情報提供装置、情報提供方法およびプログラム
【課題】監視中の複数のサービスに、監視オペレータが所定のユーザに迅速に報告すべき不具合が併発した場合に、適切な順序で不具合報告を行えるようにする。
【解決手段】コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供装置1であって、複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持部10と、複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視部20と、監視部20が不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生しているサービスの現在値と、当該サービスの重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出部30と、不具合が発生していることを示す情報、及び、優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力部50とを有する情報提供装置1。
【解決手段】コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供装置1であって、複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持部10と、複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視部20と、監視部20が不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生しているサービスの現在値と、当該サービスの重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出部30と、不具合が発生していることを示す情報、及び、優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力部50とを有する情報提供装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやネットワークを用いて実現される様々なサービス(以下、「サービス」)が提供されており、これらサービスの状態(コンピュータの稼動状態等)を監視するための様々な方法が提供されている。例えば、監視用のコンピュータが、サービスの状態を示す情報をリアルタイムに取得し、ディスプレイ等を介して出力する。そして、監視オペレータが、当該情報をモニタする方法などがある。
【0003】
特許文献1には、業務の重要度に応じた個別具体的な障害の対応手順を適用する支援を行うことを目的とした管理サーバが記載されている。
【0004】
当該管理サーバは、業務サーバからイベントを受信した場合、そのイベントの属性に基づいて、メモリの業務監視条件の変数を満たす業務を特定し、特定した業務について、受信したイベントに応じたシナリオをメモリから読み出し、読み出したシナリオの一覧を、ネットワークを介してクライアントに出力する。
【0005】
特許文献2には、障害への対処レベルを考慮した動的な対処要員の配置が行えないこと、対処要員の勤務実態に合わせた的確な連絡ができないこと、及び、非対処要員の協力を得る連絡方法がとれていないことを課題とした運用管理通知支援システムが記載されている。
【0006】
当該運用管理通知支援システムは、運用管理者向け通知情報および関連環境情報に基づいて、対処の重要度および緊急度の指標である対処レベルを決定する対処レベル決定手段と、前記対処レベルおよび対処要員情報に基づいて対処要員を選定する対処要員選定手段と、対処要員毎に、その要員属性情報に基づいて通知メディアを選定する通知メディア選定手段と、前記選定された通知メディアを用いて対処要員向け通知情報を生成する対処要員向け通知情報生成手段と、前記対処要員向け通知情報を前記通知メディアで前記選定された対処要員に通知する通知手段と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−344061号公報
【特許文献2】特開2005−276068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サービスの状態を監視している監視オペレータは、サービスに不具合が発生すると、迅速に、技術者、責任者等の所定のユーザに当該不具合発生を報告しなければならない場合がある。
【0009】
例えば、サービスのシステムを設計するものと、監視オペレータとは、一般的には異なる人物であるので、監視オペレータはサービスのシステムを完全には把握していない場合が多い。このため、監視オペレータは、サービスに発生した不具合が予め想定されたものである場合には、マニュアルに従い所定の対応をとり、想定外の不具合が発生した場合には、迅速に、技術者、責任者等の所定のユーザに、当該不具合を報告することとなる。
【0010】
その他、サービスの内容によっては、不具合が発生した場合、不具合の内容等に関係なく、監視オペレータは、迅速に、発生した全ての不具合を所定のユーザに報告する場合もある。
【0011】
本発明者は、監視中のサービスに不具合が発生した場合に、監視オペレータが所定のユーザに不具合発生を報告しなければならない場合、以下のような問題が発生し得ることを見出した。
【0012】
監視オペレータは、複数のサービスを並行して監視する場合がある。そして、監視オペレータが所定のユーザに報告すべき不具合が、複数のサービスに併発する場合がある。従来、このような場合に、複数の不具合報告における優先度を監視オペレータが適切に判断する手段がなかった。このため、本来であれば最優先しなければならない不具合報告を、後回しにしてしまう等の不都合が生じる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供装置であって、前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段と、前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段と、前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段と、不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段と、を有する情報提供装置が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供方法であって、コンピュータが、前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持しておき、前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視ステップと、前記監視ステップで前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出ステップと、不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力ステップと、を有する情報提供方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供するためのプログラムであって、コンピュータを、前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段、前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段、前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段、不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、監視中の複数のサービスに、監視オペレータが所定のユーザに報告すべき不具合が併発した場合であっても、監視オペレータは、適切な順序で、所定のユーザに対する不具合報告を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の情報提供装置の機能ブロック図の一例である。
【図2】本発明の重要度保持部が保持するデータの一例である。
【図3】サービスの重要度を決定するために本実施形態の情報提供装置が利用できるデータの一例である。
【図4】サービスの重要度を決定するために本実施形態の情報提供装置が利用できるデータの一例である。
【図5】本実施形態の緊急度算出部が利用できるデータの一例である。
【図6】本実施形態の緊急度算出部が利用できるデータの一例である。
【図7】本実施形態の優先度算出部が利用できるデータの一例である。
【図8】本実施形態の出力部が出力する情報の一例である。
【図9】本実施形態の情報提供方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本実施形態の情報提供装置の機能ブロック図の一例である。
【図11】本実施形態の情報伝達方法決定部が利用できるデータの一例である。
【図12】本実施形態の情報伝達方法決定部が利用できるデータの一例である。
【図13】本実施形態の出力部が出力する情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
