説明

情報表示装置

【課題】車両の運転者が各種情報を視覚的に容易に認識することができ、設置工事や電源工事等にかかる手間とコストを大幅に削減することができ、車両の運転者に何らコスト的に負担を強いることがない情報表示装置を提供する。
【解決手段】車道に設置されて車両の運転者の注意を喚起するために少なくとも発光可能な表示手段20と、該表示手段20を制御する制御手段30と、を有して成り、制御手段30は、外部から発信された前記各種情報に関する信号を受信する情報受信部31と、この情報受信部31により受信した信号に基づき、表示手段20を通常時の態様とは視覚的に区別可能な異なる態様により発光させる表示制御部33と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車道を走行中の車両の運転者に対して走行に影響を及ぼす各種情報を報知するための情報表示装置に関する。特に、例えば視線誘導灯等の交通安全用の各種の表示手段を利用して、緊急地震速報等を車両の運転者に対して迅速かつ容易に報知することができる情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車道上には交通安全用の各種の表示手段が設置されているが、例えば、視線誘導灯であれば道路線形を明示すること等と、各種の表示手段は、それぞれ指標する内容の表示のみを目的として構成されたものであり、何れも他の機能は持ち合わせていなかった。 また、車両の走行中に、例えば地震等の不測の自然現象が生じると、これを原因として運転者に被害が及ぶおそれがある。そのため、運転者に対して、一刻も早く緊急事態の発生を知らせる必要があった。
【0003】
従って、気象庁は、緊急地震速報に代表されるように、自然現象に関する種々の注意報ないし警報を発している。そして、前述した交通安全用の各種の表示手段とは別に、緊急地震速報等を含めて外部から交通情報を受信して、車両内に設けられたディスプレイに各種情報を表示するように構成したシステムも既に開発されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0004】
【特許文献1】実開平1−102999号公報
【特許文献2】特開平7−239997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような従来のシステムでは、車両内に設けるディスプレイを特別に用意しなければ交通情報を受信することができず、利用者に負担を強いるという問題があった。また、車両を運転している状況下では、特に緊急時等にはディスプレイの操作が煩わしく、さらに、小さい画面内における表示内容を的確に認識し、その上で適切な判断を下すことも困難であるという問題があった。
【0006】
また、緊急地震速報等の注意報ないし警報を、例えばFM多重放送で知る手段があったとしても、車両の運転者が必ずしもカーラジオを聞くとは限らず、結局、交通情報の報知が不十分になりがちであった。特に、近場を震源地とする緊急地震速報の発令に気が付かなかった場合には、運転者は減速等の適切な措置を取ることもできず、追突や衝突の危険が生じるおそれがあった。
【0007】
さらに、前述した交通安全用の各種の表示手段と、従来のシステムとは、全く別々に設置されるものであり、それぞれの設置工事や電源工事等に手間がかかると共に、コストが嵩むという問題があった。特に、従来のシステムにおいては、特別なディスプレイを用いており、装置全体が大掛かりとなって、余計にコストが嵩むことになる。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、車両の運転者は自ら特別な操作を一切行う必要なく、各種情報を視覚的に容易に認識することができ、特に緊急情報に関しても迅速に対応することが可能となり、また、各種情報の表示を他の各種表示手段と兼用することにより、それぞれの設置工事や電源工事等にかかる手間とコストを大幅に削減することができ、しかも、車両の運転者に何らコスト的に負担を強いることがない情報表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]車道を走行中の車両の運転者に対して走行に影響を及ぼす各種情報を報知するための情報表示装置(10,10A)において、
車道に設置されて車両の運転者の注意を喚起するために少なくとも発光可能な表示手段(20,20A,20B)と、該表示手段(20,20A,20B)を制御する制御手段(30,30A)と、を有して成り、
前記制御手段(30,30A)は、
外部から発信された前記各種情報に関する信号を受信する情報受信部(31)と、
前記情報受信部(31)により受信した信号に基づき、前記表示手段(20,20A,20B)を通常時の態様とは視覚的に区別可能な異なる態様により発光させる表示制御部(33)と、を備えたことを特徴とする情報表示装置(10,10A)。
