説明

情報表現方法、情報表現パターンが形成された物品、情報出力装置、及び、情報表現装置

【課題】撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にしつつも、情報の秘匿性を確保したパターンを提供する。
【解決手段】情報表現パターン101の中心及び基準方向を規定する第1形状のパターン110を配置し、前記情報表現パターン101と中心を共通にする半径の異なる複数の仮想円と、前記基準方向を基準とした所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線と、の複数の交点に第2形状のパターン130を配置する情報表現方法であって、表現される情報としての数値の所定桁ごとの位置と、前記仮想放射線と前記仮想円との交点と、の対応関係を特定し、特定した交点に前記第2形状のパターン130を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表現方法、情報表現パターンが形成された物品、情報出力装置、及び、情報表現装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物に印刷されたバーコードや2次元コードを利用して様々な情報を記録する方法が用いられている。しかしながら、これらのようなコードはコード自体が大きくならざるを得ず、紙面の一部を占有するため、紙面上に専用の領域を設けなければならないという問題があった。
これに対し、特許文献1には、ドットによってパターンを形成し、このドットパターンを用いた情報入出力方法が開示されている。特許文献2には、円周上にドットを配置して緯度情報等を記録することが示されている。特許文献3には、極座標チャートにビット情報を記録するビッグバンコードが示されている。特許文献4には、円形領域に濃度レベルを設定して情報を記録することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/084125号
【特許文献2】特開2008−225732号公報
【特許文献3】特開平7−110847号公報
【特許文献4】特開2007−3233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される手法では、ドットパターンが矩形領域に配置される。これらドットパターンは、撮像装置によって取り込まれる。ところが、撮像装置の光学的性質上、レンズの中央から離れるほど収差が大きくなる。そのため、収差による歪みを解消するために、取り込んだ画像の座標変換が必要となるが、矩形領域の座標変換は演算処理が複雑である。
また、特許文献2の手法では、記録できる情報に柔軟性がない。また、特許文献3の手法では、情報の秘匿性に欠ける。また、特許文献4の手法では、濃度を正確に読み取らなければならないという問題がある。
よって、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にしつつも、情報の秘匿性を確保したパターンが望まれる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にしつつも、情報の秘匿性を確保したパターンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、
情報表現パターンの中心及び基準方向を規定する第1形状のパターンを配置することと、
前記情報表現パターンと中心を共通にする仮想円であって半径の異なる複数の仮想円と、前記基準方向を基準とした所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線と、の複数の交点に第2形状のパターンを配置することと、を含み、各前記仮想放射線に複数の前記第2形状のパターンを配置する情報表現方法であって、
表現される情報としての数値の所定桁ごとの位置と、各前記仮想放射線と、の対応関係が定められており、
前記所定桁の数値と、前記仮想放射線において前記第2形状のパターンを配置すべき交点と、の対応関係が定められており、
前記表現される情報としての数値の前記所定桁ごとに、対応する前記仮想放射線を特定し、
前記表現される情報としての数値における前記所定桁ごとの数値に応じて、特定した前記仮想放射線における対応する交点を特定し、特定した交点に前記第2形状のパターンを配置する、
情報表現方法である。
【0006】
また、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンが形成された物品である。
【0007】
また、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンを読み取る読み取り部と、
読み取った前記情報表現パターンの画像データに基づいて前記第1形状のパターンの位置を特定し、特定した前記第1形状のパターンに基づいて前記仮想放射線ごとに前記第2形状のパターンが配置された交点を特定し、前記仮想放射線における交点と前記所定桁の数値との対応関係に応じて各仮想放射線に対応する数値を特定し、各前記仮想放射線と前記所定桁ごとの位置との対応関係に応じて、特定した各前記数値の所定桁の位置を特定して前記表現される情報としての数値を出力する出力部と、
を備える情報出力装置である。
【0008】
また、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表される情報表現パターンを生成する制御部と、
生成した前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを媒体に形成する情報形成部と、
を備える情報表現装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1形状のパターンが極座標の中心と基準方向を示す。よって、仮に、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、極座標上に第2形状のパターンが配置されるため半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。また、所定桁ごとの数値と第2形状のパターンを配置すべき位置との対応関係が決めておくことで、第三者に推測されにくい秘匿性の高いパターンを形成することができる。さらに、1本の仮想放射線に複数の第2形状のパターンが配置されるので、より秘匿性の高いパターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の参考例における情報表現パターン1の説明図である。
【図2】第1の参考例における情報ドット30の配置例の説明図である。
【図3】第1の参考例において仮想線を不可視にしたときの情報表現パターンを示す図である。
【図4】第1の参考例における2ビットの情報と情報ドット30の配置パターンとの関係の説明図である。
【図5】第1の参考例における、表される情報と16本の仮想放射線との対応の説明図である。
【図6】第1の参考例における含ませる情報に対応するドットパターンの説明図である。
【図7】第1の参考例における情報を含ませた情報表現パターン1の説明図である。
【図8】第1の参考例において、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。
【図9】第1の参考例において、各仮想放射線が表すビットと各ビットの対応番号とを表す表である。
【図10】第1の参考例において、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときの情報表現パターンの一例である。
【図11】情報入出力装置1000のブロック図である。
【図12】情報表現パターン1の生成方法のフローチャートである。
【図13】情報表現パターンからの情報を抽出する方法を説明するためのフローチャートである。
【図14】仮想放射線の数を増やしたときにおける情報表現パターンの説明図である。
【図15】第2の参考例における情報ドット30’の配置例の説明図である。
【図16】第2の参考例において仮想線を不可視にしたときの説明図である。
【図17】第1実施形態における情報表現パターン101の説明図である。
【図18】図18Aは、2ビットの情報と情報ドット130の配置パターンとの関係の説明図であり、図18Bは、表される情報と各仮想放射線の各グループとの対応の説明図である。
【図19】内周部グループにおいて情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。
【図20】内周部グループにおいて各仮想放射線が表すビットと各ビットとの対応番号とを表す表である。
【図21】外周部グループにおいて情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。
【図22】外周部グループにおいて仮想放射線が表すビットと各ビットの対応番号とを表す表である。
【図23】具体的に含ませる情報の一例の表である。
【図24】図24Aは、内周部グループにおいて情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を具体的に説明する表であり、図24Bは、外周部グループにおいて情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を具体的に説明する表である。
【図25】各仮想放射線の内周部及び外周部の情報ドットの配置を具体的に説明する表である。
【図26】第1実施形態において仮想線を不可視にしたときの情報表現パターンを示す図である。
【図27】グループの分け方を例示する図である。
【図28】第2実施形態における中央ポジションマーク210の説明図である。
【図29】第3実施形態における中央ポジションマーク310の説明図である。
【図30】第4実施形態における中央ポジションマーク410の説明図である。
【図31】第5実施形態における中央ポジションマーク510の説明図である。
【図32】図32Aは、中心を特定する手法を説明する第1の図であり、図32Bは、中心を特定する手法を説明する第2の図であり、図32Cは、中心を特定する手法を説明する第3の図である。
