説明

情報端末装置及び画像プリントシステム並びに無線ICチップ

【目的】セルフプリント形式によるプリントでの料金決済が簡便であり、しかも映像記憶媒体とは別なる決済手段によって料金決済が可能な情報端末装置及び画像プリントシステム並びにこれらに用いられる無線ICチップを提供することである。
【構成】装填された映像記憶媒体内に記憶されている画像のプリント指定操作が可能な情報端末装置であって、前記プリント指定操作の決済をユーザーが携帯する無線ICチップに記憶されている決済情報に基づき行い、前記プリント指定操作に応じて無線ICチップ内の決済情報を書き換える構成を有することを特徴とする情報端末装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報端末装置及び画像プリントシステム並びに無線ICチップに関し、詳しくは映像記憶媒体に記憶された画像のプリントを行う情報端末装置及び画像プリントシステム並びにこれらに用いられる無線ICチップに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラの普及に伴い、映像記憶媒体からのプリントが増えている。映像記憶媒体に記憶されている画像データからのプリントは、従来の写真店経由で行われる他、コンビニエンスストアや量販店等に設置されている情報端末装置による、所謂セルフプリント形式による方式が普及し出している。
【0003】
セルフプリント形式によるプリントでは料金決済の簡便化が求められており、料金決済をクレジットカードで行う技術(特許文献1参照)や、映像記憶媒体にプリペイドカード機能を付与する技術(特許文献2参照)等が提案されているが、現状ではユーザーが情報端末装置に料金を投入する方式が最も一般的となっている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−141241号
【特許文献2】特開2002−109631号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、ユーザー本人による情報端末装置の操作時に、映像記憶媒体とクレジットカードという何れも機密扱いを要する2枚をほぼ同時に取り扱う必要があり、手軽に且つ気軽に利用するには不都合がある。
【0006】
特許文献2は、映像記憶媒体とプリペイドカードとを1枚で兼用するため操作性は改善されているが、規格の異なる映像記憶媒体の全種類において安全性の確認を行う必要がある等、実用化には種々の障害がある。また、プリントを所望する映像記憶媒体は1枚とは限らないし、いつも同じものとは限らないので、1枚で兼用する構成では不都合が多い。
【0007】
本発明は、セルフプリント形式によるプリントでの料金決済が簡便であり、しかも映像記憶媒体とは別なる決済手段によって料金決済が可能な情報端末装置及び画像プリントシステム並びにこれらに用いられる無線ICチップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0009】
1.装填された映像記憶媒体内に記憶されている画像のプリント指定操作が可能な情報端末装置であって、前記プリント指定操作の決済をユーザーが携帯する無線ICチップに記憶されている決済情報に基づき行い、前記プリント指定操作に応じて無線ICチップ内の決済情報を書き換える構成を有することを特徴とする情報端末装置。
【0010】
2.書き換える無線ICチップ内の決済情報を、情報端末装置の管理用コンピューターに送信する構成を有することを特徴とする上記1に記載の情報端末装置。
【0011】
3.無線ICチップ内の決済情報を書き換える際に、下記(1)〜(4)のエラーの少なくとも1つ及び/又はその他の予め設定されたエラーが発生した場合に画像のプリント指定操作が中止され、情報端末装置内に読み込まれた映像記憶媒体からの情報が消去される構成を有することを特徴とする上記1又は2に記載の情報端末装置。
(1)規定された操作時間を超過
(2)無線ICチップ及び/又は映像記憶媒体からの読み取りエラー
(3)無線ICチップ内の残高不足
(4)不正使用
【0012】
4.前記(1)〜(4)のエラーの内、(3)残高不足であった場合に他の支払い手段を選択することで画像のプリント指定操作が継続される構成を有することを特徴とする上記3に記載の情報端末装置。
【0013】
5.無線ICチップの決済情報書き換え時にエラーが発生した場合、該エラー情報を送信及び/又は表示して情報端末装置外へ知らせる構成を有することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の情報端末装置。
