説明

情報媒体および位置検出システム

【課題】管理対象者がRFIDタグを携行していない場合における管理対象者の位置検出の誤認を防止した情報媒体および位置検出システムを提供すること。
【解決手段】本発明にかかるRFIDタグ10は、所定の識別情報をリーダライタに非接触で送信する送受信部11を備えたRFIDタグにおいて、RFIDタグ10周辺の温度を検出する温度検出部13と、オン状態の場合に送受信部11を送信可能とし、オフ状態の場合に送受信部11の送信機能を阻止するスイッチング部14と、温度検出部13によって検出された温度が所定の温度条件を満たすときにスイッチング部14をオン状態にするスイッチング制御部15と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の識別情報を非接触で送信する情報媒体および管理対象の位置を検出する位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムの1つに、RFID(Radio Frequency Identification)システムがある。RFIDシステムは、読出し機能を有するリーダライタと、リーダライタの指示にしたがい識別情報等の各種情報を送信する情報媒体とを備える。情報媒体は、カードまたはタグの形状であるものがあり、このうちタグ状の情報媒体はRFIDタグと呼ばれ、たとえば管理対象者に取り付けられる。近年、このRFIDシステムを利用し、RFIDタグから送信された識別情報、RFIDタグを読み取ったリーダライタの設置位置、RFIDタグから送信された電波の強弱などによってRFIDタグの位置を検出する位置検出システムが提案されている(特許文献1〜3参照)。このような位置検出システムでは、RFIDタグとリーダライタとの間で無線通信を行なうことによって管理対象者に付されたRFIDタグの位置を検出し、管理対象者の入退室管理などを行っている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−61131号公報
【特許文献2】特開2005−55186号公報
【特許文献3】特開2005−64725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の位置検出システムは、管理対象者がRFIDタグを身につけていることを前提としていた。言い換えると、従来の位置検出システムでは、識別情報を送信したRFIDタグの位置を、このRFIDタグを身につけた管理対象者の位置として判断し、管理対象者の入退室管理などを行なっていた。このため、従来の位置検出システムでは、管理対象者がリーダライタの通信可能領域内にRFIDタグを落としたりした場合であって管理対象者がリーダライタの通信可能領域内に滞在していない場合であっても、このRFIDタグはリーダライタの指示にしたがって識別情報を送信する。この場合、従来の位置検出システムは、管理対象者がリーダライタの通信可能領域内に滞在していない場合であっても、RFIDタグが通信可能領域内にある場合には、このRFIDタグに対応する管理対象者がこの通信可能領域内に滞在しているものと誤認する場合があった。この結果、従来の位置検出システムでは、管理対象者を正確に管理することができないという問題があった。
【0005】
この発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、管理対象者がRFIDタグを携行していない場合における管理対象者の位置検出の誤認を防止した情報媒体および位置検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる情報媒体は、所定の識別情報を非接触で送信する送信手段を備えた情報媒体において、当該情報媒体周辺の温度を検出する温度検出手段と、オン状態の場合に前記送信手段を送信可能とし、オフ状態の場合に前記送信手段の送信機能を阻止するスイッチング手段と、前記温度検出手段によって検出された温度が所定の温度条件を満たすときに前記スイッチング手段をオン状態にするスイッチング制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、この発明にかかる情報媒体は、前記スイッチング手段は、オフ状態の場合に前記送信手段に対するエネルギー供給機能を阻止することを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる情報媒体は、前記温度条件は、人の体温に対応する温度範囲をもとに設定されることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる位置検出システムは、管理対象に付され、請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報媒体と、前記情報媒体から送信された識別情報をもとに前記管理対象の位置を検出する管理装置と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる位置検出システムは、管理対象に付され所定の識別情報を非接触で送信する情報媒体と、前記情報媒体から送信された前記識別情報をもとに前記管理対象の位置を検出する管理装置とを備えた位置検出システムにおいて、前記情報媒体は、当該情報媒体周辺の温度を検出する温度検出手段を備え、前記温度検出手段によって検出された温度を含む温度情報を前記識別情報とともに送信し、前記管理装置は、前記情報媒体から送信された前記温度情報が所定の温度条件を満たすときに該情報媒体が前記管理対象に付されていると判断する判断手段と、前記判断手段が該情報媒体が前記管理対象に付されていると判断した場合に該情報媒体の位置を前記管理対象の位置として検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる位置検出システムは、前記管理対象は、人であり、前記温度条件は、前記人の体温に対応する温度範囲をもとに設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる情報媒体によれば、温度検出手段によって検出された温度が所定の温度条件を満たすときにスイッチング手段をオン状態にするため、所定の温度条件下に情報媒体が存在している場合にのみ識別情報の送信を行なうことができる。このように、本発明にかかる情報媒体によれば、所定の温度条件を管理対象に対応する温度条件に設定することによって、情報媒体が管理対象に付されている場合にのみ識別情報の送信を行なうことができ、管理対象の位置の誤認を防止することができる。また、本発明にかかる位置検出システムによれば、管理装置は、温度検出手段を備えた情報媒体から送信された温度情報が所定の温度条件を満たし、この情報媒体が管理対象に付されていると判断した場合にのみ管理対象の位置を検出するため、管理対象の位置の誤認を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である情報媒体および位置検出システムについて説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0014】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1にかかる情報媒体について説明する。本実施の形態にかかる情報媒体として、RFID機能を備え管理対象者に携行されるRFIDタグを一例として説明する。本実施の形態1にかかるRFIDタグは、管理対象者に携行されている場合にのみ送信可能となるため、管理対象者がRFIDタグを携行していない場合における管理対象者の位置検出の誤認を防止することができる。以下、実施の形態にかかるRFIDタグについて説明するとともに、このRFIDタグを備えた位置検出システムについて説明する。図1は、本実施の形態1における位置検出システムの全体構成を示す模式図である。
【0015】
図1に示すように、実施の形態1における位置検出システム1は、所定の識別情報等が記憶されたRFIDタグ10と、所定周波数の電波を介してRFIDタグ10との間で無線通信を行ないRFIDタグ10に記憶された識別情報等を取得するリーダライタ20と、リーダライタ20から送出された識別情報等をもとにRFIDタグ10を携行する管理対象者Hの位置を検出し、管理対象者Hの入退室管理などを行なう管理装置30とを備える。リーダライタ20と管理装置30とはネットワーク40を介して接続されている。なお、リーダライタ20と管理装置30とは、ネットワーク40を介して接続するほか、有線または無線によって接続してもよい。
【0016】
RFIDタグ10は、RFIDタグ10周辺の温度が所定の温度条件を満たすときに送信可能および受信可能となり、リーダライタ20との間で無線通信を開始する。RFIDタグ10は、送信可能および受信可能となることによって、所定の識別情報等を含む電波をリーダライタ20に送信し、リーダライタ20からの指示電波に応じて記憶する情報の書替えまたは書き込みを行なう。
【0017】
リーダライタ20は、RFIDタグ10に対して所定周波数の指示電波を送信し、この指示電波に応じてRFIDタグ10から送信される電波を受信することによって、RFIDタグ10に記憶された識別情報等を取得し、この識別情報等を管理装置30に送出する。また、リーダライタ20は、RFIDタグ10に対して所定周波数の指示電波を送信することによって、RFIDタグ10が記憶する情報の書替えおよび書き込みを行なう。なお、図1の位置検出システム1は、説明の容易化のため管理領域Aを通信可能範囲とするリーダライタ20を備えた場合を示しているが、実際の位置検出システム1では、複数の管理領域ごとにそれぞれリーダライタ20を備えてもよく、また、所定の通信可能範囲内に複数のリーダライタ20を備えてもよい。
【0018】
