説明

情報記憶システム及び制御方法

【課題】個々のユーザが自身のデータを安全かつ簡便に利用することができる情報記憶システム及び制御方法の提供。
【解決手段】1又は複数の情報記憶装置と、前記1又は複数の情報記憶装置を挿抜可能に保持する機構と制御部とを備える保持装置と、を含む情報記憶システムにおいて、前記情報記憶装置に書き込むデータには、当該データを利用するユーザを特定する識別情報が付加されており、前記制御部は、前記保持装置に保持している情報記憶装置に新たなデータを書き込む際に、前記新たなデータに付加された識別情報と同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置があるかを判断し、同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置がある場合には、当該情報記憶装置に前記新たなデータを追加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶システム及び制御方法に関し、特に、情報記憶装置と当該情報記憶装置を保持する保持装置とを含む情報記憶システム及び保持装置を用いて情報の記憶、表示を制御する制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパー等の表示部を備えた情報記憶装置が普及しており、様々な形態で利用されている。例えば、会議等の資料を紙媒体として出力する代わりに、資料の電子データを情報記憶装置に記憶して表示部に表示させ、資源の消費削減を図っている。
【0003】
このような形態で利用するには、情報記憶装置を電子データの送受信が可能な状態で保管する必要があることから、情報記憶装置を挿抜可能な保持装置(クレードル)を用意し、保持装置と情報記憶装置との間でデータ通信を行うと共に、保持装置から供給される電力によって情報記憶装置を充電するようにしている(クレードルに関しては、例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
ここで、上記情報記憶装置を複数のユーザが共有して使用する場合、あるユーザに対して電子データを書き込んだ情報記憶装置を他のユーザが持ち出す場合があり、機密情報が漏洩する危険性がある。そこで、従来は、情報記憶装置に記憶したデータを表示部に表示させる際に、ユーザIDやパスワード等によりユーザ認証を行い、認証されたユーザに対してデータの閲覧を許可する方法が用いられる。
【0005】
このようなデータの利用制限に関して、例えば、下記特許文献2には、サーバがジョブデータベースに割り当てられているユーザをユーザID情報に基づいてアクセスの許可状態を管理し、プリンタから入力されるユーザID情報に基づいて該ユーザIDに割り当てられているジョブデータベースからジョブデータの引き出しを制御するプリンティングシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−245139号公報
【特許文献2】特開2001−34430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の技術は、複数のユーザに対してそれぞれに専用のジョブデータベースを割り当て、ジョブデータベースへのアクセスはそのジョブデータベースを割り当てられているユーザにしか許可しないように管理するものであり、この方法を情報記憶装置の利用に適用することにより、セキュリティを向上させることができる。
【0008】
しかしながら、この方法では、携帯可能な情報記憶装置に複数のユーザのデータが記憶されるため、機密情報の漏洩を確実に防止することは困難であり、また、データを出力する度にユーザ認証が必要になるため、操作が煩雑になるという問題がある。また、情報記憶装置に複数のユーザのデータを記憶すると、その情報記憶装置をあるユーザが使用している時には、他のユーザは使用することができず、情報記憶装置に記憶したデータを効率的に利用することができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、個々のユーザが自身のデータを安全かつ簡便に利用することができる情報記憶システム及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、1又は複数の情報記憶装置と、前記1又は複数の情報記憶装置を挿抜可能に保持する機構と制御部とを備える保持装置と、を含む情報記憶システムにおいて、前記情報記憶装置に書き込むデータには、当該データを利用するユーザを特定する識別情報が付加されており、前記制御部は、前記保持装置に保持している情報記憶装置に新たなデータを書き込む際に、前記新たなデータに付加された識別情報と同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置があるかを判断し、同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置がある場合には、当該情報記憶装置に前記新たなデータを追加するものである。
【0011】
また、本発明は、1又は複数の情報記憶装置と、前記1又は複数の情報記憶装置を挿抜可能に保持する保持装置と、を含むシステムにおける制御方法であって、前記情報記憶装置に書き込むデータに、当該データを利用するユーザを特定する識別情報を付加し、前記保持装置は、保持している情報記憶装置に新たなデータを書き込む際に、前記新たなデータに付加された識別情報と同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置があるかを判断し、同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置がある場合には、当該情報記憶装置に前記新たなデータを追加するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の情報記憶システム及び制御方法によれば、個々のユーザが自身のデータを安全かつ簡便に利用することができる。
【0013】