【0014】
6.情報端末装置による操作終了から所定時間経過した場合に、及び/又は無線ICチップが情報端末装置の操作エリアから離れた場合に、該情報端末装置に映像記憶媒体が装填されたままの場合には該映像記憶媒体の取り忘れをユーザーに警告する構成を有することを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の情報端末装置。
【0015】
7.情報端末装置による操作終了から所定時間経過した場合に、及び/又は無線ICチップが情報端末装置の操作エリアから離れた場合に、該情報端末装置に映像記憶媒体が装填されたままの場合には該映像記憶媒体の取り忘れ情報を送信及び/又は表示して情報端末装置外に警告する構成を有することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の情報端末装置。
【0016】
8.無線ICチップ及び/又は映像記憶媒体の情報に基づき、ユーザー情報を情報端末装置外へ送信することを特徴とする上記5又は7に記載の情報端末装置。
【0017】
9.装填された映像記憶媒体内に記憶されている画像のプリント指定操作が可能な情報端末装置が、ユーザーが携帯する無線ICチップと送受信するゲートを配設したエリア内に設置されており、該情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態が生じた場合に映像記憶媒体の取り忘れをユーザーに警告する構成を有することを特徴とする情報端末装置。
【0018】
10.装填された映像記憶媒体内に記憶されている画像のプリント指定操作が可能な情報端末装置が、ユーザーが携帯する無線ICチップと送受信するゲートを配設したエリア内に設置されており、該情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態が生じた場合に映像記憶媒体の取り忘れ情報を送信及び/又は表示して情報端末装置外に警告する構成を有することを特徴とする情報端末装置。
【0019】
11.無線ICチップ及び/又は映像記憶媒体の情報に基づき、ユーザー情報を情報端末装置外へ送信することを特徴とする上記10に記載の情報端末装置。
【0020】
12.上記1〜8のいずれかに記載の情報端末装置と、該情報端末装置に装填されるユーザーが携帯する少なくとも記憶又は書換え可能な映像記憶媒体と、ユーザーが携帯する無線ICチップとを有して成る組合せであって、前記映像記憶媒体内に記憶されている画像のプリント指定操作が前記情報端末装置により行われ、前記無線ICチップに記憶されている決済情報に基づき前記プリント指定操作の決済が前記情報端末装置により行われ、前記プリント指定操作に応じて前記無線ICチップ内の決済情報が書き換えられる構成を有することを特徴とする画像プリントシステム。
【0021】
13.上記9に記載の情報端末装置と、該情報端末装置に装填されるユーザーが携帯する少なくとも記憶又は書換え可能な映像記憶媒体と、ユーザーが携帯する無線ICチップと、該無線ICチップと送受信するゲートとを有して成る組合せであって、該情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態が生じた場合に映像記憶媒体の取り忘れをユーザーに警告する構成を有することを特徴とする画像プリントシステム。
【0022】
14.上記10又は11に記載の情報端末装置と、該情報端末装置に装填されるユーザーが携帯する少なくとも記憶又は書換え可能な映像記憶媒体と、ユーザーが携帯する無線ICチップと、該無線ICチップと送受信するゲートとを有して成る組合せであって、該情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態が生じた場合に映像記憶媒体の取り忘れ情報を送信及び/又は表示して情報端末装置外に警告する構成を有することを特徴とする画像プリントシステム。
【0023】
15.上記1〜8のいずれかに記載の情報端末装置に用いられる無線ICチップであって、装填された映像記憶媒体内に記憶されている画像を前記情報端末装置によってプリント指定操作する場合に、該プリント指定操作の決済が可能な決済情報が記憶及び/又は書き換えられる構成を有することを特徴とする無線ICチップ。
【0024】
16.上記9〜11のいずれかに記載の情報端末装置に用いられると共に、該情報端末装置が設置されているエリアに配設されたゲートと送受信する無線ICチップであって、前記情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態を検知可能な構成を有することを特徴とする無線ICチップ。