【0010】
[2]前記制御手段(30A)は、前記情報受信部(31)により受信した信号に基づき、該信号に関する情報の種類を判別する情報判別部(32)を備え、
前記表示制御部(33)は、前記情報判別部(32)により判別された情報の種類に応じて、前記表示手段(20,20A,20B)を通常時の態様とは視覚的に区別可能であり、かつ各種情報ごとにも互いに異なる態様により発光させることを特徴とする[1]に記載の情報表示装置(10A)。
【0011】
[3]前記表示手段(20A)は、複数色に発光可能に構成され、
前記表示制御部(33)は、前記情報判別部(32)により判別された情報の種類に応じて、前記表示手段(20A)を異なる色で発光させることを特徴とする[2]に記載の情報表示装置(10A)。
【0012】
[4]前記表示手段(20,20A,20B)は、車道の側方に沿って所定間隔おきに設置されて、道路線形を明示して車両の運転者の視線を誘導するための視線誘導灯を兼用するものであることを特徴とする[1],[2]または[3]に記載の情報表示装置(10,10A)。
【0013】
[5]前記表示手段(20B)は、点灯により発光可能な光源の他、文字を表示可能な表示パネル(40)を備え、
前記表示制御部(33)は、前記情報受信部(31)により受信した信号に基づき、該信号に関連する文字情報を前記表示パネル(40)に表示することを特徴とする[1],[2],[3]または[4]に記載の情報表示装置(10,10A)。
【0014】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の情報表示装置(10,10A)によれば、表示手段(20,20A,20B)は、車両内に個別に設置することが必要なものではなく、車道に設置されるものであり、車両の運転者の注意を喚起するために少なくとも発光する。
かかる表示手段(20,20A,20B)は、交通安全用の各種の表示手段(20,20A,20B)であれば大抵該当するものであり、例えば前記[4]に記載したように、一般の視線誘導灯と兼用することができる。
【0015】
制御手段(30,30A)の情報受信部(31)は、外部から発信された各種情報に関する信号を受信する。ここで各種情報とは、車道を走行中の車両の運転者に対して走行に影響を及ぼすものであり、具体的には例えば、高速道路や幹線道路上に設置されているビーコンから発信される交通情報、気象庁から発信される緊急地震速報等が該当する。
【0016】
制御手段(30,30A)の表示制御部(33)は、情報受信部(31)により受信した信号に基づき、表示手段(20,20A,20B)を通常時の態様とは視覚的に区別可能な異なる態様により発光させる。ここで異なる態様の発光とは、具体的には例えば、前記表示手段(20,20A,20B)が複数色に発光可能な場合には、それぞれ発光色を変えたり、あるいは点灯ないし点滅させる間隔の長短を変えること等が考えられる。
これにより、車両の運転者は自ら特別な操作を一切行う必要なく、各種情報を視覚的に容易に認識することができ、特に緊急情報に関しても迅速に対応することが可能となる。
【0017】
前記[2]に記載の情報表示装置(10A)によれば、制御手段(30A)は、前記情報受信部(31)により受信した信号に基づき、該信号に関する情報の種類を判別する情報判別部(32)を備えており、前記表示制御部(33)は、情報判別部(32)により判別された情報の種類に応じて、表示手段(20,20A,20B)を通常時の態様とは視覚的に区別可能であり、かつ各種情報ごとにも互いに異なる態様により発光させる。
これにより、車両の運転者は各種情報の種類の別まで容易に認識することができる。
【0018】
ここで例えば、前記[3]に記載したように、前記表示手段(20A)を、複数色に発光可能に構成して、前記表示制御部(33)は、情報判別部(32)により判別された情報の種類に応じて、表示手段(20A)を異なる色で発光させるようにすれば、いっそう視覚的に容易に各種情報の種類の別を認識することができる。
【0019】
さらに、前記[5]に記載の情報表示装置(10,10A)によれば、前記表示手段(20B)は、点灯により発光可能な光源の他、文字を表示可能な表示パネル(40)を備えており、前記表示制御部(33)は、前記情報受信部(31)により受信した信号に基づき、該信号に関連する文字情報を前記表示パネル(40)に表示する。
これにより、各種情報の種類を文字情報として併せて記すことで、その内容を確実に運転者に対して伝達することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る情報表示装置によれば、車両の運転者は自ら特別な操作を一切行う必要がなく、各種情報を視覚的に容易に認識することができ、特に緊急情報に関しても迅速に対応することが可能となり、しかも、車両の運転者に何らコスト的に負担を強いることがない。
