説明

情報媒体およびその製造方法

【課題】モジュールの出力部において、これらを接着、固定するための接着剤に気泡が存在することを防止した情報媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の情報媒体10は、フレーム11と、フレーム11に内設され、表示部12を有するモジュール13と、少なくとも表示部12の表示面12aおよびその近傍、並びに、モジュール13における表示面12a側の面を被覆する接着層14と、接着層14と接するとともに、フレーム11およびモジュール13を挟持する一対の基材15,16と、を備え、表示部12が、フレーム11に少なくとも一部が当接するように、フレーム11に内設され、表示部12とフレーム11の間に、接着層14が形成される空間11bが設けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部または発光部を有するモジュールを備えたカード型またはシート型の情報媒体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、そのカードを用いた情報管理や決済などが行われている。
このような情報管理や決済などに用いられるカードとしては、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カードなどが挙げられる。これらのICカードや磁気カードなどのカード型の情報媒体は、専用の装置を用いて情報の書込みや読み出しが行われる。
このようなカード型の情報媒体は、情報を表示する表示部または光を発する発光部(以下、これらを総称して「出力部」と言う。)を有するモジュールを備えている。また、この情報媒体では、モジュールを、基材に対して所定の位置に配置するためにフレームが用いられている。すなわち、この情報媒体は、モジュールが所定の位置に内設されたフレームが、接着剤を介して、一対の基材で挟持された構造をなしている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−236937号公報
【特許文献2】特開2004−110142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような情報媒体において、モジュールの出力部は、透明な接着剤によって、基材の窓部(印刷が施されていない部分、非印刷部)に接着される。
このように、接着剤を介して、モジュールと基材を接着すると、接着剤と基材の間に空気が入り込んでしまい、その空気が気泡となって、出力部に残留することがあった。表示部に気泡が存在すると、表示の妨げになり、表示内容が視認し難くなるなどの問題があった。また、発光部に気泡が存在すると、発光の妨げになり、所定の輝度が得られないなどの問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、モジュールの出力部において、これらを接着、固定するための接着剤に気泡が存在することを防止した情報媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報媒体は、フレームと、該フレームに内設され、出力部を有するモジュールと、少なくとも前記出力部の出力面およびその近傍、並びに、前記フレームにおける前記出力面側の面を被覆する接着層と、該接着層と接するとともに、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、前記出力部は、前記フレームに少なくとも一部が当接するように、前記フレームに内設され、前記出力部と前記フレームの間に、前記接着層が形成される空間が設けられたことを特徴とする。
【0007】
本発明の情報媒体の製造方法は、フレームと、該フレームに内設され、出力部を有するモジュールと、少なくとも前記出力部の出力面およびその近傍、並びに、前記フレームにおける前記出力面側の面を被覆する接着層と、該接着層と接するとともに、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記出力部は、前記フレームに少なくとも一部が当接するように、前記フレームに内設され、前記出力部と前記フレームの間に、前記接着層が形成される空間が設けられた情報媒体の製造方法であって、第一基材の一方の面に、内側にモジュールを嵌入する嵌入部が形成され、該嵌入部において、少なくとも前記モジュールの出力部の一部が当接し、前記出力部との間に空間が設けられるフレームを接合する工程Aと、前記嵌入部に、モジュールを嵌入する工程Bと、前記フレームおよび前記モジュールの前記第一基材と対向する面とは反対側の面に接着剤を塗布する工程Cと、前記接着剤を介して、前記フレームおよび前記モジュールに、第二基材の一方の面を重ね合わせて、前記フレームおよび前記モジュールに対して前記第二基材を押圧することにより、前記フレームおよび前記モジュールと、前記第二基材との間に、前記接着剤を展開させて、前記空間内に、前記接着剤、および、前記第二基材と前記出力部との間に入り込んだ空気を流入させる工程Dと、を有し、前記工程Aと前記工程Bを順不同に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の情報媒体によれば、モジュールの出力部は、フレームに少なくとも一部が当接するように、フレームに内設され、出力部とフレームの間に、接着層が形成される空間が設けられているので、フレームおよびモジュールと、基材とを重ね合わせた際、出力部と基材の間に入り込んだ空気(気泡)を、前記の空間内に移動させ、移動させた空気を、その位置から動かないように固定することができる。したがって、出力部と基材の間には気泡が存在しないので、出力部の視認性に優れている。また、モジュールの出力部は、その一部がフレームに対して内接しているので、基材に対して出力部が正確に位置決めされるから、出力部の視認性を高めることができる。
