説明

情報表示装置及び表示制御プログラム並びに情報表示方法

【課題】安全かつ効果的に情報を表示することができる情報表示装置及び表示制御プログラム並びに情報表示方法の提供。
【解決手段】
表示デバイスを備えた情報表示装置において、複数のページで構成されるドキュメントのページ毎の表示時間を設定する表示時間設定部と、各ページを前記表示デバイスに表示させると共に、表示されているページに対して設定された表示時間が経過したら当該ページの表示を消去する表示制御部と、を少なくとも備え、前記表示制御部は、ページの表示を消去する前に、表示を消去する旨の警告情報を前記表示デバイスに表示させ、前記警告情報に対して表示を継続する旨の指示がない場合に、前記ページの表示を消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示デバイスを備えた情報表示装置及び当該装置で動作する表示制御プログラム並びに当該装置における情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーや電子ブック、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話機等の表示デバイスを備えた装置を用いて資料や書籍などのドキュメントを閲覧するユーザが増えている。このような装置(以下、情報表示装置と呼ぶ。)において、情報閲覧時にそのままの状態で離席すると表示が残存してしまい、表示された情報が漏洩する恐れがある。
【0003】
また、上記の電子ペーパー等の中にはメモリ性を有するものがある。例えば、一対の透明なフィルム基板の内表面に透明導電性の電極が形成され、電極間に導電性を有する黒色トナーと電気絶縁性を有する白色トナーが封入された構造の電子ペーパーは、電極間に電圧を印加すると黒色トナーが移動して白色トナーと入れ替わって色が変化するため、電源OFF時においても表示が継続する。そのため、特にこのような電子パーパー等の場合、意識的に表示を消去しない限り表示が残存してしまい、情報漏洩の危険性が高くなる。
【0004】
このような表示が残存する問題に対して、下記特許文献1には、パーソナルコンピュータ側に設ける人検出センサでオペレータの離席を検出した後、ディスプレイの表示を消す画面消去手段、パスワードの入力により消去したディスプレイの表示を復帰させる画面復帰手段を備えたパーソナルコンピュータのセキュリティシステムが開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、メモリ性を有する表示装置であって、表示内容のセキュリティ状態を判別する判別手段と、上記表示装置への電源供給を停止する際に、上記判別手段による判別に応じて、書き換えるべき領域の表示を書き換える表示更新手段と、を有するものが開示されている。
【0006】
また、下記特許文献3には、入力されたデータを画像処理する画像処理デバイスと、当該画像処理デバイスにより画像処理された画像データを表示する表示デバイスと、を含む情報処理システムであって、前記画像処理デバイスは、前記画像データを前記表示デバイスに対して送信する場合に、当該画像データの表示期限を制御するための情報を、当該画像データに設定する設定手段と、前記設定手段により設定された前記表示期限を制御するための情報と、前記画像データとを前記表示デバイスに送信する送信手段と備え、前記表示デバイスは、前記送信手段により送信された前記表示期限を制御するための情報に基づき、前記送信された画像データの表示期限を管理する管理手段と、前記管理手段により前記表示期限に到ったと判定された場合、前記画像データの基づく表示を消去する表示制御手段とを備えるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第97/42559号
【特許文献2】特開2005−172843号公報
【特許文献3】特開2007−122377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の技術は、人検出センサでパーソナルコンピュータからの離席を検出し、ディスプレイの表示を消去するものであるが、この方法では、特別なセンサを設ける必要があるため、装置の構成が複雑になりコストアップを招いてしまう。また、デスクトップ型のパーソナルコンピュータのように机などに載置して使用する装置の場合は、装置と使用者との位置関係が明確であるため、人検出センサで使用者の離席を検出することは可能であるが、電子ペーパーや電子ブック、PDA、携帯電話機のように使用者が手に持って使用する場合は、装置と使用者との位置関係が逐次変化するため、人検出センサで使用者の離席を確実に検出することは困難である。また、この方法では、本来の使用者ではない第三者が装置近傍にいる場合に、使用者が離席したと認識できない場合も生じる。
