説明

情報検索表示装置、方法および情報検索表示プログラム

【課題】検索とブラウジングが統合された単一のGUIを介して、一つの検索カテゴリについて複数の検索キーを選択指定して情報検索を実行することを可能とする。
【解決手段】情報検索のための検索カテゴリごとに表示画面上同心円状に配置された一つ又は複数のキーリングであって、円周方向に離散量の検索キーが配置されたキーリングを表示出力する。また、入力デバイスからの操作入力に従って各キーリングを独立に時計廻り又は反時計廻りに回転させる。キーリング上所定位置からのキーリングの円周方向の回転量に基づいて情報検索のための検索キーを決定し、選択された検索カテゴリおよび検索キーを用いて検索された検索結果を、キーリングの回転に伴いその内側に逐次表示出力する。入力デバイスからの操作入力に従って、少なくとも一つの検索カテゴリについて複数のキーリングが表示出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報検索表示装置、方法および情報検索表示プログラムに関する。より詳しくは、コンピュータおよび記録媒体を用いてユーザーが例えば画像等の所望の情報を検索する際に、単一のGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を介して、ユーザーに検索条件を簡単に指定させ、検索結果の情報を直感的かつ視覚的に把握可能にブラウジング表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータにおいて画像等の情報検索を行うGUIとして、特許文献1に記載のGUIが存在する。図12は、特許文献1に記載のGUIの一例を示す図である。
このGUIでは、初期画面において、検索属性の識別子(例えば検索属性名)をリング上に円周方向に配置して表示したカテゴリリング80が表示される。このカテゴリリング80上には、画像属性データベースにおいてあらかじめ定義されて各情報に付与されている検索属性の全部または一部が表示される。図12においては、検索属性として、画像の「縦横比」、「サイズ」、「色」、「雰囲気」がカテゴリリング80上に表示されており、ユーザーはカテゴリリング80上に表示されたこれら検索属性をマウス等の指示手段によって選択入力する。
【0003】
そして、ユーザーがカテゴリリング80上のいずれかの検索属性とクリック等により選択指示すると、カテゴリリング80の内側に、選択指示された検索属性についてのキーリング90が表示される。図12では、一例として、カテゴリリング80上の「縦横比」が選択指示された場合の状態が示されている。
また、キーリング90には、ユーザーによって選択指示された検索属性のキーがリング上円周方向に整列配置される。図12においては、検索属性「縦横比」の検索属性値を示す「正方形」902、「横長」903、「縦長」904が表示されている。そして、ユーザーがマウス等の入力デバイスからの操作入力によりキーリング90を回転させると、キーリング90の時計6時の位置901にある値を検索キーとして画像検索が実行され、検索結果(画像90a1等)がキーリング90の内側に表示されるという仕組みである。
ところで、特許文献1に記載されているGUIにおいては、キーリング90は各検索属性につき一つのみ表示される。そして、ユーザーは自身のファジーな感覚によってキーリング90上のある一点を選択し、これを検索条件として設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4441685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、検索属性値が離散量である場合、その属性について、コンテンツに複数の属性値が関連づけられている場合が多い。例えば、植物の検索を行う情報検索の場合、各植物の属性値として、“葉の形”という検索属性について、「ギザギザ」という属性値と、「細長い」という2つの属性値が関連づけられている場合等である。特許文献1のGUIではキーリング90は各検索属性につき一つのみ表示されるため、ユーザーは検索時に各検索属性につき、一つの属性値しか指定できない。すなわち、特許文献1のGUIでは各検索属性について複数の属性値を検索キーとして検索することができないため、十分に検索結果を絞り込むことができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、検索とブラウジングが統合された単一のGUIを介して離散量である検索条件によって所望する情報を検索する場合に、検索条件を連続的(シームレス)な操作によって容易に設定可能であるとともに、各検索属性について複数の属性値を検索キーとして指定することが可能な情報検索表示装置、方法および情報検索表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある特徴によれば、情報検索のための検索カテゴリごとに設けられ、表示画面上同心円状に配置された一つ又は複数のキーリングであって、円周方向に離散量の検索キーが配置されたキーリングを表示出力するキーリング配置部(例えば図1の出力制御部15)と、入力デバイスからの操作入力に従って、前記キーリングのうちの1つを選択するキーリング選択部(例えば図1の入力制御部11)と、選択された前記キーリング上の各検索キーの円周上の相対位置を保持しつつ、前記入力デバイスからの操作入力に従って各キーリングを独立に時計廻り又は反時計廻りに回転させるキーリング回転部(例えば図1の入力制御部11)と、前記キーリング上所定位置からの前記キーリングの円周方向の回転量に基づいて、情報検索のための検索キーを決定する検索キー決定部(例えば図1の入力制御部11)と、選択された検索カテゴリおよび決定された前記検索キーを用いて実行された検索結果を、前記キーリングの回転に伴い前記キーリングの内側に逐次表示出力する検索結果表示部(例えば図1の候補抽出部12および出力制御部15)と、を有し、前記キーリング配置部は、前記入力デバイスからの操作入力に従って、少なくとも一つの前記検索カテゴリについて複数の前記キーリングを表示出力することを特徴とする情報検索表示装置が提供される。