説明

情報端末

【課題】情報端末において、ポインティング情報とキー情報の入力を受け付ける情報端末の小型化を図る。
【解決手段】情報端末では、タッチ操作がなされると、電極シート200の静電容量が変化する。当該変化の量に基づいて、キーボード入力モードとポインティング入力モードとが切替えられる。電極シート200の静電容量の変化量が第1の値を超える場合には、キーボード入力モードに設定され、キー情報が生成される。当該変化量が第1の値以下であり第2の値を超える場合には、ポインティング入力モードに設定され、ポインティング情報が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末に関し、特に、ポインティング情報とキー情報の入力を受け付ける情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、情報端末において、複数のキーを配列されたキーボードによるキー情報の入力と、ポインティングデバイスによるポインティング情報の入力とを受け付けるものが多く存在している。このような情報端末は、キーボードとポインティングデバイスとを有する。たとえば、ノート型のパーソナルコンピュータ(以下、「PC」)においては、キーボードと、ポインティングデバイスとしてタッチパッドとが備えられる。
【0003】
このような情報端末において、市場からのニーズによりますます小型化が進む中、キーボードやタッチパッドについても小型化が求められる。しかしながら、これらについては、操作性の問題から、小型化には限度がある。
【0004】
なお、従来から、情報端末におけるタッチパッドに関し、種々技術が開示されている。
たとえば、特許文献1(特開2008−065730号公報)には、タッチパッドとして感度の高い静電容量方式のセンサを用いることにより、2次元座標の入力に加えて、空間上にある被検出体の位置を3次元座標として入力することができる携帯通信端末装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2008−257374号公報)には、表示装置に仮想キーの配置を表示し、タッチパッドに対して、スライド操作がなされた場合には選択される仮想キーを変更する操作として認識し、当該タッチパッドに対する押圧力を上げる操作がなされた場合には選択されている仮想キーに対して決定操作がなされたと認識する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−065730号公報
【特許文献2】特開2008−257374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1は、タッチパッドに対する入力情報の処理に特徴を有するものの、当該タッチパッドに対する入力情報の取扱いは、キーボードとの関係を考慮されたものではなかった。また、特許文献2は、表示装置に表示された仮想キーに対する選択操作や決定操作に関するものであるものの、表示装置に表示された仮想キーからタッチパッドに対する操作によって入力するキーを決定することは、通常のキーボードにおいて配列されたキーを入力する操作に対して、格段に煩雑なものであり、この点から、特許文献2であっても、タッチパッドに対する入力情報を、キーボードとの関係を考慮して取扱うものとは言えなかった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、情報端末において、ポインティング情報とキー情報の入力を受け付ける情報端末の小型化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った情報端末は、導体が接近したことに基づいて静電容量が変化するシート状電極と、シート状電極における静電容量の変化量を検出する第1の検出手段と、シート状電極に積層され、複数のキーを有するキー入力機構とを備え、キー入力機構では、シート状電極に積層された面上に複数のキーが配列され、キーのいずれかが積層方向に押圧されたことを検出する第2の検出手段と、第1の検出手段によって検出された変化量に基づいて、シート状電極におけるキー入力機構を積層された面上の操作位置の情報であるポインティング情報を生成し、かつ、第2の検出手段の検出出力に基づいて、押圧されたことを検出されたキーが入力されたことを示す情報であるキー情報を生成する、入力情報生成手段とをさらに備える。
【0010】
また、本発明の情報端末では、入力情報生成手段は、第1の検出手段が検出した変化量が第1の値を超える場合にはキー情報のみを生成し、第1の検出手段が検出した変化量が第1の値以下であって第1の値より小さい第2の値を超える場合にはポインティング情報のみを生成することが好ましい。
【0011】