【0021】
また、各種情報の表示を、例えば視線誘導灯等の各種表示手段と兼用することにより、それぞれの設置工事や電源工事等にかかる手間とコストを大幅に削減することができると共に、地震発生等の緊急時用の情報表示以外にも、通常の交通情報の表示として広く活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1から図4は、本発明の第1実施の形態を示している。
図1は、本実施の形態に係る情報表示装置10の概要を示すシステム構成図であり、図2は、同じく情報表示装置10の詳細を示すブロック図である。
【0023】
本実施の形態に係る情報表示装置10は、車道を走行中の車両の運転者に対して走行に影響を及ぼす各種情報を報知するためのシステムであり、車道に設置されて車両の運転者の注意を喚起するために少なくとも発光可能な表示手段20と、該表示手段20を制御する制御機(制御手段)30と、を有して成る。ここで車道とは、高速自動車国道や自動車専用道路のみならず、一般道路も含まれる概念である。
【0024】
表示手段20は、道路の附属物として発光可能なものであれば何でも良く、例えば、交通信号機、あるいは道路標識や案内表示板のうち表示面を発光可能に構成したもの等が該当する。本実施の形態における表示手段20は、図1に示すように、車道の側方に沿って所定間隔おきに設置されて、道路線形を明示して車両の運転者の視線を誘導するための視線誘導灯を兼用している。
【0025】
図3、図4に示すように、表示手段20である視線誘導灯は、光源を収納する灯体22と、その前面に開閉可能に装着した透明な前面カバー23とから成り、光源として5個の発光ユニット21,21…を同一平面上に並べて構成している。各発光ユニット21は、2色(黄色、赤色)のLEDランプを基板上に混在させて成り、黄色、赤色、または両方の混合色により、3通りの色で発光させることができる。本実施の形態では、次述する制御機30の制御により、表示手段20(の発光ユニット21)は、通常の視線誘導状態では黄色に点灯する一方、緊急情報等の報知状態では赤色に点滅するように制御される。
【0026】
表示手段20の灯体22には、設置用の取付ブラケット24が一体に設けられている。このような表示手段20は、車道の側方に沿って所定間隔おきに設置されている。表示手段20の設置の詳細は図示省略したが、図1に示すように、車道の側方に沿って所定間隔おきに立設した支柱25ごとに設置したり、あるいは制御盤のハウジングに取り付けたり、ガードレールや防音壁等に所定間隔おきに設置してもかまわない。何れにせよ表示手段20は、車両の運転者が見やすい高さ位置に設置される。
【0027】
また、表示手段20を発光させるための電力は、最寄りの商用電源から供給を受けるように構成すれば良いが、他に例えば、太陽電池を備えるように構成して、太陽光により発電を行って蓄電池に蓄えるように設定し、かかる電力を発光に利用する独立型電源とすることもできる。次述する制御機30の電源についても同様に、商用電源から供給を受けるように構成したり、あるいは太陽電池を備える独立型電源として構成しても良い。
【0028】
図1に示すように制御機30は、外部から情報を受信して前記表示手段20の発光等の作動全般を制御するものであり、具体的には、各種制御の中枢的機能を果たすCPU(中央処理装置)と、CPUの実行するプログラムや各種の固定的データを記憶するROMと、プログラムを実行する上で一時的に必要になるデータを記憶するためのRAM等を主要部とする回路により構成されたマイクロコンピュータから成る。
【0029】
前記表示手段20は、所定間隔おきに複数設置されるが、制御機30は、車道を所定の区間毎に分け、当該区間内に収まる所定数の表示手段20に信号線を介して接続される。すなわち、情報表示装置10は、1つの制御機30に対して車道の所定区間内に設置された所定数の表示手段20を含むものが1ユニットとなり、各ユニット毎に制御をそれぞれ独立して行うように構成されている。1ユニットである所定数の表示手段20と1つの制御機30とは、それぞれ信号線を介して接続されている。もちろん、表示手段20と制御機30とは、無線LANを介して接続しても良い。
【0030】
図2に示すように制御機30は、外部から発信された各種情報に関する信号を受信する情報受信部31と、受信した信号に基づき、前記表示手段20を通常時の態様とは視覚的に区別可能な異なる態様により発光させる表示制御部33と、を機能として備えている。かかる制御機30は、外部から発信された各種情報の入手先として、無線によるローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、あるいは衛星通信ネットワーク等、運営主体の異なる2以上のネットワークを利用できるように構成すると良い。
【0031】