管理装置30は、制御部32と検出部34とを備え、各種情報等が格納されるデータベース38と有線または無線によって接続されている。制御部32は、各構成部位の処理動作を制御する。検出部34は、ネットワーク40を介してリーダライタ20から送出されたRFIDタグ10の識別情報、RFIDタグを読み取ったリーダライタ20の設置位置、RFIDタグ10から送信された電波の強弱等をもとに、このRFIDタグ10の位置を検出し、このRFIDタグ10に対応する管理対象者Hの位置として出力する。制御部32は、検出部34が検出した位置情報等をデータベース38に格納する。また、制御部32は、必要に応じて、所定の情報をリーダライタ20に送出し、リーダライタ20に対してRFIDタグ10の情報の書替えおよび書き込みを指示する。
【0019】
ここで、図2を参照してRFIDタグ10について説明する。図2は、図1に示すRFIDタグ10の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、RFIDタグ10は、送受信部11と、電力供給部12と、温度検出部13と、スイッチング部14と、スイッチング制御部15とを備える。このうち、電力供給部12は、送受信部11およびスイッチング制御部15に動作電力を供給する。送受信部11と電力供給部12とは、スイッチング部14を介して電気的に接続し、スイッチング制御部15と電力供給部12とは電気的に接続する。
【0020】
送受信部11は、所定の識別情報を非接触で送信する。送受信部11は、電力供給部12から動作電力を供給されることによって、リーダライタ20との間で無線通信を行なう。このため、送受信部11は、電力供給部12と電気的に接続する場合に無線通信処理を行なうことができる。これに対し、送受信部11は、電力供給部12と電気的に接続していない場合には、無線通信処理を行なうことができない。
【0021】
温度検出部13は、RFIDタグ10周辺の温度を検出する温度センサーである。温度検出部13は、検出したRFIDタグ10周辺の温度をスイッチング制御部15に出力する。なお、温度検出部13は、スイッチング制御部15の制御のもと、温度検出処理を行ってもよい。
【0022】
スイッチング部14は、オン状態の場合に送受信部11を送信可能および受信可能とし、オフ状態の場合に送受信部11の送信機能および受信機能を阻止する。スイッチング部14は、オフ状態の場合に、送受信部11に対するエネルギー供給機能を阻止する。言い換えると、スイッチング部14は、オン状態となることによって、送受信部11と電力供給部12とを電気的に接続する。この場合、送受信部11は、電力供給部12からの電力供給を受けることができ、リーダライタ20との間で無線通信処理を行なうことが可能となる。これに対し、スイッチング14は、オフ状態となることによって、送受信部11と電力供給部12との電気的接続を阻止する。この場合、送受信部11は、電力供給部12からの電力供給を受けることができず、リーダライタ20との間で無線通信処理を行なうことができない。
【0023】
スイッチング制御部15は、スイッチング部14におけるオン状態およびオフ状態を制御する。スイッチング制御部15は、温度検出部13によって検出された温度が所定の温度条件を満たすときにスイッチング部14をオン状態にする。これに対し、スイッチング制御部15は、温度検出部13によって検出された温度が所定の温度条件を満たさないときにはスイッチング部14をオフ状態にする。所定の温度条件は、管理対象に応じて設定され、たとえば、人に携行されるRFIDタグ10の場合、人の体温に対応する温度範囲をもとに設定される。具体的には、所定の温度条件として、閾値温度Tcを人の体温に対応する36℃に設定する。この場合、スイッチング制御部15は、温度検出部13によって検出された検出温度Tmが閾値温度Tcを超える場合に、スイッチング部14をオン状態にする。検出温度Tmが閾値温度Tcを超える場合には、このRFIDタグ10は、管理対象者Hに携行されているものと考えられるためである。また、スイッチング制御部15は、温度検出部13によって検出された検出温度Tmが閾値温度Tcを下回る場合に、スイッチング部14をオフ状態にする。RFIDタグ10は、管理対象者Hに携行されていない場合には、RFIDタグ10周辺の温度は、室内の温度となり、通常、室内の温度は、人の体温を超えることはない。このため、検出温度Tmが閾値温度Tcを下回る場合には、このRFIDタグ10は、管理対象者Hに携行されていないと考えられる。なお、スイッチング制御部15は、温度検出部13によって検出された温度が、所定の温度範囲内にある場合にスイッチング部14をオン状態にしてもよい。たとえば、スイッチング制御部15は、検出温度Tmが人の体温温度近傍に対応する35.5℃から37.5℃の温度範囲にある場合に、スイッチング部14をオン状態とする。この場合も同様に、検出温度Tmがこの温度範囲内にある場合には、このRFIDタグ10は、管理対象者Hに携行されているものと考えられる。
【0024】