【0009】
本発明の情報媒体の製造方法によれば、工程Dにおいて、接着剤を介して、フレームおよびモジュールに、第二基材を重ね合わせて、フレームおよびモジュールに対して第二基材を押圧することにより、フレームおよびモジュールと、第二基材との間に、接着剤を展開させて、フレームと出力部との間の空間内に、接着剤、および、第二基材と出力部との間に入り込んだ空気を流入させた後、接着剤を硬化させるので、前記の空間内に移動させた空気を、その位置から動かないように固定することができる。したがって、出力部と第二基材の間に気泡が存在することなく、出力部の視認性に優れた情報媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図2】本発明の情報媒体の一実施形態を構成するフレームを示す概略平面図である。
【図3】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において用いられる第一基材を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、第一基材への接着剤の塗布工程を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Aを示す概略斜視図である。
【図6】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Bを示す概略斜視図である。
【図7】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Cを示す概略斜視図である。
【図8】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Dを示す概略斜視図である。
【図9】本発明の情報媒体の製造方法の一実施形態において、工程Dを示し、図8のC−C線に沿う概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の情報媒体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
「情報媒体」
図1は、本発明の情報媒体の一実施形態を示す概略構成図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である。図2は、本発明の情報媒体の一実施形態を構成するフレームを示す概略平面図である。
この実施形態の情報媒体10は、平面視略長方形状のフレーム11と、フレーム11に内設され、表示部12を有するモジュール13と、フレーム11およびモジュール13を被覆する接着層14と、接着層14を介して、フレーム11およびモジュール13を挟持する一対の基材15,16(第一基材15、第二基材16)とから概略構成されている。
【0013】
すなわち、情報媒体10は、モジュール13を内設したフレーム11が、接着層14を介して、第一基材15および第二基材16に挟持され、これらの部材がその厚さ方向において積層された構造をなしている。したがって、フレーム11は、接着層14を形成する接着剤によって、第一基材15および第二基材16に接着されている。これにより、情報媒体10は、平面視略長方形状をなしている。
ここで、フレーム11にモジュール13を内設するとは、フレーム11の内側にモジュール13を設けることを言う。
また、第一基材15の第二基材16と対向する面を一方の面15aと言い、第二基材16の第一基材15と対向する面を一方の面16aと言う。
【0014】
第一基材15の第二基材16と対向する面とは反対側の面(以下、「他方の面(外面)」と言う。)15bには、種々の印刷からなる印刷層17が設けられている。
第二基材16の第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「他方の面(外面)」と言う。)16bには、非印刷部18aを有し、種々の印刷からなる印刷層18が設けられている。なお、非印刷部18aは、印刷層18が設けられていない部分であり、モジュール13を構成する表示部12の表示面12aと対向する窓部をなしている。
【0015】
フレーム11の内側には、モジュール13を嵌入するために、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが設けられている。さらに、この嵌入部11aは、モジュール13を嵌入した場合、表示部12の表示面12aが印刷層18の非印刷部18aに対向する位置に配置されるように設けられている。
【0016】
また、表示部12は、フレーム11に対して、その四隅が内接するように、フレーム11内に配置されている。また、この状態で、表示部12とフレーム11の間に、平面視長方形状の空間(隙間)11bが形成される(図2参照)。そして、この空間11b内には、接着層14が形成されている。
【0017】
さらに、フレーム11の厚さは、モジュール13の厚さとほぼ等しくなっており、フレーム11に嵌入されたモジュール13の表面は、フレーム11の表面とほぼ同一面をなしている。
【0018】
