説明

情報表示シート

【課題】 本発明は、容易に折りたたむことが可能な情報表示シートを提供することであり、また、画像情報とともに音声情報を出力できる情報表示シートを提供することである。さらには、音声出力の大きくなる情報表示シートを提供することである。
【解決手段】 情報表示シートの内部に空間領域を設け、その空間領域で折り曲げ可能とするとともに前記空間領域と音声再生手段の空間部とを連通させ、また、その上部に孔を設けることにより、大きな音声出力を得ることができた。さらに、情報表示手段と音声再生手段を前記情報表示シートに配置することにより、薄暗い環境では、音声で、また、騒音の大きい環境では、表示により、情報を確実に入手することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な方法で情報を表示でき、且つ音声を再生できる情報表示シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、廃棄物を削減する、森林破壊の元凶となる紙の使用の削減が叫ばれている。このような状況に鑑み、電子ペーパーに代表される書き換え可能な情報表示シートが提案されている。
【0003】
情報表示シートは、折りたたむことが可能であれば、著しく携帯性が向上する。特許文献1では電子ペーパーを薄型のプラスチックシートにより構成し、折りたたむことを可能としている。
【特許文献1】特開平10−171620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、どの様な構造により折りたたむことを可能とするかについては開示されていない。また、薄暗い環境では、情報表示部を高輝度に設定しないと、情報表示部に表示される画像を視認し難いという問題があった。さらに、音声を再生できる情報表示シートにあっては、当然ながら音声再生手段もシート状であるため、音声出力が小さいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易に折りたたむことが可能な情報表示シートを提供することであり、また、画像情報とともに音声情報を出力できる情報表示シートを提供することである。さらには、音声出力の大きくなる情報表示シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は以下の手段により達成できる。
【0007】
請求項1に記載の情報表示シートは、透明な第1基板及び該第1基板と一定間隔をもって平行に配置された第2基板、並びに該第1基板及び第2基板によって規定される側縁によって形成される空間内に、音声再生手段及び画像情報を表示する情報表示部を前記第1基板の側とした情報表示手段とを配設してなるものである。
【0008】
請求項2に記載の情報表示シートは、請求項1に記載の情報表示シートにおいて、前記側縁と平行な面を持った一定幅の空間領域を前記空間内に確保し、該空間領域に位置する前記第1基板と第2基板の領域を折り曲げ部とし、前記空間領域に沿って折りたたむことが可能となるものである。
【0009】
請求項3に記載の情報表示シートは、請求項2に記載の情報表示シートにおいて、前記空間領域に位置する前記第1基板の領域に貫通する孔を設けたものである。
【0010】
請求項4に記載の情報表示シートは、請求項3に記載の情報表示シートにおいて、前記音声再生手段と前記第1又は第2基板の間で形成される空間部と前記空間領域が連結しているものである。
【0011】
請求項5に記載の情報表示シートは、請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報表示シートにおいて、前記情報表示手段は、電力の供給が停止されたときにも表示状態を維持できるメモリ性を有するものである。
【0012】
請求項6に記載の情報表示シートは、請求項5に記載の情報表示シートにおいて、前記情報表示手段は、コレステリック液晶を用いた表示部、電気泳動粒子を用いた表示部又はエレクトロクロミック特性を有する化合物を用いた表示部を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の情報表示シートは、書き換えが可能な情報表示手段と音声再生手段を備えているので、薄暗い環境でも音声で情報を確認することができるとともに、周囲の騒音が大きくても、視覚により情報を確認することができ、確実に情報を捉えることができる。また、空間領域に沿って折りたたむことが可能な折り曲げ部を基板に設けた構成としたので、情報表示シートを容易に折りたたむことが可能となり、著しく携帯性が向上した。さらには、音声再生手段と基板の間で形成される空間部と空間領域を連結し、空間領域に位置する基板の領域に貫通する孔を設けた構成としたので、再生音をこの孔からも聞くことが可能となるので、より大きな音を再生することが可能となる。