また、本発明の情報端末では、第2の検出手段は、各キーが積層方向に、所定の大きさ以上の力で押圧された場合に、各キーが押圧されたことを検出し、シート状電極は、所定の大きさ以上の力で押圧された場合に、その静電容量の変化量が第1の値を超えるように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の情報端末では、キー入力機構は、第1の導体と、第2の導体と、第1の導体を第2の導体に対して積層方向に離間して支持する支持体とを備え、支持体は、可塑性材料からなり、積層方向に所定の大きさ以上の力で押圧されることにより第1の導体が第2の導体に当接するように変形することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記構成によれば、シート状電極とキー入力機構が積層されたものに対してユーザが操作した場合、キー入力機構のキーが押圧されるとキー入力情報が生成され、シート状電極の上の操作位置に応じて操作位置の情報が生成される。
【0014】
これにより、ユーザが上記積層体に対して操作することにより、情報端末は、当該操作に基づいて、ポインティング情報とキー情報を生成できる。
【0015】
したがって、ポインティング情報の入力を受け付ける装置とキー情報の受け付ける装置を重ねて配置でき、情報端末の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の携帯である情報端末の外観を示す図である。
【図2】図1の情報端末の第2の筺体の内部構造を説明するための図である。
【図3】図1の情報端末のキー入力機構の構成を説明するための図である。
【図4】図1の情報端末のキー入力機構の構成を説明するための図である。
【図5】図1の情報端末の電極シートの構成を説明するための図である。
【図6】図1の情報端末のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図7】図1の情報端末がポインティング入力モードにおいて入力される情報を説明するための図である。
【図8】図1の情報端末がキーボード入力モードにおいて入力される情報を説明するための図である。
【図9】図1の情報端末において実行される入力情報生成処理のフローチャートである。
【図10】図9の処理内容を説明するための図である。
【図11】図1の情報端末の変形例における、情報の入力態様を説明するための図である。
【図12】図1の情報端末のX電極層およびY電極層の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の情報端末の実施の形態について説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号が付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0018】
[1.情報端末の概略構成]
図1は、情報端末100の外観を示す図である。
【0019】
情報端末100は、第1の筺体1と第2の筺体2を含む。第1の筺体1と第2の筺体2は、所定の軸(図示略)によって、互いに折り畳み可能に連結されている。情報端末100は、必ずしも折り畳み可能に構成された複数の筺体を含む必要はない。単一の筺体から構成されていてもよい。
【0020】
第1の筺体1は、表示部30を含む。表示部30は、たとえば、液晶表示装置によって構成される。表示部30には、ウェブページ等のネットワーク上の文書や、情報端末100内に格納されるアドレス帳や、情報端末100において実行されるメーラによるメール作成画面、文書作成アプリケーションによる編集画面、描画アプリケーションによる画像作成画面、画像データや映像データの閲覧アプリケーションにおける閲覧画面等の種々の情報を表示することができる。
【0021】
第2の筺体2は、操作エリア20が設けられ、当該操作エリア20内には、キー群21A、レフトキー21B、ライトキー21Cが設けられている。キー群21Aは、19個の操作ボタンを含む。レフトキー21Bおよびライトキー21Cは、それぞれ操作ボタンである。操作エリア20は、後述する電極シート200が内蔵される領域である。
【0022】
[2.情報端末の内部構造]
図2は、情報端末100の第2の筺体2の内部構造を説明するための図である。
【0023】
第2の筺体2では、キー操作部500、キー入力部400、および、電極シート200が、順に積層されている。
【0024】
キー操作部500は、複数のキー501〜505を含む。キー501〜505は、それぞれ、キー群21Aに含まれる操作ボタン、または、レフトキー21Bもしくはライトキー21を構成する操作ボタンに対応する。キー操作部500の各キー501〜505は、第2の筺体2表面において突出している。ただし、キー操作部500の各キー501〜505は、その表面を第2の筺体2の他の部分と面一で、つまり段差なく構成されていても良い。各キー501〜505が図の下方向(キー操作部500、キー入力部400、および、電極シート200の積層方向)に所定の力以上の力で押圧されることにより、その底面がキー入力部400に当接する。これにより、情報端末100では、各キーの入力情報が生成される。本実施の形態では、キー操作部500とキー入力部400により、キー入力機構600が構成される。
【0025】
