説明

情報端末装置、そのデータ加工方法及びプログラム

【課題】通信相手に手軽に心理状態や感情を伝達することが可能な情報端末装置、そのデータ加工方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】センサを用いてユーザの生体情報を測定し、センサで測定された生体情報に基づいて、予め決められたユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す心理強度情報を出力する。そして、心理強度情報の統計値に基づいてユーザが作成中または編集中の画像データを予め決められた所定の加工方法にしたがって加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールの送受信、並びに画像や映像の撮影、編集が可能な情報端末装置、そのデータ加工方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールを利用して他者とコミュニケーションを行う場合、互いの表情や態度等は見えないため、例えば「好き」という言葉を伝えても、どれくらい「好き」なのかは伝わりにくい。
【0003】
通信相手と直接会ってコミュニケーションを行えば、表情、態度、言葉使いなどで、相手の感情をある程度読み取ることができる。しかしながら、物理的あるいは時間的な制約により相手と直接会えるとは限らない。近年では、通話と同時に撮影画像も送受信できる固定電話機や携帯電話機も増えてきているが、送受信するデータ量が大きく、通話料金も高くなるため、通信相手に心理状態や感情を伝達する際に、より手軽に利用できる情報端末装置の実現が望ましい。
【0004】
なお、特許文献1には、人の感情を検出して、該感情を色で可視化する装置及び方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−058449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、通信相手と直接会ってコミュニケーションを行えば、表情、態度、言葉使いなどで、相手の感情をある程度読み取ることができる。しかしながら、物理的あるいは時間的な制約により相手と直接会えるとは限らない。
【0007】
また、通話と同時に撮影画像も送受信できる固定電話機や携帯電話機は、送受信するデータ量が大きく、通信料金も高くなるため、通信相手に心理状態や感情を伝達する際に、より手軽に利用できる情報端末装置の実現が望ましい。
【0008】
本発明は上述したような背景技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、通信相手に手軽に心理状態や感情を伝達することが可能な情報端末装置、そのデータ加工方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の情報端末装置は、ユーザの生体情報を測定する生体情報検出手段と、
前記生体情報検出手段で測定された生体情報に基づいて、予め決められた前記ユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す心理強度情報を出力する心理状態検出手段と、
前記心理強度情報の統計値に基づいて、前記ユーザが作成中または編集中の画像データを予め決められた所定の加工方法にしたがって加工するデータ加工手段と、
を有する。
【0010】
一方、本発明のデータ加工方法は、情報端末装置のデータ加工方法であって、
処理装置が、
センサを用いてユーザの生体情報を測定し、
前記センサで測定された生体情報に基づいて、予め決められた前記ユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す心理強度情報を出力し、
前記心理強度情報の統計値に基づいて、前記ユーザが作成中または編集中の画像データを予め決められた所定の加工方法にしたがって加工する方法である。
【0011】
また、本発明のプログラムは、情報端末装置に画像データを加工させるためのプログラムであって、
センサを用いてユーザの生体情報を測定させ、
前記センサで測定された生体情報に基づいて、予め決められた前記ユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す心理強度情報を出力し、