その理由は、1又は複数の情報記憶装置と当該1又は複数の情報記憶装置を保持する保持装置とを含む情報記憶システムにおいて、情報記憶装置に記憶させるデータにユーザの識別情報を付加しておき、保持装置は、新たなデータを追加する場合には、新たなデータに付加された識別情報と同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置を特定し、その情報記憶装置に新たなデータを記憶する制御を行うからである。
【0014】
また、新たなデータに付加された識別情報と同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置が存在しない場合には、予め定めたルールに従って、情報記憶装置に記憶されているデータを他の記憶手段に移動したり消去したりして空の情報記憶装置を作り、その情報記憶装置に新たなデータを記憶する制御を行うからである。
【0015】
また、保持装置は、自身の表示部や情報記憶装置の表示部に、各情報記憶装置に記憶されたデータに付加された識別情報(又はその識別情報に対応付けられたユーザ名など)を表示して、各ユーザが自身のデータが記憶された情報記憶装置を識別できるようにするからである。
【0016】
また、各情報記憶装置は、保持装置から取り外す時や初回利用時などにユーザ認証を行い、所定期間内のその後の利用に対してユーザ認証を行わないようにするからである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る情報記憶システムの構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係る情報記憶システムの他の構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る情報記憶装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例に係る保持装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例に係る保持装置の動作(データ受け取り時の動作)を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の一実施例に係る保持装置の動作(データ振り分け時の動作)を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の一実施例に係る保持装置の動作(情報記憶装置が戻された時の動作)を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の一実施例に係る保持装置に記憶される管理リストの一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に係る識別情報の表示例を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施例に係る保持装置に表示される画面(振り分け画面)の一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施例に係る情報記憶装置の動作を示すフローチャート図である。
【図12】本発明の一実施例に係る情報記憶装置に表示される画面(認証画面)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
背景技術で示したように、電子ペーパー等の情報記憶装置が普及しており、会議等の資料を情報記憶装置に記憶して表示させることにより、資源の消費削減を図ることができる。しかしながら、情報記憶装置に複数のユーザのデータを記憶した場合、あるユーザに対して記憶したデータが他のユーザに閲覧される危険性がある。そこで、従来は、データを閲覧する度にユーザ認証を行ってセキュリティを確保している。
【0019】
しかしながら、携帯可能な情報記憶装置に複数のユーザのデータを記憶するのは危険であり、データを閲覧する度にユーザ認証を行う必要があるために操作が煩雑になる。また、あるユーザが情報記憶装置を使用している時は、他のユーザは自身のデータを利用することができないため利便性が悪い。
【0020】
上記問題は、個々の情報記憶装置に複数のユーザのデータを記憶することに起因していることから、情報記憶装置にユーザ毎のデータを記憶すべく、本発明の一実施の形態では、1又は複数の情報記憶装置と1又は複数の情報記憶装置を挿抜可能に保持する保持装置とを含む情報記憶システムにおいて、情報記憶装置に書き込むデータにユーザを特定可能な識別情報を付与し、保持装置は、情報記憶装置にデータを書き込み際に、書き込むデータと同じ識別情報を持つデータが存在する情報記憶装置があるか否かを判断し、ある場合には、その情報記憶装置にデータを書き込み、ない場合には、特定の情報記憶装置(例えば、一番古いデータが記憶された情報記憶装置)のデータを待避させて、その情報記憶装置にデータを書き込むようにする。
【0021】
そして、情報記憶装置を保持装置から取り外す時や初回利用時などにユーザ認証を行い、所定期間内のその後の利用に対してはユーザ認証を行わないようにしたり、保持装置の表示部や情報記憶装置の表示部に、各情報記憶装置に記憶されたデータに付加された識別情報(又はその識別情報に対応するユーザ名など)を表示させる。
【0022】
このように、データがユーザ毎に自動的にまとめられて情報記憶装置に書き込まれるため、ユーザは保持装置から指定された情報記憶装置を持ち出すだけで、自身に関連するデータを簡単に閲覧することができる。また、同一のユーザのデータは1つの情報記憶装置にまとめられるため、複数のデータを出力した場合でも、一人のユーザが複数の情報記憶装置を占有することがなくなり、効率的に情報記憶装置を利用することができる。
【0023】
また、情報記憶装置内のデータを閲覧する際、データ毎のユーザ認証を省略することができるため、ユーザ認証の回数を減らしてユーザの利便性を向上させることができる。また、データに付加された識別情報等を表示することにより、ユーザは自身のデータが記憶された情報記憶装置を確実に選択することができるため、ユーザの利便性及びセキュリティを向上させることができる。
【実施例】
