説明

情報表示パネルおよび情報表示機器

【課題】オフセット印刷とスクリーン印刷を組み合わせることによって、図形等に立体感を持つことができ、かつ立体成型した情報表示パネルの厚さよりも薄くした情報表示パネルを提供することを課題とする。
【解決手段】光透過性支持体の一方の面に金属層、酸化防止層および加飾層が順に積層された情報表示パネルであって、前記情報表示パネルの厚さが0.05〜5mmの範囲であり、前記金属層の表面抵抗値が1.3〜100Ω/□の範囲であり、前記加飾層はオフセット印刷で施された階調部分と、スクリーン印刷で施された透明部分とを少なくとも有しており、前記階調部分と前記透明部分の少なくとも一部が重なっていることを特徴とする情報表示パネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属層を備える情報表示パネルに関し、特に金属層に光透過性を有する情報表示パネルおよび情報表示機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話等の情報表示パネルに、薄い金属蒸着膜の裏側に設けてある目盛、数字、文字等に光を透過させると、目盛、数字、文字等が現れ、光が透過しない場合は、目盛、数字、文字等が現れないことが提案されていた(特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術は、薄い金属蒸着膜にアルミ蒸着膜を用いることを開示するものである。
【0003】
他方、視認性、外観上のデザイン性を高めるための要素技術として、金属薄膜を用いた技術が知られている。例えば、美粧性を付与するために紙又はフィルム基材にアルミニウムを蒸着した金属蒸着膜が、包装材、カード、ポスター、シール、ラベル等に広く用いられている。金属蒸着膜は、基材に直接アルミニウムを蒸着する、いわゆるダイレクト蒸着法により主に製造されているが、最近では、接着剤を介して基材に金属蒸着膜を転写する製造方法がある。金属蒸着膜を転写する方法を用いることで、金属光沢性を有しつつ様々な外観や模様を付与することが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に開示された技術は、金属光沢性を有しつつ前記金属蒸着層上にスクリーン印刷による加飾を行うことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4192842号
【特許文献2】特開2000−355072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
美観性を向上させるために、図形等に立体感が要求されている。立体感は立体成型で情報表示パネルを作製することで可能となるが、立体成型では厚さを有してしまうために、情報表示機器筺体内の空間的な設計上の制約が生まれてしまうといった課題がある。
本発明は、オフセット印刷とスクリーン印刷を組み合わせることによって、図形等に立体感を持つことができ、かつ立体成型した情報表示パネルの厚さよりも薄くした情報表示パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために次のような構成を備えている。
請求項1に記載の発明は、光透過性支持体の一方の面に金属層、酸化防止層および加飾層が順に積層された情報表示パネルであって、前記情報表示パネルの厚さが0.05〜5mmの範囲であり、前記金属層の表面抵抗値が1.3〜100Ω/□の範囲であり、前記加飾層は少なくとも、オフセット印刷で施された階調部分と、スクリーン印刷で施された単色部分と、スクリーン印刷で施された透明部分と、を有しており、前記階調部分と前記透明部分が少なくとも一部が重なっていることを特徴とする情報表示パネルである。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、加飾層がオフセット印刷で階調豊かに表現されているために擬似的な立体感が得られ、またスクリーン印刷によって透明インキを印刷することによって前記立体感をさらに向上させることができる。
さらに、金属層の表面抵抗値を1.3〜100Ω/□にすることで光源が非点灯時に目視方向から観察すると、金属光沢性を有する金属層が観察され、光源が点灯時には、光が金属層を透過される効果が生じる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、光透過性支持体の一方の面に金属層、酸化防止層および加飾層が順に積層された情報表示パネルであって、前記情報表示パネルの厚さが0.05〜5mmの範囲であり、前記金属層の一部が存在しない領域を有し、前記加飾層は少なくとも、オフセット印刷で施された階調部分と、スクリーン印刷で施された単色部分と、スクリーン印刷で施された透明部分と、を有しており、前記階調部分と前記透明部分が少なくとも一部が重なっていることを特徴とする情報表示パネルである。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、加飾層がオフセット印刷で階調豊かに表現されているために擬似的な立体感が得られる。またスクリーン印刷によって透明インキを印刷することによって前記立体感をさらに向上させることができる。