なお、本実施形態のサービス管理装置は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム(あらかじめ装置を出荷する段階からメモリ内に格納されているプログラムのほか、CD等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムも含む)、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
また、本実施形態の説明において利用する機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの図においては、各装置は1つの機器により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に分かれた構成であっても、論理的に分かれた構成であっても構わない。
【0021】
<第1の実施形態>
最初に、本実施形態の情報提供装置の概要について説明する。本実施形態の情報提供装置は、コンピュータやネットワーク等を用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を、ディスプレイ等の出力装置を介して監視オペレータに提供する。なお、サービスの内容は特段制限されない。
【0022】
このような本実施形態の情報提供装置は、監視中のサービスに、監視オペレータが所定のユーザ(例:技術者、責任者)に報告すべき不具合(以下、「報告すべき不具合」という)が発生していないか監視する。「報告すべき不具合」は、サービスに発生した不具合のすべてであってもよいし、サービスに発生した不具合の中の一部であってもよい。
【0023】
そして、情報提供装置は、あるサービスに報告すべき不具合が発生していることを検知すると、当該サービスの現在の状態及び当該サービスの重要度に基づいて、当該不具合の報告(以下、「不具合報告」)の優先度を算出する。その後、情報提供装置は、当該サービスに不具合が発生したことを示す情報に、算出した優先度を関連付けた不具合情報を、例えばディスプレイを介して出力する。
【0024】
監視オペレータは、このようにして出力された不具合情報を閲覧することで、所定のサービスに報告すべき不具合が発生していることのみならず、その不具合報告の優先度を知ることができる。このため、報告すべき不具合が併発している場合であっても、監視オペレータは、各不具合報告の優先度に基づいて、不具合報告を実行する順序を適切に判断し、実行することができる。
【0025】
以下、このような本実施形態の情報提供装置の詳細な構成について説明する。図1は、本実施形態の情報提供装置1の機能ブロック図の一例である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の情報提装置1は、重要度保持部10と、監視部20と、優先度算出部30と、緊急度算出部40と、出力部50とを有する。
【0027】
重要度保持部10は、監視対象の複数のサービス各々に定められた重要度を保持する。重要度は、監視対象の複数のサービスを相対的に評価するための指標であり、例えば、複数のサービスを、重要度「高」、「中」、「低」の3つのランクに分類してもよいし、または、重要度を示す「1〜10のポイント(10が最も重要)」を複数のサービス各々に定めてもよい。なお、ここで説明した重要度の例はあくまで一例であり、その他の指標で複数のサービス各々に重要度を定めることもできる。
【0028】
ここで、図2に、重要度保持部10が保持するデータの一例を模式的に示す。図示する例の場合、重要度は「高」、「中」、「低」の3つのランクからなり、各サービスに、いずれかのランクが対応付けられている。
【0029】
各サービスの重要度を定める手法は特段制限されないが、例えば、「各サービスの利用者数」、「各サービスを利用するお客様の属性」、「各サービスの保守・運営への対価」、「各サービスに定められたSLA(Service Level Agreement)の内容」等に基づいて定めることができる。
【0030】
例えば、「サービスの利用者数」に基づいて重要度を定める場合は、サービスの利用者数が多いほど重要度を高く定めることができる。「サービスを利用するお客様の属性」に基づいて決定する場合は、例えばお客様との取引金額や、お客様の業務規模等に基づいて決定することができ、より具体的には、取引金額が多いほど、業務規模が大きいほど、重要度を高く定めることができる。「サービスの保守・運営への対価」に基づいて重要度を定める場合は、対価が多いほど重要度を高く定めることができる。
【0031】
「各サービスに定められたSLAの内容」に基づいて重要度を定める場合は、例えば、以下のようにすることができる。まず、SLAで規定される複数のサービスレベル評価項目各々に、重み付け値を定めておく(図3参照)。
【0032】
SLAで規定されるサービスレベル評価項目の内容は特段制限されないが、例えば、「所定期間内の障害の発生件数」や、「所定期間内の基準応答時間達成率」などであってもよい。基準応答時間達成率は、所定期間内における全トランザクション数の中の、基準応答時間内に応答したトランザクション数の割合として定義される。
【0033】
図3に示す重み付け値は、複数のサービスレベル評価項目の重要度を相対的に評価するための指標であり、「10段階(10が最も重要)」で定義している。なお、その他の指標で複数のサービスレベル評価項目の重要度を相対的に評価してもよい。
【0034】
このようなサービスレベル評価項目ごとに定められた重み付け値を用いて、サービスごとに重要度を定めることができる。例えば、サービスごとに、SLAに含まれるすべてのサービスレベル評価項目の重み付け値を合計し、当該合計値が多いサービスほど、重要度を高く定めてもよい。なお、その他の例とすることも可能である。
【0035】
上述のような重要度を定める処理は、コンピュータにより実行されてもよい。ここでは、「サービスの利用者数」に基づいて重要度を定める場合を例にとり、コンピュータ処理の一例を説明する。
【0036】
まず、コンピュータは、予め、サービスの利用者数と重要度とを対応付けたテーブルを保持しておく(図4参照)。そして、各サービスの利用者数を示す情報を入力されると、コンピュータは、当該情報と上記テーブル(図4参照)とを利用して、各サービスの重要度を算出することができる。なお、「サービスの利用者数」以外の例の場合も同様にして、また、従来技術に準じて、コンピュータが上記重要度を定める処理を実行することができる。なお、ユーザが、各サービスの重要度を決定し、情報提供装置1に入力して、重要度保持部10に保持させることもできる。
【0037】
図1に戻り、監視部20は、複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに報告すべき不具合が発生していないか監視する。例えば、監視項目としては「TAT(Turn Around Time)」等が考えられ、監視部20は、現在のサービスのTATの値(現在値)を取得すると、予め定められた所定値(サービスごとに定められる)と現在値(TAT)とを大小比較し、比較結果に基づいて、上記不具合発生の有無を判断することができる。なお、上記例はあくまで一例であり、監視部20は、その他の手段を用いて、上記現在値に基づき、各サービスに報告すべき不具合が発生していないか監視してもよい。
【0038】
優先度算出部30は、監視部20が報告すべき不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生しているサービスの監視項目(TAT等)の現在値と、重要度保持部10が保持する当該サービスの重要度とに基づいて、当該不具合報告の優先度を算出する。なお、ここで用いる現在値は、不具合が生じている監視項目の現在値に限定されず、その他の監視項目の現在値をも利用することができる。
【0039】
優先度算出部30は、例えば、以下で説明する緊急度算出部40が、当該不具合が発生しているサービスの監視項目の現在値に基づいて算出した不具合報告の緊急度と、重要度保持部10が保持する重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出してもよい。まず、緊急度算出部40について説明する。
【0040】
緊急度算出部40は、報告すべき不具合が発生しているサービスの監視項目の現在値に基づいて、当該不具合報告の緊急度を算出する。緊急度は、発生した複数の不具合報告を相対的に評価するための指標であり、例えば、発生した不具合報告を、緊急度「大」、「中」、「小」の3つのランクに分類してもよいし、または、緊急度を示す「1〜10のポイント(10が最も緊急)」のいずれか付してもよい。これらの例はあくまで一例であり、その他の指標で不具合報告各々に緊急度を定めることもできる。以下、緊急度算出部40が、第1のサービスに発生した不具合に関する不具合報告の緊急度を算出する例を説明する。
【0041】
まず、緊急度算出部40は、第1のサービスに関連する監視項目を「サービスの品質」に関する項目と、「サービスの安全性」に関する項目とに分類する。
【0042】
「サービスの品質」に関する項目は、当該サービスを利用中のお客様に直接影響を及ぼす可能性がある項目であり、例えば、サービス利用中のお客様からの入力に対する応答時間を評価する「サービス応答時間」や、サービスが動いているか否かを評価する「サービス死活」や、サービス停止には至っていないが、何らかの不具合が生じていないか評価する「サービス正常稼働」などの監視項目が考えられる。なお、これらの監視項目はあくまで一例であり、これらに限定されない。