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、キーリング配置部と、キーリング選択部と、キーリング回転部と、検索キー決定部と、検索結果表示部とを有する情報検索表示装置が実行する情報検索表示方法であって、前記キーリング配置部により、情報検索のための検索カテゴリごとに設けられ、表示画面上同心円状に配置された一つ又は複数のキーリングであって、円周方向に離散量の検索キーが配置されたキーリングを表示出力するとともに、入力デバイスからの操作入力に従って、少なくとも一つの前記検索カテゴリについて複数の前記キーリングを表示出力するステップと、前記キーリング選択部により、前記入力デバイスからの操作入力に従って、前記キーリングのうちの1つを選択するステップと、前記キーリング回転部により、選択された前記キーリング上の各検索キーの円周上の相対位置を保持しつつ、前記入力デバイスからの操作入力に従って各キーリングを独立に時計廻り又は反時計廻りに回転させるステップと、前記検索キー決定部により、前記キーリング上所定位置からの前記キーリングの円周方向の回転量に基づいて、情報検索のための検索キーを決定するステップと、前記検索結果表示部により、選択された検索カテゴリおよび決定された前記検索キーを用いて実行された検索結果を、前記キーリングの回転に伴い前記キーリングの内側に逐次表示出力するステップと、を含むことを特徴とする情報検索表示方法が提供される。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、情報検索表示処理をコンピュータに実行させるための情報検索表示プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、情報検索のための検索カテゴリごとに設けられ、表示画面上同心円状に配置された一つ又は複数のキーリングであって、円周方向に離散量の検索キーが配置されたキーリングを表示出力するとともに、入力デバイスからの操作入力に従って、少なくとも一つの前記検索カテゴリについて複数の前記キーリングを表示出力するキーリング配置処理と、前記入力デバイスからの操作入力に従って、前記キーリングのうちの1つを選択するキーリング選択処理と、選択された前記キーリング上の各検索キーの円周上の相対位置を保持しつつ、前記入力デバイスからの操作入力に従って各キーリングを独立に時計廻り又は反時計廻りに回転させるキーリング回転処理と、前記キーリング上所定位置からの前記キーリングの円周方向の回転量に基づいて、情報検索のための検索キーを決定する検索キー決定処理と、選択された検索カテゴリおよび決定された前記検索キーを用いて実行された検索結果を、前記キーリングの回転に伴い前記キーリングの内側に逐次表示出力する検索結果表示処理と、を含む処理を実行させるためのものであることを特徴とする情報検索表示プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、検索とブラウジングが統合された単一のGUIを介して、離散量である検索条件によって所望する情報を検索する場合に検索条件を連続的(シームレス)な操作によって容易に設定可能であるとともに、各検索属性について複数の属性値を検索キーとして指定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】属性定義情報および植物図鑑データベースの一例を示す図である。
【図3A】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置に表示される検索初期画面の一例を示す図である。
【図3B】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、検索属性が選択された際の表示画面を示す図である。
【図3C】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、他の検索属性がさらに選択された際の表示画面を示す図である。
【図3D】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、同一の検索属性が再度選択された際の表示画面を示す図である。
【図3E】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、複数のキーを用いて情報検索が実行される場合の検索結果表示の遷移を示す図である。
【図3F】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、複数のキーを用いて情報検索が実行される場合の検索結果表示の遷移を示す図である。
【図4A】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、キーリングを回転操作した際の検索結果表示の遷移を示す図である。
【図4B】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、キーリングを回転操作した際の検索結果表示の遷移を示す図である。
【図4C】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、キーリングを回転操作した際の検索結果表示の遷移を示す図である。
【図4D】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、キーリングを回転操作した際の検索結果表示の遷移を示す図である。
【図4E】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、キーリングを回転操作した際の検索結果表示の遷移を示す図である。
【図4F】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、キーリングを回転操作した際の検索結果表示の遷移を示す図である。
【図4G】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、キーリングを回転操作した際の検索結果表示の遷移を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置における入力制御部が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置における候補抽出部が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置における出力制御部が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置におけるキーリングの回転方向について説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置において、キーリングの回転方向が変化した場合に実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置における出力制御部が実行する検索結果の表示上の配置決定処理の一例を説明する図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る情報検索表示装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【図12】特許文献1に記載のGUIの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示される。
