説明

情報提供装置および情報提供装置の制御方法

【課題】施設構内のそれぞれの部屋を利用する利用者同士を連携させて避難時の行動を指示することができる情報提供装置を提供する。
【解決手段】誘導管理サーバ1は、客室それぞれに設置された表示装置4にて再生する情報を提供するものである。誘導管理サーバ1は、避難時に考慮すべき宿泊客の情報である利用者情報データベース21と、避難時に考慮すべき上記施設構内の物理的情報を示す誘導規準情報データベース22とを記憶する誘導管理記憶装置11と、利用者情報データベース21と誘導基準情報データベース22とから、他の宿泊客との避難時における連携関係を決定し、各宿泊客の避難時の挙動を指示する個別誘導情報データベース23を作成する個別誘導情報生成部32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設構内の複数の部屋それぞれに設置された画像再生装置にて再生するための情報を提供する情報提供装置、情報提供装置の制御方法、情報提供装置の制御プログラム、および情報提供装置の制御プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホテルや旅館等の宿泊施設では、災害にそなえ、避難路に関する情報を、廊下、各部屋、あるいはフロントに設置した案内板に掲載したり、チェックイン時に口頭で説明したりするなどして、宿泊客に周知している。また、宿泊施設内の通路等には所定位置に誘導灯が設けられている。
【0003】
ところで近年では、上述した避難誘導の案内に、各部屋に設置されているテレビの映像を利用する技術も開示されている。例えば、特許文献1では、テレビ放送受信装置およびモニタによって、これら装置が設置されている位置に対応した避難経路画像を表示させるテレビ放送通信システムが開示されている。
【0004】
また、テレビの映像を利用して宿泊客に情報を提供する技術において、宿泊客の使用言語に応じた表示を行う、宿泊客に対する情報提供システムも開発されている(例えば、特許文献2および特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2006−49943号公報(2006年02月16日公開)
【特許文献2】特開2002−24412号公報(2002年01月25日公開)
【特許文献3】特開2002−32491号公報(2002年01月31日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、施設構内のそれぞれの部屋を利用する利用者同士を連携させて避難時の行動を指示することができないという問題を生じる。
【0006】
具体的には、特許文献1は、各部屋ごとに応じた避難経路を提示するものであり、特許文献2,3は、各部屋の利用者の使用言語に応じた表示を行うものである。このため、これら従来技術は、他の部屋を利用する利用者と、どのように連携して利用者が避難すべきか提示するものではない。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、施設構内のそれぞれの部屋を利用する利用者同士を連携させて避難時の行動を指示することができる情報提供装置、情報提供装置の制御方法、情報提供装置の制御プログラム、および情報提供装置の制御プログラムを記録した記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報提供装置は、上記した課題を解決するために、施設構内の複数の部屋それぞれに設置された画像再生装置にて再生するための情報を提供する情報提供装置であって、上記部屋それぞれを利用する利用者が予め決められており、避難時に考慮すべき上記利用者の情報である利用者情報と、避難時に考慮すべき上記施設構内の物理的情報を示す避難情報とを記憶する記憶装置と、上記記憶装置に記憶された上記利用者情報と上記避難情報とから、上記利用者と、該利用者とは異なる部屋を利用している他の利用者との、避難時における連携関係を決定し、決定された上記連携関係に基づき、各利用者の避難時の挙動を指示する情報である挙動指示情報を作成する挙動指示情報作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
ところで、上記利用者情報とは、例えば、各部屋の利用者の氏名,年齢,性別,使用言語,他の部屋の利用者との関係,あるいは避難時の補助の要否等、災害発生時に考慮すべき利用者に関連する情報が挙げられる。
【0010】
また、上記避難情報とは、例えば、避難経路の配置,避難経路上における障害物の位置,非常口の位置,消火器の位置,および各部屋の配置など、避難時における利用者の避難経路を決定する際に考慮すべき施設構内の物理的情報が挙げられる。
【0011】
また、上記挙動指示情報とは、利用者の取るべき挙動(立ち振る舞い)を指示する情報であり、例えば、どの避難経路を選択して避難すべきか避難順路を示す情報や、直ちに避難すべきである、あるいはその場で待機すべきであるなどを指示する情報を含む。
【0012】
上記構成によると、挙動指示情報作成手段を備えている為、上記利用者と、異なる部屋を利用している他の利用者との、避難時における連携関係を決定し、決定された上記連携関係に基づき、各利用者の避難時の挙動を指示する情報である挙動指示情報を作成することができる。
【0013】
このため、各人がそれぞればらばらに避難するのではなく、避難時に第3者の補助が必要な人を支援したり、他の人と一緒に避難したりするなど、施設構内のそれぞれの部屋を利用する利用者同士を連携させて避難時の行動を指示することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る情報提供装置は、上記した構成において、上記利用者それぞれに関する情報を受付け、上記利用者情報を作成する作成手段を備えるように構成されていてもよい。
【0015】
上記構成によると、作成手段を備えているため、施設の各部屋を利用する利用者それぞれについての利用者情報を作成することができる。
【0016】
したがって、記憶装置に記憶する利用者情報を、常に各部屋を利用する利用者の変更を反映させた最新の情報とすることができる。
【0017】
また、本発明に係る情報提供装置は、上記した構成において、災害の発生を検知する災害検知装置と通信可能に接続されており、災害の発生を示す検知情報を上記災害検知装置から受信する受信部と、上記受信部が、上記災害検知装置から上記検知情報を受信した場合、上記挙動指示情報を上記画像再生装置に送信する送信手段と、を備えるように構成されていてもよい。