[3.キー入力機構の構成]
図3(A)に、キー入力機構600の、キー501に対応した部分の拡大図を示す。図3(A)を参照して、キー501は、その底面にカーボン501Aのパターンを印刷され、そして、支持部501Bによって、キー入力部400に対して上記積層方向に離間するように支持されている。支持部501Bは、可塑性材料(たとえば、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂、ゴム等)からなる。
キー入力部400のカーボン501Aに対向する部分には、導電材料からなる配線パターン401が印刷されている。図3(B)は、図3(A)に示したキー入力部400の上面図である。配線パターン401は、プリント配線400Aによって、後述する入力情報検出部410に電気的に接続されている。キー501に対応して、キー入力部400には2つの配線パターン401が形成されている。キー入力部400の配線パターン401を形成された部分以外の部分は、絶縁体からなる。図3(A)および図3(B)に示された状態では、2つの配線パターン401は、電気的に導通していない状態である。
【0026】
図3(A)に示された状態からキー501が積層方向下向きに押圧されると、図4(A)に示されるように支持部501Bが撓み、キー501の底面が、配線パターン401に当接する。これにより、図4(B)に模式的に示されるように、2つの配線パターン401は、カーボン501Aによって電気的に導通した状態となる。入力情報検出部410では、配線パターン401における導通状態の変化に基づいて、キー501が押圧されたか否かを判断し、押圧された場合には、キー501に対応したキーの入力情報を生成する。生成した情報は、後述する制御部50が実行するアプリケーションに渡される。これにより、当該アプリケーションにおいて、キーの入力情報が反映された処理が実行される。
【0027】
キー入力機構600では、各キー(ボタン)について、キー501に関して説明したような構成を有している。
【0028】
図2(A)に示されるように、キー操作部500には、キー501と同様の構成を有する複数のキー(その一部がキー501〜505として示される)が設けられ、キー入力部400には、各キーに対応した、配線パターン401と同様の構成を有する、複数の配線パターン(その一部が配線パターン401〜405として示される)が印刷されている。各キーの底面には、キー501のカーボン501Aと同様に、カーボン(その一部がキー501A〜505Aとして示される)が印刷されている。
【0029】
[4.電極シートの構成]
図5(A)に、電極シート200の詳細な構成を示す。電極シート200では、ノイズ保護シート201、絶縁体であるガラス202、そして、電極層203が、順に積層されている。電極層203は、所定の電圧が印加される。情報端末100では、電極層203の静電容量を検出する検出部205が設けられている。検出部205は、入力情報検出部210に含まれる。図5(A)に示されるように、電極シート200の表面にユーザの指Fが近づくと、電極層203における静電容量が変化する。その変化量を、検出部205で検出することにより、電極シート200において、キー入力部400が積層される平面上のどの位置に指Fが近づけられたか(操作位置)が特定される。
【0030】
具体的には、電極層203は、当該電極層203のX方向の操作位置を特定するためのX電極層2031と、Y方向の操作位置を特定するためのY電極層2032とが積層されて構成される。図12(A)にX電極層2031の構成を、図12(B)にY電極層2032の構成を、それぞれ模式的に示す。
【0031】
図12(A)を参照して、X電極層2031では、電極層203のX方向に、複数のX電極2031A,2031B,…2031X,…2031Nが配列されている。
【0032】
図12(B)を参照して、Y電極層2032では、電極層203のY方向に、複数のY電極2032A,2032B,…2032Y,…2032Mが配列されている。
【0033】
携帯端末100の初期状態では、X電極2031A,2031B,…2031X,…2031NとY電極2032A,2032B,…2032Y,…2032Mには、それぞれ、所定の電圧が印加されている。そして、電極層203に対する指Fの操作位置が、X方向ではX電極2031X上であり、Y方向ではY電極2032Y上である場合、X電極2031XとY電極2032Yの電位が変化する。携帯端末100では、検出部205は、X電極2031A,2031B,…2031X,…2031Nのそれぞれについて、Y電極2032A,2032B,…2032Y,…2032Mのそれぞれとの電位差を検出する。そして、電位差に変化が生じたX電極とY電極の組を特定する。制御部50は、特定された組の情報に基づいて、当該組のX電極のX方向の位置を特定し、当該組のY電極のY方向の位置を特定し、これにより、電極層203における操作位置を特定する。
【0034】