フレーム11の材質としては、少なくとも表層部に、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などに樹脂ワニスを含浸させて成形した複合基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材;ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材などのプラスチック基材にマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したもの、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を押出発泡成形したシート)などの公知のものから選択して用いられる。
【0019】
モジュール13としては、各種の電気的な回路を有するモジュールが挙げられる。例えば、表示部12および接触型のICチップを備えたモジュール、互いに接続されたアンテナおよび非接触型のICチップを備えたRFID用途のモジュール、これらに、さらに、電池、ダイオード、制御装置などを備えたモジュールなどが挙げられる。
【0020】
表示部12としては、電子ペーパー、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などが挙げられる。
また、接触型のICチップとしては、金属端子が表面に剥き出しになっており、その金属端子を情報書込/読出装置に接触させて、情報の読み書きを行うものが用いられる。
【0021】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、アンテナは、ポリマー型導電インクを用いて所定のパターンにスクリーン印刷、インクジェット印刷などの印刷法により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0022】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば、100〜150℃程度でアンテナをなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナをなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜を構成する導電微粒子が互いに接触することにより形成され、この塗膜の抵抗値は10−5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0023】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型あるいは架橋/熱可塑併用型(ただし、熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特に、ポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型あるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0024】
また、アンテナをなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナをなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0025】
モジュール13がRFID用途のモジュールである場合、ICチップとしては、特に限定されず、上記のアンテナを介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能であり、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0026】
接着層14をなす接着剤としては、使用前は液状であり、加熱、紫外線照射、電子線照射などの外的条件を加えることにより硬化するものであり、透明(光透過性)の接着剤が用いられる。このような接着剤としては、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂が挙げられる。また、外的条件を加えなくても主剤と硬化剤の反応によって硬化する2液硬化型接着剤も用いられる。
熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂、エステル系樹脂などが挙げられる。
【0027】
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化性樹脂としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
2液硬化型接着剤としては、ポリエステル樹脂とポリイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、ウレタンとポリイソシアネートとの混合物、エポキシ樹脂とアミン系樹脂の混合物、エポキシ樹脂とポリアミド樹脂の混合物などが挙げられる。
【0028】
このような接着剤としては、一般的なカード基材である、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリ塩化ビニル(PVC)に対し、JIS X6305−5「識別カードの試験方法−第5部:光メモリカード」に規定される試験方法によって測定される層間剥離強度が、JIS X6301「識別カード−物理的特性」に規定される0.35N/mm以上(望ましくは0.5N/mm以上)である接着剤であれば自由に選択される。
【0029】
また、接着層14を形成する接着剤には、必要に応じて、公知の無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤が含まれていてもよい。この着色剤により、接着層14を任意の色に着色することもできる。
【0030】
