説明

情報記録再生方法と情報記録再生装置とデータ処理回路

【目的】 複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータ内のセクタデータの書き換え時間を短縮する。
【構成】 光ディスクから複数個のセクタデータにPIデータ、POデータを付加したブロックデータを再生し、その再生したデータをメモリ30に記憶し、その記憶したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換え、その書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データであるPIデータ、POデータをパリティ生成回路31で生成し、その生成したPIデータ、POデータを上記読み出したブロックデータに付加して光ディスクに記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスク等の記録媒体に記録された2値データ又は多値データの一部のデータの書き換え(リードモディファイライト)を行う情報記録再生方法と情報記録再生装置とデータ処理回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数個のセクタデータで一組のエラー・コレクション・コード(Error Correction Code:ECC)ブロックが構成される書換型光ディスクにおいて、ECCブロックよりも少ないセクタ数のセクタデータを書き換える場合、その書き換えるセクタデータを含むECCブロック分のデータを光ディスク装置内のバッファメモリに一旦読み込み、書き換えるセクタデータをバッファメモリ上で書き換えた後、新たなECCを生成して光ディスクに書き戻すことにより、2値データ又は多値データの一部のデータの書き換え(リードモディファイライト)を行う情報記録再生装置(例えば、特許文献1参照)があった。
【特許文献1】特開平10−106170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の情報記録再生装置では、ECCブロックよりも少ないセクタ数のセクタデータを書き換える場合、その書き換えるセクタデータを含むECCブロック分のデータを光ディスク装置内のバッファメモリに一旦読み込み、書き換えるセクタデータをバッファメモリ上で書き換えた後、新たなECCを生成するので、光ディスクのデータ書き換えに時間がかかるという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータ内のセクタデータの書き換え時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記の目的を達成するため、次の(1)〜(3)の各情報記録再生方法を提供する。
(1)記録媒体から複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータを再生し、その再生したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換え、その書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成し、その生成した誤り訂正用データを上記読み出したブロックデータに付加して上記記録媒体に記録する情報記録再生方法。
(2)記録媒体から3値以上の多値データを再生し、その再生した多値データを複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータに変換し、その変換したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換え、その書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成し、その生成した誤り訂正用データを上記読み出したブロックデータに付加して3値以上の多値データに変換し、その変換した多値データを上記記録媒体に記録する情報記録再生方法。
(3)上記(1)又は(2)の情報記録再生方法において、上記ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報に基づいて、上記書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する情報記録再生方法。
【0005】
また、次の(4)〜(6)の各情報記録再生装置も提供する。
(4)記録媒体から複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータを再生する手段と、その手段によって再生したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換える手段と、その手段によって書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段と、その手段によって生成した誤り訂正用データを上記読み出したブロックデータに付加して上記記録媒体に記録する手段を備えた情報記録再生装置。
(5)記録媒体から3値以上の多値データを再生する手段と、その手段によって再生した多値データを複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータに変換する手段と、その手段によって変換したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換える手段と、その手段によって書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段と、その手段によって生成した誤り訂正用データを上記読み出したブロックデータに付加して3値以上の多値データに変換する手段と、その手段によって変換した多値データを上記記録媒体に記録する手段を備えた情報記録再生装置。
