説明

情報端末支持部材

【課題】持ち運びが容易であって、情報端末の向きによらずその迅速な支持が可能な情報端末支持部材を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報端末支持部材10は、情報端末Tを机表面Dから所定の高さ位置に支持するものであって、机表面Dの上に自立可能な脚部材12と、該脚部材12から突出して設けられて情報端末Tの一端部を下方から受ける受け部材13と、を有する支持スタンド11が、情報端末Tの一端側及び他端側をそれぞれ支持するように一対に設けられるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末を机表面から所定の高さ位置に支持し、持ち運びが容易な情報端末支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
パネルコンピュータやPDAやノートパソコン等の情報端末を展示し、デモンストレーションし、或いは机上の狭い領域に設置する場合、情報端末支持部材が従来用いられる。
この情報端末支持部材としては、表示部の裏面をねじ止めして固定する基台と、この基台の端部を支点として任意の角度に開脚する底面板と、基台と底面板とのなす角度を設定する角度調節機構とを備える情報端末支持部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の情報端末支持部材は、基台にパソコンの表示部の裏面が取付けられ、底面板が、ヒンジを軸として任意の角度に開き、机の上に基台を三角形状に支持し、ステイが三角形状の基台の傾斜を机に対して所定の角度に設定する角度調節機構を有する。
そしてこの角度調節機構は、ステイの幅方向一端部に突出して設けられた係止ピンが、基台に固定された係止ブラケットによって回転可能に支持されるとともに、ステイの幅方向他端部に設けられたスライドロックが、底面板に固定されたレールに沿ってスライド可能に設けられることにより構成される。
そして、特許文献1に記載の情報端末支持部材は、基台の開口部を介して基台の裏面からパソコンの表示部に対して雄ねじがねじ込まれることにより、パソコンが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−310873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の従来の情報端末支持部材は、その横幅がパソコンの横幅と同程度と比較的大型であるため、持ち運びや組み立てに手間が掛かるという問題があった。
【0006】
更に、従来の情報端末支持部材は、パソコンを支持するために、基台の裏面からパソコンの表示部に対して雄ねじをねじ込む必要があるため、パソコンの支持を迅速に行うことができないという問題もあった。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、持ち運びが容易であって、情報端末の向きによらずその迅速な支持が可能な情報端末支持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報端末支持部材は、情報端末を机表面から所定の高さ位置に支持するための情報端末支持部材であって、机表面の上に自立可能な一端側脚部材と、該一端側脚部材から突出して設けられて前記情報端末の一端部を下方から受ける一端側受け部材と、を有する一端側支持スタンドと、机表面の上に前記一端側脚部材から離間して自立可能な他端側脚部材と、該他端側脚部材から突出して設けられて前記情報端末の他端部を下方から受ける他端側受け部材と、を有する他端側支持スタンドと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る情報端末支持部材によれば、持ち運びが容易であって、情報端末をその向きによらず迅速に支持することができる。また、一端側支持スタンド及び他端側支持スタンドの離間距離を調整することにより、縦向き又は横向きの別によらず情報端末を容易且つ確実に支持することができる。また、一端側支持スタンド及び他端側支持スタンドを設置する向きを調整することにより、ノートパソコンのように開き角度が180°に満たないような情報端末を容易且つ確実に支持することができる。また、一端側支持スタンド及び他端側支持スタンドは、情報端末の一部を受けるものであるため、情報端末に接続される配線等の邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る情報端末支持部材の外観を示す概略斜視図である。
【図2】支持スタンドの使用状態での外観を示す概略斜視図である。
【図3】支持スタンドの使用状態での外観を示す概略側面図である。