【0043】
「サービスの安全性」に関する項目は、将来的に、上記サービスの品質に影響を及ぼす可能性がある項目であり、例えば、サービスを構成するサーバや仮想マシン,ネットワークといった個々の要素の正常性を評価する「個別CI(Configuration Items,サービス構成要素)の死活」や、冗長構成がどの程度維持されているかを評価する「冗長構成維持」や、将来サービスの品質に影響しそうな潜在的な問題がないかどうかを評価する「CI間の相関破壊度」や、サービスを提供するITリソースに余裕があるかどうかを評価する「リソース容量」などの監視項目が考えられる。なお、これらの監視項目はあくまで一例であり、これらに限定されない。
【0044】
上記分類後、緊急度算出部40は、「サービスの品質」及び「サービスの安全性」各々の状態を、各々に含まれる監視項目の現在値を利用して評価する。
【0045】
当該評価手法は特段制限されないが、以下、「サービスの品質」を評価する一例を説明する。緊急度算出部40は、予め、「サービスの品質」に関する監視項目(「サービス応答時間」、「サービス死活」、「サービス正常稼働」など)ごとに、「正常」、「警告」、「障害」の3つの状態各々の値を定めておく(図5参照)。そして、緊急度算出部40は、各監視項目の現在値がいずれの状態に属するか判断することで、各監視項目の状態を決定する。なお、「警告」状態は「障害」状態に至る前の状態であり、すなわち、「正常」と「障害」の間の状態である。
【0046】
その後、緊急度算出部40は、複数の監視項目の状態に基づいて、「サービスの品質」を評価する。例えば、複数の監視項目の状態の中に「障害」が1つでも含まれていれば、「サービスの品質」は「障害」状態と判断してもよい。また、複数の監視項目の状態の中に「障害」がなく、「警告」の数が1つ以上かつ所定数未満含まれていれば、「サービスの品質」は「警告」状態と判断してもよい。そして、複数の監視項目の状態の中に「障害」及び「警告」が含まれていなければ、「サービスの品質」は「正常」と判断してもよい。なお、当該例はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。また、「サービスの安全性」を評価する場合も同様にして評価することができる。
【0047】
上述のようにして「サービスの品質」及び「サービスの安全性」の状態を評価した後、緊急度算出部40は、「サービスの品質」及び「サービスの安全性」の評価結果に基づいて、緊急度を算出する。例えば、図6に示すようなテーブルを参照し、緊急度を算出することができる。当該テーブルによれば、「サービスの品質」が「警告」状態で、「サービスの安全性」が「障害」状態の場合、緊急度は「中」となる。
【0048】
なお、図6に示すテーブルの場合、サービスを利用中のお客様に直接影響を及ぼす可能性がある監視項目に基づいて現在の状態を評価された「サービスの品質」が「障害」状態の場合は、「サービスの安全性」の評価結果によらず、緊急度は「高」となっている。これに対し、将来的にサービスの品質に影響を及ぼす可能性がある監視項目に基づいて現在の状態を評価された「サービスの安全性」が「障害」状態の場合の緊急度は、「サービスの品質」が「障害」状態の場合を除いて、「中」となっている。すなわち、「サービスの品質」の方が、「サービスの安全性」よりも、緊急度に及ぼす影響は大きくなっている。
【0049】
次に、優先度算出部30が、緊急度算出部40が算出した緊急度と、重要度保持部10が保持する重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する構成について説明する。優先度は、発生した複数の不具合報告を相対的に評価するための指標であり、例えば、発生した不具合報告を、優先度「1〜5(1が最も優先度大)」の5つのランクに分類してもよいし、その他の指標で評価してもよい。
【0050】
優先度算出部30は、例えば、図7に示すようなテーブルを参照し、優先度を算出することができる。当該テーブルによれば、「緊急度」が「中」で、「重要度」が「低」の場合、優先度は「4」となる。
【0051】
出力部50は、報告すべき不具合が発生していることを示す情報、及び、優先度算出部30が算出した当該不具合報告の優先度を、当該不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する。出力手段は特段制限されず、ディスプレイ、印刷装置、電子メール送信装置等のあらゆる出力装置を介して実現することができる。
【0052】
図8に、出力部50が出力する情報の一例を示す。図8に示す例の場合、報告すべき不具合が発生した複数のサービスが一覧表示されている。当該情報には、「サービス名」の欄に各サービスを識別するためのサービス名が表示されている。そして、各サービスに対応付けて、「ステータス」欄に現在の状況が表示され、「緊急度」欄に緊急度算出部40が算出した緊急度が表示され、「重要度」欄に重要度保持部10が保持する重要度が表示され、「優先度」欄に優先度算出部30が算出した優先度が表示されている。なお、図示するように各サービスに対応付けて「削除」ボタンを表示し、当該ボタンをクリック等すると、対応するサービスが一覧表示から削除されてもよい。
【0053】
図8に示す情報を閲覧した監視オペレータは、サービスA及びBに報告すべき不具合が発生していることを認識することができる。そして、監視オペレータは、優先度の欄を閲覧することで、サービスAに発生している不具合の報告(優先度「1」)を、サービスBに発生している不具合の報告(優先度「4」)よりも優先すべきことを認識することができる。
【0054】
なお、図8に示すように、緊急度及び重要度を併せて表示することで、監視オペレータは、サービスの状態をより詳細に把握することができる。しかし、多くの情報があり過ぎると、いずれの情報に従い、不具合の報告の順序を決定すべきが迷う監視オペレータも存在すると考えられる。このため、図示する緊急度及び重要度は表示しなくてもよい。
【0055】
次に、本実施形態の情報提供装置を用いて実現される本実施形態の情報提供方法の処理の流れの一例について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
まず、監視ステップS10では、監視部20が、監視中の複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに報告すべき不具合が発生していないか監視する。
【0057】
そして、監視部20が、あるサービスに報告すべき不具合が発生していることを検知すると、優先度算出ステップS20以降の処理が実行される。なお、優先度算出ステップS20の処理が開始された後も、監視部20による監視ステップS10は継続的に実行されており、報告すべき不具合が発生する都度、以下の優先度算出ステップS20以降の処理が実行されることとなる。
【0058】
優先度算出ステップS20では、優先度算出部30が、報告すべき不具合が発生しているサービスに関連する1つ以上の監視項目の現在値と、当該サービスの重要度(重要度保持部10が保持)とに基づいて、当該不具合報告の優先度を算出する。
【0059】
例えば、緊急度算出部40が、報告すべき不具合が発生しているサービスに関連する1つ以上の監視項目の現在値に基づいて、不具合報告の緊急度を算出する。そして、優先度算出部30は、当該緊急度と、報告すべき不具合が発生しているサービスの重要度(重要度保持部10が保持)とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する。
【0060】
出力ステップS30は、優先度算出ステップS20の後に実行される。当該ステップでは、出力部50が、報告すべき不具合が発生していることを示す情報、及び、優先度算出ステップS20で算出した当該不具合報告の優先度を、報告すべき不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を、例えばディスプレイを介して出力する(図8参照)。
【0061】
本実施形態の情報提供装置は、例えば、以下のプログラムをコンピュータにインストールすることで実現することができる。
【0062】
コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段、
前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段、
前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段、
不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【0063】
以上説明した本実施形態によれば、監視中の複数のサービスに、監視オペレータが所定のユーザに迅速に報告すべき不具合が併発した場合であっても、監視オペレータは、適切な順序で、所定のユーザに対する不具合報告を行うことが可能となる。
【0064】
<第2の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態の構成に加えて、さらに以下の構成を有する。
【0065】
本実施形態の情報提供装置は、報告すべき不具合が発生したサービスの現在の状態に基づいて算出した不具合報告の緊急度に基づいて、監視オペレータが行う不具合報告に用いる情報伝達方法(電話、電子メール等)として望ましいものを決定する。そして、情報提供装置は、決定した情報伝達方法を、上記不具合情報に含めて出力する。