【0024】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る情報記憶システム及び制御方法について、図1乃至図12を参照して説明する。図1及び図2は、本実施例の情報記憶システムの構成を模式的に示す斜視図であり、図3は、情報記憶装置の構成を示すブロック図、図4は、保持装置の構成を示すブロック図である。また、図5乃至図7は、本実施例の保持装置の動作を示すフローチャート図であり、図8は、管理リストの一例を示す図である。また、図9は、識別情報の表示例を示す斜視図であり、図10は、振り分け画面の一例を示す図である。また、図11は、本実施例の情報記憶装置の動作を示すフローチャート図であり、図12は、認証画面の一例を示す図である。
【0025】
図1に示すように、本実施例の情報記憶システム10は、1又は複数の情報記憶装置20と、その情報記憶装置20を挿抜可能に保持する保持装置30と、保持装置30に電子データを送信する処理装置(本実施例では、画像形成装置40とする。)とにより構成される。
【0026】
なお、本実施例では、処理装置として画像形成装置40を例にして説明するが、処理装置は情報記憶装置20に表示させる電子データを取り扱う装置であればよく、例えば、文書の電子データを作成するクライアントのコンピュータ装置、電子データを保存するサーバなどとしてもよい。
【0027】
また、図1では、保持装置30で1枚の情報記憶装置20を挿抜可能に保持する構成としているが、図2に示すように、複数の情報記憶装置20を挿抜可能に保持する構成としてもよい。以下、各装置について詳細に説明する。
【0028】
[情報記憶装置]
情報記憶装置20は、記憶手段を備えた装置、特に、電子ペーパーや電子ブックなどの記憶手段と表示手段とを備えた装置であり、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22、表示部(電子ペーパー)23、表示コントローラ24、操作部(タッチパネル)25、通信部26、電池27、装着検出部28、データ復号化部29などを備える。
【0029】
CPU21は、メモリ22から読み出した各種プログラムを実行し、各部の動作を制御する。メモリ22は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成され、CPU21で動作する各種プログラムや、情報記憶装置20の動作を制御するための設定情報、表示部23に表示させる電子データなどを記憶する。そして、CPU21とメモリ22とで制御部が構成され、制御部は、保持装置30から取り外した後の最初の利用時などの特定のタイミングで認証処理を行う制御などを実行する。
【0030】
表示部23は、透明な液体の中で浮動する微粒子を電界によって移動させて表示を行う電子ペーパー(EPD:Electrophoretic Display)や液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、保持装置30から送られた電子データに基づく画像(例えば、会議の資料)や後述する認証画面などを表示する。
【0031】
表示コントローラ24は、表示部23を駆動し、画面の表示や消去を制御する。また、必要に応じて、表示部23の所定の位置(表示部23に正対する方向から視認可能な位置)に電子データに付加されたユーザの識別情報やユーザ名などを表示させる制御を行う。
【0032】
操作部25は、ボタンやスイッチ、表示部23上に透明電極が格子状に配置された感圧式のタッチパネルなどである。タッチパネルでは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号としてCPU21に出力する。
【0033】
通信部26は、保持装置30と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、保持装置30との通信を確立する。
【0034】
電池27は、保持装置30の情報記憶装置充電部から供給される電力によって充電され、情報記憶装置20の各部を駆動するための電力を供給する。
【0035】
装着検出部28は、情報記憶装置20が保持装置30に装着されたことを検出する。検出の方法は特に限定されず、例えば、電池27と保持装置30の情報記憶装置充電部とが接続されたか否かで装着を検出したり、情報記憶装置20に設けた電極と保持装置30に設けた電極とが電気的に接続されたか否かで装着を検出したり、情報記憶装置20の底部に自重によってON/OFFする電気接点を設け、この電気接点のON/OFFによって装着を検出したりすることができる。
【0036】
データ復号化部29は、保持装置30を介して画像形成装置40から送信される電子データが暗号化されている場合に、表示部23で表示可能なデータに変換する。
【0037】
なお、図3では、表示コントローラ24や装着検出部28、データ復号化部29をハードウェアとして構成しているが、これらは、制御部(CPU21)により実行されるプログラムとして構成してもよい。
【0038】
[保持装置]
保持装置30は、情報記憶装置20を保持する機構と、情報記憶装置20とデータ通信を行う機能と、必要に応じて、情報記憶装置20の電池27を充電する機能とを備えた装置であり、画像形成装置40の本体や付属品(例えば、本体と分離した給紙部や後処理部など)に固定される。
【0039】
この保持装置30は、情報記憶装置20を挿抜可能な構造を有している。例えば、1枚の情報記憶装置20を保持する保持装置30は、図1に示すような枠部材で形成されており、この枠部材には、情報記憶装置20を装着した状態で情報記憶装置20の表示部23の一部又は全部を当該表示部23に正対する方向(当該表示部23の表示面に直交する方向)から視認可能にするための開口部が設けられている。上記保持装置30の形状は図1に限定されず、例えば、情報記憶装置20の下部のみを保持する構造としてもよいし、直方体の構造体にスロットを備えた構造としてもよい。また、開口部は、情報記憶装置20の表示部23の形状に応じて変更可能であり、開口部に情報記憶装置20の表示部23を保護するための透明保護材(ガラスやプラスティックなど)を嵌め込んでもよい。
【0040】