第一基材15および第二基材16としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレンなどのポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロンなどのビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチルなどのアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙などの紙からなる基材などが用いられる。
【0031】
印刷層17,18は、情報媒体10の内部を隠蔽するための装飾用の印刷や、情報媒体10に関連する情報などを表示する印刷からなるものである。
【0032】
この情報媒体10は、モジュール13の表示部12が、フレーム11に対して、その四隅が内接するように、フレーム11内に配置され、表示部12とフレーム11の間に空間11bが形成され、この空間11b内に接着層14が形成されているので、フレーム11およびモジュール13と、第二基材16とを重ね合わせた際、表示部12の表示面12aと第二基材16の間に入り込んだ空気(気泡)を、空間11b内に移動させ、移動させた空気を、その位置から動かないように固定することができる。したがって、表示部12の表示面12aと第二基材16の間に気泡が存在しないので、表示面12aの視認性に優れている。また、モジュール13の表示部12は、その四隅がフレーム11に対して内接しているので、第二基材16に対して表示部12が正確に位置決めされから、表示面12aの視認性を高めることができる。
【0033】
なお、この実施形態では、フレーム11が、接着層14を形成する接着剤によって、第一基材15および第二基材16に接着されている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材に、フレームが熱融着されていてもよい。このように、第一基材に、フレームが熱融着された場合、接着層は、フレームおよびモジュールと、第二基材との間にのみ形成される。
【0034】
また、この実施形態では、フレーム11が1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つ以上の部材からなる場合、予め2つ以上の部材が接着剤または熱融着により接合されて、1つのフレームとされて用いられる。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0035】
また、この実施形態では、表示部12を有するモジュール13を備えた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、モジュールが発光ダイオード(LED)、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などからなる発光部を備えていてもよい。モジュールが発光部を有する場合、少なくとも発光部の発光面およびその近傍、並びに、モジュールにおける発光面側の面が接着層によって被覆される。
また、この実施形態では、フレーム11にモジュール13を内設した場合、フレーム11と出力部12の間に平面視長方形状の空間(隙間)11bが形成される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームと出力部の間に形成される空間(隙間)の形状は平面視半円形状、平面視凹凸形状などであってもよい。
また、この実施形態では、表示部12が、フレーム11に対して、その四隅が内接するように、フレーム11内に配置されている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、表示部などの出力部が、フレームに少なくとも一部が当接するように、フレームに内設されていればよい。
【0036】
また、この実施形態では、第一基材15の他方の面15bに印刷層17が設けられ、かつ、第二基材16の他方の面16bに印刷層18が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面や、第二基材の一方の面に印刷層が設けられていてもよい。
また、この実施形態では、情報媒体10が平面視略長方形状をなしている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、情報媒体は、平面視した場合、略正方形状をなしていてもよい。
【0037】
「情報媒体の製造方法」
次に、図3〜図9を参照して、この実施形態の情報媒体の製造方法を説明する。
まず、図3に示すように、他方の面15bに、最終的なカード形状の外郭線17aを有し、種々の印刷からなる印刷層17が設けられた第一基材15を用意する。
【0038】
次いで、図4に示すように、第一基材15の一方の面15aに、接着剤塗布装置のノズル21から吐出される接着剤14Aを塗布する。
【0039】
接着剤14Aとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、第一基材15の一方の面15aに対する接着剤14Aの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Aによって被覆される、フレーム11Aの面積、フレーム11Aに設けられた嵌入部11aの大きさや深さなどに応じて、適宜調整される。
【0040】
次いで、図5に示すように、内側に、その厚さ方向に貫通し、モジュール13の外形とほぼ形状が等しい嵌入部11aが形成され、モジュール13を内設した場合、モジュール13の表示部12の四隅が内接し、表示部12との間に平面視長方形状の空間(隙間)11bが設けられる略長方形状のフレーム11Aを用意する。