【0066】
監視オペレータは、このようにして出力された不具合情報を閲覧することで、第1の実施形態で説明したように不具合報告を実行する順序を適切に判断できるのみならず、各不具合報告に用いる情報伝達方法を適切に選択することが可能となる。
【0067】
以下、このような本実施形態の情報提供装置の詳細な構成について説明する。図10は、本実施形態の情報提供装置1の機能ブロック図の一例である。
【0068】
図10に示すように、本実施形態の情報提装置1は、重要度保持部10と、監視部20と、優先度算出部30と、緊急度算出部40と、出力部50と、伝達方法決定部60を有する。以下、出力部50、及び、伝達方法決定部60について説明する。なお、重要度保持部10、監視部20、優先度算出部30、及び、緊急度算出部40の構成については、第1の実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0069】
伝達方法決定部60は、出力部50が出力した不具合情報を取得(閲覧等)した第1のユーザ(監視オペレータ)が、第2のユーザ(技術者、責任者等)に当該不具合情報を伝達する際に用いることを推奨する情報伝達方法を、緊急度算出部40が算出した緊急度に基づいて決定する。
【0070】
例えば、伝達方法決定部60は、緊急度算出部40から緊急度を取得すると、図11に示すようなテーブルを参照し、情報伝達方法を決定することができる。図11に示すテーブルによれば、緊急度「高」及び「中」の場合、情報伝達方法「電話」が決定され、緊急度「低」の場合、情報伝達方法「電子メール」が決定される。図11に示すテーブルの内容はあくまで一例であり、その他の内容とすることもできる。
【0071】
なお、変形例として、伝達方法決定部60は、緊急度算出部40が算出した緊急度、及び、現在時刻に基づいて、情報伝達方法を決定することができる。
【0072】
「現在時刻」は、(1)出力部50が不具合情報を出力する時点の時刻であってもよいし、(2)出力部50が不具合情報を出力する時点から出力部50が不具合情報を出力し続けている間(例:ディスプレイに表示し続けている間)におけるある時点の現在時刻であってもよいし、または、(3)監視部20が報告すべき不具合を検知した時点の時刻であってもよい。(1)及び(3)の場合は、現在時刻はある時点の時刻に限定されるが、(2)の場合は、現在時刻は変動することとなる。
【0073】
伝達方法決定部60は、緊急度算出部40から緊急度を取得すると、現在時刻を取得する。そして、図12に示すようなテーブルを参照し、情報伝達方法を決定することができる。
【0074】
図12に示すテーブルによれば、緊急度「高」の場合、現在時刻に関係なく、情報伝達方法「電話」が決定される。緊急度「低」の場合、現在時刻に関係なく、情報伝達方法「電子メール」が決定される。そして、緊急度「中」の場合、現在時刻が8時から20時までの間(8時及び20時を含む)は情報伝達方法「電話」が決定され、現在時刻が20時から80時までの間(8時及び20時を含まない)は情報伝達方法「電子メール」が決定される。図12に示すテーブルの内容はあくまで一例であり、その他の内容とすることもできる。
【0075】
なお、現在時刻を、「(2)出力部50が不具合情報を出力する時点から出力部50が不具合情報を出力し続けている間におけるある時点の現在時刻」とする場合、伝達方法決定部60は現在時刻と図12に示すテーブルとの比較を継続し、現在時刻の変動に伴い、決定した情報伝達方法の内容を変更してもよい。例えば、緊急度「中」の場合、伝達方法決定部60は、現在時刻が19時58分の時点では情報伝達方法「電話」を決定し、出力部50が当該不具合情報を出力し続けている間に現在時刻が20時を超え、例えば現在時刻が20時1分になると、情報伝達方法「電子メール」に決定し直してもよい。
【0076】
出力部50は、第1の実施形態で説明した不具合情報の中に、伝達方法決定部60が決定した情報伝達方法を含めて出力する。なお、現在時刻を、「(2)出力部50が不具合情報を出力する時点から出力部50が不具合情報を出力し続けている間におけるある時点の現在時刻」とする場合、伝達方法決定部60が情報伝達方法を決定し直すと、出力部50は当該変更を出力内容に反映させる。
【0077】
図13に、出力部50が出力する情報の一例を示す。図13に示す例の場合、出力部50が出力する情報は、第1の実施形態の出力部50が出力する情報の一例(図8参照)と同様に、「ステータス」欄、「サービス名」欄、「重要度」欄、「優先度」欄を含みさらに、「情報伝達方法」欄を含む。「情報伝達方法」欄には、情報伝達方法決定部60が決定した情報伝達方法が表示される。
【0078】
なお、情報提供装置1は、あらかじめ、監視オペレータが不具合情報を報告すべき所定のユーザ(技術者、責任者等)の連絡先(電話番号、電子メールアドレス)を記憶しておき、図13に示す情報伝達方法の欄の各ボタンのクリックを受付けると、自動で、「所定のユーザに電話をかける」、または、「本文に不具合情報を含み、送信先に所定のユーザの電子メールアドレスを記載した電子メールの雛型を作成する」等の処理を行ってもよい。
【0079】
以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、監視中の複数のサービスに、監視オペレータが所定のユーザに迅速に報告すべき不具合が併発した場合であっても、監視オペレータは、適切な順序で、所定のユーザに対する不具合報告を行うことが可能となる。
【0080】
また、本実施形態によれば、監視オペレータは、各不具合報告に用いる情報伝達方法を適切に選択することが可能となる。
【符号の説明】
【0081】
1 情報提供装置
10 重要度保持部
20 監視部
30 優先度算出部
40 緊急度算出部
50 出力部
60 伝達方法決定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータやネットワークを用いて実現される様々なサービス(以下、「サービス」)が提供されており、これらサービスの状態(コンピュータの稼動状態等)を監視するための様々な方法が提供されている。例えば、監視用のコンピュータが、サービスの状態を示す情報をリアルタイムに取得し、ディスプレイ等を介して出力する。そして、監視オペレータが、当該情報をモニタする方法などがある。
【0003】
特許文献1には、業務の重要度に応じた個別具体的な障害の対応手順を適用する支援を行うことを目的とした管理サーバが記載されている。
【0004】
当該管理サーバは、業務サーバからイベントを受信した場合、そのイベントの属性に基づいて、メモリの業務監視条件の変数を満たす業務を特定し、特定した業務について、受信したイベントに応じたシナリオをメモリから読み出し、読み出したシナリオの一覧を、ネットワークを介してクライアントに出力する。
【0005】
特許文献2には、障害への対処レベルを考慮した動的な対処要員の配置が行えないこと、対処要員の勤務実態に合わせた的確な連絡ができないこと、及び、非対処要員の協力を得る連絡方法がとれていないことを課題とした運用管理通知支援システムが記載されている。
【0006】
当該運用管理通知支援システムは、運用管理者向け通知情報および関連環境情報に基づいて、対処の重要度および緊急度の指標である対処レベルを決定する対処レベル決定手段と、前記対処レベルおよび対処要員情報に基づいて対処要員を選定する対処要員選定手段と、対処要員毎に、その要員属性情報に基づいて通知メディアを選定する通知メディア選定手段と、前記選定された通知メディアを用いて対処要員向け通知情報を生成する対処要員向け通知情報生成手段と、前記対処要員向け通知情報を前記通知メディアで前記選定された対処要員に通知する通知手段と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−344061号公報
【特許文献2】特開2005−276068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サービスの状態を監視している監視オペレータは、サービスに不具合が発生すると、迅速に、技術者、責任者等の所定のユーザに当該不具合発生を報告しなければならない場合がある。
【0009】
例えば、サービスのシステムを設計するものと、監視オペレータとは、一般的には異なる人物であるので、監視オペレータはサービスのシステムを完全には把握していない場合が多い。このため、監視オペレータは、サービスに発生した不具合が予め想定されたものである場合には、マニュアルに従い所定の対応をとり、想定外の不具合が発生した場合には、迅速に、技術者、責任者等の所定のユーザに、当該不具合を報告することとなる。
【0010】
その他、サービスの内容によっては、不具合が発生した場合、不具合の内容等に関係なく、監視オペレータは、迅速に、発生した全ての不具合を所定のユーザに報告する場合もある。
【0011】
本発明者は、監視中のサービスに不具合が発生した場合に、監視オペレータが所定のユーザに不具合発生を報告しなければならない場合、以下のような問題が発生し得ることを見出した。
【0012】