なお、X電極2031A,2031B,…2031X,…2031NのそれぞれをX方向の位置に変換するための情報、および、Y電極2032A,2032B,…2032Y,…2032MのそれぞれをY方向の位置に変換するための情報は、後述する第2変換情報記憶部62に記憶されている。
【0035】
また、電極シート200の電極層203では、操作される力の大きさ、つまり、操作エリア20に対するタッチ操作によって上記積層方向に加えられる力の大きさによって、静電容量が変化する。本実施の形態では、静電容量の変化量が一定の値を超える場合であって特定の値以下の場合には、電極シート200における操作位置に応じたポインティング情報が生成される。ポインティング情報とは、電極シート200のどの位置が操作されたかを特定する情報である。一方、静電容量の変化量が特定の値を超えた場合には、キー入力機構600に対するキー入力操作であるとして、上記ポインティング情報は生成されない。
【0036】
[5.情報端末のハードウェア構成]
図6は、情報端末100のハードウェア構成を模式的に示す図である。
【0037】
図6を参照して、情報端末100は、当該情報端末100の動作を全体的に制御する制御部50、データの送受信を行なうためのアンテナ81、アンテナ81によるデータの送受信の際の信号の処理等を行なう通信制御部80、フラッシュメモリ等の記憶装置からなる記憶部60、表示部30、表示部30における表示内容を制御する表示制御部31、音声の入力を受け付けるマイク52、音声を出力するスピーカ51、スピーカ51から出力させる音声を制御する音声出力制御部51A、マイク52に入力された音声を処理して制御部50へ送る音声入力制御部52A、ならびに、カメラ91を含む。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置を含む。また、制御部50には、タイマ50Aが内蔵されている。
【0038】
情報端末100は、さらに、電極シート200における入力情報検出部210、および、キー入力部400の各キーに対応する配線パターン401の導通状態を検出する入力情報検出部410を含む。
【0039】
記憶部60は、第1変換情報記憶部61、第2変換情報記憶部62、データ記憶部63、および、プログラム記憶部64を含む。第1変換情報記憶部61は、キー入力機構600に対する操作によって生成されたキー情報を、制御部50が実行しているアプリケーションに対して入力される情報に変換するための情報を記憶する。たとえば、キー群21A中の或るキーが所定の大きさ以上の力で押圧された場合、入力情報検出部410は、当該キーに対応する配線パターン401の対が導通状態となったことを検出する。また、キー情報とは、第2の筺体2に備えられた複数のキーの中のどれが操作されたかという情報である。第1変換情報記憶部61は、当該配線パターン401の対が導通状態となったという情報を、キー情報に変換するための情報を記憶する。第2変換情報記憶部62は、上記したように、入力情報検出部210の検出部205が検出した電位差が変化したX電極とY電極の組の情報を、ポインティング情報に変換するための情報を記憶する。データ記憶部63は、制御部50が実行する処理に必要な設定値やデータベースなどの種々の情報を記憶する。プログラム記憶部64は、制御部50の演算装置が実行するプログラムを記憶する。
【0040】
[6.情報端末において入力される情報]
図7は、操作エリア20に対してユーザが指Fを近づけて(タッチさせて)操作したときの、操作内容と情報端末100に入力される関係の一例を模式的に示す図である。
【0041】
図7の例は、指Fが、矢印A71,A72,A73,A74の順に、上記所定の大きさより小さい力で操作エリア20上(操作エリア20に直接触れて、または、電極シート200において一定の値を超える静電容量の変化量を検出できる範囲内の距離だけ操作エリア20に対して離間した距離で)を移動した場合を示す。
【0042】
この場合、操作エリア20内のキー入力は検出されない。いかなるキーも、図4(A)および図4(B)を参照して説明したような、カーボン501Aが配線パターン401の対を導通状態にするのに必要な力で押圧されていないからである。
【0043】
この場合、指Fの移動による、電極層203において電位差が変化したX電極とY電極の組の履歴が、入力情報検出部410によって検出される。そして、制御部50は、当該履歴と第2変換情報記憶部62に記憶された情報とを利用して、操作エリア20に対して操作がなされた位置の履歴であるポインティング情報を生成する。制御部50が描画アプリケーションを実行している場合、生成されたポインティング情報がアプリケーションに送られることにより、当該アプリケーションは、矢印A71〜A74の軌跡に対応した線画ARを構成する情報を生成し、当該線画ARを、表示部30に表示させる。なお、図7中のPT1は、ポインティングデバイス情報の最新の入力位置を示すポインタである。
【0044】