【0014】
一方、画像表示手段の表示部として、メモリ性のあるコレステリック液晶を用いた表示部、電気泳動粒子を用いた表示部又はエレクトロクロミック特性を有する化合物を用いた表示部としたので、消費電力の少ない情報表示シートが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の情報表示シートの実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の情報表示シートの概念図を示す図であり、第1基板(図2における符号9)側から見たものである。情報表示シート1は、情報表示手段2、音声再生手段3、音声情報や画像情報の記憶と各種の制御を司るICモジュール4、電池5、各種の操作ボタンを備えた操作部6、第1基板(図2における符号9)に設けられた情報表示シート1を折りたたみ可能とする折り曲げ部7、折り曲げ部7に形成された第1基板9を貫通する孔8−1、音声再生手段3からの再生音を外部に効率よく取り出すための第1基板9に形成された孔8−2、等を備えている。
【0017】
情報表示手段2は、画像情報を表示する情報表示部を第1基板9側として配設してある。したがって、第1基板9は透明であることが必須であり、画像情報は第1基板9側から観察することになる。ここでは音声再生手段3は、音声出力の機能を持ったスピーカーと音声入力の機能を持ったマイクロフォンの両者を兼ね備えたものとしている。ICモジュール4は、情報表示媒体の分野で一般に使用しているものを採用することができる。
【0018】
電池5としては、薄型電池を採用することが好ましい。
【0019】
図2は、図1におけるA−A’での断面図であり、第1基板9と第2基板10及び第1基板9と第2基板10によって規定される側縁によって形成される空間内に、情報表示手段2、音声再生手段3、ICモジュール4(図2では電池5の奥側に配置されており図示せず)、電池5が配設されている。第1基板9と第2基板10及び第1基板9と第2基板10によって規定される側縁によって形成される空間の高さは、1〜1.5mm程度であることが携帯性の観点からも好ましい。また、この空間内には、側縁と平行な面を持った一定幅の空間領域11が確保されている。情報表示シート1を、この空間領域11に沿って折りたたむことを可能とするため、第1基板9の折り曲げ部7に対向する第2基板の位置を折り曲げ部(図示せず)としている。
【0020】
空間領域11には、情報表示シート1を折りたたむ際に、折りたたみに障害となるような部品を配設することは不可である。すなわち、本発明においては、空間領域とは、情報表示シート1を折りたたむ際に、折りたたみに障害となるような部品を配置することはない、という意味で用いている。したがって、例えば、フレキシブルプリントのような折り曲げ可能な配線部品は、この空間領域11に配設することは可能である。
【0021】
また、空間領域11は、音声再生手段3と第1基板の間で形成される空間部12と連結し、空間領域11に位置する第1基板9の領域に貫通する孔8−1が無数に設けられている構造となっている。このような構造とすることにより、音声再生手段3から発せられる音声を効率よく外部に取り出すことが可能となり、より大きな音を再生することが可能となる。
【0022】
情報表示シート1は折りたたむことが携帯性の観点からも重要であるということに鑑みると、基板の厚みは、第1基板9、第2基板10ともに、100〜500μmが好適である。また、基板の素材としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PE(ポリエチレン)、PES(ポリエーテルスルフォン)などを挙げることができる。第1基板9は透明であることが必須であるが、第2基板10は透明であっても、不透明であってもよい。
【0023】
まず情報表示手段2にコレステリック液晶を用いた場合について説明する。
【0024】