送受信部11は、制御部16と、記憶部17と、処理部18と、アンテナ19とを備える。制御部16は、記憶部17、処理部18の各処理または動作を制御する。制御部16は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行ない、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。記憶部17は、RFIDタグ10を識別するID番号など所定の識別情報を含む各種情報を記憶する。処理部18は、制御部16の制御のもと、リーダライタ20との間で無線通信を行なう。処理部18は、リーダライタ20から送信された指示電波をアンテナ19を介して受信し、この指示電波に対応する電気信号を必要に応じて復調してリーダライタ20からの指示情報を取得する。処理部18は、取得した指示情報を制御部16に送出する。この指示情報として、記憶部17に記憶された識別情報等を含む電波の送信指示のほか、記憶部17に記憶される情報の書替え指示、または、記憶部17に対する情報の書き込み指示がある。また、処理部18は、制御部16の制御のもと、記憶部17に記憶された識別情報等に対応する電気信号を必要に応じて変調し、アンテナ19に送出する。そして、処理部18は、アンテナ19に対して、この電気信号に対応する所定の電波を送信するよう制御する。アンテナ19は、処理部18の制御のもと、管理領域Aに設置されたリーダライタ20との間において所定周波数の電波を送受信する。この場合、アンテナ19は、リーダライタ20から送信された指示電波を受信し、受信した指示電波に対応する電気信号を処理部18に送出する。また、アンテナ19は、処理部18から入力された電気信号に対応する所定の電波をリーダライタ20に対して送信する。
【0025】
つぎに、RFIDタグ10の動作処理を説明する。図3は、図1および図2に示すRFIDタグ10の動作処理を説明するフローチャートである。まず、温度検出部13は、RFIDタグ10周辺の温度を検出し、検出した温度をスイッチング制御部15に出力する温度検出処理を行なう(ステップS102)。スイッチング制御部15は、温度検出部13が検出した検出温度Tmと所定の閾値温度Tcとを比較し、検出温度Tm>閾値温度Tcであるか否かを判断する(ステップS104)。
【0026】
スイッチング制御部15が検出温度Tm>閾値温度Tcであると判断した場合(ステップS104:Yes)、このRFIDタグ10は管理対象者Hに携行されていると考えられる。この場合、スイッチング制御部15は、スイッチング部14をオン状態にし(ステップS106)、送受信部11と電力供給部12とを電気的に接続する。この結果、送受信部11は、電力供給部12から電力供給を受けることができ、リーダライタ20との間において、識別情報等の情報の送受信を行なう(ステップS108)。
【0027】
これに対し、スイッチング制御部15が検出温度Tm>閾値温度Tcでないと判断した場合(ステップS104:No)、このRFIDタグ10は管理対象者Hに携行されていないと考えられる。この場合、スイッチング制御部15は、スイッチング部14をオフ状態にし(ステップS110)、送受信部11と電力供給部12とを電気的接続を阻止する。この結果、送受信部11は、電力供給部12から電力供給を受けることができず、リーダライタ20との間の情報の送受信を行わない。すなわち、RFIDタグ10は、リーダライタ20に対して識別情報等を送信しない。
【0028】
つぎに、RFIDタグ10とリーダライタ20との間における無線通信処理について具体的に説明する。まず、図4を参照して、RFIDタグ10が管理対象者Hに携行されている場合について説明する。この場合、RFIDタグ10は管理対象者Hに携行されているため、RFIDタグ10周辺の温度は人の体温近傍の温度となり、この温度が温度検出部13によって検出される。このため、RFIDタグ10においては、スイッチング制御部15は、温度検出部13が検出した検出温度Tmが閾値温度Tcを超えていると判断し、矢印Y4に示すように、スイッチング部14をオフ状態からオン状態にする。この結果、送受信部11と電力供給部12とが電気的に接続するため、送受信部11は、電力供給部12から電力の供給を受けることができ、送信可能および受信可能となる。したがって、RFIDタグ10は、リーダライタ20から送信された指示電波Waを受信することができ、この指示電波Waの指示にしたがって、識別情報等を含む電波Wbを送信することができる。管理装置30は、リーダライタ20から入力された電波Wbに対応する情報をもとに、RFIDタグ10の位置を検出し、検出したRFIDタグ10の位置を管理対象者Hの位置として登録する。
【0029】
つぎに、図5を参照して、RFIDタグ10が管理対象者Hから外され、管理対象者Hによって携行されていない場合について説明する。この場合、RFIDタグ10は、管理対象者Hに携行されていないため、RFIDタグ10周辺の温度は、室内の温度となり、この温度が温度検出部13によって検出される。通常、室内の温度は、人の体温を超えることはない。このため、RFIDタグ10においては、スイッチング制御部15は、温度検出部13が検出した検出温度Tmが閾値温度Tcを超えていないと判断し、矢印Y5に示すように、スイッチング部14をオフ状態にする。この結果、送受信部11と電力供給部12との電気的な接続は遮断されるため、送受信部11は、電力供給部12から電力の供給を受けることができず、送信処理および受信処理を行なうことができない。したがって、RFIDタグ10は、リーダライタ20から指示電波Waが送信された場合であっても、指示電波Waを受信することができず、識別情報等を含む電波Wbを送信することもない。この結果、管理装置30は、リーダライタ20から電波Wbに対応する情報を入力されることもなく、RFIDタグ10の位置検出を行なうこともない。
