫婦関係と兄弟姉妹関係とは同時に成立しない。
夫婦関係になっている人物同士が兄弟姉妹の関係になることはない。
(j).夫婦関係は、必ず、男性と女性との一対となる人物から構成される。
一般的に、夫婦のうちのどちらかは男性で、どちらかは女性である。
【0073】
親子関係の論理的解析
(k).親子関係となる人物の年齢層差は、20,30,40の何れかである(但し、年齢層は、0歳代の年齢層(0歳〜9歳)、10歳代の年齢層(10歳〜19歳)、20歳代の年齢層(20歳〜29歳)、…、のように、10歳毎の年齢層である)
一般的に、親子の年齢差は、20歳以上である。希に、年齢差が20歳未満の親子もあるが、それは例外とする。
(l).親子関係は、親となる人物の集合と、子となる人物の集合の一対となる集合とから構成される。
親は、母と父との集合である。子供は、兄弟姉妹の集合となる。両親とその子供は対になる。
【0074】
(m).親の集合は、夫婦関係をなす人物を要素とする集合である、又は、片親のみを要素とする集合である。
両親は夫婦関係である。また、片親の場合もある。
(n).子の集合は、兄弟姉妹関係をなす人物を要素とする集合、又は、一人の子供のみを要素とする集合である。
子供は、男だけの兄弟か、女だけの姉妹か、男と女の兄弟姉妹か、一人の男若しくは女である。
【0075】
なお、以上に説明した論理的解析は、一般的に考えられるもので、全ての家族について網羅するものではない。現実的には、家族形態は、更に多種に渡る。この例では、家族形態に応じてコンテンツを提供するような場合に十分な論理が挙げられているが、更に、多数の家族形態に対応するような論理を考察するようにしても良い。
【0076】
次に、上述の論理解析を基に、年齢や性別から、家族を構成する人物の兄弟姉妹関係、夫婦関係、親子関係等の家族構成の関係を辿り、家族構成を推定する処理(図6におけるステップS52)について説明する。
【0077】
ステップS52の家族構成の推定処理は、図13に示すように、更に、親子関係を仮定する処理(ステップS201)と、子供世代の兄弟姉妹関係を確定する処理(ステップS202)と、親子関係及び夫婦関係を確定する処理(ステップS203)と、その他の関係を確定する処理(ステップS204)に分けられる。
【0078】
図14は、ステップS201の親子関係を仮定する処理を示すものである。この処理では、上述の(k)で示した、「親子関係となる人物の年齢層差は、20,30,40の何れかである」という論理に基づいて、親子関係を仮定している。
図14において、家族構成推定部33は、家族構成データベース34(図19参照)から家族を構成する人物のデータを個人番号の順に抽出し(ステップS301)、その人物の年齢層に20歳を加えた数以上の年齢層の人物がいるかどうかを判定する(ステップS302)。その人物の年齢層に20歳を加えた数以上の年齢層の人物がいる場合には、家族構成推定部33は、その人物を親であると仮定する(ステップS303)。子から親への関係を仮定できたら、その反対に、親から子への関係を仮定する(ステップS304)。そして、家族構成推定部33は、その家庭の全ての家族について処理を行ったかどうかを判定し(ステップS305)、その家族の全ての人物について処理を行っていなければ、次の個人番号の人物に進み(ステップS306)、ステップS301に戻る。
【0079】
ステップS302で、その人物の年齢層に20歳を加えた数以上の年齢層の人物がいない場合には、家族構成推定部33は、その家庭の全ての家族について処理を行ったかどうかを判定し(ステップS305)、その家族の全ての人物について処理を行っていなければ、次の個人番号の人物に進み(ステップS306)、ステップS301に戻る。
【0080】
ステップS301〜ステップS306の処理を繰り返すことで、年齢層に20歳を加えた数以上の年齢層の人物が親として仮定される。ステップS305で、その家庭の全ての人物についての処理が終了したら、家族構成推定部33は、ステップS201の親子関係を仮定する処理は終了し、ステップS202の子供の世代の兄弟姉妹関係を確定する処理に入る。
【0081】
図15は、図13におけるステップS202の子供世代の兄弟姉妹関係を確定する処理を示すフローチャートである。この処理では、上述の(a)で示した、「兄弟姉妹関係となる人物の年齢層差は、0又は10である」という論理に基づいて、兄弟姉妹関係を確定している。また、20歳代未満の人物を対象とすることで、その家庭で子供世代の兄弟姉妹関係を確定している。
【0082】
