説明

情報媒体およびその製造方法

【課題】エンボス文字の部分の強度を向上した情報媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の情報媒体の製造方法は、第一基材14の他方の面14bに凹部17を覆うように第一接着剤を塗布する工程Bと、第一接着剤を介して、第一基材14に第二基材15を重ね合わせて、第一基材14に対して第二基材15を押圧することにより、第一基材14と第二基材15の間に、第一接着剤を展開させて、凹部17内に第一接着剤を充填した後、第一基材14と第二基材15を剥離する工程Cと、フレーム11およびモジュール12に塗布した第二接着剤を介して、フレーム11およびモジュール12に、第二基材15の第一接着剤が塗布された面を重ね合わせて、フレーム11およびモジュール12に対して第二基材15を押圧することにより、フレーム11およびモジュール12と、第二基材15との間に、第二接着剤を展開させる工程Gと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な回路を有するモジュールを備えたカード型またはシート型の情報媒体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、そのカードを用いた情報管理や決済などが行われている。
このような情報管理や決済などに用いられるカードとしては、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カードなどが挙げられる。これらのICカードや磁気カードなどのカード型の情報媒体は、専用の装置を用いて情報の書込みや読み出しが行われる。
【0003】
このようなカード型の情報媒体には、印刷などの表示の他にエンボス表示が設けられている。情報媒体の表面には、例えば、情報媒体固有の表示情報、情報媒体の所有者の氏名、情報媒体の番号、会員番号、情報媒体の有効期限などを凹凸により表示する、いわゆるエンボス加工による浮き出し文字(エンボス文字)が形成されている。この浮き出し文字は、情報媒体固有の情報を表示するものであり、可視情報として利用される。
【0004】
エンボス加工は、通常、カード型の情報媒体に対して、その裏面側から、文字パターンが形成された打刻用キーによって所望の文字情報を打刻し、情報媒体の表面側に、そのカード基材を凸状に浮き出させて、所望の文字情報をエンボス文字として形成する方法である(例えば、特許文献1参照)。なお、この方法では、情報媒体の裏面側には、文字パターンが凹状に形成される。
【0005】
また、カード型の情報媒体にエンボス文字を設ける方法としては、予めカード基材にエンボス加工を施してエンボス文字を形成しておき、その他の内蔵部品(モジュール)を介して、エンボス加工を施した基材と、他のカード基材とを貼り合せる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−206559号公報
【特許文献2】特開平5−221189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
情報媒体に対して直接、エンボス加工を施す方法では、エンボス加工が施される部分を避けてモジュールを配置する必要があるため、モジュールの形状が限定されてしまうという問題があった。そのため、情報媒体本来の機能が損なわれるおそれがあった。
また、予めカード基材にエンボス加工を施す方法では、エンボス加工を施した基材と、他のカード基材とを貼り合せる際、カード基材の裏面側(貼着時の内側)に形成されたエンボス文字に相当する凹部内に空気が封じ込められ、凹部内に空気層が形成されるという問題があった。凹部内に空気層が形成されると、エンボス文字の部分の強度が低くなり、その部分が陥没するなどして品質不良が発生するおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、エンボス文字の部分の強度を向上した情報媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報媒体の製造方法は、第一基材にエンボス加工を施して、該第一基材の一方の面側に突出して、文字または記号を表示する凸部を形成する工程Aと、前記第一基材の他方の面に、前記凸部に相当する凹部を覆うように第一接着剤を塗布する工程Bと、前記第一接着剤を介して、前記第一基材に第二基材を重ね合わせて、前記第一基材に対して前記第二基材を押圧することにより、前記第一基材と前記第二基材の間に、前記第一接着剤を展開させて、前記凹部内に前記第一接着剤を充填した後、前記第一基材と前記第二基材を剥離する工程Cと、前記第一接着剤を介して、前記第一基材の他方の面に、内側にモジュールを嵌入する嵌入部が形成されたフレームを接合する工程Dと、前記嵌入部に、モジュールを嵌入する工程Eと、前記フレームおよび前記モジュールの前記第一基材と対向する面とは反対側の面に第二接着剤を塗布する工程Fと、前記第二接着剤を介して、前記フレームおよび前記モジュールに、前記第二基材における前記第一接着剤が塗布された面を重ね合わせて、前記フレームおよび前記モジュールに対して前記第二基材を押圧することにより、前記フレームおよび前記モジュールと、前記第二基材との間に、前記第二接着剤を展開させる工程Gと、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の情報媒体の製造方法は、第一基材にエンボス加工を施して、該