【0025】
本明細書において、「プリント指定操作」とは、映像記憶媒体内に記憶されている画像(情報)中、プリントすべき画像を情報端末装置に指示し、プリントすべき設定を行う一連の操作をいうものであり、当該操作は、タッチパネル、キーボード、音声等の1又は2以上の組合せのいずれの手段によってもよい。
【発明の効果】
【0026】
請求項1、12又は15に示す本発明によれば、セルフプリント形式によるプリント指定操作のみで決済が可能であり、従来、プリント指定操作、決済操作と二行程の操作が必要であったものが一行程で済ませられるので、操作性が向上する。
【0027】
請求項2に示す本発明によれば、決済情報を管理用コンピューターに送信する構成を有するので、本部等で一元管理されるだけでなく、ユーザーが無線ICチップを万一紛失したとしてもバックアップされるので安心且つ安全である。
【0028】
請求項3に示す本発明によれば、エラー発生時に情報端末装置に読み込まれた情報を消去する構成を有するので、ユーザーの機密を保つことができると共に、次に利用するユーザーが新規な画面にて操作を開始できるので迷惑がかかることが無い。
【0029】
請求項4に示す本発明によれば、残高不足であった場合でも他の支払い手段で支払い可能な構成を有するので、他の支払い手段(現金やクレジットカード等)を選択して支払ってプリント指定操作を続行することができる。
【0030】
請求項5に示す本発明によれば、決済時にエラーが発生した場合にエラー情報を情報端末装置外へ知らせる構成を有するので、店員・係員等により現場で即時にエラーに対処することができる。
【0031】
請求項6、7、9、10、13、14又は16に示す本発明によれば、ユーザーが映像記憶媒体を情報端末装置に入れたまま取り忘れた場合に、ユーザー又は情報端末装置外へ知らせる構成を有するので、映像記憶媒体を紛失してしまったり、第三者に渡ってしまうことを防止することができる。
【0032】
請求項8又は11に示す本発明によれば、取り忘れたユーザーの無線ICチップ及び/又は映像記憶媒体の情報に基づき、ID情報等のユーザー情報を情報端末装置外へ送信する構成を有するので、取り忘れたユーザーを特定できるので店員・係員等の細やかな対応がより容易となり好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例について図面に基づき説明する。
図1は本発明の情報端末装置の一実施例を示す概略斜視図、図2は本発明の情報端末装置の制御系の一実施例を示すブロック図、図3及び図4は本発明の画像プリントシステムの一実施例を説明するフロー図、図5は本発明が適用される店舗の一実施例を示すレイアウト図である。
【0034】
図1に示す情報端末装置1は、ユーザーが携帯する少なくとも記憶又は書換え可能な映像記憶媒体に記憶されている画像のプリント指定操作を行い、該映像記憶媒体と共にユーザーが携帯する無線ICチップ8に記憶されている決済情報に基づき前記プリント指定操作の決済を行う装置であり、前記プリント指定操作に応じて無線ICチップ8内の決済情報を書き換える構成を有するものである。
【0035】
図1において、情報端末装置1は、各種操作内容や画像情報確認等が説明・表示される表示部であると共に各種操作を行うタッチパネル部でもある画面部2と、ユーザーが携帯していた映像記憶媒体がプリント指定操作のために装填される媒体読取部3と、無線ICチップ8と送受信して各種情報の読み取り及び/又は書き込みを行うリーダー/ライター部4と、無線ICチップ8以外による決済用のベンディング部5と、プリント取出口6を有して構成されている。その他、画像読取手段、画像編集手段、プリント手段、その他の各種制御手段等、この種の情報端末装置に用いられる具体的構成としては公知公用の構成、例えば、前述した特許文献2に記載されている構成を特別の制限なく適用できる。
【0036】
情報端末装置1は、図2に示すようにCPUによって、画面部2(表示部、タッチパネル)、媒体読取部3、無線ICチップ8と送受信するリーダー/ライター部4、無線ICチップ8による決済とベンディング部5からの無線ICチップ8以外の支払い手段による決済を行う決済部、ハードディスク、プリント手段であるプリンター部、RAM、ROM、映像記憶媒体から画像を読み取ると共にプリント指定操作により読み取った画像の各種設定処理を行う画像処理部、の各機能が制御されると共にネットワークインターフェースを介して情報端末装置1の外部においてネットワークされる管理用コンピューターによって各機能及び各情報が管理される。尚、プリント手段はネットワークを介して外部のプリンターによってプリントする構成であっても構わない。