前記心理強度情報の統計値に基づいて、前記ユーザが作成中または編集中の画像データを予め決められた所定の加工方法にしたがって加工するためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通信相手に手軽に心理状態や感情を伝達することが可能な情報端末装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の情報端末装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示した情報端末装置の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示した情報端末装置による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】図2に示した情報端末装置によるデータ加工方法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明について図面を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明の情報端末装置の一構成例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本発明の情報端末装置は、ユーザの生体情報を測定する生体情報検出手段10と、前記生体情報検出手段10で測定された生体情報に基づいて、予め決められた前記ユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す心理強度情報を出力する心理状態検出手段20と、前記心理強度情報の統計値に基づいて、前記ユーザが作成中または編集中の画像データを予め決められた所定の加工方法にしたがって加工するデータ加工手段30とを有する。
【0017】
図2は、図1に示した情報端末装置の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、本実施形態の情報端末装置1は、入力部2、操作検出部3、表示部4、通信部5、生体情報検出部6、心理状態検出部7及びデータ加工部8を備える。
【0019】
情報端末装置1としては、例えば周知の携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance,Personal Digital Assistants:個人向け携帯型情報通信機器)、ゲーム機、ノート型やタブレット型のパーソナルコンピュータ、据え置き型のパーソナルコンピュータ等がある。
【0020】
入力部2は、情報端末装置1に対してユーザの指示、あるいは文字、数字、記号等のデータを入力するための入力手段である。入力部2は、周知のタッチパネル、キーボード、三次元非接触操作インタフェースあるいはその他の入力手段で実現される。
【0021】
操作検出部3は、ユーザによる情報端末装置1の操作(指示入力、あるいは文字、数字、記号等のデータ入力)を検出し、生体情報検出部6、心理状態検出部7及びデータ加工部8に検出結果を通知する。
【0022】
表示部4は、情報端末装置1による処理中の画像を表示する液晶ディスプレイや有機ELパネル等である。入力部2がタッチパネルである場合、表示部4の表示面上には該タッチパネルが設置されていてもよい。
【0023】
通信部5は、無線通信または有線通信によりネットワークを介して通信相手となる情報端末装置と電子メール、音声、画像等の各種の情報を送受信するための周知の通信回路である。
【0024】
生体情報検出部6は、情報端末装置1を操作しているユーザの生体情報を測定する。この「操作」には、ユーザが単に表示部4を視認している状態を含めてもよい。生体情報検出部6は、ユーザの体温、脈拍、血圧、発汗等を測定する周知の各種センサで実現される。生体情報検出部6には、心理状態検出部7の検出対象であるユーザの特定の心理状態・感情を検出するのに必要なセンサを用いればよい。図1に示した生体情報検出手段10は、生体情報検出部6で実現される。
【0025】
心理状態検出部7は、生体情報検出部6で検出された生体情報に基づいて、予め決められたユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す情報(以下、心理強度情報と称す)を出力する。検出対象となるユーザの心理状態・感情としては、「嬉しい」、「楽しい」等の肯定的な心理状態が好ましい。人の心理状態・感情の検出方法は、例えば上記特許文献1に記載された技術を用いればよい。このように予め決められたユーザの特定の心理状態・感情のみ検出することで、生体情報の検出に必要なセンサの種類を低減できるため、より小規模で実現性の高い生体情報検出部6及び心理状態検出部7が得られる。図1に示した心理状態検出手段20は、心理状態検出部7で実現される。
【0026】
データ加工部8は、心理状態検出部7から出力された心理強度情報に基づいて、ユーザが情報端末装置1を用いて作成中または編集中の画像データを加工し、加工後の画像データを表示部4によりユーザへ提示する。加工対象としては、電子メール、あるいはユーザが情報端末装置1に備えるカメラで撮影した画像や映像等がある。加工方法としては、(1)文字や記号等のフォントや色の変更、(2)絵文字やキャラクター画像等の追加または変更、(3)表示画像の色相、彩度、明度等の変更、(4)表示画像に含まれる人物、動物、キャラクター等の表情や服装の変更等がある。加工方法は、例えばユーザの特定の心理状態・感情の強さに対応して、加工対象毎に予め設定しておけばよい。