(6)上記(4)又は(5)の情報記録再生装置において、上記誤り訂正用データを生成する手段は、上記ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報に基づいて、上記書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段である情報記録再生装置。
【0006】
さらに、次の(7)(8)の各データ処理回路も提供する。
(7)複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータを記憶する手段と、その手段に記憶したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換える手段と、その手段によって書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段と、その手段によって生成した誤り訂正用データを上記読み出したブロックデータに付加する手段を備えたデータ処理回路。
(8)上記(7)のデータ処理回路において、上記誤り訂正用データを生成する手段は、上記ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報に基づいて、上記書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段であるデータ処理回路。
【発明の効果】
【0007】
この発明による情報記録再生方法と情報記録再生装置とデータ処理回路は、複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータ内のセクタデータの書き換え時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔実施例1〕
図1は、この発明の情報記録再生装置の実施例1である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
この光ディスク装置は、CPU,ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータによって実現される中央処理部及び以下の回路等を備えている。
光ディスク1は、2値データ又は多値データを記録するCD−Rディスク,CD−RWディスク,DVD−Rディスク,DVD−RWディスク,DVD+Rディスク,DVD+RWディスク,DVD−RAMディスク等の記録媒体であり、記録面にらせん状又は同心円上のトラックが形成され、そのトラックに沿ってマークを記録することによって2値データ又は多値データを記録する。トラックは、一定の周期でわずかに蛇行している。
【0009】
モータ2は、光ディスク1を回転させる。
光ヘッド3は、レーザ光源(LD)から発生させたレーザ光のスポットを光ディスク1に照射して光ディスク1の記録面にマークを記録することによって2値データ又は多値データを記録し、その記録されたマークをレーザ光のスポットで走査して電気信号を出力することによって再生し、光ディスク1に記録された2値データ又は多値データを再生する。
演算増幅回路4は、光ヘッド3から出力された電気信号を演算増幅し、光ディスク1上のマークに対応した再生信号、レーザ光のスポットが光ディスク1の記録面に焦点が合っているかを示すフォーカスエラー信号、レーザ光のスポットがトラックに沿って走査しているかを示すトラッキングエラー信号、トラックの蛇行に対応した信号等を出力する。
【0010】
サーボ回路5は、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、トラックの蛇行に対応した信号により、レーザ光のスポットを光ディスク1の記録面に焦点を合わせ、正しくトラックを走査させ、光ディスク1を線速度一定又は角速度一定に回転させる。
レーザ駆動回路6は、レーザ光照射によって、光ディスク1の記録面上に変調後の2値信号に対応したマークとスペースを記録するための信号を生成する。
同期信号付加回路7は、同期信号を挿入する。
変調回路8は、2値データの反転間隔が所定の規則に合うようにデータの変換を行う。
誤り訂正符号化復号化回路9は、1ECCブロック分のセクタデータと誤り訂正データを記憶するためのメモリと、光ディスク1へのデータ記録時に、外部のホストコンピュータから入力したセクタデータに対して、誤り訂正を行うための誤り訂正データを付加する符号化回路と、光ディスク1からのデータの再生時に、符号化回路によって付加されたデータを使用して誤り訂正を行う復号化回路とからなる。
【0011】
波形等化回路10は、波形等化を行う。
2値化回路11は、アナログ信号を所定のしきい値で2値化する。
PLL及び同期検出回路12は、2値化信号から同期信号の検出と、2値データに同期したクロック信号を出力する。
アドレス検出回路13は、セクタデータのアドレス(セクタアドレス)を検出する。
なお、公知技術なので図示を省略するが、光ヘッド3を光ディスク1の半径方向に移動させ、光ディスク1上のデータをサーチする機構も備わっている。
さらに、コンピュータ用の情報記憶装置として使用するためのインタフェース回路や、光ディスク装置全体の動作制御を行うマイクロプロセッサである中央処理部等も図示を省略した。