【0018】
上記構成によると、受信部と送信手段とを備えるため、災害の発生が検知されると、挙動指示情報を各部屋の画像再生装置それぞれに提供することができる。このため、災害発生時に直ちに、各部屋の利用者は、発生した災害に対してどのような挙動をとればよいか画像再生装置を通じて把握することができる。
【0019】
また、本発明に係る情報提供装置は、上記した構成において、上記受信部は、上記災害検知装置から上記検知情報とともに、発生した災害の種類および災害の発生位置を示す災害情報を受付けており、上記災害検知装置が災害を検知した場合、上記挙動指示情報作成手段は、上記記憶装置に記憶された上記利用者情報と上記避難情報とに加えて、上記災害情報を参照して上記挙動指示情報を作成するように構成されていてもよい。
【0020】
上記災害検知装置が災害を検知した場合、上記挙動指示情報作成手段は、上記記憶装置に記憶された上記利用者情報と上記避難情報とに加えて、上記災害情報を参照して上記挙動指示情報を作成するため、災害の発生状況に応じた適切な挙動指示情報を作成することができる。
【0021】
また、本発明に係る情報提供装置は、上記した構成において、上記挙動指示情報は、各利用者の避難順路を指示する情報である避難経路情報と、各利用者を避難位置まで誘導するための情報である誘導情報とを含むように構成されていてもよい。
【0022】
上記構成によると、上記挙動指示情報には、上記避難経路情報と上記誘導情報とを含むため、利用者は、避難すべき道順など物理的な情報と、どのように避難位置まで避難すべきか、各利用者を誘導する情報とを得ることができる。このため、利用者は、スムースに部屋から避難することができる。
【0023】
また、本発明に係る情報提供装置は、上記した構成において、上記挙動指示情報作成手段は、上記利用者が理解できる表現形式により挙動指示情報を作成するように構成されていてもよい。
【0024】
上記構成によると、挙動指示情報は、利用者が理解できる表現形式で作成されているため、避難時に利用者が挙動指示情報の内容を理解できず、適切に避難できないといった問題が発生することを防ぐことができる。
【0025】
また、本発明に係る情報提供装置は、上記した構成において、上記挙動指示情報作成手段は、上記利用者が理解できる表現形式として、上記挙動指示情報を図形で示した画像データにより作成するように構成されていてもよい。
【0026】
上記構成によると、挙動指示情報作成手段は挙動指示情報を図形で示した画像データにより作成することができるため、図形といった視覚的に理解できる形式で挙動指示情報を提供することができる。このため、文字が読めない利用者であっても、この図形等の視覚的な情報により挙動指示情報の内容を理解することができる。
【0027】
また、本発明に係る情報提供装置は、上記した構成において、上記利用者が理解できる表現形式として、上記挙動指示情報を上記利用者が使用できる言語で記載したテキストデータにより作成するように構成されていてもよい。
【0028】
上記構成によると、挙動指示情報作成手段は挙動指示情報を上記利用者が使用できる言語で記載したテキストデータにより作成することができるため、各利用者が読むことができる言語形態で挙動指示情報を提供することができる。
【0029】
また、本発明に係る情報提供装置は、上記した構成において、上記挙動指示情報作成手段は、上記利用者が理解できる表現形式として、上記挙動指示情報を音声データにより作成するように構成されていてもよい。
【0030】
上記構成によると、挙動指示情報作成手段は、上記挙動指示情報を音声データにより作成することができるため、利用者が、画像再生装置における表示を見ることができない場合であっても挙動指示情報を把握することができる。なお、画像再生装置における表示を見ることができない場合とは、例えば、画像再生装置の表示画面が見えない位置に利用者がいる場合、利用者が視覚障害を有しており見ることができない場合等が挙げられる。
【0031】
本発明に係る情報提供装置の制御方法は、上記した課題を解決するために、施設構内の複数の部屋それぞれに設置された画像再生装置にて再生するための情報を提供するとともに、上記部屋を利用する利用者の避難時に考慮すべき情報である利用者情報と、上記施設構内の避難時に考慮すべき物理的情報を示す避難情報とを記憶する記憶装置を備えた情報提供装置の制御方法であって、上記部屋それぞれを利用する利用者が予め決められており、上記利用者情報と上記避難情報とに基づき、上記利用者と、該利用者とは異なる部屋を利用する他の利用者との連携関係を決定し、各利用者の避難時の挙動を指示する情報である挙動指示情報を作成する挙動指示情報作成ステップと、上記利用者情報に基づき、上記挙動指示情報作成ステップにおいて作成した上記挙動指示情報の表現形式を決定する表現形式決定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0032】
ところで、上記利用者情報とは、例えば、各部屋の利用者の氏名,年齢,性別,使用言語,他の部屋の利用者との関係,あるいは避難時の補助の要否等、災害発生時に考慮すべき利用者に関連する情報が挙げられる。
【0033】
また、上記避難情報とは、例えば、避難経路の配置,避難経路上における障害物の位置,非常口の位置,消火器の位置,および各部屋の配置など、避難時における利用者の避難経路を決定する際に考慮すべき施設構内の物理的情報が挙げられる。
【0034】
また、上記挙動指示情報とは、利用者の取るべき挙動(立ち振る舞い)を指示する情報であり、例えば、どの避難経路を選択して避難すべきか避難順路を示す情報や、直ちに避難すべきである、あるいはその場で待機すべきであるなど、避難時の誘導を指示する情報を含む。
【0035】
上記した方法において、挙動指示情報作成ステップを含むため、上記利用者と、異なる部屋を利用している他の利用者との、避難時における連携関係を決定し、決定された上記連携関係に基づき、各利用者の避難時の挙動を指示する情報である挙動指示情報を作成することができる。
【0036】
また、表現形式決定ステップを含むため、各利用者が理解できる表現形式によって、挙動指示情報作成ステップにおいて作成した挙動指示情報を提供することができる。
【0037】
したがって、施設構内のそれぞれの部屋を利用する利用者同士を連携させて避難時の行動を指示することができるという効果を奏する。
【0038】