(情報検索表示装置の構成)
図1は、本実施形態に係る情報検索表示装置の構成の一例を示す図である。本実施形態に係る情報検索表示装置1は、入力制御部11と、候補抽出部12と、候補制御部13と、出力制御部15と、属性定義情報16と、状態情報17と、植物図鑑データベース18とを有する。なお、以下の説明においては一例として、情報検索表示装置1は、植物の花の色や葉の特徴などの検索キーによって様々な植物を検索することが可能な植物図鑑を提供するものとするが、本実施形態に係る情報検索表示装置で検索可能な情報は植物情報に限定されない。離散量を検索属性とする情報であれば様々な情報検索に適用可能である。
【0013】
入力制御部11は、マウス等の入力デバイスからなる入力部2から入力されたカーソルないしポインタの位置情報およびリングの識別子(例えばリング名)を受け付け、この入力された位置情報によって、状態情報17に記憶されている現在の検索条件のキー値を更新する。併せて、入力制御部11は、本実施形態に係るカテゴリリングおよびキーリング(後述)の表示出力、カテゴリリングおよびキーリングに対する選択、回転等の操作入力等の入出力制御を、出力制御部15とともに行う。
なお、本実施形態においては、検索属性とは、例えば「花の色」、「花の形」、「葉の形」等の検索のための項目をいい、この検索属性のキーないし検索キーとは、各検索属性のキー値(例えば「花の色」であれば“赤”、“黄色”、“青”等)をいい、この検索属性+キーを以って、植物図鑑データベース18を検索する際の検索条件と以下称する。
【0014】
状態情報17には、1つあるいは複数の検索属性としてそれぞれ現在設定されている検索属性のキー値が記憶されている。ユーザーの操作等によりキーリングが回転されて検索属性のキー値が再設定された場合には、その都度、状態情報17に記憶される。なお、各検索属性に対して、一つのみならず、複数の検索属性値(キー値)が設定されて状態情報17に記憶されている場合もある。
候補抽出部12は、状態情報17に記憶された現在設定されている検索条件(検索属性)のキー値を読み取り、植物図鑑データベース18を参照して、設定された検索属性のキー値にマッチする植物情報の識別子を表示出力候補として抽出する。
属性定義情報16は、検索属性名(検索カテゴリ名)、各検索属性が取り得るキー値、各検索属性をカテゴリリング(後述)上どの表示色で表示するか、等が関連づけられており、好ましくは検索属性名ごと1レコードが構成され、内蔵メモリあるいは内蔵・外部記録媒体に格納されたテーブルとして参照される。
【0015】
図2(a)は、属性定義情報16の一例を示す図である。図2(a)に示される属性定義情報16では、検索属性として、花の色、花の形、葉の形、季節、場所が定義されている。また、後述するように、本実施形態においては、検索対象である植物情報に関連づけられている各検索属性の属性値は複数ビットからなるビット列で表される。図2に示される「ビット」は、それぞれの検索属性における各属性値を表すビットを示す。例えば、ある植物の花の色として“赤”、“青”、“白”が存在する場合、その植物に関連づけられる「花の色」を表すビット列では、1ビット目(“1”=2)、3ビット目(“4”=2)、5ビット目(“16”=2)が“1”に設定され、その他のビットは“0”に設定されるという具合である。
【0016】
また、図2(b)は、植物図鑑データベース18に格納される植物属性情報の一例を示す図である。植物図鑑データベース18は、検索対象となる情報(本実施形態においては植物情報)ごとに、各情報に関連づけられている検索属性の属性値が記録されるデータベースである。図2(b)に示される植物図鑑データベース18においては、検索対象である植物情報を一意に識別するためのID、各植物の植物名、科目、属名とともに、花の色、花の形、葉の形、季節、場所等が関連づけられている。
【0017】
また、花の色、花の形、葉の形、季節、場所の値は、上述したように複数ビットからなるビット列で表されるが、各検索属性における数字は、このビット列を10進数で示したものである。例えば、IDが1であるアカザの「花の色」の“3”とは、アカザに関連づけられている花の色を示すビット列の1ビット目と2ビット目が“1”であることを示し、すなわち、アカザに関連づけられている花の色は、“赤”と“黄色”である。
この植物図鑑データベース18は、例えばRDB(Relational Database)などの表形式のデータとして構成されることが好ましいが、本実施形態はこれに限られることなく、候補抽出部12が決定した検索キー値をキーとしてマッチする植物情報の識別子(ID)が検索されることが可能である形式であればよい。
【0018】
また、ここでは図示しないが、植物図鑑データベース18は図2(b)に示されるデータ以外に、検索結果として表示される各植物の画像情報を記憶しており、例えば図2(b)の「ID」と画像情報の識別情報(例えば画像ファイルの名前)とを関連づけるテーブルを有する。
出力制御部15は、候補抽出部12によって抽出された表示出力候補である植物情報の表示出力における表示位置および大きさを決定する。表示位置および大きさが決定された植物情報は、表示部3によって、ディスプレイデバイス等に表示出力される。表示出力されるべき各画像は、フォルダー等に格納されてもよく、あるいはサーチロボット等によってあらかじめ収集格納された遠隔データとしてあってもよい。
【0019】
候補制御部13は、検索結果として表示出力された植物の画像情報がマウス等のポインティングデバイスによってポイントされた、ないしカーソルが接した画像情報が入力制御部11によって検出されると、検出された画像情報が示す植物の詳細情報(花の色、葉の形、花の咲く季節、自生場所、大きさ、等)を表示する。
【0020】
(情報検索表示装置のGUI)
以下、図3A〜図3Jおよび図4A〜図4Cを用いて、本実施形態における情報検索および表示出力におけるGUIについて説明する。
図3Aは、本実施形態に係るGUIの初期画面の一例を示す図である。上述したように、本実施形態に係る情報検索表示装置は、植物の花の色や葉の形などの検索キーによって様々な植物を検索することが可能な植物図鑑を提供するものである。
【0021】
ここで、情報検索表示装置の表示画面は2つの表示領域300と表示領域310とによって構成されている。以下に説明する本実施形態のGUIは植物を検索して検索結果を表示させるためのGUIであり、表示領域300に表示されるものである。また、表示領域310には、後述するように、GUIにおいて検索結果として抽出された植物の名前や、その植物に関する情報(花の色、葉の形、花の咲く季節、自生場所、大きさ、等)が表示される。
【0022】