図15において、家族構成推定部33は、家族構成データベース34(図19参照)から家族を構成する人物のデータを個人番号順に抽出し(ステップS401)、その人物の年齢層が0歳代又は10歳代かどうかを判定する(ステップS402)。ステップS402で、その人物の年齢層が0歳代又は10歳代でなければ、家族構成推定部33は、その家庭の全ての家族について処理を行ったかどうかを判定し(ステップS403)、その家族の全ての人物について処理を行っていなければ、次の個人番号の人物に進み(ステップS404)、ステップS401に戻る。
【0083】
ステップS402で、その人物が0歳代又は10歳代なら、家族構成推定部33は、その人物と年齢層の差が0又は10の年齢層の人物がいるかどうかを判定する(ステップS405)。ステップS405で、年齢層の差が0又は10の年齢層の人物がいる場合には、その人物を兄弟姉妹であると確定し(ステップS406)、兄弟姉妹の関係を確定できたら、その反対に、兄弟姉妹関係を確定する(ステップS407)。ここでは、兄弟姉妹関係にあると確定した人物のうち、年齢がより上である人物が男性であれば兄、女性であれば姉とする。また、年齢がより下である人物が男性であれば弟、女性であれば妹とする。そして、家族構成推定部33は、その家庭の全ての家族について処理を行ったかどうかを判定し(ステップS403)、その家族の全ての人物について処理を行っていなければ、次の個人番号の人物に進み(ステップS404)、ステップS401に戻る。
【0084】
ステップS405で、年齢層の差が0又は10の年齢層の人物がいない場合には、家族構成推定部33は、その家庭の全ての家族について処理を行ったかどうかを判定し(ステップS403)、その家族の全ての人物について処理を行っていなければ、次の個人番号の人物に進み(ステップS404)、ステップS401に戻る。
【0085】
ステップS401〜ステップS407の処理を繰り返すことで、年齢層の差が0又は10の人物が子供世代での兄弟姉妹として確定される。ステップS403で、その家庭の全ての人物についての処理が終了したら、家族構成推定部33は、ステップS202の子供世代の兄弟姉妹関係を確定する処理は終了し、ステップS203の親子関係及び夫婦関係を確定する処理に入る。
【0086】
図16は、図13におけるステップS203の親子関係及び夫婦関係を確定する処理を示すフローチャートである。この処理では、上述の(i)で示した、「親子関係は、親となる人物の集合と、子となる人物の集合の一対となる集合とから構成される」という論理に基づいて、親子関係を確定し、上述の(j)で示した、「夫婦関係は、必ず、男性と女性との一対となる人物から構成される」という論理に基づいて、夫婦関係を確定している。
【0087】
図16において、家族構成推定部33は、家族構成データベース34(図19参照)から家族を構成する人物のデータを個人番号順に抽出し(ステップS501)、その人物が兄弟姉妹として確定しているかどうかを判定する(ステップS502)。ステップS502で、その人物が兄弟姉妹として確定していなければ、その家庭の全ての家族について処理を行ったかどうかを判定し(ステップS503)、その家族の全ての人物について処理を行っていなければ、次の個人番号の人物に進み(ステップS504)、ステップS501に戻る。
【0088】
ステップS502で、その人物が兄弟姉妹として確定しているなら、家族構成推定部33は、他の兄弟姉妹と共通する父母候補の中から最も若い男女を父母として子と親の関係を確定する(ステップS505)。子と親の関係が確定できたら、その反対に、親と子関係を確定する(ステップS506)。そして、家族構成推定部33は、その家庭の全ての家族について処理を行ったかどうかを判定し(ステップS503)、その家族の全ての人物について処理を行っていなければ、次の個人番号の人物に進み(ステップS504)、ステップS501に戻る。
【0089】
ステップS501〜ステップS506の処理を繰り返すことで、子供と親との親子関係が確定される。ステップS503で、その家庭の全ての人物についての親子関係が確定したら、家族構成推定部33は、確定した父母について、夫婦関係を確定し(ステップS507)、親子関係及び夫婦関係を確定する。親子関係及び夫婦関係を確定する処理(ステップS203)を終了すると、家族構成推定部33は、その他の関係を確定する処理(ステップS204)に入る。
【0090】
図13におけるステップS204のその他の関係を確定する処理は、上述の処理では確定できなかった人物についての家族構成を推定するものである。上述の処理では確定できなかった人物の例として、ここでは、おじ、おばを確定する処理について説明する。