さらに、金属層の一部が存在しない領域を有することによって、裏面からの光源の点灯時には光が透過される効果を生じる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記スクリーン印刷によって施された単色部分および透明部分の表面が微細な凹凸パターンを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の情報表示パネルである。
【0011】
請求項3記載の解決手段によれば、スクリーン印刷によってインキを印刷して、表面の質感を付与することによって、オフセット印刷で施された疑似的な立体感をさらに向上させることができる。また、エンボス模様やマット模様を加飾層として設けると、艶消し模様等の金属光沢性の強度の度合いが適宜調整できる効果も生じる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記支持体の前記金属層の無い側の面に絵柄層を設け、前記加飾層上、または、前記絵柄層上に、帯電防止層を積層したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の情報表示パネルである。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、帯電防止層により、加飾層や酸化防止層に汚れや傷等がつきにくくなるので、金属層の金属光沢性や光透過性を維持することができる効果が生じる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記支持体はポリカーボネート、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、アクリル、ポリスチレン、メタクリル・スチレン共重合体またはアクリルニトリル・スチレン共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の情報表示パネルである。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、ポリカーボネートは耐熱性や耐衝撃性に優れているために過酷な環境下で使用でき、ポリプロピレンおよび発泡ポリプロピレンは軽量であるために、製造工程において加工等が容易であり、情報表示パネルも軽量になる効果が生じる。また、ポリプロピレンを使用することにより、破棄燃焼時にハロゲンガス等の有害ガスが発生しないため、環境負荷が小さい効果が生じる。
【0016】
請求項6記載の発明は、前記金属層の表面に、微細な凹凸を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載の情報表示パネルである。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、金属層に微細な凹凸を設けることで、光が拡散し、またはヘアライン模様、エンボス模様、マット模様およびホログラム模様等の模様に表現することができるので、美観性を向上する効果が生じる。
【0018】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項の情報表示パネルを具備した情報表示機器である。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、立体成型した情報表示パネルの厚さよりも薄い情報表示パネルを具備した情報表示機器が得られ、情報表示機器筺体内の空間的な設計上の制約が少なくなるため設計自由度が高く、かつ、コンパクトな情報表示機器を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、光透過性と金属光沢を有した金属層上にスクリーン印刷とオフセット印刷を有しており、オフセット印刷でグラデーション(階調)を、スクリーン印刷による表現性と表面加飾に優れており、スクリーン印刷とオフセット印刷を組み合わせることで立体感を感じることができるため、立体成型を行う必要がない薄い情報表示パネルを提供できる効果が生じる。この情報表示パネルを用いると情報表示機器内に配設した際に邪魔になりにくい効果も生じる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例である。
【図2】本発明の一実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に図面を参照して、本発明に係る情報表示パネルの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明に係る情報表示パネル9を図1に示す。支持体5の一方の面側に金属層4、酸化防止層3、加飾層2−1、加飾層2−2、加飾層2−3及び帯電防止層1が順に積層され、支持体5の他方の面に絵柄層6が積層されたものである。支持体5の前記他方の面側に光源7が配置され、観察者8側から目視を行うことになる。
【0024】