【0009】
また、特許文献2の技術は、表示内容のセキュリティ状態の判別を行い、電源供給停止の際に、判別結果に応じて書き換えるべき領域を判断、更新するものであるが、この方法は電源停止時だけを対象としており、電源を停止することなく離席した場合に表示がそのまま残ってしまう。
【0010】
また、特許文献3の技術は、画像データの表示期限を制御するための情報を当該画像データに設定し、表示期限に到ったと判定された場合に画像データの基づく表示を消去するものである。ここで、情報表示装置で表示するドキュメントの種類は様々であり、技術的資料のように閲覧に時間のかかるドキュメントもあれば、参考資料のように閲覧に時間のかからないドキュメントもある。また、ドキュメントの各ページの内容も様々であり、文字が多く閲覧に時間のかかるページもあれば、写真などが多く閲覧に時間のかからないページもある。しかしながら、この方法は、表示期限がデフォルトで設定若しくは使用者が設定するものであり、ドキュメントの種類や各ページの内容に応じて表示期限を設定可能となっているものではないため、表示期限と実際の閲覧時間とのずれが大きくなったり、設定操作が煩雑になるなどの問題があり、また、表示期限を長めに設定すると、情報漏洩の危険性が高くなる。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、安全かつ効果的に情報を表示することができる情報表示装置及び表示制御プログラム並びに情報表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、表示デバイスを備えた情報表示装置において、複数のページで構成されるドキュメントのページ毎の表示時間を設定する表示時間設定部と、各ページを前記表示デバイスに表示させると共に、表示されているページに対して設定された表示時間が経過したら当該ページの表示を消去する表示制御部と、を少なくとも備えるものである。
【0013】
また、本発明は、表示デバイスを備えた情報表示装置で動作する表示制御プログラムであって、前記情報表示装置を、複数のページで構成されるドキュメントのページ毎の表示時間を設定する表示時間設定部、各ページを前記表示デバイスに表示させると共に、表示されているページに対して設定された表示時間が経過したら当該ページの表示を消去する表示制御部、として機能させるものである。
【0014】
また、本発明は、表示デバイスを備えた情報表示装置における情報表示方法であって、複数のページで構成されるドキュメントのページ毎の表示時間を設定するステップと、各ページを前記表示デバイスに表示させるステップと、表示されているページに対して設定された表示時間が経過したら当該ページの表示を消去するステップと、を少なくとも実行するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の情報表示装置及び表示制御プログラム並びに情報表示方法によれば、安全かつ効果的に情報を表示することができる。
【0016】
その理由は、表示デバイスを備える情報表示装置に、ドキュメントの種類や各ページのオブジェクトの種類、数量、ページ送り時間などに基づいて、ページ毎の表示時間を設定する表示時間設定部と、ドキュメントの各ページを表示デバイスに表示させると共に、表示されているページに対して設定された表示時間になったら当該ページの表示を消去する表示制御部と、を備えるからである。
【0017】
これにより、構成を複雑かつ高価にすることなく、表示を消去するまでの時間をきわめて正確に設定でき、情報漏洩を確実に防止することができる。
【0018】
また、ページを消去する際、警告情報を表示し、表示継続の指示がない場合にページの表示を消去することにより、使用者の意図に反してページの表示が消去されてしまうという不具合を未然に防止することができ、また、当該警告情報をページの前半部分に表示することによりページの情報が見づらくなるという不具合を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例に係る情報表示装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係る情報表示装置の他の例を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る情報表示装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例に係る情報表示装置を用いた表示制御手順を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の一実施例に係る情報表示装置を用いた表示制御手順を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の一実施例に係るドキュメントのページ構成及び表示時間の算出例を示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係るドキュメントのページに表示される警告情報例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