図17は、未確定の人物をおじ、おばとして処理するためのフローチャートである。図17において、家族構成推定部33は、家族構成データベース34(図19参照)から家族を構成する人物のデータを個人番号の順に抽出し(ステップS601)、その人物が夫婦関係の確定した人物かどうかを判定する(ステップS602)。ステップS602で、その人物が夫婦関係の確定した人物でなければ、家族構成推定部33は、その家庭の全ての家族について処理を行ったかどうかを判定し(ステップS603)、その家族の全ての人物について処理を行っていなければ、家族構成推定部33は、次の個人番号の人物に進み(ステップS604)、ステップS601に戻る。
【0091】
ステップS602で、その人物が夫婦関係の確定した人物なら、家族構成推定部33は、未確定の人物はその人物の兄弟(その人物の子供にとっておじ、おば)であると確定する(ステップS605)。そして、家族構成推定部33は、その家庭の全ての家族について処理を行ったかどうかを判定し(ステップS603)、その家族の全ての人物について処理を行っていなければ、次の人物に進み(ステップS604)、ステップS601に戻る。
なお、ここでは、未確定の人物をその人物の兄弟(その人物の子供にとっておじ、おば)としているが、これは一例である。上述の(a)〜(n)で示した論理等に基づいて、更に、家族関係を推定することが可能である。
【0092】
図13〜図17に示したような処理により、家族関係が推定できることについて、例を挙げて説明する。先ず、図18に示すような、父39歳、母36歳、姉(長女)9歳、弟(長男)7歳の4人家族を例に挙げて説明する。
このような家族構成の場合には、カメラ13の撮影画像から、顔認識部23で顔認識が行われた結果、図19(A)に示すように、4人の人物のデータが家族構成データベース34に登録される。また、図19(B)に示すように、家族構成データベース34の個人番号「0001」は父の撮影画像、個人番号「0002」は母の撮影画像、個人番号「0003」は姉の撮影画像、個人番号「0004」は弟の撮影画像であるとする。また、年齢判定部25及び性別判定部26により、父は「30歳代」、「男」、母は「30歳代」、「女」、姉は「0歳代」、「女」、弟は「0歳代」、「男」と判定されたとする。なお、初期状態では、図19(A)に示すように、続柄の項目は、全て「未確定」になっている。
【0093】
図19(A)に示したような家族構成データの場合には、図13〜図17に示した処理により、以下のように、家族関係が推定される。
先ず、図14に示した親子関係の仮定処理では、ステップS301〜ステップS306の処理を繰り返すことで、年齢層に20歳を加えた数以上の年齢層の人物が親として仮定される。図20(A)は、ステップS301〜ステップS306の処理を繰り返すことで仮定された親子関係を示すものである。なお、図20(A)〜図20(C)は、左側欄の人物から見た上側欄の人物の関係(上側欄の人物から見た左側欄の人物との関係)を示している。図においては女性である人物の年齢層の下に下線を付している。ステップS301〜ステップS306の処理を繰り返すと、0歳代の姉と0歳代の弟のところで、年齢層に20歳を加えた数以上となる人物が判定でき、これにより、父と母とを仮定することができる。そして、その反対の関係で、父から見て子供が仮定でき、母から見て子供が仮定できる。
【0094】
次に、図15に示した子供世代の兄弟姉妹関係を確定する処理では、ステップS401〜ステップS407の処理を繰り返すことで、図20(B)に示すように、年齢層の差が0又は10の人物が姉及び弟として確定される。
次に、図16に示した親子関係及び夫婦関係を確定する処理では、ステップS501〜ステップS506の処理を繰り返すことで、親子関係が確定され、ステップS507で、夫婦関係が確定される。これにより、図20(C)に示すように、父と母との夫婦関係が確定する。
以上のような処理により、家族を構成する人物の関係が確定する。これにより、19(B)に示すように、各人物の続柄の項目に、確定した続柄が記述される。
【0095】
次に、図2におけるレコメンド処理部35について説明する。前述したように、レコメンド処理部35は、時間データ、天気データ、基礎データ、嗜好データと共に、顔認識データ、家族構成データを基に、レコメンドするコマーシャルの選択処理を行っている。
時間データは現在の年月日、時分秒の情報である。天気データは、晴れ、曇り、雨等、現在の天候の情報である。