支持体5は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂等一般的な樹脂が利用できるが、本発明においてはポリカーボネート、ポリプロピレンまたは発泡ポリプロピレンのいずれかが好ましい。特にポリカーボネートは耐熱性、耐衝撃性に優れており屋外などの過酷な環境でも長期間使用することが出来る。
【0025】
支持体5上に金属層4を形成する。
金属層4は、アルミニウム、亜鉛、金、銀、プラチナ、ニッケル、錫等が好ましく利用できる。
なお、金属層4は、金属光沢性を有しており、その金属光沢性が本願発明においても、そのままいかされることになる。本発明においては、アルミニウムを用いるのが好ましい。アルミニウムは金属光沢性が非常に高く美しい観察が可能となるためである。
【0026】
金属層4は、金属を蒸着することで形成された金属蒸着層を用いることが、薄膜を高品質に形成でき、その表面に凹凸等を設けることも行いやすいことから好ましい。形成する方法としては、支持体5に対して直接に真空蒸着する方法や、転写用フィルムに真空蒸着して形成した金属蒸着層を、接着剤を塗布した支持体5へ転写する転写蒸着法が利用できる。
【0027】
本発明においては、転写蒸着法を用いて、微細な凹凸をつけた転写用フィルムを利用することによって転写後の金属層4表面に微細な凹凸を設けた。この微細な凹凸によってヘアライン模様、エンボス模様、マット模様、又はホログラム模様等を表現することができる。
【0028】
転写用フィルム表面に微細な凹凸を設ける方法として、例えば研磨剤を用いることができる。研磨剤は、砥粒と接着剤と合成繊維の三大要素から構成されている。砥粒は、酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させたものを用いることができ、粒の硬度や大きさによって、微細な凹凸を調整することができる。
【0029】
微細な凹凸は、ヘアライン調やマット模様などのデザイン性を持たせることができ、特にマット模様は艶消し模様であり、金属光沢性の強度の度合いが適宜調整できる。
【0030】
金属層を支持体に転写する際に使用する接着剤としては、例えばドライラミネートに用いられる各種の二液硬化型接着剤や光硬化型接着剤を挙げることができる。二液硬化型接着剤は、時間経過とともに硬化するものであり、更には、加熱により一層短時間で硬化させることができ、例えばウレタン系樹脂接着剤やエポキシ系樹脂接着剤を用いることができる。また光硬化型接着剤は、電子線や紫外線などを照射して硬化するタイプのものである。例えばウレタン系樹脂接着剤やアクリル系樹脂接着剤を用いることができる。
【0031】
また図示はしていないが、金属層4上に保護層を設けてよい。保護層は、アクリレート系共重合樹脂および所望によりその他添加剤を、水、有機溶剤等の溶媒に溶解又は分解せしめてなる絵柄を、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の通常のコーティング方法に従い塗布し、乾燥することにより形成される。保護層の厚みは、通常0.1〜5μm程度、好ましくは0.5〜3μm程度である。
保護層を積層した場合は、保護層上に、後述する加飾層2および帯電防止層1を順に積層する。
【0032】
金属層4上に酸化防止層3を積層する。
酸化防止層3は、透明又は半透明の樹脂から構成することが好ましい。後述する酸化防止層3の構成層の一層であるインク受容層により印刷適性を付与することができ、かつ、金属層4の酸化を防ぐことができる。
【0033】
酸化防止層3は、プライマー層、アンカー層およびインク受容層の三層構造になっている。
プライマー層は、金属層4上に積層され、金属層4と後述するアンカー層との密着性を向上させる。
アンカー層は、後述するインク受容層を通過した水分を吸収して、金属層4への水分の浸透を防止するとともに、インク受容層と金属層4との密着性を向上させ、印刷適性の改善及び金属層4とインク受容層の剥離を防止できる。
アンカー層としては、ポリエステル変性樹脂を主成分とした樹脂を用いることができ、また、アンカー層の厚みは1〜5μmである。
インク受容層は、インクのにじみが少ないものであればよく、例えばポリエステル樹脂水分散体の加工剤を用いることができる。厚みは10〜20μmである。
よって酸化防止層3を積層することで、金属層4の酸化を防ぐことができるので、金属光沢性を維持することができる。
【0034】
酸化防止層3上の所定箇所に加飾層2−1を積層する。
加飾層2−1は階調部分となり、オフセット印刷によって設けられ、スクリーン印刷に比べて、金属層の上にグラデーションなどの階調表現を効果的に行うことが出来る。加飾層2−1は観察者8から直接観察され、用いる絵柄には、印刷をする際に一般的に使われるインキを使用することができ、好みに応じた絵柄を印刷することができる。
オフセット印刷は網点の調整を行うことができるので、色の明るさの変化を調整することができる。
階調表現とは、明るさの変化を滑らかに表現できることであり、自然界の連続的な色の変化を再現することができる。
【0035】
酸化防止層3上の所定箇所に加飾層2−2を積層する。