また、複数の情報記憶装置20を保持する保持装置30は、図2に示すように、直方体の構造体に複数のスロットを備えており、各々のスロットは、情報記憶装置20を装着した状態で情報記憶装置20の表示部23の一部又は全部が当該表示部23に正対する方向から視認可能な深さに設定されている。上記保持装置30の形状は図2に限定されず、図1と同様の枠部材を複数重ね合わせた構造としてもよいし、複数の情報記憶装置20を斜めに保持する構造としてもよい。また、図2では、複数の情報記憶装置20を同じ形状としたが、情報記憶装置20の形状は異なっていてもよく、異なる形状の情報記憶装置20を保持できるようにスロットの形状を変更できるようにしてもよい。
【0041】
また、上記保持装置30は、図4に示すように、CPU31、メモリ32、情報記憶装置用通信部33、データ暗号化部34、情報記憶装置充電部35、画像形成装置用通信部38、電源39と、必要に応じて、表示部36、操作部37などを備える。
【0042】
CPU31は、メモリ32から読み出した各種プログラムを実行し、各部の動作を制御する。メモリ32は、ROMやRAMなどで構成され、CPU31で動作する各種プログラムや、保持装置30の動作を制御するための設定情報、情報記憶装置20に表示させる電子データ、情報記憶装置20の状態及びユーザとの対応関係を記述した管理リストなどを記憶する。そして、CPU31とメモリ32とで制御部が構成され、制御部は、電子データに付加された識別情報を参照して、情報記憶装置20にユーザ毎の電子データを記憶する制御などを実行する。
【0043】
情報記憶装置用通信部33は、1又は複数の情報記憶装置20と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、各々の情報記憶装置20との通信を確立する。
【0044】
データ暗号化部34は、必要に応じて、画像形成装置40から取得した電子データを暗号化する。
【0045】
情報記憶装置充電部35は、電源39の電力を1又は複数の情報記憶装置20の電池27に供給し、電池27を充電する。
【0046】
表示部36は、液晶表示装置や有機EL表示装置等からなり、保持装置30の所定の位置(例えば、前面や各スロットの側部など)に設けられ、情報記憶装置20に記憶された電子データに付加された識別情報や識別情報に対応するユーザ名などを表示したり、情報記憶装置20にデータを振り分ける画面等を表示する。
【0047】
操作部37は、ボタンやスイッチ、表示部36上に透明電極が格子状に配置された感圧式のタッチパネルなどである。タッチパネルでは、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号としてCPU31に出力する。
【0048】
画像形成装置用通信部38は、画像形成装置40と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、画像形成装置40との通信を確立する。
【0049】
電源39は、保持装置30の各部を駆動するための電力を供給する。
【0050】
なお、図4では、保持装置30に表示部36と操作部37を備える構成としたが、表示部36や操作部37は備えていなくてもよい。
【0051】
[画像形成装置]
処理装置の一例としての画像形成装置40は、例えば、制御部、通信部、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿送り装置)、画像読取部、表示部、操作部、給紙部、印刷部、後処理部などを備える。
【0052】
制御部は、CPUとROMやRAMなどのメモリとで構成される。この制御部は、通信ネットワークで接続されたコンピュータ装置などから取得した印刷データや画像読取部で読み取った画像データなどの電子データに基づいて印刷部に印刷を実行させる。また、制御部は、予めユーザの識別情報が付加された電子データを保持装置30に送信、若しくは、電子データにユーザの識別情報を付加して保持装置30に送信する。
【0053】
通信部は、保持装置30と接続するためのインターフェースであり、有線通信や無線通信、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)などを利用して、保持装置30との通信を確立する。
【0054】
ADFは、単数もしくは複数枚の原稿用紙を自動で画像読取部へ搬送する。
【0055】
画像読取部は、原稿台上の原稿用紙から画像データを光学的に読み取る部分であり、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサと、電気信号をA/D変換するA/D変換器等により構成される。
【0056】
表示部は、液晶表示装置や有機EL表示装置等からなり、画像形成装置40を操作するための画面や情報記憶装置20にデータを振り分ける画面等を表示する。また、操作部は、ボタンやスイッチ等からなり、各種設定や指示を行う。なお、表示部と操作部は別々の装置としても良いし、表示部上に、透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチパネル)を設けた一体の装置としてもよい。
【0057】
給紙部は、各種サイズの用紙を格納する用紙トレイで構成され、格納された用紙を印刷部へ送り出す。
【0058】
印刷部は、電子写真方式や静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成に必要な構成要素、例えば、感光体、転写ベルト、定着器、各種搬送ベルト等で構成される。そして、印刷データや画像データに基づいて、指定された用紙に画像を形成し、後処理部に送り出す。
【0059】
後処理部は、印刷部から搬送される用紙を、制御部からの指示により、パンチ・ステープル・製本などのユーザの希望するフィニッシング処理を加えて出力する。
【0060】
なお、画像形成装置40は、少なくとも、保持装置30とデータ通信を行う機能と、保持装置30を設置可能なスペースとを備えていればよく、その構成は特に限定されない。
【0061】
また、図1及び図2では、情報記憶装置20と保持装置30と処理装置(画像形成装置40)とを合わせて情報記憶システム10と称しているが、情報記憶装置20と保持装置30とで情報記憶システム10を構成してもよいし、更に、処理装置に電子データを提供する装置(例えば、画像形成装置40にPCL(Printer Control Language)やPS(Post Script)などのPDL(Page Description Language)で記述した印刷データを送信するコンピュータ装置)や、情報記憶装置20と保持装置30や処理装置とを通信ネットワークで接続するための中継装置などを備えていてもよい。