背景技術で示したように、情報表示装置で情報を閲覧する場合、閲覧中に離席すると情報が第三者に見られてしまい情報漏洩の恐れがある。特に、メモリ性表示デバイスを備える情報表示装置では、電源をOFFにしても画面上に表示が残存してしまうため、情報漏洩の危険性が高くなる。
【0021】
このような情報漏洩を防止する方法として、センサで使用者の離席を検出して画面を消去するものが提案されているが、この方法では構成が複雑になり、コストアップを招く。また、オートパワーオフ時に表示を削除するものが提案されているが、この方法では離席時に電源OFFを指示しないと表示を消去することができない。また、画像データに表示期限を設けて表示を消去するものも提案されているが、この方法では、表示内容に応じた表示期限を簡便に設定することができない。
【0022】
そこで、本発明の一実施の形態では、ドキュメントのページ毎に表示時間を設定可能にする。その際、ドキュメントの各ページを閲覧する時間は、ドキュメントの種類やページ内容に依存することから、ドキュメントのコンテンツ情報、各ページに含まれるオブジェクトの種類や数量、ページ送り時間などに基づいて表示時間を設定する。また、表示時間を経過した場合に、突然表示が消去されると使い勝手が悪いことから、表示を消去する前に表示を消去する旨の警告情報を表示し、その警告情報に対して表示継続が指示されなかった場合にページの表示を消去する。更に、警告情報をページの前半部分に表示することにより、ページの情報が見づらくなるという不具合を未然に防止する。
【実施例】
【0023】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る情報表示装置及び表示制御プログラム並びに情報表示方法について、図1乃至図7を参照して説明する。図1及び図2は、本実施例の情報表示装置の構成を模式的に示す斜視図である。また、図3は、本実施例の情報表示装置の構成を示すブロック図であり、図4及び図5は、本実施例の情報表示装置を用いた表示制御手順を示すフローチャート図である。また、図6は、ドキュメントのページ構成及び表示時間の設定例を示す図であり、図7は、警告情報の表示例を示す図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本実施例の情報表示装置101は、表示デバイスを備えた装置であり、例えば、電子ペーパーや電子ブック、パーソナルコンピュータ、PDA、携帯電話機などである。以下、情報表示装置101の具体的な構成について説明する。
【0025】
図3に示すように、本実施例の情報表示装置101は、表示部(電子ペーパー)102、表示制御部103、CPU(Central Processing Unit)104、操作部(タッチパネル)105、表示時間設定部106、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ107、通信部108、電池109、判別部110などで構成されている。
【0026】
表示部102は、透明な液体の中で浮動する微粒子を電界負荷によって移動させて表示を行う電子ペーパー(EPD:Electrophoretic Display)や液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、文字や写真、図形、グラフ、表などのオブジェクトで構成されるドキュメントの各ページを表示する。
【0027】
表示制御部103は、表示部102を駆動し、ドキュメントの各ページの表示及び消去を制御する。
【0028】
CPU104は、メモリ107から読み出したプログラムを実行し、各部の動作を制御する。
【0029】
操作部105は、表示部102上に、透明電極が格子状に配置された感圧式のタッチパネルであり、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号としてCPU104に出力する。
【0030】