加飾層2−2は単色部分となり、スクリーン印刷によって設けられ、金属光沢性を有するような凹凸を持つ模様等を施すことができるので、さらなる金属光沢性または意匠効果が発揮される。加飾層2−2は観察者8から直接観察され、用いる絵柄には、印刷をする際に一般的に使われるインキを使用することができ、好みに応じた絵柄を印刷することができる。単色部分は後述する透明部分とは異なり、光源7からの光を遮光することが可能なインキを使用する。例えば黒色のインキを使用することができる。
【0036】
図1には、加飾層2−1および加飾層2−2はそれぞれ、酸化防止層3上の別々の箇所に積層され、更に酸化防止層3上には加飾層2−1および加飾層2−2が形成されない箇所があるような場合を示しているが、これとは違って、加飾層2−1と加飾層2−2が重なった状態で積層される箇所があってもよく、その際に、加飾層2−1および加飾層2−2はどちらが観察者8側となっても構わない。
【0037】
加飾層2−1を設けた上に少なくとも一部が重なるように透明部分である加飾層2−3を設ける。加飾層2−3を設けない場合でも加飾層2−1の階調表現によるだけで立体感が得られるが、加飾層2−1上に透明な加飾層2−3の表面に凹凸を設けることによって、加飾層2−3を透過して加飾層2−1を観察することが出来るため、加飾層2−1による階調と加飾層2−3による凹凸を持つ表面加飾によって立体感と意匠性が高まる。透明部分は、透明ではなく、半透明および加色してもよい。
【0038】
オフセット印刷はスクリーン印刷では表現できない階調表現することができ、その階調表現によって図形等に陰影をつけることができるので、図形等を立体的に見せることができる。さらには、スクリーン印刷によって表面凹凸を付与することで表面の質感を表現できる。つまり、オフセット印刷によって階調表現を施した部分と、スクリーン印刷を施した部分とを隣接または重ねて作製すると、色の明暗と表面の凹凸によって立体感を感じることができる。
【0039】
加飾層2−1、加飾層2−2および加飾層2−3を形成した後に、支持体5の一方の面側に帯電防止層1を積層する。
帯電防止層1は、透明又は半透明の樹脂から構成されている。帯電防止層1が存在することで、加飾層および酸化防止層3の汚れや傷等を防ぐことができるので、金属光沢性や光透過性を維持することができる。
帯電防止層1の積層には、導電性粉末や界面活性剤などを樹脂中に分散させてシート状に成形する方法、フィルム表面に帯電防止剤を塗布する方法、及びカルボキシル基を持つ帯電防止ポリマーを使用する方法等を採用することができる。
【0040】
支持体5の他方の面に絵柄層6を設ける。絵柄層6は、スクリーン印刷によって設けることができる。特にスクリーン印刷に限定することなく、凸版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット等を用いることができる。
【0041】
絵柄層6は遮光性を有していて、光源7点灯時に光源7からの光を透過させないので、絵柄層6が設けられていない箇所が文字や図形等になる。図1に示しているように、この絵柄層6が設けられていない箇所と、加飾層2−2が形成されない箇所が、重なる領域があるような配置にすると、絵柄層6、加飾層2−2により遮光されないで透過してくる光を観察することができる。
【0042】
帯電防止層1は、この絵柄層6上に積層しても良い。
【0043】
情報表示機器は、情報表示パネル、駆動部を持った基盤、指針、外装、保護用透明基材から構成されている。
情報表示機器筺体内の空間的な設計上の制約をうけないためには、情報表示パネルの厚さは、0.05〜5mmの範囲が好ましい。
【実施例1】
【0044】
本発明の実施例について具体的に説明する。図1は本発明の情報表示パネル9の一実施例を示したものである。
酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させた研磨剤による研磨によって、微細な凹凸をつけた二軸延伸ポリプロピレン製の転写用フィルムの表面に真空蒸着法により、表面抵抗値が1.3Ω/□になるようにアルミニウム蒸着層を形成させた後、この上に接着剤である二液重合型ポリウレタンを4μm程度の厚みになるように塗布した。
【0045】
ここで、アルミニウム蒸着層である金属層の表面抵抗値が1.3Ω/□になるようにしたのは、表1から得た金属光沢性と光透過性(遮光性)を考慮したためで、特に金属光沢性を重視したためである。表1から明らかなように、金属層が厚い、すなわち表面抵抗値が高い場合には金属層を透過する光量が減少してしまう。金属層が薄すぎる、すなわち表面抵抗値が低い場合には金属層の金属光沢感が失われてしまう。そのため、金属層3の表面抵抗値は1.3Ω/□から100Ω/□が好ましい。その下限は、さらに好ましくは2.6Ω/□以上であり、その上限は、さらに好ましくは60Ω/□、より好ましくは30Ω/□以下である。表面抵抗値は蒸着加工中にインラインで測定された値であり、従来の膜厚測定に比べ測定方法が容易である。また、膜厚が非常に薄い場合でも測定することができる。
【0046】
表1の測定は、本発明の情報表示パネルの他方の面側に1,000cd/mのLED光源を置き、情報表示パネルの表面抵抗値の値を変化させて、1mの距離から観察し、光沢性と光透過性を評価した。アルミニウム蒸着の場合、蒸着層の厚みが大きくなると表面抵抗値が下がる。
【表1】

【0047】