光ディスク1としては、例えばDVD+RWディスクを使用し、光ヘッド3にはレーザ光の波長が650nmであるレーザダイオードを使用するとよい。
また、より高密度記録ができる青レーザとそのレーザ波長(例えば、405nm)に対応した相変化型の光ディスクを使用しても良い。
【0012】
図2は、図1に示した誤り訂正符号化復号化回路9の内部構成の一例を示すブロック図である。
この誤り訂正符号化復号化回路9は、この発明のデータ処理装置の一実施例であり、1ECCブロック分のセクタデータと、誤り訂正データであるパリティデータを記憶するためのメモリ30と、光ディスク1へのデータ記録時に、外部のホストコンピュータから入力した1ECCブロック分のセクタデータに対して、誤り訂正を行うための誤り訂正データであるパリティデータを付加する符号化回路であるパリティ生成回路31と、光ディスク1からのデータの再生時に、パリティ生成回路31によって付加されたデータを使用して誤り訂正を行う復号化回路である誤り訂正回路33とからなる。
そして、外部のホストコンピュータ又は光ディスク装置の中央処理部からブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報である書き換えセクタ情報を入力して、リードモディファイライト時に、書き換えたセクタデータのみに関係するパリティデータを生成する制御回路32がパリティ生成回路31に内蔵されている。
【0013】
次に、この実施例1の光ディスク装置におけるセクタデータを1ECCブロック単位で光ディスク1に記録する場合の動作について説明する。
誤り訂正符号化復号化回路9は、16セクタ分のセクタデータを、後述するECCブロックフォーマットで入力すると、それをメモリ30に記憶し、そのセクタデータのパリティデータを生成してメモリに記憶する。
上記パリティデータは、外符号パリティデータ(POデータ)と内符号パリティデータ(PIデータ)とからなる。
誤り訂正符号化復号化回路9は、POデータをインタリーブするために、所定の順序でデータを出力し、変調回路8が誤り訂正符号化復号化回路9から受け取った2値データの反転間隔が所定の規則に合うように変調を行う。その後、同期信号付加回路7によって同期信号を挿入する。そして、変調後の2値信号に対応したマークとスペースを記録するために、レーザ駆動回路6によってレーザ光を駆動する信号を生成し、光ヘッド3によってマークが光ディスク1の記録面に記録される。
【0014】
次に、この実施例1の光ディスク装置における光ディスク1からデータを再生する時の動作について説明する。
光ヘッド3により、一定強度のレーザ光を光ディスク1に照射し、その反射光を光電変換して電気信号を得る。得られた信号を演算増幅回路4に入力し、サーボ回路5によって光ディスク1を安定して回転させ、光ヘッド3のトラッキングやフォーカス制御を行い、再生信号を出力する。
次に、波形等化回路10によって符号間干渉を除去し、2値化回路11によって所定のしきい値でアナログ信号を2値信号に変換する。
【0015】
その後、PLL及び同期検出回路12によって同期信号を検出し、PLL及び同期検出回路12内のPLL回路によって2値データに同期したクロックを生成する。
さらに、アドレス検出回路13によって、セクタデータのアドレス(セクタアドレス)を検出し、所望のセクタアドレス(1ECCブロックの先頭のセクタアドレス)が検出されるように、光ヘッド3を光ディスク1の半径方向に移動させる。
検出されたセクタアドレスから、1ECCブロック分のデータを検出し、誤り訂正符号化復号化回路9に入力する。
誤り訂正符号化復号化回路9では、パリティデータを使用して誤り訂正を行い、訂正後のセクタデータを出力する。
【0016】
次に、この実施例1の光ディスク装置における光ディスク1上のセクタデータを書き換えるためのリードモディファイライトの動作について説明する。この動作がこの発明に係る情報記録再生方法の処理に相当する。
まず、アドレス検出回路13によって、書き換え対象のセクタデータを含む1ECCブロックデータの先頭のセクタアドレスを検出するために、光ヘッド3を光ディスク1の半径方向に移動させる。検出されたセクタアドレスから、1ECCブロック分のデータを検出し、誤り訂正符号化復号化回路9に入力する。
そして、誤り訂正符号化復号化回路9内のメモリ30にセクタデータとパリティデータを記憶し、そのパリティデータを使用してセクタデータの誤り訂正を行う。
次に、誤り訂正符号化復号化回路9にホストコンピュータ又は中央処理部から書き換えるセクタデータを入力し、メモリ30上でセクタデータを書き換える。
その後、書き換えたセクタデータに関係するパリティデータのみを生成し、メモリ30に記憶する。そして、光ディスク1にデータを記録する時の手順で、メモリ30上の1ECCブロック分のセクタデータとパリティデータを光ディスク1に記録する。
【0017】
次に、さらに詳しく光ディスク1上のセクタデータを書き換えるためのリードモディファイライトの動作について説明する。
図3は、リードモディファイライト動作の説明に供するECCブロックデータのフォーマットの図である。これは、DVDのECCブロックフォーマットの例である。
DVDのECCブロックデータのフォーマットについては、16個のセクタデータに対して、横方向と縦方向の誤り訂正用データ(エラー訂正用データ)が付加される。ここで、横方向のデータの並びを行と呼んでいる。また、縦方向のデータの並びを列と呼ぶ。
縦方向のエラー訂正用データを外符号パリティデータ(POデータ)と呼び、横方向のエラー訂正用データを内符号パリティデータ(PIデータ)と呼ぶ。