監視オペレータは、複数のサービスを並行して監視する場合がある。そして、監視オペレータが所定のユーザに報告すべき不具合が、複数のサービスに併発する場合がある。従来、このような場合に、複数の不具合報告における優先度を監視オペレータが適切に判断する手段がなかった。このため、本来であれば最優先しなければならない不具合報告を、後回しにしてしまう等の不都合が生じる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供装置であって、前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段と、前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段と、前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段と、不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段と、を有する情報提供装置が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供方法であって、コンピュータが、前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持しておき、前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視ステップと、前記監視ステップで前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出ステップと、不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力ステップと、を有する情報提供方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供するためのプログラムであって、コンピュータを、前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段、前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段、前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段、不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、監視中の複数のサービスに、監視オペレータが所定のユーザに報告すべき不具合が併発した場合であっても、監視オペレータは、適切な順序で、所定のユーザに対する不具合報告を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の情報提供装置の機能ブロック図の一例である。
【図2】本発明の重要度保持部が保持するデータの一例である。
【図3】サービスの重要度を決定するために本実施形態の情報提供装置が利用できるデータの一例である。
【図4】サービスの重要度を決定するために本実施形態の情報提供装置が利用できるデータの一例である。
【図5】本実施形態の緊急度算出部が利用できるデータの一例である。
【図6】本実施形態の緊急度算出部が利用できるデータの一例である。
【図7】本実施形態の優先度算出部が利用できるデータの一例である。
【図8】本実施形態の出力部が出力する情報の一例である。
【図9】本実施形態の情報提供方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本実施形態の情報提供装置の機能ブロック図の一例である。
【図11】本実施形態の情報伝達方法決定部が利用できるデータの一例である。
【図12】本実施形態の情報伝達方法決定部が利用できるデータの一例である。
【図13】本実施形態の出力部が出力する情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
なお、本実施形態のサービス管理装置は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラム(あらかじめ装置を出荷する段階からメモリ内に格納されているプログラムのほか、CD等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムも含む)、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
また、本実施形態の説明において利用する機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの図においては、各装置は1つの機器により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に分かれた構成であっても、論理的に分かれた構成であっても構わない。
【0021】
<第1の実施形態>
最初に、本実施形態の情報提供装置の概要について説明する。本実施形態の情報提供装置は、コンピュータやネットワーク等を用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を、ディスプレイ等の出力装置を介して監視オペレータに提供する。なお、サービスの内容は特段制限されない。
【0022】
このような本実施形態の情報提供装置は、監視中のサービスに、監視オペレータが所定のユーザ(例:技術者、責任者)に報告すべき不具合(以下、「報告すべき不具合」という)が発生していないか監視する。「報告すべき不具合」は、サービスに発生した不具合のすべてであってもよいし、サービスに発生した不具合の中の一部であってもよい。
【0023】
そして、情報提供装置は、あるサービスに報告すべき不具合が発生していることを検知すると、当該サービスの現在の状態及び当該サービスの重要度に基づいて、当該不具合の報告(以下、「不具合報告」)の優先度を算出する。その後、情報提供装置は、当該サービスに不具合が発生したことを示す情報に、算出した優先度を関連付けた不具合情報を、例えばディスプレイを介して出力する。
【0024】
監視オペレータは、このようにして出力された不具合情報を閲覧することで、所定のサービスに報告すべき不具合が発生していることのみならず、その不具合報告の優先度を知ることができる。このため、報告すべき不具合が併発している場合であっても、監視オペレータは、各不具合報告の優先度に基づいて、不具合報告を実行する順序を適切に判断し、実行することができる。
【0025】
以下、このような本実施形態の情報提供装置の詳細な構成について説明する。図1は、本実施形態の情報提供装置1の機能ブロック図の一例である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の情報提装置1は、重要度保持部10と、監視部20と、優先度算出部30と、緊急度算出部40と、出力部50とを有する。
【0027】
重要度保持部10は、監視対象の複数のサービス各々に定められた重要度を保持する。重要度は、監視対象の複数のサービスを相対的に評価するための指標であり、例えば、複数のサービスを、重要度「高」、「中」、「低」の3つのランクに分類してもよいし、または、重要度を示す「1〜10のポイント(10が最も重要)」を複数のサービス各々に定めてもよい。なお、ここで説明した重要度の例はあくまで一例であり、その他の指標で複数のサービス各々に重要度を定めることもできる。
【0028】
ここで、図2に、重要度保持部10が保持するデータの一例を模式的に示す。図示する例の場合、重要度は「高」、「中」、「低」の3つのランクからなり、各サービスに、いずれかのランクが対応付けられている。
【0029】
各サービスの重要度を定める手法は特段制限されないが、例えば、「各サービスの利用者数」、「各サービスを利用するお客様の属性」、「各サービスの保守・運営への対価」、「各サービスに定められたSLA(Service Level Agreement)の内容」等に基づいて定めることができる。
【0030】
例えば、「サービスの利用者数」に基づいて重要度を定める場合は、サービスの利用者数が多いほど重要度を高く定めることができる。「サービスを利用するお客様の属性」に基づいて決定する場合は、例えばお客様との取引金額や、お客様の業務規模等に基づいて決定することができ、より具体的には、取引金額が多いほど、業務規模が大きいほど、重要度を高く定めることができる。「サービスの保守・運営への対価」に基づいて重要度を定める場合は、対価が多いほど重要度を高く定めることができる。
【0031】
「各サービスに定められたSLAの内容」に基づいて重要度を定める場合は、例えば、以下のようにすることができる。まず、SLAで規定される複数のサービスレベル評価項目各々に、重み付け値を定めておく(図3参照)。
【0032】
SLAで規定されるサービスレベル評価項目の内容は特段制限されないが、例えば、「所定期間内の障害の発生件数」や、「所定期間内の基準応答時間達成率」などであってもよい。基準応答時間達成率は、所定期間内における全トランザクション数の中の、基準応答時間内に応答したトランザクション数の割合として定義される。
【0033】
図3に示す重み付け値は、複数のサービスレベル評価項目の重要度を相対的に評価するための指標であり、「10段階(10が最も重要)」で定義している。なお、その他の指標で複数のサービスレベル評価項目の重要度を相対的に評価してもよい。
【0034】
このようなサービスレベル評価項目ごとに定められた重み付け値を用いて、サービスごとに重要度を定めることができる。例えば、サービスごとに、SLAに含まれるすべてのサービスレベル評価項目の重み付け値を合計し、当該合計値が多いサービスほど、重要度を高く定めてもよい。なお、その他の例とすることも可能である。