【図33】円形仮想線の半径を求める第1の手法の説明図である。
【図34】円形仮想線の半径を求める第2の手法の説明図である。
【図35】円形仮想線の半径を求める第3の手法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0012】
情報表現パターンの中心及び基準方向を規定する第1形状のパターンを配置することと、
前記情報表現パターンと中心を共通にする仮想円であって半径の異なる複数の仮想円と、前記基準方向を基準とした所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線と、の複数の交点に第2形状のパターンを配置することと、を含み、各前記仮想放射線に複数の前記第2形状のパターンを配置する情報表現方法であって、
表現される情報としての数値の所定桁ごとの位置と、各前記仮想放射線と、の対応関係が定められており、
前記所定桁の数値と、前記仮想放射線において前記第2形状のパターンを配置すべき交点と、の対応関係が定められており、
前記表現される情報としての数値の前記所定桁ごとに、対応する前記仮想放射線を特定し、
前記表現される情報としての数値における前記所定桁ごとの数値に応じて、特定した前記仮想放射線における対応する交点を特定し、特定した交点に前記第2形状のパターンを配置する、
情報表現方法。
このように、第1形状のパターンが極座標の中心と基準方向を示す。よって、仮に、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、極座標上に第2形状のパターンが配置されるため半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。また、所定桁ごとの数値と第2形状のパターンを配置すべき位置との対応関係が決めておくことで、第三者に推測されにくい秘匿性の高いパターンを形成することができる。さらに、1本の仮想放射線に複数の第2形状のパターンが配置されるので、より秘匿性の高いパターンを形成することができる。
【0013】
また、前記第1形状のパターンは、前記基準方向と交差する軸であって前記情報表現パターンの中心を通る軸に関して非対称の図形で構成されることが望ましい。
このようにすることで、情報表現パターンの中心と基準方向を適切に規定することができる。
【0014】
また、前記第1形状のパターンは、前記基準方向に沿う軸であって前記情報表現パターンの中心を通る軸に関して対称の図形により構成されることが望ましい。
このようにすることで、情報表現パターンの中心と基準方向をより適切に規定することができる。
【0015】
また、前記第1形状のパターンは円弧からなり、該円弧の中心点が前記情報表現パターンの中心を規定し、該中心から前記円弧の開口部に向かう方向が前記基準方向を規定することが望ましい。
このようにすることで、円弧により情報表現パターンの中心と基準方向を適切に規定することができる。
【0016】
また、前記第1形状のパターンは、前記複数の仮想円のうちの最も内側の仮想円よりも内側に配置された複数の図形により構成されることとしてもよい。
このようにすることで、仮想円の内側の領域を有効に利用して情報表現パターンの中心と基準方向を規定することができる。
【0017】
また、前記複数の図形は少なくとも第1の図形と第2の図形とを含み、前記第1の図形が前記情報表現パターンの中心を規定し、前記第1の図形から前記第2の図形に向かう方向が前記基準方向を規定することが望ましい。
このようにすることで、少なくとも2つの図形を用いて情報表現パターンの中心と基準方向を規定することができる。
【0018】
また、前記第1の図形と前記第2の図形はそれぞれ前記第2形状のパターンの図形と同じ図形であることが望ましい。
このようにすることで、より第三者に推測されにくい秘匿性の高いパターンを提供することができる。
【0019】
また、前記第1形状のパターンは、前記第2形状のパターンよりも大きいことが望ましい。
ここで、第1形状のパターンの大きさは、第1形状のパターンを構成する領域の大きさであり、複数の図形にて構成されている場合には、その複数の図形が取り囲む領域の大きさである。また、第2形状のパターンの大きさも、第2形状のパターンを構成する領域の大きさであるが、単数の図形により構成されている場合には、その図形の大きさが第2形状のパターンに相当する。
このようにすることで、効率的に第1形状のパターン及び第2形状のパターンを配置することができる。
【0020】
また、前記第1形状のパターンは、前記仮想円の半径方向の伸縮率を取得するための図形を含むことが望ましい。
このようにすることで、第1形状のパターンの半径方向の伸縮率に基づいて、仮想円の形状を適切に補正することができる。そして、半径方向に関する第2形状のパターンの配置位置をより確実に特定することができる。
【0021】
また、前記所定桁ごとの数値と前記第2形状のパターンを配置すべき交点との対応関係が、隣接する前記仮想放射線間において異なることが望ましい。
このようにすることで、さらに第三者に推測されにくい秘匿性の高いパターンを提供することができる。
【0022】
また、前記交点において前記第2形状のパターンを配置可能な位置が、隣接する前記仮想放射線間で異なることが望ましい。また、各前記仮想線放射線における交点は複数のグループに分けられ、各仮想放射線における各グループには1つの前記第2形状のパターンが配置されることが望ましい。また、前記所定桁の数値と、前記仮想放射線の各前記グループにおいて前記第2形状のパターンを配置すべき交点と、の対応関係が定められていることが望ましい。
このようにすることで、さらに第三者に推測されにくい秘匿性の高いパターンを提供することができる。
【0023】
また、前記所定桁の数値は、ビット情報であることが望ましい。また、前記表現される情報は予めビット単位で置き換えがされていることが望ましい。
このようにビット単位で予め情報の置き換えをすることができるので、より第三者に推測されにくい秘匿性の高いパターンを提供することができる。
【0024】
また、前記表現される情報は、エラー検出用又はエラー訂正用のビットを含むことが望ましい。
このようにすることで、情報表現パターンの一部が欠損した場合であっても、そのエラーを検出することができる。
【0025】
また、さらに、前記中心間の距離を一定にして前記情報表現パターンを複数形成することを含むことが望ましい。
このようにすることで、複数の情報表現パターンの中心間の距離を所定倍(1未満)して各仮想円の半径を求めることができ、半径の誤差を少なくすることができる。
【0026】
また、前記複数の情報表現パターンは、所定の中心角おきに配置されることが望ましい。
このようにすることで、複数の情報表現パターンを規則的に配置することができる。そして、これらの情報表現パターンの中心間の距離に基づいて各仮想円の半径を求めることができる。
【0027】
また、本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項も明らかとなる。すなわち、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンが形成された物品。
このように、第1形状のパターンが極座標の中心と基準方向を示す。よって、仮に、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、極座標上に第2形状のパターンが配置されるため半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。また、所定桁ごとの数値と第2形状のパターンを配置すべき位置との対応関係が決めておくことで、第三者に推測されにくい秘匿性の高いパターンを形成した物品を提供することができる。
【0028】
また、本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項も明らかとなる。すなわち、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンを読み取る読み取り部と、
読み取った前記情報表現パターンの画像データに基づいて前記第1形状のパターンの位置を特定し、特定した前記第1形状のパターンに基づいて前記仮想放射線ごとに前記第2形状のパターンが配置された交点を特定し、前記仮想放射線における交点と前記所定桁の数値との対応関係に応じて各仮想放射線に対応する数値を特定し、各前記仮想放射線と前記所定桁ごとの位置との対応関係に応じて、特定した各前記数値の所定桁の位置を特定して前記表現される情報としての数値を出力する出力部と、
を備える情報出力装置。
このように、第1形状のパターンが極座標の中心と基準方向を示す。よって、仮に、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、極座標上に第2形状のパターンが配置されるため半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。また、所定桁ごとの数値と第2形状のパターンを配置すべき位置との対応関係が決められているので、第三者に推測されにくい秘匿性の高いパターンから情報を適切に抽出することができる。
【0029】
また、前記中心間の距離を一定にして前記情報表現パターンが複数形成されている場合において、前記情報表現パターンの中心間の距離に1未満の所定の数値を乗ずることにより、前記仮想円の半径が求められることが望ましい。
このようにすることで、複数の情報表現パターンの中心間の距離を所定倍(1未満)して各仮想円の半径を求めることができ、半径の誤差を少なくすることができる。
【0030】
また、本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項も明らかとなる。すなわち、
上記のいずれかに記載の情報表現方法で表される情報表現パターンを生成する制御部と、
生成した前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを媒体に形成する情報形成部と、
を備える情報表現装置。