【0018】
次に、パリティ生成回路31における16個のセクタデータからPIデータ、POデータを生成する手順を以下に説明する。
まず、POデータから生成する。縦方向に各行の1バイトのデータを入力し、16セクタ分(12行×16セクタ=192バイト)のデータを入力した後、所定の演算を行って、縦方向の16バイトのPOデータを生成する。これで1列分のエラー訂正用データの生成処理が終了する。1行内の172バイト(=172列)のデータに対して、上記演算を行い、172列×16行(バイト)分のPOデータを生成する。
次に、PIデータを生成する。1行内の172バイトのデータを入力して、所定の演算を行って、10バイトのPIデータを生成し、1行分のデータに付加する。POデータに対してもPIデータの生成を行う。
208行分のデータに対して上記演算を行い、10バイト×208行のPIデータを生成する。
【0019】
1行あるいは1列分のセクタデータを入力して、1行あるいは1列分のPIデータあるいはPOデータを生成する演算を1回の演算と呼ぶと、1ECCブロックにおけるPIデータ、POデータの演算回数及びその合計は下記に示す回数になる。
POデータ生成:172回
PIデータ生成:208回
合計: 380回
このような演算処理を行ったのち、ECCブロックデータ単位でデータを光ディスク1に記録する。
書換型光ディスク上に記録されたデータをセクタデータ単位で書き換えるには、リードモディファイライトと言う操作を行う。
【0020】
つまり、書き換え対象のセクタデータを含むECCブロックデータを光ディスク1から読み取って再生し、図3に示したECCブロックデータのフォーマットの形式で光ディスク装置内のメモリ30に入力する。そして、PIデータ、POデータを使用してセクタデータの誤り訂正を行う。
その後、書き換え対象のセクタデータを新たなセクタデータに書き換え、そのセクタデータに対する新たなPIデータ、POデータのみを生成し、光ディスク1に書き戻す。
従来は、新たなPIデータ、POデータを生成する時に、上記で示した380回の演算を行うので、多くの時間がかかっていた。
【0021】
しかし、この実施例の光ディスク装置では、図3に示すように、書き換え対象のセクタデータが、例えば第3セクタ40のみであれば、変更が必要なPIデータとPOデータは、図中の第3セクタ40のPIデータ41とPOデータ42及びPOデータ42のPIデータ43のみである。
従って、POデータ42(172列)と、第3セクタ40のPIデータ41(12行)と、POデータ42のPIデータ43(16行)を生成する演算のみを行えば良い。
この時の演算回数を以下に示す。
POデータ生成:172回
PIデータ生成:28回
合計 :200回
このようにして、リードモディファイライト時に、書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データ(PIデータ、POデータ)のみを生成すると、演算回数が減少し、光ディスクのデータの書き換え時間を短縮することができる。
【0022】
上記書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データ(PIデータ、POデータ)のみを生成するには、1ECCブロックデータ内のどのセクタデータを書き換えたかを示すブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報が必要になる。
図4は、ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報である書き換えセクタ情報のフォーマットを示す図である。図中の1〜16はECCブロックデータ内のセクタ番号を示す。
1ECCブロックには16セクタデータが含まれるので、16ビットのデータを使用し、1ビットに1セクタデータを割り当てる。
1ビットのデータが“0”の時はセクタデータの書き換えが無かった事を示し、“1”の時はセクタデータの書き換えがあった事を示す。
こうすることにより、少ないデータ量で1ECCブロックデータ内の全セクタデータの書き換え状況が効率良く伝わる。
【0023】
このようにして、光ディスク装置において、リードモディファイライト時に、書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データ(PIデータ、POデータ)のみを生成すると、演算回数が減少し、光ディスクのデータ書換え時間を短縮することができる。
また、リードモディファイライト時には、誤り訂正符号化復号化回路9に対して、中央処理部から、図4に示したデータ形式で、1ECCブロックデータ内のどのセクタデータを書き換えたかの情報を入力する。
こうすることにより、少ないデータ量で1ECCブロックデータ内の全セクタデータの書き換え状況が効率良く伝わる。
また、誤り訂正符号化復号化回路9では、通常のパリティ生成動作を行うだけでなく、書き換えセクタ情報を入力して、書き換えたセクタデータに関係するPIデータ、POデータのみを生成する制御ができるので、リードモディファイライト時のデータ処理時間を短縮することができる。
【0024】
〔実施例2〕
次に、実施例2について説明する。
図5は、この発明の情報記録再生装置の実施例2である光ディスク装置の構成を示すブロック図であり、図1と共通する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
変調回路14は、入力した多値データに対応した大きさのマークとスペース(多値データ=0:マークを記録しない)を示す信号を出力する。
