情報表示器、駆動装置及び電子機器
【課題】薄型でコンパクトな駆動装置を用いて情報を表示できる情報表示器を提供する。
【解決手段】第1実施形態として示す情報表示システム100は、情報表示器110と、駆動装置120とで構成される。情報表示器110は、少なくとも一方が透明である2つの基板を有し、2つの基板の間には、電界で駆動する表示媒体が配置されている。表示媒体は、基板間に印加された電界によって駆動し、使用者は、駆動後の表示媒体を透明な観察基板側から視認する。情報表示器110において、情報を表示することができる表示領域の面積は、駆動装置120に備えられた電極面121の面積よりも大きい。
【解決手段】第1実施形態として示す情報表示システム100は、情報表示器110と、駆動装置120とで構成される。情報表示器110は、少なくとも一方が透明である2つの基板を有し、2つの基板の間には、電界で駆動する表示媒体が配置されている。表示媒体は、基板間に印加された電界によって駆動し、使用者は、駆動後の表示媒体を透明な観察基板側から視認する。情報表示器110において、情報を表示することができる表示領域の面積は、駆動装置120に備えられた電極面121の面積よりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板である第1基板と第2基板とを対向させて形成した基板間に、電界を付与することで駆動する表示媒体を配置した情報表示器、この情報表示器を駆動する駆動装置及びこの駆動装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも観察側となる基板が透明な2枚の基板を対向させて形成した空間に、電界を付与することで駆動できる表示媒体を配置した構成を有する情報表示パネルが情報表示器として知られている。この情報表示器は、2枚の基板間に形成した電界で表示媒体を駆動させて情報を表示するものであった。
【0003】
上述した構成の情報表示器では、前記情報表示器を駆動装置にセットして、駆動装置から情報表示器に電界を印加して表示媒体を駆動させることにより、情報の表示や書き換えを行っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−34199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された情報表示器では、情報表示器に情報を表示させる場合、或いは情報を書き換える場合、大型のプリンター型駆動装置が必要である。このような大型のプリンター型駆動装置は、設置型となるため、情報表示器の表示内容を書き換えるときには設置された大型のプリンター装置まで持っていかなければならない問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、薄型でコンパクトな駆動装置を用いて情報を表示させることができる情報表示器、薄型でコンパクトな駆動装置を提供することを目的とする。また、情報表示器を駆動する駆動装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の特徴は、少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板と、前記2枚の基板の間に配置された支持体と、該2枚の基板と前記支持体によって確保される空間に配置され電界によって駆動する表示媒体と、を備えた情報表示器において、前記2枚の基板は、面方向に導通する第1基板と、前記第1基板と対向し、かつ面方向に導通しない第2基板と、であり、前記情報表示器とは別体であり、かつ画素電極が配置されたTFT基板を備える駆動装置によって、前記第1基板と前記画素電極との間に形成される電界によって、前記表示媒体が駆動させられ、前記情報表示画面領域に情報を表示するように構成された情報表示器であって、前記情報表示画面領域の面積は、前記画素電極が配置された前記TFT基板の面積よりも大きく、前記第2基板の表面には、前記第2基板の平面に交差する方向に窪み、所定の方向に延びる案内溝が形成されており、前記案内溝に前記駆動装置の一部が係合されることを要旨とする。
【0008】
本発明によれば、情報表示器に形成された案内溝に駆動装置の一部が係合されることにより、駆動装置が案内溝の延びる方向以外の方向へ位置ズレすることを防止できるため、画素電極が配置されたTFT基板の面積よりも大きいサイズの情報表示画面領域を有する情報表示器に対しても、位置ずれなく正確に書き込むことができる。
【0009】
従って、薄型でコンパクトな駆動装置を用いて情報表示器に情報を表示させることができる。
【0010】
本発明の特徴は、前記駆動装置の前記TFT基板と、前記情報表示器において前記電界が形成されるべき領域とを合わせるためのマークが配置されていてもよいことを要旨とする。
【0011】
本発明の特徴は、少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板と、前記2枚の基板の間に配置された支持体と、該2枚の基板と前記支持体によって確保される空間に配置され電界によって駆動する表示媒体と、を備えた情報表示器の表示媒体を駆動させる駆動装置において、前記情報表示器の前記2枚の基板は、面方向に導通する第1基板と、前記第1基板と対向し、かつ面方向に導通しない第2基板と、である情報表示器の前記第1基板と、画素電極が配置されたTFT基板との間に形成される電界によって前記表示媒体を駆動させて、前記情報表示画面領域に情報を表示させる駆動装置であって、前記第1基板と前記TFT基板との間隔が保持された状態で、前記情報表示器における少なくとも所定の一方向に可動とされた可動機構を備えることを要旨とする。
【0012】
本発明の特徴は、前記情報表示器は、矩形状であり、前記可動機構は、前記情報表示器の一方の辺に沿って可動とされた第1可動機構と、前記一方の辺に直交する他方の辺に沿って可動とされた第2可動機構と、を有していてもよいことを要旨とする。
【0013】
本発明の特徴は、上記特徴を有する駆動装置が搭載された電子機器であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、薄型でコンパクトな駆動装置を用いて情報を表示させることができる情報表示器を提供できる。また、薄型でコンパクトな駆動装置を提供できる。また、情報表示器を駆動する駆動装置を備えた電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1実施形態に係る情報表示システムの概略構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る情報表示器と駆動装置との係合部分を説明する断面図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る情報表示器の情報表示領域が駆動装置の電極面の整数倍に形成されている場合を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る情報表示器が一方向に長い帯状に形成されている場合を示す図である。
【図5】図5は、第2実施形態に係る情報表示システムの概略構成図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る駆動装置の情報表示器に対向する電極面を含む平面の構成を説明する図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係る駆動装置の可動機構を説明する図である。
【図8】図8は、情報表示器の構成を説明する断面の一部を拡大した拡大断面図である。
【図9】図9は、情報表示器の構成を具体的に示す拡大断面図である。
【図10】図10(a)、(b)は、駆動装置の断面の一部を拡大した拡大断面図である。
【図11】図11(a)は、TFT基板部分の平面図であり、図11(b)は、図11(a)の平面図に示すTFT基板部分の断面を部分的に拡大した図である。
【図12】図12は、情報表示器と駆動装置とを接続した状態を説明する図である。
【図13】図13は、情報表示器を駆動装置上に配置した状態を示した拡大断面図である。
【図14】図14(a)、(b)は、情報表示器に情報を表示する方法を説明する図である。
【図15】図15は、TFT基板部分が設けられた携帯型電話機の概略図である。
【図16】図16は、TFT基板部分が設けられた携帯型パーソナルコンピュータの概略図である。
【図17】図17は、表示メモリー性を有する情報表示器の他の例を説明する図である。
【図18】図18は、表示メモリー性を有する情報表示器の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る情報表示器及び駆動装置の一例について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)第1実施形態、(2)第2実施形態、(3)情報表示器の詳細な説明、(4)駆動装置の詳細な説明、(5)情報表示器に情報を表示する原理、(6)駆動装置の搭載例、(7)その他実施形態について説明する。
【0017】
以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。具体的な寸法などは、以下の説明を参酌して判断すべきものである。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
(1)第1実施形態
(1−1)情報表示システムの概略構成
図1は、第1実施形態として示す情報表示器110と、駆動装置120とで構成される情報表示システム100の概略構成を示す。
【0019】
情報表示器110は、少なくとも一方が透明である2つの基板を有し、2つの基板の間には、例えば、白色又は黒色に着色された帯電性粒子が表示媒体として封入されている。表示媒体(各帯電性粒子)は、基板間に印加された電界によって駆動する。各帯電性粒子は、一方の基板(観察基板)側、或いは、他方の基板(非観察基板)側に移動可能に構成されている。観察者は、例えば、観察基板側に移動させられた表示媒体(白色又は黒色に着色された帯電性粒子)を視認するというものである。
【0020】
情報表示器110は、表示媒体に電界を付与可能な電極の一方を備えている。情報表示器110の電極には、駆動装置120から給電されるようになっている。情報表示器110には、駆動装置120から給電を受ける接続端子112が形成されている。図1に示す実施形態では、情報表示器110は、複数の情報表示器ユニットをマトリクス状に連結したものであり、ユニット毎に接続端子112が設けられている。情報表示器110の構造の詳細は、(3)情報表示器の詳細な説明の項において詳述する。
【0021】
駆動装置120は、情報表示器110の表示媒体を駆動させるための電界を付与可能な電極の一方を備えている。すなわち、駆動装置120は、情報表示器110に電界を付与する電極が形成された電極面121を備える。また、駆動装置120は、情報表示器110に給電する接続端子122を備える。駆動装置120の構造の詳細は、(4)駆動装置の詳細な説明の項において詳述する。
【0022】
(1−2)情報表示器と駆動装置の構成
本実施形態では、情報表示器110において、情報を表示することができる情報表示画面領域の面積は、駆動装置120に備えられた電極面121の面積よりも大きい。
【0023】
本実施形態の情報表示器110の外縁を含む外周部の表面には、情報表示器の基板平面に交差する方向に窪み、所定の方向に延びる案内溝111が形成されている。外周部の表面とは、情報表示画面領域に情報を表示するために駆動装置120の電極面121が接触される情報表示器の基板の表面(接触面110aという)である。
【0024】
本実施形態では、情報表示器110は、矩形状を有し、案内溝111は、情報表示器110の一方の辺110xに沿って形成されている。また、一方の辺110xに直交する他方の辺110yに沿って形成されている。案内溝111は、駆動装置120の一部が係合可能な溝深さを有する。
【0025】
図2は、駆動装置120と情報表示器110との係合部分を説明する断面図である。駆動装置120は、係合部123を有する。係合部123は、突部124と、ダンパー部125とを有する。
【0026】
突部124は、パネル基板の接触面110a接触面110aに向けて所定寸法突出して形成されており、案内溝111に係合する。なお、所定寸法とは、電極面121が接触面110aに接触しない距離、及び接続端子122が接続端子112に接触しない距離である。
【0027】
ダンパー部125は、突部124の突出する寸法を可変にする機構であり、駆動装置120に与えられた外力によって、電極面121を接触面110aに向けて移動させることができる。ダンパー部125としては、ばねを用いたスプリングダンパー、ゴムの圧縮を用いたゴムダンパーなどがあげられる。
【0028】
駆動装置120は、係合部123により、突部124が案内溝111に係合した状態で、情報表示器110の接触面110a上を移動させられる間は、電極面121と接触面110aとが所定の間隔dに保持されており、情報表示器110の帯電性粒子を駆動させる際には、駆動装置120が情報表示器110側に押し下げられることにより、電極面121と接触面110aとが密着させられる。また、接続端子123と接続端子112とが接続されるようになっている。ここで所定の間隔dは、0.1μm〜10μmとすることができる。
【0029】
(1−3)駆動装置による情報表示器への情報の書込動作
図3は、一例として、情報表示器110の情報表示領域が駆動装置120の電極面121の整数倍に形成されている場合を示す図である。図3の例では、情報表示器110において帯電性粒子を駆動させる領域(すなわち、電界が形成されるべき領域)と、駆動装置120の電極面121とを合わせるためのマーク(情報表示器側マーク115,駆動装置側マーク125)が配置されている。図3には、図示されていないが、情報表示器110には、格子状に案内溝111が形成されていてもよい。
【0030】
使用者は、このマーク同士を合わせることにより、情報表示器110の決められた領域に駆動装置120を宛がうことができる。この場合、電極面121によって電界が形成される領域が丁度繋がるように、または、画素1ライン分が互いにオーバーラップするように、マークが設定されていることが好ましい。これにより、書込できない領域が残ることを防止できる。オーバーラップする領域が1ライン分を超えて増えるほど、1回目に書換えた情報が、隣接領域に電極面121を移して実行する2回目の書き換え情報に書き換えられてしまう領域が増えてしまうので、連続画像の部分が書換え時に、電極面121の端部となるような場合には、オーバーラップは画素1ライン分に留めるのが好ましい。連続画像として表示する必要がない情報(例えば、文章の行間や画像と画像との間隔空間)が電極面121の端部となるような場合には、オーバーラップさせないで表示することもできるし、1ライン分を超えてオーバーラップさせて表示することもできる。また、すでに画面に表示されている情報が画面の端部領域にまで表示されている場合には、画面の端部領域が電極面121に完全に重なるように、すなわち、相当のライン数分をオーバーラップさせて、まず、画面消去(べた画像表示)のための書き換えを行い、次に、オーバーラップする領域を1ライン分に押さえて表示したい情報に表示を書換えるのがよい。
【0031】
図4は、一例として、情報表示器110が一方向に長い帯状に形成されている場合を示す図である。図4の例では、長辺に沿って案内溝111が形成されている。駆動装置120には、位置決めのための照準を備えた透明な窓部126が設けられている。
【0032】