このように、第1形状のパターンが極座標の中心と基準方向を示す。よって、仮に、撮像装置によって情報表現パターンが歪んで読み取られたとしても、極座標上に第2形状のパターンが配置されるため半径方向に関する情報を補正することにより仮想円の歪みを補正することができる。そのため、撮像装置にて取り込まれた後のデータ処理を容易にすることができる。また、所定桁ごとの数値と第2形状のパターンを配置すべき位置との対応関係が決められているので、第三者に推測されにくい秘匿性の高いパターンを形成することができる。
【0031】
===第1の参考例について===
<<<情報表現パターンについて>>>
図1は、第1の参考例における情報表現パターン1の説明図である。情報表現パターン1は、中央ポジションマーク10と、情報ドット30を含む。図には、半径の異なる複数の円形仮想線31〜34が破線で示されている。また、基準方向を示す仮想線分22が一点鎖線にて示されている。さらに、基準方向を基準として所定の中心角おきに規定される複数の仮想放射線1a〜8bが破線で示されている。これらの円形仮想線及び仮想放射線は、情報ドット30の位置を規定するテンプレートとなる。これら円形仮想線及び仮想放射線は、仮想的なものであるので実際には印刷(又は表示)されない。
【0032】
中央ポジションマーク10(第1形状のパターンに相当する)は、情報表現パターン1の中央を規定するマークである。また、中央ポジションマーク10は、基準方向を規定する。中央ポジションマーク10は、いずれの円形仮想線で示される円よりも小さい円において一部を開口させた円弧からなる。この円弧の中心点は、情報表現パターン1の中心を規定し、さらに円形仮想線31〜34の中心も規定する。また、開口部の中心角はπ/6(30度)となっている。そして、中央ポジションマーク10の中心からこの開口部の中央に向かう仮想線分22により基準方向が規定される。仮想線分22において、中央ポジションマーク10の円の開口側が中心角0度として規定される。この基準方向は、前述のように仮想放射線の中心角の基準となる。
【0033】
円形仮想線は、第1円形仮想線31、第2円形仮想線32、第3円形仮想線33、及び、第4円形仮想線34を含む(第1円形仮想線31、第2円形仮想線32、第3円形仮想線33、及び、第4円形仮想線34は、仮想円に相当する)。これらの円形仮想線の中心は、中央ポジションマークの円の中心と一致している。また、仮想放射線は、16本の仮想放射線1a、1b、2a、2b、3a、3b、4a、4b、5a、5b、6a、6b、7a、7b、8a、8bを含む。
【0034】
中央ポジションマーク10の円(円弧)の直径と、第1円形仮想線31〜第4円形仮想線34のそれぞれの直径との比率が決められている。そのため、中央ポジションマーク10の円の直径を把握することができれば、第1円形仮想線31〜第4円形仮想線34の位置を特定することができるようになっている。
【0035】
仮想放射線は、中央ポジションマーク10によって示される基準方向の仮想線分22を中心角の基準とする。そして、最初の仮想放射線1aは、π/16の中心角に設けられる。残りの仮想放射線2b〜8bは、π/8おきに等間隔に設けられる。
【0036】
情報ドット30(第2形状のパターンに相当する)は、円形仮想線(第1円形仮想線31から第4円形仮想線34)と仮想放射線(放射線1aから放射線8b)との交点に配置される。すなわち、円形仮想線と仮想放射線は、その交点により情報ドット30が配置される位置を規定する。このような構成により、情報ドット30が配置される可能性のある位置は、64箇所になる。尚、図1では、説明のために、配置される可能性のある位置の全てにおいて情報ドット30を配置しているが、実際には全ての位置に配置されない。
【0037】
中央ポジションマーク10のサイズは、情報ドット30のサイズよりも大きい。このような構成にしたのは、次のような理由による。情報ドット30は、最も多くの数が配置される可能性のあるパターンである。そのため、情報密度を高めるために最も小さいパターンであるべきである。また、中央付近に複数の情報ドット30を配置しようとすると、これらは重なり合ってしまうおそれがある。このため、中央付近には情報ドット30を配置せず、中央の周辺に配置することが望ましいことになる。
【0038】
また、中央ポジションマーク10は、情報表現パターン1の中心を規定するマークであることから、最も大きなサイズのパターンであることが望ましい。よって、中央に配置される最も大きなサイズのパターンとなる。
【0039】
このような組み合わせで表されることにより、情報表現パターン1は、効率的に面積を利用することができる。そして、全体として小さいサイズのパターンとすることができる。尚、ここでいう中央ポジションマーク10の「サイズ」とは、中央ポジションマーク10の実効面積の大きさをいう。
【0040】
また、情報表現パターン1の大きさについては撮像装置が読み取り可能であれば特段制限はない。特に、情報表現パターン1のサイズが大きいものの場合については原理上の制約はない。例えば、第4円形仮想線34の直径を30mm〜40mmにしてもよい。また、第4円形仮想線34の直径を1.5mm程度にし、情報ドット30のドット径を0.05mm程度にしてもよい。
【0041】
図2は、第1の参考例における情報ドット30の配置例の説明図である。図に示されるように、1本の仮想放射線上に1個の情報ドット30を配置することによって、所望の情報を表現することができる。このように、1本の仮想放射線上に1個の情報ドット30を配置することにより情報を埋め込む手順については、後述する。
【0042】
図3は、第1の参考例において仮想線を不可視にしたときの情報表現パターンを示す図である。実際に、カードなどの物品に本情報表現パターンが印刷されるときには、円形仮想線及び仮想放射線は印刷されず、図3のように、中央ポジションマーク10と情報ドット30のみが印刷される。
【0043】
このように、円形仮想線及び仮想放射線が不可視にされると、情報表現パターン1は、ドット及び円弧によって表現されたパターンとなる。そのため、一見、規則性のないパターンとして表されることとなり、この情報表現パターン1の構成を知らない第三者は情報を抽出することが困難となる。
【0044】
一方、情報表現パターン1のテンプレートを知っているユーザは、中央ポジションマーク10に基づいて、不可視の円形仮想線と仮想放射線の位置を把握することができる。そして、これらの位置に基づいて、円形仮想線と仮想放射線との交点を把握することができる。すなわち情報を表現する情報ドット30の位置を把握することができ、情報表現パターン1から情報を容易に抽出することができる。
【0045】
また、情報表現パターン1において情報を表現する情報ドット30の配置位置は円周上である。よって、仮に、半径方向に収差を生じやすいレンズで情報表現パターン1を読み取る場合であっても、撮像装置のレンズの中央に中央ポジションマーク10が位置するようにするように読み取らせることで、中央ポジションマーク10の位置と中央ポジションマークの円弧の直径の大きさに基づいて、半径方向に関する情報を容易に補正することができる。そして、情報ドット30が配置される円形仮想線の歪みを容易に補正することができる。
【0046】
また、中央ポジションマーク10の円弧の開口の方向に基づいて、中心角に関する情報を補正することができる。そして、情報ドットが配置される仮想放射線の歪みを適切に補正することができる。
【0047】
さらに、撮像装置のレンズの中央に中央ポジションマーク10が位置しない場合であっても、中央ポジションマーク10の円弧の変形形状に基づいて、円周の各方向に関してどの程度の比率で円形仮想線が歪んでいるかを推定することができる。すなわち、中央ポジションマーク10の円弧の半径方向の変形比率に基づいて、どの程度、円形仮想線の半径を補正すればよいのかを推定することができる。よって、情報ドット30が配置される円形仮想線の座標を適切に補正して、的確に情報ドット30の位置を把握することができる。
【0048】
また、上述の説明では円弧の開口部の中心角をπ/6としていたが、これをより小さな中心角とすることができる。特に、開口部の中心角を隣接する仮想放射線間の中心角(π/8)よりも小さくすることもできる。このようにすることによって、円弧の部分を全ての仮想放射線と交差させることができる。そして、円弧の変形状態に応じて円形仮想線と全ての仮想放射線との交点の位置をより確実に把握することができるようになる。
【0049】
<<<情報表現パターンの第1のデータ構造について>>>
図4は、第1の参考例における2ビットの情報と情報ドット30の配置パターンとの関係の説明図である。図には、X番目の2本の仮想放射線Xa、Xbの組が抜き出されて示されている。
情報ドット30が配置される位置として、Xa1からXa4、及び、Xb1からXb4が仮想放射線Xa、Xb上に示されている。「a」又は「b」に後続する数字は、円形仮想線の番号を示す。例えば、仮想放射線1aと第4円形仮想線34との交点は、「1a4」として表されることになる。すなわち、これら3文字によって、情報ドット30が配置されている位置を表すことができる。
【0050】
1本の仮想放射線には1個の情報ドット30のみが必ず配置されるという前提になっている。図4には、情報ドット30の配置パターンに対応する2ビットの情報が示されている。例えば、Xa1の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「00」が対応する。また、Xa2の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「01」が対応する。また、Xa3の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「10」が対応する。また、Xa4の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「11」が対応する。
【0051】