図8(A)〜図8(C)は、ユーザが、操作エリア20内のキーを、所定の大きさ以上の力で押圧したときの、操作内容と情報端末100に入力される情報の関係を模式的に示す図である。図8(A)および図8(B)では、操作エリア20に対するキーの操作が示され、図8(C)では、図8(A)および図8(B)に示したキー操作によって表示部30に表示される内容が示されている。
【0045】
図8(A)および図8(B)の例では、ユーザの指が、矢印A81方向にキー503を上記所定の大きさ以上の力で押圧し、矢印A82方向に移動し、そして、矢印A83方向にキー505を上記所定の大きさ以上の力で押圧している。図8(A)および図8(B)では、キー503を押圧する指が指F1で示され、キー505を押圧する指が指F2で示されている。
【0046】
キー503が矢印A81方向に押圧されることにより、キー503の底面に印刷されたカーボン503Aがキー入力部400に当接する。これにより、キー503に対応してキー入力部400に印刷された配線パターン403の対に当接して、これらを導通させる。なお、配線パターン403は、図4(B)の配線パターン401と同様に、キー入力部400上で対になるように印刷されており、当該対は、導通しないように印刷されている。図8(B)では、キー群21Aの中で、操作されたキーがハッチングを付されて強調されて示されている。
【0047】
図8(C)には、表示部30における表示画面の一例が示されている。当該表示画面は、情報端末100において文書作成アプリケーションが実行されているときの、文書の編集画面の一例である。当該編集画面では、入力された文字列と、カーソル30Aが表示されている。
【0048】
情報端末100では、キー503が押圧されることにより、配線パターン403の対が導通されると、そのことに基づいて、キー503が操作されたことを示す情報が生成される。当該情報が、実行中のアプリケーションに送られると、アプリケーションは、当該情報を、文字情報等の文書編集用の情報に変換する。変換されることによって生成された情報に基づいて、表示部30に表示される編集画面が適宜更新される。たとえば、変換されることによって生成された情報が文字情報である場合には、当該文字情報に対応する文字が追加されるように、上記編集画面が更新される。
【0049】
[7.入力情報生成処理]
上記したように、情報端末100は、操作エリア20内のキーを押圧されることにより当該キーに対応したキー情報を生成し、操作エリア20上をユーザの指が移動するように操作されることにより、ポインティング情報を生成する。これらの情報を生成する際に制御部50が実行する処理(入力情報生成処理)について、当該処理のフローチャートである図9を参照して説明する。
【0050】
図9を参照して、入力情報生成処理では、制御部50は、まずステップS10において、検出部205が検出する電極層203の静電容量値を読み込み、ステップS20へ処理を進める。ここで、静電容量値とは、たとえば、検出部205において検出された静電容量の変化量の総量である。
【0051】
ステップS20では、制御部50は、ステップS10で読み込んだ静電容量値と定常時の静電容量値との差がY1を超えているか否かを判断し、超えていないと判断するとステップS10へ処理を戻し、超えていると判断するとステップS30へ処理を進める。ここで、定常時の静電容量値とは、電極層203の近傍に情報端末100の構成要素以外の導電体が存在しない状態で測定された電極層203の静電容量値の総量であり、たとえば工場出荷時に検出され、データ記憶部63に記憶されている値である。
【0052】
ステップS30では、制御部50は、ステップS10で読み込んだ静電容量値と定常時の静電容量値の差がY2を超えているか否かを判断し、超えていると判断するとステップS40へ処理を進め、Y2以下であると判断するとステップS70へ処理を進める。なお、Y2は、Y1より大きい値である。
【0053】
ステップS40では、制御部50は、キーボード入力モードに設定して、ステップS50へ処理を進める。キーボード入力モードとは、キー情報を生成し、ポインティング情報を生成しないモードである。
【0054】
ステップS50では、制御部50は、上記したようにキー情報を生成し、第1変換情報記憶部61に記憶された変換用の情報を用いて当該キー情報を文字情報(文字コード)等の情報を生成して、ステップS60へ処理を進める。
【0055】
ステップS60では、制御部50は、ステップS50で生成した文字情報等の情報を、表示部30における表示内容等の、実行中のアプリケーションの制御に反映させて、ステップS10へ処理を戻す。
【0056】
ステップS70では、制御部50は、ポインティング入力モードに設定して、ステップS80へ処理を進める。ポインティング入力モードとは、ポインティング情報を生成し、キー情報を生成しないモードである。
【0057】
ステップS80では、制御部50は、上記したようにポインティング情報を生成し、第2変換情報記憶部62に記憶された変換用の情報を用いて電極シート200(操作エリア20)において操作された位置の情報を生成し、ステップS90へ処理を進める。ここで、操作された位置とは、操作された1点である場合もあれば、連続して操作された複数の点の軌跡である場合もある。