図3Aに示されるように、表示領域300に表示される検索初期画面においては、検索属性の識別子(例えば検索属性名)をリング上の円周方向に配置して表示するカテゴリリング20が表示される。本実施形態における情報検索方法においては、本来、マウス等単一の指示手段による操作のみで検索を実行することを目的としている。このため、カテゴリリング20上には、植物図鑑データベース18に定義された各植物情報に付与された検索属性の全部または一部が、表示されている。図3Aにおいては、検索属性として、植物の、花の色201、花の形202、花のつき方203、葉の形204、葉のつき方205、花の季節206、(自生)場所207が表示されており、ユーザーはリング上に表示されたこれら検索属性をマウス等の指示手段によって選択入力する。
【0023】
なお、図3Aに示した本実施形態の一例においては、ユーザーが指示入力すべき検索属性は、カテゴリリング20上に、あらかじめ配置されるとともに検索属性名が表示されているが、本実施形態における検索属性の指定手法は、これに限定されるものではない。例えば、カテゴリリング20を別段設けることなく、検索属性入力画面に、検索属性名の表示とともに選択入力可能なボタンのフィールドを検索属性ごとに設けてもよく、検索属性名自体を選択可能に一覧表示してもよい。
【0024】
図3Bは、図3Aの検索初期画面において、カテゴリリング20上の花の色201の表示箇所をクリック等により選択指示した後の表示画面の一例を示す。カテゴリリング20上の「花の色」の表示箇所をクリック等により選択指示すると、カテゴリリング20の内側に、検索属性「花の色」についてのキーリング30が表示される。キーリング30には、検索属性「花の色」のキーがリング上円周方向に整列配置されている。
【0025】
同時にキーリング30上には、表示されたキーリングが有するキー値(検索属性値)が直感的に把握可能なように、検索キー値を概略的に示す表現(キーワード)が表示されてよい。図3Bにおいては、検索属性「花の色」の検索属性値を示す、赤301、黄302、青303、紫304、白305、その他306が表示され、キーリング30の内側には、そのキーを持つ植物(検索結果)の画像が表示されている。
【0026】
なお、本実施形態における「リング」とは、円状の形状に限定されるものではなく、たとえば、楕円状等の広義の環状体、さらには多角形状等で閉ループを構成するものも含む。これにより、ユーザーは、マウス等のポインティングデバイスによってカテゴリリング20やキーリング30を回転させるという簡単な操作のみで、検索属性や、その属性値を設定することが可能である。
【0027】
また、本実施形態における「キー」とは、検索に使用される条件値であり、これを後述する操作によって調節することにより、表示出力すべき検索結果のフィルタリングを行う。図3Bにおいて、植物情報検索の検索キーとして用いられるキー値は、キーリング30の下部、すなわち時計6時の位置31に合わせられた値であり、この値が入力制御部11に入力される。あるいは、検索キーとして決定されるキーは、キーリング30上、あらかじめ定められた位置であれば、位置31以外のいかなる位置のキーを検索キーとして決定してもよい。このキーは、マウス等の入力デバイスからの操作入力により、キーリング30を回転させることによって調節される。そして、キーリング30上にあらかじめ定められた位置(例えば時計6時の位置31)に合わせられたキーによって植物の検索が実行され、その検索結果である植物の画像がキーリング30の内側に表示される。
【0028】
また、検索結果を表す画像はキーリング30の中心近傍から外側に向かって同心円上に配置されるが、デフォルトでは、キーリング30の中心近傍に配置された植物の詳細情報が表示領域310に表示される。また、ユーザーが他の検索結果画像をマウス等でポイントしたりポインタを近接させる等した場合には、その画像が表す植物の詳細情報が表示領域310に表示される。
【0029】
あらかじめキーリング30上の円周方向に配置された各検索キーは、その円周上の相対位置が保持されつつ、キーリング30は、それぞれ独立に時計廻り又は反時計廻りに回転操作される。すなわち、キーリング30上の所定位置を基準位置として、キーリング30を回転操作することによって得られる基準位置からの円周方向の回転量(基準位置からの移動量または円心に対する角度)に基づいて、所定位置(例えば時計6時の位置31)に位置するキーの値が調整され、決定される。
【0030】
キーを調節するためには、マウスのホイールをクリックした後、ホイールを回転させるか、あるいはキーリング30をドラッグして回転させる。本実施形態においては、キーリング30の時計回り回転は、ホイールを手前に回転させるか、左ドラッグにより実現し、反時計回り回転は、その逆の操作となるように設定したが、本発明に係るカテゴリリング20およびキーリング30の操作はこれに限定されることなく、いかなる操作によって実現されてもよい。各キーリングは、キーリング30上に配置された各検索キーの円周上の相対位置を保持しつつ、それぞれ独立に回転操作可能に構成されている。
なお、カテゴリリング20上の複数の検索属性を順次選択指示すれば、複数のキーを指定することができるが、この場合、後続で選択指示されたキーリングは、先行して選択指示されたキーリングの内側に表示される。すなわち、複数のキーを指定した場合でも、キーリング数が増えるだけであり、統一した表示インターフェースが提供される。
【0031】
さらに、本実施形態に係る情報検索表示装置のGUIにおいては、一つの検索属性について複数のキーを指定することができる点が特徴である。具体的には、例えば、以下のようにして実現される。すなわち、カテゴリリング20上に配置された検索属性のうち、ある特定の検索属性がクリック等により複数回、マウス等の入力デバイスにより選択指示されると、選択指示されるたびにカテゴリリング(もしくはすでに表示中のキーリング)の内側にその検索属性についてのキーリングが新たに表示される。
以上のように複数のキーリングを表示することにより、複数のキーを用いたAND検索が実行される。図3C〜図3Fは、複数のキーを用いて植物情報の検索が実行される場合のGUIの一例を示す図である。
【0032】
図3Bの状態においてカテゴリリング20上でユーザーが場所207をクリックすると、「花の色」のキーリング30の内側に「場所」のキーリング40が表示され、花の色のキーおよび場所のキーの双方を持つ画像が、リング内側に表示される(図3C)。図3Cにおいては、時計6時の位置31に白305と山地405が位置しており、よって、花の色が“白”であり、かつ、場所が“山地”である植物の画像が場所キーリング40の内側に表示される。
【0033】
ここで、図3Cの状態において、ユーザーがカテゴリリング20上で場所207を再度クリックすると、「場所」のキーリング40の内側に、さらに「場所」のキーリング41が表示される(図3D)。この2つの場所キーリング40、41は、同一構成のキーリングである。そして、ユーザーがマウス等によって、キーリング41を反時計回りに回転させると、時計6時の位置31に合わせられたキーリング30、40、41における属性値を検索キーとして植物情報の検索が実行される(図3E)。