なお、上記情報提供装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記情報提供装置をコンピュータにて実現させる情報提供装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る情報提供装置は、以上のように、施設構内の複数の部屋それぞれに設置された画像再生装置にて再生するための情報を提供する情報提供装置であって、上記部屋それぞれを利用する利用者が予め決められており、避難時に考慮すべき上記利用者の情報である利用者情報と、避難時に考慮すべき上記施設構内の物理的情報を示す避難情報とを記憶する記憶装置と、上記記憶装置に記憶された上記利用者情報と上記避難情報とから、上記利用者と、該利用者とは異なる部屋を利用している他の利用者との、避難時における連携関係を決定し、決定された上記連携関係に基づき、各利用者の避難時の挙動を指示する情報である挙動指示情報を作成する挙動指示情報作成手段と、を備えることを特徴とする。
【0040】
したがって、施設構内のそれぞれの部屋を利用する利用者同士を連携させて避難時の行動を指示することができるという効果を奏する。
【0041】
本発明に係る情報提供装置の制御方法は、以上のように、施設構内の複数の部屋それぞれに設置された画像再生装置にて再生するための情報を提供するとともに、上記部屋を利用する利用者の避難時に考慮すべき情報である利用者情報と、上記施設構内の避難時に考慮すべき物理的情報を示す避難情報とを記憶する記憶装置を備えた情報提供装置の制御方法であって、上記部屋それぞれを利用する利用者が予め決められており、上記利用者情報と上記避難情報とに基づき、上記利用者と、該利用者とは異なる部屋を利用する他の利用者との連携関係を決定し、各利用者の避難時の挙動を指示する情報である挙動指示情報を作成する挙動指示情報作成ステップと、上記利用者情報に基づき、上記挙動指示情報作成ステップにおいて作成した上記挙動指示情報の表現形式を決定する表現形式決定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0042】
したがって、施設構内のそれぞれの部屋を利用する利用者同士を連携させて避難時の行動を指示することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明の一実施形態について図1ないし図7に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施の形態に係る誘導指示システム100は、宿泊施設200の施設構内において災害が発生した場合、各客室(部屋)の宿泊客(利用者)に誘導指示を与えるものである。図2に示すように、誘導指示システム100は、誘導管理サーバ1,利用者情報入力装置2,災害発生検知装置3,および表示装置4・・・を備えてなる構成である。図2は本発明の実施形態を示すものであり、誘導指示システム100の要部構成を示すブロック図である。
【0044】
上記誘導管理サーバ1は、災害発生時に各客室の宿泊客がどのように行動すべきか決定し、各客室の宿泊客に安全な場所へと避難するように誘導指示を行うものである。この誘導管理サーバ1の詳細については後述する。
【0045】
上記利用者情報入力装置2は、利用者に関する情報の入力を受付けるものであり、例えば、チェックイン処理時に宿泊客情報を登録管理する、いわゆるフロントマシンである。この利用者情報入力装置2に入力された利用者に関する情報は、誘導管理サーバ1に出力される。
【0046】
災害発生検知装置3は、宿泊施設200において災害が発生した場合、この災害を検知し、災害発生場所を特定するものである。例えば、宿泊施設200の各客室、廊下、トイレ、エレベータ、階段、食堂、および厨房等の所定位置に、火災報知器が設置されている。そして、災害発生検知装置3は、この火災報知器から火災発生の情報を受け付け、火災発生を検知しその発生場所を特定することができる。また、災害発生検知装置3は、宿泊施設200の施設構内に配備された各設備機器に異常が生じた場合、その異常に関する情報を受付けるようにもなっている。
【0047】
表示装置4は、映像信号および音声信号を受付け、表示部から映像を出力させるとともに、スピーカから音声を出力させることができる、いわゆるテレビジョンである。表示装置4は、各客室に配備され、各客室の宿泊客によって利用できるようになっている。
【0048】
なお、上記誘導管理サーバ1,利用者情報入力装置2,災害発生検知装置3,および表示装置4・・・それぞれは、LAN(Local Area Network)によって接続され、通信できるようになっている。なお、上記誘導管理サーバ1,利用者情報入力装置2,災害発生検知装置3,および表示装置4・・・それぞれの接続は、有線(ワイヤード)によって実現されるものであってもよいし、無線によって実現されるものであってもよい。なお無線LANの場合、2.4GHz帯または5GHz帯を用いるSS無線LANを利用できる。
【0049】
(誘導管理サーバ)
次に、上記誘導管理サーバ1の構成について、上記した図2に加え、図1,図3〜図6を参照して詳細に説明する。
【0050】
誘導管理サーバ1は、図2に示すように、ハードウェア構成として、誘導管理記憶装置11、通信制御部12、および主制御部13を備えてなる構成である。誘導管理記憶装置11は、読み書き可能な不揮発性の記録媒体であり、利用者情報データベース21、誘導基準情報データベース22、および個別誘導情報データベース23を記憶するものである。
【0051】
上記利用者情報データベース(利用者情報)21は、利用者情報入力装置2から入力された宿泊施設200の宿泊客に関する情報に基づき、後述する利用者情報生成部31によって作成されたデータベースである。より具体的には、図3に示すように、客室番号ごとに、その客室の宿泊客に関する情報が記録される。図3は、本発明の実施形態を示すものであり、利用者情報データベース21の一例を示す図である。
【0052】
すなわち、上記利用者情報データベース21に含まれる情報としては、図3に示すように、誘導を指示する際に利用する言語(表示言語),他の客室との関係(同じ旅行グループに属する等)を示す情報(グループ情報),年齢,氏名,避難支援の要否を示す情報など、誘導を指示する際に考慮すべき上記宿泊客に関する情報が挙げられる。
【0053】
なお、利用者情報データベース21として含まれる情報はこれらに限定されるものではなく、災害時の避難誘導に利用できる、宿泊客の情報であればよい。例えば、上述した情報以外に、さらに宿泊客の職業,病歴,経験したスポーツに関する情報,性別,体重,および身長などが含まれていてもよい。
【0054】