尚、符号に「a」が含まれている仮想放射線と「b」が含まれている仮想放射線とでは、配置パターンと2ビットの情報との関係が異ならせてある。符号に「b」が含まれている仮想放射線では、例えば、Xb1の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「11」が対応する。また、Xb2の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「10」が対応する。また、Xb3の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「01」が対応する。また、Xb4の位置に情報ドット30が配置される配置パターンは、「00」が対応する。
【0052】
尚、ここでは、上述のような対応関係に設定したが、これら情報ドット30の位置と2ビットの情報との関係はこれに限られず任意に設定することができる。
【0053】
図5は、第1の参考例における、表される情報と16本の仮想放射線との対応の説明図である。図に示されるように、最上位2ビットは、仮想放射線1aによって表される。後続する2ビットは、仮想放射線2bによって表される。このように、図に示されるように1本の仮想放射線によって表される2ビットが連続して並び、最下位2ビットは仮想放射線8bによって表される。
【0054】
次に、上述の対応関係における情報表現パターン1の形成について具体的に説明する。ここでは、16進数の「D3 4D 78 EB」の情報を情報表現パターン1に含ませる手順を説明する。
【0055】
図6は、第1の参考例における含ませる情報に対応するドットパターンの説明図である。
上記16進数「D3 4D 78 EB」は、ビット表現すると、最上位から順に、「11 01 00 11 01 00 11 01 01 11 10 00 11 10 10 11」となる。これらのデータは2ビットずつ、1本の仮想放射線に割り当てられる。すなわち、1本の仮想放射線は2ビットを表現している。
【0056】
最上位2ビットは、1aの仮想放射線に割り当てられる。後続する2ビットのデータは、1bの仮想放射線に割り当てられる。このように、2ビットずつのデータは、順次、時計回りで仮想放射線に割り当てられる。
【0057】
再度、図4を参照すると、最上位2ビット「11」を仮想放射線1aで表現したとき、その配置パターンは「a4」となる。よって、仮想放射線1a上にa4の配置パターンで配置される。すなわち、情報ドット30は、仮想放射線1aと第4円形仮想線34との交点に配置される。
【0058】
また、後続する2ビット「01」を仮想放射線1bで表現したとき、その配置パターンは、「b3」となる。よって、情報ドット30は、仮想放射線1b上にb3の配置パターンで配置される。すなわち、情報ドット30は、仮想放射線1bと第3円形仮想線33との交点に配置される。
【0059】
また、さらに後続する2ビット「00」を仮想放射線2aで表現したとき、その配置パターンは、「a1」となる。よって、情報ドット30は、仮想放射線2a上にa1の配置パターンで配置される。すなわち、情報ドット30は、仮想放射線2aと第1円形仮想線31との交点に配置される。
【0060】
このようにして、仮想放射線a1からb8までにかけて情報ドット30を配置する位置を特定していく。そして、特定した通りに情報ドット30を配置する。
【0061】
図7は、第1の参考例における情報を含ませた情報表現パターン1の説明図である。図には、上述のようにして、生成された情報「D3 4D 78 EB」に対応する情報表現パターン1が示されている。尚、ここでは、理解の容易のために、本来は不可視であるすべての仮想線についても可視化して表している。また、情報ドット30が配置されていない位置を白円で表している。このようにすることによって、含ませたい情報(便宜上、「表現される情報」と言うこともある)を情報表現パターン1に変換することができる。
【0062】
一方、上記手順と逆の手順により、情報表現パターン1から情報を抽出することもできる。その場合、次のようにして求めることができる。
【0063】
まず、中央ポジションマーク10によって規定される仮想線分22を基準としてそれぞれの仮想放射線の位置を求める。また、中央ポジションマーク10の円弧の直径に基づいて、各円形仮想線の半径を求める。
【0064】
このようにすることによって、各円形仮想線と各仮想放射線との交点を求めることができる。次に、それぞれの交点に情報ドット30が形成されているか否かを求める。これにより、各仮想放射線における情報ドット30の配置パターンを得ることができる。そして、図4の表を参照することによって、仮想放射線ごとに配置パターンに応じた2ビットを得ることができる。
【0065】
このようにして得られた2ビットの情報を、仮想放射線1aから8bにかけて順番に最上位ビットから並べていく。そうすることによって、情報表現パターン1に含まれた情報を抽出することができる。
【0066】
<<<情報表現パターンの第2のデータ構造について>>>
図8は、第1の参考例において、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。図9は、第1の参考例において、各仮想放射線が表すビットと各ビットの対応番号とを表す表である。図10は、第1の参考例において、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときの情報表現パターン1の一例である。以下、これらの図を参照しつつ、情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときの情報表現パターン1について説明する。なお、ここでは最終的に含ませたい情報が図8で表される情報であり、表現される情報が図9で表される情報として説明を行う。
【0067】
最終的に含ませたい情報は、20ビットの第1データと4ビットの第2データである。すなわち、計24ビットのデータを表現することになる。また、パリティビットとして、8ビットが割り当てられる。尚、ここでは、奇数パリティを用いることにする。
【0068】
図8で示される表において、1つのセルは1ビットを表す。よって、表の1列は4ビット(nibble)を表現する。表には、nibble1からnibble6が示されている。このうち、nibble1からnibble5は、前述の第1データを表す。また、nibble6は第2データを表す。また、表に示される1つのnibbleにおいて、上のセルがMSB(Most significant bit)であり、下のセルがLSB(Least significant bit)である。
【0069】
また、表の下部には、1バイトごとのパリティビットが示されている。また、表の右側には、行ごとのパリティビットが示されている。さらに、パリティのパリティが1ビット設けられている。
【0070】
図8において、それぞれのセルには対応番号が割り当てられている。これら対応番号は、図9の左表において示されている対応番号に対応するものである。前述の通り、1本の仮想放射線は、2ビットを表現可能であった。そのため、図7では、1本の仮想放射線に1つの上位ビットと1つの下位ビットが割り当てられる。そして、これら各ビットには、対応する対応番号が割り当てられる。
【0071】
例えば、図8において示された対応番号「5」で特定されるセルのビットは、仮想放射線2aが示すデータのうちの上位ビットが対応することになる。また、図8において示された対応番号「15」で特定されるセルのビットは、仮想放射線4bが示すデータのうち上位ビットが対応することになる。このようにして、図8に示す表のセルと図9の左表のセルとが対応番号で関連づけられている。尚、図8において、理解の容易のために、各セルには括弧書きで各セルが表現するビットの情報が示されている。
【0072】
ここで、図9の表において対応番号が規則的に並べられているのに対して、図8の表では対応番号がランダムに割り振られている。これは、ランダムに割り振ることにより、仮に、情報表現パターンの一部にデータの欠損が生じた場合において、ある特定の箇所にエラーが集中しないようにするためである。また、この情報表現パターンを利用する第三者によって、データ構造が解析されにくくするためでもある。
【0073】
次に、パリティビットを付加した場合における、具体的なデータの変換方法について説明する。ここでは、第1データを「00 00 00 00 00 00 00 00 00 01」とし、第2データを「00 01」とする。これらのデータによると、第1データは、最下位ビットのみ「1」であり、他は全て「0」である。また、第2データも、最下位ビットのみ「1」であり、他は全て「0」である。
【0074】
そのようにした場合、図9を参照すると、対応番号「1」「4」「7」「8」「16」「19」「20」「23」「30」のセルのビットは「1」であり、他のセルのビットは「0」ということになる。すなわち、図9の右表が示すようなビット情報となる。
【0075】
このようにして得られたビット情報に対応する情報ドット30の配置パターンを各仮想放射線に割り当てる。例えば、仮想放射線「1a」では、「10」を示すために「a3」の配置パターン(図4参照)となる。また、例えば、仮想放射線「1b」では、「01」を示すために「b3」の配置パターンとなる。同様にして、仮想放射線「8b」までの情報ドット30の配置パターンが決定される。
【0076】
図10に示される情報表現パターンには、求められた配置パターンで情報ドット30が配置されている。勿論、この情報表現パターンにはパリティビットの情報も付加されている。したがって、仮に、この情報表現パターンにおいて何らかの原因により情報ドット30の欠損などが生じてしまった場合であっても、パリティビットに基づいてエラーの発生を検出することができる。
【0077】
尚、ここでは、パリティビットを情報として含ませることとして説明を行ったが、パリティを用いる代わりにCRC(Cyclic Redundancy Check)符号やリード・ソロモン符号を用いることとしてもよい。
【0078】
また、上記と逆の手順により情報表現パターン1に含まれた情報を抽出することができる。まず、中央ポジションパターン10に基づいて、情報ドット30が配置される位置を特定した後、配置パターンに基づいて図9のように各仮想線が表現する2ビットに展開する。そうすることで、これら各2ビットの情報は前述の対応番号に基づいて、図8に示されるような表のデータで表される。図8に示される表のデータが得られた後、nibble1からnibble5までの各セルのビットを順次並べることで第1データを得ることができる。また、nibble6の各セルのビットを順次並べることで第2データを得ることができる。