【0034】
図3Eは、図3Dの状態からユーザーがキーリング41を反時計回りに回転させ、時計6時の位置31に“野原・道ばた”が合わせられた状態を示している。この場合、花の色の属性値として“白”が関連づけられており、かつ、場所の属性値として“山地”および“野原・道ばた”の双方が関連づけられている植物の画像がキーリング41の内側に検索結果として表示される。また、図3Fは、さらにキーリング41が反時計回りに回転された状態を示す。この場合、キーリング30、40、41において、時計6時の位置31に合わせられている各属性値“白”、“山地”、“池・川のそば”の全てが関連づけられている植物の画像がキーリング41の内側に表示される。
【0035】
なお、ユーザーが特定の検索属性(カテゴリ)について複数の検索キーを設定したい場合、カテゴリリング20上に配置されている検索属性を複数回クリックしてキーリングを複数表示させる際に、操作を誤って、その検索属性に存在する属性値(キー値)の数以上にクリックしてしまう状況が発生しうる。例えば、図3Bの例においては、花の色201の属性値として赤301〜その他306の6つの属性値が存在するが、ユーザーが誤って、花の色201を7回以上クリックしてしまうような場合である。このため、ユーザーが各検索属性を選択指示した回数(すなわち各検索属性について表示済みのキーリングの数)をそれぞれカウントしてメモリ等に記憶しておくようになっていてもよい。そして、その回数が各検索属性に存在する属性値の数よりも大きくなった場合には、例えば、すでに最大数のキーリングが表示されている旨の警告をディスプレイに表示したり、警告音を発するだけの処理を行う等となっていてもよい。
【0036】
(検索結果表示方法)
また、本実施形態に係る情報検索表示装置での検索キーは離散量であるので、キーリング30上において各検索キーを示す位置には一定の幅が存在する。例えば、図3Bのキーリング30では検索キーは6つ(赤301〜その他306)であるので、各検索キーは、キーリング30上を構成する円弧上であって、360°÷6=60°を中心角とした扇形の円弧上に配置される。そして、ユーザーがマウス等によってキーリング30を回転させると、各検索キーが割り当てられている円弧内(すなわち同一属性値内)においては、その検索キーによって抽出された検索結果の表示ページが順次切り替わるようになっている。
【0037】
つまり、検索結果がX個であり、キーリング30の内側に表示可能な植物画像の最大数がN個である場合(もしくはNはあらかじめ任意に決定された値でもよい)、全ての検索結果を表示するために必要なページ数Pは、XがNで割り切れる場合はX÷Nページ、さもなければ、XをNで割った商の整数部+1ページである。よって、図3Bの例であれば、例えば、ユーザーが白305の範囲内においてキーリング30を(60÷P)度回転させるごとに検索結果の表示ページ数が順方向に切り替わり、ユーザーは全ての検索結果を画像で確認することができる。
【0038】
このような表示方法により、検索結果が多い場合にはユーザーがキーリングを少し回転させただけで頻繁に検索結果表示ページが切り替わることとなり、表示結果が少ない場合にはユーザーがキーリングを相当量回転させなければ検索結果表示ページは切り替わらないこととなる。このような動作によって、例えばユーザーがキーリングを一回転させた場合、各属性値によって検索結果表示ページの切り替わるタイミングが異なることとなるので、ユーザーは各属性値における検索結果の多少を直感的に把握することができる。
【0039】
図4A〜図4Bは、図3Bの状態から、キーリング30を反時計回りに回転させ、検索条件「花の色」のキーが“白”である植物の検索結果ページが順次ブラウジング表示されていく様子を示している。図4C〜図4Fは、図4Bのキーリング30を、さらに反時計回りに回転させることで、検索条件「花の色」のキーが“白”から“紫”に切り替わり、キーリング30の内側においては、花の色が紫である植物の検索結果ページが順次ブラウジング表示されていく様子を示している。また、図4Gは、さらにキーリング30を反時計回りに回転させることで、検索条件「花の色」のキーが“青”に切り替わり、キーリング30の内側においては花の色が青である植物の検索結果がブラウジング表示されている状態を示している。
【0040】
上記の検索結果表示方法については、キーリングが複数表示された場合も同様である。すなわち、図3Cのように、2つのキーリング30、40が表示された場合には、キーリング30又はキーリング40の回転に応じて、検索結果の表示ページが順次切り替わるようになっている。また、図3D〜図3Fのように3つ目のキーリング41が回転された場合には、この回転に応じて、キーリング41の内側に表示される検索結果が表示ページ単位で順次切り替わるようになっている。
なお、本実施形態において、「ブラウジング表示」とは、走査検索のための表示を意味し、多数の画像を同一画面に縮小画像として一括表示したり、短時間中に順次表示することをいう。
【0041】
(情報検索表示処理の詳細)
以下、本実施形態に係る情報検索表示処理の詳細を説明する。
図5〜図7、図9は、本実施形態に係る情報検索表示処理を実行するためのソフトウエアとして、後述する図11のROM104等に格納されるプログラムの一例の流れを示すフローチャートである。このプログラムは、例えばJava(登録商標)等の言語で記述されており、このプログラム(例えばアプレット)に従って、図11のCPU101は情報検索およびブラウジング表示の処理を実行する。しかしながら、本実施形態に係る情報検索表示処理を実行するプログラムを記述する言語ないし手法はこれに限られるものではなく、例えばC,C++等の高水準言語を用いて記述されてもよい。また、図11のRAM105には、入力部2から指定入力された検索キー、操作種別、状態情報17等が格納されるとともに、その一部分は、ディスプレイメモリとして使用される。なお、情報検索表示装置のハードウエア構成については、後に詳述する。
【0042】
(キーとなる値の抽出処理)
図5は、主に入力制御部11によって実行される処理を示すフローチャートである。
図5において、入力制御部11は、まずマウス等の指示手段が行った操作を検出する(ステップS10)。検出された操作が、キーリングの追加(例えば、カテゴリリング20の検索属性表示箇所近傍のクリック)であった場合、指定された検索属性を検出し(ステップS11)、キーの現在の値(例えばキーリング中時計6時の位置の値)を検出し(ステップS13)、キーリングの識別子およびキーの現在値を状態情報17に対して更新出力する(ステップS16)。また、検出された操作が、キーリングの回転(例えば、キーリングのホイール回転)であった場合、指定されたキーリングを検出し(ステップS12)、キーの現在の値(例えばキーリング中時計6時の位置の値)を検出し(ステップS13)、そのキーリングのキーの現在値を状態情報17に対して更新出力する(ステップS16)。