使用者は、情報表示器110に配置されたマークを照準に合わせながら、突部124を案内溝111に係合した状態で、図4の矢印方向に移動させることができる。これにより、帯状の情報表示器110に情報を書き込むことができる。
【0033】
(1−4)作用・効果
第1実施形態に係る情報表示システム100によれば、情報表示器110に形成された案内溝111に駆動装置120の一部(突部124)が係合されることにより、駆動装置120が案内溝111の延びる方向以外の方向へ位置ズレすることを防止できるため、電極面121の面積よりも大きいサイズの情報表示画面領域を有する情報表示器110に対しても、位置ずれなく正確に書き込むことができる。従って、薄型でコンパクトな駆動装置120を用いて情報表示器110に正確に情報を表示させることができる。
【0034】
駆動装置120の電極面121を表示単位とするように分割された情報を、情報表示器110の表示画面に繋ぎ合せた情報として表示させる場合に、画像の直線部分がずれて繋がって表示されたり、文字の一部が表示されなかったりすることなく、正確に情報を表示させることができる。
【0035】
(2)第2実施形態
(2−1)情報表示システムの概略構成
図5は、第2実施形態として示す情報表示システム200の概略構成を示す図である。情報表示システム200は、情報表示器210と、駆動装置220とから構成される。
【0036】
(2−2)駆動装置の構成
図6は、駆動装置220の、情報表示器210に対向する電極面221を含む平面の構成を説明する図である。第2実施形態においては、駆動装置220は、情報表示器210の表示媒体(ここでは正帯電性黒色粒子を黒色表示媒体とし、負帯電性白色粒子を白色表示媒体としている)を駆動させるための電界を付与可能な電極の一方(電極面221)を備える。また、駆動装置220は、情報表示器210に給電する接続端子222を備える。
【0037】
また、駆動装置220は、情報表示器210の接触面210aに対向する面の一部の角部分に可動機構230を有する。可動機構230が配置される角部分以外の角部分には、いずれの方向にも回動自在に構成されたボールローラ241,242,243が配置されている。
【0038】
可動機構230は、電極面221と、情報表示器210の接触面210aとの間隔を保持するとともに、情報表示器210における少なくとも所定の一方向に可動方向を規制する。
【0039】
本実施形態では、情報表示器210は、矩形状を有し、可動機構230は、図5,図6に示すように、第1可動機構231と、第2可動機構232とを有する。第1可動機構231の可動方向は、情報表示器210の辺210yに沿った方向Yに規制されている。第2可動機構232の可動方向は、情報表示器210の辺210x(辺210yに直交する方向)に沿った方向Xに規制されている。
【0040】
図7(a)は、駆動装置220の可動機構230を説明する図である。第1可動機構231と第2可動機構232とは、規制された方向が異なるだけで同一の構造にすることができるため、ここでは、第1可動機構231について説明する。
【0041】
第1可動機構231は、ローラ231rと、ダンパー部231dとを有する。ローラ231rは、辺210xに平行な回転軸231cを有する。ローラ231rは、パネル基板の接触面210aに向けて所定寸法突出して配設されている。ここで、所定寸法とは、電極面221が接触面210aに接触しない距離である。実施形態では、第2可動機構232の回転軸232cは、辺210yに平行に配置されている。
【0042】
ダンパー部231dは、ローラ231rの突出する寸法を可変にする機構であり、駆動装置220に与えられた外力によって、電極面221を接触面210aに向けて移動させることができる。ダンパー部231dとしては、ばねを用いたスプリングダンパー、ゴムの圧縮を用いたゴムダンパーなどがあげられる。
【0043】
図7(b)は、ボールローラ241,242,243を説明する図である。ボールローラ241,242,243にもダンパー部231dと同様のダンパー機構が設けられている。
【0044】
駆動装置220は、情報表示器210上に載置した状態では、上述したように、第1可動機構231の可動方向、又は第2可動機構232の可動方向のみに可動に構成されている。また、駆動装置220が情報表示器1の接触面110a上を移動させられる間は、電極面121と接触面110aとが所定の間隔に保持されており、情報表示器210の帯電性粒子を駆動させる際には、電極面221と接触面210aとが密着させられる。
【0045】
(2−3)駆動装置による情報表示器への情報の書込動作
第2実施形態に係る情報表示器210,駆動装置220においても、(1−3)に示したようなマークによる位置決め方法が適用可能である。さらに、第2実施形態のように、ローラ231rを備える第1可動機構231(第2可動機構232も同様)は、ローラ231rの回転数を検出することにより、移動距離を検出することができる。これにより、駆動装置220が所定の距離を移動したことを検出して、音、表示、ランプなどの報知手段によって、使用者に停止させるタイミングを報知することもできる。
【0046】
(2−4)作用・効果
第2実施形態に係る情報表示システム200によれば、駆動装置220は、第1可動機構231の可動方向、又は第2可動機構232の可動方向のみに可動に構成されている。これにより、駆動装置220が可動方向以外の方向へ位置ズレすることを防止できるため、電極面221の面積よりも大きいサイズの情報表示画面領域を有する情報表示器210に対しても、位置ずれなく正確に書き込むことができる。従って、薄型でコンパクトな駆動装置220を用いて情報表示器210に正確に情報を表示させることができる。
【0047】
この場合においても、駆動装置220の電極面221を表示単位とするように分割された情報を、情報表示器210の表示画面に繋ぎ合せた情報として表示させる場合に、画像の直線部分がずれて繋がって表示されたり、文字の一部が表示されなかったりすることなく、正確に情報を表示させることができる。
【0048】
(3)情報表示器の詳細な説明
(3−1)情報表示器の全体構成
続いて、上述の第1実施形態、第2実施形態に係る情報表示器110,210について詳細に説明する。本実施形態に係る情報表示器1の構成について説明する。図8は、情報表示器1の構成を説明する断面の一部を拡大した拡大断面図である。図8に示す情報表示器1は、情報表示器110,210に相当する。
【0049】
情報表示器1は、面方向に導通する導電膜17を有する第1基板11と、絶縁体材料基板である第2基板12と、第1基板11と第2基板12との間に配置された表示媒体層13と、駆動装置30側と電気的に接続される接続端子部19とを備える。
【0050】
表示媒体層13には、第1基板11と第2基板12との間に付与された電界に応じて駆動することで情報を表示する表示媒体16(図8には不図示。図9,図14など参照)が配置されている。
【0051】
接続端子部19は、導電膜17と電気的に接続されている。接続端子部19は、情報表示器1における駆動装置30と対面対向する側に設けられている。情報表示器1と駆動装置30とが対面対向した状態(図12参照)において、接続端子部19は、駆動装置30の駆動回路33側と電気的に接続される。導電膜17は、接続端子部19を介して駆動装置30の接続端子部35と電気的に接続されるように構成されている。
【0052】
また、接続端子部19をフレキシブルケーブルとして導電膜17から引き出して形成し、接続端子部35をフレキシブルケーブルとして駆動装置30の駆動回路33側から引き出して形成し、2本のフレキシブルケーブル同士を接続するようにしてもよい。このような構成にすれば、1枚の情報表示器の1箇所に接続端子部19を設けておき、この接続端子部19と駆動装置30の接続端子部35とを接続させたままの状態で駆動装置30を移動させて情報表示器1の情報表示画面領域において自由に選択した領域に情報を表示させることもできる。
【0053】
(3−2)情報表示器の具体的構成
図9は、情報表示器1の構成を具体的に示す拡大断面図である。具体的には、2枚の基板(第1基板11、第2基板12)に対して直交する断面における断面図である。
【0054】
情報表示器1は、情報が表示される情報表示画面領域を有する。情報表示画面領域は、第1基板11側からの平面視において、表示媒体16が配置されている領域である。情報表示器1は、第1基板11と、第2基板12と、表示媒体層13と、支持体としての隔壁14と、表示媒体16とを有する。情報表示器1には、接着層20が形成されていてもよい。
【0055】
(3−2−1)2枚の基板の構成
第1基板11は、導電膜17を有しており、面方向に導通するように構成されている。第2基板は、第1基板11と対向して配置されている。第2基板12は、絶縁体材料基板であり、面方向に導通しないように構成されている。第1基板11と第2基板12との間には、電界によって駆動する表示媒体16が封入された表示媒体層13が形成されている。
【0056】
実施形態では、第1基板11が観察基板である。具体的には、第1基板11は、情報表示画面領域が透明に構成されている基板であり、観察者は、第1基板11側から観察することによって、第1基板11と第2基板12の間の表示媒体によって表示された情報を視認できる。第1基板11は、少なくとも情報表示領域においては、可視光の透過率が高く、かつ耐熱性のよいものによって形成されている。一方、第2基板12は、非観察基板となる。
【0057】
なお、実施形態に係る情報表示器1は、第1基板11を観察基板として、第2基板12を非観察基板としているが、第2基板12を観察基板として、第1基板11を非観察基板としてもよい。また、第1基板11側から観察する場合と、第2基板12側から観察する場合とでは、丁度、ネガ・ポジの関係となるため、観察基板にあわせて表示媒体の駆動を行う。なお、第1基板11を観察基板とした構成では、情報表示器1を駆動装置30に取り付けた状態で、表示媒体の駆動を行って書き換えた情報をそのままの状態で見ることができる。
【0058】
なお、本発明における透明とは、可視光を透過させるものであればよく、半透明や無色でなくカラーも含む概念である。具体的には、可視光の透過率が50%以上あればよい。
【0059】
第1基板11の導電膜17は、ベタ状であり、電界形成用の電極として機能する。このようにベタ状の導電膜17によって構成することにより、パターニングが不要であり、また駆動用ICを駆動装置30側に搭載して情報表示器側に搭載しない構成とすることで、極めて安価な情報表示器を作製することができる。また、導電膜17の1点で電気的な接続を実行すれば、第1基板11の情報表示画面領域全面と導通がとれるため、駆動装置30側と情報表示器1側との導通が容易である。
【0060】
導電膜17は、ベタ状とするほかにもストライプ状にしたり、網目状にしたり、ドット状に形成したりしたものを電気的に連続して接続することができる。第1基板11を観察基板としない場合には、第1基板11全体を導電性材料として構成にすることができる。なお、この構成においては、第1基板11の外側表面に絶縁膜を配置して感電や漏電しないように構成することが望ましい。
【0061】
本実施形態では、情報表示器1の導電膜17と、後述する駆動装置30の画素電極34とが対向する電極間に形成された電界によって、表示媒体層13に配置した表示媒体16を2枚のパネル基板間で駆動させる方式をとるため、対向電極の一方となる第1基板11の導電膜17は面方向に導通して共通電極として機能させる必要がある。一方、対向電極対の間に入り込むこととなる第2基板12は、面方向に導通しないようにして、対向電極間に発生させた電界をシールドしてしまうことがないようにする必要がある。
【0062】
第2基板12は、例えば、基板全体を絶縁体で構成したり、絶縁体材料で構成した基板表面に複数のドット状電極をそれぞれが電気的に接続されないように独立して設けて構成したりして、面方向に導通させない構造とすることができる。更に、第2基板12は、面方向に導通しない構成であればよく、その表面に導電膜が部分的に設けられていても、その導電膜が互いに電気的に接続され連続した構成となっていなければ面方向に導通しない構成とすることができる。このような構成によっても、電界をシールドすることがないため、情報の書き換え、言い換えると表示媒体の駆動の妨げとならない。
【0063】
第1基板11と第2基板12との間隔は、表示媒体16が駆動できて、表示コントラストを維持できればよく、2μm〜500μm、好ましくは5μm〜200μmに、表示媒体の種類に合わせて、支持体としての隔壁14の高さによって調整される。
【0064】
表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用い、気体中空間(真空中を含む)において駆動させる方式とする場合には、第1基板11と第2基板12との間隔は10μm〜200μm、好ましくは10μm〜100μmの範囲で調整される。
【0065】
さらに、この場合に、基板間の気体中空間(真空中を含む)における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体としての粒子の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【0066】
第1基板11と第2基板12の間における外端部近傍には、シール部材10が設けられている。シール部材10によってセル内に外部から湿分が浸入しないように構成されている。
【0067】
第1基板11の厚みは、25μm〜2000μmが好ましく、さらに25μm〜1000μmが好適である。また、第2基板12の厚みは、25μm〜100μmが好ましく、さらに25μm〜80μmが好適である。なお、第1基板11の厚みおよび第2基板12の厚みが薄すぎると、強度や基板間の間隔均一性が保ちにくくなったり、情報表示器1の作製時のハンドリング性が容易でなくなったりする不都合があり、2000μmよりも厚いと、薄型の情報表示器とする場合に不都合がある。
【0068】
また、第2基板12の厚みは、25μm〜125μmとすることができる。更に、第2基板12の厚みは、25μm〜100μmとすることが好ましい。第2基板12の厚さはできるだけ薄い方が好ましいが、第1基板11の厚みには、大きな制限はない。第2基板12の厚みが125μmを超えると、情報表示器1の導電膜17と画素電極34との距離が離れすぎてしまい、電極間の電圧を大きくしなければ表示媒体16を駆動する十分な電界を得られない。
【0069】
したがって、例えば、第2基板12の厚さを25μm〜125μmとし、第1基板11の厚さを25μm〜2000μmとすることで、駆動装置30側の画素電極34と導電膜17との間に電圧を印加して発生させる電界を、表示媒体16全体に効果的に与えることができるとともに、作製時のハンドリングが容易な情報表示器とすることができる。
【0070】
第1基板11及び第2基板12に用いられる材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルサルフォン(PES)などの樹脂やガラスなどの透明材料製シートや、ガラス繊維で補強したエポキシ樹脂などの不透明材料製シートを絶縁体基板として用いることができる。
【0071】
また、一方の面方向に導通する基板である第1基板11として導電性基板を用いる場合にその導電性基板としては、導電性金属シートやシート基材の表面に金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の導電性金属膜をコートした導電性シートなどを用いることができる。
【0072】