同期信号付加回路15は、同期信号を挿入する。
多値化回路16は、入力した2値データ(11ビット)を3値以上の多値データ(4シンボルの8値データ)に変換する。
【0025】
誤り訂正符号化復号化回路17は、1ECCブロック分のセクタデータと誤り訂正データを記憶するためのメモリと、光ディスク1へのデータ記録時に、外部のホストコンピュータから入力したセクタデータに対して、誤り訂正を行うための誤り訂正データを付加する符号化回路と、光ディスク1からのデータの再生時に、符号化回路によって付加されたデータを使用して誤り訂正を行う復号化回路とからなる。その回路構成は図2と同じであるが、ここでは、1ワードのデータは11ビットである。
PLL及び同期検出回路18は、再生信号中の同期信号を検出し、多値データに同期したクロック信号を出力する。
AD変換回路19は、演算増幅回路4からの再生信号をデジタル信号に変換する。
波形等化回路20は、波形等化を行う。
多値判定回路21は、多値データを判定する。
【0026】
次に、この実施例2の光ディスク装置におけるセクタデータを1ECCブロック単位で光ディスク1に記録する場合の動作について説明する。
誤り訂正符号化復号化回路17は、64セクタ分のセクタデータを、後述するECCブロックフォーマットで入力すると、それをメモリ30に記憶し、そのセクタデータのパリティデータを生成してメモリに記憶する。
誤り訂正符号化復号化回路17は、POデータをインタリーブするために、所定の順序でデータを出力し、多値化回路16で11ビット単位の2値データを4シンボルの8値データに変換する。その後、同期信号付加回路15によって同期信号を挿入し、変調回路14で変調し、次に、多値データの各値に対応したマークを光ディスク1に記録するために、レーザ駆動回路6でレーザ光を駆動する信号を生成する。そして、光ヘッド3によってマークが光ディスク1の記録面に記録される。
【0027】
次に、この実施例2の光ディスク装置における光ディスク1からデータを再生する時の動作について説明する。
光ディスク1から多値信号を読み出し、その再生された多値信号から、PLL及び同期検出回路18によって同期信号を検出し、多値データに同期したクロックを生成する。
生成したクロックによってA/D変換回路19で、多値データのデジタルデータを得る。その後、波形等化回路20で波形等化を行い、多値判定回路21で多値データを判定し、2値データを出力する。
さらに、アドレス検出回路13によって、セクタデータのアドレスを検出し、所望のセクタデータのアドレス(1ECCブロックの先頭のセクタアドレス)が検出されるように、光ヘッド3を光ディスク1の半径方向に移動させる。
アドレス検出回路13から検出されたセクタアドレスから、1ECCブロック分のデータを検出し、誤り訂正符号化復号化回路17に入力する。
誤り訂正符号化復号化回路17では、POデータ、PIデータを使用してセクタデータの誤り訂正を行い、訂正後のセクタデータを出力する。
【0028】
次に、この実施例2の光ディスク装置における光ディスク1上のセクタデータを書き換えるためのリードモディファイライトの動作について説明する。この動作がこの発明に係る他の情報記録再生方法の処理に相当する。
まず、アドレス検出回路13によって、書き換え対象のセクタデータを含む1ECCブロックの先頭のセクタアドレスを検出するために、光ヘッド3を光ディスク1の半径方向に移動させる。検出されたセクタアドレスから、1ECCブロック分のデータを検出し、誤り訂正符号化復号化回路17に入力する。
そして、誤り訂正符号化復号化回路17内のメモリ30にセクタデータとパリティデータを記憶し、そのパリティデータを使用してセクタデータの誤り訂正を行う。
【0029】
次に、誤り訂正符号化復号化回路17にホストコンピュータ又は中央処理部から書き換えるセクタデータを入力し、メモリ30上でセクタデータを書き換える。
その後、書き換えたセクタデータに関係するパリティデータのみを生成し、メモリ30に記憶する。そして、光ディスク1にデータを記録する時の手順で、メモリ30上の1ECCブロック分のデータを光ディスク1に記録する。
このように、多値データ記録の光ディスク装置において、リードモディファイライト時に、書き換えたセクターデータに関係する誤り訂正用データ(PIデータ、POデータ)のみを生成すると、演算回数が減少し、光ディスクのデータの書き換え時間を短縮することができる。
【0030】
次に、さらに詳しく光ディスク1上のセクタデータを書き換えるためのリードモディファイライトの動作について説明する。
図6は、2KB(=2048バイト)のユーザデータやそのアドレス等からなるセクタデータのデータ構成を示す図である。
図7は、セクタデータに含まれるデータの種類とそのバイト数を示した図である。
ディスク識別子(Identification Data:ID)は、光ディスクが読み出し専用か書き換え可能か、データの記録層が1層か多層か等の光ディスクの種類を識別するための情報データである。
セクタアドレスは、2KB毎のユーザデータに割り当てられた光ディスク上のアドレスデータである。
【0031】
アドレスECCは、4バイトのアドレスデータに付加する誤り訂正用のデータである。
付加情報は、今後の拡張性及びユーザ情報、生産者情報、著作権保護などのユーザデータに対する付加情報を示すデータである。
ユーザデータは、2KBの画像データや音声データ、コンピュータソフトウェア等のコンテンツを構成するデータである。
エラー・ディテクション・コード(Error Detection Code:EDC)は、1セクタデータ内のID、セクタアドレス、アドレスECC、付加情報、ユーザデータに対して付加される誤り検出用データである。