【0096】
レコメンド基礎データは、各種のデータとコマーシャル番号とを対応させたデータである。図21は、レコメンド基礎データベース38の一例である。この例では、家族の人数、子供の人数、年齢、性別、季節、時間帯、天気、ジャンル、詳細ジャンルに応じて、コマーシャル番号が決められる。レコメンド基礎データは、システム提供者がコンテンツプロバイダ1と連携してコンテンツサーバ5上に作成することにより、自動的に家族構成推定システム20へ配信される。
【0097】
また、レコメンド処理部35には、システム提供者により、視聴者パターンリスト及びレコメンドリストが内部的に作成されている。図22は視聴者パターンリストの一例を示し、図23はレコメンドリストの一例である。
図22に示す視聴者パターンリストの例では、母親が一人でテレビジョン受信機を見ている場合を視聴者パターンaとし、家族全員でテレビジョン受信機を見ている場合を視聴者パターンbとし、その他を視聴者パターンcとしている。図23に示すレコメンドリストの例では、視聴者パターンaなら、すなわち、母親が一人でテレビジョン受信機を見ている場合には、ジャンルが買い物なら、子供に似合いそうな服をレコメンドし、ジャンルが料理なら、子供が居る家族に良さそうな夕食の献立をレコメンドする。視聴者パターンbなら、すなわち、家族全員でテレビジョン受信機を見ている場合には、ジャンルが旅行なら、子供がいる家族に適した旅行プランをレコメンドし、家族構成に応じた宿泊代の見積もり金額を提示する。ジャンルが行楽なら、子供が遊べそうな遊園地をレコメンドする。ジャンルが料理なら、子供が食べられそうな料理を出すおいしい店をレコメンドする。
【0098】
図24は、レコメンド処理部35での処理を示すシーケンス図である。図24において、顔認識システム21がカメラ13の撮影画像を受け取り、カメラ13に映っている人物が誰の画像かを特定すると、レコメンド処理部35は、顔認識部23が特定した個人番号を受け取り、家族構成データベース34(図19(B)参照)の家族構成データを参照して、カメラ13に映っているのが家族のうちの誰なのかを特定する(ステップS701)。
【0099】
次に、レコメンド処理部35は、視聴者の状況が視聴者のパターンリストのどのパターンに該当するかを判断し、レコメンドリストの該当パターンのレコメンド内容・ジャンル・詳細ジャンルを抽出する(ステップS702)。
次に、レコメンド処理部35は、家族構成データベース34の家族構成データを参照して、家族の人数・子供の人数・各人の年齢/性別を取得する(ステップS703)。
次に、レコメンド処理部35は、時間データ発生部36の時間データを参照して、現在時刻を取得し季節及び時間帯を判断する(ステップS704)。
【0100】
次に、レコメンド処理部35は、天気データベース37の天気データを参照して、今日の天気情報を取得する(ステップS705)。
次に、レコメンド処理部35は、レコメンド内容に応じて、家族の人数・子供の人数・年齢・性別・季節・時間帯・天気・ジャンル・詳細ジャンルの各パラメータに必要に応じてデータを設定し、これらをキーにしてレコメンド基礎データベース38(図21参照)よりコマーシャル番号を抽出する(ステップS706)。
【0101】
次に、レコメンド処理部35は、抽出したコマーシャル番号が含まれるコンテンツ要求を、コンテンツサーバインタフェース部40を介してコンテンツサーバ5へ送信する(ステップS707、ステップS708)。
コンテンツサーバ5は、受信したコマーシャル番号に該当するコマーシャル映像をコンテンツデータベース7より取得して、家族構成推定システム20のコンテンツサーバインタフェース部40へ送信する(ステップS709)。
コンテンツサーバインタフェース部40は、受信したコマーシャル映像をテレビジョン受信機4へ送信する(ステップS710)。
【0102】
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、顔認識システム21を利用して、現在カメラ13に映っているのは誰かを調べ、映っているのが誰かにより、コマーシャルの内容を変えることができる。
例えば、図18に示した父39歳、母36歳、姉(長女)9歳、弟(長男)7歳の4人家族の構成例の場合には、以下のようにコマーシャルの内容を変えることが考えられる。
【0103】