【0079】
<<<情報入出力装置>>>
図11は、情報入出力装置1000のブロック図である。情報入出力装置1000(情報出力装置、及び、情報表現装置に相当する)は、コンピュータ1010(情報表現パターンに含まれる情報を出力する出力部、又は、制御部に相当する)、表示装置1020、入力装置1030、出力装置1050(情報形成部に相当する)、及び、撮像装置1060を含む。コンピュータ1010は、中央演算装置(CPU)1013、インタフェース1012、メモリ1014、及び、記録再生装置1040を含む。
【0080】
インタフェース1012は、撮像装置1060との接続をするためのインタフェースである。CPU1013は、情報の演算、特に上述のような情報表現パターン1の形成や情報表現パターン1からの情報の抽出を行うための演算を行う。メモリ1014は、上述の図4、図5、図6、図8、図9に示されたデータを記憶したり、情報表現パターン1の形成や情報表現パターン1からの情報の抽出において一時的に演算結果を記憶するために用いられる。記録再生装置1040は、形成された情報表現パターン1をCR−ROMなどの記録媒体に記録したり、記録媒体から情報表現パターン1を読み出したりすることに用いられる。また、記録再生装置は、情報表現パターン1を形成するためのプログラムや情報表現パターン1から情報を抽出するためのプログラムを読み出すために用いられることとしてもよい。
【0081】
表示装置1020は、液晶モニタなどの表示装置である。入力装置1030は、マウスやキーボードなどの入力装置である。出力装置1050は、情報表現パターン1を印刷するプリンタなどの出力装置である。撮像装置1060は、情報表現パターン1を光学的に読み取るための装置である。
【0082】
尚、コンピュータ1010及び撮像装置1060の機能をペン型デバイスに一体的に構成することとしてもよい。この場合、ペン型デバイスは、情報表現パターン1を読み取り、抽出した情報を出力する機能を有することとすることができる。
【0083】
<<<情報表現パターンの生成方法>>>
図12は、情報表現パターン1の生成方法のフローチャートである。
最初に、情報表現パターン1に含ませる情報をビット表現として用意する(S802)。例えば、図6のような「11 01 00 11 01 00 11 01 01 11 10 00 11 10 10 11」が用意される。
【0084】
次に、用意されたビット表現に対応する配置パターンを求める(S804)。配置パターンは、前述のように図4の対応に基づいて求めることができる。次に、求めた配置パターンに応じて情報ドット30を配置して情報表現パターン1を形成する(S806)。これにより、図7に示されるような情報表現パターン1が生成される。
【0085】
最後に、情報表現パターン1から仮想線を除去し、中央ポジションマーク10と情報ドット30のみを印刷又は表示する(S808)。このようにすることで、情報表現パターン1を得ることができる。
【0086】
<<<情報表現パターンからの情報の抽出方法>>>
図13は、情報表現パターンから情報を抽出する方法を説明するためのフローチャートである。
最初に、印刷物等に印刷された情報表現パターン1を撮像装置1060によって取り込む(S902)。次に、取り込むことで得られた画像データに基づいて、中央ポジションマーク10の位置を特定する(S904)。
【0087】
次に、中央ポジションマーク10の位置及び中央ポジションマーク10の円弧の開口方向に基づいて、円形仮想線と仮想放射線の位置を求め、これらの交点を特定する(S906)。次に、これらの交点において情報ドット30が配置されている位置を画像データから特定する(S908)。
【0088】
次に、情報ドット30が配置されている位置に基づいて、各仮想放射線における情報ドット30の配置パターンを求める。そして、図4を参照することにより、配置パターンから各ビットを求める(S910)。情報としてパリティビットが含まれているようなデータ構造の場合、このパリティビットに基づいて情報の正確性を検証する(S912)。
【0089】
このようにすることによって、情報表現パターン1に含まれた情報を抽出することができる。
【0090】
===第2の参考例について===
図14は、仮想放射線の数を増やしたときにおける情報表現パターンの説明図である。本図における符号は、第1の参考例において使用された符号に「’(ダッシュ)」を付して表現している。例えば、第2の参考例における中央ポジションマークは10’の符号が付されている。
【0091】
第2の参考例において、情報表現パターン1’の仮想放射線の数は32本となっている。また、円形仮想線も8個に増加している。そして、「a」の符号が付された仮想放射線上の情報ドット30’を配置可能な位置は、内側から数えて奇数番目の円形仮想線(第1円形仮想線31’、第3円形仮想線33’、第5円形仮想線35’、第7円形仮想線37’)との交点に設定される。また、「b」の符号が付された仮想放射線上の情報ドット30’を配置可能な位置は、内側から数えて偶数番目の円形仮想線(第2円形仮想線32’、第4円形仮想線34’、第6円形仮想線36’、第8円形仮想線38’)との交点に設定される。また、仮想線分22’と仮想放射線1aは重なるような配置となっている。
【0092】
このような配置とした場合であっても、前述の第1の参考例における第1のデータ構造から第2のデータ構造を用いて情報を情報表現パターン1’に含ませることができる。
【0093】
また、このようにすることで、情報ドット30’を配置することができる位置が増加するので、より多くの情報量を表現することができるようになる。また、隣接する仮想放射線間において情報ドットは互い違いになるように配置されることになる。このため、より密に情報ドット30’を配置することができる。
【0094】
図15は、第2の参考例における情報ドット30’の配置例の説明図である。このような情報表現パターン1’においても、上述と同様の手法により、1本の仮想放射線上には必ず1個の情報ドットが形成されることを前提として情報を含ませることができる。
【0095】
図16は、第2の参考例において仮想線を不可視にしたときの説明図である。このように、より密に情報ドット30’を配置した場合には、一見してより規則性のないようなパターンとして表現されることとなるので、この情報表現パターン1’の構成を知らない第三者は情報を抽出することがより困難となる。
【0096】
上述の参考例では、1つの仮想放射線上に置かれる情報ドット30は1個となっていた。しかしながら、1つの仮想放射線上に置かれる情報ドット30の個数は1個に限られない。以下に、1つの仮想放射線上に複数の情報ドットを配置したときの説明を行う。
【0097】
===第1実施形態===
第1実施形態における構成の多くは前述の参考例と共通するものであるが、異なっている点は、1つの仮想放射線上に複数の情報ドットが配置される点である。以下、1つの仮想放射線上に複数のドットが配置される場合について説明を行う。尚、第1の参考例と共通する各要素については、2桁で表された第1の参考例の符号の百の位に1を付して表現している。
【0098】
図17は、第1実施形態における情報表現パターン101の説明図である。第1実施形態における情報表現パターン101は、8本の円形仮想線を有する。8本の円形仮想線のうちの内側の4本は内周部の円形仮想線と呼ぶ。また、外側の4本は外周部の円形仮想線と呼ぶ。
【0099】
内周部の円形仮想線は、内周部の第1円形仮想線131i、内周部の第2円形仮想線132i、内周部の第3円形仮想線133i、及び、内周部の第4円形仮想線134iを含む。また、外周部の円形仮想線は、外周部の第1円形仮想線131o、外周部の第2円形仮想線132o、外周部の第3円形仮想線133o、及び、外周部の第4円形仮想線134oを含む。本実施形態において、内周部の円形仮想線と外周部の円形仮想線との間に1つの円形仮想線が挿入されているが、これは設けなくてもよい。
【0100】
また、図17において、各仮想放射線には2つの符号が付されている。仮想放射線のうち、アルファベットに後続して数字の「1」が付される符号に対応する部分は内周部の円形仮想線と交差する部分であり、アルファベットに後続して数字の「2」が付される符号に対応する部分は外周部の円形仮想線と交差する部分である。例えば、1本の仮想放射線に1a1及び1a2の符号が付されているが、1a1に対応する部分は仮想放射線のうち内周部の円形仮想線と交差する部分であり、1a2に対応する部分は仮想放射線のうち外周部の円形仮想線と交差する部分ということになる。
【0101】
図18Aは、2ビットの情報と情報ドット130の配置パターンとの関係の説明図である。図には、X番目の2本の仮想放射線Xa(a系列)、Xb(b系列)の組が抜き出されて示されている。第1実施形態では、1本の仮想放射線について情報ドット130が配置される位置を内周部グループと外周部グループとに分けている。「a」又は「b」に後続する数字が「1」のときは内周部グループであることを示し、「2」のときは外周部グループであることを示す。
【0102】
また、これらに後続するハイフンの後の数字は、内周部グループと外周部グループのそれぞれのグループに交差する円形仮想線の番号に対応する。例えば、仮想放射線1aと内周部の第4円形仮想線134iとの交点は、「1a1−4」として表されることになる。このように、情報ドット130が配置される位置として、Xa1−1からXa1−4、Xa2−1からXa1−4、Xb1−1からXb1−4、及び、Xb2−1からXb2−4が、仮想放射線Xa、Xb上に示されている。
【0103】
1本の仮想放射線には複数の情報ドット130が配置される。ただし、各仮想放射線の内周部グループの交点には1個の情報ドット130が配置され、各仮想放射線の外周部グループの交点にも1個の情報ドット130が配置される。
【0104】