情報表示手段2におけるコレステリック液晶による液晶表示素子は、基本的に透明電極を有する一対の基板とこの基板間に挟持された液晶層とからなる。この液晶層に所定の駆動電圧を印加することで該液晶層における液晶分子の配列を制御し、液晶表示素子に入射される外光を変調して目的とする画像の表示を行う。また液晶表示素子は一対の基板間の間隔を保持するために該両基板間にスペース保持材が配置されることがある。詳細には一対の基板の間にコレステリック相を示す液晶を挟持し、液晶の状態をプレーナ状態とフォーカルコニック状態に切り換えて表示を行う。液晶がプレーナ状態の場合、コレステリック液晶の螺旋ピッチをP、液晶の平均屈折率をnとすると、波長λ=P・nの光が選択的に反射される。また、フォーカルコニック状態では、コレステリック液晶の選択反射波長が赤外光域にある場合には散乱し、それよりも短い場合には可視光を透過する。そのため、選択反射波長を可視光域に設定し、素子の観察側と反対側に光吸収層(例えば黒色層)を設けることにより、プレーナ状態で選択反射色の表示、フォーカルコニック状態で黒の表示が可能になる。また、選択反射波長を赤外光域に設定し、素子の観察側と反対側に光吸収層を設けることにより、プレーナ状態では赤外光域の波長の光を反射するが可視光域の波長の光は透過するので黒の表示、フォーカルコニック状態で散乱による白の表示が可能になる。
【0025】
本発明のコレステリック液晶を用いた情報表示手段2を形成する場合、コレステリック液晶をマイクロカプセルに封入して、必要であればバインダー樹脂とともに電極間に配置してもよいし、バインダー樹脂とともにコレステリック液晶を分散させて塗布して形成してもよい。また、光硬化性樹脂を用い重合時に相分離(重合相分離)を起こさせて強度のある膜として液晶層を形成してもよい。
【0026】
次に情報表示手段2にマイクロカプセル型電気泳動粒子を用いた場合について説明する。
【0027】
マイクロカプセル型電気泳動粒子による情報表示手段2は、通電による電圧印加によって、文字、数字、図形等が書き込まれる。また逆電界をかけることによって表示情報が消去される。
【0028】
本発明に用いられるマイクロカプセル型電気泳動粒子を用いた表示素子は、分散媒中に電気泳動粒子を分散させた分散系をマイクロカプセルに封入した粒子を電極間に挿入して形成したものである。所定の色に着色された分散媒と白色の電気泳動粒子が封入されたマイクロカプセルに電界が印加されると、白色粒子が負に帯電している場合には、第一の電極が正極の時、白色粒子は第一の電極側に移動し、表示色は分散媒の色になる。逆に、第一の電極が負極の時、白色粒子は第二の電極側に移動し表示色は白色になる。透明媒体中に着色粒子と白色粒子を用いて表示を行なうことも可能である。
【0029】
着色分散媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、各種エステル類、アルコール類、またはその他の種々の油等を単独または適宜混合した溶媒を、公知のアゾ系染料、アントラキノン系染料、トリフェニルアミン系染料、金属染料等を好適に単独又は複数用い、着色したものを用いる。
【0030】
白色粒子は、例えば、酸化チタンや酸化亜鉛、硫化亜鉛等の無機顔料のほか、ガラスあるいは樹脂等の微粉末、さらにはこれらの複合体等を使用する。必要に応じて、粒子の表面を種々の界面活性剤、分散剤、有機および無機化合物、金属化合物等を用いて処理することで所望の表面電荷を付与することができるのみならず、分散媒中での分散性を向上させることができる。
【0031】
分散液は、複合コアセルベーション法等の相分離法、界面重合法、in−Situ法、溶解分散冷却法等、公知の方法を用いて作成されるマイクロカプセルに封入する。必要に応じて、ふるい分け、比重分離法などの任意の方法により、作成したマイクロカプセルの径の分布を制御する。マイクロカプセルの径としては、1〜300μmが望ましく、さらに好ましくは5〜200μmである。
【0032】
得られたマイクロカプセル粒子を適当なバインダー樹脂とともに電極上に塗布することにより可逆情報表示層を形成することができる。表示層には膜厚を制御するためにスペーサーを混入してもよい。使用可能なスぺーサーとしては、液晶パネル用として市販されている球形や板状の樹脂微粒子や無機微粒子が用いられる。
【0033】
さらに情報表示手段2にエレクトロクロミック材料を用いた場合について説明する。
【0034】
エレクトロクロミック材料による情報表示手段2は、通電による電圧印加によって、材料が溶解または析出して発色したり、材料の構造が変化して材料の色が変化することによって表示するものであり、電界によって、文字、数字、図形等が書き込まれ、逆電界をかけることによって表示情報が消去される。
【0035】
本発明に用いられるエレクトロクロミック表示素子はエレクトロデポジション型の表示素子を含むものである。エレクトロデポジション型とは二枚の電極間に電解質層を挟時し、電極間に通電することで電解質層に含有される金属イオンが電気化学的な反応によって析出および溶解することによって表示されるものである。