【0030】
このように、本実施の形態1にかかるRFIDタグ10は、温度検出部13によって検出された温度が所定の温度条件を満たすときに、送受信部11への電力供給を行ない、送受信部11を送信可能および受信可能とする。このため、RFIDタグ10は、管理対象者Hによって携行されている場合などのように所定の温度条件下にRFIDタグ10が存在している場合にのみ、リーダライタ20との間で無線通信を行なうことができる。言い換えると、管理対象者Hによって携行されていない場合などのように所定の温度条件下にRFIDタグ10が存在していない場合には、リーダライタ20との間で無線通信を行なうことができない。したがって、管理対象者Hがリーダライタ20の管理領域A内にRFIDタグを落とすなどした場合であって管理対象者Hがリーダライタ20の通信可能領域内に滞在していない場合、このRFIDタグ10は、送受信部11が機能しないため、識別情報等を送信しない。この結果、本実施の形態1における位置検出システム1では、管理対象者Hがリーダライタ20の通信可能領域内にRFIDタグを落とすなどした場合であって、管理対象者Hがリーダライタ20の通信可能領域内に滞在していない場合であっても、管理対象者Hの位置を誤認することがなく、管理対象者Hを正確に管理することが可能となる。
【0031】
また、実施の形態1にかかるRFIDタグ10では、管理対象者Hに携行されていない場合には、スイッチング部14がオフ状態となり電力供給部12から送受信部11に対する電力供給が行なわれない。このため、RFIDタグ10では、管理対象者Hに携行されていない場合には、送受信部11において電力が消費されない。したがって、RFIDタグ10では、常に送受信部に電力が供給される従来のRFIDタグと比較し、消費電力の低減を図ることが可能となり、電力供給部12を構成する電池の消費を抑えることができる。
【0032】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、RFIDタグは、識別情報とともにRFIDタグ周辺の温度情報を送信し、管理装置は、RFIDタグから送信された温度情報をもとにRFIDタグが管理対象者に携行されていると判断した場合にのみ、このRFIDタグの位置を検出する。
【0033】
図6は、実施の形態2にかかる位置検出システムの全体構成を示す模式図であり、図7は、図6に示すRFIDタグの概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、実施の形態2にかかる位置検出システム201は、実施の形態1における位置検出システムと比較し、RFIDタグ10に代えて、検出した温度を含む温度情報を所定の識別情報とともに送信するRFIDタグ210を有し、管理装置30に代えて、RFIDタグ210から送信された温度情報をもとにRFIDタグ210が管理対象者Hに付されているか否かを判断する管理装置230を有する。
【0034】
図7に示すように、RFIDタグ210は、RFIDタグ10と比較し、温度検出部13、スイッチング部14およびスイッチング制御部15を削除した構成である。また、RFIDタグ210は、送受信部11に代えて、制御部216と記憶部17と処理部218とアンテナ19とを有する送受信部211を備え、また、温度検出部213を備える。送受信部211と電力供給部12とは、電気的に接続し、送受信部211における制御部216と温度検出部213とは、電気的に接続する。温度検出部213は、温度検出部13と同様の機能を有し、RFIDタグ210周辺の温度を検出し、検出した温度を制御部216に出力する。制御部216は、制御部16と同様に機能する。制御部216は、処理部218に対して、記憶部17に記憶された識別情報とともに温度検出部213によって検出された温度を含む温度情報を外部のリーダライタ20に対して送信させる。処理部218は、処理部18と同様の機能を有するとともに、識別情報と温度情報とに対応する電気信号を必要に応じて変調し、アンテナ19に送出する。そして、処理部218は、アンテナ19に対して、この電気信号に対応する所定の電波を、指示電波に対応する電波としてリーダライタ20に送信するよう制御する。したがって、実施の形態2におけるRFIDタグ210は、温度検出部213によって検出された温度を含む温度情報を識別情報とともにリーダライタ20に送信することとなる。この結果、リーダライタ20は、管理装置230に対して、識別情報と温度情報とを含む情報をRFIDタグ210から受信した情報として送出する。
【0035】