導電膜17に用いられる材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化インジウム、導電性酸化錫、アンチモン鉛酸化物(ATO)、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、例えば、PEDOT−PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(styrene sulfonate))等の導電性高分子が挙げられる。更に、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属や、これらの金属を主成分とする合金を用いることができる。
【0073】
特に、第1基板11を観察パネル基板とする場合には、透明導電膜として好適なITO、IZO等の金属酸化物系材料やPEDOT−PSS等の高分子化合物系材料を用いることが望ましい。PEDOT−PSS等の高分子化合物系材料は、透明性を有するとともに可撓性を有するので、情報表示器1をフレキシブルにする場合に好適である。
【0074】
ITO、IZO等の金属酸化物系材料は、良好な透明性を有するが、金属材料に比べて可撓性が小さい。ITO、IZO等の金属酸化物系材料で導電膜を構成する場合には、透明導電膜中での断線防止のため、金属細線と併用することが好ましい。この金属細線の幅は、1μm〜10μmとすれば、表示視認性の妨げとならないので好ましい。観察基板の情報表示画面領域外や非観察基板に設ける導電膜は光透過性を考慮する必要がないので電気抵抗が小さく、可撓性にも優れた前記金属材料が好適に用いられる。また、観察基板の情報表示画面領域外や非観察基板に設ける導電膜の厚さは電気抵抗および生産性、コストの観点から、0.01μm〜10μmに設計される。
【0075】
導電膜17の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(科学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法、金属箔(例えば、圧延銅箔など)をラミネートする方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布して成膜する方法が用いられる。
【0076】
導電膜17の厚さは、導電性や光透過性を鑑みて決定され、0.01μm〜10μm、好ましくは、0.05μm〜5μmの範囲にする。なお、第2基板12が観察側となる構成においては、非観察基板となる第1基板11に設ける導電膜17の光透過性を考慮しなくてもよい。
【0077】
(3−2−2)表示媒体層の構成
帯電性粒子を表示媒体とする表示媒体層13は、第1基板11、第2基板12、接着層20、及び支持体としての隔壁14によって区画されたセルを複数有する。各セルには、複数の帯電性粒子を含む表示媒体16が収納されている。隔壁14はセルを形成しなくてもよい。この場合の隔壁14は、基板間の空間を確保するための支持体として機能する。
【0078】
実施形態では、表示媒体16は、負帯電性白色粒子を含んだ粒子群として構成した白色表示媒体16Wと、正帯電正黒色粒子を含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体16Bとを含む。
【0079】
表示媒体16は、帯電性を有しており、電気的に移動(駆動)可能である。第2基板12の外側に配置される駆動装置30のTFT基板31の画素電極34と、第1基板11の導電膜17との間に電圧を印加して発生させた電界により、表示媒体16を2枚の基板間で移動させて情報を表示する。
【0080】
隔壁14は、第1基板11と第2基板12との間に形成されている。隔壁14は、第1基板11と第2基板12との間を一定の間隔で保持する支持体としての機能と、表示媒体16が封入された表示区画を仕切って、表示媒体16を構成する粒子が基板面方向に偏在することを防止する機能と、を有する。
【0081】
支持体としての隔壁14を設けることによって、第1基板11と第2基板との間が一定の間隔で保持され、第1基板11の導電膜17と画素電極34との距離を一定に保つことができる。また、隔壁14を設けることによって、上面が第1基板11と第2基板12のうち一方で形成され、下面が第1基板11と第2基板12の他方で形成され、側面が隔壁14で形成されたセルが形成される。
【0082】
なお、セルには、表示媒体16の他に、気体(例えば、空気)が封入されている。なお、空間Sは、真空であってもよいし、セルには、絶縁液体を封入してもよい。
【0083】
帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として、気体中空間(真空中を含む)で駆動させる方式とする場合には、表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
【0084】
空隙部分とは、セル内の空間部分であり、対向する2枚の基板に挟まれる部分から、電極、表示媒体の占有部分、隔壁の占有部分、パネル基板間のシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
【0085】
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるようにパネル基板間に封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐ本発明に係るシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0086】
各セルの大きさは、表示媒体とする粒子の平均粒子径が、1μm〜20μm程度の場合、平面視にて長方形であれば、1辺の長さが50μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度が望ましい。また、ハニカム(六角形)形状の場合は、向かい合う頂点の距離が100μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度が好ましい。このような構成にすれば、セル内で移動を繰り返した粒子が、凝集したり、偏在したりする不都合が発生しにくい。
【0087】
また、セルを形成するための隔壁の配置は格子状、ハニカム状、網目状などにすることができる。セルの横断面形状は、四角形、三角形、六角形、階段型八角形等の多角形や、円形、楕円形、レーストラック形等いずれでもよいし、複数の形状を組み合わせてもよい。非表示部となる隔壁の占める割合を小さくできる点からは四角形、階段型八角形や六角形が好ましく、表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有する形状が好ましい。前記二つの点から角丸付きの四角形や角丸付きの六角形、角丸付きの階段型八角形が好ましく用いられる。非表示部となる隔壁の占める割合は、平面視にて情報表示領域の10%程度であり、好ましくは10%以下である。
【0088】
なお、実施形態に係る支持体としての隔壁14は、第1基板11と第2基板との間を一定の間隔で保持する機能と、表示媒体16が封入された情報表示画面領域を仕切る機能と、を有するが、本発明に係る支持体は、第1基板11と第2基板12との間を一定の間隔で保持する機能を有していればよい。すなわち、表示媒体16が封入された情報表示画面領域を仕切る機能は、採用した表示媒体の種類によって設けないこともできる。例えば、帯電性粒子と絶縁液体とをカプセルに封入した構成の表示媒体16やコレステリック液晶で構成した表示媒体16であれば、支持体としての隔壁で対向している2枚の基板間にカプセルやコレステリック液晶を配置するだけでよい。これらの構成であれば隔壁でなく、柱状支持体や球状支持体などでもよい。
【0089】
隔壁14の材料は、レジスト材が好適であり、液状レジスト材やドライフィルムレジスト材が用いられる。ドライフィルムレジスト材の一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。これらのレジスト材は露光硬化後に透明となるので好ましく用いられる。
【0090】
上記したレジスト材に顔料を配合せずにフォトリソグラフィーを実行して透明な隔壁を得たり、必要に応じて所望の色の顔料を配合したレジスト材を用いて色付きの隔壁を形成することができる。必要な隔壁をすべて同じレジスト材で形成すれば、すべての隔壁を同時に形成できるので効率の面で好ましい。
【0091】
接着層20は、隔壁14上に形成される。接着層20の一面は、隔壁14と接している。一面に対向する接着層20の他面は、2枚の基板の一方と接している。隔壁14と接着層20を介して第1基板11と第2基板12とが固定される。情報表示器1においては、接着層20は、第2基板12側に形成されている。
【0092】
接着層20は、透明にしたり、有色にしたりできる。これによって、情報表示画面領域において、隔壁14を配置した領域で色々な表示効果を得るようにすることが可能である。例えば、透明な第1基板11を観察側とし、黒色の第2基板12を非観察側とし、隔壁および接着層20を透明にすれば、隔壁14を配置した領域は、第2基板12の黒色に見えるので、隔壁14を格子状に形成しておけばブラックマトリックス効果が得られる。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤が用いられる。
【0093】
(3−2−3)表示媒体
各セルに封入される表示媒体は、例えば、帯電性粒子を含む粒子群によって構成することができる。帯電性粒子は、その主成分となる樹脂に、必要に応じて荷電制御材剤、着色剤、無機添加物等の粒子構成材料を含ませることができる。以下に、荷電制御材料、着色料、その他添加剤を例示する。
【0094】
荷電制御材料としては、特に制限はないが、負荷電制御剤とすれば例えば、サリチル酸金属錯体、合金属アゾ染体、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ酸化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤とすれば例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0095】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
【0096】
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
【0097】
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0098】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
【0099】
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
【0100】
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
【0101】
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
【0102】
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0103】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0104】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。
【0105】
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。上記着色剤を配合して所望の色の帯電性粒子を作製できる。
【0106】
また、表示媒体を構成する帯電性粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、1μm〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0107】
さらに、表示媒体を構成する帯電性粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
【0108】
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大き<、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)。Spanを5以下の範囲に納めることにより、表示媒体を構成する粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
【0109】
さらにまた、複数の粒子群を表示媒体として使用する場合には、使用した粒子群の帯電性粒子の内、最大の平均粒子径d(0.5)を示す帯電性粒子のd(0.5)に対する、最小の平均粒子径d(0.5)を示す帯電性粒子のd(0.5)の比をl0以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに電気特性の異なる粒子群が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近い方が容易に移動できるようになるので好適であり、それがこの範囲となる。
【0110】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。ここで、粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定植を用いて、窒素気流中に粒子群を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0111】
各セルに、黒色表示媒体16Bとして封入される正帯電性黒色粒子は、例えば、以下の方法による得ることができる。メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させた後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いることによって、平均粒子径9.2μmの正帯電性黒色粒子を得ることができる。
【0112】
また、各セルに、白色表示媒体16Wとして封入される負帯電性白色粒子は、以下の方法で得ることができる。ポリメチルペンテンポリマー(TPX-R18;三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR-90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化することによって、平均粒子径9.5μmの負帯電性白色粒子を得ることができる。
【0113】
このような帯電性粒子だけで構成した粒子群を表示媒体としたり、この帯電性粒子に微小粒子を付着させた構成の粒子群を表示媒体としたりする。帯電性粒子と微小粒子とのサイズの関係は、帯電性粒子の平均粒子径が1μm〜20μmの範囲であるのに対して、微小粒子の平均粒子径は10nm〜500nmの範囲である。
【0114】
(4)駆動装置の詳細な説明
(4−1)駆動装置の構成
図10(a)、(b)は、駆動装置30の断面の一部を拡大した拡大断面図である。駆動装置30は、TFT基板31と、TFT基板31が形成された駆動装置基台32とを有する。駆動装置30の接続端子部35は、画素電極34を駆動する駆動回路33と電気的に接続されている。接続端子部35は、情報表示器1の接続端子部19と接続可能な位置に設けられていればよく、図10(a)に示すように駆動回路33の上面に接して配置されていてもよいし、図10(b)に示すように駆動回路33の側面に接して配置されていてもよい。また、接続端子部35は、駆動回路33から引き出されたフレキシブルケーブルの先端に形成されて、情報表示器1の接続端子部19と接続するような構成にしてもよい。