誘導基準情報データベース(避難情報)22は、予め、誘導管理記憶装置11に記憶されている情報であり、宿泊施設構内の避難経路に関する物理的情報を示すデータベースである。誘導基準情報データベース22は、図4に示すように、宿泊施設200の各階における客室の配置,避難経路の配置,非常階段または非常口の位置,消火器の位置,および避難経路上における障害物(段差等)の位置等が記録されたデータベースである。より具体的には、図4に示すように、各フロアーに座標を割りあて、この座標によって、図5に示すように客室の位置,非常階段の位置,消火器の位置,および避難経路上における障害物(段差等)の位置等を特定し記録している。なお、図4は、本実施の形態に係る宿泊施設200の2階部分における施設概要と、段差、消火器の配置位置の一例を示す平面図である。図5は、本実施の形態に係る誘導基準情報データベース22として記録されるデータ構造の一例を示す図である。
【0055】
なお、誘導基準情報データベース22は、誘導管理サーバ1が備える入力部(不図示)を使って、誘導管理サーバ1の利用者が、宿泊施設構内の避難経路に関する物理的情報を示す各種データを予め入力することで生成され、誘導管理記憶装置11に登録されている。しかしながら、誘導基準情報データベース22の登録方法はこれに限定されるものではない。例えば、誘導基準情報データベース22として登録すべき宿泊施設構内の避難経路に関する物理的情報を外部サーバ等が保持している場合、該外部サーバから例えば、LAN等のネットワークを経由して取得し、誘導基準情報データベース22として誘導管理記憶装置11に登録する構成であってもよい。
【0056】
個別誘導情報データベース(挙動指示情報)23は、上記利用者情報データベース21と誘導基準情報データベース22とから作成されるデータベースであり、客室ごとに、宿泊客の避難時の立ち振る舞い(挙動)を指示する情報である。本実施の形態に係る誘導管理サーバ1は、個別誘導情報データベース23として、客室ごとに避難順路を指示する避難経路情報と、避難に関して宿泊客を誘導するための誘導メッセージ(誘導情報)とを対応づけて誘導管理記憶装置11に記憶している。例えば、誘導メッセージの例としては、図6に示すように、客室を出て、右側に進み非常口から避難する、あるいは避難支援者が来るので支援者と一緒に避難するなど、避難時の初動動作を指示するメッセージなどが挙げられる。
【0057】
また、この個別誘導情報データベース23に記録される情報は、宿泊客がその情報を理解できる表現形式(言語または図形表示など)で記録されるようになっている。図6に示す例では、201号室の宿泊客には英語で誘導メッセージが提示され、202号および203号の宿泊客には日本語で、204号の宿泊客には絵文字による図形表現で提示される。図6は、個別誘導情報データベース23として記録する情報の一例を示す図である。
【0058】
なお、本実施の形態に係る誘導管理サーバ1では、上記誘導メッセージ(誘導情報)と避難経路情報とを、図6に示すような画像データ形式で、個別誘導情報データベース(挙動指示情報)23として誘導管理記憶装置11に記憶している。
【0059】
上記通信制御部12は、主制御部13からの指示に応じて、利用者情報入力装置2、災害発生検知装置3、および表示装置4それぞれとの通信を確立するように制御するものである。
【0060】
上記主制御部13は、誘導管理サーバ1が備える各部の各種制御を行うものであり、例えば、CPU等によって実現できる。
【0061】
(誘導管理サーバのソフトウェア構成)
次に、図1を参照して、誘導管理サーバ1のソフトウェア構成について説明する。図1は、本発明の実施形態を示すものであり、誘導管理サーバ1が有する機能ブロックを示すブロック図である。
【0062】
図1に示すように、誘導管理サーバ1は、機能ブロックとして、さらに利用者情報生成部31,個別誘導情報生成部32,および誘導情報配信部33を備えてなる構成である。これら機能ブロックは、主制御部13がCPUによって実現できる場合、このCPUが、不図示のROMに記録されたプログラムを不図示のRAMに読出し実行することにより実現できる。
【0063】
利用者情報生成部31は、利用者情報入力装置2によって入力された各客室の宿泊客の情報を、通信制御部12を介して受信し、利用者情報データベース21として誘導管理記憶装置11に記憶するものである。利用者情報生成部31は、利用者情報データベース21を生成し、誘導管理記憶装置11に記憶させると、個別誘導情報生成部32に、個別誘導情報データベース23を生成するように指示する。
【0064】
個別誘導情報生成部32は、利用者情報生成部31からの指示に応じて、利用者情報データベース21と誘導基準情報データベース22とを参照して、個別誘導情報データベース23を作成し、誘導管理記憶装置11に記憶するものである。なお、この個別誘導情報データベース23の作成方法についての詳細は後述する。
【0065】
誘導情報配信部33は、災害発生検知装置3から災害発生に関する通知(検知情報)を受信すると、個別誘導情報データベース23を読出し、各客室ごとに避難順路を指示する避難経路情報と、宿泊客を誘導する誘導メッセージとを選択する。そして、これらの情報を各客室に設置された表示装置4に出力する。
【0066】
なお、本実施の形態に係る誘導指示システム100では、誘導管理サーバ1と、各客室に設置されている表示装置4とは上述したようにLANによって接続されている。そこで、誘導情報配信部33は、個別誘導情報データベース23から、客室ごとに避難経路情報と誘導メッセージとを読み出し、通信制御部12を制御して、表示装置4に送信する。
【0067】
また、本実施の形態に係る誘導管理サーバ1では、上記誘導メッセージおよび避難経路情報を、画像データ形式で、個別誘導情報データベース23として誘導管理記憶装置11に記憶する構成であった。このため、これら個別誘導情報データベース23の情報を各客室の表示装置4で表示させる場合、誘導情報配信部33はこの画像データのまま各客室の表示装置4に送信すればよい。すなわち、誘導情報配信部33は、送信する個別誘導情報データベース23の情報を、表示装置4にて表示できる形式に変換する必要がない。このため、迅速に各客室の表示装置4において誘導メッセージおよび誘導経路情報を表示させることができる。
【0068】
なお、誘導管理サーバ1から表示装置4に送信される画像データは、例えば、MPEG等によって圧縮され送信されており、表示装置4において、この画像データを復号して表示させる。
【0069】
(個別誘導情報データベースの作成方法)