情報受信部31は、複数のネットワークのうち、具体的には例えば、国土交通省や日本道路交通情報センター等が提供する道路交通情報を取得する無線LAN35と、気象庁等が提供する緊急地震速報等の緊急情報を取得する無線LAN36の少なくとも2つのネットワークから、それぞれ交通情報に関する信号や緊急情報に関する信号を受信する機能を有している。
【0032】
本実施の形態で取得する交通情報は、渋滞や凍結等の路面の状況に関する路面情報と、通行止めや事故等に関する規制情報を例として、また、緊急情報は、緊急地震速報を例として説明する。情報受信部31は、前記無線LAN35,36により取得される情報を、最寄りの車道上に設置されているビーコンから発信された信号として受信するように設定されている。なお、緊急地震速報は、地震発生時に震源地付近の観測データを使って震源や地震の規模(マグニチュード)、各地の震度等を即座に推定して気象庁から発信される情報である。
【0033】
表示制御部33は、前記情報受信部31により受信した信号に基づき、前記表示手段20を通常時の態様とは視覚的に区別可能な異なる態様により発光させる制御を実行するものである。ここで表示手段20の異なる態様の発光とは、具体的には例えば、通常の視線誘導状態における黄色の点灯と、前記各情報の受信に基づく報知状態における赤色の点滅とが該当する。なお、表示手段20を点滅させる間隔は、その長短を適宜設定することができる。
【0034】
次に、本実施の形態に係る情報表示装置10の作用を説明する。
本情報表示装置10によれば、表示手段20は、車両内に個別に設置が必要なものではなく、車道に設置されるものであり、車両の運転者は特別な装置を購入する必要はなく、何らコスト的な負担を強いられない。特に本実施の形態では、表示手段20を交通安全用の表示装置として一般に必要である視線誘導灯と兼用したことにより、それぞれの設置工事や電源工事等にかかる手間とコストも大幅に削減することができる。
【0035】
図2において、制御機30の情報受信部31は、無線LAN35,36により取得される各種情報を、最寄りの車道上に設置されているビーコン等から発信された信号として受信する。かかる各種情報を受信していない通常時には、制御機30の表示制御部33は、表示手段20を通常時の態様により発光させる。すなわち、表示手段20の各発光ユニット21(図3参照。)は、通常の視線誘導状態として黄色に継続して点灯している。これにより、一般の視線誘導灯と同様に、道路線形を明示して車両の運転者の視線を誘導することができる。
【0036】
一方、情報受信部31が各種情報に関する信号を受信すると、表示制御部33は、前記情報受信部31が受信した信号に基づき、表示手段20を通常時の態様とは視覚的に区別可能な異なる態様により発光させる。すなわち、表示手段20の各発光ユニット21(図3参照。)は、各種情報の報知状態として赤色に点滅する。本実施の形態では、情報受信部31が受信する各種情報を特に区別することなく、予め定められた各種情報の受信に基づき、表示手段20は一律に赤色で点滅する。
【0037】
これにより、車両の運転者は自ら特別な操作を一切行う必要なく、各種情報を視覚的に容易に認識することができ、特に緊急情報に関しては迅速に対応することが可能となる。さらに本実施の形態では、各種情報を区別することはなく、一律に赤色で点滅表示するため、情報の種類に運転者が無用に惑わされたり混乱することがない。ただし、緊急度の高い緊急地震速報を受信した場合だけ、表示手段20における赤色の点滅速度を高速に設定する等、適宜表示態様を変えても良い。
【0038】
表示手段20の具体的な点滅の態様としても、単に各発光ユニット21を同時に点滅させるだけではなく、他に例えば、各発光ユニット21を、その中央のものを除いて順次一方向に点滅させることにより、光が回転するような表示態様を演出することもできる。緊急度合の高い緊急地震速報を受信した場合等に、かかる表示態様で発光させるように設定することが考えられる。なお、各種情報の発信が解除されたり、各種情報の発信から一定時間が経過した後には、前記表示手段20を、通常の表示態様、すなわち黄色点灯状態に戻すように制御する。
【0039】
また、本実施の形態では、各種情報の受信に関して、2つのネットワークを利用できるように構成したことにより、通常時は路面情報等の交通情報の提供を受けることができると共に、非常時には行政機関等からの緊急情報を受けることも可能となる。さらに、情報表示装置10を、1つの制御機30に対して車道の所定区間内に設置された所定数の表示手段20を含むものを1ユニットとして構成し、各ユニット毎に独立に制御することで、中央集中型の制御と異なり、各ユニット毎の制御に関するタイムラグがなくなり、緊急情報に対してもリアルタイムで迅速に対応することが可能となる。
【0040】
図5は、本発明の第2実施の形態を示している。