第一基材の一方の面側に突出して、文字または記号を表示する凸部を形成する工程aと、前記第一基材の他方の面に、前記凸部に相当する凹部を覆うように第一接着剤を塗布する工程bと、前記第一接着剤を介して、前記第一基材に第二基材を重ね合わせて、前記第一基材に対して前記第二基材を押圧することにより、前記第一基材と前記第二基材の間に、前記第一接着剤を展開させて、前記凹部内に前記第一接着剤を充填した後、前記第一基材と前記第二基材を剥離する工程cと、前記第一接着剤を介して、前記第二基材の他方の面に、内側にモジュールを嵌入する嵌入部が形成されたフレームを接合する工程dと、前記嵌入部に、モジュールを嵌入する工程eと、前記フレームおよび前記モジュールの前記第二基材と対向する面とは反対側の面に第二接着剤を塗布する工程fと、前記第二接着剤を介して、前記フレームおよび前記モジュールに、前記第一基材における前記第一接着剤が塗布された面を重ね合わせて、前記フレームおよび前記モジュールに対して前記第一基材を押圧することにより、前記フレームおよび前記モジュールと、前記第一基材との間に、前記第二接着剤を展開させる工程gと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の情報媒体は、フレームと、該フレームに内設されたモジュールと、前記フレームおよび前記モジュールを被覆する接着層と、該接着層を介して、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記基材の一方に、前記基材の外面側に突出して、文字または記号を表示する凸部が設けられ、該凸部内に前記接着層が形成された情報媒体であって、本発明の情報媒体の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の情報媒体の製造方法によれば、工程Bにて、第一基材に形成された凸部に相当する凹部を覆うように第一接着剤を塗布し、工程Cにて、第一基材に対して第二基材を押圧することにより、第一基材と第二基材の間に、第一接着剤を展開させるので、凹部内に第一接着剤が隙間なく充填される。したがって、凹部内に、空気層が形成されることがなく、結果として、情報媒体における凸部の強度を高くすることができ、外力などにより凸部が陥没することを防止できる。
また、工程Gにて、第一接着剤と第二接着剤を介して、フレームおよびモジュールと、第二基材とが接着されるから、フレームおよびモジュールと、第二基材との密着性が向上し、フレームおよびモジュールと、第二基材との間に空気が入り込み、フレームおよびモジュールと、第二基材との間に空気層が形成されることを防止できる。
【0013】
本発明の情報媒体の製造方法によれば、工程bにて、第一基材に形成された凸部に相当する凹部を覆うように第一接着剤を塗布し、工程cにて、第一基材に対して第二基材を押圧することにより、第一基材と第二基材の間に、第一接着剤を展開させるので、凹部内に第一接着剤が隙間なく充填される。したがって、凹部内に、空気層が形成されることがなく、結果として、情報媒体における凸部の強度を高くすることができ、外力などにより凸部が陥没することを防止できる。
また、工程gにて、第一接着剤と第二接着剤を介して、フレームおよびモジュールと、第一基材とが接着されるから、フレームおよびモジュールと、第一基材との密着性が向上し、フレームおよびモジュールと、第一基材との間に空気が入り込み、凹部内に空気層が形成されることを防止できる。
【0014】
本発明の情報媒体によれば、基材の一方に、その外面側に突出して、文字または記号を表示する凸部が設けられ、その凸部内に接着層が形成されているので、凸部の強度が高くなり、外力などにより凸部が陥没することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の情報媒体の一実施形態を示し、図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において用いられる第一基材を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において用いられる第二基材を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図6】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図7】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Cを示す概略斜視図である。
【図8】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Dを示す概略斜視図である。
【図9】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Eを示す概略斜視図である。
【図10】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Fを示す概略斜視図である。
【図11】本発明の情報媒体の製造方法の第一の実施形態において、工程Gを示す概略斜視図である。
【図12】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において用いられる第一基材を示す概略斜視図である。
【図13】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において用いられる第二基材を示す概略斜視図である。