【0043】
また、検出された操作が、キーリングの削除(例えば、キーリングをクリックする操作)であった場合、指定されたキーリングを検出し(ステップS14)、このキーリングの識別子についての状態情報17中のデータを削除する(ステップS16)。また、検出された操作が、ブラウジング表示されている検索結果画像にカーソルを近接させたり、画像をクリックする操作である場合には、候補制御部13によって、この画像で表される植物の詳細情報を表示領域310に表示する処理が実行される(ステップS15)。
【0044】
(表示候補抽出処理)
図6は、検索結果である表示候補を抽出するための処理を示すフローチャートである。
図6において、候補抽出部12は、まず検索対象である情報(植物情報)を1つ選択し、検索条件との一致度wgtを“0”に設定する(ステップS31)。次に、表示されているキーリングのうち処理対象とするキーリングを1つ選択する(ステップS32)。このキーリングの状態情報17に保存されている現在のキー値(検索条件)と、ステップS31で選択された情報に付与されている属性値とをビット演算する(ステップS33)。
【0045】
ここで、ビット演算とは具体的には、以下のような演算である。すなわち、検索条件を表すビット列と選択された情報に付与されている属性値を表すビット列のビットAND演算を行い、この演算結果が検索条件を表すビット列と同じビット列となった場合には演算結果=“1”であり、その他の場合には演算結果=“0”となるような演算である。このようにして決定されるビット演算の結果をwgtに加算する(ステップS34)。
【0046】
その後、このキーリング以外のキーリングを次の処理対象として設定し、ステップS33およびステップS34の処理を繰り返す(ステップS35)。なお、ステップS33およびステップS34の処理は、表示されているキーリングすべてにつき、同時並行的に実行されてもよく、この場合には、図6のステップS32およびステップS35の処理は省略される。
以上の処理をすべての検索対象である情報(植物情報)について行う(ステップS36)。
また、この図6に示される処理を数式で表すと、以下の式で表される。(表示されているキーリング数をrn、外側からj番目のキーリングRjにおいて設定された属性値(検索条件となる属性値をkj、情報Iiに付与されているキーリングRjについての属性値をdi,jとする。)
【0047】
【数1】

【0048】
上記のように算出されたwgtについて、wgt=rnである(すなわちwgtの値とキーリングの数が等しい)情報を抽出することで、すべてのキーにマッチした情報がAND検索の結果として出力される。
なお、図6に示されるフローチャートの例は、複数の検索属性が指定された場合にすべてのキーをAND条件(すべてのキーの論理積)で検索した結果を、候補抽出部12が出力する例であるが、本実施形態における候補抽出処理はこれに限定されるものではない。検索属性の種別に応じて、すべてのキーまたは一部のキーをOR条件(論理和)で検索してもよく、例えば、概念等が類似する用語同士の関連を記述する辞書を記憶するデータベース等の記憶手段を備え、この辞書を参照することにより、類似する用語群を抽出し、これらと検索キーとの論理和をとることにより、新たな検索条件を生成してもよい。
【0049】
(候補の表示上の配置決定処理)
上述したように、本実施形態に係る情報検索表示装置では、ユーザーが同一属性値内でキーリングをマウス等により回転させると、その属性値による検索結果の表示ページが複数存在する場合には、キーリングの回転に応じてページが順次表示される。
図7は、検索結果である表示候補の表示位置を決定するための処理を示すフローチャートである。出力制御部15は、図6で示される処理によって抽出された表示候補数をもとに検索結果の表示ページ数を決定し(ステップS51)、現在のキーに対する1ページあたりの回転角を計算する(ステップS52)。また、現在の表示ページ位置(例えば時計6時の位置31に合わせられている円弧部分に対応する表示ページ)を計算し、キーリング内側に表示する検索結果の候補を決定する(ステップS53)。さらに、そのページにおける各候補の表示位置を決定して(ステップS54)、終了する。
【0050】
ここで、図7のステップS51、S52における処理について詳述する。検索条件Keypの検索結果表示ページ数をPnumすると、図8に示されるように、ユーザーがキーリング30を右回転(反時計回り)もしくは左回転(時計回り)させると、時計6時の位置31を通過するキーリング30の通過箇所に応じて検索結果表示ページが1ページ目、2ページ目、・・・、Pnumページ目、と順次切り替わっていく。なお、本実施形態においては、各ページに対応するそれぞれの円弧の両端を通る2つの半径がなす角(中心角)はすべて同じ角度である(角度θP)。
【0051】
検索条件Keypにおける検索結果数nall、ユーザーが現在操作しているキーリング(すなわちキーが設定されるキーリング)Rpが持つ属性値数をvnp、検索結果表示ページの1ページあたりの検索結果の最大表示数をnppとすると、検索条件Keypの検索結果表示ページ数Pnumと、検索結果表示ページの1ページあたりの中心角θPは、以下の式によって求められる。
【0052】
【数2】

【0053】
なお、上記式において、「360/vnp<nall/(npp+1)の場合」とは検索結果数nallが多い(すなわち表示ページ数が多い)場合を想定したものであり、1ページあたりの中心角θPは最低でも1°を確保することとしたものである。
また、ユーザーがキーリングの回転方向を逆方向に変える場合がありうる。その場合、属性値が変化した時の回転方向を基準としてページ方向を決定する。例えば、図3Bの状態からユーザーが白305の範囲内でキーリング30を反時計回りに回した後、キーリング30を逆回転(時計回り)させ、その他306まで回転させたとする。この場合、白305の範囲内において、検索結果表示ページの順方向は最初の回転方向である反時計回りとなる。よって、キーリング30を反時計回りに回転させた後、キーリング30を逆回転させると、白305の範囲内においては検索結果表示ページが逆方向に(前ページに戻るように)表示される。そして、白305とその他306の境界線を越えた時点(つまりその他306の範囲に入った時点)で、その他306の検索結果表示ページの順方向は時計回り方向に変化する。
【0054】