本実施の形態に係る情報表示装置10Aでは、制御機(制御手段)30Aが、前記情報受信部31と前記表示制御部33に加えて、情報判別部32を有している。かかる情報判別部32は、前記情報受信部31により受信した信号に基づき、該信号に関する情報の種類を判別する機能である。
【0041】
そして、前記表示制御部33は、前記情報判別部32により判別された情報の種類に応じて、前記表示手段20Aを通常時の態様とは視覚的に区別可能であり、かつ各種情報ごとにも互いに異なる態様により発光させるように設定されている。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0042】
表示手段20Aは、その基本的な構成が前記表示手段20と共通するが、表示手段20Aの発光ユニットは、前記発光ユニット21と異なり、2色だけではなく4色に発光可能なLEDにより構成されている。詳しく言えば、表示手段20Aの発光ユニットは、赤色、黄色、青色のLEDランプを基板上に混在させて成り、これら4色の他、それぞれの色を組み合わせた色で発光させることができる。
【0043】
本実施の形態では、制御機30の制御により、例えば表示手段20Aは、通常の視線誘導状態では緑色に点灯する一方、緊急地震速報信号の受信に基づく報知状態では赤色に点滅し、事故等を知らせる規制情報信号の受信に基づく報知状態では黄色に点滅し、路面凍結等を知らせる路面情報信号の受信に基づく報知状態では青色に点滅するように制御される。なお、無線LAN35を経由して受信する交通情報は、それぞれ規制情報信号や路面情報信号ごとにIDが付与されており、情報判別部32は、このIDによって情報発信源が同一であっても、複数の情報の種類をそれぞれ判別することができる。
【0044】
もちろん、表示手段20Aの発光色は4色だけに限られるものではなく、3色あるいは5色以上の複数色に発光可能な多色LEDにより構成されている。詳しく言えば、発光ユニットを光の3原色に相当する赤色、緑色、青色のLEDランプを基板上に混在させて構成すれば、例えば、これら3原色の他、赤色+緑色=橙色、赤色+青色=紫色、緑色+青色=水色、赤色+緑色+青色=白色の7通りの色で発光させることができる。
【0045】
また、発光色の違いに加え、各種情報の緊急度に応じて、点滅速度や明るさを異ならせても良い。もちろん、各種情報に対応した表示手段20Aの発光色、点滅周期、あるいは明るさ等の表示態様は、適宜別の組み合わせに自由に設定することが可能である。なお、各種情報ごとの優先順位を定めておき、他の情報に関する表示中であっても、例えば最優先に定めた緊急地震速報が受信されると、表示制御部33は、他の情報に関する表示を中断して、緊急地震速報に関する表示態様で表示手段20Aにおける表示を優先的に割り込み処理するように設定することもできる。
【0046】
このように第2実施の形態に係る情報表示装置10Aによれば、表示制御部33は、情報判別部32により判別された情報の種類に応じて、表示手段20Aを通常時の態様とは視覚的に区別可能であり、かつ各種情報ごとにも互いに異なる態様により発光させるから、車両の運転者は各種情報の種類の別まで容易に認識することができる。例えば、緊急地震速報に関する報知であると車両の運転者が認識した場合、車両を通常動作により速やかに路肩に停止させる等の待避行動をとることができる。
【0047】
図6は、本発明の第3実施の形態を示している。
本実施の形態では、表示手段20Bが、点灯により発光可能な光源の他、文字を表示可能な表示パネル40を備えており、前記表示制御部33は、前記情報受信部31により受信した信号に基づき、該信号に関連する文字情報を前記表示パネル40に表示することができる。
【0048】
ここで表示パネル40としては、文字情報を表示できるものであれば何でも良いが、具体的には例えば、液晶ディスプレイにより構成すると良い。その他、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)、LED(Light Emitting Diode)表示装置、EL(Electro Luminescence)等の各種表示装置によって構成することができる。
【0049】
表示パネル40における表示内容としては、例えば、前記第1実施の形態に適用する場合には、各種情報の受信に基づく表示手段20の点滅に併せて、「注意」等の文字を表示し、また、前記第2実施の形態に適用する場合には、各種情報の受信に基づく表示手段20Aの点滅に併せて、それぞれの情報を記す文字を表示すると良い。すなわち、緊急地震速報を受信した場合は「地震」等の文字を、事故を知らせる規制情報を受信した場合は「事故」等の文字を、また、路面凍結を知らせる路面情報を受信した場合は「路面凍結」等の文字を、それぞれ表示するように制御する。
【0050】