【0027】
本実施形態のデータ加工部8は、ユーザが電子メールを作成または編集している間、あるいはユーザがカメラで画像や映像を撮影している間、あるいはその前後で心理状態検出部7から出力される心理強度情報を時系列に取得し、その時系列な心理強度情報の統計値(最大値、平均値、最小値、中央値、最頻値、標準偏差、分散、及び/またはそれらの加減乗除の組み合わせ等)に基づいて画像データを加工する。画像データの加工は、例えば心理強度情報の最大値や平均値等が予め設定された閾値以上であるときに実施すればよい。なお、閾値は1つである必要はなく、複数の閾値を設定し、各閾値の段階に応じて画像データの加工方法を変更してもよい。
【0028】
このように心理強度情報の統計値に基づいて画像データを加工することで、ユーザの心理状態・感情が変動しても、データ加工部8はユーザの特定の心理状態・感情を安定して検出することができる。そのため、ユーザの心理状態・感情の検出ミスが低減される。また、検出対象となるユーザの心理状態・感情を上記「嬉しい」、「楽しい」等の肯定的な心理状態に設定しておけば、ユーザにとって通信相手へ伝えたくない「嫌い」、「つまらない」等の否定的な心理状態が検出されて画像データが加工されることがない。そのため、加工されたデータを見る者が不愉快に感じることが無い。
【0029】
なお、データ加工部8は、心理状態検出部7から出力される心理強度情報に基づく画像データの加工のみ実施し、他の手段やユーザの意図的な操作による画像データの加工を不能としてもよい。その場合、加工された電子メールや画像等を見る者(例えば、通信相手)にとっては、加工後の電子メールや画像で示される作成者や撮影者の心理状態が、ウソではない、信憑性が高いものであることが分かる。図1に示したデータ加工手段30は、データ加工部8で実現される。
【0030】
データ加工部8で加工された電子メール等は、ユーザの操作にしたがって通信部5によりネットワークを介して通信相手となる情報端末装置へ送信される。
【0031】
図2に示した操作検出部3、心理状態検出部7及びデータ加工部8は、周知のCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、メモリ等を備えた処理装置で実現できる。その場合、CPUは、メモリに格納された所定の制御用プログラムにしたがって処理を実行することで情報端末装置1としての機能を実現すると共に、操作検出部3、心理状態検出部7及びデータ加工部8としての機能を実現する。
【0032】
次に、図2に示した情報端末装置の動作について図面を用いて説明する。
【0033】
図3は図2に示した情報端末装置による処理手順の一例を示すフローチャートであり、図4は図2に示した情報端末装置によるデータ加工方法の一例を示す模式図である。
【0034】
以下では、加工対象をユーザが作成中の電子メールとし、該ユーザの心理状態・感情の強さに応じて該電子メールを加工する例で説明する。
【0035】
図3に示すように、ユーザが情報端末装置1を操作して電子メールの作成を開始すると、操作検出部3によって該ユーザによる操作(電子メールの作成)を検出し(ステップS1)、その検出結果を生体情報検出部6、心理状態検出部7及びデータ加工部8に通知する。
【0036】
生体情報検出部6は、操作検出部3からユーザの操作開始が通知されると、ユーザの所定の生体情報を測定し、その測定値を出力する(ステップS2)。
【0037】
心理状態検出部7は、生体情報検出部6で測定された生体情報に基づいて、予め決められたユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す心理強度情報を出力する(ステップS3)。
【0038】
データ加工部8は、操作検出部3からの通知に基づき、ユーザが電子メールを作成または編集している間、あるいはその前後で心理状態検出部7から出力される心理強度情報を時系列で取得し、その時系列な心理強度情報の統計値を算出する。そして、該心理強度情報の統計値が予め設定された閾値以上である場合、作成中の電子メールを所定の加工方法にしたがって加工する(ステップS4)。例えば検出対象となるユーザの心理状態・感情が上記「嬉しい」、「楽しい」等であり、図4(a)に示すようにユーザが電子メールに「好きです。」と入力したときに心理強度情報の統計値が所定の閾値以上である場合、図4(b)に示すように、その文章を複数のハートマークで囲むように加工すればよい。
【0039】
本実施形態の情報端末装置によれば、心理状態検出部7により予め決められたユーザの特定の心理状態・感情のみ検出することで、生体情報の検出に必要なセンサの種類を低減できるため、より小規模で実現性の高い生体情報検出部6及び心理状態検出部7が得られる。したがって、通信相手に手軽に心理状態や感情を伝達することが可能な情報端末装置が実現される。