【0036】
本発明に用いられるエレクトロクロミック表示素子は、透明画素電極が形成された透明支持体間に電気活性を有し、且つ電気化学的な酸化もしくは還元により変色材料層と着色剤を含有した電解質層を形成したもの、もしくは金属イオンと着色剤を含有した電解質層を形成したものが好適に用いられる。変色材料は耐久性の点で高分子のものが好ましく、電解質層は耐久性や製造性の点から高分子電解質やイオン性液体が好ましい。
【0037】
エレクトロクロミック材料としては、ビオロゲン誘導体、酸化タングステン、Liドープ酸化タングステン、エルビウムフタロシアニン誘導体やポリピロール、ポリアニリン、ポリアズレン、ポリチオフェン、ポリインドール、ポリカルバゾール等の高分子材料が挙げられる。
【0038】
高分子電解質に用いられる高分子としては、骨格ユニットがそれぞれ−(C−C−O)n−、−(C−C(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、もしくは−(C−C−S)n−であらわされるポリエチレンオキサイド、ポリプロプレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。これらを主鎖構造として、枝分れがあってもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネートなども好ましい。
【0039】
高分子固体電解質を形成する際には、可塑剤を添加することが好ましい。好ましい可塑剤としては、用いられる高分子が親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコールおよびこれらの混合物等が好ましく、疎水性の場合にはプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブロモラクトン、アセトニトリル、スルフォン、ジメトキシエタンジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドンおよびこれらの混合物が好ましい。
【0040】
高分子電解質は前記高分子に電解質を溶解せしめて形成されるが、その電解質としては、リチウム塩、例えばLiCl、LiBr、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3などや、カリウム塩、例えばKCl、KBr、KIなどや、ナトリウム塩、例えばNaCl、NaBr、NaIなどや、テトラアルキルアンモニウム塩、例えば、硼フッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライドなどを挙げることができる。上述のアンモニウム塩のアルキル鎖長は不揃いでもよい。
【0041】
高分子電解質層にはコントラストを向上させるために着色剤を含有してもよい。発色が黒色の場合には、背景色としては白色の隠蔽性の高い材料が導入される。このような材料には、例えば、着色用の白色粒子が用いられ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム等を使用することができる。
また、着色のための色素を用いることもできる。
【0042】
金属の電気化学的な析出、溶解によって発色と消色を行なう場合に使用される金属イオンとしては、ビスマス、スズ、銀、リチウム、鉄、クロム、ニッケル、亜鉛等の各イオンまたはそれらの組み合わせからなるイオンを例示することができる。特に好ましい金属イオンは銀、ビスマスである。これは、可逆的な反応を容易に進めることができ、析出時の変色度が高いためである。
【0043】
さらに、本発明では、情報表示手段2の表示層上に保護層を設けてもよい。この保護層によって表示層が機械的あるいは化学的に外部から保護されることになる。
【0044】
保護層に使用可能な材料としては、高分子樹脂溶液を塗布して塗膜を形成してもよいし、樹脂フィルムをラミネートしてもよい。また、無機材料の蒸着によって保護層を形成してもよいし、ゾル−ゲル法を用いて溶液を塗布して形成してもよい。
【0045】
さらに、本発明に係る情報表示シートにあっては、表示層の一部を非可逆性情報表示領域とし、この領域に予め特定の情報を書き込んでおくこともできる。例えば、会社名や飾り図柄を予め書き込んでおくことで、特定のフォーマットされた表示シートとして使用することができる。
【0046】
さらに、本発明に係る情報表示シートにあっては、表示層の一部に筆記具による記録表示領域を設け、この領域にサインや特定情報を個人的に書き込めるようにしておくこともできる。例えば、氏名や住所を記入する欄として使用することができる。