管理装置230は、管理装置30と同様の機能を有するとともに、管理装置30と比較し、判断部236をさらに備えた構成を有する。また、管理装置230は、管理装置30と比較し、制御部32に代えて、制御部232を有する。判断部236は、RFIDタグ210から送信された温度情報をもとに、このRFIDタグ210が管理対象者Hに携行されているか否かを判断する。制御部232は、制御部32と同様の機能を有するとともに、判断部236の判断結果に応じて、検出部34に管理対象者Hの位置検出処理を指示する。
【0036】
判断部236は、RFIDタグ210から送信された温度情報が所定の温度条件を満たすときに、このRFIDタグ210が管理対象者Hに付されていると判断する。この場合、検出部34は、このRFIDタグ210の位置を、このRFIDタグ210が付されている管理対象者Hの位置として検出する。一方、判断部236は、RFIDタグ210から送信された温度情報が所定の温度条件を満たさないときに、このRFIDタグ210が管理対象者Hに付されていないと判断する。この場合、検出部34は、このRFIDタグ210に対応する管理対象者Hの位置検出処理を行なわない。所定の温度条件は、管理対象に応じて設定され、たとえば、人に携行されるRFIDタグ210の場合、人の体温に対応する温度範囲をもとに設定される。具体的には、所定の温度条件として、閾値温度Tcを人の体温に対応する36℃に設定する。この場合、判断部236は、RFIDタグ210から送信された温度情報Tiが閾値温度Tcを超える場合に、このRFIDタグ210が管理対象者Hに付されていると判断する。温度情報Tiが閾値温度Tcを超えている場合には、このRFIDタグ210は、管理対象者Hに携行されているものと考えられるためである。また、判断部236は、RFIDタグ210から送信された温度情報Tiが、閾値温度Tcを下回る場合には、このRFIDタグ210が管理対象者Hに付されていないと判断する。RFIDタグ210は、管理対象者Hに携行されていない場合には、RFIDタグ210周辺の温度は、室内の温度となり、通常、室内の温度は、人の体温を超えることはない。このため、検出温度Tmが閾値温度Tcを下回る場合には、このRFIDタグ210は、管理対象者Hに携行されていないと考えられる。なお、判断部236は、温度情報Tiが、所定の温度範囲内にある場合に、このRFIDタグ210が管理対象者Hに付されていると判断してもよい。たとえば、判断部236は、温度情報Tiが人の体温温度近傍に対応する35.5℃から37.5℃の温度範囲にある場合に、このRFIDタグ210が管理対象者Hに付されていると判断する。この場合も同様に、温度情報Tiがこの温度範囲内にある場合には、このRFIDタグ210は、管理対象者Hに携行されているものと考えられる。
【0037】
つぎに、管理装置230における位置検出処理について説明する。図8は、管理装置230による位置検出処理の処理手順を示すフローチャートである。まず、制御部232は、リーダライタ20からRFIDタグ210の状態を示す状態情報を受信したか否かを判断する(ステップS202)。この状態情報には、RFIDタグ210の識別情報、RFID210タグを読み取ったリーダライタ20の設置位置、RFIDタグ210から送信された電波の強弱等が含まれる。制御部232は、状態情報を受信するまでステップS202の判断を繰り返し、状態情報を受信したと判断した場合(ステップS202:Yes)、この状態情報をもとに管理対象者Hが管理領域Aに入場または管理領域Aから退場したか否かを判断する(ステップS204)。制御部232は、管理対象者Hが管理領域Aから退場したと判断した場合(ステップS204:退場)、このRFIDタグ210に対応する位置情報、すなわち、管理対象者Hの位置情報を削除する(ステップS206)。管理対象者Hが管理領域Aから退場したため、管理対象者Hに対する入退室管理をする必要がないためである。そして、制御部232は、ステップS202に進み、リーダライタ20からRFIDタグ210の状態を示す状態情報を受信するまで、ステップS202の判断を繰り返す。
【0038】
また、制御部232が管理対象者Hが管理領域Aに入場したと判断した場合(ステップS204:入場)、判断部236は、RFIDタグ210における識別情報および温度情報を取得する(ステップS208)。判断部236は、取得した温度情報Tiと閾値温度Tcとを比較し、温度情報Ti>閾値温度Tcであるか否かを判断する(ステップS210)。
【0039】
判断部236は、温度情報Ti>閾値温度Tcであると判断した場合(ステップS210:Yes)、管理対象者HがRFIDタグ210を携行していると判断し(ステップS212)、この判断結果を制御部232に出力する。この場合、制御部232は、管理対象者Hの入退室管理を行なうため、検出部34に対して位置検出処理を指示する。検出部34は、制御部232の制御のもと、RFIDタグ210の識別情報等をもとに、管理対象者Hの位置を検出し、検出した位置を管理対象者の位置を示す位置情報として登録する(ステップS214)。そして、制御部232は、ステップS202に進み、状態情報が入力されるまでステップS202の判断を繰り返す。