【0040】
また、心理強度情報の統計値に基づいて画像データを加工することで、ユーザの心理状態・感情が変動しても、データ加工部8はユーザの特定の心理状態・感情を安定して検出することができる。そのため、ユーザの心理状態・感情の検出ミスが低減される。また、検出対象となるユーザの心理状態・感情を上記「嬉しい」、「楽しい」等の肯定的な心理状態に設定すれば、ユーザにとって通信相手へ伝えたくない「嫌い」、「つまらない」等の否定的な心理状態に基づいて画像データが加工されることがない。そのため、加工されたデータを見る者が不愉快に感じることが防止される。
【0041】
さらに、データ加工部8が、心理状態検出部7から出力される心理強度情報に基づく画像データの加工のみ実施し、他の手段やユーザの意図的な操作による画像データの加工を不能とすれば、加工された電子メールや画像等を見る者にとっては、加工後の電子メールや画像で示される作成者や撮影者の心理状態が、ウソではない、信憑性の高いものであることが分かる。
【符号の説明】
【0042】
1 情報端末装置
2 入力部
3 操作検出部
4 表示部
5 通信部
6 生体情報検出部
7 心理状態検出部
8 データ加工部
10 生体情報検出手段
20 心理状態検出手段
30 データ加工手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報を測定する生体情報検出手段と、
前記生体情報検出手段で測定された生体情報に基づいて、予め決められた前記ユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す心理強度情報を出力する心理状態検出手段と、
前記心理強度情報の統計値に基づいて、前記ユーザが作成中または編集中の画像データを予め決められた所定の加工方法にしたがって加工するデータ加工手段と、
を有する情報端末装置。
【請求項2】
前記データ加工手段は、
前記ユーザが作成中または編集中、あるいはその前後で前記心理状態検出手段から出力される心理強度情報を時系列に取得し、その時系列な心理強度情報の最大値または平均値に基づいて前記画像データを加工する請求項1記載の情報端末装置。
【請求項3】
前記心理状態検出手段は、
前記特定のユーザの心理状態・感情として肯定的な心理状態を検出する請求項1または2記載の情報端末装置。
【請求項4】
前記データ加工手段は、
前記心理状態検出手段から出力される心理強度情報のみに基づいて前記画像データの加工を実施する請求項1から3のいずれか1項記載の情報端末装置。
【請求項5】
情報端末装置のデータ加工方法であって、
処理装置が、
センサを用いてユーザの生体情報を測定し、
前記センサで測定された生体情報に基づいて、予め決められた前記ユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す心理強度情報を出力し、
前記心理強度情報の統計値に基づいて、前記ユーザが作成中または編集中の画像データを予め決められた所定の加工方法にしたがって加工するデータ加工方法。
【請求項6】
前記処理装置が、
前記ユーザが作成中または編集中、あるいはその前後で出力された前記心理強度情報を時系列に取得し、その時系列な心理強度情報の最大値または平均値に基づいて前記画像データを加工する請求項5記載のデータ加工方法。
【請求項7】
前記処理装置が、
前記特定のユーザの心理状態・感情として肯定的な心理状態を検出する請求項5または6記載のデータ加工方法。
【請求項8】
前記処理装置が、
前記心理強度情報のみに基づいて前記画像データの加工を実施する請求項5から7のいずれか1項記載のデータ加工方法。
【請求項9】
情報端末装置に画像データを加工させるためのプログラムであって、
センサを用いてユーザの生体情報を測定させ、
前記センサで測定された生体情報に基づいて、予め決められた前記ユーザの特定の心理状態・感情を検出し、その強さを示す心理強度情報を出力し、
前記心理強度情報の統計値に基づいて、前記ユーザが作成中または編集中の画像データを予め決められた所定の加工方法にしたがって加工するためのプログラム。
【請求項10】
前記ユーザが作成中または編集中、あるいはその前後で出力された前記心理強度情報を時系列に取得し、その時系列な心理強度情報の最大値または平均値に基づいて前記画像データを加工するための請求項9記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−29928(P2013−29928A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164418(P2011−164418)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】