母親が一人でテレビジョンを見ている時には、9歳の女の子又は7歳の男の子に似合いそうな服のコマーシャルを配信し、小さい子供が2人いる4人家族に良さそうな夕食の献立をレコメンドするコマーシャルを配信する。また、家族が全員、テレビジョンを見ている時には、大人2人、子供2人の4人家族に適した旅行プランをレコメンドするコマーシャルを配信する。その際、宿泊代の見積金額まで提示可能というメリットがある。あるいは、9歳及び7歳の子供2人が遊べそうな遊園地をレコメンドするコマーシャルを配信したり、9歳及び7歳の子供2人が食べられそうな料理を出すおいしい店をレコメンドするコマーシャルを配信する。
【0104】
また、本発明の第1の実施形態によれば、時間データ発生部36と天気データベース37とが設けられている。これにより、上述の家族構成と共に、月日(季節)や時間帯、天気等も考慮してコマーシャルの内容を変えることができる。
すなわち、例えば、春なので、9歳の女の子又は7歳の男の子に似合いそうな夏服のコマーシャルを配信する。あるいは、夕食の時間帯なので、夕食の献立をレコメンドするコマーシャルは控える。寒い日が続いているので、大人2人、子供2人の4人家族に適したなべ料理をレコメンドする。
【0105】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態では、顔認識の際に参照する顔画像をあらかじめ人が登録することなく、カメラで撮影された画像から、家族構成を推定し、家族構成を考慮して、顔認識システムによって認識した視聴者の状況に応じたコマーシャルを配信することができる。
【0106】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図25は、本発明の第2の実施形態を示すものである。図25において、前述の図1に示した第1の実施形態と同一の部分については、同一の番号を付して、その説明を省略する。図25に示すように、本発明の第2の実施形態においては、ホームネットワーク4に接続されたパーソナルコンピュータ12に対してカメラ14が設けられている。このカメラ14により、パーソナルコンピュータ12を使用している人物の顔が撮影され、このカメラ14の撮影画像から、その人物の顔が認識される。そして、パーソナルコンピュータ12の使用履歴から、その人物の嗜好データベースが形成される。
【0107】
図26は、本発明の第2の実施形態におけるパーソナルコンピュータ12の機能ブロック図を示すものである。図26に示すように、パーソナルコンピュータ12は、顔認識システム51と、PC操作履歴作成部52と、PC操作検出部53と、PC操作履歴データベース54と、嗜好データ解析部55と、嗜好データベース56とを有している。
【0108】
図26において、カメラ14の撮影画像が顔認識システム51に送られる。顔認識システム51は、カメラの撮影画像から顔認識を行うもので、顔認識システム51としては、例えば、非特許文献1に示されるようなものを用いることができる。顔認識システム51により、カメラ14の撮影画像から顔認識を行うことで、パーソナルコンピュータ12の使用者が判定される。顔認識システム51で特定されたパーソナルコンピュータ12の使用者の情報は、PC操作履歴作成部52に送られる。
【0109】
また、PC操作検出部53により、パーソナルコンピュータ12の操作が検出される。このPC操作検出部53の操作検出情報がPC操作履歴作成部52に送られる。
PC操作履歴作成部52は、顔認識システム51で特定されたパーソナルコンピュータ12の使用者の情報と、PC操作検出部53で検出されたパーソナルコンピュータ12の操作情報とから、PC操作履歴のデータを作成して、PC操作履歴データベース54に登録する。
PC操作履歴データベース54には、図27に示すように、パーソナルコンピュータ12の操作内容と、操作時刻と、顔認識システム51で特定されたパーソナルコンピュータ12の使用者の情報とが関連して蓄積される。
【0110】
嗜好データ解析部55は、PC操作履歴データベース54のPC操作履歴のデータに基づいて、各パーソナルコンピュータ12を操作した各人物毎に、嗜好データを解析し、嗜好データベース56に蓄積する。すなわち、嗜好データ解析部55は、PC操作履歴データベース54より個人(個人番号)毎のPC操作履歴を時刻順に抽出する。そして、嗜好データ解析部55は、検索サイトへのアクセスが実行された時のログを抽出し、また、アクセス時刻以降でその時刻近辺において、検索キーワードが入力された時のログを抽出し、また、その中から検索キーワードを抽出する。そして、嗜好データ解析部55は、抽出した検索キーワードを頻度順にソートして嗜好データを作成する。これにより、図28に示すような嗜好データが生成される。この嗜好データは、図2に示した家族構成推定システム20に送られ、家族構成推定システム20の嗜好データベース39に送られる。