【0035】
上述のような重要度を定める処理は、コンピュータにより実行されてもよい。ここでは、「サービスの利用者数」に基づいて重要度を定める場合を例にとり、コンピュータ処理の一例を説明する。
【0036】
まず、コンピュータは、予め、サービスの利用者数と重要度とを対応付けたテーブルを保持しておく(図4参照)。そして、各サービスの利用者数を示す情報を入力されると、コンピュータは、当該情報と上記テーブル(図4参照)とを利用して、各サービスの重要度を算出することができる。なお、「サービスの利用者数」以外の例の場合も同様にして、また、従来技術に準じて、コンピュータが上記重要度を定める処理を実行することができる。なお、ユーザが、各サービスの重要度を決定し、情報提供装置1に入力して、重要度保持部10に保持させることもできる。
【0037】
図1に戻り、監視部20は、複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに報告すべき不具合が発生していないか監視する。例えば、監視項目としては「TAT(Turn Around Time)」等が考えられ、監視部20は、現在のサービスのTATの値(現在値)を取得すると、予め定められた所定値(サービスごとに定められる)と現在値(TAT)とを大小比較し、比較結果に基づいて、上記不具合発生の有無を判断することができる。なお、上記例はあくまで一例であり、監視部20は、その他の手段を用いて、上記現在値に基づき、各サービスに報告すべき不具合が発生していないか監視してもよい。
【0038】
優先度算出部30は、監視部20が報告すべき不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生しているサービスの監視項目(TAT等)の現在値と、重要度保持部10が保持する当該サービスの重要度とに基づいて、当該不具合報告の優先度を算出する。なお、ここで用いる現在値は、不具合が生じている監視項目の現在値に限定されず、その他の監視項目の現在値をも利用することができる。
【0039】
優先度算出部30は、例えば、以下で説明する緊急度算出部40が、当該不具合が発生しているサービスの監視項目の現在値に基づいて算出した不具合報告の緊急度と、重要度保持部10が保持する重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出してもよい。まず、緊急度算出部40について説明する。
【0040】
緊急度算出部40は、報告すべき不具合が発生しているサービスの監視項目の現在値に基づいて、当該不具合報告の緊急度を算出する。緊急度は、発生した複数の不具合報告を相対的に評価するための指標であり、例えば、発生した不具合報告を、緊急度「大」、「中」、「小」の3つのランクに分類してもよいし、または、緊急度を示す「1〜10のポイント(10が最も緊急)」のいずれか付してもよい。これらの例はあくまで一例であり、その他の指標で不具合報告各々に緊急度を定めることもできる。以下、緊急度算出部40が、第1のサービスに発生した不具合に関する不具合報告の緊急度を算出する例を説明する。
【0041】
まず、緊急度算出部40は、第1のサービスに関連する監視項目を「サービスの品質」に関する項目と、「サービスの安全性」に関する項目とに分類する。
【0042】
「サービスの品質」に関する項目は、当該サービスを利用中のお客様に直接影響を及ぼす可能性がある項目であり、例えば、サービス利用中のお客様からの入力に対する応答時間を評価する「サービス応答時間」や、サービスが動いているか否かを評価する「サービス死活」や、サービス停止には至っていないが、何らかの不具合が生じていないか評価する「サービス正常稼働」などの監視項目が考えられる。なお、これらの監視項目はあくまで一例であり、これらに限定されない。
【0043】
「サービスの安全性」に関する項目は、将来的に、上記サービスの品質に影響を及ぼす可能性がある項目であり、例えば、サービスを構成するサーバや仮想マシン,ネットワークといった個々の要素の正常性を評価する「個別CI(Configuration Items,サービス構成要素)の死活」や、冗長構成がどの程度維持されているかを評価する「冗長構成維持」や、将来サービスの品質に影響しそうな潜在的な問題がないかどうかを評価する「CI間の相関破壊度」や、サービスを提供するITリソースに余裕があるかどうかを評価する「リソース容量」などの監視項目が考えられる。なお、これらの監視項目はあくまで一例であり、これらに限定されない。
【0044】
上記分類後、緊急度算出部40は、「サービスの品質」及び「サービスの安全性」各々の状態を、各々に含まれる監視項目の現在値を利用して評価する。
【0045】
当該評価手法は特段制限されないが、以下、「サービスの品質」を評価する一例を説明する。緊急度算出部40は、予め、「サービスの品質」に関する監視項目(「サービス応答時間」、「サービス死活」、「サービス正常稼働」など)ごとに、「正常」、「警告」、「障害」の3つの状態各々の値を定めておく(図5参照)。そして、緊急度算出部40は、各監視項目の現在値がいずれの状態に属するか判断することで、各監視項目の状態を決定する。なお、「警告」状態は「障害」状態に至る前の状態であり、すなわち、「正常」と「障害」の間の状態である。
【0046】
その後、緊急度算出部40は、複数の監視項目の状態に基づいて、「サービスの品質」を評価する。例えば、複数の監視項目の状態の中に「障害」が1つでも含まれていれば、「サービスの品質」は「障害」状態と判断してもよい。また、複数の監視項目の状態の中に「障害」がなく、「警告」の数が1つ以上かつ所定数未満含まれていれば、「サービスの品質」は「警告」状態と判断してもよい。そして、複数の監視項目の状態の中に「障害」及び「警告」が含まれていなければ、「サービスの品質」は「正常」と判断してもよい。なお、当該例はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。また、「サービスの安全性」を評価する場合も同様にして評価することができる。
【0047】
上述のようにして「サービスの品質」及び「サービスの安全性」の状態を評価した後、緊急度算出部40は、「サービスの品質」及び「サービスの安全性」の評価結果に基づいて、緊急度を算出する。例えば、図6に示すようなテーブルを参照し、緊急度を算出することができる。当該テーブルによれば、「サービスの品質」が「警告」状態で、「サービスの安全性」が「障害」状態の場合、緊急度は「中」となる。
【0048】
なお、図6に示すテーブルの場合、サービスを利用中のお客様に直接影響を及ぼす可能性がある監視項目に基づいて現在の状態を評価された「サービスの品質」が「障害」状態の場合は、「サービスの安全性」の評価結果によらず、緊急度は「高」となっている。これに対し、将来的にサービスの品質に影響を及ぼす可能性がある監視項目に基づいて現在の状態を評価された「サービスの安全性」が「障害」状態の場合の緊急度は、「サービスの品質」が「障害」状態の場合を除いて、「中」となっている。すなわち、「サービスの品質」の方が、「サービスの安全性」よりも、緊急度に及ぼす影響は大きくなっている。
【0049】
次に、優先度算出部30が、緊急度算出部40が算出した緊急度と、重要度保持部10が保持する重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する構成について説明する。優先度は、発生した複数の不具合報告を相対的に評価するための指標であり、例えば、発生した不具合報告を、優先度「1〜5(1が最も優先度大)」の5つのランクに分類してもよいし、その他の指標で評価してもよい。
【0050】
優先度算出部30は、例えば、図7に示すようなテーブルを参照し、優先度を算出することができる。当該テーブルによれば、「緊急度」が「中」で、「重要度」が「低」の場合、優先度は「4」となる。
【0051】
出力部50は、報告すべき不具合が発生していることを示す情報、及び、優先度算出部30が算出した当該不具合報告の優先度を、当該不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する。出力手段は特段制限されず、ディスプレイ、印刷装置、電子メール送信装置等のあらゆる出力装置を介して実現することができる。
【0052】
図8に、出力部50が出力する情報の一例を示す。図8に示す例の場合、報告すべき不具合が発生した複数のサービスが一覧表示されている。当該情報には、「サービス名」の欄に各サービスを識別するためのサービス名が表示されている。そして、各サービスに対応付けて、「ステータス」欄に現在の状況が表示され、「緊急度」欄に緊急度算出部40が算出した緊急度が表示され、「重要度」欄に重要度保持部10が保持する重要度が表示され、「優先度」欄に優先度算出部30が算出した優先度が表示されている。なお、図示するように各サービスに対応付けて「削除」ボタンを表示し、当該ボタンをクリック等すると、対応するサービスが一覧表示から削除されてもよい。
【0053】
図8に示す情報を閲覧した監視オペレータは、サービスA及びBに報告すべき不具合が発生していることを認識することができる。そして、監視オペレータは、優先度の欄を閲覧することで、サービスAに発生している不具合の報告(優先度「1」)を、サービスBに発生している不具合の報告(優先度「4」)よりも優先すべきことを認識することができる。