次に、図7を参照して、本実施の形態に係る誘導管理サーバ1における、個別誘導情報データベース23の作成方法について説明する。図7は、本発明の実施形態を示すものであり、個別誘導情報データベース23の作成方法の処理を示すフローチャートである。なお、個別誘導情報生成部32は、個別誘導情報データベースの作成方法として示す以下のステップを各客室の宿泊客ごとに行うものとする。
【0070】
まず、個別誘導情報生成部32は、利用者情報データベース21を参照して、宿泊客は災害時に避難支援が必要か否か判断する(S11)。ここで、避難支援が必要であると判断した場合、個別誘導情報生成部32は、誘導基準情報データベース22を参照して、経路上に段差や階段等の障害物がなく、かつ上記宿泊客の客室から非常口までの経路が最短となる避難経路を探索する(S12)。そして、個別誘導情報生成部32は、災害発生時の避難の順路を決定する。
【0071】
次に、個別誘導情報生成部32は、利用者情報データベース21を参照して、上記宿泊客とは別の客室に宿泊している他の宿泊客の中で、避難の支援を要請できる人がいるか確認する(S13)。ここで、避難の支援を要請できる人とは、例えば、以下(1)〜(5)の条件を満たすか否かで判断し、決めることができる。
(1)避難支援が必要な宿泊客の近隣の客室の宿泊客。
(2)避難支援を要請する人を十分にサポートできる体力を有する人。
(3)行動をともにするグループに属していない。
(4)既に避難支援の要請を受けていない。
(5)避難支援要請者とコミュニケーションをとることができる。
【0072】
例えば、利用者情報データベース21の内容が図3の場合、避難支援が必要な宿泊客は205号室のEさんであり、避難支援を要請できる人としては、その隣の204号室のDさんを選択することができる。すなわちDさんは、上記条件のうち少なくとも(1)から(4)を満たすものと考えられるため、十分にEさんの避難をサポートできると想定される。
【0073】
ステップS13において、「YES」と判断した場合、個別誘導情報生成部32は、避難を支援してくれる支援者が来るため、一緒に避難する旨を示す誘導メッセージを作成する(S14)。一方、ステップS13において「NO」と判断した場合、個別誘導情報生成部32は、避難を促す旨の誘導メッセージを作成する(S18)。
【0074】
ここまでは、避難支援の必要がある宿泊客の場合について説明したが、避難支援の必要がない宿泊客の場合(ステップS11において「NO]の場合)は、次のような処理フローとなる。
【0075】
まず、個別誘導情報生成部32は、避難支援を要請している他の宿泊客がいるか判断する(S19)。すなわち、避難支援が必要な宿泊客から避難支援を要請する人として選択されているか判断する。
【0076】
ここで、避難支援を要請している他の宿泊客がいると判断した場合(S19において「YES」)、個別誘導情報生成部32は、避難支援を要請している他の宿泊客の客室を経由して避難する避難経路を探索する(S20)。そして、個別誘導情報生成部32は、災害発生時の避難の順路を決定する。
【0077】
次に、個別誘導情報生成部32は、○○号室の他の宿泊客を支援しながら避難する旨を示す誘導メッセージを作成する(S21)。
【0078】
一方、ステップS19において「NO」の場合、すなわち、避難支援を要請している他の宿泊客がいない場合、個別誘導情報生成部32は、上記宿泊客の客室から非常口までの経路が最短となる避難経路を探索する(S22)。そして、個別誘導情報生成部32は、災害発生時の避難の順路を決定する。そして、次に、個別誘導情報生成部32は避難を促す旨の誘導メッセージを作成する(S23)。
【0079】
以上のように、宿泊客を取り巻く、それぞれの条件ごとに誘導メッセージが作成されると、それぞれの場合において、その誘導メッセージの翻訳の要否を、利用者情報データベースを参照して、個別誘導情報生成部32が判断する(S15)。
【0080】
ここで、翻訳が必要であると判断した場合(S15において「YES」)、誘導管理サーバ1において翻訳可能な言語であるか否か判定する(S16)。翻訳可能な言語である場合(S16において「YES」)は、誘導メッセージを翻訳し、ステップS12、ステップS20、あるいはステップS22にて探索した避難経路とともに個別誘導情報データベース23として登録する(S17)。
【0081】
逆に、誘導メッセージの翻訳が不可能な場合(S16において「NO」)、誘導メッセージを図形表現で表現し、ステップS12、ステップS20、あるいはステップS22にて探索した避難経路とともに個別誘導情報データベース23として登録する(S24)。
【0082】
すなわち、本実施の形態に係る誘導管理サーバ1が保持する利用者情報データベース21には、各宿泊客が理解できる言語(表示言語)に関する情報が含まれている。したがって、個別誘導情報生成部32は、この表示言語の情報から誘導メッセージの翻訳の要否、ならびに翻訳すべき言語を把握することができる。
【0083】
当然、すべての言語に翻訳することが不可能であるため、翻訳できない言語を使用する宿泊客の場合は、絵文字として、誘導メッセージを図6に示す204号室のように図形表現に変換する。
【0084】
なお、誘導メッセージの翻訳が不要な場合(ステップS15において「NO」)は、誘導メッセージをステップS12、ステップS20、あるいはステップS22にて探索した避難経路とともに個別誘導情報データベース23として登録する(S25)。
【0085】
このようにして、本実施の形態に係る誘導管理サーバ1では、個別誘導情報生成部32が、客室ごとの誘導メッセージと、避難経路とを決定し登録しておくことができる。
【0086】
以上のように、本実施の形態に係る誘導管理サーバ1は、個別誘導情報生成部32を備えているため、宿泊客と、その宿泊客とは異なる客室を利用している他の宿泊客との、避難時における連携関係を決定し、決定された上記連携関係に基づき、各宿泊客の避難時の挙動を指示する情報を含む個別誘導情報データベース23を作成することができる。
【0087】
このため、各人がそれぞればらばらに避難するのではなく、避難時に支援を要請している他の宿泊客を支援しつつ、この他の宿泊客と一緒に避難するなど、宿泊施設構内のそれぞれの客室に宿泊する宿泊客同士を連携させて避難時の行動を指示することができる。
【0088】
また、上記誘導管理サーバ1は、各利用者に関する情報を、利用者情報入力装置2を介して受付け、上記利用者情報データベース21を生成する利用者情報生成部31を備える構成である。このため、誘導管理記憶装置11に記憶させる利用者情報データベース21を各客室に宿泊する宿泊客の変更を反映した最新の情報とすることができる。
【0089】