【図4】支持スタンドの折り畳み状態での外観を示す概略斜視図である。
【図5】後方脚部の動作を説明する図である。
【図6】受け部材を示す概略平面図である。
【図7】受け部材の動作を説明する図である。
【図8】情報端末支持部材を用いてパネル状の情報端末を支持した状態を示す概略正面図である。
【図9】パネル状の情報端末の情報端末支持部材への載置を説明する説明図である。
【図10】情報端末支持部材を用いて2つ折りの情報端末を支持した状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る情報端末支持部材について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る情報端末支持部材10の外観を示す概略斜視図である。情報端末支持部材10は、情報端末T(二点鎖線で示す)を机表面Dから所定の高さ位置に支持する左右一対の支持スタンド11(一端側支持スタンド及び他端側支持スタンド)を備えるものである。
【0012】
図2から図4は、支持スタンド11の外観を示す図であって、図2は使用状態における概略斜視図、図3は使用状態における概略側面図、図4は折り畳み状態における概略斜視図である。支持スタンド11は、机表面Dの上に自立する脚部材12(一端側脚部材及び他端側脚部材)と、この脚部材12から突出して設けられた受け部材13(一端側受け部材及び他端側受け部材)と、を有している。
【0013】
脚部材12は、図2から図4に示すように、机表面Dに1点で接地する前方脚部14(一端側前方脚部及び他端側前方脚部)と、机表面Dに2点で接地する後方脚部15(一端側後方脚部及び他端側後方脚部)とが、不図示のヒンジを介して回動可能に連結されたものである。
【0014】
前方脚部14は、図2から図4に示すように、第1支柱141と、この第1支柱141における受け部材13の下側に設けられたストッパ142と、を備えるものである。
【0015】
第1支柱141は、図2に示すように、ABS樹脂やプラスチックス等の高分子材料により断面四角形の棒形状に形成されており、上端部にヒンジの一方側が取り付けられ、下端部にゴム製の滑り止めやスポンジ製のクッション(不図示)が設けられている。
【0016】
ストッパ142は、受け部材13の回動範囲を規制するものである。このストッパ142は、図2に示すように断面四角形の棒形状に形成され、第1支柱141及び受け部材13の両方に略直交した状態でその基端部が第1支柱141の前面に固定されることにより、その先端部が受け部材13の側へ突出している。
【0017】
後方脚部15は、図2から図4に示すように、第2支柱151と、この第2支柱151の背部に設けられた脚支持板152と、第2支柱151を挟んで左右両側に設けられた一対の脚153と、を備えるものである。
【0018】
第2支柱151は、第1支柱141と同様にABS樹脂やプラスチックス等の高分子材料により断面四角形の棒形状に形成されており、第1支柱141のほぼ半分の長さを有する。この第2支柱151は、図2から図4に示すように、その上端部にヒンジの他方側が取り付けられることにより、第1支柱141に対して回動可能となっている。ここで、ヒンジは、第1支柱141と第2支柱151とに端末Tの重みで緩みが生じない強めの適切なトルクでネジ止めされているか、あるいは手で回せる不図示のネジで固定されており、第1支柱141と第2支柱151との開き角度を自由に調整できる。
【0019】
脚支持板152は、図2から図4に示すように平板部材であって、第2支柱151の下端部における背面側に固定されることにより、第2支柱151の両側へ突出している。
【0020】
一対の脚153は、図2から図4に示すように、ABS樹脂やプラスチックス等の高分子材料により断面四角形の棒形状に形成され、その長手方向両端部が円弧形状にそれぞれ形成されている。また、一対の脚153の下端部には、ゴム製の滑り止めやスポンジ製のクッション(不図示)が設けられている。このように構成される一対の脚153は、その長手方向一端部がネジ16を介して脚支持板152に対して回動可能にそれぞれ取り付けられている。
【0021】
図5は、後方脚部15の動作を説明する図である。一対の脚153は、その長手方向一端からネジ16までの距離L1が、ネジ16から第2支柱151に下ろした垂線の長さL2より長くなるようにそれぞれ設定されている。これにより一対の脚153は、図5(a)に示すように第2支柱151に略平行な状態から、図5(b)に示すようにその長手方向一端部が第2支柱151に接触する状態までの範囲を、ネジ16の回りにそれぞれ回動可能となっている。
【0022】