【0062】
次に、処理装置(画像形成装置40)からデータを受け取った時の保持装置30の動作について、図5のフローチャート図、図8の管理リスト、図9の識別情報の表示例を参照して説明する。
【0063】
まず、ユーザは画像形成装置40を操作して、保持装置30に書き込みデータを送る。この書き込みデータのヘッダなどには、予め、データを利用するユーザ(例えば、データの送信者や送信者が指定したユーザ)の識別情報(ユーザ名やパスワード)が付与されている。又は、ユーザが画像形成装置40や画像形成装置40にデータを送信するコンピュータ装置を操作して、書き込みデータのヘッダなどにデータを閲覧するユーザの識別情報を付与する。
【0064】
保持装置30の制御部は、書き込みデータを受け取り、書き込みデータに付加された識別情報を特定する(S101)。
【0065】
次に、制御部は、書き込みデータを閲覧するユーザが使用している情報記憶装置20があるかを判断する(S102)。具体的には、制御部は、保持している各情報記憶装置20にアクセスし、各情報記憶装置20に記憶されているデータに付加された識別情報を取得、若しくは、図8に示すような管理リストから識別情報を取得し、書き込みデータに付加された識別情報と同じ識別情報が付加されたデータを記憶した情報記憶装置20があるかを判断する。
【0066】
そして、同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置20がある場合は、制御部は、その情報記憶装置20の空き容量を特定し、データが追加可能かを判断し(S103)、データを追加できる場合は、その情報記憶装置20に書き込みデータを書き込み(S104)、処理を終了する。
【0067】
一方、書き込みデータを閲覧するユーザが使用している情報記憶装置20がない場合(S102のNo)又はデータを追加できない場合(S103のNo)は、制御部は、空の情報記憶装置20があるかを判断する(S105)。なお、空の情報記憶装置20とは、識別情報が付加されたデータが書き込まれていない情報記憶装置20であり、識別情報が付加されていないデータの有無は問わない。
【0068】
そして、空の情報記憶装置20がない場合は、情報記憶装置20にデータを書き込むことができないため、制御部は、その書き込みデータを保持装置30のメモリ32(若しくは画像形成装置40のメモリなどの他の記憶部)に保存して処理を終了する。
【0069】
一方、空の情報記憶装置20がある場合(図8の管理リストではスロット1、5の状態欄が「空き」の情報記憶装置20)は、その情報記憶装置20にデータを書き込んだ後(S107)、管理リストを更新する(S108)。例えば、スロット1に装着された情報記憶装置20にデータを書き込む場合は、スロット1の状態欄にデータに付加されたユーザIDを記述し、閲覧パスワード欄にそのデータに付加されたパスワードを記述し、最終アクセス日時欄に、現在の日時を記述する。
【0070】
そして、データを書き込んだ情報記憶装置20がどのユーザに対する情報記憶装置20であるかを判別できるようにするために、制御部は、書き込み先情報記憶装置20の表示部36にデータに付加された識別情報を表示させる(S109)。
【0071】
例えば、図9(a)に示すように、保持装置30の側面(例えば、情報記憶装置20の表示部23に正対する方向から見た前面)に網掛けで示した表示部36を備える場合は、その表示部36にスロット番号と識別情報(ユーザ名など)とを対応付けて表示(図1の構成の保持装置30の場合は、識別情報のみを表示)する。また、図9(b)に示すように、保持装置30の上面の各スロットの側部に網掛けで示した表示部36を備える場合は、対応するスロットの表示部36に識別情報(ユーザ名など)を表示する。
【0072】
また、保持装置30に表示部36を備えていない場合は、保持装置30の制御部が情報記憶装置20に指示情報を送信し、情報記憶装置20の制御部が指示情報に基づいて表示コントローラ24を制御して、図9(c)に示すように、データを書き込んだ情報記憶装置20の表示部23の所定の位置(表示部23に正対する方向から見て視認可能な位置、例えば、上端部)に識別情報を表示してもよいし、図9(d)に示すように、データを書き込んだ情報記憶装置20の所定の位置(例えば、上面に設けた他の表示部)に識別情報を表示してもよい。
【0073】
このように、書き込みデータに付加された識別情報と同じ識別情報を有するデータを記憶した情報記憶装置20、若しくは、空の情報記憶装置20にデータを追加することにより、情報記憶装置20に複数のユーザのデータが書き込まれることがなくなり、セキュリティを向上させることができる。
【0074】
また、書き込みデータに付加された識別情報(ユーザ名など)を保持装置30や情報記憶装置20の表示部に表示することにより、ユーザは自身のデータが書き込まれた情報記憶装置20を容易に識別することができるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0075】
上記フローでは、書き込みデータに付加された識別情報と同じ識別情報を有するデータを記憶した情報記憶装置20がない場合、若しくは、空の情報記憶装置20がない場合は、データの書き込みを行わないようにしたが、例えば、所定のユーザのデータが複数の情報記憶装置20に記憶されている場合や古いデータが情報記憶装置20に記憶されている場合には、手動でデータを振り分けたり、古いデータを消去して空の情報記憶装置20を作ることにより、新たなデータを書き込めるようにすることもできる。
【0076】
以下、そのような場合の保持装置30の動作について、図6のフローチャート図及び図10の画面例を参照して説明する。
【0077】
まず、ユーザが保持装置30の操作部37(又は画像形成装置40の操作部)を操作してIDを入力すると、保持装置30の制御部(又は画像形成装置40の制御部)は、ユーザ認証を行い(S201)、認証OKの場合(例えば、予め登録されたユーザの場合、情報記憶装置20のデータに付加された識別情報で特定されるユーザの場合)は、ユーザに手動で振り分けを行うかを問い合わせる(S202)。なお、IDの入力は、IDカードの読み取り等の方法を用いても良い。