【0040】
これに対し、判断部236は、温度情報Ti>閾値温度Tcでないと判断した場合(ステップS210:No)、管理対象者HがRFIDタグ210を携行していないと判断し(ステップS216)、この判断結果を制御部232に出力する。この場合、制御部232は、管理領域A内に管理対象者Hが存在しないため、管理対象者Hの入退室管理を行なわない。したがって、制御部232は、検出部34に対する位置検出処理を指示せず、検出部34は、管理対象者Hの位置を検出することはない。そして、制御部232は、ステップS202に進み、状態情報が入力されるまでステップS202の判断を繰り返す。
【0041】
このように、本実施の形態2にかかる位置検出システム201では、管理装置230は、温度検出部213を備えたRFIDタグ210から送信された温度情報が所定の温度条件を満たすときに、このRFIDタグ210の位置を管理対象者Hの位置として検出する。このため、位置検出システム201は、管理対象者Hによって携行されている場合などのように所定の温度条件下にRFIDタグ210が存在している場合にのみ、管理対象者Hの位置を検出することとなる。この結果、位置検出システム201では、管理対象者Hがリーダライタ20の通信可能領域内にRFIDタグ210を落とすなどした場合であって、管理対象者Hがリーダライタ20の通信可能領域内に滞在していない場合であっても、管理対象者Hの位置を誤認することがなく、管理対象者Hを正確に管理することが可能となる。
【0042】
また、上記実施の形態で説明した位置検出システム1,201は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。以下、上記実施の形態で説明した位置検出システムと同様の機能を有する位置検出プログラムを実行するコンピュータシステムについて説明する。
【0043】
図9は、上述した実施の形態を用いたコンピュータシステムの構成を示すシステム構成図であり、図10は、このコンピュータシステムにおける本体部の構成を示すブロック図である。図9に示すように、本実施の形態にかかるコンピュータシステム100は、本体部101と、本体部101からの指示によって表示画面102aに画像などの情報を表示するためのディスプレイ102と、このコンピュータシステム100に種々の情報を入力するためのキーボード103と、ディスプレイ102の表示画面102a上の任意の位置を指定するためのマウス104とを備える。
【0044】
また、このコンピュータシステム100における本体部101は、図10に示すように、CPU121と、RAM122と、ROM123と、ハードディスクドライブ(HDD)124と、CD−ROM109を受け入れるCD−ROMドライブ125と、フレキシブルディスク(FD)108を受け入れるFDドライブ126と、ディスプレイ102、キーボード103並びにマウス104を接続するI/Oインターフェース127と、ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)106に接続するLANインターフェース128とを備える。
【0045】
さらに、このコンピュータシステム100には、インターネットなどの公衆回線107に接続するためのモデム105が接続されるとともに、LANインターフェース128およびLAN/WAN106を介して、他のコンピュータシステム(PC)111、サーバ112、プリンタ113などが接続される。
【0046】
そして、このコンピュータシステム100は、所定の記録媒体に記録された位置検出プログラムを読み出して実行することで位置検出システムを実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)108、CD−ROM109、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステム100の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)124や、RAM122、ROM123などの「固定用の物理媒体」、さらに、モデム105を介して接続される公衆回線107や、他のコンピュータシステム111並びにサーバ112が接続されるLAN/WAN106などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステム100によって読み取り可能な位置検出プログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。
【0047】