【0115】
(4−2)駆動装置に形成される電極の構成
図11(a)は、TFT基板の平面図であり、図11(b)は、図11(a)の平面図に示すTFT基板の断面を部分的に拡大した図である。なお、図11(a)に示す平面図における構成と、図11(b)に示す断面図における構成とは、図示している位置が異なるため、必ずしも一致しない。なお、TFT基板31の構成は、図11に限定されない。TFT基板として公知の種々の構成を用いることができる。
【0116】
TFT基板31は、アクティブ・マトリックス方式のTFT回路37と、各TFT回路37に接続した画素電極34を設けて構成されたTFT回路用基板36から形成される。
【0117】
TFT回路37は、マトリックス状に配置された画素電極34に対応して設けられた半導体層38に対し、ゲート電極39とソース電極40とを直交して設けるとともに、ドレイン電極41を設けて構成されている。ドレイン電極41は、各々別々に画素電極34と接続される。TFT回路37のスイッチング機能により、画素電極34に対する電圧の印加および非印加を制御している。
【0118】
(5)情報表示器に情報を表示する原理
実施形態において、情報表示器1と駆動装置30とを用いた情報表示システム100の情報表示原理を説明する。図12は、情報表示器1と駆動装置30とを接続した状態を説明する図である。図13は、情報表示器1を駆動装置30上に配置した状態を示した拡大断面図である。
【0119】
情報の書き換えや表示を行う際には、図12に示すように、情報表示器1の第2基板12側の面を、駆動装置30の画素電極34に対面対向配置させる。このように配置することにより、情報表示器1の接続端子部19と駆動装置30の接続端子部35とが電気的に接続される。そして、駆動回路33を作動させることにより、第1基板11と第2基板12の間に印加された電圧によって、電界が形成され、この電界によって表示媒体16が駆動し、表示領域に情報を表示したり、すでに表示されている情報を消去したりすることができる。正帯電性粒子と負帯電性粒子とを表示媒体とする構成であれば、電界方向に応じて、前記2種類の帯電性粒子が互いに反対方向に移動して、第1基板11および第2基板12のそれぞれの情報表示画面領域で互いにポジ・ネガの関係の情報画像が表示される。
【0120】
第2基板12とTFT基板とは、対面対向配置させればよく、接していても離れていてもよいが、できるだけ全面で等間隔になっていることが好ましい。更に、第2基板12とTFT基板とは、必ずしも密着していなくてもよいが、もちろん密着させてもよい。第2基板12とTFT基板とがあまりにも離れていると、表示媒体16を駆動させるために大きな電界が必要となる不具合があるので、できる限り近づけることが望ましい。
【0121】
図14(a)、(b)は、情報表示器に情報を表示する方法を説明する図である。情報を書き換え表示する際の一例としては、図14に示すように、第2基板12と駆動装置30とを対向させて配置する。そして、TFT基板31の全てのTFT回路を全て接続して、TFT基板の全ての画素電極34と情報表示器1の導電膜17との間に電圧を印加することで発生する電界によって、すべての黒色表示媒体16Bとすべての白色表示媒体16Wとを互いに反対側に移動させる(図14(a))。このようにして、情報表示器1の情報表示画面全体を黒色又は白色の表示とする消去工程を行う。図14(a)では情報表示画面全体を白色の表示としている。
【0122】
次に、表示させたい情報に応じて、駆動装置30のTFT基板31の各TFT回路を制御して、駆動装置30のTFT基板31の画素電極34と情報表示器1の導電膜17との間に印加する電圧を制御する。このようにして、図14(b)に示すように、各画素電極34と導電膜17との間に発生する電界を制御して、各画素電極に対応した位置にある表示媒体を駆動させることにより、情報表示器1の第1基板11又は第2基板12に情報を表示することができる。
【0123】
その後、駆動装置30のTFT基板31から情報表示器1を取り外したり、駆動装置30側と情報表示器1側の電気的接続を切断したりしても、情報表示器1に表示された情報は、そのメモリー性により、そのまま消えることなく維持されるので、情報表示器1の透明な観察基板側から観察することによって表示された情報を見ることができる。
【0124】
(6)駆動装置の搭載例
(6−1)搭載例1
図15は、TFT基板31が設けられた携帯型電話機300の概略図である。TFT基板31の制御は、携帯型電話機300に通常備えられる液晶表示パネルと同じであるため、液晶表示パネルの反対側の表面に設けられることが好ましい。
【0125】
この場合には、駆動装置としての携帯型電話機300のTFT基板31(電極面121に相当する)の面積よりも大きい表示領域を有する情報表示器110に対して、正確に書込ができるように、第2実施形態に説明する位置決め機構(可動機構230)を併せて設けることが好ましい。
【0126】
(6−2)搭載例2
図16は、TFT基板31が設けられた携帯型パーソナルコンピュータ400の概略図である。携帯型電話機300の場合と同様に、TFT基板31は、液晶表示パネルの反対側の表面に設けられることが好ましい。
【0127】
また、駆動装置としての携帯型パーソナルコンピュータ400のTFT基板31(電極面121に相当する)の面積よりも大きい表示領域を有する情報表示器110に対して、正確に書込ができるように、第2実施形態に説明する位置決め機構(可動機構230)を併せて設けることが好ましい。
【0128】
(7)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例が明らかとなる。例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
【0129】
第1実施形態では、情報表示器110の外周部に案内溝111が形成されている場合について説明した。しかし、情報表示器110の厚みによってできる段差に駆動装置120に形成された突部124を引っかけて情報表示器110の一方又は他方の辺に沿って移動させてもよい。すなわち、本発明は、案内溝111が形成されていない情報表示器110に対しても適用可能である。
【0130】
実施形態では、駆動装置120,220から給電を受ける接続端子112,211が情報表示器110,220の情報表示画面領域の一部に配置されている場合について説明した。しかし、駆動装置120,220の接続端子122,222がコードによって導出されていてもよい。この場合には、情報表示器110,220の情報表示画面領域以外に設けられた接続端子に接続されるものとする。
【0131】
また、情報表示器110、210は、複数の情報表示器ユニットが集合して形成されたものでもよいし、1枚の情報表示器で形成されていてもよい。
【0132】
実施形態に係る情報表示器は、第1基板11又は第2基板12と隔壁14とを接合するための接着層20を設けているが、接着層を設けなくてもよい。また、実施形態に係る情報表示器は、光散乱層18を備えているが、必ずしも光散乱層を備えていなくてもよい。
【0133】
また、本発明に係る情報表示器は、面方向に導通しない第2基板の外側に、帯電防止層を設けてもよい。帯電防止層は、表面抵抗率が1.0×105Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqであることが望ましい。帯電防止層はとしては、ポリチオフェン、例えば、PEDOT−PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(styrene sulfonate))の様な透明な導電性高分子を塗布した後の透明な膜や、ITOやSnO2などの透明導電性酸化物の粒子を樹脂バインダーに分散して構成した透明膜などがある。なお、第2基板12が観察基板となる場合には、透明な帯電防止層を設ける。第2基板12が観察側とならない場合には、帯電防止層は透明でなくてもよい。
【0134】
表面抵抗率が1.0×105Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqである帯電防止層としての膜は、情報表示パネルの第2基板の全てを被覆したり、断続させて面方向の導通性をより少なくしたりするように配置する。表面抵抗率が1.0×105Ω/sqより小さい(言い換えれば、導電性が高い)と、第2基板全体が絶縁性基板でなくなってしまう不都合がある。また、表面抵抗率が、1.0×1012Ω/sqを超えると、帯電防止機能を得られない不都合がある。
【0135】
表面抵抗率は、二重リング法と呼ばれる方式で測定した。二重リング法では、二重リング電極(内極φ16mm、外極内径φ30mm、外極外径φ40mm)を用い、5N負荷、印加電圧10Vで測定した。測定器としては、シシド静電気製「Megaresta Model HT-301」表面抵抗計を用いた。
【0136】
また、実施形態におけるTFT基板31は、画素電極34が露出するように構成されているが、画素電極34の上に表面抵抗率1.0×105Ω/sq以上の膜を保護層として設けることができる。この保護層は、絶縁膜とするため1.0×105Ω/sq以上の表面抵抗率を有する必要がある。
【0137】
更に、駆動装置30の画素電極34と対向する絶縁性の第2基板内面に、ドット電極を設けてもよい。ドット電極を設けることにより、情報を表示させた後の表示媒体を絶縁性の第2基板側に良好に保持でき、表示させた情報を良好に維持することができる。なお、ドット電極は、情報表示パネルの平面視においてドット状に配置し、面方向に導通しない構成とする。面方向に導通しないことにより、表示書き換えを行う際の電界に妨げとなることはない。
【0138】
表示媒体16は、白色表示媒体16W及び黒色表示媒体16Bに限られず、他色の表示媒体13を用いてもよい。また、表示媒体は、電界で駆動し、電源からの給電を切断しても表示した情報が保持できる表示メモリー性があるものであればよい。帯電性粒子を含んだ粒子群を気体中で駆動させるもののほかに、他の構成を例示することができる。図17,18は、表示メモリー性を有する情報表示器の例を説明する図である。
【0139】
例えば、図17(a),(b)に示す情報表示器1Jは、帯電性粒子を含んだ粒子群を透明な絶縁液体51中で駆動させるタイプである(マイクロカプセル型の電気泳動方式が知られている)。図17に示す情報表示器1Jの表示媒体層には、帯電性粒子を含んだ粒子群(正帯電性黒色粒子を含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体16B及び負帯電性白色粒子を含んだ粒子群として構成した白色表示媒体16W)を透明な絶縁液体51と共に封入したマイクロカプセル52が配置されている。この情報表示器1Jは、導電膜17と画素電極34との間に電圧を印加することにより、基板間に電界を付与して表示媒体16を移動させることができる。図17(b)は、画素電極34に対応して、表示媒体が移動した状態を示している。
【0140】
また、図18(a),(b)に示す情報表示器1Kは、帯電性粒子を含んだ粒子群を有色の絶縁液体53中で駆動させるタイプである。情報表示器1Kは、粒子群で構成した表示媒体(例えば、負帯電性白色粒子で構成した白色表示媒体16W)を、有色の絶縁液体53として青色のパラフィンオイル(青色表示媒体)とともに隔壁で形成したセル内に封入した情報表示器である。この情報表示器においても、導電膜と画素電極34との間に電圧を印加することにより、基板間に電界を付与して表示媒体を移動させて表示媒体の白色および青色を見ることができる。図18(b)は、画素電極34に対応して、白色表示媒体16Wが移動した状態を示している。
【0141】
更に、図示しないが、情報表示器としては、半分ずつ2色かつ異帯電極性に構成した球状粒子やマイクロカプセル内で回転駆動させるもの(ツイストボール方式)やコレステリック液晶を駆動させるものなどが表示メモリー性を有する表示媒体として挙げられる。このうち、帯電性粒子を含んだ粒子群を気体中で駆動させる方式が、駆動応答速度が速く、表示メモリー性にも優れているので好ましく採用される。
【0142】
支持体としての隔壁14のうち、第1基板11と第2基板12との間を情報表示領域外で一定の間隔で保持する機能を発揮させるためのものは透明でなくてもよい。また、表示媒体16が封入された情報表示領域を仕切る機能だけを発揮させるための隔壁14には、第1基板11と第2基板12との間を一定の間隔で保持する機能がなくてもよく、基板の間隔よりも低い高さであってもよい。
【0143】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0144】
1…情報表示器、 11…第1基板、 12…第2基板、 13…表示媒体層、 14…隔壁、 16…表示媒体、 16B…黒色表示媒体、 16W…白色表示媒体、 17…導電膜、 18…散乱層、 19…接続端子部、 20…接着層、 21…絶縁層、 30…駆動装置、 31…TFT基板、 32…駆動装置基台、 33…駆動回路、 34…画素電極、 35…接続端子部、 36…TFT回路用基板、 37…TFT回路、 38…半導体層、 39…ゲート電極、 40…ソース電極、 41…ドレイン電極、 51…絶縁液体、 52…マイクロカプセル、 53…有色絶縁液体
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板である第1基板と第2基板とを対向させて形成した基板間に、電界を付与することで駆動する表示媒体を配置した情報表示器、この情報表示器を駆動する駆動装置及びこの駆動装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、少なくとも観察側となる基板が透明な2枚の基板を対向させて形成した空間に、電界を付与することで駆動できる表示媒体を配置した構成を有する情報表示パネルが情報表示器として知られている。この情報表示器は、2枚の基板間に形成した電界で表示媒体を駆動させて情報を表示するものであった。
【0003】
上述した構成の情報表示器では、前記情報表示器を駆動装置にセットして、駆動装置から情報表示器に電界を印加して表示媒体を駆動させることにより、情報の表示や書き換えを行っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−34199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された情報表示器では、情報表示器に情報を表示させる場合、或いは情報を書き換える場合、大型のプリンター型駆動装置が必要である。このような大型のプリンター型駆動装置は、設置型となるため、情報表示器の表示内容を書き換えるときには設置された大型のプリンター装置まで持っていかなければならない問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、薄型でコンパクトな駆動装置を用いて情報を表示させることができる情報表示器、薄型でコンパクトな駆動装置を提供することを目的とする。また、情報表示器を駆動する駆動装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の特徴は、少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板と、前記2枚の基板の間に配置された支持体と、該2枚の基板と前記支持体によって確保される空間に配置され電界によって駆動する表示媒体と、を備えた情報表示器において、前記2枚の基板は、面方向に導通する第1基板と、前記第1基板と対向し、かつ面方向に導通しない第2基板と、であり、前記情報表示器とは別体であり、かつ画素電極が配置されたTFT基板を備える駆動装置によって、前記第1基板と前記画素電極との間に形成される電界によって、前記表示媒体が駆動させられ、前記情報表示画面領域に情報を表示するように構成された情報表示器であって、前記情報表示画面領域の面積は、前記画素電極が配置された前記TFT基板の面積よりも大きく、前記第2基板の表面には、前記第2基板の平面に交差する方向に窪み、所定の方向に延びる案内溝が形成されており、前記案内溝に前記駆動装置の一部が係合されることを要旨とする。