【0111】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態では、顔認識システム51でパーソナルコンピュータ12の使用者を判定し、また、PC操作検出部53でパーソナルコンピュータ12の操作情報を検出し、パーソナルコンピュータ12の使用履歴から、各パーソナルコンピュータ12を操作した各人物毎に、嗜好データを解析し、嗜好データとしている。これにより、各人物の嗜好に基づいて、コマーシャルを配信することができる。
【0112】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態では、テレビジョン放送のコンテンツの中には、不適切な番組やコマーシャルで、子供に見せたくないものを、視聴制限できるようにしたものである。
図29は、本発明の第3の実施形態の家族構成推定システムの構成を示すものである。なお、図29において、前述の図2に示した第1の実施形態と同一の部分については、同一の番号を付して、その説明を省略する。
【0113】
本発明の第3の実施形態における家族構成推定システム20では、カメラ13の撮影画像から、年齢判定部25により、視聴者の年齢を判定している。そして、レコメンド処理部35に対して年齢制限部61が設けられており、年齢制限部61により、不適切な番組やコマーシャルの視聴制限が行われる。
【0114】
図30は、本発明の第3の実施形態のフローチャートである。図30において、顔認識システム21は、テレビジョン受信機11に設置したカメラ13が撮影した動画を受け取り、年齢判定部25は、カメラ13に映っている人の年齢を判定する(ステップS801)。
レコメンド処理部35の年齢制限部61は、顔認識システム21が判定した年齢を受け取り、カメラ13に映っているのが子供だけか、あるいは映っている人の中に子供が含まれるかを判定する(ステップS802)。カメラ13に子供が映っていなければ、年齢制限部61は処理を終了する。
【0115】
ステップS802で、カメラ13に映っているのが子供だけか、あるいは映っている人の中に子供が含まれていれば、レコメンド処理部35は、視聴者が子供だけであること、あるいは視聴者の中に子供が含まれることをコンテンツサーバインタフェース部40へ通知する(ステップS803)。
【0116】
コンテンツサーバインタフェース部40は、視聴者が子供だけであること、あるいは視聴者の中に子供が含まれることをコンテンツサーバ5へ通知する(ステップS804)。コンテンツサーバ5は、子供向けでない不適切なコンテンツを配信しないように、配信制限を行う(ステップS805)。
以上説明したように、本発明の第3の実施形態では、カメラ13の撮影画像から、視聴者の年齢を判定することで、子供に対して不適切な番組やコマーシャルの視聴制限を行うことができる。
【0117】
<第4の実施形態>
図31は、本発明の第4の実施形態を示すものである。図31において、前述の図1に示した第1の実施形態と同一の部分については、同一の番号を付して、その説明を省略する。この第3の実施形態では、図31に示すように、玄関18に、カメラ15及び16が設置される。
【0118】
図32に示すように、このカメラ15及び16は、1台は内向きに、もう1台は外向きに設置されている。カメラ15及びカメラ16の撮影画像は、家族構成推定システム20の顔認識システム21に送られる。顔認識システム21により、カメラ15及び16で撮影される画像から、顔認識が行われる。
【0119】
この第4の実施形態では、カメラ15及び16により、玄関18を通る人物が撮影され、このカメラ15及び16の撮影画像から、玄関18を通った人物が誰かが判定できる。そして、カメラ15及び16は、1台は内向きに、もう1台は外向きに設置されている。このため、カメラ15及び16の画像から、その人物が家の外に出たか、家の中に入ったかを判定できる。
【0120】
つまり、図32において、カメラ16に顔が映っていれば、その人物は外出したと判定できる。また、カメラ15に顔が映っていれば、その人物は帰宅した判定できる。
この第4の実施形態では、家族構成推定システム20の顔認識システム21は、玄関18付近に設置した2台のカメラ15及び16が撮影した動画より、誰の顔を何時何分に検出したかのログを残す。そして、家族構成推定システム20の顔認識システム21は、ログを解析し、外出と帰宅を判断して、家族の誰が在宅か不在かを把握する。
【0121】