金属層4の表面抵抗値により金属光沢性と遮光性を適宜選択することができる。たとえば光透過性を重視すると、表面抵抗値は1.3Ω/□程度が好ましい。
表面抵抗値に変えて、金属層の厚さを制御する方法も考えられるが、厚さには、厚さムラもあり、適切な測定が難しいという問題を有している。そのため、表面抵抗値を制御する方法によることが好ましく、表1に示すように、光透過性や金属光沢性と相関関係があることも確認されている。
【0048】
この接着剤の上に支持体であるポリカーボネート(商品名FE−2000B;三菱瓦斯化学株式会社)を重ね、全体を熱圧着して接着剤を硬化させた。
そして転写用フィルムをアルミニウム蒸着層から剥離し、接着剤を介してアルミニウム転写蒸着層とポリカーボネートが一体化したものを得た。
【0049】
支持体であるポリカーボネートは板厚400μmである。
アルミニウム蒸着層の表面に、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層を形成した。プライマー層上に、樹脂(商品名:WAC−10、高松油脂(株)社製)を厚み約1.5μmのアンカー層を形成した。アンカー層上に更に、ポリエステル樹脂(商品名:NS−141LX、高松油脂(株)社製)の水分散体を固形分厚み15μmとなるよう塗布し、インク受容層を形成して酸化防止層3を積層した。
【0050】
酸化防止層3上の一部に合成紙用オフセットインキ(商品名TSP202;東洋インキ製造株式会社)を用いてオフセット印刷によりグラデーション模様である加飾層2−1を形成した。
【0051】
酸化防止層3上の加飾層2−1が形成されていない部分に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いてスクリーン印刷により表面にヘアライン模様のある加飾層2−2を形成した。
【0052】
加飾層2−1および加飾層2−2の上に透明なポリエステル銘板用スクリーン印刷インキ(商品名EGR000;帝国インキ製造株式会社)を用いて、表面にエンボスを持つ加飾層2−3を形成した。
【0053】
支持体の他方の面に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いて、光を透過させない箇所にスクリーン印刷を行った。この光を透過させない箇所が本発明の絵柄層6に該当する。光を透過させる箇所の形状を文字や図形等にすることで、光源が点灯時には、文字や図形等の形状の領域から光が透過する。
絵柄層を設けると、絵柄層の側から入射する光が、絵柄層の存在しない領域のみを通過することから、その通過する領域が特に明るく観察され、多様な表示が可能になる。
特に光源7を設けて、点灯した場合には、この傾向は著しくなり、美しい表示が可能となる。
【0054】
加飾層上全面に、導電性粉末や界面活性剤などを樹脂中に分散させて層状に成形する方法を用いて、帯電防止層1を設けた。
光源が点灯時に目視方向から観察すると、絵柄層で施された数字、図形および文字等がアルミニウム蒸着層を透過して観察でき、はっきりと美しく表示されていた。光源が非点灯時には、加飾層が存在しないまたは、加飾層が半透明や透明である範囲で酸化防止層および帯電防止層を透過して金属層を観察することができ、加飾層が存在する範囲は、加飾層で施した模様が観察することができた。
加飾層2−1、加飾層2−2および加飾層2−3によって、意匠効果に優れた階調表現やヘアライン模様等を印刷することができ、図形等に立体感を感じられた。
実施例1で作製した情報表示パネルを情報表示機器に用いた。
【実施例2】
【0055】
本発明の実施例について具体的に説明する。図2は本発明の情報表示パネル9の一実施例を示したものである。
酸化アルミニウムとシリコンカーバイドを混合させた研磨剤による研磨によって、微細な凹凸をつけた二軸延伸ポリプロピレン製の転写用フィルムの表面に真空蒸着法により、表面抵抗値が10Ω/□以下になるようにアルミニウム蒸着層を形成した後、この上に接着剤である二液重合型ポリウレタンを4μm程度の厚みになるように塗布した。
【0056】
ここで、アルミニウム蒸着層である金属層4の表面抵抗値が10Ω/□以下を採用したのは、表1から得た光透過性(遮光性)と金属光沢性を考慮したためであり、特に金属光沢性を重視したためである。
【0057】
金属層4の表面抵抗値により金属光沢性と光透過性を適宜選択することができる。たとえば金属光沢性と遮光性を重視すると、表面抵抗値が10Ω/□以下が好ましい。
【0058】
金属層4の表面抵抗値により金属光沢性と遮光性を適宜選択することができる。たとえば光透過性を重視すると、表面抵抗値は1.3Ω/□程度が好ましい。
【0059】
支持体であるポリカーボネートは板厚400μmである。
アルミニウム蒸着層の表面に、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層を形成した。プライマー層上に、樹脂(商品名:WAC−10、高松油脂(株)社製)を厚み約1.5μmのアンカー層を形成した。 アンカー層上に、ポリエステル樹脂(商品名:NS−141LX、高松油脂(株)社製)の水分散体を固形分厚み15μmとなるよう塗布し、インク受容層を形成して酸化防止層3を積層した。