【0037】
本発明に用いられる無線ICチップ8について説明する。尚、「無線ICチップ」という呼び方の他、「無線チップ」、「非接触ICチップ」、「ICタグ」、「無線タグ」、「RFIDタグ」、「非接触ICカード」など様々な呼び方がある。本発明はいずれのものであってもよい。
【0038】
本発明では、片面電極に限らず両面電極の構造を有するものであってもよく、具体的には、オムロン社製V720−D52P01、V720−D52P02、V720−D52P03、V720−D52P04、ICを搭載した日立社製「ミューチップ」、凸版印刷社製「T−ジャンクション」、YRP・ユビキタスネットワークワーキング研究所と東大阪村研究室及びルネサンステクノロジが共同開発した「eトロン/16−AE45X」等が挙げられる。
【0039】
無線ICチップ8としては書換可能なRAM方式と読み出し専用のROM方式とがあるが、本発明では、決済情報の書き換えが可能なRAM方式が採用される。
【0040】
無線ICチップ8に記憶される情報としては、この無線ICチップ8のID、ユーザー情報(氏名・年齢・住所・連絡先・Emailアドレス等)、決済情報(デポジット残高、購入ポイント累積値等)等である。無線ICチップ8の購入や該無線ICチップ8内にデポジットされる金額については、情報端末装置を設置している店舗や管理する企業等に対応したり、或いは情報端末装置に入金機能を付与する構成としても対応可能である。
【0041】
本発明において無線ICチップ8は、携帯に適したカード状のものに搭載されていることが好ましく、カード状のものとしては、例えば、名刺タイプ、クレジットカードタイプ、ネックストラップ等によって首から下げられるIDカードタイプ等が挙げられる。
【0042】
本発明に用いられる少なくとも記憶又は書換え可能な映像記憶媒体とは、SDカードの如き標準規格化されているメモリーカードであり、SDカードの他、miniSDカード、メモリースティック、メモリースティックPRO、メモリースティックDUO、コンパクトフラッシュ、マイクロドライブ、xDピクチャーカード、スマートメディア等に代表されるフラッシュメモリを記憶媒体とするメモリーカード等である。
【0043】
本発明では、映像記憶媒体に記憶されている画像のプリント指定操作を行う構成においては基本的には従来公知公用のセルフプリント形式の構成を有する情報端末装置によって行うが、かかるプリント指定操作の料金決済にユーザーが携帯する無線ICチップ8を利用するものであり、決済を行う構成、即ち、無線ICチップ8と送受信して決済情報の読み取りと書き換えを行う構成が付加された情報端末装置となっている。
【0044】
以下、図3及び図4に基づき本発明の情報端末装置1の利用の流れ、即ち、本発明の画像プリントシステムの一実施例を説明する。
【0045】
先ず、無線ICチップ8及び映像記憶媒体を携帯するユーザーが情報端末装置1の前に立ち初期画面S101を見て操作を開始する。
【0046】
次にS102で無線ICチップ8の読取を促す表示が画面部2になされるので、無線ICチップ8をリーダー/ライター部4に接近ないしは接触させ(用いられる無線ICチップ8の送受信能力等の仕様によって異なる。接触させることなくポケットや鞄に収納したままでも送受信可能であっても構わない。)、該無線ICチップ8内の情報(ユーザー情報や残高情報等)を情報端末装置1に読み取らせる。
【0047】
S103で無線ICチップ8の読取動作の確認において、ユーザーが操作を辞める等して読取が行われない場合(No)は、規定時間を超過すると(S201)、プリント手段がスタンバイ状態へ戻る指示がなされ(S202)、スタンバイとなる(S203)。S201でユーザーが操作を続ける意思がある場合はS102の状態に戻り、無線ICチップ8を読み取らせることとなる。
【0048】
無線ICチップ8の読取動作でエラーが発生した場合は、S104で再読取を促され、再読取でもエラーの場合(Yes)は、管理用コンピューターにエラー情報が送信される(S301)と共にエラー表示される(S302)。操作は中止となる(S303)。
【0049】
S104で、無線ICチップ8が適正に読み取られエラーではなかった場合(No)は、画面に無線ICチップ8に記憶されている情報に基づきユーザー情報が表示され(S105)、確認及び/又は設定・変更等の必要事項が促される(S106)。設定・入力等が必要な時は適宜操作が行われる。
【0050】
媒体読取部3への映像記憶媒体の装填を促す表示(S107)に基づき装填する。
【0051】