【図14】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図15】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図16】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Cを示す概略斜視図である。
【図17】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Dを示す概略斜視図である。
【図18】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Eを示す概略斜視図である。
【図19】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Fを示す概略斜視図である。
【図20】本発明の情報媒体の製造方法の第二の実施形態において、工程Gを示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の情報媒体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0017】
「情報媒体」
図1は、本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略斜視図である。図2は、本発明の情報媒体の一実施形態を示し、図1のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の情報媒体10は、平面視略長方形状のフレーム11と、フレーム11に内設されたモジュール12と、フレーム11およびモジュール12を被覆する接着層13と、接着層13を介して、フレーム11およびモジュール12を挟持する一対の基材14,15(第一基材14、第二基材15)とから概略構成されている。
また、第一基材14に、第一基材14の外面(一方の面)14a側に突出して、文字を表示する凸部16(16A〜16E)が設けられ、凸部16の内部にも接着層13が形成されている。なお、凸部16の内部とは、第一基材14の第二基材15と対向する面(以下、「他方の面」と言う。)14b側に形成され、凸部16に相当する凹部17(17A〜17E)の内部のことである。
【0018】
すなわち、情報媒体10は、モジュール12を内設したフレーム11が、接着層13を介して、第一基材14および第二基材15に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。したがって、フレーム11は、接着層13を形成する接着剤によって、第一基材14および第二基材15に接着されている。これにより、情報媒体10は、平面視略長方形状をなしている。
【0019】
ここで、フレーム11にモジュール12を内設するとは、フレーム11の内側にモジュール12を設けることを言う。
フレーム11の内側には、モジュール12を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール12の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが設けられている。
また、フレーム11の厚さは、モジュール12の厚さとほぼ等しくなっており、フレーム11に嵌入されたモジュール12の表面は、フレーム11の表面とほぼ同一面をなしている。
【0020】
ここで、第二基材15の第一基材14と対向する面とは反対側の面(外面)を、一方の面15aと言う。また、第二基材15の第一基材14と対向する面(接着層13と接する面)を他方の面15bと言う。
【0021】
第一基材14の一方の面14aには、種々の印刷からなる印刷層18が設けられている。
第二基材15の一方の面15aには、種々の印刷からなる印刷層19が設けられている。
【0022】
フレーム11の材質としては、少なくとも表層部に、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材にマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したもの、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を押出発泡成形したシート)などの公知のものから選択して用いられる。
【0023】
モジュール12としては、各種の電気的な回路を有するモジュールが挙げられる。例えば、表示部および接触型のICチップを備えたモジュール、互いに接続されたアンテナおよび非接触型のICチップを備えたRFID用途のモジュール、これらに、さらに、電池、ダイオード、制御装置などを備えたモジュールなどが挙げられる。
【0024】
表示部としては、電子ペーパー、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。
また、接触型のICチップとしては、金属端子が表面に剥き出しになっており、その金属端子を情報書込/読出装置に接触させて、情報の読み書きを行うものが用いられる。
【0025】