【0060】
酸化防止層3上の一部に合成紙用オフセットインキ(商品名TSP202;東洋インキ製造株式会社)を用いてオフセット印刷によりグラデーション模様である加飾層2−1を形成した。
酸化防止層3上の加飾層2−1が形成されていない部分に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いてスクリーン印刷によりヘアライン模様である加飾層2−2を形成した。
加飾層2−1および加飾層2−2の上に透明なポリエステル銘板用スクリーン印刷インキ(商品名EGR000;帝国インキ製造株式会社)を用いてエンボスを持つ加飾層2−3を形成した。
【0061】
後述する数字、図形および文字等の部分に対応するアルミニウム蒸着層および酸化防止層3をYAGレーザで除去した。
支持体5の光源7側に二液硬化型スクリーンプロセスインキ(商品名SS65シリーズ;東洋インキ製造株式会社)を用いてスクリーン印刷により遮光したい箇所に絵柄層6を形成した。絵柄によって遮光されていない箇所が、数字、図形および文字等になる。
絵柄層を設けると、絵柄層の側から入射する光が、絵柄層の存在しない領域のみを通過することから、その通過する領域が特に明るく観察され、多様な表示が可能になる。
特に光源7を設けて、点灯した場合には、この傾向は著しくなり、美しい表示が可能となる。
【0062】
加飾層上全面に、導電性粉末や界面活性剤などを樹脂中に分散させて層状に成形する方法を用いて、帯電防止層1を設けた。
光源が点灯時に目視方向から観察すると、YAGレーザでアルミ蒸着層および酸化防止層3が取り除かれ、絵柄層で施された数字、図形および文字等がアルミニウム蒸着層を透過して観察でき、はっきりと美しく表示されていた。
【0063】
加飾層2−1、加飾層2−2および加飾層2−3によって、意匠効果に優れた階調表現やヘアライン模様等を印刷することができ、図形等に立体感を感じられた。
実施例2で作製した情報表示パネルを情報表示機器に用いた。
【符号の説明】
【0064】
1 帯電防止層
2−1 加飾層(階調部分)
2−2 加飾層(単色部分)
2−3 加飾層(透明部分)
3 酸化防止層
4 金属層
5 支持体
6 絵柄層
7 光源
8 観察者
9 情報表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性支持体の一方の面に金属層、酸化防止層および加飾層が順に積層された情報表示パネルであって、
前記情報表示パネルの厚さが0.05〜5mmの範囲であり、
前記金属層の表面抵抗値が1.3〜100Ω/□の範囲であり、
前記加飾層は少なくとも、オフセット印刷で施された階調部分と、スクリーン印刷で施された単色部分と、スクリーン印刷で施された透明部分と、を有しており、
前記階調部分と前記透明部分の少なくとも一部が重なっている
ことを特徴とする情報表示パネル。
【請求項2】
光透過性支持体の一方の面に金属層、酸化防止層および加飾層が順に積層された情報表示パネルであって、
前記情報表示パネルの厚さが0.05〜5mmの範囲であり、
前記金属層の一部が存在しない領域を有し、
前記加飾層は少なくとも、オフセット印刷で施された階調部分と、スクリーン印刷で施された単色部分と、スクリーン印刷で施された透明部分と、を有しており、
前記階調部分と前記透明部分の少なくとも一部が重なっている
ことを特徴とする情報表示パネル。
【請求項3】
前記スクリーン印刷によって施された単色部分および透明部分の表面が微細な凹凸パターンを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の情報表示パネル。
【請求項4】
前記支持体の前記金属層の無い側の面に絵柄層を設け、
前記加飾層上、または、前記絵柄層上に、帯電防止層を積層したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の情報表示パネル。
【請求項5】
前記支持体はポリカーボネート、ポリプロピレン、発泡ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、アクリル、ポリスチレン、メタクリル・スチレン共重合体またはアクリルニトリル・スチレン共重合体のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項記載の情報表示パネル。
【請求項6】
前記金属層の表面に、微細な凹凸を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項記載の情報表示パネル。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項の情報表示パネルを具備した情報表示機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−217879(P2010−217879A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30941(P2010−30941)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】