映像記憶媒体が規定時間以内に装填されない場合(S401)、ユーザーが操作を辞める等してそのまま装填されない場合(Yes)は、プリント手段がスタンバイ状態へ戻る指示がなされ(S202)、スタンバイとなる(S203)。S401で規定時間内の場合(No)は、S107で映像記憶媒体の装填を促す表示が継続される。
【0052】
装填された映像記憶媒体のエラーの確認において(S109)、読取不良等のエラーが発生した場合(Yes)は、管理用コンピューターにエラー情報が送信される(S501)と共に情報端末装置1の画面部2にエラー表示される(S502)。操作は中止となる(S503)。
【0053】
S109で、映像記憶媒体が適正に装填され、且つ読取エラーがなかった場合(No)は、内部に記憶されている画像が読み取られ、画面部2にインデックス表示される(S110)と共に、画像の選択・枚数指定・サイズ指定等の各種プリント指定操作(プリント設定操作)を促す表示(S111)に基づきユーザーはプリントすべき画像を指定し、指定した画像に対して各種設定を指示する。
【0054】
プリント指定操作(プリント設定操作)の完了の確認において(S112)、一定時間(例えば、3分間)を越えない限り(S601でNo)、S111のプリント指定操作(プリント設定操作)を促す表示は継続されるが、一定時間を越えてプリント指定操作(プリント設定操作)がなされない場合(S601でYes)は、S602で映像記憶媒体の装填状態が確認される。映像記憶媒体がユーザーによって抜き取られて既に装填されてない場合(No)には、プリント手段がスタンバイ状態へ戻る指示がなされ(S202)、スタンバイとなる(S203)。
【0055】
S602で、映像記憶媒体が装填されてる場合(Yes)は、ユーザーが操作を続ける意思が無いのに映像記憶媒体が装填されている状態を映像記憶媒体の取り忘れと判断され、この取り忘れをユーザーと管理用コンピューターの少なくともいずれかに警告して知らせる。警告によって取り忘れに気付いたユーザー又は管理用コンピューターを介して取り忘れを知った店員や係員が映像記憶媒体を抜き取るまで、S602により映像記憶媒体の装填状態が確認され、S603により警告が発せられる。尚、この取り忘れに対する警告については更に後述する。
【0056】
S112でプリント指定操作(プリント設定操作)が完了(Yes)すると、S113で決済の表示がなされ、無線ICチップ8により決済を促す表示がなされる。
【0057】
S114で無線ICチップ8以外の支払いを行うかどうかの選択が促され、他の支払手段を選択(Yes)することもでき、その場合にはベンディング部5を用いて現金やクレジットカードによる支払いが行われ(S130)、後述するS118へ操作が続くこととなる。
【0058】
S114で他の支払い手段を選ばず(No)に無線ICチップ8による決済とした場合は、S115で無線ICチップ8をリーダー/ライター部4に接近ないしは接触させる。即ち、プリントすべき画像の選択や設定が完了した状態において(S112でYes)、積極的に他の支払手段を選択しない限り、無線ICチップ8をリーダー/ライター部4に接触させるという一つの動作で、プリント指示と決済が完了するため、操作がシンプルで、煩わしさが全くない。尚、もし無線ICチップ8が接触させることなくポケットや鞄に収納したままでも送受信可能である場合には、ユーザーのボタン操作(一操作)でプリント指示と決済を完了させるようにする。
【0059】
S116で無線ICチップ8内の情報(デポジット残高等)に基づき決済可能であるかが判断され、可能な場合はS117で決済が行われる。該決済により無線ICチップ8内の決済情報が書き換えられる。決済情報は、情報端末装置1と無線ICチップ8間だけでなく、情報端末装置1の管理コンピューターへも送信されて本部等で一元管理されることが好ましい。これにより、ユーザーが無線ICチップ8を万一紛失したとしてもバックアップされるので安心且つ安全である。
【0060】
無線ICチップ8を読み取る際、或いは決済情報を書き換える際に、エラーが発生した場合には画像のプリント指定操作が中止され、情報端末装置1内のハードディスクやRAMに読み込まれた映像記憶媒体からの画像が消去される(S702),(S901)。中止されることによりユーザーは情報端末装置を離れるが、この際に該ユーザーの各種情報を消去することで該ユーザーの機密を保つことができると共に、次に利用するユーザーが新規な画面にて操作を開始できるので迷惑がかかることが無い。エラーとしては下記(1)〜(4)及び/又はその他の予め設定されたエラーが挙げられ、少なくとも1つが発生した場合にプリント指定操作は中止される。
(1)規定された操作時間を超過(S701)