また、上記誘導管理サーバ1は、通信制御部12および誘導情報配信部33を備えるため、災害発生検知装置3により災害の発生が検知されると、客室ごとに避難順路を指示する避難経路情報と、宿泊客を誘導する誘導メッセージとを、各客室に設置された表示装置4に出力することができる。このため、災害発生時に直ちに、各客室の宿泊客は、発生した災害に対してどのような挙動をとればよいか表示装置4の表示を通じて把握することができる。
【0090】
また、個別誘導情報データベース23に含まれる誘導メッセージおよび避難経路情報の表現形式は、宿泊客が理解できる表現形式であることが必要である。そこで、個別誘導情報データベース23は、上述したように、誘導メッセージおよび避難経路情報を図形で表現した画像データを含んでいてもよいし、上記宿泊客が使用できる言語で記載したテキストデータを含んでいてもよい。
【0091】
個別誘導情報データベース23が、誘導メッセージおよび避難経路情報を図形で表現した画像データを含んでいる場合、図形といった視覚的に理解できる形式で宿泊客に提供することができる。
【0092】
また、個別誘導情報データベース23が、誘導メッセージおよび避難経路情報を上記宿泊客が使用できる言語で記載したテキストデータを含む場合、各宿泊客が読むことができる言語形態で提供することができる。
【0093】
以上のように、本実施の形態に係る誘導管理サーバ1と各客室の表示装置4とは、LANを通じて接続され、このLANを経由して誘導メッセージおよび誘導経路情報を配信する構成であったがこれに限定されるものではない。例えば、館内に配備されたアンテナ線を経由して、誘導メッセージおよび誘導経路情報を配信する構成であってもよい。アンテナ線を経由して、誘導メッセージおよび誘導経路情報を配信する構成の場合、誘導管理サーバ1は、各客室の誘導メッセージおよび誘導経路情報を独立したテレビ放送信号として同時に配信する。一方、表示装置4は、災害発生時に各客室に割り当てられたチャンネルを選択してこの誘導メッセージおよび誘導経路情報を受信する。そして、表示装置4は、受信した誘導メッセージおよび誘導経路情報を表示する。
【0094】
また、そのほか誘導管理サーバ1と各客室の表示装置4との接続は、UWB通信(4.2から4.8GHz帯の周波数)、Bluetooth(登録商標)(2.4GHz帯の周波数)、またはワイヤレスHDMIなどの無線通信方式を利用して確立されるものであってもよい。
【0095】
あるいは、IEEE1394(i−Link)、HDMIケーブル、あるいはPLC(Power Line Communication;電力線搬送通信)など、有線を介して接続が確立されるものであってもよい。
【0096】
また、本実施の形態に係る誘導管理サーバ1では、上記誘導メッセージおよび避難経路情報を、画像データ形式で、個別誘導情報データベース23として誘導管理記憶装置11に記憶する構成であった。しかしながら個別誘導情報データベース23として誘導管理記憶装置11に記憶するデータ形式はこれに限定されるものではない。
【0097】
例えば上記誘導メッセージおよび避難経路情報を文字によって示すことができる場合、これらの情報を画像データではなくテキストデータのデータ形式で個別誘導情報データベース23として誘導管理記憶装置11に記憶してもよい。
【0098】
あるいは、個別誘導情報データベース23として、誘導メッセージおよび避難経路情報を、テキストデータと画像データとの2つのデータ形式で記憶する構成であってもよい。この構成の場合、誘導メッセージおよび避難経路情報を各客室に送信する際に、誘導情報配信部33によってこれらテキストデータ部分と画像データ部分とを合成して、表示装置4に送信する。
【0099】
また、本実施の形態に係る誘導管理サーバ1では、上記したように、表示装置4において表示可能な情報として個別誘導情報データベース23を記憶する構成であったがこれに限定されるものではない。例えば、個別誘導情報データベース23は、誘導メッセージおよび避難経路情報を示す音声データを含むものであってもよい。
【0100】
このように個別誘導情報データベース23が音声データを含む場合、個別誘導情報生成部32は、誘導メッセージおよび避難経路情報を音声データに変換するテキスト−音声変換部を備え、誘導メッセージおよび避難経路情報の内容を示す音声データを生成し、個別誘導情報データベース23として記憶しておく。そして、誘導情報配信部33が、表示装置4に、誘導メッセージおよび避難経路情報の音声データとを送信する。一方、表示装置4は、自身が備えるスピーカから、受信した音声データを出力する。
【0101】
このように、上記誘導メッセージおよび避難経路情報を音声データにより作成することができる構成の場合、宿泊客が、表示装置4における表示を見ることができない場合であっても誘導メッセージおよび避難経路情報を把握することができる。すなわち、表示装置4の表示画面が見えない位置に宿泊客がいる場合、宿泊客が視覚障害を有しており表示装置4の表示を見ることができない場合等であっても、誘導メッセージおよび避難経路情報を通知することができる。
【0102】
また、誘導メッセージおよび避難経路情報を、映像データと音声データとの両方によって表示装置4に送信し、該表示装置4から出力させる構成の場合、映像と音声との相乗効果によって誘導メッセージおよび避難経路情報に対する、宿泊客の認知度および理解度をさらに高めることができる。
【0103】
本実施の形態に係る誘導管理サーバ1では、予め、個別誘導情報データベース23を作成し、誘導管理記憶装置11に記憶しておく構成であった。そして、災害発生時に、この記憶している個別誘導情報データベース23を読み出す構成であった。しかしながら、個別誘導情報データベース23の作成タイミングはこれに限定されるものではない。
【0104】
例えば、災害発生検知装置3から発生した災害の種類と、災害の発生場所を示す災害発生に関する通知(災害情報)を受信すると、個別誘導情報生成部32が個別誘導情報データベース23を作成する構成であってもよい。なお、上記災害の種類とは、火災、水害、落雷等の自然現象による被害や、建造物の破損、機器の故障等人為的原因による被害等を分類した情報である。この災害の種類や発生場所は、災害発生検知装置3が備える各種センサ等の検知結果や、各種センサの設置位置等から判断される。例えば、災害発生検知装置3が火災報知器を備えており、この火災報知器が煙または異常な温度上昇を検知した場合、災害発生検知装置3は、この火災報知器が設置されている近傍において火災が発生したと判断することができる。
【0105】