表示時間設定部106は、判別部110で判別したドキュメントのコンテンツ情報、各ページのオブジェクトの種類や数量、メモリ107から読み出したページ送り時間などに基づいて各ページの表示時間(すなわち、各ページの表示を消去するまでの時間)を算出し、設定する。
【0031】
メモリ107は、CPU104で動作する各種プログラムや、情報表示装置101の動作を制御するための設定情報、操作部105の操作履歴、ドキュメントのデータ、各ページのデータ、デフォルトで設定された初期表示OFFまでの時間、表示時間設定部106が設定した各ページの表示時間などの各種データを記憶する。
【0032】
通信部108は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどを備え、無線通信や赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などにより、ドキュメントのデータを取得する。
【0033】
電池109は、情報表示装置101の各部を駆動するための電源を供給する。
【0034】
判別部110は、公知の手法を用いてドキュメントの各ページに含まれる文字/写真/グラフ/表などのオブジェクトを判別する。
【0035】
なお、図3では、表示時間設定部106や表示制御部103、判別部110をハードウェアとして構成しているが、表示時間設定部106や表示制御部103、判別部110は、CPU104により実行されるプログラムとして構成してもよい。
【0036】
また、図3は本実施例の情報表示装置101の基本構成であり、ドキュメントの各ページを表示することが可能である限りにおいて、その構成は適宜変更可能である。例えば、ドキュメントのデータを格納するHDD(Hard Disk Drive)、音声データや音楽データを入出力する機能などを備えていてもよい。
【0037】
以下、上記構成の情報表示装置101の動作について、図4及び図5のフローチャート図を参照して説明する。なお、図4及び図5は一連の手順を示しており、作図の都合上、分図したものである。
【0038】
まず、情報表示装置101の電源がONにされると、CPU104は、表示制御部103を起動し、表示制御部103は、表示部102にドキュメント選択画面などを表示させる(図4のS101)。
【0039】
次に、ユーザが操作部105を操作して、ドキュメント選択画面で表示対象となるドキュメントを選択すると、CPU104は、アプリケーションを用いてドキュメントを開き、表示制御部103は、表示部102に読み始めの最初のページを表示する(S102)。
【0040】
次に、CPU104(表示時間設定部106)は、メモリ107から「初期表示OFFまでの時間」を読み出す(S103)。
【0041】
次に、CPU104(表示時間設定部106)は、現在、表示部102に表示されているページが読み始めのページであるかを判断し(S104)、読み始めのページでなければ、表示時間が計算可能であるか(例えば、そのページがN(Nは4以上の整数)ページであるか)を判断する(S105)。ここで、表示時間が計算可能であるかを判断するのは、表示時間の計算には、そのページに含まれる各々のオブジェクトの閲覧に必要な時間が特定されている必要があり、オブジェクトの閲覧時間の特定には、それ以前のページの表示時間を利用するからである。
【0042】
読み始めのページの場合(S104のYes)、若しくは表示時間が計算できない場合(S105のNo)は、表示時間設定部106は、メモリ107から読み出した「初期表示OFFまでの時間」若しくはその時間に基づいて演算した時間をそのページの表示時間の初期値として設定する(S107)。
【0043】
一方、読み始めのページではなく(S104のNo)、表示時間が計算可能な場合(S105のYes)は、表示時間設定部106は、ドキュメントのコンテンツ情報、各ページのオブジェクトの種類や数量、ページ送り時間などに基づいて表示時間を演算し、そのページの表示時間として設定する(S106)。この表示時間の演算方法について、具体的に説明する。
【0044】
まず、公知の手法を用いて各ページに含まれるオブジェクトの種類及び数量を判別する。例えば、文字/写真の判別については、ドキュメント内の「文字キャラクタ」の数、「イメージ画像」の数をカウントすることにより判断できる。また、テキスト/図表の判別については、特開2000−99516号公報や特許第3887971号などに開示されている手法を用いて判別できる。また、ドキュメント内がすべて「イメージ画像」として処理されている場合、特開2000−20726号公報や特開2002−158878号公報などの開示されている手法により文字/画像判別を行い、それぞれをカウントすることで、文字と画像のカウントが可能となる。