【0058】
ステップS90では、制御部50は、ステップS80で生成した位置の情報を、実行中のアプリケーションの制御に反映させて、ステップS10へ処理を戻す。
【0059】
以上説明した入力情報生成処理によれば、操作エリア20に対して押圧された力の大きさが、電極シート200の静電容量の変化量をY1を超えかつY2以下とするような大きさである場合には、ポインティング入力モードに入る。また、上記力の大きさが、上記静電容量の変化量をY2を超えるような大きさである場合には、キーボード入力モードに入る。「4.電極シートの構成」の欄で言及された一定の値はY1に相当し、特定の値はY2に相当する。
【0060】
このようなモードの切り替えについて、図10を参照してより具体的に説明する。
図10は、操作エリア20に対する複数回の操作についての、電極シートの静電容量の変化量が示されている。具体的には、図10には、a〜eで示された5回の操作についての静電容量の変化量が示されている。なお、図10の横軸は、時間変化である。つまり、図10は、a,b,c,d,eの順に、操作がなされたことを意味している。
【0061】
a,b,dの操作による静電容量の変化量は、Y1を超えているがY2以下である。したがって、制御部50は、これらの各操作によってポインティング入力モードに設定され、ポインティング情報を生成する。具体的には、各操作によって電位差が変化したX電極とY電極の組を特定する情報と第2変換情報記憶部62に記憶された情報とに基づいて、ポインティング情報を生成する。
【0062】
c,eの操作による静電容量の変化量は、Y2を超えている。したがって、制御部50は、これらの各操作によってキーボード入力モードに設定され、キー情報を生成する。具体的には、各操作によって、キー入力部400に含まれる複数の配線パターンの中のどの配線パターンが導通されたかに基づいて、操作エリア20内のどのキーが操作されたかを特定する情報が生成される。配線パターンを、操作エリア20内のキーを特定する情報に変換するための情報は、第1変換情報記憶部61に記憶されている。
【0063】
入力情報生成処理では、制御部50は、基本的にポインティング入力モードで動作し、Y2を超える変化量が検出されると、割り込み処理として、キーボード入力モードで動作するように構成されても良い。そして、制御部50は、Y2を超える変化量の操作に基づくキー情報を生成した後、ステップS10に処理を戻し、ポインティング入力モードに戻る。
【0064】
静電容量の変化量がY1以下である場合には、制御部50は、キー情報もポインティング情報も生成しない。
【0065】
[8.変形例等]
以上説明した本実施の形態では、基準値Y1およびY2を用い、電極シート200(電極層203)の静電容量の変化量に基づいて、キーボード入力モードとポインティング入力モードと切替えていた。このようにモードが切替えられることにより、ユーザは、操作エリア20に対する同じ位置をタッチする場合でも、当該タッチする力の大きさを加減するという容易な態様で、キーボード入力モードとポインティング入力モードの設定を切替えることができる。これにより、キーボード情報の入力のためのデバイスとポインティング情報を入力するためのデバイスを積層して端末の小型化を図りつつ、ユーザにとって容易な操作態様の変更によって入力モードを切替えることができる。
【0066】
なお、電極シート200は、カーボン501Aが配線パターン401に当接するように支持部501Bを撓ませる大きさ以上の力でキー501が押圧されたときに、静電容量がY2以上変化するように構成されることが好ましい。これにより、キー501等が押圧された際に、確実に、キーボード入力モードに設定されるようになる。
【0067】
また、Y2が上記のような値とされる場合に、別の方法でモード切替えを行なうことも考えられる。たとえば、レフトキー21Bが押圧されるとキーボード入力モードからポインティング入力モードにモードが切り替えられ、ライトキー21Cが押圧されるとポインティング入力モードからキーボード入力モードにモードが切替えられてもよい。
【0068】
ポインティング入力モードにおいて、制御部50は、ポインティング情報として、位置を指定する情報(以下、「位置指定情報」という)と、当該指定した位置を決定する情報(以下、「決定情報」という)とを生成する場合、当該決定情報の生成の方法について、いくつかの例が挙げられる。
【0069】
1つ目の例として、制御部50は、レフトキー21B(またはライトキー21C)に対するキー操作、つまり、当該キーが所定の大きさの力以上の力で押圧することを検出したことに応じて、上記決定情報を生成する。
【0070】