そして、接着剤14Aを介して、第一基材15の一方の面15aに、フレーム11Aを重ね合わせ、第一基材15に対してフレーム11Aを押圧することにより、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させ、第一基材15の一方の面15aにフレーム11Aを接着する(工程A)。
【0041】
ここで、情報媒体10の外郭線10aは、印刷層17の外郭線17aに対応する。
この工程Aでは、第一基材15とフレーム11Aの間に、接着剤14Aを展開させる際、フレーム11Aの嵌入部11aに、接着剤14Aを流入させてもよい。
また、この工程Aでは、第一基材15とフレーム11Aの間に展開させた接着剤14Aの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層17の外郭線17a)よりも外側に、裾拡がりするように展開させる。
【0042】
次いで、図6に示すように、フレーム11Aの内側に形成された嵌入部11aに、表示部12を有するモジュール13を嵌入する(工程B)。
【0043】
次いで、図7に示すように、フレーム11Aの第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)11c、モジュール13の第一基材15と対向する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)13a、および、表示部12の表示面12aに、接着剤塗布装置のノズル22から吐出される接着剤14Bを塗布する(工程C)。
【0044】
接着剤14Bとしては、上記の接着層14を形成する接着剤と同様のものが用いられる。
また、フレーム11Aの一方の面11c、モジュール13の一方の面13a、および、表示部12の表示面12aに対する接着剤14Bの塗布量は、特に限定されないが、この接着剤14Bによって被覆される、フレーム11Aの面積、モジュール13および表示部12の大きさなどに応じて、適宜調整される。
【0045】
次いで、図8および図9に示すように、フレーム11Aおよびモジュール13に塗布した接着剤14Bを介して、フレーム11Aおよびモジュール13に、第二基材16の印刷層18が設けられた面(他方の面16b)とは反対側の面(一方の面16a)を重ね合わせ、フレーム11Aおよびモジュール13に対して第二基材16を押圧することにより、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16との間に、接着剤14Bを展開させて、上記の空間11b内に、接着剤14B、および、第二基材16と出力部12との間に入り込んだ空気を流入させる(工程D)。
【0046】
図9に示すように、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16とを重ね合わせる際、表示部12の表示面12aと第二基材16の間に空気が入り込んで、その空気が接着剤14B内に気泡30として残留することがある。そこで、この工程Dでは、フレーム11Aおよびモジュール13に対して第二基材16を押圧することにより、気泡30を、モジュール13と表示部12の間の空間(隙間)11bに流入(移動)させる。
【0047】
また、この工程Dでは、表示部12の表示面12aが印刷層18の非印刷部18aに対向するように、フレーム11Aおよびモジュール13に、第二基材16を重ね合わせる。
また、第二基材16の他方の面16bに設けられた印刷層18の外郭線18bは、情報媒体10の外郭線10a、および、第一基材15の他方の面15bに設けられた印刷層17の外郭線17aに対応する。すなわち、この第二基材16に設けられた印刷層18の外郭線18bと、第一基材15に設けられた印刷層17の外郭線17aとが重なるように、フレーム11Aおよびモジュール13に、第二基材16を重ね合わせる。
【0048】
また、この工程Dでは、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16との間に展開させた接着剤14Bの余剰分を、情報媒体10の外郭線10a(印刷層18の外郭線18b)よりも外側に、裾が拡がるように展開させる。
【0049】
次いで、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16から構成される積層体に対して、加圧処理および接着剤を硬化させる処理(例えば、加熱、紫外線照射、電子線照射、エージング〔放置して時間とともに硬化反応をさせていくこと〕処理)をする(加圧処理および接着剤硬化処理する工程)ことによって、接着剤14A,14Bを硬化させて、前記の積層体を一体化する。
【0050】
次いで、第一基材15、接着剤14A、フレーム11A、モジュール13、接着剤14Bおよび第二基材16から構成される積層体を、情報媒体10の外郭線10aに沿って裁断して、図1に示す情報媒体10を得る。
【0051】
この工程では、上記の積層体の裁断により、接着剤14A,14Bの余剰分も分離、除去される。
【0052】
この実施形態の情報媒体の製造方法によれば、工程Dにおいて、フレーム11Aおよびモジュール13に対して第二基材16を押圧することにより、フレーム11Aおよびモジュール13と、第二基材16との間に、接着剤14Bを展開させて、上記の空間11b内に、接着剤14B、および、第二基材16と出力部12との間に入り込んだ空気を流入させた後、接着剤14Bを硬化させるので、空間11b内に移動させた気泡30を、その位置から動かないように固定することができる。したがって、表示部12の表示面12aと第二基材16の間に気泡が存在することなく、表示面12aの視認性に優れた情報媒体10が得られる。