さらに、図18Aには、情報ドット130の配置パターンに対応する2ビットの情報が示されている。例えば、Xa1−1の位置に情報ドット130が配置される配置パターンは、「00」の情報が対応する。また、Xa1−2の位置に情報ドット130が配置される配置パターンは、「01」の情報が対応する。また、Xa1−3の位置に情報ドット130が配置される配置パターンは、「10」の情報が対応する。また、Xa1−4の位置に情報ドット130が配置される配置パターンは、「11」の情報が対応する。
【0105】
a系列の内周部グループとa系列の外周部グループとb系列の内周部グループとb系列の外周部グループとでは、それぞれ配置パターンと2ビットの情報との関係が異ならせてある。例えば、Xa1−1の位置に情報ドット130が配置される配置パターンは、「00」の情報が対応する。また、Xb1−1の位置に情報ドット130が配置される配置パターンは、「11」の情報が対応する。また、Xa2−1の位置に情報ドット130が配置される配置パターンは、「10」の情報が対応する。また、Xb2−1の位置に情報ドット130が配置される配置パターンは、「01」の情報が対応する。
【0106】
尚、第1実施形態では、図18Aに示されるような配置パターンと情報との対応関係としたが、これら情報ドット130の位置と2ビットの情報との関係はこれに限られず任意に設定することができる。
【0107】
図18Bは、表される情報と各仮想放射線の各グループとの対応の説明図である。本図は、第1の参考例における図5に相当する図である。図に示されるように、最上位2ビットは仮想放射線1aの内周部グループによって表される。後続する2ビットは仮想放射線1aの外周部グループによって表される。このように、図に示されるように1本の仮想放射線の内周部グループの2ビットと外周部グループの2ビットが連続して並び、最下位2ビットは仮想放射線8bの外周部グループによって表される。
【0108】
このようにすることで、仮想放射線上に複数の情報ドット130を配置した情報表現パターン101を提供することができる。尚、図18Bでは、内周部グループの2ビット情報と外周部グループの2ビット情報とを交互に並べるようにして表される情報としていたが、最上位から内周部グループのみの2ビット情報を連続して並べることとし(具体的には、1a1、1b1、2a1、・・・、8b1)、その後、外周部グループのみの2ビット情報を連続して並べる(具体的には、1a2、1b2、・・・、8b2)こととしてもよい。これらの並べ方は任意に設定することができる。
【0109】
次に、ビット単位で表される情報をインターリーブする場合について説明する。
図19は、内周部グループにおいて情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。図20は、内周部グループにおいて各仮想放射線が表すビットと各ビットの対応番号とを表す表である。図21は、外周部グループにおいて情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を説明する表である。図22は、外周部グループにおいて仮想放射線が表すビットと各ビットの対応番号とを表す表である。これらの表の見方は、前述の参考例における図8と図9の見方とほぼ同様であるが、第1実施形態では内周部グループを1つのまとまりとして1つの表(図19、図20)を完成させ、外周部グループを1つのまとまりとして1つの表(図21、図22)を完成させている。尚、本実施形態において、図19と図21は、表における各対応番号の並び順が同じになっているが、対応番号の並び方はこれに限られず、異なる並び方となるようにしてもよい。
【0110】
図23は、具体的に含ませる情報の一例の表である。以下、本図に示されるような、Byte1からByte8までのデータを含ませることについて説明を行う。図23には、Byte単位又はnibble単位で対応する情報名(例えば「顧客コード」「アプリID」など)、nibble単位での具体的な2進数表記による数値、及び、その数値に対応する16進数表記による数値が示されている。
【0111】
図24Aは、内周部グループにおいて情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を具体的に説明する表であり、図24Bは、外周部グループにおいて情報の一つとしてパリティビットを割り当てたときのデータの配置を具体的に説明する表である。図24A及び図24Bに示す表の各セルには括弧書きにて各ビット情報が示されている。例えば、図23のnibble1の情報は「0000」であったので、これらの各ビットが上位から順に図24AのByte1のnibble1の各セルの対応番号「5」「15」「31」「12」に対応している。また、例えば、図23のnibble2の情報は「0001」であったので、これらの各ビットが上位から順に図24AのByte2のnibble2の各セルの対応番号「25」「29」「9」「21」に対応している。このようにして、各対応番号に対応付けられたセルには各ビット情報が入ることになる。
【0112】
図25は、各仮想放射線の内周部及び外周部の情報ドットの配置を具体的に説明する表である。図25には、各グループの記号(「グループ」として表示)と、そのグループに埋め込まれる2ビットのデータ(「データ」と表示)と、情報ドットの配置のパターンを示す記号(パターンと表示)が示されている。この表は、前述のようにして図24A及び図24Bに埋められた情報について、図18A、図20及び図22の表を参照して情報ドット130が配置される位置を特定したものである。
【0113】
図において、第1円形仮想線との交点に情報ドットが配置される場合には、内周部又は外周部の欄において、最も下の円が黒色にて塗りつぶされる。また、第2円形仮想線との交点に情報ドットが配置される場合には、内周部又は外周部の欄において、最も下の円から2番目の円が黒色にて塗りつぶされる。また、第3円形仮想線との交点に情報ドットが配置される場合には、内周部又は外周部の欄において、最も下の円から3番目の円が黒色にて塗りつぶされる。また、第4円形仮想線との交点に情報ドットが配置される場合には、内周部又は外周部の欄において、最も下の円から4番目の円が黒色にて塗りつぶされる。
【0114】
例えば、グループ「1a1」は、上位ビットが内周部の対応番号「1」のセルに対応し(図20参照)、下位ビットが内周部の対応番号「2」のセルに対応する(図20参照)。図24Aを参照すると、対応番号「1」のセルのビットは0であり、対応番号「2」のセルのビットも0である。よって、データは「00」ということになる。図18Aを参照すると、Xa1のグループにおいて、データ「00」は、Xa1−1に情報ドット130を配置することに対応する。よって、図25に示されるように、内周部の第1円形仮想線131iとの交点に情報ドット130が配置されることになる。
【0115】
また、例えば、グループ「1a2」は、上位ビットが外周部の対応番号「1」のセルに対応し(図22参照)、下位ビットが外周部の対応番号「2」のセルに対応する(図22参照)。図24Bを参照すると、対応番号「1」のセルのビットは1であり、対応番号「2」のセルのビットも1である。よって、データは「11」ということになる。図18Bを参照すると、Xa2のグループにおいて、データ「11」は、Xa2−2に情報ドット130を配置することに対応する。よって、図25に示されるように、外周部の第2円形仮想円132oとの交点に情報ドット130が配置されることになる。
【0116】
このような手順を全てのグループに対して行うことで、情報ドット130を各グループに対して1個配置することができる。尚、上記では、情報ドット130の配置の方法について説明を行ったが、これについても上記手順の逆の手順を経ることで、情報表現パターン101から図23に示す情報を抽出することができる。
【0117】
図26は、第1実施形態において仮想線を不可視にしたときの情報表現パターンを示す図である。図に示されるように、情報表現パターン101は、一見規則性のないパターンとして表されることになる。特に、第1実施形態に示したように1つの仮想放射線に複数のドットを配置可能とすることで、上記のような規則を第三者が予見することがさらに困難となる。
【0118】
尚、上記の実施形態では、内周部グループ及び外周部グループのそれぞれについて情報ドット130が1個ずつ配置される形態として説明を行ったが、各グループにおいて複数の情報ドットが配置されることとしてもよい。例えば、1つのグループについて4箇所の交点、すなわち情報ドット130を配置可能な位置が4箇所ある場合において、2箇所を選択する場合には6通りの情報表現ができることになる。また、例えば、1つのグループについて5箇所の交点、すなわち情報ドット130を配置可能な位置が5箇所ある場合において2箇所を選択する場合には10通りの情報表現ができることになる。
【0119】
また、ここでは、内周部と外周部の2つのグループを設けることにより、1本の仮想放射線に複数の情報ドット130を配置することとしたが、グループの数はこれに限られず、より多くのグループを設けることとしてもよい。
また、グループの分け方は、上記のような内周部と外周部の分け方には限られない。
【0120】
図27は、グループの分け方を例示する図である。図には、実線にて囲われたグループが示されている。例えば、グループGr1として示されるように仮想放射線1a1から2b2までを1つのグループとし、グループGr2として示されるように仮想放射線3a1から4b2までを1つのグループとして取り扱うこととしてもよい。
【0121】
また、グループGri3、グループGro3、グループGri4、及び、グループGro4のように、グループGr1及びグループGr2を内周部及び外周部に分割したようなグループを形成してもよい。また、これら形状の異なる各グループを混在させることとしてもよい。このようなグループ分けがなされた場合、勿論、各グループにおける情報ドット130の配置パターンと、これに対応する情報(例えば、上述の2ビットの情報など)の関係が予め規定されているものとする。
【0122】
また、ここではエラー検出の方法としてパリティを用いることとしているが、CRC符号を用いることとしてもよい。また、エラー訂正の方法としてリード・ソロモン符号を用いることとしてもよい。
【0123】
===第2実施形態===