このように、災害発生検知装置3からの災害の発生に関する通知(災害情報)に応じて、個別誘導情報データベース23を作成する構成の場合、誘導管理サーバ1は、災害の発生状況を加味して避難経路情報および誘導メッセージを作成することができる。このため、より適切な誘導を宿泊施設200の宿泊客に対して行うことができる点で有利である。
【0106】
なお、このように災害の発生に関する通知(災害情報)に応じて、個別誘導情報データベース23を作成する構成の場合、誘導管理サーバ1の構成は以下のようになる。すなわち、災害発生検知装置3から入力される災害の発生に関する通知(災害情報)を、通信制御部12が受信し、個別誘導情報生成部32に送信する。そして、個別誘導情報生成部32は、利用者情報データベース21と誘導基準情報データベース22とに加え、この災害の発生に関する通知を参照して個別誘導情報データベース23を作成する。
【0107】
また、災害の発生に関する通知(災害情報)に応じて、個別誘導情報データベース23を作成する構成の場合、利用者情報として、災害発生時に宿泊客が不在か否か、宿泊客が就寝中か否か等の客室利用に関する情報も含めることが好ましい。
【0108】
なお、災害発生時に客室内に宿泊客が不在か否かについては、例えば、客室のドアに、宿泊客の出入りを検知する検知部(不図示)を設け、誘導管理サーバ1を以下の構成とすることにより実現できる。
【0109】
すなわち、災害発生時に、利用者情報入力装置2が、上記検知部から取得した検知結果に基づき宿泊客が不在か否か判断する。この判断結果を、利用者情報入力装置2が、通信制御部12を介して利用者情報生成部31に送信する。利用者情報生成部31は、この宿泊客が不在か否かについての情報も含めて、利用者情報データベース21を作成する。そして、個別誘導情報生成部32は、この利用者情報データベース21を参照して、災害発生時に宿泊客が不在か否かに関する情報も含めて個別誘導情報データベース23を作成する。
【0110】
また、宿泊客が就寝中か否かについては、例えば、ベッドの近傍に宿泊客の存在の有無を検知する不図示の人体検知センサ(赤外線センサ)を設け、誘導管理サーバ1を以下の構成とすることにより実現できる。
【0111】
すなわち、災害発生時に、利用者情報入力装置2が、上記人体検知センサから取得した検知結果に基づき、宿泊客が就寝中か否か判断する。この判断結果を、利用者情報入力装置2が、通信制御部12を介して利用者情報生成部31に送信する。利用者情報生成部31は、この宿泊客が就寝中であるか否かについての情報も含めて、利用者データベース21を作成する。そして、個別誘導情報生成部32は、この利用者情報データベース21を参照して、災害発生時に宿泊客が就寝中であるか否かに関する情報も含めて個別誘導情報データベース23を作成する。なお、各部屋に配置されている表示装置4は、周囲の明るさを検知する明るさ検知センサ(不図示)を備えており、この明るさ検知センサの検知結果を上記人体検知センサの検知結果の代わりに利用者情報入力装置2が取得し、周囲が暗い場合は就寝中として判断する構成としてもよい。あるいは、この明るさ検知センサの検知結果と上記人体検知センサの検知結果とから、周囲が暗く、かつベッドに宿泊客が存在する場合に、宿泊客は就寝中であると判断する構成としてもよい。
【0112】
このように、利用者情報に客室の利用に関する情報を含めることで、誘導情報配信部33が個別誘導情報データベース23を作成するに当たり、客室にいない宿泊客に、避難の支援を要請する誘導メッセージを送信するなどのミスマッチが生じることを防ぐことができる。
【0113】
また、支援が必要な宿泊客ではないが、就寝中の宿泊客も避難の支援が必要な宿泊客とみなし、起床中の宿泊客を支援に向かわせることもできる。このため、就寝中で非常ベル等の災害報知に気づいていない宿泊客に対しても起床中の宿泊客から避難を促させることができるため、避難誘導の安全性を向上させることができる。
【0114】
なお、予め個別誘導情報データベース23を作成し誘導管理記憶装置11に記憶させておく構成において、災害発生検知装置3からの災害の発生に関する通知(災害情報)に応じて、災害発生時に宿泊客が不在か否か、宿泊客が就寝中か否か等の客室利用に関する情報を取得し、災害発生に関する通知および客室利用に関する情報を考慮して、個別誘導情報データベース23を変更する構成としてもよい。
【0115】
このように、予め個別誘導情報データベース23を作成した上で、災害発生時に、災害の発生に関する情報および客室利用に関する情報を加味して個別誘導情報データベース23を変更する構成の場合、災害発生時の客室利用状況を考慮した誘導メッセージおよび避難経路情報を提供できる点で好ましい。また、災害発生時に、個別誘導情報データベース23を作成する構成と比較して、個別誘導情報データベース23の作成にかかる時間を短縮することができる。
【0116】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0117】
最後に、誘導管理サーバ1の各ブロック、特に利用者情報生成部31,個別誘導情報生成部32,および誘導情報配信部33は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0118】
すなわち、誘導管理サーバ1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである誘導管理サーバ1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記誘導管理サーバ1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0119】
また、誘導管理サーバ1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。
【0120】
なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明に係る情報提供装置は、施設構内の複数の客室それぞれに設置された画像再生装置にて再生するための情報を提供する情報提供装置であって、客室の利用者と、該利用者とは異なる客室を利用している他の利用者との、避難時における連携関係を決定し、決定された上記連携関係に基づき、各利用者の避難時の挙動を指示する情報である挙動指示情報を作成することができる。このため、上述した宿泊施設のみならず、学校、マンション、病院、老人ホーム等における災害時の避難にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、誘導管理サーバが有する機能ブロックを示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態を示すものであり、誘導指示システムの要部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、利用者情報データベースの一例を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る宿泊施設の2階部分における施設概要と、段差、消火器の配置位置の一例を示す平面図である。