モジュール12がRFID用途のモジュールである場合、アンテナは、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0026】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナをなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナをなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0027】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0028】
また、アンテナをなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナをなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0029】
モジュール12がRFID用途のモジュールである場合、ICチップとしては、特に限定されず、上記のアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0030】
接着層13をなす接着剤としては、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えることにより硬化するものであり、透明(光透過性)の接着剤が用いられる。このような接着剤としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂が挙げられる。また、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型接着剤も用いられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂、エステル系樹脂などが挙げられる。
【0031】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
2液硬化型接着剤としては、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ウレタンとポリイソシアネートとの混合物、エポキシ樹脂とアミン系樹脂の混合物、エポキシ樹脂とポリアミド樹脂の混合物などが挙げられる。
【0032】
このような接着剤としては、一般的なカード基材である、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリ塩化ビニル(PVC)に対し、JIS X6305−5「識別カードの試験方法−第5部:光メモリカード」に規定される試験方法によって測定される層間剥離強度が、JIS X6301「識別カード−物理的特性」に規定される0.35N/mm以上(望ましくは0.5N/mm以上)である接着剤であれば自由に選択される。
【0033】
また、接着層13を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、接着層14を任意の色に着色することもできる。
【0034】
第一基材14および第二基材15としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0035】
印刷層18,19は、情報媒体10の内部を隠蔽するための装飾用の印刷や、情報媒体10に関連する情報などを表示する印刷からなるものである。
【0036】
この情報媒体10は、第一基材14の一方の面14a側に突出して、文字を表示する凸部16の内部にも接着層13が形成されているので、凸部16の強度が高くなり、外力などにより凸部16が陥没することを防止できる。
【0037】
なお、この実施形態では、第一基材14に文字を表示する凸部16A〜16Eが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材に、記号を表示する凸部が設けられていてもよい。また、文字または記号を表示する凸部の数も限定されず、情報の表示に必要な数だけ設けられる。
【0038】
また、この実施形態では、フレーム11が1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つ以上の部材からなる場合、予め2つ以上の部材が接着剤または熱融着により接合されて、1つのフレームとされて用いられる。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0039】
また、この実施形態では、第一基材14の一方の面14aに印刷層18が設けられ、かつ、第二基材15の一方の面15aに印刷層19が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の他方の面や、第二基材の他方の面に印刷層が設けられていてもよい。
また、この実施形態では、情報媒体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
【0040】
「情報媒体の製造方法の第一の実施形態」
次に、図3〜11を参照して、情報媒体の製造方法の第一の実施形態を説明する。
【0041】
まず、図3に示すように、一方の面14aに、最終的なカード形状の外郭線18aを有し、種々の印刷からなる印刷層18が設けられた第一基材14を用意する。
また、図4に示すように、一方の面15aに、最終的なカード形状の外郭線19aを有し、種々の印刷からなる印刷層19が設けられた第二基材15を用意する。
【0042】
次いで、図5に示すように、第一基材14に対して、その他方の面14b側から、文字パターンが形成された打刻用キーによって任意の文字を打刻するなどの方法により、エンボス加工を施して、第一基材14の一方の面14a側に突出して、文字を表示する凸部16A,16B,16C,16D,16Eを形成する(工程A)。