すなわち、位置検出プログラムは、上記した「可搬用の物理媒体」、「固定用の物理媒体」、「通信媒体」などの記録媒体に、コンピュータ読み取り可能に記録されるものであり、コンピュータシステム100は、このような記録媒体から位置検出プログラムを読み出して実行することで位置検出システムおよび位置検出方法を実現する。なお、位置検出プログラムは、コンピュータシステム100によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピュータシステム111またはサーバ112が位置検出プログラムを実行する場合や、これらが協働して位置検出プログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1における位置検出システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】図1に示すRFIDタグの概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1および図2に示すRFIDタグ10の動作処理を説明するフローチャートである。
【図4】RFIDタグとリーダライタとの間における無線通信処理について説明した図である。
【図5】RFIDタグとリーダライタとの間における無線通信処理について説明した図である。
【図6】実施の形態2にかかる位置検出システムの全体構成を示す模式図である。
【図7】図6に示すRFIDタグの概略構成を示すブロック図である。
【図8】図6に示す管理装置による位置検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態を用いたコンピュータシステムの構成を示す構成図である。
【図10】図10に示したコンピュータシステムにおける本体部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
1、201 位置検出システム
10、210 RFIDタグ
11、211 送受信部
12 電力供給部
13、213 温度検出部
14 スイッチング部
15 スイッチング制御部
16、216 制御部
17 記憶部
18、218 処理部
19 アンテナ
20 リーダライタ
30,230 管理装置
32、232 制御部
34 検出部
38 データベース
40 ネットワーク
236 判断部
H 管理対象者
100 コンピュータシステム
101 本体部
102 ディスプレイ
102a 表示画面
103 キーボード
104 マウス
105 モデム
106 ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)
107 公衆回線
108 フレキシブルディスク(FD)
109 CD−ROM
111 他のコンピュータシステム(PC)
112 サーバ
113 プリンタ
121 CPU
122 RAM
123 ROM
124 ハードディスクドライブ(HDD)
125 CD−ROMドライブ
126 FDドライブ
127 I/Oインターフェース
128 LANインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の識別情報を非接触で送信する送信手段を備えた情報媒体において、
当該情報媒体周辺の温度を検出する温度検出手段と、
オン状態の場合に前記送信手段を送信可能とし、オフ状態の場合に前記送信手段の送信機能を阻止するスイッチング手段と、
前記温度検出手段によって検出された温度が所定の温度条件を満たすときに前記スイッチング手段をオン状態にするスイッチング制御手段と、
を備えたことを特徴とする情報媒体。
【請求項2】
前記スイッチング手段は、オフ状態の場合に前記送信手段に対するエネルギー供給機能を阻止することを特徴とする請求項1に記載の情報媒体。
【請求項3】
前記温度条件は、人の体温に対応する温度範囲をもとに設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の情報媒体。
【請求項4】
管理対象に付され、請求項1〜3のいずれか一つに記載の情報媒体と、
前記情報媒体から送信された識別情報をもとに前記管理対象の位置を検出する管理装置と、
を備えたことを特徴とする位置検出システム。
【請求項5】
管理対象に付され所定の識別情報を非接触で送信する情報媒体と、前記情報媒体から送信された前記識別情報をもとに前記管理対象の位置を検出する管理装置とを備えた位置検出システムにおいて、
前記情報媒体は、
当該情報媒体周辺の温度を検出する温度検出手段を備え、前記温度検出手段によって検出された温度を含む温度情報を前記識別情報とともに送信し、
前記管理装置は、
前記情報媒体から送信された前記温度情報が所定の温度条件を満たすときに該情報媒体が前記管理対象に付されていると判断する判断手段と、
前記判断手段が該情報媒体が前記管理対象に付されていると判断した場合に該情報媒体の位置を前記管理対象の位置として検出する検出手段と、
を備えたことを特徴とする位置検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−72864(P2007−72864A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260689(P2005−260689)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】