【0008】
本発明によれば、情報表示器に形成された案内溝に駆動装置の一部が係合されることにより、駆動装置が案内溝の延びる方向以外の方向へ位置ズレすることを防止できるため、画素電極が配置されたTFT基板の面積よりも大きいサイズの情報表示画面領域を有する情報表示器に対しても、位置ずれなく正確に書き込むことができる。
【0009】
従って、薄型でコンパクトな駆動装置を用いて情報表示器に情報を表示させることができる。
【0010】
本発明の特徴は、前記駆動装置の前記TFT基板と、前記情報表示器において前記電界が形成されるべき領域とを合わせるためのマークが配置されていてもよいことを要旨とする。
【0011】
本発明の特徴は、少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板と、前記2枚の基板の間に配置された支持体と、該2枚の基板と前記支持体によって確保される空間に配置され電界によって駆動する表示媒体と、を備えた情報表示器の表示媒体を駆動させる駆動装置において、前記情報表示器の前記2枚の基板は、面方向に導通する第1基板と、前記第1基板と対向し、かつ面方向に導通しない第2基板と、である情報表示器の前記第1基板と、画素電極が配置されたTFT基板との間に形成される電界によって前記表示媒体を駆動させて、前記情報表示画面領域に情報を表示させる駆動装置であって、前記第1基板と前記TFT基板との間隔が保持された状態で、前記情報表示器における少なくとも所定の一方向に可動とされた可動機構を備えることを要旨とする。
【0012】
本発明の特徴は、前記情報表示器は、矩形状であり、前記可動機構は、前記情報表示器の一方の辺に沿って可動とされた第1可動機構と、前記一方の辺に直交する他方の辺に沿って可動とされた第2可動機構と、を有していてもよいことを要旨とする。
【0013】
本発明の特徴は、上記特徴を有する駆動装置が搭載された電子機器であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、薄型でコンパクトな駆動装置を用いて情報を表示させることができる情報表示器を提供できる。また、薄型でコンパクトな駆動装置を提供できる。また、情報表示器を駆動する駆動装置を備えた電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1実施形態に係る情報表示システムの概略構成図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る情報表示器と駆動装置との係合部分を説明する断面図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る情報表示器の情報表示領域が駆動装置の電極面の整数倍に形成されている場合を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る情報表示器が一方向に長い帯状に形成されている場合を示す図である。
【図5】図5は、第2実施形態に係る情報表示システムの概略構成図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係る駆動装置の情報表示器に対向する電極面を含む平面の構成を説明する図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係る駆動装置の可動機構を説明する図である。
【図8】図8は、情報表示器の構成を説明する断面の一部を拡大した拡大断面図である。
【図9】図9は、情報表示器の構成を具体的に示す拡大断面図である。
【図10】図10(a)、(b)は、駆動装置の断面の一部を拡大した拡大断面図である。
【図11】図11(a)は、TFT基板部分の平面図であり、図11(b)は、図11(a)の平面図に示すTFT基板部分の断面を部分的に拡大した図である。
【図12】図12は、情報表示器と駆動装置とを接続した状態を説明する図である。
【図13】図13は、情報表示器を駆動装置上に配置した状態を示した拡大断面図である。
【図14】図14(a)、(b)は、情報表示器に情報を表示する方法を説明する図である。
【図15】図15は、TFT基板部分が設けられた携帯型電話機の概略図である。
【図16】図16は、TFT基板部分が設けられた携帯型パーソナルコンピュータの概略図である。
【図17】図17は、表示メモリー性を有する情報表示器の他の例を説明する図である。
【図18】図18は、表示メモリー性を有する情報表示器の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る情報表示器及び駆動装置の一例について、図面を参照しながら説明する。具体的には、(1)第1実施形態、(2)第2実施形態、(3)情報表示器の詳細な説明、(4)駆動装置の詳細な説明、(5)情報表示器に情報を表示する原理、(6)駆動装置の搭載例、(7)その他実施形態について説明する。
【0017】
以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は模式的なのものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることを留意すべきである。具体的な寸法などは、以下の説明を参酌して判断すべきものである。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
(1)第1実施形態
(1−1)情報表示システムの概略構成
図1は、第1実施形態として示す情報表示器110と、駆動装置120とで構成される情報表示システム100の概略構成を示す。
【0019】
情報表示器110は、少なくとも一方が透明である2つの基板を有し、2つの基板の間には、例えば、白色又は黒色に着色された帯電性粒子が表示媒体として封入されている。表示媒体(各帯電性粒子)は、基板間に印加された電界によって駆動する。各帯電性粒子は、一方の基板(観察基板)側、或いは、他方の基板(非観察基板)側に移動可能に構成されている。観察者は、例えば、観察基板側に移動させられた表示媒体(白色又は黒色に着色された帯電性粒子)を視認するというものである。
【0020】
情報表示器110は、表示媒体に電界を付与可能な電極の一方を備えている。情報表示器110の電極には、駆動装置120から給電されるようになっている。情報表示器110には、駆動装置120から給電を受ける接続端子112が形成されている。図1に示す実施形態では、情報表示器110は、複数の情報表示器ユニットをマトリクス状に連結したものであり、ユニット毎に接続端子112が設けられている。情報表示器110の構造の詳細は、(3)情報表示器の詳細な説明の項において詳述する。
【0021】
駆動装置120は、情報表示器110の表示媒体を駆動させるための電界を付与可能な電極の一方を備えている。すなわち、駆動装置120は、情報表示器110に電界を付与する電極が形成された電極面121を備える。また、駆動装置120は、情報表示器110に給電する接続端子122を備える。駆動装置120の構造の詳細は、(4)駆動装置の詳細な説明の項において詳述する。
【0022】
(1−2)情報表示器と駆動装置の構成
本実施形態では、情報表示器110において、情報を表示することができる情報表示画面領域の面積は、駆動装置120に備えられた電極面121の面積よりも大きい。
【0023】
本実施形態の情報表示器110の外縁を含む外周部の表面には、情報表示器の基板平面に交差する方向に窪み、所定の方向に延びる案内溝111が形成されている。外周部の表面とは、情報表示画面領域に情報を表示するために駆動装置120の電極面121が接触される情報表示器の基板の表面(接触面110aという)である。
【0024】
本実施形態では、情報表示器110は、矩形状を有し、案内溝111は、情報表示器110の一方の辺110xに沿って形成されている。また、一方の辺110xに直交する他方の辺110yに沿って形成されている。案内溝111は、駆動装置120の一部が係合可能な溝深さを有する。
【0025】
図2は、駆動装置120と情報表示器110との係合部分を説明する断面図である。駆動装置120は、係合部123を有する。係合部123は、突部124と、ダンパー部125とを有する。
【0026】
突部124は、パネル基板の接触面110a接触面110aに向けて所定寸法突出して形成されており、案内溝111に係合する。なお、所定寸法とは、電極面121が接触面110aに接触しない距離、及び接続端子122が接続端子112に接触しない距離である。
【0027】
ダンパー部125は、突部124の突出する寸法を可変にする機構であり、駆動装置120に与えられた外力によって、電極面121を接触面110aに向けて移動させることができる。ダンパー部125としては、ばねを用いたスプリングダンパー、ゴムの圧縮を用いたゴムダンパーなどがあげられる。
【0028】
駆動装置120は、係合部123により、突部124が案内溝111に係合した状態で、情報表示器110の接触面110a上を移動させられる間は、電極面121と接触面110aとが所定の間隔dに保持されており、情報表示器110の帯電性粒子を駆動させる際には、駆動装置120が情報表示器110側に押し下げられることにより、電極面121と接触面110aとが密着させられる。また、接続端子123と接続端子112とが接続されるようになっている。ここで所定の間隔dは、0.1μm〜10μmとすることができる。
【0029】
(1−3)駆動装置による情報表示器への情報の書込動作
図3は、一例として、情報表示器110の情報表示領域が駆動装置120の電極面121の整数倍に形成されている場合を示す図である。図3の例では、情報表示器110において帯電性粒子を駆動させる領域(すなわち、電界が形成されるべき領域)と、駆動装置120の電極面121とを合わせるためのマーク(情報表示器側マーク115,駆動装置側マーク125)が配置されている。図3には、図示されていないが、情報表示器110には、格子状に案内溝111が形成されていてもよい。
【0030】
使用者は、このマーク同士を合わせることにより、情報表示器110の決められた領域に駆動装置120を宛がうことができる。この場合、電極面121によって電界が形成される領域が丁度繋がるように、または、画素1ライン分が互いにオーバーラップするように、マークが設定されていることが好ましい。これにより、書込できない領域が残ることを防止できる。オーバーラップする領域が1ライン分を超えて増えるほど、1回目に書換えた情報が、隣接領域に電極面121を移して実行する2回目の書き換え情報に書き換えられてしまう領域が増えてしまうので、連続画像の部分が書換え時に、電極面121の端部となるような場合には、オーバーラップは画素1ライン分に留めるのが好ましい。連続画像として表示する必要がない情報(例えば、文章の行間や画像と画像との間隔空間)が電極面121の端部となるような場合には、オーバーラップさせないで表示することもできるし、1ライン分を超えてオーバーラップさせて表示することもできる。また、すでに画面に表示されている情報が画面の端部領域にまで表示されている場合には、画面の端部領域が電極面121に完全に重なるように、すなわち、相当のライン数分をオーバーラップさせて、まず、画面消去(べた画像表示)のための書き換えを行い、次に、オーバーラップする領域を1ライン分に押さえて表示したい情報に表示を書換えるのがよい。
【0031】
図4は、一例として、情報表示器110が一方向に長い帯状に形成されている場合を示す図である。図4の例では、長辺に沿って案内溝111が形成されている。駆動装置120には、位置決めのための照準を備えた透明な窓部126が設けられている。
【0032】
使用者は、情報表示器110に配置されたマークを照準に合わせながら、突部124を案内溝111に係合した状態で、図4の矢印方向に移動させることができる。これにより、帯状の情報表示器110に情報を書き込むことができる。
【0033】
(1−4)作用・効果
第1実施形態に係る情報表示システム100によれば、情報表示器110に形成された案内溝111に駆動装置120の一部(突部124)が係合されることにより、駆動装置120が案内溝111の延びる方向以外の方向へ位置ズレすることを防止できるため、電極面121の面積よりも大きいサイズの情報表示画面領域を有する情報表示器110に対しても、位置ずれなく正確に書き込むことができる。従って、薄型でコンパクトな駆動装置120を用いて情報表示器110に正確に情報を表示させることができる。
【0034】
駆動装置120の電極面121を表示単位とするように分割された情報を、情報表示器110の表示画面に繋ぎ合せた情報として表示させる場合に、画像の直線部分がずれて繋がって表示されたり、文字の一部が表示されなかったりすることなく、正確に情報を表示させることができる。
【0035】
(2)第2実施形態
(2−1)情報表示システムの概略構成
図5は、第2実施形態として示す情報表示システム200の概略構成を示す図である。情報表示システム200は、情報表示器210と、駆動装置220とから構成される。
【0036】
(2−2)駆動装置の構成
図6は、駆動装置220の、情報表示器210に対向する電極面221を含む平面の構成を説明する図である。第2実施形態においては、駆動装置220は、情報表示器210の表示媒体(ここでは正帯電性黒色粒子を黒色表示媒体とし、負帯電性白色粒子を白色表示媒体としている)を駆動させるための電界を付与可能な電極の一方(電極面221)を備える。また、駆動装置220は、情報表示器210に給電する接続端子222を備える。
【0037】
また、駆動装置220は、情報表示器210の接触面210aに対向する面の一部の角部分に可動機構230を有する。可動機構230が配置される角部分以外の角部分には、いずれの方向にも回動自在に構成されたボールローラ241,242,243が配置されている。
【0038】
可動機構230は、電極面221と、情報表示器210の接触面210aとの間隔を保持するとともに、情報表示器210における少なくとも所定の一方向に可動方向を規制する。
【0039】
本実施形態では、情報表示器210は、矩形状を有し、可動機構230は、図5,図6に示すように、第1可動機構231と、第2可動機構232とを有する。第1可動機構231の可動方向は、情報表示器210の辺210yに沿った方向Yに規制されている。第2可動機構232の可動方向は、情報表示器210の辺210x(辺210yに直交する方向)に沿った方向Xに規制されている。
【0040】
図7(a)は、駆動装置220の可動機構230を説明する図である。第1可動機構231と第2可動機構232とは、規制された方向が異なるだけで同一の構造にすることができるため、ここでは、第1可動機構231について説明する。
【0041】
第1可動機構231は、ローラ231rと、ダンパー部231dとを有する。ローラ231rは、辺210xに平行な回転軸231cを有する。ローラ231rは、パネル基板の接触面210aに向けて所定寸法突出して配設されている。ここで、所定寸法とは、電極面221が接触面210aに接触しない距離である。実施形態では、第2可動機構232の回転軸232cは、辺210yに平行に配置されている。
【0042】