また、この第4の実施形態では、レコメンド処理部35は、ログ解析により家族の誰が在宅か不在かの情報を取得する。そして、レコメンド処理部35は、視聴者の状況だけでなく、家族の誰が在宅か不在かも考慮して、視聴者のパターンリストから適切なパターンを選択する。
本発明の第4の実施形態では、家族の誰が在宅か不在かを把握し、家族の誰が在宅か不在かに応じて、コマーシャルを配信することができる。
【0122】
例えば、図18に示した、父39歳、母36歳、姉(長女)9歳、弟(長男)7歳の4人家族の例で説明する。この場合、例えば、父親は家にいるがテレビジョンは見ていない状態で、母親と子供2人がテレビジョンを見ている時でも、大人2人、子供2人の4人家族に適した旅行プランをレコメンドするコマーシャルを配信する。父親が家におらず、母親と子供2人がテレビジョンを見ている時には、9歳の女の子又は7歳の男の子に似合いそうな服のコマーシャルを配信する。
なお、上述の説明では、カメラを2台設置する例を示したが、カメラを1台だけ設置して、移動の方向を画像認識によって判断し、外出か帰宅かを検出する方法でも良い。
【0123】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、顔の向き、明るさ、顔の大きさ等から、顔認識の認識難易度を判定し、認識しにくい顔データを除外することで、顔認識の精度の向上を図ることができる。また、本発明の実施形態によれば、統計的手法を用いて、カメラ13の前にいるのが来客かどうかを判定し、カメラ13で撮影された人物から、来客を除いて、家族構成推定を行うことができる。また、本発明の実施形態によれば、顔認識された人物の年齢や性別から、論理的手法により、兄弟姉妹関係、夫婦関係、親子関係等の家族構成の関係を辿り、その人物の家族構成の推定を行うようにしている。これにより、顔認識の際に参照する顔画像をあらかじめ視聴者に登録させることなく、複雑な家族構成の場合でも、高い精度で、家族構成を推定できる。
【0124】
また、本発明の実施形態によれば、実際にテレビジョンを視聴している人の年齢や性別、家族構成、嗜好を把握して、その人に適したコマーシャルを配信することができる。また、テレビジョンの視聴者が子供だけ、あるいは視聴者の中に子供が含まれる場合には、子供向けでない不適切なコンテンツを配信しないようにできる。また、コマーシャルを実際に視聴してもらったかどうかやコマーシャルを何人視聴していたか、何歳の人が視聴していたか、男性か女性か、笑顔度はどの程度だったか、どのような家族構成か等の詳細情報を収集することができる。
【0125】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、顔認識システムを利用し、コマーシャルを何人視聴していたか、視聴者の推定年齢、性別、視聴時の表情、どのような家族構成か等の詳細情報を収集し、コンテンツプロバイダ1へフィードバックし、広告効果の分析を行うことができる。
【0126】
また、カメラ13に映っている人を視聴者として判定する際に、顔の向きがカメラに対して正面向きになっているか否かで視聴していたか否かを判断して、本当にテレビジョンを視聴しているかどうかを判定するようにしてもよい。その場合には、テレビジョンの前にいたが、コマーシャルを視聴していなかった人数まで把握できるので、より詳細な情報を収集可能となる。また、コマーシャルを流していた時の笑顔度等の表情を把握することにより、そのコマーシャルの気に入り度合いを推定することも可能である。コマーシャルを流している最中の顔検出数の変化を調べることにより、例えば、「コマーシャルを流している最中にいなくなった」ということを把握することができる。
【0127】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより家族構成の判定等の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0128】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0129】
1:コンテンツプロバイダ
2:家庭
3:通信ネットワーク
4:ホームネットワーク
5:コンテンツサーバ
6:ホームゲートウェイ
7:コンテンツデータベース
11:テレビジョン受信機
12:パーソナルコンピュータ
13〜16:カメラ
18:玄関
20:家族構成推定システム
21:顔認識システム
22:顔検出部
23:顔認識部
24:表情判定部
25:年齢判定部
26:性別判定部
27:顔向き判定部