すなわち、この工程Aでは、第一基材14の他方の面14b側には、凸部16A,16B,16C,16D,16Eに相当する凹部17A,17B,17C,17D,17Eが形成される。
【0043】
次いで、図6に示すように、第一基材14の他方の面14bに、凹部17A,17B,17C,17D,17Eを覆うように接着剤塗布装置のノズル31から吐出される第一接着剤20を塗布する(工程B)。
【0044】
第一接着剤20としては、上記の接着層13を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一基材14の他方の面14bに対する第一接着剤20の塗布量は、特に限定されないが、この第一接着剤20を充填する凹部17A,17B,17C,17D,17Eの大きさ、第一接着剤20によって被覆される、フレーム11Aの面積、フレーム11Aに設けられた嵌入部11aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0045】
次いで、図7に示すように、第一接着剤20を介して、第一基材14に第二基材15を重ね合わせて、第一基材14に対して第二基材15を押圧することにより、第一基材14と第二基材15の間に、第一接着剤20を展開させて、凹部17A,17B,17C,17D,17E内に第一接着剤20を充填する。その後、第一基材14と第二基材15を剥離する(工程C)。
【0046】
この工程Cでは、第一基材14の他方の面14bと、第二基材15の他方の面15bとが対向するように、第一基材14に第二基材15を重ね合わせる。
この工程により、第一基材14の他方の面14b、および、第二基材15の他方の面15bのほぼ全面に第一接着剤20が展開(塗布)される。
【0047】
次いで、図8に示すように、内側に、その厚さ方向に貫通し、モジュール12の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが形成された略長方形状のフレーム11Aを用意する。
そして、第一接着剤20を介して、第一基材14の他方の面14bに、フレーム11Aを重ね合わせ、第一基材14に対してフレーム11Aを押圧することにより、第一基材14とフレーム11Aの間に、第一接着剤20を展開させ、第一基材14の他方の面14bにフレーム11Aを接着する(工程D)。
【0048】
ここで、情報媒体10の外郭線10aは、印刷層18の外郭線18aに対応する。
この工程Dでは、第一基材14とフレーム11Aの間に、第一接着剤20を展開させる際、フレーム11Aの嵌入部11aに、第一接着剤20を流入させてもよい。
また、この工程Dでは、第一基材14とフレーム11Aの間に展開させた第一接着剤20の余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層18の外郭線18a)よりも外側に、裾拡がりするように展開させる。
【0049】
次いで、図9に示すように、フレーム11Aの内側に形成された嵌入部11aに、モジュール12を嵌入する(工程E)。
【0050】
次いで、図10に示すように、フレーム11Aの第一基材14と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)11b、および、モジュール12の第一基材14と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)12aに、接着剤塗布装置のノズル32から吐出される第二接着剤21を塗布する(工程F)。
【0051】
第二接着剤21としては、上記の接着層13を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、フレーム11Aの一方の面11b、および、モジュール12の一方の面12a、に対する第二接着剤21の塗布量は、特に限定されないが、この第二接着剤21によって被覆される、フレーム11Aの面積およびモジュール12の大きさなどに応じて、適宜調整される。
【0052】
次いで、図11に示すように、フレーム11Aおよびモジュール12に塗布した第二接着剤21を介して、フレーム11Aおよびモジュール12に、第二基材15における第一接着剤20が塗布された面(他方の面15b)を重ね合わせて、フレーム11Aおよびモジュール12に対して第二基材15を押圧することにより、フレーム11Aおよびモジュール12と、第二基材15との間に、第二接着剤21を展開させる(工程G)。
【0053】
また、この工程Gでは、第二基材15の一方の面15aに設けられた印刷層19の外郭線19aは、情報媒体10の外郭線10a、および、第一基材14の一方の面14aに設けられた印刷層18の外郭線18aに対応する。すなわち、この第二基材15に設けられた印刷層19の外郭線19aと、第一基材14に設けられた印刷層18の外郭線18aとが重なるように、フレーム11Aおよびモジュール12に、第二基材15を重ね合わせる。
【0054】
また、この工程Gでは、フレーム11Aおよびモジュール12と、第二基材15との間に展開させた第二接着剤21の余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層19の外郭線19a)よりも外側に、裾が拡がるように展開させる。
【0055】