ダンパー部231dは、ローラ231rの突出する寸法を可変にする機構であり、駆動装置220に与えられた外力によって、電極面221を接触面210aに向けて移動させることができる。ダンパー部231dとしては、ばねを用いたスプリングダンパー、ゴムの圧縮を用いたゴムダンパーなどがあげられる。
【0043】
図7(b)は、ボールローラ241,242,243を説明する図である。ボールローラ241,242,243にもダンパー部231dと同様のダンパー機構が設けられている。
【0044】
駆動装置220は、情報表示器210上に載置した状態では、上述したように、第1可動機構231の可動方向、又は第2可動機構232の可動方向のみに可動に構成されている。また、駆動装置220が情報表示器1の接触面110a上を移動させられる間は、電極面121と接触面110aとが所定の間隔に保持されており、情報表示器210の帯電性粒子を駆動させる際には、電極面221と接触面210aとが密着させられる。
【0045】
(2−3)駆動装置による情報表示器への情報の書込動作
第2実施形態に係る情報表示器210,駆動装置220においても、(1−3)に示したようなマークによる位置決め方法が適用可能である。さらに、第2実施形態のように、ローラ231rを備える第1可動機構231(第2可動機構232も同様)は、ローラ231rの回転数を検出することにより、移動距離を検出することができる。これにより、駆動装置220が所定の距離を移動したことを検出して、音、表示、ランプなどの報知手段によって、使用者に停止させるタイミングを報知することもできる。
【0046】
(2−4)作用・効果
第2実施形態に係る情報表示システム200によれば、駆動装置220は、第1可動機構231の可動方向、又は第2可動機構232の可動方向のみに可動に構成されている。これにより、駆動装置220が可動方向以外の方向へ位置ズレすることを防止できるため、電極面221の面積よりも大きいサイズの情報表示画面領域を有する情報表示器210に対しても、位置ずれなく正確に書き込むことができる。従って、薄型でコンパクトな駆動装置220を用いて情報表示器210に正確に情報を表示させることができる。
【0047】
この場合においても、駆動装置220の電極面221を表示単位とするように分割された情報を、情報表示器210の表示画面に繋ぎ合せた情報として表示させる場合に、画像の直線部分がずれて繋がって表示されたり、文字の一部が表示されなかったりすることなく、正確に情報を表示させることができる。
【0048】
(3)情報表示器の詳細な説明
(3−1)情報表示器の全体構成
続いて、上述の第1実施形態、第2実施形態に係る情報表示器110,210について詳細に説明する。本実施形態に係る情報表示器1の構成について説明する。図8は、情報表示器1の構成を説明する断面の一部を拡大した拡大断面図である。図8に示す情報表示器1は、情報表示器110,210に相当する。
【0049】
情報表示器1は、面方向に導通する導電膜17を有する第1基板11と、絶縁体材料基板である第2基板12と、第1基板11と第2基板12との間に配置された表示媒体層13と、駆動装置30側と電気的に接続される接続端子部19とを備える。
【0050】
表示媒体層13には、第1基板11と第2基板12との間に付与された電界に応じて駆動することで情報を表示する表示媒体16(図8には不図示。図9,図14など参照)が配置されている。
【0051】
接続端子部19は、導電膜17と電気的に接続されている。接続端子部19は、情報表示器1における駆動装置30と対面対向する側に設けられている。情報表示器1と駆動装置30とが対面対向した状態(図12参照)において、接続端子部19は、駆動装置30の駆動回路33側と電気的に接続される。導電膜17は、接続端子部19を介して駆動装置30の接続端子部35と電気的に接続されるように構成されている。
【0052】
また、接続端子部19をフレキシブルケーブルとして導電膜17から引き出して形成し、接続端子部35をフレキシブルケーブルとして駆動装置30の駆動回路33側から引き出して形成し、2本のフレキシブルケーブル同士を接続するようにしてもよい。このような構成にすれば、1枚の情報表示器の1箇所に接続端子部19を設けておき、この接続端子部19と駆動装置30の接続端子部35とを接続させたままの状態で駆動装置30を移動させて情報表示器1の情報表示画面領域において自由に選択した領域に情報を表示させることもできる。
【0053】
(3−2)情報表示器の具体的構成
図9は、情報表示器1の構成を具体的に示す拡大断面図である。具体的には、2枚の基板(第1基板11、第2基板12)に対して直交する断面における断面図である。
【0054】
情報表示器1は、情報が表示される情報表示画面領域を有する。情報表示画面領域は、第1基板11側からの平面視において、表示媒体16が配置されている領域である。情報表示器1は、第1基板11と、第2基板12と、表示媒体層13と、支持体としての隔壁14と、表示媒体16とを有する。情報表示器1には、接着層20が形成されていてもよい。
【0055】
(3−2−1)2枚の基板の構成
第1基板11は、導電膜17を有しており、面方向に導通するように構成されている。第2基板は、第1基板11と対向して配置されている。第2基板12は、絶縁体材料基板であり、面方向に導通しないように構成されている。第1基板11と第2基板12との間には、電界によって駆動する表示媒体16が封入された表示媒体層13が形成されている。
【0056】
実施形態では、第1基板11が観察基板である。具体的には、第1基板11は、情報表示画面領域が透明に構成されている基板であり、観察者は、第1基板11側から観察することによって、第1基板11と第2基板12の間の表示媒体によって表示された情報を視認できる。第1基板11は、少なくとも情報表示領域においては、可視光の透過率が高く、かつ耐熱性のよいものによって形成されている。一方、第2基板12は、非観察基板となる。
【0057】
なお、実施形態に係る情報表示器1は、第1基板11を観察基板として、第2基板12を非観察基板としているが、第2基板12を観察基板として、第1基板11を非観察基板としてもよい。また、第1基板11側から観察する場合と、第2基板12側から観察する場合とでは、丁度、ネガ・ポジの関係となるため、観察基板にあわせて表示媒体の駆動を行う。なお、第1基板11を観察基板とした構成では、情報表示器1を駆動装置30に取り付けた状態で、表示媒体の駆動を行って書き換えた情報をそのままの状態で見ることができる。
【0058】
なお、本発明における透明とは、可視光を透過させるものであればよく、半透明や無色でなくカラーも含む概念である。具体的には、可視光の透過率が50%以上あればよい。
【0059】
第1基板11の導電膜17は、ベタ状であり、電界形成用の電極として機能する。このようにベタ状の導電膜17によって構成することにより、パターニングが不要であり、また駆動用ICを駆動装置30側に搭載して情報表示器側に搭載しない構成とすることで、極めて安価な情報表示器を作製することができる。また、導電膜17の1点で電気的な接続を実行すれば、第1基板11の情報表示画面領域全面と導通がとれるため、駆動装置30側と情報表示器1側との導通が容易である。
【0060】
導電膜17は、ベタ状とするほかにもストライプ状にしたり、網目状にしたり、ドット状に形成したりしたものを電気的に連続して接続することができる。第1基板11を観察基板としない場合には、第1基板11全体を導電性材料として構成にすることができる。なお、この構成においては、第1基板11の外側表面に絶縁膜を配置して感電や漏電しないように構成することが望ましい。
【0061】
本実施形態では、情報表示器1の導電膜17と、後述する駆動装置30の画素電極34とが対向する電極間に形成された電界によって、表示媒体層13に配置した表示媒体16を2枚のパネル基板間で駆動させる方式をとるため、対向電極の一方となる第1基板11の導電膜17は面方向に導通して共通電極として機能させる必要がある。一方、対向電極対の間に入り込むこととなる第2基板12は、面方向に導通しないようにして、対向電極間に発生させた電界をシールドしてしまうことがないようにする必要がある。
【0062】
第2基板12は、例えば、基板全体を絶縁体で構成したり、絶縁体材料で構成した基板表面に複数のドット状電極をそれぞれが電気的に接続されないように独立して設けて構成したりして、面方向に導通させない構造とすることができる。更に、第2基板12は、面方向に導通しない構成であればよく、その表面に導電膜が部分的に設けられていても、その導電膜が互いに電気的に接続され連続した構成となっていなければ面方向に導通しない構成とすることができる。このような構成によっても、電界をシールドすることがないため、情報の書き換え、言い換えると表示媒体の駆動の妨げとならない。
【0063】
第1基板11と第2基板12との間隔は、表示媒体16が駆動できて、表示コントラストを維持できればよく、2μm〜500μm、好ましくは5μm〜200μmに、表示媒体の種類に合わせて、支持体としての隔壁14の高さによって調整される。
【0064】
表示媒体として帯電性粒子を含んだ粒子群を用い、気体中空間(真空中を含む)において駆動させる方式とする場合には、第1基板11と第2基板12との間隔は10μm〜200μm、好ましくは10μm〜100μmの範囲で調整される。
【0065】
さらに、この場合に、基板間の気体中空間(真空中を含む)における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体としての粒子の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【0066】
第1基板11と第2基板12の間における外端部近傍には、シール部材10が設けられている。シール部材10によってセル内に外部から湿分が浸入しないように構成されている。
【0067】
第1基板11の厚みは、25μm〜2000μmが好ましく、さらに25μm〜1000μmが好適である。また、第2基板12の厚みは、25μm〜100μmが好ましく、さらに25μm〜80μmが好適である。なお、第1基板11の厚みおよび第2基板12の厚みが薄すぎると、強度や基板間の間隔均一性が保ちにくくなったり、情報表示器1の作製時のハンドリング性が容易でなくなったりする不都合があり、2000μmよりも厚いと、薄型の情報表示器とする場合に不都合がある。
【0068】
また、第2基板12の厚みは、25μm〜125μmとすることができる。更に、第2基板12の厚みは、25μm〜100μmとすることが好ましい。第2基板12の厚さはできるだけ薄い方が好ましいが、第1基板11の厚みには、大きな制限はない。第2基板12の厚みが125μmを超えると、情報表示器1の導電膜17と画素電極34との距離が離れすぎてしまい、電極間の電圧を大きくしなければ表示媒体16を駆動する十分な電界を得られない。
【0069】
したがって、例えば、第2基板12の厚さを25μm〜125μmとし、第1基板11の厚さを25μm〜2000μmとすることで、駆動装置30側の画素電極34と導電膜17との間に電圧を印加して発生させる電界を、表示媒体16全体に効果的に与えることができるとともに、作製時のハンドリングが容易な情報表示器とすることができる。
【0070】
第1基板11及び第2基板12に用いられる材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルサルフォン(PES)などの樹脂やガラスなどの透明材料製シートや、ガラス繊維で補強したエポキシ樹脂などの不透明材料製シートを絶縁体基板として用いることができる。
【0071】
また、一方の面方向に導通する基板である第1基板11として導電性基板を用いる場合にその導電性基板としては、導電性金属シートやシート基材の表面に金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム等の導電性金属膜をコートした導電性シートなどを用いることができる。
【0072】
導電膜17に用いられる材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化インジウム、導電性酸化錫、アンチモン鉛酸化物(ATO)、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、例えば、PEDOT−PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(styrene sulfonate))等の導電性高分子が挙げられる。更に、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属や、これらの金属を主成分とする合金を用いることができる。
【0073】
特に、第1基板11を観察パネル基板とする場合には、透明導電膜として好適なITO、IZO等の金属酸化物系材料やPEDOT−PSS等の高分子化合物系材料を用いることが望ましい。PEDOT−PSS等の高分子化合物系材料は、透明性を有するとともに可撓性を有するので、情報表示器1をフレキシブルにする場合に好適である。
【0074】
ITO、IZO等の金属酸化物系材料は、良好な透明性を有するが、金属材料に比べて可撓性が小さい。ITO、IZO等の金属酸化物系材料で導電膜を構成する場合には、透明導電膜中での断線防止のため、金属細線と併用することが好ましい。この金属細線の幅は、1μm〜10μmとすれば、表示視認性の妨げとならないので好ましい。観察基板の情報表示画面領域外や非観察基板に設ける導電膜は光透過性を考慮する必要がないので電気抵抗が小さく、可撓性にも優れた前記金属材料が好適に用いられる。また、観察基板の情報表示画面領域外や非観察基板に設ける導電膜の厚さは電気抵抗および生産性、コストの観点から、0.01μm〜10μmに設計される。
【0075】
導電膜17の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(科学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法、金属箔(例えば、圧延銅箔など)をラミネートする方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布して成膜する方法が用いられる。
【0076】
導電膜17の厚さは、導電性や光透過性を鑑みて決定され、0.01μm〜10μm、好ましくは、0.05μm〜5μmの範囲にする。なお、第2基板12が観察側となる構成においては、非観察基板となる第1基板11に設ける導電膜17の光透過性を考慮しなくてもよい。
【0077】
(3−2−2)表示媒体層の構成
帯電性粒子を表示媒体とする表示媒体層13は、第1基板11、第2基板12、接着層20、及び支持体としての隔壁14によって区画されたセルを複数有する。各セルには、複数の帯電性粒子を含む表示媒体16が収納されている。隔壁14はセルを形成しなくてもよい。この場合の隔壁14は、基板間の空間を確保するための支持体として機能する。
【0078】
実施形態では、表示媒体16は、負帯電性白色粒子を含んだ粒子群として構成した白色表示媒体16Wと、正帯電正黒色粒子を含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体16Bとを含む。
【0079】
表示媒体16は、帯電性を有しており、電気的に移動(駆動)可能である。第2基板12の外側に配置される駆動装置30のTFT基板31の画素電極34と、第1基板11の導電膜17との間に電圧を印加して発生させた電界により、表示媒体16を2枚の基板間で移動させて情報を表示する。
【0080】
隔壁14は、第1基板11と第2基板12との間に形成されている。隔壁14は、第1基板11と第2基板12との間を一定の間隔で保持する支持体としての機能と、表示媒体16が封入された表示区画を仕切って、表示媒体16を構成する粒子が基板面方向に偏在することを防止する機能と、を有する。