【0054】
なお、図8に示すように、緊急度及び重要度を併せて表示することで、監視オペレータは、サービスの状態をより詳細に把握することができる。しかし、多くの情報があり過ぎると、いずれの情報に従い、不具合の報告の順序を決定すべきが迷う監視オペレータも存在すると考えられる。このため、図示する緊急度及び重要度は表示しなくてもよい。
【0055】
次に、本実施形態の情報提供装置を用いて実現される本実施形態の情報提供方法の処理の流れの一例について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
まず、監視ステップS10では、監視部20が、監視中の複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに報告すべき不具合が発生していないか監視する。
【0057】
そして、監視部20が、あるサービスに報告すべき不具合が発生していることを検知すると、優先度算出ステップS20以降の処理が実行される。なお、優先度算出ステップS20の処理が開始された後も、監視部20による監視ステップS10は継続的に実行されており、報告すべき不具合が発生する都度、以下の優先度算出ステップS20以降の処理が実行されることとなる。
【0058】
優先度算出ステップS20では、優先度算出部30が、報告すべき不具合が発生しているサービスに関連する1つ以上の監視項目の現在値と、当該サービスの重要度(重要度保持部10が保持)とに基づいて、当該不具合報告の優先度を算出する。
【0059】
例えば、緊急度算出部40が、報告すべき不具合が発生しているサービスに関連する1つ以上の監視項目の現在値に基づいて、不具合報告の緊急度を算出する。そして、優先度算出部30は、当該緊急度と、報告すべき不具合が発生しているサービスの重要度(重要度保持部10が保持)とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する。
【0060】
出力ステップS30は、優先度算出ステップS20の後に実行される。当該ステップでは、出力部50が、報告すべき不具合が発生していることを示す情報、及び、優先度算出ステップS20で算出した当該不具合報告の優先度を、報告すべき不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を、例えばディスプレイを介して出力する(図8参照)。
【0061】
本実施形態の情報提供装置は、例えば、以下のプログラムをコンピュータにインストールすることで実現することができる。
【0062】
コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段、
前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段、
前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段、
不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【0063】
以上説明した本実施形態によれば、監視中の複数のサービスに、監視オペレータが所定のユーザに迅速に報告すべき不具合が併発した場合であっても、監視オペレータは、適切な順序で、所定のユーザに対する不具合報告を行うことが可能となる。
【0064】
<第2の実施形態>
本実施形態は、第1の実施形態の構成に加えて、さらに以下の構成を有する。
【0065】
本実施形態の情報提供装置は、報告すべき不具合が発生したサービスの現在の状態に基づいて算出した不具合報告の緊急度に基づいて、監視オペレータが行う不具合報告に用いる情報伝達方法(電話、電子メール等)として望ましいものを決定する。そして、情報提供装置は、決定した情報伝達方法を、上記不具合情報に含めて出力する。
【0066】
監視オペレータは、このようにして出力された不具合情報を閲覧することで、第1の実施形態で説明したように不具合報告を実行する順序を適切に判断できるのみならず、各不具合報告に用いる情報伝達方法を適切に選択することが可能となる。
【0067】
以下、このような本実施形態の情報提供装置の詳細な構成について説明する。図10は、本実施形態の情報提供装置1の機能ブロック図の一例である。
【0068】
図10に示すように、本実施形態の情報提装置1は、重要度保持部10と、監視部20と、優先度算出部30と、緊急度算出部40と、出力部50と、伝達方法決定部60を有する。以下、出力部50、及び、伝達方法決定部60について説明する。なお、重要度保持部10、監視部20、優先度算出部30、及び、緊急度算出部40の構成については、第1の実施形態と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0069】
伝達方法決定部60は、出力部50が出力した不具合情報を取得(閲覧等)した第1のユーザ(監視オペレータ)が、第2のユーザ(技術者、責任者等)に当該不具合情報を伝達する際に用いることを推奨する情報伝達方法を、緊急度算出部40が算出した緊急度に基づいて決定する。
【0070】
例えば、伝達方法決定部60は、緊急度算出部40から緊急度を取得すると、図11に示すようなテーブルを参照し、情報伝達方法を決定することができる。図11に示すテーブルによれば、緊急度「高」及び「中」の場合、情報伝達方法「電話」が決定され、緊急度「低」の場合、情報伝達方法「電子メール」が決定される。図11に示すテーブルの内容はあくまで一例であり、その他の内容とすることもできる。
【0071】
なお、変形例として、伝達方法決定部60は、緊急度算出部40が算出した緊急度、及び、現在時刻に基づいて、情報伝達方法を決定することができる。
【0072】
「現在時刻」は、(1)出力部50が不具合情報を出力する時点の時刻であってもよいし、(2)出力部50が不具合情報を出力する時点から出力部50が不具合情報を出力し続けている間(例:ディスプレイに表示し続けている間)におけるある時点の現在時刻であってもよいし、または、(3)監視部20が報告すべき不具合を検知した時点の時刻であってもよい。(1)及び(3)の場合は、現在時刻はある時点の時刻に限定されるが、(2)の場合は、現在時刻は変動することとなる。
【0073】
伝達方法決定部60は、緊急度算出部40から緊急度を取得すると、現在時刻を取得する。そして、図12に示すようなテーブルを参照し、情報伝達方法を決定することができる。
【0074】
図12に示すテーブルによれば、緊急度「高」の場合、現在時刻に関係なく、情報伝達方法「電話」が決定される。緊急度「低」の場合、現在時刻に関係なく、情報伝達方法「電子メール」が決定される。そして、緊急度「中」の場合、現在時刻が8時から20時までの間(8時及び20時を含む)は情報伝達方法「電話」が決定され、現在時刻が20時から80時までの間(8時及び20時を含まない)は情報伝達方法「電子メール」が決定される。図12に示すテーブルの内容はあくまで一例であり、その他の内容とすることもできる。
【0075】
なお、現在時刻を、「(2)出力部50が不具合情報を出力する時点から出力部50が不具合情報を出力し続けている間におけるある時点の現在時刻」とする場合、伝達方法決定部60は現在時刻と図12に示すテーブルとの比較を継続し、現在時刻の変動に伴い、決定した情報伝達方法の内容を変更してもよい。例えば、緊急度「中」の場合、伝達方法決定部60は、現在時刻が19時58分の時点では情報伝達方法「電話」を決定し、出力部50が当該不具合情報を出力し続けている間に現在時刻が20時を超え、例えば現在時刻が20時1分になると、情報伝達方法「電子メール」に決定し直してもよい。
【0076】
出力部50は、第1の実施形態で説明した不具合情報の中に、伝達方法決定部60が決定した情報伝達方法を含めて出力する。なお、現在時刻を、「(2)出力部50が不具合情報を出力する時点から出力部50が不具合情報を出力し続けている間におけるある時点の現在時刻」とする場合、伝達方法決定部60が情報伝達方法を決定し直すと、出力部50は当該変更を出力内容に反映させる。
【0077】
図13に、出力部50が出力する情報の一例を示す。図13に示す例の場合、出力部50が出力する情報は、第1の実施形態の出力部50が出力する情報の一例(図8参照)と同様に、「ステータス」欄、「サービス名」欄、「重要度」欄、「優先度」欄を含みさらに、「情報伝達方法」欄を含む。「情報伝達方法」欄には、情報伝達方法決定部60が決定した情報伝達方法が表示される。
【0078】
なお、情報提供装置1は、あらかじめ、監視オペレータが不具合情報を報告すべき所定のユーザ(技術者、責任者等)の連絡先(電話番号、電子メールアドレス)を記憶しておき、図13に示す情報伝達方法の欄の各ボタンのクリックを受付けると、自動で、「所定のユーザに電話をかける」、または、「本文に不具合情報を含み、送信先に所定のユーザの電子メールアドレスを記載した電子メールの雛型を作成する」等の処理を行ってもよい。
【0079】
以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、監視中の複数のサービスに、監視オペレータが所定のユーザに迅速に報告すべき不具合が併発した場合であっても、監視オペレータは、適切な順序で、所定のユーザに対する不具合報告を行うことが可能となる。
【0080】
また、本実施形態によれば、監視オペレータは、各不具合報告に用いる情報伝達方法を適切に選択することが可能となる。
【符号の説明】