次いで、第一基材14、第一接着剤20、フレーム11A、モジュール12、第二接着剤21および第二基材15から構成される積層体に対して、加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)をする(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、第一接着剤20および第二接着剤21を硬化させて、前記の積層体を一体化する。
【0056】
次いで、第一基材14、第一接着剤20、フレーム11A、モジュール12、第二接着剤21および第二基材15から構成される積層体を、情報媒体10の外郭線10aに沿って裁断して、図1に示す情報媒体10を得る。
【0057】
この工程では、上記の積層体の裁断により、第一接着剤20および第二接着剤21の余剰分も分離、除去される。
【0058】
この実施形態の情報媒体の製造方法によれば、工程Bにて、凹部17A,17B,17C,17D,17Eを覆うように第一接着剤20を塗布し、工程Cにて、第一基材14に対して第二基材15を押圧することにより、第一基材14と第二基材15の間に、第一接着剤20を展開させるので、凹部17A,17B,17C,17D,17E内に第一接着剤20が隙間なく充填される。したがって、凹部17A,17B,17C,17D,17E内に、空気層が形成されることがなく、結果として、情報媒体10において、これらの凹部に相当する凸部16A,16B,16C,16D,16Eの強度を高くすることができ、外力などにより凸部16A,16B,16C,16D,16Eが陥没することを防止できる。
また、工程Gにて、第一接着剤20と第二接着剤21を介して、フレーム11Aおよびモジュール12と、第二基材15とが接着されるから、フレーム11Aおよびモジュール12と、第二基材15との密着性が向上し、フレーム11Aおよびモジュール12と、第二基材15との間に空気が入り込み、フレーム11Aおよびモジュール12と、第二基材15との間に空気層が形成されることを防止できる。
【0059】
なお、この実施形態では、第一基材14に文字を表示する凸部16A〜16Eが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材に、記号を表示する凸部が設けられていてもよい。また、文字または記号を表示する凸部の数も限定されず、情報の表示に必要な数だけ設けられる。
【0060】
なお、この実施形態では、フレーム11Aが1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つの部材からなる場合、予め2つ以上の部材を接着剤または熱融着により接合して、1つのフレームとして用いてもよい。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0061】
また、この実施形態では、第一基材14の一方の面14aに印刷層18が設けられ、かつ、第二基材15の一方の面15aに印刷層19が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の他方の面や、第二基材の他方の面に印刷層が設けられていてもよい。
【0062】
「情報媒体の製造方法の第二の実施形態」
次に、図12〜20を参照して、情報媒体の製造方法の第二の実施形態を説明する。
【0063】
まず、図12に示すように、一方の面14aに、最終的なカード形状の外郭線18aを有し、種々の印刷からなる印刷層18が設けられた第一基材14を用意する。
また、図13に示すように、一方の面15aに、最終的なカード形状の外郭線19aを有し、種々の印刷からなる印刷層19が設けられた第二基材15を用意する。
【0064】
次いで、図14に示すように、第一基材14に対して、その他方の面14b側から、文字パターンが形成された打刻用キーによって任意の文字を打刻するなどの方法により、エンボス加工を施して、第一基材14の一方の面14a側に突出して、文字を表示する凸部16A,16B,16C,16D,16Eを形成する(工程a)。
すなわち、この工程aでは、第一基材14の他方の面14b側には、凸部16A,16B,16C,16D,16Eに相当する凹部17A,17B,17C,17D,17Eが形成される。
【0065】
次いで、図15に示すように、第一基材14の他方の面14bに、凹部17A,17B,17C,17D,17Eを覆うように接着剤塗布装置のノズル31から吐出される第一接着剤20を塗布する(工程b)。
【0066】
第一接着剤20としては、上記の接着層13を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一基材14の他方の面14bに対する第一接着剤20の塗布量は、特に限定されないが、この第一接着剤20を充填する凹部17A,17B,17C,17D,17Eの大きさ、第一接着剤20によって被覆される、フレーム11Aの面積、フレーム11Aに設けられた嵌入部11aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0067】
次いで、図16に示すように、第一接着剤20を介して、第一基材14に第二基材15を重ね合わせて、第一基材14に対して第二基材15を押圧することにより、第一基材14と第二基材15の間に、第一接着剤20を展開させて、凹部17A,17B,17C,17D,17E内に第一接着剤20を充填する。その後、第一基材14と第二基材15を剥離する(工程c)。
【0068】
この工程cでは、第一基材14の他方の面14bと、第二基材15の他方の面15bとが対向するように、第一基材14に第二基材15を重ね合わせる。