図28は、第2実施形態における中央ポジションマーク210の説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に2を付して表現している。例えば、第2実施形態における中央ポジションマークは210の符号が付されている。
【0124】
前述の実施形態における情報表現パターンでは、中央ポジションマークの形状は、円弧で構成されていたが、これには限られない。図28に示されるように、情報表現パターンの中心と、第1円形仮想線231の内側の仮想線分222上とに、それぞれ1つずつドット211、212を配置して中央ポジションマーク210としてもよい。
【0125】
そして、ドット211とドット212との距離と、各円形仮想線の半径と、の比が予め求められていることとする。そうすることで、得られたドット211とドット212との距離を所定倍することで、各円形仮想線の半径を得ることができる。
【0126】
ただし、この中央ポジションマーク210は、情報ドット230間のドット間隔では生じ得ないドット間隔で構成することができる。このようにすることによって、中央ポジションマーク210の全体的な形状のパターンを、情報ドット230と異なるものとして区別することができる。
【0127】
さらに、中央ポジションマーク210の形状のパターンと情報ドット230の形状のパターンとの区別を確実なものとするために、中央ポジションマーク210には、情報ドット230とは異なる大きさのドットを用いることとしてもよい。
【0128】
===第3実施形態===
図29は、第3実施形態における中央ポジションマーク310の説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に3を付して表現している。例えば、第3実施形態における中央ポジションマークは310の符号が付されている。
【0129】
中央ポジションマーク310は、図29に示されるように、二等辺三角形の形状とすることができる。二等辺三角形の長辺の中央から二等辺三角形の短辺に挟まれた頂点に向かう方向は基準方向となる。また、基準方向と直交する方向であって情報表現パターン301の中心を通る軸にこの二等辺三角形の長辺が接する。
【0130】
このようにすることによっても、中央ポジションマーク310は、情報表現パターン301の中心と基準方向を示すことができる。また、中央ポジションマーク310の形状を情報ドット330と異なるものとして区別することができる。
【0131】
また、この二等辺三角形の高さと、各円形仮想線の半径と、の比が予め求められていることとする。そうすることで、得られた二等辺三角形の高さを所定倍することで、各円形仮想線の半径を得ることができる。
【0132】
また、二等辺三角形の各辺の変形状態を参照することによっても、情報表現パターン301の各方向の歪み量を推定することができる。そして、この推定した歪み量に基づいて、適切に円形仮想線及び仮想放射線の位置を補正することができ、情報ドット330の配置位置を特定することができる。
【0133】
===第4実施形態===
図30は、第4実施形態における中央ポジションマーク410の説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に4を付して表現している。例えば、第4実施形態における中央ポジションマークは410の符号が付されている。
【0134】
中央ポジションマーク410は、図30に示されるように、長方形の形状とすることができる。このとき、長方形の長手方向は基準方向を示す。また、基準方向と直交し情報表現パターン401の中心と通る軸にこの長方形の短辺が接することとなる。
【0135】
このようにすることによっても、中央ポジションマーク410は、情報表現パターン401の中心と基準方向を示すことができる。また、中央ポジションマーク410の形状を情報ドット430と異なるものとして区別することができる。
【0136】
また、長方形の長辺の長さと、各円形仮想線の半径と、の比が予め求められていることとする。そうすることで、得られた長方形の長辺の長さを所定倍することで、各円形仮想線の半径を得ることができる。
【0137】
また、長方形の各辺の変形状態を参照することによっても、情報表現パターン401の各方向の歪み量を推定することができる。そして、この推定した歪み量に基づいて、適切に円形仮想線及び仮想放射線の位置を補正することができ、情報ドット430の配置位置を特定することができる。
【0138】
===第5実施形態===
図31は、第5実施形態における中央ポジションマーク510の説明図である。本図における符号は、第1実施形態において使用された符号の百の位に5を付している。例えば、第5実施形態における中央ポジションマークは510の符号が付されている。
【0139】
また、図には、3つのドット511、512、513が示されている。これら3つのドットは各頂点を結ぶことで二等辺三角形を構成するような配置とされている。第6実施形態では、これら3つのドットが中央ポジションマーク510を構成する。
【0140】
図32Aは、中心を特定する手法を説明する第1の図であり、図32Bは、中心を特定する手法を説明する第2の図であり、図32Cは、中心を特定する手法を説明する第3の図である。まず、撮像装置1060により、3つのドット511〜513が図32Aに示されるように取得されたとする。このとき、ドット512、513による二等辺三角形の長辺に対してドット511から垂直な仮想線分522を設ける(図32B)。そうすると、この仮想線分522と二等辺三角形の長辺との交わる箇所が中央ポジションマーク510の示す中心になる(図32C)。
【0141】
このようにして、複数の図形の組み合わせにより、中央ポジションマーク510の中心(すなわち情報表現パターン501の中心)を示すことができる。
【0142】
次に、このような中央ポジションマーク510により、各円形仮想線の半径を求める手法について説明する。
【0143】
図33は、円形仮想線の半径を求める第1の手法の説明図である。図には、3つのドット511〜513と第1円形仮想線531が示されている。前述のような手法により、中央ポジションマーク510の中心と、仮想線分522を求めることができている。そうすると、中心からドット511までの距離r0を求めることができる。また、第1円形仮想線531の半径r1も予め定められており、半径r1を求めるために距離r0に乗ずる倍率p1も予め定められているものとする。よって、求められた距離r0に倍率p1を乗ずることにより、第1円形仮想線531の半径を求めることができる。ここでは、第1円形仮想線531の半径の求め方について説明を行ったが、第2円形仮想線の半径を求めるために距離r0に乗ぜられる倍率p2、第3円形仮想線の半径を求めるために距離r0に乗ぜられる倍率p3、及び、第4円形仮想線の半径を求めるために距離r0に乗ぜられる倍率p4を用いて、上記と同様の手法により、各円形仮想線の半径についても求めることができる。
【0144】
ところで、撮像装置1060によりドット511〜513を取得する際に上記の距離r0に誤差を含んでしまう場合がある。各円形仮想線の半径は、この距離r0に1より大きな所定倍率を乗ずることにより求められるため、距離r0に誤差を含んでいると、これらの半径に含まれる誤差も所定倍(1より大)される。そうすると、情報ドットが配置されるであろう円形仮想線の位置にも誤差を生ずることになる。このような状況に対応するために、以下のような手法を用いることもできる。
【0145】
図34は、円形仮想線の半径を求める第2の手法の説明図である。図には、複数の情報表現パターン501が示されている。なお、ここでは、説明の容易のために、複数の情報表現パターン501は簡略化して示されており、各情報表現パターン501の中心と第4円形仮想線534のみが示されている。
【0146】
また、これらの複数の情報表現パターン501の中心間距離を全てD1としている。また、中心間を結ぶ線分のそれぞれの中心角をπ/3(60°)としている。このようにしたときにおいて、各情報表現パターン501の第4円形仮想線534の半径と、距離D1と、の比が予め決められているものとする。具体的には、距離D1に倍率q4(1より小)を乗ずることによって第4円形仮想線534の半径が求められるものとする。
【0147】
このようにすることで、撮像装置1060による測定誤差が距離D1に含まれてしまう場合であっても、1未満の倍率q4を乗じて第4円形仮想線534の半径を求めることとしているので、含まれる誤差を相対的に小さくすることができる。そして、適切に円形仮想線の位置を求めることができるようになる。また、方向毎に異なる比率で歪みを生じていた場合(すなわち、D1の値が中心角毎に異なっているような場合)であっても、あらゆる方向(具体的には、π/3、2π/3、π、4π/3、5π/3、2πの中心角の方向)に配置した情報表現パターン501に基づいて、円形仮想線の半径を求めることができるので、方向毎のひずみを補正して円形仮想線を求めることができる。
【0148】
尚、ここでも第4円形仮想線534の半径の求め方についてのみ説明を行ったが、第1円形仮想線の半径を求めるために距離D1に乗ぜられる倍率q1、第2円形仮想線の半径を求めるために距離D1に乗ぜられる倍数q2、第3円形仮想線の半径を求めるためにD1に乗ぜられる倍数q3を用いて、上述の同様の手法によって、各円形仮想線の半径を求めることができることは言うまでもない。
【0149】
図35は、円形仮想線の半径を求める第3の手法の説明図である。ここでも、複数の情報表現パターン501が示されているが、これらは簡略化されており、中心と第4円形仮想線534のみが示されている。
【0150】
図35では、これらの複数の情報表現パターン501の中心間距離を全てD2としている。また、中心間を結ぶ線分のそれぞれの中心角をπ/2(90°)としている。このような配置にした場合であっても、中心間距離D2に所定の倍率(1より小)を乗ずることによって、適切に各円形仮想線の半径を得ることができる。
【0151】
以上の説明において、中心間を結ぶ線分のそれぞれの中心角をπ/3又はπ/2として説明したが、これには限られず、他の中心角で複数の情報表現パターン501を配置することとしてもよい。
【0152】
===その他の実施形態===