このように各種情報の種類を文字情報として併せて記すことで、その内容を確実に運転者に対して伝達することができる。さらにまた、単純な文字情報のみならず、例えば、緊急地震速報の場合は、「車を路肩に寄せて停止」というメッセージ等を表示したり、あるいは何秒後にどれくらいの揺れの地震が到達することを、デジタル数字としてカウントダウンするように表示することもできる。なお、文字情報の表示態様は、単なる静止画像に限らず、文字をスクロールさせる等の態様で表示しても良い。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、前記第1から第3実施の形態では、表示手段20,20A,20Bを視線誘導灯として構成したが、交通信号機、あるいは道路標識や案内表示板のうち表示面を発光可能に構成したもの等で構成しても良い。また、前記第3実施の形態で示した表示パネル40のみで構成しても良い。このように表示手段の構成ないし形状は、図示したものに限定されるわけではない。
【0052】
さらに、前記表示手段とは別に、スピーカー等の放音装置を備えるように構成して、表示に加えて音や音声により各種情報を伝達するようにしても良い。これにより、車両の運転者だけでなく、車道の周囲の歩行者にも地震の発生等の各種情報を報知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る情報表示装置の概要を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係る情報表示装置の詳細を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係る情報表示装置の表示手段である視線誘導灯を示す正面図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係る情報表示装置の表示手段である視線誘導灯を示す側面図である。
【図5】本発明の第2実施の形態に係る情報表示装置の概要を示すシステム構成図である。
【図6】本発明の第3実施の形態に係る情報表示装置の表示手段である視線誘導灯および表示パネルを示す正面図である。
【符号の説明】
【0054】
10…情報表示装置
10A…情報表示装置
20…表示手段
20A…表示手段
20B…表示手段
21…発光ユニット
22…灯体
23…前面カバー
30…制御機
31…情報受信部
32…情報判別部
33…表示制御部
35…無線LAN
36…無線LAN
40…表示パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道を走行中の車両の運転者に対して走行に影響を及ぼす各種情報を報知するための情報表示装置において、
車道に設置されて車両の運転者の注意を喚起するために少なくとも発光可能な表示手段と、該表示手段を制御する制御手段と、を有して成り、
前記制御手段は、
外部から発信された前記各種情報に関する信号を受信する情報受信部と、
前記情報受信部により受信した信号に基づき、前記表示手段を通常時の態様とは視覚的に区別可能な異なる態様により発光させる表示制御部と、を備えたことを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記情報受信部により受信した信号に基づき、該信号に関する情報の種類を判別する情報判別部を備え、
前記表示制御部は、前記情報判別部により判別された情報の種類に応じて、前記表示手段を通常時の態様とは視覚的に区別可能であり、かつ各種情報ごとにも互いに異なる態様により発光させることを特徴とする請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、複数色に発光可能に構成され、
前記表示制御部は、前記情報判別部により判別された情報の種類に応じて、前記表示手段を異なる色で発光させることを特徴とする請求項2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、車道の側方に沿って所定間隔おきに設置されて、道路線形を明示して車両の運転者の視線を誘導するための視線誘導灯を兼用するものであることを特徴とする請求項1,2または3に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記表示手段は、点灯により発光可能な光源の他、文字を表示可能な表示パネルを備え、
前記表示制御部は、前記情報受信部により受信した信号に基づき、該信号に関連する文字情報を前記表示パネルに表示することを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−9301(P2010−9301A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167556(P2008−167556)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】