【0047】
さらに、本発明に係る情報表示シートにあっては、表示層の一部にホログラム形成層ないし回折格子形成層を設け、この領域に予め特定の情報を書き込んでおくこともできる。このホログラム層は、二次元または三次元画像を再生可能な、表面凹凸パターン等で形成したものである。これらは、表面凹凸部に情報を記録しているため、この凹凸部に反射層を設けてホログラム、回折格子を再生するものである。例えば、特定の図柄や文字を予め記録しておくことで、情報表示シートの偽造を困難なものとすることが出来る。
【0048】
本発明における情報表示シートが、たとえば医療用カードであれば、情報表示手段2には、来院日や担当医、通院回数等が表示され、使用者は目視によってこれらの情報を得ることができる。一方、音声情報が記録部にすでに録音されているか、または録音可能で音声再生部から、病院の案内や表示内容等が音声再生され、使用者は音声によってこれらの情報を得ることができる。また、本発明における情報表示シートを専用のリーダーライターに通すことによって、画像情報と音声情報を書き込み、その一部を表示、および音声再生させる構成にしても良い。
【実施例】
【0049】
以下、本発明に係る情報表示シートおよびその情報表示シートを用いたシステムについて、添付図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態においては、具体的な物質名を挙げて説明を行っているが、これはあくまでも一つの実施例であり、本発明がこれらの物質に限られるものではなく、各種の材料を使用することが可能である。
【0050】
本発明の情報表示シートを図1に基づいて説明する。
情報表示シート1は、第2基板10としてPES(ポリエーテルスルフォン)フィルムを用い、その上に情報表示手段2、音声再生手段3、ICモジュール4、電池5、操作部6のそれぞれを配置し、必要な電気回路は、前記基板上に直接形成している。また、第1基板9としてPES(ポリエーテルスルフォン)フィルムを用い、必要な電気回路は、前記基板上に直接形成している。
【0051】
また、折り曲げ部7として、図2に示すように空間領域11を形成し、その空間領域11に沿って、本情報表示シートを折り曲げやすくしている。また、前記空間領域11と音声再生手段3上部の空間部12とは連通状態にあり、音声再生手段3及び空間領域11に対応する第1基板9には細孔が形成されており、音声再生手段3からの音が出力されやすく構成されている。なお、この情報表示シートの厚みは、1.5mmとした。
【0052】
この時、第1基板9と第2基板10にフレキシブルなPES(ポリエーテルスルフォン)フィルムを用いているので、その上に形成した電気回路を損なうことなく、容易に折り曲げることができる。
次に情報表示手段2について説明する。
情報表示シート本体1の情報表示手段2として、カイラルネマチック液晶組成物からなるコレステリック液晶を用いた。
【0053】
コレステリック液晶としては、ネマチック液晶A(誘電率異方性Δε:32.4、屈折率異方性Δn:0.230、ネマチックアイソトロピック相転移温度Tni:103℃)にカイラル材CB15(メルク社製)を36.8質量%混合し、カイラルネマチック液晶組成物を調整した。このカイラルネマチック液晶組成物は、605nmにピーク波長があるブロードな選択反射特性を示した。
次に、PES(ポリエーテルスルフォン)フィルム上に設けられたITO(インジウム錫酸化物)の透明電極上に厚み800Åの配向安定化膜AL−4552(JSR社製)を形成し、その上に6μm径のスペーサ(積水ファインケミカル社製)を散布した。またもう一つのPESフィルム基板上のITO透明電極上にも、厚み800Åの配向安定化膜AL−4552(JSR社製)を形成した。続いて、第一基板上の周辺部にシール材XN21S(三井化学社製)をスクリーン印刷して所定高さの壁を形成した。その後、基板同士を貼り合せシール材を硬化させた。その後、所定量のカイラルネマチック組成物を真空注入装置を用いて注入した。このセルの裏面(光を入射させる側とは反対側の基板面)にはピーク反射波長が470nmの青色の光吸収膜DIC579(大日本インキ製)を設け、コレステリック液晶表示素子による情報表示手段2を作製した。
【0054】
上記のコレステリック液晶表示素子の電極間に白色状態(プレーナー状態)と青色状態(フォーカルコニック状態)にするために所定電圧で駆動したところ、45Vで白色状態、30Vで青色状態を示した。白色表示時の視感反射率Y値は23.3、色度(x,y)=(0.34,0.31)、分光反射波形の半値幅は110nmであり、白色度良好かつコントラストの高い素子であった。なお、Y値、色度及びコントラストの測定は白色光源を有する分光測色計CM3700d(コニカミノルタ社製)を用いて行なった。