上述において、情報表現パターンにおける中央ポジションマークの例を複数示したが、中央ポジションマークの配置及び形状はこれらに限られない。少なくとも、情報表現パターンの中心と基準方向を示すことができれば、中央ポジションマークは他の形状としてもよい。また、情報ドットの形状も、中央ポジションマークとの区別ができればドットでなくともよい。ここで「ドット」という用語を用いたのは、説明の容易のためである。例えば、中央ポジションマーク、情報ドットの形状を、トランプのスペード、ダイヤ、ハート、クローバーなどの形状や、星形の形状にしてもよい。
【0153】
上記の情報表現パターンは、極めて小さく構成することができるため、媒体上の図柄に影響を与えることなく配置することができるが、さらに印刷する際に赤外線吸収インキを用いて印刷されることとしてもよい。このようにすることによって、肉眼では不可視とすることができ、より図柄に影響を与えないように印刷することができる。
【0154】
また、上記の情報表現パターンはカーボンインキを用いて印刷することもできる。このとき、同色のカーボンインキとノンカーボンインキを使用する。そして、カーボンインキで情報表現パターンを印刷し、その上から情報表現パターンを覆うようにノンカーボンインキでベタ印刷する。このようにすることで、これらのインクが同色であるために、肉感では情報表現パターンを不可視としつつ、赤外線フィルターを取り付けたカメラで撮影することで情報表現パターンを取得することができるようになる。尚、カーボンインキで情報表現パターンを印刷し、その上からカラーのノンカーボンインクにて図柄を印刷するようにしてもよい。
【0155】
その他、肉眼における感度の低い色、具体的には黄色を用いてパターンを印刷されることとしてもよい。このようにすることによって、肉眼ではほぼ認識されず、より図柄に影響を与えないように印刷をデザインすることができる。
【0156】
また、カーボンインキで情報表現パターンを印刷し、その上から、ドットで構成される細かな地模様をノンカーボンインキを用いて印刷することとしてもよい。細かな地模様は、網目状の模様であったり、細かな水玉模様であったり、情報表現パターンに類似した一定パターンの地模様とすることができる。このようにすることで、カーボンインキで印刷された情報表現パターンと地模様とを肉眼によって見分けにくくすることができる。
【0157】
また、上記の情報表現パターンは、インクジェットプリンターを用いて印刷することもできる。インクジェットプリンターを用いて印刷をする場合、容易に情報表現パターンに含ませる情報を異ならせることができる。そのため、固有の番号を表すシリアル番号など個体別に異なる情報を含ませた情報表現パターンを異なる物品毎に印刷することができる。
【0158】
また、レーザーマーキングを用いて情報表現パターンを物品に形成することとしてもよい。レーザーマーキングによれば、印刷面をレーザーにより剥離させたり、基材の表面層を剥離させて、情報表現パターンを形成することができる。そして高い精度で細かい情報表現パターンを形成することができる。
【符号の説明】
【0159】
101 情報表現パターン、
110 中央ポジションマーク、
130 情報ドット、
131i 内周部の第1円形仮想線、131o 外周部の第1円形仮想線、
132i 内周部の第2円形仮想線、132o 外周部の第2円形仮想線、
133i 内周部の第3円形仮想線、133o 外周部の第3円形仮想線、
134i 内周部の第4円形仮想線、134o 外周部の第4円形仮想線、
1a1〜8b2 仮想放射線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報表現パターンの中心及び基準方向を規定する第1形状のパターンを配置することと、
前記情報表現パターンと中心を共通にする仮想円であって半径の異なる複数の仮想円と、前記基準方向を基準とした所定中心角おきに規定される複数の仮想放射線と、の複数の交点に第2形状のパターンを配置することと、を含み、各前記仮想放射線に複数の前記第2形状のパターンを配置する情報表現方法であって、
表現される情報としての数値の所定桁ごとの位置と、各前記仮想放射線と、の対応関係が定められており、
前記所定桁の数値と、前記仮想放射線において前記第2形状のパターンを配置すべき交点と、の対応関係が定められており、
前記表現される情報としての数値の前記所定桁ごとに、対応する前記仮想放射線を特定し、
前記表現される情報としての数値における前記所定桁ごとの数値に応じて、特定した前記仮想放射線における対応する交点を特定し、特定した交点に前記第2形状のパターンを配置する、
情報表現方法。
【請求項2】
前記第1形状のパターンは、前記基準方向と交差する軸であって前記情報表現パターンの中心を通る軸に関して非対称の図形で構成される、請求項1に記載の情報表現方法。
【請求項3】
前記第1形状のパターンは、前記基準方向に沿う軸であって前記情報表現パターンの中心を通る軸に関して対称の図形により構成される、請求項2に記載の情報表現方法。
【請求項4】
前記第1形状のパターンは円弧からなり、該円弧の中心点が前記情報表現パターンの中心を規定し、該中心から前記円弧の開口部に向かう方向が前記基準方向を規定する、請求項3に記載の情報表現方法。
【請求項5】
前記第1形状のパターンは、前記複数の仮想円のうちの最も内側の仮想円よりも内側に配置された複数の図形により構成される、請求項1に記載の情報表現方法。
【請求項6】
前記複数の図形は少なくとも第1の図形と第2の図形とを含み、前記第1の図形が前記情報表現パターンの中心を規定し、前記第1の図形から前記第2の図形に向かう方向が前記基準方向を規定する、請求項5に記載の情報表現方法。
【請求項7】
前記第1の図形と前記第2の図形はそれぞれ前記第2形状のパターンの図形と同じ図形である、請求項6に記載の情報表現方法。
【請求項8】
前記第1形状のパターンは、前記第2形状のパターンよりも大きい、請求項1〜7のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項9】
前記第1形状のパターンは、前記仮想円の半径方向の伸縮率を取得するための図形を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項10】
前記所定桁ごとの数値と前記第2形状のパターンを配置すべき交点との対応関係が、隣接する前記仮想放射線間において異なる、請求項1〜9のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項11】
前記交点において前記第2形状のパターンを配置可能な位置が、隣接する前記仮想放射線間で異なる、請求項1〜10のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項12】
各前記仮想線放射線における交点は複数のグループに分けられ、各仮想放射線における各グループには1つの前記第2形状のパターンが配置される、請求項1〜11のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項13】
前記所定桁の数値と、前記仮想放射線の各前記グループにおいて前記第2形状のパターンを配置すべき交点と、の対応関係が定められている、請求項12に記載の情報表現方法。
【請求項14】
前記所定桁の数値は、ビット情報である、請求項1〜13のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項15】
前記表現される情報は予めビット単位で置き換えがされている、請求項14に記載の情報表現方法。
【請求項16】
前記表現される情報は、エラー検出用又はエラー訂正用のビットを含む、請求項1〜15のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項17】
さらに、前記中心間の距離を一定にして前記情報表現パターンを複数形成することを含む、請求項1〜16のいずれかに記載の情報表現方法。
【請求項18】
前記複数の情報表現パターンは、所定の中心角おきに配置される、請求項17に記載の情報表現方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンが形成された物品。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれかに記載の情報表現方法で表された情報表現パターンを読み取る読み取り部と、
読み取った前記情報表現パターンの画像データに基づいて前記第1形状のパターンの位置を特定し、特定した前記第1形状のパターンに基づいて前記仮想放射線ごとに前記第2形状のパターンが配置された交点を特定し、前記仮想放射線における交点と前記所定桁の数値との対応関係に応じて各仮想放射線に対応する数値を特定し、各前記仮想放射線と前記所定桁ごとの位置との対応関係に応じて、特定した各前記数値の所定桁の位置を特定して前記表現される情報としての数値を出力する出力部と、
を備える情報出力装置。
【請求項21】
前記中心間の距離を一定にして前記情報表現パターンが複数形成されている場合において、前記情報表現パターンの中心間の距離に1未満の所定の数値を乗ずることにより、前記仮想円の半径が求められる、請求項20に記載の情報出力装置。
【請求項22】
請求項1〜18のいずれかに記載の情報表現方法で表される情報表現パターンを生成する制御部と、
生成した前記第1形状のパターンと前記第2形状のパターンとを媒体に形成する情報形成部と、
を備える情報表現装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−141759(P2012−141759A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293622(P2010−293622)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【特許番号】特許第4754654号(P4754654)
【特許公報発行日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(500521153)
【Fターム(参考)】