図9は、キーリングの回転方向が変化した場合の処理フローチャートである。キーリングの回転方向が変化したことが検知されると(ステップS71)、キーリングの所定位置(例えば位置31)における属性値が検知前の属性値と同一であるか判断される(ステップS72)。同一属性値である場合にはページ方向は変化させないので、回転量からページ位置が検出される(ステップS75)。同一属性値でない場合はページ方向の設定が行われ(ステップS73)、表示候補を抽出する処理が実行された後(ステップS74)、回転量からページ位置が検出される(ステップS75)。このステップS75の処理は、図7のステップS53の処理と同様である。なお、この後、そのページにおける各候補の表示位置が決定されて(図7のステップS54)、候補が表示される。
【0055】
次に、図7のステップS54における処理について詳述する。
本実施形態においては、上記表示候補抽出処理によって抽出された表示候補は、リングの内側から外側(円周方向)に向かって同心円上に配置される。本実施形態においては、検索条件は離散量であり、各候補(検索結果)については優劣や優先順位といった概念はないとの観点から、各候補を示す植物画像はすべて同じ大きさによって表示することとしている。
図10は、各候補の表示幅および表示位置の決定手法を示す図である。図10において、Oは円の中心、Rは候補表示領域の半径、wは各画像の幅、aは半径方向に隣接する画像間の空白とすると、画像の幅wは以下の式により求められる。
【0056】
【数3】

【0057】
i周目における表示位置riは、i周目における画像の中心点とOとの距離であり、表示位置riは次式で定義される。
【0058】
【数4】

【0059】
(情報検索表示装置のハードウエア構成)
図11は、本実施形態による情報検索表示装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図11に示されるコンピュータ装置である情報検索表示装置100において、CPU101は、ROM104および/またはハードディスクドライブ106に格納されたプログラムに従い、RAM105を一次記憶用ワークメモリとして利用して、システム全体を制御する。さらに、CPU101は、マウス102aまたはキーボード102を介して入力されるユーザーの指示に従い、ハードディスクドライブ106に格納されたプログラムに基づき、本実施形態に係る情報検索表示処理を実行する。ディスプレイインタフェイス103には、CRTやLCDなどのディスプレイが接続され、CPU101が実行する情報検索表示処理の入力待ち受け画面、処理経過や検索結果などが表示される。リムーバブルメディアドライブ107は、主に、リムーバブルメディアからハードディスクドライブ106へファイルを書き込んだり、ハードディスクドライブ106から読み出したファイルをリムーバブルメディアへ書き込む場合に利用される。リムーバブルメディアとしては、フロッピディスク(FD)、CD−ROM、CD−R、CD−R/W、DVD−ROM、DVD−R、DVD−R/W、DVD−RAMやMO、あるいはメモリカード、CFカード、スマートメディア、SDカード、メモリスティックなどが利用可能である。
【0060】
プリンタインタフェイス108には、レーザビームプリンタやインクジェットプリンタなどのプリンタが接続される。ネットワークインタフェイス109は、コンピュータ装置を外部のネットワークへ接続するためのインターフェースである。
なお、本実施形態に係る情報検索表示装置における入力部2は、マウス102aあるいはキーボード102に限定されることなく、任意のポインティングデバイス、例えばトラックボール、トラックパッド、タブレットなどを適宜用いることができる。また、携帯情報端末を本実施形態に係る情報検索表示装置として用いる場合には、入力部2をボタンやモードダイヤル等で構成してもよい。
【0061】
また、図11に示した本実施形態に係る情報検索表示装置のハードウエア構成は一例に過ぎず、その他の任意のハードウエア構成を用いることができることはいうまでもない。
殊に、本実施形態に係る情報検索表示処理は、上記コンピュータ装置100あるいはPDA等の携帯情報端末装置等によって実現されてもよく、端末装置等とサーバー装置とをBluetooth(登録商標)等の無線、あるいはインターネット(TCP/IP)、公共電話網(PSTN)、統合サービス・ディジタル網(ISDN)等の有線通信回線で相互接続した、インターネットあるいは任意の周知のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)からなるネットワークシステムによって実現されてもよい。端末装置とサーバー装置とを接続したシステムによって本実施形態に係る情報検索表示処理を実現する場合には、例えば、植物情報および/または植物図鑑データベースの記憶保持、ならびにこれらへの検索処理をサーバー装置において稼動するプログラムが実行し、ユーザーからの情報検索のための指示入力および検索結果のブラウジング処理のみをWebブラウザを搭載したクライアント装置が実行してもよい。あるいは、サーバー装置上で稼動するポータルサイトプログラムが、本実施形態に係る情報検索表示処理の全部または一部を実行してもよい。
【0062】
コンピュータ装置100上で稼動するWebブラウザ上のフォームを使用して、ユーザーが検索条件等のデータをサーバー装置に送信できる。あるいは、本実施形態に係る情報検索表示処理の全部または一部を記述するJava(登録商標)アプレット等のアプレットを、ネットワークを介してサーバー装置からWebブラウザ上にダウンロードし、ブラウザのウインドウに埋め込ませて実行させることができる。
【0063】
(その他の応用例)
上記においては、植物情報を検索する場合について説明したが、本実施形態に係る情報検索表示装置は、離散量である検索属性をキーとして情報の検索を行う場合に広く適用可能である。
【0064】
(まとめ)
以上のとおり、本実施形態によれば、検索とブラウジングが統合された単一のグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を介して、離散量である検索条件によって所望する情報を検索する場合に、所望する情報の検索条件を連続的(シームレス)な操作によって容易に設定可能であるとともに、各検索属性について複数の属性値を検索キーとして指定することが可能である。
【0065】
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0066】
1 情報検索表示装置
2 入力部
3 表示部
11 入力制御部
12 候補抽出部
13 候補制御部
15 出力制御部
16 属性定義情報
17 状態情報
18 植物図鑑データベース
20 カテゴリリング
30 キーリング
31 時計6時の位置
40 キーリング
100 コンピュータ装置(情報検索表示装置)
102 キーボード
102a マウス
103 ディスプレイインタフェイス
106 ハードディスクドライブ
107 リムーバブルメディアドライブ