(2)無線ICチップ8及び/又は映像記憶媒体からの読み取りエラー
(3)無線ICチップ8内の残高不足(S801)
(4)不正使用
【0061】
上記(1)は、1ユーザーによって1台の情報端末装置が不必要に長時間独占使用されるのを防止するためである。規定時間超過後(S701)、操作は中止となる(S702)。その後、S602において映像記憶媒体の取り忘れの確認が行われる。
【0062】
上記(2)は、無線ICチップ8と映像記憶媒体のいずれかが読み取りできない場合、プリント指定操作が不可能となるからである。無線ICチップ8のみ読み取りエラーとなった場合には、他の支払手段(現金やクレジットカード等)を選択して支払い可能とすることで、操作中止とならずにプリント指定操作を続行する構成とすることが好ましい。支払いが無い場合は操作は中止となる。
【0063】
上記(3)の残高不足であった場合は、S801で他の支払い手段(現金やクレジットカード等)を選択して支払いを行うことが確認できたときには(S801でYes)、操作中止とならずにプリント指定操作を続行する構成とし、S118の処理が続行することとなる。支払いが無い乃至は行わない場合(No)は操作は中止となる(S901)。端末装置外にエラー情報が送信され(S902)、エラー表示され(S903)、操作は中止となる(S904)。
【0064】
上記(4)の不正使用、例えば、無線ICチップ8の改造等の場合は、操作は即刻中止となる。更に、不正使用情報が管理コンピューターに送信され、最寄の店員や警備員等に連絡・通報する構成とすることが好ましい。
【0065】
尚、決済情報書き換え時にエラーが発生した場合は、該エラー情報を送信及び/又は表示して情報端末装置外へ知らせる構成とすることが好ましい。ここで本明細書において「情報端末装置外」とは管理コンピューターや当該情報端末装置の設置されている店舗等の店員・係員等を示す。店員・係員等により現場で即時にエラーに対処(例えば、店舗等のマスター端末装置等で書き換える。)することが好ましい。この際、エラーが発生したユーザーのID情報等が店員・係員等に送信される構成としておけば、きめ細かな対応がより容易となり好ましい。
【0066】
決済可能である場合は決済が行われ(S117)、映像記憶媒体から画像情報が読み取られ(S118)、各種プリント指定操作された画像のプリントが行われる(S119)。尚、決済が行われ、プリントが開始される前であれば、ユーザー側の指定により操作を中止できるようにする構成も本発明に包含される。
【0067】
プリント終了後、情報端末装置1内に読み込まれた画像情報は消去される(S120)。
【0068】
ユーザーは全ての操作を終了(S121)した後、或いは操作を途中で中止した又はエラーで中止になった場合はその時点で、情報端末装置1の媒体読取部3から映像記憶媒体を抜き取り終了となる。
【0069】
本発明では、映像記憶媒体と無線ICチップ8との2種類のカード様を取り扱うことになるので、情報端末装置1の媒体読取部3に装填した映像記憶媒体を取り忘れてしまう可能性を有している。従って、取り忘れを防止する構成(S602、S603)を全ての操作が終了(S121)した部分にも付与することが好ましい。
【0070】
即ち、情報端末装置1による操作終了から所定時間経過した場合や無線ICチップ8が情報端末装置1の操作エリアから離れた場合に、該情報端末装置1に映像記憶媒体が装填されたままの場合、即ち、映像記憶媒体を取り忘れてしまった場合に取り忘れをユーザーに警告する構成を付与することが好ましい。尚、本明細書において「操作エリア」とは情報端末装置1を実質的に操作できる範囲内、具体的には情報端末装置1に手が届いて操作できる範囲内を言うが、姿勢や立つ位置を変える等して手が届かない範囲になったとしても、操作できる領域を確保しており、直ぐに操作できる程度に位置していれば操作エリアに含むものとする。
【0071】
この取り忘れに対する警告は、ユーザーに向けてに限らず、情報端末装置外に向けての警告、或いは両者に向けての警告であってもよい。ユーザーに向けての場合は、情報端末装置1が警告の音・音声・光を発するようにしてもよいし、店舗内の放送による警告や店舗内の情報表示画面等での警告であってもよい。情報端末装置外に向けての場合は、店員や係員に担当端末装置や近隣の端末装置によって警告することで、店員や係員がユーザーに知らたり、ユーザーが捉まらなかった場合には店舗で預かりユーザー本人に連絡する等して対応できるようにすることが好ましい。これにより、取り忘れた映像記憶媒体を紛失してしまったり、第三者に渡ってしまうことを防止することができる。
【0072】