【0045】
上記手法によってコンテンツを分析した結果、ドキュメント1のページ1〜5の文字数、写真数、グラフ/表数が下表に示す値、すなわち、図6に示すようなページ構成であったとする。
【0046】
【表1】

【0047】
ここで、各ページのオブジェクトを文字と写真とグラフ/表の3種類に分類する場合、各種類のオブジェクトを閲覧する時間を算出するためには、最低3ページ分のデータを用いることが好ましいことから、ページ1〜3に関しては、初期値に基づいて算出し、4ページ以降に関しては、ページ1〜3の解析結果に基づいて算出する。
【0048】
具体的には、ページ1〜3の表示時間は、前回同じドキュメントを読んだ時の値に基づいて算出する。例えば、前回の値として、1文字を読むのにかかる時間が0.15秒、1つの写真を見るのにかかる時間が3.5秒、1つのグラフ又は表を見るのにかかる時間が5.5秒であったとし、閲覧時間に一定(例えば、20%)のマージンを持たせるとすると、ページ1の表示時間は、
(0.15×95+3.5×1+5.5×1)×1.2=27.9秒
となる。
【0049】
同様に、ページ2は31.8秒、ページ3は29.7秒となる。なお、始めて閲覧するドキュメントの場合は、各種類のオブジェクトを読むのにかかる時間として、予め設定したデフォルト値を代入すればよい。
【0050】
一方、ページ4以降に関しては、ページ1〜3の結果に基づいて算出する。例えば、文字の数をa、写真の数をb、グラフ/表の数をcとし、1文字を読むのにかかる時間をX、1写真を見るのにかかる時間をY、1グラフ/表を見るのにかかる時間をZとすると、ページ送り時間は、
(aX+bY+cZ)
となる。
【0051】
上記表の場合、ページ送り時間は、ページ1が18.5秒、ページ2が23.0秒、ページ3が19.5秒であるから、a、b、cに表1の文字数、写真数、グラフ/表数を代入して3元1次連立方程式を解くと、X=0.1秒、Y=3秒、Z=6秒となる。
【0052】
従って、ページ4を閲覧するのにかかる時間は、一定(例えば、20%)のマージンを持たせるとすると、
(0.1×90+3×2+6×1)×1.2=25.2秒
となる。
【0053】
同様に、ページ5を、ページ1〜3の結果に基づいて計算すると、
(0.1×115+3×1+6×0)×1.2=17.4秒
となる。
【0054】
なお、ここでは、ページ4以降のページの表示時間をページ1〜3の結果に基づいて算出したが、当該ページの3つ前までのページ(すなわち、ページ5はページ2〜4、ページ6はページ3〜5など)の結果に基づいて算出してもよいし、ページ1〜3の結果に基づいて算出した値と、3つ前までのページの結果に基づいて算出した値との平均値を用いてもよい。また、マージンの値は、履歴として記憶した実際の閲覧時間と上記手法で計算した値とのずれを考慮して決定することができる。
【0055】
また、上記例では、オブジェクトを文字と写真とグラフ/表の3種類に分類したが、文字と写真とグラフと表の4種類に分類したり、文字と写真/グラフ/表の2種類に分類したりするなど、適宜変更可能である。また、文字や表はドット数が少なく、写真やグラフはドット数が多いことから、ページ内のドット数に基づいて表示時間を演算することも可能である。
【0056】
また、上記例では、オブジェクトの種類及び数量に基づいて表示時間を算出したが、ドキュメントの種類によって読み進む速度が変化する。例えば、技術的な文書や会議資料、報告書などの場合は内容を正確に理解するため、ゆっくりと読み進める必要があるが、参考資料などの場合は多少読み飛ばしても問題ないため、速く読み進めることが多い。そこで、ドキュメントのデータのファイル名やヘッダ情報、1ページ目のタイトル文字などからドキュメントの種類を判別し、その種類に応じて表示時間を設定したり、ページ毎の表示時間を補正するようにしてもよい。
【0057】
図4のフローチャート図に戻って、CPU104(表示制御部103)は、ページ送り時間のカウントを初期化した後、カウントをスタートし(S108)、当該ページの表示処理を行う(S109)。
【0058】
次に、CPU104は、ページがめくられたかの確認を行い(S110)、めくられた場合はページめくり時間のカウント値を読み込んでメモリ107に記憶し(S111)、S105に戻って同様の処理を繰り返す。一方、ページがめくられていない場合は、CPU104は、電源がOFFされたかを判断し(S112)、電源がOFFされた場合は処理を終了する。
【0059】