【図5】本実施の形態に係る誘導基準情報データベースとして記録されるデータ構造の一例を示す図である。
【図6】個別誘導情報データベースとして記録する情報の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態を示すものであり、個別誘導情報データベースの作成方法の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
1 誘導管理サーバ(情報提供装置)
2 利用者情報入力装置
3 災害発生検知装置(災害検知装置)
4 表示装置(画像再生装置)
11 誘導管理記憶装置(記憶装置)
12 通信制御部(受信部)
13 主制御部
21 利用者情報データベース(利用者情報)
22 誘導基準情報データベース(避難情報)
23 個別誘導情報データベース(挙動指示情報)
31 利用者情報生成部(作成手段)
32 個別誘導情報生成部(挙動指示情報作成手段)
33 誘導情報配信部(送信手段)
100 誘導指示システム
200 宿泊施設(施設)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設構内の複数の部屋それぞれに設置された画像再生装置にて再生するための情報を提供する情報提供装置であって、
上記部屋それぞれを利用する利用者が予め決められており、
避難時に考慮すべき上記利用者の情報である利用者情報と、避難時に考慮すべき上記施設構内の物理的情報を示す避難情報とを記憶する記憶装置と、
上記記憶装置に記憶された上記利用者情報と上記避難情報とから、上記利用者と、該利用者とは異なる部屋を利用している他の利用者との、避難時における連携関係を決定し、決定された上記連携関係に基づき、各利用者の避難時の挙動を指示する情報である挙動指示情報を作成する挙動指示情報作成手段と、を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
上記利用者それぞれに関する情報を受付け、上記利用者情報を作成する作成手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
災害の発生を検知する災害検知装置と通信可能に接続されており、
災害の発生を示す検知情報を上記災害検知装置から受信する受信部と、
上記受信部が、上記災害検知装置から上記検知情報を受信した場合、上記挙動指示情報を上記画像再生装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
上記受信部は、上記災害検知装置から上記検知情報とともに、発生した災害の種類および災害の発生位置を示す災害情報を受付けており、
上記災害検知装置が災害を検知した場合、上記挙動指示情報作成手段は、上記記憶装置に記憶された上記利用者情報と上記避難情報とに加えて、上記災害情報を参照して上記挙動指示情報を作成することを特徴とする請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
上記挙動指示情報は、各利用者の避難順路を指示する情報である避難経路情報と、各利用者を避難位置まで誘導するための情報である誘導情報とを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
上記挙動指示情報作成手段は、上記利用者が理解できる表現形式により挙動指示情報を作成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
上記挙動指示情報作成手段は、上記利用者が理解できる表現形式として、上記挙動指示情報を図形で示した画像データにより作成することを特徴とする請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項8】
上記挙動指示情報作成手段は、上記利用者が理解できる表現形式として、上記挙動指示情報を上記利用者が使用できる言語で記載したテキストデータにより作成することを特徴とする請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項9】
上記挙動指示情報作成手段は、上記利用者が理解できる表現形式として、上記挙動指示情報を音声データにより作成することを特徴とする請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項10】
施設構内の複数の部屋それぞれに設置された画像再生装置にて再生するための情報を提供するとともに、上記部屋を利用する利用者の避難時に考慮すべき情報である利用者情報と、上記施設構内の避難時に考慮すべき物理的情報を示す避難情報とを記憶する記憶装置を備えた情報提供装置の制御方法であって、
上記部屋それぞれを利用する利用者が予め決められており、
上記利用者情報と上記避難情報とに基づき、上記利用者と、該利用者とは異なる部屋を利用する他の利用者との連携関係を決定し、各利用者の避難時の挙動を指示する情報である挙動指示情報を作成する挙動指示情報作成ステップと、
上記利用者情報に基づき、上記挙動指示情報作成ステップにおいて作成した上記挙動指示情報の表現形式を決定する表現形式決定ステップと、を含むことを特徴とする情報提供装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを請求項1から9のいずれか1項に記載の情報提供装置の各手段として機能させるための情報提供装置の制御プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の情報提供装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−2996(P2010−2996A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159394(P2008−159394)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】