【0078】
ユーザが手動の振り分けを選択すると(S202のYes)、保持装置30の制御部(又は画像形成装置40の制御部)は、保持装置30の表示部36(又は画像形成装置40の表示部)に、図10に示すようなデータの振り分け画面を表示する(S203)。この振り分け画面には、保持装置30のメモリ32(又は画像形成装置40のメモリなど)に記憶されたデータの名称(ファイル名)やサイズと、各情報記憶装置20に記憶されたデータの名称(ファイル名)やサイズと、データの移動を指示するボタンなどが表示されている。
【0079】
そして、ユーザがデータを選択して移動ボタンを押すと、保持装置30の制御部(又は画像形成装置40の制御部)は、選択されたデータをメモリから情報記憶装置20、若しくは、情報記憶装置20からメモリに移動し、データの振り分けを実行し、振り分け結果に基づいて図8の管理リストを更新する(S204)。
【0080】
一方、手動の振り分けを選択しなかった場合は、制御部は、まだ情報記憶装置20に書き込まれていないデータ(認証されたユーザのデータ)が保持装置30のメモリ32(又は画像形成装置40のメモリなど)にあるかを検索する(S205)。データが残っていない場合には、制御部は、すべてのデータが出力されていることをユーザに通知(例えば、表示部36に表示)して(S206)、処理を終了する。
【0081】
データが残っている場合は、制御部は、そのユーザが使用している情報記憶装置20があるかを判断する(S207)。具体的には、制御部は、保持している各情報記憶装置20にアクセスし、各情報記憶装置20に記憶されているデータに付加された識別情報を取得し、メモリにあるデータに付加された識別情報と同じ識別情報が付加されたデータを記憶した情報記憶装置20があるかを判断する。
【0082】
そして、そのユーザが使用している情報記憶装置20がある場合は、制御部は、その情報記憶装置20の空き容量を特定し、データが追加可能かを判断し(S208)、データを追加できる場合は、その情報記憶装置20にデータを書き込み(S209)、S205に戻って同様の処理を繰り返す。
【0083】
一方、そのユーザが使用している情報記憶装置20がない場合(S207のNo)又はそのユーザが使用している情報記憶装置20にデータを追加できない場合(S208のNo)は、制御部は、保持装置30に他の情報記憶装置20があるかを判断し(S210)、他の情報記憶装置20がない場合は、出力できないことをユーザに通知(例えば、表示部36に表示)して(S211)、処理を終了する。
【0084】
保持装置30に他の情報記憶装置20がある場合は、制御部は、管理リストを参照して空の情報記憶装置20があるかを判断し(S212)、空の情報記憶装置20がある場合は、S215にスキップし、空の情報記憶装置20がない場合は、データを消去しても影響が少ない情報記憶装置20(例えば、最終アクセス日時が最も古い情報記憶装置20)を探し(S213)、その情報記憶装置20に記憶しているデータを保持装置30のメモリ32(又は画像形成装置40のメモリなど)に移動する(S214)。
【0085】
次に、制御部は、その情報記憶装置20に認証されたユーザのデータを書き込んだ後(S215)、図8に示す管理リストを更新する(S216)。そして、データを書き込んだ情報記憶装置20を識別できるようにするために、制御部は、書き込み先情報記憶装置20にデータに付加された識別情報(ユーザ名など)を表示し(S217)、S205に戻って同様の処理を繰り返す。
【0086】
このように、手動での振り分けにより、複数の情報記憶装置20に記憶された同一ユーザのデータを1つの情報記憶装置20にまとめたり、古いデータや使用予定のないデータをメモリに待避させることができ、情報記憶装置20を効率的に利用することができる。また、空の情報記憶装置20がない場合に、最終アクセス日時が最も古いデータなどの特定のデータをメモリに待避させて空の情報記憶装置20を作ることにより、データを効率的に情報記憶装置20に書き込むことができる。
【0087】
次に、情報記憶装置20を戻した時の保持装置30の動作について、図7のフローチャート図を参照して説明する。
【0088】
ユーザが情報記憶装置20を保持装置30に戻すと(S301)、保持装置30の制御部は、情報記憶装置20に記憶したデータを消去するか、そのまま残すかをユーザに選択させる(S302)。なお、この選択は、保持装置30の操作部37で行ってもよいし、あらかじめ情報記憶装置20で設定しておき、保持装置30はその設定情報を読み取る構成としてもよいし、データを消去するか否かを選択することなく、戻した情報記憶装置20から必ずデータを消去する構成としてもよい。
【0089】
データを消去する場合は、制御部は、情報記憶装置20の内部のデータを消去し(S303)、図8に示す管理リストを更新する(S304)。
【0090】
そして、制御部は、保持装置30に出力待ちとなっているデータ(データを書き込む情報記憶装置20がないためにメモリ32等に保存したデータ)があるかを判断し(S305)、出力待ちとなっているデータがある場合は、保持装置30に戻した情報記憶装置20にそのデータを書き込む(S306)。なお、出力待ちデータが複数ある場合は、メモリへの保存日時が古いものから順に書き込めばよい。
【0091】
その後、制御部は、図8に示す管理リストを更新し(S307)、データを書き込んだ情報記憶装置20がどのユーザに対する情報記憶装置20であるかを判別できるようにするために、書き込み先情報記憶装置20にデータに付加された識別情報(ユーザ名など)を表示し(S308)、ステップS317にスキップする。
【0092】
一方、データを消去しない場合には、制御部は、管理リスト上の全ての情報記憶装置20(戻した情報記憶装置以外の保持装置30に設置されている全ての情報記憶装置)をチェックし(S309)、未チェックの情報記憶装置20があれば、その情報記憶装置20が保持装置30に戻した情報記憶装置20と同一のユーザが使用するものであるかを確認し(S310)、同一のユーザが使用するものであれば、その内部の全データを戻した情報記憶装置20へ移動可能かを確認する(S311)。移動可能であればデータを移動し(S312)、データ移動後に空になった情報記憶装置20の管理リスト上の状態を「空」にし(S313)、データ移動後に空になった情報記憶装置20の表示部23に表示されていた識別情報を消去する(S314)。