【0081】
支持体としての隔壁14を設けることによって、第1基板11と第2基板との間が一定の間隔で保持され、第1基板11の導電膜17と画素電極34との距離を一定に保つことができる。また、隔壁14を設けることによって、上面が第1基板11と第2基板12のうち一方で形成され、下面が第1基板11と第2基板12の他方で形成され、側面が隔壁14で形成されたセルが形成される。
【0082】
なお、セルには、表示媒体16の他に、気体(例えば、空気)が封入されている。なお、空間Sは、真空であってもよいし、セルには、絶縁液体を封入してもよい。
【0083】
帯電性粒子を含んだ粒子群を表示媒体として、気体中空間(真空中を含む)で駆動させる方式とする場合には、表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。
【0084】
空隙部分とは、セル内の空間部分であり、対向する2枚の基板に挟まれる部分から、電極、表示媒体の占有部分、隔壁の占有部分、パネル基板間のシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
【0085】
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるようにパネル基板間に封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐ本発明に係るシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0086】
各セルの大きさは、表示媒体とする粒子の平均粒子径が、1μm〜20μm程度の場合、平面視にて長方形であれば、1辺の長さが50μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度が望ましい。また、ハニカム(六角形)形状の場合は、向かい合う頂点の距離が100μm〜1000μm程度、好ましくは100μm〜300μm程度が好ましい。このような構成にすれば、セル内で移動を繰り返した粒子が、凝集したり、偏在したりする不都合が発生しにくい。
【0087】
また、セルを形成するための隔壁の配置は格子状、ハニカム状、網目状などにすることができる。セルの横断面形状は、四角形、三角形、六角形、階段型八角形等の多角形や、円形、楕円形、レーストラック形等いずれでもよいし、複数の形状を組み合わせてもよい。非表示部となる隔壁の占める割合を小さくできる点からは四角形、階段型八角形や六角形が好ましく、表示媒体を構成する粒子を移動しやすくできる点からは曲線を有する形状が好ましい。前記二つの点から角丸付きの四角形や角丸付きの六角形、角丸付きの階段型八角形が好ましく用いられる。非表示部となる隔壁の占める割合は、平面視にて情報表示領域の10%程度であり、好ましくは10%以下である。
【0088】
なお、実施形態に係る支持体としての隔壁14は、第1基板11と第2基板との間を一定の間隔で保持する機能と、表示媒体16が封入された情報表示画面領域を仕切る機能と、を有するが、本発明に係る支持体は、第1基板11と第2基板12との間を一定の間隔で保持する機能を有していればよい。すなわち、表示媒体16が封入された情報表示画面領域を仕切る機能は、採用した表示媒体の種類によって設けないこともできる。例えば、帯電性粒子と絶縁液体とをカプセルに封入した構成の表示媒体16やコレステリック液晶で構成した表示媒体16であれば、支持体としての隔壁で対向している2枚の基板間にカプセルやコレステリック液晶を配置するだけでよい。これらの構成であれば隔壁でなく、柱状支持体や球状支持体などでもよい。
【0089】
隔壁14の材料は、レジスト材が好適であり、液状レジスト材やドライフィルムレジスト材が用いられる。ドライフィルムレジスト材の一例として、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)を使用することができる。これらのレジスト材は露光硬化後に透明となるので好ましく用いられる。
【0090】
上記したレジスト材に顔料を配合せずにフォトリソグラフィーを実行して透明な隔壁を得たり、必要に応じて所望の色の顔料を配合したレジスト材を用いて色付きの隔壁を形成することができる。必要な隔壁をすべて同じレジスト材で形成すれば、すべての隔壁を同時に形成できるので効率の面で好ましい。
【0091】
接着層20は、隔壁14上に形成される。接着層20の一面は、隔壁14と接している。一面に対向する接着層20の他面は、2枚の基板の一方と接している。隔壁14と接着層20を介して第1基板11と第2基板12とが固定される。情報表示器1においては、接着層20は、第2基板12側に形成されている。
【0092】
接着層20は、透明にしたり、有色にしたりできる。これによって、情報表示画面領域において、隔壁14を配置した領域で色々な表示効果を得るようにすることが可能である。例えば、透明な第1基板11を観察側とし、黒色の第2基板12を非観察側とし、隔壁および接着層20を透明にすれば、隔壁14を配置した領域は、第2基板12の黒色に見えるので、隔壁14を格子状に形成しておけばブラックマトリックス効果が得られる。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤が用いられる。
【0093】
(3−2−3)表示媒体
各セルに封入される表示媒体は、例えば、帯電性粒子を含む粒子群によって構成することができる。帯電性粒子は、その主成分となる樹脂に、必要に応じて荷電制御材剤、着色剤、無機添加物等の粒子構成材料を含ませることができる。以下に、荷電制御材料、着色料、その他添加剤を例示する。
【0094】
荷電制御材料としては、特に制限はないが、負荷電制御剤とすれば例えば、サリチル酸金属錯体、合金属アゾ染体、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ酸化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤とすれば例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0095】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
【0096】
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
【0097】
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0098】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
【0099】
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
【0100】
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
【0101】
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
【0102】
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0103】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0104】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。
【0105】
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。上記着色剤を配合して所望の色の帯電性粒子を作製できる。
【0106】
また、表示媒体を構成する帯電性粒子(以下、粒子ともいう)は平均粒子径d(0.5)が、1μm〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
【0107】
さらに、表示媒体を構成する帯電性粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
【0108】
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大き<、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)。Spanを5以下の範囲に納めることにより、表示媒体を構成する粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
【0109】
さらにまた、複数の粒子群を表示媒体として使用する場合には、使用した粒子群の帯電性粒子の内、最大の平均粒子径d(0.5)を示す帯電性粒子のd(0.5)に対する、最小の平均粒子径d(0.5)を示す帯電性粒子のd(0.5)の比をl0以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに電気特性の異なる粒子群が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近い方が容易に移動できるようになるので好適であり、それがこの範囲となる。
【0110】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。ここで、粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定植を用いて、窒素気流中に粒子群を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0111】
各セルに、黒色表示媒体16Bとして封入される正帯電性黒色粒子は、例えば、以下の方法による得ることができる。メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60重量部、及び、1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40重量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学製)3重量部、及び、黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5重量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系)樹脂−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディパーF600:日本油脂製)5重量部を溶解させた後、さらに2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業)を用いることによって、平均粒子径9.2μmの正帯電性黒色粒子を得ることができる。
【0112】
また、各セルに、白色表示媒体16Wとして封入される負帯電性白色粒子は、以下の方法で得ることができる。ポリメチルペンテンポリマー(TPX-R18;三井化学社製)100重量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR-90:石原産業社製)100重量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ボントロンE89:オリエント化学製)5重量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業)を用いて溶融球状化することによって、平均粒子径9.5μmの負帯電性白色粒子を得ることができる。
【0113】
このような帯電性粒子だけで構成した粒子群を表示媒体としたり、この帯電性粒子に微小粒子を付着させた構成の粒子群を表示媒体としたりする。帯電性粒子と微小粒子とのサイズの関係は、帯電性粒子の平均粒子径が1μm〜20μmの範囲であるのに対して、微小粒子の平均粒子径は10nm〜500nmの範囲である。
【0114】
(4)駆動装置の詳細な説明
(4−1)駆動装置の構成
図10(a)、(b)は、駆動装置30の断面の一部を拡大した拡大断面図である。駆動装置30は、TFT基板31と、TFT基板31が形成された駆動装置基台32とを有する。駆動装置30の接続端子部35は、画素電極34を駆動する駆動回路33と電気的に接続されている。接続端子部35は、情報表示器1の接続端子部19と接続可能な位置に設けられていればよく、図10(a)に示すように駆動回路33の上面に接して配置されていてもよいし、図10(b)に示すように駆動回路33の側面に接して配置されていてもよい。また、接続端子部35は、駆動回路33から引き出されたフレキシブルケーブルの先端に形成されて、情報表示器1の接続端子部19と接続するような構成にしてもよい。
【0115】
(4−2)駆動装置に形成される電極の構成
図11(a)は、TFT基板の平面図であり、図11(b)は、図11(a)の平面図に示すTFT基板の断面を部分的に拡大した図である。なお、図11(a)に示す平面図における構成と、図11(b)に示す断面図における構成とは、図示している位置が異なるため、必ずしも一致しない。なお、TFT基板31の構成は、図11に限定されない。TFT基板として公知の種々の構成を用いることができる。
【0116】
TFT基板31は、アクティブ・マトリックス方式のTFT回路37と、各TFT回路37に接続した画素電極34を設けて構成されたTFT回路用基板36から形成される。
【0117】
TFT回路37は、マトリックス状に配置された画素電極34に対応して設けられた半導体層38に対し、ゲート電極39とソース電極40とを直交して設けるとともに、ドレイン電極41を設けて構成されている。ドレイン電極41は、各々別々に画素電極34と接続される。TFT回路37のスイッチング機能により、画素電極34に対する電圧の印加および非印加を制御している。
【0118】
(5)情報表示器に情報を表示する原理
実施形態において、情報表示器1と駆動装置30とを用いた情報表示システム100の情報表示原理を説明する。図12は、情報表示器1と駆動装置30とを接続した状態を説明する図である。図13は、情報表示器1を駆動装置30上に配置した状態を示した拡大断面図である。
【0119】
情報の書き換えや表示を行う際には、図12に示すように、情報表示器1の第2基板12側の面を、駆動装置30の画素電極34に対面対向配置させる。このように配置することにより、情報表示器1の接続端子部19と駆動装置30の接続端子部35とが電気的に接続される。そして、駆動回路33を作動させることにより、第1基板11と第2基板12の間に印加された電圧によって、電界が形成され、この電界によって表示媒体16が駆動し、表示領域に情報を表示したり、すでに表示されている情報を消去したりすることができる。正帯電性粒子と負帯電性粒子とを表示媒体とする構成であれば、電界方向に応じて、前記2種類の帯電性粒子が互いに反対方向に移動して、第1基板11および第2基板12のそれぞれの情報表示画面領域で互いにポジ・ネガの関係の情報画像が表示される。
【0120】
第2基板12とTFT基板とは、対面対向配置させればよく、接していても離れていてもよいが、できるだけ全面で等間隔になっていることが好ましい。更に、第2基板12とTFT基板とは、必ずしも密着していなくてもよいが、もちろん密着させてもよい。第2基板12とTFT基板とがあまりにも離れていると、表示媒体16を駆動させるために大きな電界が必要となる不具合があるので、できる限り近づけることが望ましい。
【0121】