以上の2079バイトをここではセクタデータと呼ぶ。
【0032】
図6に示すように、セクタデータは693バイト×3行で構成される。
1行のビット数は、次式から5544ビットであり、11ビットを1ワードとすると、504ワードになる。
693バイト×8ビット=5544ビット=11ビット×504ワード
11ビットの2値データを4個の8値データに変調して、光ディスクに多値データ記録を行っている。
従って、セクタデータの1行分が11ビットからなるワードデータで構成されていると、多値データへの変換に都合が良い。
図8は、64個のセクタデータからPIデータ、POデータを生成して付加した1ECCブロックデータのフォーマットの図である。DVDのECCブロックデータのフォーマットと同様に、まずPOデータから生成し、次にPIデータを生成する。
【0033】
この実施例2では、1バイトのデータを11ビットの1ワードのデータに書き換える。
1行内の504ワード(=504列)のデータに対して、504列×16行(ワード)分のPOデータを生成する。さらに、208行分のデータに対して、26ワード×208行のPIデータを生成する。
1行あるいは1列分のセクタデータを入力して、1行あるいは1列分のPIデータあるいはPOデータを生成する演算を1回の演算と呼ぶと、1ECCブロックにおけるPIデータ、POデータの演算回数及びその合計は下記に示す回数になる。
POデータ生成:504回
PIデータ生成:208回
合計 :712回
このような演算処理を行ったのち、11ビットの2値データを4個の8値データに変調して、ECCブロック単位でデータを書換型光ディスクに記録する。
【0034】
次に、さらに詳しく光ディスク1上のセクタデータを書き換えるためのリードモディファイライトの動作について説明する。
まず、書き換え対象のセクタデータを含むECCブロックのデータを光ディスク1から読み取り、図8に示したECCブロックフォーマットの形式で光ディスク装置内のメモリ30に入力する。
例えば、書き換え対象のセクタデータが、第3セクタ50のみの場合は、第3セクタ50のセクタデータを新たなセクタデータに書き換える。
【0035】
さらに、変更が必要な第3セクタ50のPIデータ51(3行)とPOデータ52(504列)、及びPOデータ52のPIデータ53(16行)を生成する。その時の演算回数を以下に示す。
POデータ生成:504回
PIデータ生成: 19回
合計 :523回
このように、多値データ記録における光ディスク1のリードモディファイライト時にも、書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データ(PIデータ、POデータ)のみを生成すると、演算回数が減少し、光ディスクのデータの書き換え時間を短縮することができる。
【0036】
図9は、ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報である書き換えセクタ情報のフォーマットを示す図である。同図の(a)〜(d)は一つながりのデータであり、図中の1〜64はECCブロックデータ内のセクタ番号を示す。
1ECCブロックデータには64セクタデータが含まれるので、64ビットのデータを使用し、1ビットに1セクタデータを割り当てている。
1ビットのデータが“0”の時はセクタデータの書き換えが無かった事を示し、“1”の時はセクタデータの書き換えがあった事を示す。
リードモディファイライト時には、誤り訂正符号化復号化回路17に対して、中央処理部から、図9に示したデータ形式で、1ECCブロックデータ内のどのセクタデータを書き換えたかの情報を入力する。
こうする事により、少ないデータ量で1ECCブロックデータ内の全セクタデータの書き換え状況が効率良く伝わる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明による情報記録再生方法と情報記録再生装置とデータ処理回路は、デスクトップパソコン,ノートブックパソコン等のパーソナルコンピュータにおいても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の情報記録再生装置の実施例1である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す誤り訂正符号化復号化回路9の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】リードモディファイライト動作の説明に供するECCブロックデータのフォーマットの図である。
【図4】ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報である書き換えセクタ情報のフォーマットを示す図である。
【図5】この発明の情報記録再生装置の実施例2である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【0039】
【図6】2KB(=2048バイト)のユーザデータやそのアドレス等からなるセクタデータのデータ構成を示す図である。
【図7】セクタデータに含まれるデータの種類とそのバイト数を示した図である。
【図8】64個のセクタデータからPIデータ、POデータを生成して付加した1ECCブロックデータのフォーマットの図である。