28:明るさ判定部
29:顔の大きさ判定部
30:顔データベース
31:ログ
32:認識難易度判定部
33:家族構成推定部
34:家族構成データベース
35:レコメンド処理部
36:時間データ発生部
37:天気データベース
38:レコメンド基礎データベース
39:嗜好データベース
40:コンテンツサーバインタフェース部
51:顔認識システム
52:操作履歴作成部
53:操作検出部
54:操作履歴データベース
55:嗜好データ解析部
56:嗜好データベース
61:年齢制限部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の顔が撮影された顔画像に基づいて、前記人物の年齢と性別とを判定する顔認識システムから出力される判定結果が入力される情報収集システムであって、
定められた家庭内の複数の人物の顔画像を撮影するカメラと、
前記カメラによって撮影された前記顔画像に基づいて、前記顔認識システムによって判定され出力される前記判定結果が記憶される顔データベースと、
前記判定結果が示す年齢及び性別に応じて前記家庭内の家族構成の関係を辿り家族構成を判定する家族構成推定手段と
を備えることを特徴とする情報収集システム。
【請求項2】
前記家族構成推定手段は、前記顔データベースに記憶された前記判定結果によって示される前記複数の人物の年齢層差および性別に基づいて前記人物間の親子関係および兄弟姉妹関係を判定し、前記年齢層差および前記性別に基づいて、男性と女性との一対となる人物の夫婦関係を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報収集システム。
【請求項3】
前記家族構成推定手段は、前記複数の人物の外出パターンを判定し、当該外出パターンと、前記カメラによって人物が撮影された時間帯とに基づいて当該人物が来客であるか否かを判定し、前記家族構成を判定する際に、来客であると判定された前記人物を除外する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報収集システム。
【請求項4】
前記カメラによって撮影された前記顔画像に基づく顔認識の難易度を判定する認識難易度判定手段を有し、
前記家族構成推定手段は、前記家族構成を判定する際に、前記認識難易度判定手段により判定された前記難易度が所定値以上であり顔認識が困難であると判定された前記顔画像を除外する
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の情報収集システム。
【請求項5】
前記認識難易度判定手段は、前記カメラで撮影された顔画像の属性により、前記認識難易度を判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報収集システム。
【請求項6】
前記情報収集システムは、定められた複数のコンテンツのうちコンテンツ要求に応じたコンテンツを配信するコンテンツサーバと、前記コンテンツを受信して表示するテレビジョン受信機とに接続され、
前記家族構成推定手段によって判定された前記家族構成と、前記カメラによって撮影された前記顔画像とに基づいて、前記テレビジョン受信機に送信する前記コンテンツを判定し、判定した当該コンテンツのコンテンツ要求を前記コンテンツサーバに送信するレコメンド処理部
を備えることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の情報収集システム。
【請求項7】
撮影された人物の顔画像に基づいて、前記人物の年齢と性別とを判定する顔認識システムから出力される判定結果が記憶される顔データベースを備える情報収集システムの情報収集方法であって、
カメラが、定められた家庭内の複数の人物の顔画像を撮影するステップと、
前記顔認識システムが、前記カメラによって撮影された前記顔画像に基づいて前記判定結果を出力するステップと、
家族構成推定手段が、前記判定結果が示す年齢及び性別に応じて前記家庭内の家族構成の関係を辿り家族構成を判定するステップと
を備えることを特徴とする情報収集方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公開番号】特開2011−123657(P2011−123657A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280568(P2009−280568)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】