【0055】
図3に音声再生手段3を示す。圧電素子からなる圧電素子膜15は、その周縁部を上部及び下部からそれぞれ第1及び第2の導電性リング16、17によって挟持されている。第1の導電性リング16及び第2の導電性リング17には、それぞれ電圧を印加または電圧を取り出せるようになっている。第2の導電性リング17の下部には絶縁リング18が設けられ、その下にはさらに、基板19が設けられている。圧電素子15と基板19とによって形成される空間には、軽量で弾性力のあるウレタンフォーム20が充填されている。このような構造のマイク及び音声再生手段3において、圧電素子膜15に外部から音圧が加わると、圧力によって変形を受け、この変形が圧電素子膜15の表面と裏面との間に起電力を生じ、この電流を取り出して電気信号として利用することでマイクとなる。また、この圧電素子膜15の表面と裏面に第1及び第2の導電性リング16、17に電圧を印加することにより、圧電素子膜15が変形を受け、振動することで音声再生を行うことができる。この音声再生手段の上部には空間を有して振動板を設けている。振動板は上質紙にPETがコーティングされたものである。
【0056】
以上のような情報表示シートを用いることにより、折り曲げが容易にできるようになり、折り曲げ部7の空間領域11と音声再生手段3の空間部12を連結していることにより、より大きな音を出すことができる。また、書き換え可能な情報表示手段2に表示された情報と音声情報を併用して情報を伝達することができるので、確実に情報伝達がなされる。薄暗い環境でも音声で確認ができるとともに、周囲の騒音が大きくても、視覚により情報を認識できる。さらに、表示部にコレステリック液晶、電気泳動粒子、エレクトロクロミック素子を用いることにより、長期にわたり安定した画像の繰り返し消去表示が可能となる。また、情報表示手段2が電界駆動で表示され、表示素子にメモリ性があるので、消費電力の点で優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明における1実施例としての情報表示シートの概略平面図である。
【図2】本発明における1実施例としての情報表示シートの概略断面図である。
【図3】本発明における1実施例としてのスピーカー兼マイクロフォンである。
【符号の説明】
【0058】
1 情報表示シート
2 情報表示手段
3 音声再生手段
4 ICモジュール
5 電池
6 操作部
7 折り曲げ部
8−1、8−2 孔
9 第1基板
10 第2基板
11 空間領域
12 空間部
15 圧電素子
16、17 導電性リング
18 絶縁リング
19 基板
20 ウレタンフォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な第1基板及び該第1基板と一定間隔をもって平行に配置された第2基板、並びに該第1基板及び第2基板によって規定される側縁によって形成される空間内に、音声再生手段及び画像情報を表示する情報表示部を前記第1基板の側とした情報表示手段とを配設してなる情報表示シート。
【請求項2】
前記側縁と平行な面を持った一定幅の空間領域を前記空間内に確保し、該空間領域に位置する前記第1基板と第2基板の領域を折り曲げ部とし、前記空間領域に沿って折りたたむことが可能となる請求項1に記載の情報表示シート。
【請求項3】
前記空間領域に位置する前記第1基板の領域に貫通する孔を設けた請求項2に記載の情報表示シート。
【請求項4】
前記音声再生手段と前記第1又は第2基板の間で形成される空間部と前記空間領域が連結している請求項3に記載の情報表示シート。
【請求項5】
前記情報表示手段は、電力の供給が停止されたときにも表示状態を維持できるメモリ性を有する請求項1乃至4の何れか1項に記載の情報表示シート。
【請求項6】
前記情報表示手段は、コレステリック液晶を用いた表示部、電気泳動粒子を用いた表示部又はエレクトロクロミック特性を有する化合物を用いた表示部を有する請求項5に記載の情報表示シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−194928(P2006−194928A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3502(P2005−3502)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】