【0093】
そして、未チェックの情報記憶装置20がなくなるまで、S310〜S314の処理を繰り返し、未チェックの情報記憶装置20がなくなったら、制御部は、戻した情報記憶装置20の状態を管理リストへ追加し(S315)、その情報記憶装置20のデータに付加された識別情報の表示を行う(S316)。
【0094】
なお、本実施例では、データの移動先を戻した情報記憶装置20としているが、各情報記憶装置20のバッテリー残量を検知し、残量が多い方へ移動することとしても良い。また、本実施例では、全データが移動できる場合のみ移動するとしているが、情報記憶装置20内のデータを移動できるだけ移動することとしても良い。
【0095】
次に、制御部は、保持装置30のメモリ32(又は画像形成装置40のメモリなど)にそのユーザのデータがあるかを判断し(S317)、データがなければ処理を終了し、データがあれば、そのデータが追加可能であるかを判断する(S318)。
【0096】
データが追加できない場合は、処理を終了し、データが追加可能であれば、制御部は、その情報記憶装置20にデータを書き込む(S319)。そして、そのユーザの書き込み待ちデータがなくなるか、若しくは書き込みが不可になるまで、S317〜S319の処理を繰り返す。
【0097】
このように、情報記憶装置20が保持装置30に戻された時に、データを消去するか否かを選択できるようにし、データの消去を選択した場合に、データを消去すると共に出力待ちのデータを書き込むことにより、効率的にデータを書き込むことができる。また、データを消去しない場合も、そのユーザのデータを自動的に移動・追加することにより、効率的にデータを書き込むことができる。
【0098】
以上、保持装置30の動作について説明したが、本実施例の情報記憶システム10では、情報記憶装置20にユーザ毎のデータが記憶されるため、他のユーザに機密情報が漏洩する危険性が少なく、ユーザ認証の手間を省略することができる。以下、情報記憶装置20の動作について、図11のフローチャート図及び図12の画面例を参照して説明する。
【0099】
まず、情報記憶装置20の制御部は、保持装置30からのデータの書き込みを監視し(S401)、データが書き込まれたら操作をロック、すなわち、操作部25の操作を受け付けない状態にする(S402)。
【0100】
次に、情報記憶装置20の装着検出部28は、保持装置30から外されたことを検出すると(S403のYes)、制御部は、表示コントローラ24を制御して、表示部23に図12に示すような認証画面を表示させる(S404)。この認証画面には、ユーザのパスワードを入力するためのソフトウェアキーボードなどが設けられており、ユーザがパスワードを入力すると、制御部は、入力されたパスワードとデータに付加された認証情報(パスワード)とを比較してユーザ認証を行う(S405)。
【0101】
ユーザ認証の結果がOKの場合は、操作のロックを解除して、操作部25の操作を受け付ける状態にする(S406)。これにより、認証されたユーザは、情報記憶装置20に記憶されたデータを自由に閲覧できるようになり、データを閲覧するたびにユーザ認証を行う必要がなくなり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0102】
ここで、ロックを解除した状態を継続してもよいが、例えば、ユーザがロックを解除した後に情報記憶装置20を放置した場合には、他のユーザはデータを閲覧することが可能となり、セキュリティ上好ましくない。そこで、制御部は、予め設けたカウンタをリセットし(S407)、情報記憶装置20の操作が行われたかを判断し(S408)、操作が行われたらS407に戻ってカウンタをリセットする。
【0103】
情報記憶装置20の操作が行われない場合は、制御部は、カウントアップし(S409)、カウント値が予め定めた設定値を超えたかを判断する(S410)。設定値を超えていない場合はステップS408に戻り、設定値を超えた場合は、操作をロックし(S411)、ステップS404に戻ってユーザ認証画面を表示する。
【0104】
このように、一定時間、操作がない状態が継続した場合に、再度、操作をロックすることにより、データ毎にユーザ認証を求めない場合の弊害を未然に防止することができる。
【0105】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。例えば、上記実施例では、表示部を備えた情報記憶装置20を例にして説明したが、表示部のない情報記憶装置(例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリなど)に対しても同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、電子ペーパー等の情報記憶装置と、1又は複数の情報記憶装置を保持する保持装置とを含むシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0107】
10 情報記憶システム
20 情報記憶装置
21 CPU
22 メモリ
23 表示部
24 表示コントローラ
25 操作部
26 通信部
27 電池
28 装着検出部
29 データ復号化部
30 保持装置
31 CPU
32 メモリ
33 情報記憶装置用通信部
34 データ暗号化部
35 情報記憶装置充電部
36 表示部
37 操作部
38 画像形成装置用通信部
39 電源
40 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の情報記憶装置と、前記1又は複数の情報記憶装置を挿抜可能に保持する機構と制御部とを備える保持装置と、を含む情報記憶システムにおいて、
前記情報記憶装置に書き込むデータには、当該データを利用するユーザを特定する識別情報が付加されており、