108 プリンタインタフェイス
109 ネットワークインタフェイス
300 表示領域
310 表示領域
80 カテゴリリング
90 キーリング
90a1 画像
901 時計6時の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報検索のための検索カテゴリごとに設けられ、表示画面上同心円状に配置された一つ又は複数のキーリングであって、円周方向に離散量の検索キーが配置されたキーリングを表示出力するキーリング配置部と、
入力デバイスからの操作入力に従って、前記キーリングのうちの1つを選択するキーリング選択部と、
選択された前記キーリング上の各検索キーの円周上の相対位置を保持しつつ、前記入力デバイスからの操作入力に従って各キーリングを独立に時計廻り又は反時計廻りに回転させるキーリング回転部と、
前記キーリング上所定位置からの前記キーリングの円周方向の回転量に基づいて、情報検索のための検索キーを決定する検索キー決定部と、
選択された検索カテゴリおよび決定された前記検索キーを用いて実行された検索結果を、前記キーリングの回転に伴い前記キーリングの内側に逐次表示出力する検索結果表示部と、を有し、
前記キーリング配置部は、前記入力デバイスからの操作入力に従って、少なくとも一つの前記検索カテゴリについて複数の前記キーリングを表示出力することを特徴とする情報検索表示装置。
【請求項2】
前記検索結果表示部は、前記検索結果を表示する表示ページの数を決定し、前記キーリングの回転に伴い、前記検索結果を前記表示ページ単位で前記キーリングの内側に逐次表示出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報検索表示装置。
【請求項3】
決定された前記表示ページ数に基づいて、前記検索結果を前記表示ページ単位で前記キーリングの内側中心近傍から円周方向に向かって同心円上に配置する検索結果配置部をさらに有し、
前記検索結果表示部は、配置された前記検索結果を、前記キーリングの回転に伴い前記キーリングの内側に逐次表示出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報検索表示装置。
【請求項4】
前記検索カテゴリの識別子を円周方向に配置したカテゴリリングを表示出力するカテゴリリング表示部と、
入力デバイスからの操作入力に従って、前記カテゴリリングに配置された検索カテゴリの識別子のうちの1つを選択する検索カテゴリ選択部と、をさらに有し、
前記キーリング配置部は、前記検索カテゴリ選択部による前記カテゴリリング上の検索カテゴリの識別子の選択に応答して、選択された検索カテゴリに対応するキーリングを、前記カテゴリリングの同心円内側に表示出力する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報検索表示装置。
【請求項5】
前記キーリング配置部は、前記検索カテゴリ選択部により複数の検索カテゴリが選択された際には、選択された検索カテゴリに対応するキーリングを、表示されているキーリングの同心円内側に表示出力する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報検索表示装置。
【請求項6】
前記検索キー決定部は、選択されたキーリングに配置された検索キーが、前記キーリング上予め定められた所定位置からの前記キーリングの円周方向の回転量に基づいて、情報検索のための検索キーを決定する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の情報検索表示装置。
【請求項7】
キーリング配置部と、キーリング選択部と、キーリング回転部と、検索キー決定部と、検索結果表示部とを有する情報検索表示装置が実行する情報検索表示方法であって、
前記キーリング配置部により、情報検索のための検索カテゴリごとに設けられ、表示画面上同心円状に配置された一つ又は複数のキーリングであって、円周方向に離散量の検索キーが配置されたキーリングを表示出力するとともに、入力デバイスからの操作入力に従って、少なくとも一つの前記検索カテゴリについて複数の前記キーリングを表示出力するステップと、
前記キーリング選択部により、前記入力デバイスからの操作入力に従って、前記キーリングのうちの1つを選択するステップと、
前記キーリング回転部により、選択された前記キーリング上の各検索キーの円周上の相対位置を保持しつつ、前記入力デバイスからの操作入力に従って各キーリングを独立に時計廻り又は反時計廻りに回転させるステップと、
前記検索キー決定部により、前記キーリング上所定位置からの前記キーリングの円周方向の回転量に基づいて、情報検索のための検索キーを決定するステップと、
前記検索結果表示部により、選択された検索カテゴリおよび決定された前記検索キーを用いて実行された検索結果を、前記キーリングの回転に伴い前記キーリングの内側に逐次表示出力するステップと、
を含むことを特徴とする情報検索表示方法。
【請求項8】
情報検索表示処理をコンピュータに実行させるための情報検索表示プログラムであって、該プログラムは、前記コンピュータに、
情報検索のための検索カテゴリごとに設けられ、表示画面上同心円状に配置された一つ又は複数のキーリングであって、円周方向に離散量の検索キーが配置されたキーリングを表示出力するとともに、入力デバイスからの操作入力に従って、少なくとも一つの前記検索カテゴリについて複数の前記キーリングを表示出力するキーリング配置処理と、
前記入力デバイスからの操作入力に従って、前記キーリングのうちの1つを選択するキーリング選択処理と、
選択された前記キーリング上の各検索キーの円周上の相対位置を保持しつつ、前記入力デバイスからの操作入力に従って各キーリングを独立に時計廻り又は反時計廻りに回転させるキーリング回転処理と、
前記キーリング上所定位置からの前記キーリングの円周方向の回転量に基づいて、情報検索のための検索キーを決定する検索キー決定処理と、
選択された検索カテゴリおよび決定された前記検索キーを用いて実行された検索結果を、前記キーリングの回転に伴い前記キーリングの内側に逐次表示出力する検索結果表示処理と、
を含む処理を実行させるためのものであることを特徴とする情報検索表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−181780(P2012−181780A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45666(P2011−45666)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(504202472)大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 (119)
【Fターム(参考)】