【図9】ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報である書き換えセクタ情報のフォーマットを示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1:光ディスク 2:モータ 3:光ヘッド 4:演算増幅回路 5:サーボ回路 6:レーザ駆動回路 7,15:同期信号付加回路 8,14:変調回路 9,17:誤り訂正符号化復号化回路 10,20:波形等化回路 11:2値化回路 12,18:PLL及び同期検出回路 13:アドレス検出回路 16:多値化回路 19:AD変換回路 21:多値判定回路 30:メモリ 31:パリティ生成回路 32:制御回路 33:誤り訂正回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータを再生し、該再生したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換え、該書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成し、該生成した誤り訂正用データを前記読み出したブロックデータに付加して前記記録媒体に記録することを特徴とする情報記録再生方法。
【請求項2】
記録媒体から3値以上の多値データを再生し、該再生した多値データを複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータに変換し、該変換したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換え、該書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成し、該生成した誤り訂正用データを前記読み出したブロックデータに付加して3値以上の多値データに変換し、該変換した多値データを前記記録媒体に記録することを特徴とする情報記録再生方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の情報記録再生方法において、前記ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報に基づいて、前記書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成することを特徴とする情報記録再生方法。
【請求項4】
記録媒体から複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータを再生する手段と、該手段によって再生したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換える手段と、該手段によって書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段と、該手段によって生成した誤り訂正用データを前記読み出したブロックデータに付加して前記記録媒体に記録する手段とを備えたことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項5】
記録媒体から3値以上の多値データを再生する手段と、該手段によって再生した多値データを複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータに変換する手段と、該手段によって変換したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換える手段と、該手段によって書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段と、該手段によって生成した誤り訂正用データを前記読み出したブロックデータに付加して3値以上の多値データに変換する手段と、該手段によって変換した多値データを前記記録媒体に記録する手段とを備えたことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の情報記録再生装置において、前記誤り訂正用データを生成する手段は、前記ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報に基づいて、前記書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段であることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項7】
複数個のセクタデータに誤り訂正用データを付加したブロックデータを記憶する手段と、該手段に記憶したブロックデータの書き換え対象のセクタデータを書き換える手段と、該手段によって書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段と、該手段によって生成した誤り訂正用データを前記読み出したブロックデータに付加する手段とを備えたことを特徴とするデータ処理回路。
【請求項8】
請求項7記載のデータ処理回路において、前記誤り訂正用データを生成する手段は、前記ブロックデータ内の書き換え対象のセクタデータの位置情報に基づいて、前記書き換えたセクタデータに関係する誤り訂正用データを生成する手段であることを特徴とするデータ処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−59414(P2006−59414A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238340(P2004−238340)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】