【0081】
1 情報提供装置
10 重要度保持部
20 監視部
30 優先度算出部
40 緊急度算出部
50 出力部
60 伝達方法決定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供装置であって、
前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段と、
前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段と、
前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段と、
不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段と、
を有する情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置において、
不具合が発生している前記サービスの前記現在値に基づいて、不具合報告の緊急度を算出する緊急度算出手段をさらに有する情報提供装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報提供装置において、
前記優先度算出手段は、前記緊急度及び前記重要度に基づいて、不具合報告の優先度を算出する情報提供装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の情報提供装置において、
前記出力手段が出力した前記不具合情報を取得した第1のユーザが、第2のユーザに当該不具合情報を伝達する際に用いることを推奨する情報伝達方法を、前記緊急度に基づいて決定する伝達方法決定手段をさらに有し、
前記出力手段は、前記不具合情報の中に、前記伝達方法決定手段が決定した前記情報伝達方法を含めて出力する情報提供装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報提供装置において、
前記伝達方法決定手段は、前記緊急度、及び、現在時刻に基づいて、前記情報伝達方法を決定する情報提供装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の情報提供装置において、
前記伝達方法決定手段は、緊急度が第1のレベルである場合、前記情報伝達方法として電話を決定し、緊急度が前記第1のレベルよりも低い第2のレベルである場合、前記情報伝達方法として電子メールを決定する情報提供装置。
【請求項7】
請求項5に従属する請求項6に記載の情報提供装置において、
前記伝達方法決定手段は、緊急度が前記第1のレベルよりも低くかつ前記第2のレベルよりも高い第1.5のレベルである場合、前記現在時刻が第1の時間帯の時には前記情報伝達方法として電話を決定し、第2の時間帯の時には前記情報伝達方法として電子メールを決定する情報提供装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報提供装置において、
前記伝達方法決定手段は、緊急度が前記第1のレベルの場合、前記現在時刻に関係なく、前記情報伝達方法として電話を決定する情報提供装置。
【請求項9】
コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供方法であって、
コンピュータが、
前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持しておき、
前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視ステップと、
前記監視ステップで前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出ステップと、
不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力ステップと、
を有する情報提供方法。
【請求項10】
コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段、
前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段、
前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段、
不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供装置であって、
前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段と、
前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段と、
前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段と、
不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段と、
を有する情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提供装置において、
不具合が発生している前記サービスの前記現在値に基づいて、不具合報告の緊急度を算出する緊急度算出手段をさらに有する情報提供装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報提供装置において、
前記優先度算出手段は、前記緊急度及び前記重要度に基づいて、不具合報告の優先度を算出する情報提供装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の情報提供装置において、
前記出力手段が出力した前記不具合情報を取得した第1のユーザが、第2のユーザに当該不具合情報を伝達する際に用いることを推奨する情報伝達方法を、前記緊急度に基づいて決定する伝達方法決定手段をさらに有し、
前記出力手段は、前記不具合情報の中に、前記伝達方法決定手段が決定した前記情報伝達方法を含めて出力する情報提供装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報提供装置において、
前記伝達方法決定手段は、前記緊急度、及び、現在時刻に基づいて、前記情報伝達方法を決定する情報提供装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の情報提供装置において、
前記伝達方法決定手段は、緊急度が第1のレベルである場合、前記情報伝達方法として電話を決定し、緊急度が前記第1のレベルよりも低い第2のレベルである場合、前記情報伝達方法として電子メールを決定する情報提供装置。
【請求項7】
請求項5に従属する請求項6に記載の情報提供装置において、
前記伝達方法決定手段は、緊急度が前記第1のレベルよりも低くかつ前記第2のレベルよりも高い第1.5のレベルである場合、前記現在時刻が第1の時間帯の時には前記情報伝達方法として電話を決定し、第2の時間帯の時には前記情報伝達方法として電子メールを決定する情報提供装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報提供装置において、
前記伝達方法決定手段は、緊急度が前記第1のレベルの場合、前記現在時刻に関係なく、前記情報伝達方法として電話を決定する情報提供装置。
【請求項9】
コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供する情報提供方法であって、
コンピュータが、
前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持しておき、
前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視ステップと、
前記監視ステップで前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出ステップと、
不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力ステップと、
を有する情報提供方法。
【請求項10】
コンピュータを用いて実現される複数のサービス各々の監視状況を提供するためのプログラムであって、
コンピュータを、
前記複数のサービス各々に定められた重要度を保持する重要度保持手段、
前記複数のサービス各々に関連する1つ以上の監視項目の現在値を取得し、当該現在値に基づいて、各サービスに不具合が発生していないか監視する監視手段、
前記監視手段が前記不具合の発生を検知すると、当該不具合が発生している前記サービスの前記現在値と、当該サービスの前記重要度とに基づいて、不具合報告の優先度を算出する優先度算出手段、
不具合が発生していることを示す情報、及び、前記優先度を、不具合が発生しているサービスに関連付けた不具合情報を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−3896(P2013−3896A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135195(P2011−135195)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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