図14(a)、(b)は、情報表示器に情報を表示する方法を説明する図である。情報を書き換え表示する際の一例としては、図14に示すように、第2基板12と駆動装置30とを対向させて配置する。そして、TFT基板31の全てのTFT回路を全て接続して、TFT基板の全ての画素電極34と情報表示器1の導電膜17との間に電圧を印加することで発生する電界によって、すべての黒色表示媒体16Bとすべての白色表示媒体16Wとを互いに反対側に移動させる(図14(a))。このようにして、情報表示器1の情報表示画面全体を黒色又は白色の表示とする消去工程を行う。図14(a)では情報表示画面全体を白色の表示としている。
【0122】
次に、表示させたい情報に応じて、駆動装置30のTFT基板31の各TFT回路を制御して、駆動装置30のTFT基板31の画素電極34と情報表示器1の導電膜17との間に印加する電圧を制御する。このようにして、図14(b)に示すように、各画素電極34と導電膜17との間に発生する電界を制御して、各画素電極に対応した位置にある表示媒体を駆動させることにより、情報表示器1の第1基板11又は第2基板12に情報を表示することができる。
【0123】
その後、駆動装置30のTFT基板31から情報表示器1を取り外したり、駆動装置30側と情報表示器1側の電気的接続を切断したりしても、情報表示器1に表示された情報は、そのメモリー性により、そのまま消えることなく維持されるので、情報表示器1の透明な観察基板側から観察することによって表示された情報を見ることができる。
【0124】
(6)駆動装置の搭載例
(6−1)搭載例1
図15は、TFT基板31が設けられた携帯型電話機300の概略図である。TFT基板31の制御は、携帯型電話機300に通常備えられる液晶表示パネルと同じであるため、液晶表示パネルの反対側の表面に設けられることが好ましい。
【0125】
この場合には、駆動装置としての携帯型電話機300のTFT基板31(電極面121に相当する)の面積よりも大きい表示領域を有する情報表示器110に対して、正確に書込ができるように、第2実施形態に説明する位置決め機構(可動機構230)を併せて設けることが好ましい。
【0126】
(6−2)搭載例2
図16は、TFT基板31が設けられた携帯型パーソナルコンピュータ400の概略図である。携帯型電話機300の場合と同様に、TFT基板31は、液晶表示パネルの反対側の表面に設けられることが好ましい。
【0127】
また、駆動装置としての携帯型パーソナルコンピュータ400のTFT基板31(電極面121に相当する)の面積よりも大きい表示領域を有する情報表示器110に対して、正確に書込ができるように、第2実施形態に説明する位置決め機構(可動機構230)を併せて設けることが好ましい。
【0128】
(7)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例が明らかとなる。例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。
【0129】
第1実施形態では、情報表示器110の外周部に案内溝111が形成されている場合について説明した。しかし、情報表示器110の厚みによってできる段差に駆動装置120に形成された突部124を引っかけて情報表示器110の一方又は他方の辺に沿って移動させてもよい。すなわち、本発明は、案内溝111が形成されていない情報表示器110に対しても適用可能である。
【0130】
実施形態では、駆動装置120,220から給電を受ける接続端子112,211が情報表示器110,220の情報表示画面領域の一部に配置されている場合について説明した。しかし、駆動装置120,220の接続端子122,222がコードによって導出されていてもよい。この場合には、情報表示器110,220の情報表示画面領域以外に設けられた接続端子に接続されるものとする。
【0131】
また、情報表示器110、210は、複数の情報表示器ユニットが集合して形成されたものでもよいし、1枚の情報表示器で形成されていてもよい。
【0132】
実施形態に係る情報表示器は、第1基板11又は第2基板12と隔壁14とを接合するための接着層20を設けているが、接着層を設けなくてもよい。また、実施形態に係る情報表示器は、光散乱層18を備えているが、必ずしも光散乱層を備えていなくてもよい。
【0133】
また、本発明に係る情報表示器は、面方向に導通しない第2基板の外側に、帯電防止層を設けてもよい。帯電防止層は、表面抵抗率が1.0×105Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqであることが望ましい。帯電防止層はとしては、ポリチオフェン、例えば、PEDOT−PSS(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(styrene sulfonate))の様な透明な導電性高分子を塗布した後の透明な膜や、ITOやSnO2などの透明導電性酸化物の粒子を樹脂バインダーに分散して構成した透明膜などがある。なお、第2基板12が観察基板となる場合には、透明な帯電防止層を設ける。第2基板12が観察側とならない場合には、帯電防止層は透明でなくてもよい。
【0134】
表面抵抗率が1.0×105Ω/sq〜1.0×1012Ω/sqである帯電防止層としての膜は、情報表示パネルの第2基板の全てを被覆したり、断続させて面方向の導通性をより少なくしたりするように配置する。表面抵抗率が1.0×105Ω/sqより小さい(言い換えれば、導電性が高い)と、第2基板全体が絶縁性基板でなくなってしまう不都合がある。また、表面抵抗率が、1.0×1012Ω/sqを超えると、帯電防止機能を得られない不都合がある。
【0135】
表面抵抗率は、二重リング法と呼ばれる方式で測定した。二重リング法では、二重リング電極(内極φ16mm、外極内径φ30mm、外極外径φ40mm)を用い、5N負荷、印加電圧10Vで測定した。測定器としては、シシド静電気製「Megaresta Model HT-301」表面抵抗計を用いた。
【0136】
また、実施形態におけるTFT基板31は、画素電極34が露出するように構成されているが、画素電極34の上に表面抵抗率1.0×105Ω/sq以上の膜を保護層として設けることができる。この保護層は、絶縁膜とするため1.0×105Ω/sq以上の表面抵抗率を有する必要がある。
【0137】
更に、駆動装置30の画素電極34と対向する絶縁性の第2基板内面に、ドット電極を設けてもよい。ドット電極を設けることにより、情報を表示させた後の表示媒体を絶縁性の第2基板側に良好に保持でき、表示させた情報を良好に維持することができる。なお、ドット電極は、情報表示パネルの平面視においてドット状に配置し、面方向に導通しない構成とする。面方向に導通しないことにより、表示書き換えを行う際の電界に妨げとなることはない。
【0138】
表示媒体16は、白色表示媒体16W及び黒色表示媒体16Bに限られず、他色の表示媒体13を用いてもよい。また、表示媒体は、電界で駆動し、電源からの給電を切断しても表示した情報が保持できる表示メモリー性があるものであればよい。帯電性粒子を含んだ粒子群を気体中で駆動させるもののほかに、他の構成を例示することができる。図17,18は、表示メモリー性を有する情報表示器の例を説明する図である。
【0139】
例えば、図17(a),(b)に示す情報表示器1Jは、帯電性粒子を含んだ粒子群を透明な絶縁液体51中で駆動させるタイプである(マイクロカプセル型の電気泳動方式が知られている)。図17に示す情報表示器1Jの表示媒体層には、帯電性粒子を含んだ粒子群(正帯電性黒色粒子を含んだ粒子群として構成した黒色表示媒体16B及び負帯電性白色粒子を含んだ粒子群として構成した白色表示媒体16W)を透明な絶縁液体51と共に封入したマイクロカプセル52が配置されている。この情報表示器1Jは、導電膜17と画素電極34との間に電圧を印加することにより、基板間に電界を付与して表示媒体16を移動させることができる。図17(b)は、画素電極34に対応して、表示媒体が移動した状態を示している。
【0140】
また、図18(a),(b)に示す情報表示器1Kは、帯電性粒子を含んだ粒子群を有色の絶縁液体53中で駆動させるタイプである。情報表示器1Kは、粒子群で構成した表示媒体(例えば、負帯電性白色粒子で構成した白色表示媒体16W)を、有色の絶縁液体53として青色のパラフィンオイル(青色表示媒体)とともに隔壁で形成したセル内に封入した情報表示器である。この情報表示器においても、導電膜と画素電極34との間に電圧を印加することにより、基板間に電界を付与して表示媒体を移動させて表示媒体の白色および青色を見ることができる。図18(b)は、画素電極34に対応して、白色表示媒体16Wが移動した状態を示している。
【0141】
更に、図示しないが、情報表示器としては、半分ずつ2色かつ異帯電極性に構成した球状粒子やマイクロカプセル内で回転駆動させるもの(ツイストボール方式)やコレステリック液晶を駆動させるものなどが表示メモリー性を有する表示媒体として挙げられる。このうち、帯電性粒子を含んだ粒子群を気体中で駆動させる方式が、駆動応答速度が速く、表示メモリー性にも優れているので好ましく採用される。
【0142】
支持体としての隔壁14のうち、第1基板11と第2基板12との間を情報表示領域外で一定の間隔で保持する機能を発揮させるためのものは透明でなくてもよい。また、表示媒体16が封入された情報表示領域を仕切る機能だけを発揮させるための隔壁14には、第1基板11と第2基板12との間を一定の間隔で保持する機能がなくてもよく、基板の間隔よりも低い高さであってもよい。
【0143】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0144】
1…情報表示器、 11…第1基板、 12…第2基板、 13…表示媒体層、 14…隔壁、 16…表示媒体、 16B…黒色表示媒体、 16W…白色表示媒体、 17…導電膜、 18…散乱層、 19…接続端子部、 20…接着層、 21…絶縁層、 30…駆動装置、 31…TFT基板、 32…駆動装置基台、 33…駆動回路、 34…画素電極、 35…接続端子部、 36…TFT回路用基板、 37…TFT回路、 38…半導体層、 39…ゲート電極、 40…ソース電極、 41…ドレイン電極、 51…絶縁液体、 52…マイクロカプセル、 53…有色絶縁液体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板と、
前記2枚の基板の間に配置された支持体と、
該2枚の基板と前記支持体によって確保される空間に配置され電界によって駆動する表示媒体と、
を備えた情報表示器において、
前記2枚の基板は、
面方向に導通する第1基板と、
前記第1基板と対向し、かつ面方向に導通しない第2基板と、であり、
前記情報表示器とは別体であり、かつ画素電極が配置されたTFT基板を備える駆動装置によって、前記第1基板と前記画素電極との間に形成される電界によって、前記表示媒体が駆動させられ、前記情報表示画面領域に情報を表示するように構成された情報表示器であって、
前記情報表示画面領域の面積は、前記画素電極が配置された前記TFT基板の面積よりも大きく、
前記第2基板の表面には、前記第2基板の平面に交差する方向に窪み、所定の方向に延びる案内溝が形成されており、
前記案内溝に前記駆動装置の一部が係合される情報表示器。
【請求項2】
前記情報表示器において前記電界が形成されるべき領域と、前記駆動装置の前記TFT基板とを合わせるためのマークが配置されている請求項1に記載の情報表示器。
【請求項3】
少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板と、
前記2枚の基板の間に配置された支持体と、
該2枚の基板と前記支持体によって区画される空間に配置され電界によって駆動する表示媒体と、
を備えた情報表示器の表示媒体を駆動させる駆動装置において、
前記情報表示器の前記2枚の基板は、
面方向に導通する第1基板と、
前記第1基板と対向し、かつ面方向に導通しない第2基板と、であり、
前記情報表示器の前記第1基板と、画素電極が配置されたTFT基板との間に形成される電界によって前記表示媒体を駆動させて、前記情報表示画面領域に情報を表示させる駆動装置であって、
前記第1基板と前記TFT基板との間隔が保持された状態で、前記情報表示器における少なくとも所定の一方向に可動方向が規制された可動機構を備える駆動装置。
【請求項4】
前記情報表示器は、矩形状であり、
前記可動機構は、
前記情報表示器の一方の辺に沿って可動方向が規制された第1可動機構と、
前記一方の辺に直交する他方の辺に沿って可動方向が規制された第2可動機構と、
を有する請求項3に記載された駆動装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された駆動装置が搭載された電子機器。
【請求項1】
少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板と、
前記2枚の基板の間に配置された支持体と、
該2枚の基板と前記支持体によって確保される空間に配置され電界によって駆動する表示媒体と、
を備えた情報表示器において、
前記2枚の基板は、
面方向に導通する第1基板と、
前記第1基板と対向し、かつ面方向に導通しない第2基板と、であり、
前記情報表示器とは別体であり、かつ画素電極が配置されたTFT基板を備える駆動装置によって、前記第1基板と前記画素電極との間に形成される電界によって、前記表示媒体が駆動させられ、前記情報表示画面領域に情報を表示するように構成された情報表示器であって、
前記情報表示画面領域の面積は、前記画素電極が配置された前記TFT基板の面積よりも大きく、
前記第2基板の表面には、前記第2基板の平面に交差する方向に窪み、所定の方向に延びる案内溝が形成されており、
前記案内溝に前記駆動装置の一部が係合される情報表示器。
【請求項2】
前記情報表示器において前記電界が形成されるべき領域と、前記駆動装置の前記TFT基板とを合わせるためのマークが配置されている請求項1に記載の情報表示器。
【請求項3】
少なくとも一方の情報表示画面領域が透明な2枚の基板と、
前記2枚の基板の間に配置された支持体と、
該2枚の基板と前記支持体によって区画される空間に配置され電界によって駆動する表示媒体と、
を備えた情報表示器の表示媒体を駆動させる駆動装置において、
前記情報表示器の前記2枚の基板は、
面方向に導通する第1基板と、
前記第1基板と対向し、かつ面方向に導通しない第2基板と、であり、
前記情報表示器の前記第1基板と、画素電極が配置されたTFT基板との間に形成される電界によって前記表示媒体を駆動させて、前記情報表示画面領域に情報を表示させる駆動装置であって、
前記第1基板と前記TFT基板との間隔が保持された状態で、前記情報表示器における少なくとも所定の一方向に可動方向が規制された可動機構を備える駆動装置。
【請求項4】
前記情報表示器は、矩形状であり、
前記可動機構は、
前記情報表示器の一方の辺に沿って可動方向が規制された第1可動機構と、
前記一方の辺に直交する他方の辺に沿って可動方向が規制された第2可動機構と、
を有する請求項3に記載された駆動装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された駆動装置が搭載された電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−113252(P2012−113252A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264328(P2010−264328)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]