この工程により、第一基材14の他方の面14b、および、第二基材15の他方の面15bのほぼ全面に第一接着剤20が展開(塗布)される。
【0069】
次いで、図17に示すように、内側に、その厚さ方向に貫通し、モジュール12の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが形成された略長方形状のフレーム11Aを用意する。
そして、第一接着剤20を介して、第二基材15の他方の面15bに、フレーム11Aを重ね合わせ、第二基材15に対してフレーム11Aを押圧することにより、第二基材15とフレーム11Aの間に、第一接着剤20を展開させ、第二基材15の他方の面15bにフレーム11Aを接着する(工程d)。
【0070】
ここで、情報媒体10の外郭線10aは、印刷層19の外郭線19aに対応する。
この工程dでは、第二基材15とフレーム11Aの間に、第一接着剤20を展開させる際、フレーム11Aの嵌入部11aに、第一接着剤20を流入させてもよい。
また、この工程dでは、第二基材15とフレーム11Aの間に展開させた第一接着剤20の余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層19の外郭線19a)よりも外側に、裾拡がりするように展開させる。
【0071】
次いで、図18に示すように、フレーム11Aの内側に形成された嵌入部11aに、モジュール12を嵌入する(工程e)。
【0072】
次いで、図19に示すように、フレーム11Aの第二基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)11b、および、モジュール12の第二基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)12aに、接着剤塗布装置のノズル32から吐出される第二接着剤21を塗布する(工程f)。
この工程fにおいて、第二接着剤21の塗布位置は、第一基材14に形成された凹部17A,17B,17C,17D,17Eに対応する位置が好ましい。
【0073】
第二接着剤21としては、上記の接着層13を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、フレーム11Aの一方の面11b、および、モジュール12の一方の面12a、に対する第二接着剤21の塗布量は、特に限定されないが、この第二接着剤21によって被覆される、フレーム11Aの面積およびモジュール12の大きさなどに応じて、適宜調整される。
【0074】
次いで、図20に示すように、フレーム11Aおよびモジュール12に塗布した第二接着剤21を介して、フレーム11Aおよびモジュール12に、第一基材14における第一接着剤20が塗布された面(他方の面14b)を重ね合わせて、フレーム11Aおよびモジュール12に対して第一基材14を押圧することにより、フレーム11Aおよびモジュール12と、第一基材14との間に、第二接着剤21を展開させる(工程g)。
【0075】
また、この工程gでは、第一基材14の一方の面14aに設けられた印刷層18の外郭線18aは、情報媒体10の外郭線10a、および、第二基材15の一方の面15aに設けられた印刷層19の外郭線19aに対応する。すなわち、この第一基材14に設けられた印刷層18の外郭線18aと、第二基材15に設けられた印刷層19の外郭線19aとが重なるように、フレーム11Aおよびモジュール12に、第一基材14を重ね合わせる。
【0076】
また、この工程gでは、フレーム11Aおよびモジュール12と、第一基材14との間に展開させた第二接着剤21の余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層18の外郭線18a)よりも外側に、裾が拡がるように展開させる。
【0077】
次いで、第一基材14、第一接着剤20、フレーム11A、モジュール12、第二接着剤21および第二基材15から構成される積層体に対して、加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)をする(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、第一接着剤20および第二接着剤21を硬化させて、前記の積層体を一体化する。
【0078】
次いで、第一基材14、第一接着剤20、フレーム11A、モジュール12、第二接着剤21および第二基材15から構成される積層体を、情報媒体10の外郭線10aに沿って裁断して、図1に示す情報媒体10を得る。
【0079】
この工程では、上記の積層体の裁断により、第一接着剤20および第二接着剤21の余剰分も分離、除去される。
【0080】
この実施形態の情報媒体の製造方法によれば、工程bにて、凹部17A,17B,17C,17D,17Eを覆うように第一接着剤20を塗布し、工程cにて、第一基材14に対して第二基材15を押圧することにより、第一基材14と第二基材15の間に、第一接着剤20を展開させるので、凹部17A,17B,17C,17D,17E内に第一接着剤20が隙間なく充填される。したがって、凹部17A,17B,17C,17D,17E内に、空気層が形成されることがなく、結果として、情報媒体10において、これらの凹部に相当する凸部16A,16B,16C,16D,16Eの強度を高くすることができ、外力などにより凸部16A,16B,16C,16D,16Eが陥没することを防止できる。