【0053】
また、この実施形態では、工程Aにおいて、第一基材15の一方の面15aに塗布した接着剤14Aによって、第一基材15の一方の面15aにフレーム11Aを接着する場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面に、フレームを熱融着により接合してもよい。その場合、第一基材の一方の面に、接着剤を塗布しない。
【0054】
また、この実施形態では、フレーム11Aが1つの部材からなる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームは、厚さ方向に積層される2つ以上の部材を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、フレームが厚さ方向に積層された2つの部材からなる場合、予め2つ以上の部材を接着剤または熱融着により接合して、1つのフレームとして用いてもよい。また、2つ以上の部材を組み合わせてなるフレームを用いる場合、一方の基材に1つ以上の部材を接合し、他方の基材に1つ以上の部材を接合してもよい。
【0055】
また、この実施形態では、フレーム11にモジュール13を内設した場合、フレーム11と出力部12の間に平面視長方形状の空間(隙間)11bが形成される場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、フレームと出力部の間に形成される空間(隙間)の形状は平面視半円形状、平面視凹凸形状などであってもよい。
また、この実施形態では、モジュール13を内設した場合、表示部12の四隅が内接するフレーム11Aを用いる場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、モジュールを内設した場合、少なくとも表示部などの出力部の一部が内接するフレームを用いればよい。
【0056】
また、この実施形態では、工程Aの後に、工程Bを行う場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、工程Aと工程Bを順不同に行ってよい。すなわち、本発明にあっては、工程Bにて、フレームに設けられた嵌入部に、モジュールを嵌入した後、工程Aにて、モジュールを内設したフレームを、第一基材の一方の面に接合してもよい。
【0057】
また、この実施形態では、第一基材15の他方の面15bに印刷層17が設けられ、かつ、第二基材16の他方の面16bに印刷層18が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第一基材の一方の面や、第二基材の一方の面に印刷層が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10・・・情報媒体、11・・・フレーム、12・・・表示部、13・・・モジュール、14・・・接着層、15・・・第一基材(基材)、16・・・第二基材(基材)、17,18・・・印刷層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、該フレームに内設され、出力部を有するモジュールと、少なくとも前記出力部の出力面およびその近傍、並びに、前記フレームにおける前記出力面側の面を被覆する接着層と、該接着層と接するとともに、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備えた情報媒体であって、
前記出力部は、前記フレームに少なくとも一部が当接するように、前記フレームに内設され、
前記出力部と前記フレームの間に、前記接着層が形成される空間が設けられたことを特徴とする情報媒体。
【請求項2】
フレームと、該フレームに内設され、出力部を有するモジュールと、少なくとも前記出力部の出力面およびその近傍、並びに、前記フレームにおける前記出力面側の面を被覆する接着層と、該接着層と接するとともに、前記フレームおよび前記モジュールを挟持する一対の基材と、を備え、前記出力部は、前記フレームに少なくとも一部が当接するように、前記フレームに内設され、前記出力部と前記フレームの間に、前記接着層が形成される空間が設けられた情報媒体の製造方法であって、
第一基材の一方の面に、内側にモジュールを嵌入する嵌入部が形成され、該嵌入部において、少なくとも前記モジュールの出力部の一部が当接し、前記出力部との間に空間が設けられるフレームを接合する工程Aと、
前記嵌入部に、モジュールを嵌入する工程Bと、
前記フレームおよび前記モジュールの前記第一基材と対向する面とは反対側の面に接着剤を塗布する工程Cと、
前記接着剤を介して、前記フレームおよび前記モジュールに、第二基材の一方の面を重ね合わせて、前記フレームおよび前記モジュールに対して前記第二基材を押圧することにより、前記フレームおよび前記モジュールと、前記第二基材との間に、前記接着剤を展開させて、前記空間内に、前記接着剤、および、前記第二基材と前記出力部との間に入り込んだ空気を流入させる工程Dと、を有し、
前記工程Aと前記工程Bを順不同に行うことを特徴とする情報媒体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−73727(P2012−73727A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216724(P2010−216724)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】