前記制御部は、前記保持装置に保持している情報記憶装置に新たなデータを書き込む際に、前記新たなデータに付加された識別情報と同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置があるかを判断し、同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置がある場合には、当該情報記憶装置に前記新たなデータを追加する、ことを特徴とする情報記憶システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置がない場合には、データが書き込まれていない空の情報記憶装置があるかを判断し、前記空の情報記憶装置がある場合には、当該空の情報記憶装置に前記新たなデータを書き込む、ことを特徴とする請求項1に記載の情報記憶システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記空の情報記憶装置がない場合には、最終アクセス日時が最も古い情報記憶装置を特定し、特定した情報記憶装置に書き込まれているデータを他の記憶手段に移動させ、当該特定した情報記憶装置に前記新たなデータを書き込む、ことを特徴とする請求項2に記載の情報記憶システム。
【請求項4】
前記制御部は、情報記憶装置が差し込まれた場合には、装着された情報記憶装置に書き込まれているデータを消去し、当該装着された情報記憶装置に前記新たなデータを書き込む、ことを特徴とする請求項2に記載の情報記憶システム。
【請求項5】
前記保持装置は、表示部を備え、
前記制御部は、前記表示部に、各々の前記情報記憶装置と各々の前記情報記憶装置に書き込まれたデータに付加された前記識別情報とを対応付ける情報を表示させる、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報記憶システム。
【請求項6】
前記保持装置は、各々の前記情報記憶装置の近傍に表示部を備え、
前記制御部は、各々の前記情報記憶装置近傍の前記表示部に、当該情報記憶装置に書き込まれたデータに付加された前記識別情報を表示させる、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報記憶システム。
【請求項7】
前記情報記憶装置は、表示部を備え、
前記制御部は、前記保持装置に保持している各々の前記情報記憶装置の前記表示部に、当該情報記憶装置に書き込まれたデータに付加された前記識別情報を表示させる、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の情報記憶システム。
【請求項8】
1又は複数の情報記憶装置と、前記1又は複数の情報記憶装置を挿抜可能に保持する保持装置と、を含むシステムにおける制御方法であって、
前記情報記憶装置に書き込むデータに、当該データを利用するユーザを特定する識別情報を付加し、
前記保持装置は、保持している情報記憶装置に新たなデータを書き込む際に、前記新たなデータに付加された識別情報と同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置があるかを判断し、同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置がある場合には、当該情報記憶装置に前記新たなデータを追加する、ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
前記保持装置は、前記同じ識別情報が付加されたデータを記憶している情報記憶装置がない場合には、データが書き込まれていない空の情報記憶装置があるかを判断し、前記空の情報記憶装置がある場合には、当該空の情報記憶装置に前記新たなデータを書き込む、ことを特徴とする請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記保持装置は、前記空の情報記憶装置がない場合には、最終アクセス日時が最も古い情報記憶装置を特定し、特定した情報記憶装置に書き込まれているデータを他の記憶手段に移動させ、当該特定した情報記憶装置に前記新たなデータを書き込む、ことを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記保持装置は、情報記憶装置が差し込まれた場合には、装着された情報記憶装置に書き込まれているデータを消去し、当該装着された情報記憶装置に前記新たなデータを書き込む、ことを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項12】
前記保持装置に表示部を設け、
前記表示部に、各々の前記情報記憶装置と各々の前記情報記憶装置に書き込まれたデータに付加された前記識別情報とを対応付ける情報を表示する、ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一に記載の制御方法。
【請求項13】
前記保持装置の各々の前記情報記憶装置の近傍に表示部を設け、
各々の前記情報記憶装置近傍の前記表示部に、当該情報記憶装置に書き込まれたデータに付加された前記識別情報を表示する、ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一に記載の制御方法。
【請求項14】
前記情報記憶装置に表示部を設け、
前記保持装置に保持されている各々の前記情報記憶装置の前記表示部に、当該情報記憶装置に書き込まれたデータに付加された前記識別情報を表示する、ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一に記載の制御方法。
【請求項15】
前記情報記憶装置に操作部を設け、
前記情報記憶装置は、データが書き込まれたら前記操作部の操作を無効にし、前記保持装置からの取り外しを検出したらユーザに識別情報の入力を求め、入力された識別情報と当該情報記憶装置に書き込まれたデータに付加された識別情報とが一致する場合に、前記操作部の操作を有効にする、ことを特徴とする請求項8乃至14のいずれか一に記載の制御方法。
【請求項16】
前記情報記憶装置は、前記操作部の操作を有効にした後、所定期間内に前記操作部が操作されなかった場合に、再度、ユーザに識別情報の入力を求める、ことを特徴とする請求項15に記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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