2つ目の例として、電極シート200では、操作される位置の数が変化した場合でも、静電容量が変化することを利用した方法が挙げられる。具体的には、制御部50は、操作エリア20に対する操作位置の数が変化したことを検出したことに応じて、上記決定情報を生成する。たとえば、制御部50は、図11(A)に示されるように、ユーザが、操作エリア20内で、単一の指F1で操作位置を移動させている期間中、当該移動の軌跡に応じた、上記位置指定情報を生成する。そして、図11(B)に示されるように、さらにF2が操作エリア20にタッチしたことに応じて、つまり、電極シート200に対する操作位置の数が1から2に変化したことに応じて、制御部50は、上記決定情報を生成する。なお、制御部50は、電極シート200に対する操作位置の数の変化を、入力情報検出部210(検出部205)によって検出される、電位差の変化したX電極とY電極の組の数の変化に基づいて検出できる。
【0071】
また、本実施の形態では、情報端末100では、電極シート200の上にキー入力機構600が積層され、キー入力機構600側からユーザが操作するように構成されているが、このような構成に限定されない。キー入力機構600の上に電極シート200が積層され、電極シート200側からユーザが操作するように構成されても良い。
【0072】
また、本実施の形態では、第2の筐体2がキー入力機構600および電極シート200を含むように構成され、第1の筐体1が表示部30を含むように構成されているが、このような構成に限定されない。電極シート200とキー入力機構600が積層されたものに、さらに、表示部30が積層されても良い。つまり、情報端末は、電極シート200とキー入力機構600を操作部とするタッチパネルとして構成されても良い。操作部がタッチパネルで構成された場合、当該タッチパネルにパルス電圧を与えられる。そして、当該タッチパネルの静電容量値を検出し、検出されるべきパルス波形に変化(パルス信号の立ち上がりの遅れ)が生じたことに基づいて、当該タッチパネルに対するタッチ操作があったことが検出される。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 第1の筺体、2 第2の筺体、20 操作エリア、21A キー群、21B レフトキー、21C ライトキー、30 表示部、30A カーソル、31 表示制御部、50 制御部、50A タイマ、60 記憶部、61 第1変換情報記憶部、62 第2変換情報記憶部、63 データ記憶部、64 プログラム記憶部、80 通信制御部、81 アンテナ、100 情報端末、200 電極シート、201 ノイズ保護シート、202 ガラス、203 電極層、205 検出部、210,410 入力情報検出部、400 キー入力部、400A プリント配線、401〜405 配線パターン、500 キー操作部、501〜505 キー、501A〜505A カーボン、501B 支持部、600 キー入力機構、2031 X電極層、2032 Y電極層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体が接近したことに基づいて静電容量が変化するシート状電極と、
前記シート状電極における静電容量の変化量を検出する第1の検出手段と、
前記シート状電極に積層され、複数のキーを有するキー入力機構とを備え、
前記キー入力機構では、前記シート状電極に積層された面上に複数のキーが配列され、
前記キーのいずれかが積層方向に押圧されたことを検出する第2の検出手段と、
前記第1の検出手段によって検出された変化量に基づいて、前記シート状電極における前記キー入力機構を積層された面上の操作位置の情報であるポインティング情報を生成し、かつ、前記第2の検出手段の検出出力に基づいて、押圧されたことを検出された前記キーが入力されたことを示す情報であるキー情報を生成する、入力情報生成手段とをさらに備える、情報端末。
【請求項2】
前記入力情報生成手段は、前記第1の検出手段が検出した変化量が第1の値を超える場合には前記キー情報のみを生成し、前記第1の検出手段が検出した変化量が前記第1の値以下であって前記第1の値より小さい第2の値を超える場合には前記ポインティング情報のみを生成する、請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記第2の検出手段は、各前記キーが前記積層方向に、所定の大きさ以上の力で押圧された場合に、各前記キーが押圧されたことを検出し、
前記シート状電極は、前記所定の大きさ以上の力で押圧された場合に、その静電容量の変化量が前記第1の値を超えるように構成されている、請求項2に記載の情報端末。
【請求項4】
前記キー入力機構は、第1の導体と、第2の導体と、前記第1の導体を前記第2の導体に対して前記積層方向に離間して支持する支持体とを備え、
前記支持体は、可塑性材料からなり、前記積層方向に所定の大きさ以上の力で押圧されることにより前記第1の導体が前記第2の導体に当接するように変形する、請求項3に記載の情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−38050(P2012−38050A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176910(P2010−176910)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】