一方、電源がOFFされていない場合は、CPU104(表示制御部103)は、ページめくり時間のカウント値に基づいて表示時間を経過したかどうかの確認を行い(S113)、表示時間を超えていなければ表示を継続し、S110に戻って同様の処理を繰り返す。
【0060】
一方、表示時間を経過した場合、表示制御部103は、表示部102に表示を消去する旨の警告表示を行う(図5のステップS114)。この警告表示について、具体的に説明する。
【0061】
本実施例の場合、ドキュメントの種類、オブジェクトの種類、数量、ページ送り時間などに基づいてページ毎に適切な表示時間が設定されるため、通常は表示時間が経過したら表示を消去しても問題はないが、例えば、ドキュメントの内容が複雑で理解するのに時間がかかった場合やドキュメント閲覧中に他の作業を行う必要が生じた場合などには、表示が一方的に消去されると不都合が生じる。
【0062】
そこで、本実施例では、表示時間を経過した場合に、例えば、図7のような表示消去警告画面をページの画面に重ねて表示する。この表示消去警告画面の構成は特に限定されないが、表示が消去されることを明示するメッセージとそのメッセージに対してユーザが指示するためのボタン(例えば、表示の継続を指示する「キャンセル」ボタンなど)が配置された構成とすることができる。
【0063】
また、この表示消去警告画面が表示されるタイミングは、通常、ページを最後まで読み切れなかった場合と考えられることから、表示消去警告画面はページの前半部分に表示することが好ましい。このように表示消去警告画面をページの前半部分に表示することにより、表示消去警告画面に邪魔されることなく、ページの後半部分を読み進めることができる。
【0064】
図5のフローチャート図に戻って、CPU104(表示制御部103)は、表示消去警告画面の表示時に、「キャンセル」又は「長時間キャンセル」ボタンが押下されたかを判断し(S115)、「キャンセル」ボタン又は「長時間キャンセル」ボタンが押下された場合は、表示時間設定部106は、新たな表示時間を設定し(S119、S120)、図4のステップS108に戻ってページ送り時間のカウント値を初期化し、カウントを開始する。
【0065】
なお、新たな表示時間は状況に応じて適宜設定可能であるが、「キャンセル」ボタンが押下された場合は、設定した表示時間よりも短い時間を新たな表示時間として設定(S119)し、「長時間キャンセル」ボタンが押下された場合は、設定した表示時間を新たな表示時間として設定(S120)することができる。このように「キャンセル」ボタンと「長時間キャンセル」ボタンの2種類のボタンを設けているのは、表示を継続する状況が様々であることを考慮しているからである。
【0066】
一方、「キャンセル」及び「長時間キャンセル」ボタンが所定時間内に押下されなかった場合は、CPU104は、電源OFF時の画面表示指示があるかを判断し(S116)、指示がない場合は、表示消去処理(全画面に黒ドットを印字する処理)を行い(S117)、指示がある場合は、電源OFF時の表示処理(残り電源時間や使用者ID、返却部署を表示する処理)を行い(S118)、その後、表示制御部103を停止する(S121)。
【0067】
その後、CPU104は、再び電源がONされたかを監視し(S122)、再電源ONされた場合は、表示制御部103を起動し(S123)、表示制御部103は、メモリ107から前回表示した内容を取得して表示部102に再表示させ(S124)、ステップS103に戻って同様の処理を繰り返す。
【0068】
このように、本実施例によれば、ページ毎に表示時間を設定することができるため、第三者に対する情報漏洩を効果的に防止することができる。また、ページを消去する前に警告情報が表示され、表示継続が指示されない場合にページの表示が消去されるため、ページの閲覧中に意図せずに表示が消去されることはない。更に、警告情報はページの前半部分に表示されるため、ページの情報の閲覧が邪魔されることもない。
【0069】
なお、上記実施例では、文字や図表、写真などが混在するドキュメントを表示する場合について記載したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、文字のみの文章を表示する場合や、写真のみのアルバムを表示する場合などに対しても同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、ドキュメントを表示可能な任意の情報表示装置及び当該装置で動作する表示制御プログラム並びに当該装置における表示制御方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
101 情報表示装置
102 表示部(電子ペーパー)
103 表示制御部
104 CPU
105 操作部(タッチパネル)