図6は、受け部材13を示す概略平面図である。受け部材13は、図1に示す情報端末Tを下方から受けるものである。この受け部材13は、断面四角形の棒形状に形成され、その幅寸法は第1支柱141の幅寸法に略等しく、その長手方向両端部は円弧形状にそれぞれ形成されている。このように構成される受け部材13は、図2から図4に示すように、その基端部がネジ17を介して第1支柱141の側面に回動可能に取り付けられている。
【0023】
図7は、受け部材13の動作を説明する図である。このように構成される受け部材13は、図6(a)に示すように第1支柱141の長手方向に沿った状態から、図6(b)に示すようにネジ16の回りに反時計回りに回動し、図6(c)に示すようにその下面にストッパ142が当接して第1支柱141と略90°の角度をなす状態までの範囲を回動可能となっている。
【0024】
このように構成される支持スタンド11は、図2及び図3に示す使用状態においては、その受け部材13が第1支柱141と略90°の角度をなした状態にされるとともに、その後方脚部15を構成する一対の脚153はその長手方向一端部が第2支柱151にそれぞれ当接した状態とされる。
【0025】
また支持スタンド11は、図4に示す折り畳み状態においては、その受け部材13が第1支柱141の側面に略平行に添わせた状態にされるとともに、その後方脚部15を構成する一対の脚153が第2支柱151に略平行な状態とされる。そして支持スタンド11は、第1支柱141及び第2支柱151をヒンジの回りに回動させることにより、第1支柱141と第2支柱151とが略平行な状態とされる。これにより、折り畳まれた支持スタンド11は全体として1本の棒状となり、その時の全長はA4サイズの用紙の短辺の長さ以下である。従って、情報端末支持部材10の使用者は、支持スタンド11を折り畳むことにより、情報端末支持部材10を例えば洋服のポケットに収納した状態で持ち運ぶことができる。
【0026】
次に、情報端末支持部材10の使用例について説明する。
図8は、情報端末支持部材10を用いてパネル状の情報端末T1を支持した状態を示す概略正面図である。また図9は、パネル状の情報端末T1の情報端末支持部材10への載置を説明する説明図である。この場合使用者は、一対の支持スタンド11を図2及び図3に示すような使用状態にそれぞれするとともに、両者を所定間隔だけ離して設置する。この時、図9に示すように、一対の支持スタンド11を構成する第1支柱141の前面が同一平面を形成するようにしてそれぞれ設置する。そして、この一対の支持スタンド11を構成する受け部材13の上に、例えば横向きにした状態の情報端末T1の左右両端部をそれぞれ載置する。これにより、パネル状の情報端末T1の左右両端部を一対の受け部材13によってそれぞれ下方から受けることにより、情報端末T1を支持することができる。
【0027】
ここで、使用状態で設置された支持スタンド11は、後方側に向かってよりも前方側に向かって倒れやすい。これは、後方脚部15が一対の脚153による2点支持であるのに対し、前方脚部14は第1支柱141のみによる1点支持だからである。これにより、使用者が情報端末T1を受け部材13の上に載置する際に支持スタンド11が前方に倒れやすいため、倒れた支持スタンド11を起き上がらせる作業を使用者が行いやすいという利点がある。また、情報端末T1がタッチパネルを有しその操作が前面側から行われる場合、タッチパネルの操作時に情報端末T1に対して後方側への力が作用しても、支持スタンド11が後方側へ倒れにくいという利点もある。
【0028】
次に、情報端末支持部材10の他の使用例について説明する。
図10は、情報端末支持部材10を用いて2つ折りの情報端末T2、例えば開き角度が180°に満たないノートパソコンを支持した状態を示す概略斜視図である。この場合も使用者は、一対の支持スタンド11を図2及び図3に示すような使用状態にそれぞれするとともに、両者を所定間隔だけ離して設置する。但しこの場合、一対の支持スタンド11を構成する第1支柱141の前面が所定の角度をなして互いに交差するようにして、一対の支持スタンド11をそれぞれ設置する。そして、この一対の支持スタンド11を構成する受け部材13の上に、所定の角度だけ開いた情報端末T2を縦向きにした状態で載置する。これにより、2つ折りの情報端末T2の左右両端部を一対の受け部材13によってそれぞれ下方から受けることにより、情報端末T2を支持することができる。
【0029】
そして、所定のソフトウェア(不図示)を使用して情報端末T2のモニタに表示される画像を任意に回転させることにより、情報端末T2のモニタを縦型のモニタとして利用することができる。また、図10に示すように、情報端末T2のうち一対の支持スタンド11によって支持されるのは、その側部の一部分だけである。従って、情報端末T2の側部に例えばACアダプタ(不図示)を接続するための配線Hが接続される場合、支持スタンド11が配線Hの邪魔にならないという利点がある。すなわち、情報端末T2を縦型のモニタとして利用する場合に、一対の支持スタンド11の存在によらず、情報端末T2の底部から配線Hを引き出すことができるという利点がある。