情報端末装置外に向けての場合、取り忘れたユーザーの無線ICチップ8及び/又は映像記憶媒体の情報に基づき、ID情報等のユーザー情報を情報端末装置外へ送信する構成とすることにより、取り忘れたユーザーを特定できるので店員・係員等のきめ細かな対応がより容易となり好ましい。
【0073】
さらに本発明では、図5に示すように、情報端末装置1を、ユーザーが携帯する無線ICチップ8と送受信するゲート7を配設したエリア(本態様では店舗)内に設置し、ユーザーが映像記憶媒体を情報端末装置1から取り忘れたままエリア外へ出る可能性又はその事態が生じた時、ゲート7が無線ICチップ8を検知してユーザーに警告する構成とすることもできる。この警告についても、前述の操作エリアから離れる場合と同様に、ユーザーに限らず、情報端末装置外である管理コンピューターや店員・係員等に警告する構成とすることもできる。警告手段やユーザー情報の送信についても操作エリアから離れる場合と同様である。尚、本明細書において「エリア」とは、店舗(コンビニエンスストアや量販店等の文字通りの店舗)に限らず、店舗内の特定のコーナー、複数階を有する店舗の特定階、複合店等のコーナー展開の店舗、駅構内や地下街等のコーナー展開の店舗又は単なる情報端末装置単体設置のコーナー等を言うこととする。尚また、本明細書において「エリア外へ出る可能性又はその事態」とは、エリア外へ出ようとゲート7に近付いた時、出る時、出てしまった後、出るつもりはなくてもゲート7に近付いた時を言うこととする。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の情報端末装置の一実施例を示す概略斜視図
【図2】本発明の情報端末装置の制御系の一実施例を示すブロック図
【図3】本発明の画像プリントシステムの一実施例を説明するフロー図(1/2)
【図4】本発明の画像プリントシステムの一実施例を説明するフロー図(2/2)
【図5】本発明が適用される店舗の一実施例を示すレイアウト図
【符号の説明】
【0075】
1 情報端末装置
2 画面部
3 媒体読取部
4 リーダー/ライター部
5 ベンディング部
6 プリント取出口
7 ゲート
8 無線ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装填された映像記憶媒体内に記憶されている画像のプリント指定操作が可能な情報端末装置であって、前記プリント指定操作の決済をユーザーが携帯する無線ICチップに記憶されている決済情報に基づき行い、前記プリント指定操作に応じて無線ICチップ内の決済情報を書き換える構成を有することを特徴とする情報端末装置。
【請求項2】
書き換える無線ICチップ内の決済情報を、情報端末装置の管理用コンピューターに送信する構成を有することを特徴とする請求項1に記載の情報端末装置。
【請求項3】
無線ICチップ内の決済情報を書き換える際に、下記(1)〜(4)のエラーの少なくとも1つ及び/又はその他の予め設定されたエラーが発生した場合に画像のプリント指定操作が中止され、情報端末装置内に読み込まれた映像記憶媒体からの情報が消去される構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報端末装置。
(1)規定された操作時間を超過
(2)無線ICチップ及び/又は映像記憶媒体からの読み取りエラー
(3)無線ICチップ内の残高不足
(4)不正使用
【請求項4】
前記(1)〜(4)のエラーの内、(3)残高不足であった場合に他の支払い手段を選択することで画像のプリント指定操作が継続される構成を有することを特徴とする請求項3に記載の情報端末装置。
【請求項5】
無線ICチップの決済情報書き換え時にエラーが発生した場合、該エラー情報を送信及び/又は表示して情報端末装置外へ知らせる構成を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の情報端末装置。
【請求項6】
情報端末装置による操作終了から所定時間経過した場合に、及び/又は無線ICチップが情報端末装置の操作エリアから離れた場合に、該情報端末装置に映像記憶媒体が装填されたままの場合には該映像記憶媒体の取り忘れをユーザーに警告する構成を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の情報端末装置。
【請求項7】
情報端末装置による操作終了から所定時間経過した場合に、及び/又は無線ICチップが情報端末装置の操作エリアから離れた場合に、該情報端末装置に映像記憶媒体が装填されたままの場合には該映像記憶媒体の取り忘れ情報を送信及び/又は表示して情報端末装置外に警告する構成を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の情報端末装置。