106 表示時間設定部
107 メモリ
108 通信部
109 電池
110 判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示デバイスを備えた情報表示装置において、
複数のページで構成されるドキュメントのページ毎の表示時間を設定する表示時間設定部と、
各ページを前記表示デバイスに表示させると共に、表示されているページに対して設定された表示時間が経過したら当該ページの表示を消去する表示制御部と、を少なくとも備える、ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記表示時間設定部は、各ページに含まれるオブジェクトの種類及び数量に基づいて前記表示時間を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記表示時間設定部は、最初のページから所定ページまでは、以前に表示したドキュメントの表示時間から求められる各オブジェクトの閲覧時間に基づいて前記表示時間を算出し、前記所定ページよりも後のページは、所定ページ以前のページの表示時間から求められる各オブジェクトの閲覧時間に基づいて前記表示時間を算出する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、ページの表示を消去する前に、表示を消去する旨の警告情報を前記表示デバイスに表示させ、前記警告情報に対して表示を継続する旨の指示がない場合に、前記ページの表示を消去する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、警告情報に対する表示を継続する旨の指示を複数種類受け付けることが可能であり、当該各々の種類の指示は継続して表示する時間が異なる、ことを特徴とする請求項4記載の情報表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記ページの前半部分に前記警告情報を表示する、ことを特徴とする請求項4に記載の情報表示装置。
【請求項7】
表示デバイスを備えた情報表示装置で動作する表示制御プログラムであって、
前記情報表示装置を、
複数のページで構成されるドキュメントのページ毎の表示時間を設定する表示時間設定部、
各ページを前記表示デバイスに表示させると共に、表示されているページに対して設定された表示時間が経過したら当該ページの表示を消去する表示制御部、として機能させる、ことを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項8】
前記表示時間設定部は、各ページに含まれるオブジェクトの種類及び数量に基づいて前記表示時間を算出する、ことを特徴とする請求項7に記載の表示制御プログラム。
【請求項9】
前記表示時間設定部は、最初のページから所定ページまでは、以前に表示したドキュメントの表示時間から求められる各オブジェクトの閲覧時間に基づいて前記表示時間を算出し、前記所定ページよりも後のページは、所定ページ以前のページの表示時間から求められる各オブジェクトの閲覧時間に基づいて前記表示時間を算出する、ことを特徴とする請求項8に記載の表示制御プログラム。
【請求項10】
前記表示制御部は、ページの表示を消去する前に、表示を消去する旨の警告情報を前記表示デバイスに表示させ、前記警告情報に対して表示を継続する旨の指示がない場合に、前記ページの表示を消去する、ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一に記載の表示制御プログラム。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記ページの前半部分に前記警告情報を表示する、ことを特徴とする請求項10に記載の表示制御プログラム。
【請求項12】
表示デバイスを備えた情報表示装置における情報表示方法であって、
複数のページで構成されるドキュメントのページ毎の表示時間を設定するステップと、
各ページを前記表示デバイスに表示させるステップと、
表示されているページに対して設定された表示時間が経過したら当該ページの表示を消去するステップと、を少なくとも実行する、ことを特徴とする情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−100220(P2011−100220A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253374(P2009−253374)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】