【0030】
以上説明したように、情報端末支持部材10は、一対の脚153により後方を2点で支持し、第1支柱141により前方を1点で支持する3点支持の構造を有する。
従って、情報端末支持部材10は、一対の脚153と第1支柱141とによる3点支持で安定的に設置できる。
【0031】
また、情報端末支持部材10は、一対の第1支柱141が、後方へ向けて斜めに傾斜しているために、情報端末Tの重量が一対の受け部材13および一対の第1支柱141に分散されて、情報端末Tを安定的に載置できる。
【0032】
また、情報端末支持部材10は、一対の支持スタンド11が情報端末Tの両端部をそれぞれ支持するので、支持スタンド11がACアダプタ等を接続するための配線Hの邪魔にならない。
【0033】
また、情報端末支持部材10によれば、パソコンやタブレット等の情報端末Tを置く台として、小型且つ折り畳み可能な構造であるために、例えば洋服のポケットに入れて携帯し、使用者が利用しやすい角度にていつでも用意できる。
【0034】
また、情報端末支持部材10によれば、一対の支持スタンド11を1組として使用するので、ノートパソコン等の情報端末Tのように、その開き角度が180°に満たない情報端末Tでも支持することができる。
【0035】
また、情報端末支持部材10によれば、構造が簡略であるために樹脂等による成形作業や組立作業が容易であるとともに、本情報端末支持部材10から分離する部品がないために部品の紛失が発生しないという利点がある。
【0036】
また、情報端末支持部材10によれば、支持スタンド11が折り畳み可能であるために、不使用時はポケット等に収容して容易に携帯することができる。
【0037】
また、情報端末支持部材10によれば、縦向き又は横向きの別によらず、情報端末Tを一対の支持スタンド11によって安定した状態で支持することができる。
【0038】
尚、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ、或いは動作手順等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の情報端末支持部材は、パネルコンピュータやPDAやノートパソコン等の支持に使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 情報端末支持部材
11 支持スタンド
12 脚部材
13 受け部材
14 前方脚部
15 後方脚部
16 ネジ
17 ネジ
141 第1支柱
142 ストッパ
151 第2支柱
152 脚支持板
153 脚
D 机表面
H 配線
L1 距離
L2 長さ
T 情報端末
T1 情報端末
T2 情報端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末を机表面から所定の高さ位置に支持するための情報端末支持部材であって、
机表面の上に自立可能な一端側脚部材と、該一端側脚部材から突出して設けられて前記情報端末の一端部を下方から受ける一端側受け部材と、を有する一端側支持スタンドと、
机表面の上に前記一端側脚部材から離間して自立可能な他端側脚部材と、該他端側脚部材から突出して設けられて前記情報端末の他端部を下方から受ける他端側受け部材と、を有する他端側支持スタンドと、
を備えることを特徴とする情報端末支持部材。
【請求項2】
前記一端側受け部材が前記一端側脚部材に対して回動可能に設けられるとともに、前記他端側受け部材が前記他端側脚部材に対して回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の情報端末支持部材。
【請求項3】
前記一端側脚部材が、前記一端側受け部材が設けられて机表面に1点で接地する一端側前方脚部と、この一端側前方脚部と交差して机表面に2点で接地する一端側後方脚部とを有し、
前記他端側脚部材が、前記他端側受け部材が設けられて机表面に1点で接地する他端側前方脚部と、この他端側前方脚部と交差して机表面に2点で接地する他端側後方脚部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報端末支持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−164041(P2012−164041A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22402(P2011−22402)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】