【請求項8】
無線ICチップ及び/又は映像記憶媒体の情報に基づき、ユーザー情報を情報端末装置外へ送信することを特徴とする請求項5又は7に記載の情報端末装置。
【請求項9】
装填された映像記憶媒体内に記憶されている画像のプリント指定操作が可能な情報端末装置が、ユーザーが携帯する無線ICチップと送受信するゲートを配設したエリア内に設置されており、該情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態が生じた場合に映像記憶媒体の取り忘れをユーザーに警告する構成を有することを特徴とする情報端末装置。
【請求項10】
装填された映像記憶媒体内に記憶されている画像のプリント指定操作が可能な情報端末装置が、ユーザーが携帯する無線ICチップと送受信するゲートを配設したエリア内に設置されており、該情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態が生じた場合に映像記憶媒体の取り忘れ情報を送信及び/又は表示して情報端末装置外に警告する構成を有することを特徴とする情報端末装置。
【請求項11】
無線ICチップ及び/又は映像記憶媒体の情報に基づき、ユーザー情報を情報端末装置外へ送信することを特徴とする請求項10に記載の情報端末装置。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれかに記載の情報端末装置と、該情報端末装置に装填されるユーザーが携帯する少なくとも記憶又は書換え可能な映像記憶媒体と、ユーザーが携帯する無線ICチップとを有して成る組合せであって、前記映像記憶媒体内に記憶されている画像のプリント指定操作が前記情報端末装置により行われ、前記無線ICチップに記憶されている決済情報に基づき前記プリント指定操作の決済が前記情報端末装置により行われ、前記プリント指定操作に応じて前記無線ICチップ内の決済情報が書き換えられる構成を有することを特徴とする画像プリントシステム。
【請求項13】
請求項9に記載の情報端末装置と、該情報端末装置に装填されるユーザーが携帯する少なくとも記憶又は書換え可能な映像記憶媒体と、ユーザーが携帯する無線ICチップと、該無線ICチップと送受信するゲートとを有して成る組合せであって、該情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態が生じた場合に映像記憶媒体の取り忘れをユーザーに警告する構成を有することを特徴とする画像プリントシステム。
【請求項14】
請求項10又は11に記載の情報端末装置と、該情報端末装置に装填されるユーザーが携帯する少なくとも記憶又は書換え可能な映像記憶媒体と、ユーザーが携帯する無線ICチップと、該無線ICチップと送受信するゲートとを有して成る組合せであって、該情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態が生じた場合に映像記憶媒体の取り忘れ情報を送信及び/又は表示して情報端末装置外に警告する構成を有することを特徴とする画像プリントシステム。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれかに記載の情報端末装置に用いられる無線ICチップであって、装填された映像記憶媒体内に記憶されている画像を前記情報端末装置によってプリント指定操作する場合に、該プリント指定操作の決済が可能な決済情報が記憶及び/又は書き換えられる構成を有することを特徴とする無線ICチップ。
【請求項16】
請求項9〜11のいずれかに記載の情報端末装置に用いられると共に、該情報端末装置が設置されているエリアに配設されたゲートと送受信する無線ICチップであって、前記情報端末装置によるプリント指定操作を行ったユーザーが前記情報端末装置に映像記憶媒体を装填したままの状態で前記エリア外へ出る可能性又はその事態を検知可能な構成を有することを特徴とする無線ICチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−18653(P2006−18653A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196797(P2004−196797)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.コンパクトフラッシュ
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】