また、工程gにて、第一接着剤20と第二接着剤21を介して、フレーム11Aおよびモジュール12と、第一基材14とが接着されるから、フレーム11Aおよびモジュール12と、第一基材14との密着性が向上し、フレーム11Aおよびモジュール12と、第一基材14との間に空気が入り込み、凹部17A,17B,17C,17D,17E内に空気層が形成されることを防止できる。
【0081】
なお、この実施形態では、第一基材14に文字を表示する凸部16A〜16Eが設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材に、記号を表示する凸部が設けられていてもよい。また、文字または記号を表示する凸部の数も限定されず、情報の表示に必要な数だけ設けられる。
【0082】
なお、この実施形態では、フレーム11Aが1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つの部材からなる場合、予め2つ以上の部材を接着剤または熱融着により接合して、1つのフレームとして用いてもよい。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0083】
また、この実施形態では、第一基材14の一方の面14aに印刷層18が設けられ、かつ、第二基材15の一方の面15aに印刷層19が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の他方の面や、第二基材の他方の面に印刷層が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10・・・情報媒体、11・・・フレーム、12・・・モジュール、13・・・接着層、14・・・第一基材(基材)、15・・・第二基材(基材)、16・・・凸部、17・・凹部、18,19・・・印刷層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基材にエンボス加工を施して、該第一基材の一方の面側に突出して、文字または記号を表示する凸部を形成する工程Aと、
前記第一基材の他方の面に、前記凸部に相当する凹部を覆うように第一接着剤を塗布する工程Bと、
前記第一接着剤を介して、前記第一基材に第二基材を重ね合わせて、前記第一基材に対して前記第二基材を押圧することにより、前記第一基材と前記第二基材の間に、前記第一接着剤を展開させて、前記凹部内に前記第一接着剤を充填した後、前記第一基材と前記第二基材を剥離する工程Cと、
前記第一接着剤を介して、前記第一基材の他方の面に、内側にモジュールを嵌入する嵌入部が形成されたフレームを接合する工程Dと、
前記嵌入部に、モジュールを嵌入する工程Eと、
前記フレームおよび前記モジュールの前記第一基材と対向する面とは反対側の面に第二接着剤を塗布する工程Fと、
前記第二接着剤を介して、前記フレームおよび前記モジュールに、前記第二基材における前記第一接着剤が塗布された面を重ね合わせて、前記フレームおよび前記モジュールに対して前記第二基材を押圧することにより、前記フレームおよび前記モジュールと、前記第二基材との間に、前記第二接着剤を展開させる工程Gと、を有することを特徴とする情報媒体の製造方法。
【請求項2】
第一基材にエンボス加工を施して、該第一基材の一方の面側に突出して、文字または記号を表示する凸部を形成する工程aと、
前記第一基材の他方の面に、前記凸部に相当する凹部を覆うように第一接着剤を塗布する工程bと、
前記第一接着剤を介して、前記第一基材に第二基材を重ね合わせて、前記第一基材に対して前記第二基材を押圧することにより、前記第一基材と前記第二基材の間に、前記第一接着剤を展開させて、前記凹部内に前記第一接着剤を充填した後、前記第一基材と前記第二基材を剥離する工程cと、
前記第一接着剤を介して、前記第二基材の他方の面に、内側にモジュールを嵌入する嵌入部が形成されたフレームを接合する工程dと、
前記嵌入部に、モジュールを嵌入する工程eと、
前記フレームおよび前記モジュールの前記第二基材と対向する面とは反対側の面に第二接着剤を塗布する工程fと、
前記第二接着剤を介して、前記フレームおよび前記モジュールに、前記第一基材における前記第一接着剤が塗布された面を重ね合わせて、前記フレームおよび前記モジュールに対して前記第一基材を押圧することにより、前記フレームおよび前記モジュールと、前記第一基材との間に、前記第二接着剤を展開させる工程gと、を有することを特徴とする情報媒体の製造方法。
【請求項3】
フレームと、該フレームに内設されたモジュールと、前記フレームおよび前記モジュールを被覆する接着層と、該接着層を介して、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記基材の一方に、前記基材の外面側に突出して、文字または記号を表示する凸部が設けられ、該凸部内に前記接着層が形成された情報媒体であって、
請求項1または2に記載の情報媒体の製造方法によって製造されたことを特徴とする情報媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−141719(P2012−141719A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293206(P2010−293206)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】