説明

情報記録再生装置、ギャップ制御方法及びコンピュータプログラム

【課題】チルト変化に応じた適切なギャップ制御を実施する。
【解決手段】ディスク状の情報記録媒体100に光LBを照射する光源LDと、近接場光を生じさせる固体浸レンズ11と、照射された光の一部を固体浸レンズを介して媒体表面に集光する光学系10と、光の他の一部に起因する固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段40と、エラー信号に基づいて媒体表面及び固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段60と、情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、チルト量に基づいて固体浸レンズ及び媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出手段70と、限界距離がギャップ制御手段により制御される媒体表面及び固体浸レンズ間のギャップよりも大きくなる場合、ギャップを一時的または連続的に限界距離以上に変更するギャップ変更手段60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、固体浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)を備え、近接場光を利用した情報記録再生装置、該情報記録再生装置が記録再生する記録媒体の媒体表面と固体浸レンズとの間のギャップを制御するギャップ制御方法及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置では、固体浸レンズが記録媒体に近接して配置されるため、固体浸レンズが記録媒体に衝突することを回避するための適切なギャップ制御を行うことが重要となる。このため、例えば、特許文献等では、ギャップエラー信号によるサーボ制御を行う光情報記録再生装置に関する技術が開示されている。具体的には、フォーカスエラー信号によりサーボ制御を行い、サーボをクローズした状態で、固体浸レンズをニアフィールド領域に近接させた状態、即ち、固体浸レンズを近接場領域内に近接した状態にするべく制御目標値を変更するために、エキスパンダレンズを移動させ、その後、ギャップエラー信号によるサーボ制御を行う技術が開示されている。
【0003】
ところで、従来の記録再生装置に用いられるファーフィールド光学系では、記録媒体とレンズ間のギャップが比較的大きく、例えば、記録媒体とレンズとの間の相対的なチルト量が比較的大きい場合でも、サーボクローズ後に記録媒体とレンズが接触することはなかった。しかしながら、近接場光を用いたニアフィールド光学系では、上述したように、固体浸レンズが記録媒体に近接して配置され、両者の相対的なギャップが十数nm(ナノメートル)乃至数百nmに維持される。このため、情報記録媒体と固体浸レンズとのチルト量の微小な変化であっても、サーボクローズ後に情報記録媒体と固体浸レンズとが接触してしまう虞がある。接触によってディスクの記録面への傷や固体浸レンズの底面の削れが生じる可能性があり、記録再生装置や記録媒体が利用不可能になってしまう虞がある。このため、ギャップを維持するためのサーボ制御には、このようなチルトによる影響を考慮する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、固体浸レンズのディスク接線方向におけるチルト量を所定の許容チルト量と比較し、チルト量が許容外である場合に動作を停止して、チルト量を調節する構成が開示されている。また、特許文献2には、チルトセンサにより、固体浸レンズとディスク表面とのチルト量を検出し、面ぶれのピーク値を検出する構成が開示されている。また、特許文献3には、複数の静電容量端子から検出した容量に基づいてレンズアクチュエータのチルト補正を行い、レンズアクチュエータの媒体への衝突を防止する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−500775号公報
【特許文献2】特開2006−338712号公報
【特許文献3】特開2002−312967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1及び3の構成では、チルト量を調節するためのチルトサーボ機構を採用しているため、従来の2軸アクチュエータに更にタンジェンシャル方向とラジアル方向のチルト補正用の2軸を加えた4軸アクチュエータが必要となり、装置構成上のコストアップを招く。また、特許文献2の構成では、サーボクローズ中の動作については言及されておらず、サーボクローズ中に記録媒体と固体浸レンズとが接触してしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、チルトサーボ制御を用いることなく、比較的簡単な構成で、情報記録媒体と固体浸レンズとの間のチルト量の変動が生じる場合にも、情報記録媒体と固体浸レンズとの間で衝突が生じない好適なギャップ制御が可能な情報記録再生装置、ギャップ制御方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の情報記録再生装置は、ディスク状の情報記録媒体に光を照射する光源と、前記情報記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段と、前記エラー信号に基づいて前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段と、前記情報記録媒体と前記固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、前記チルト量に基づいて前記固体浸レンズ及び前記媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出手段と、前記限界距離が前記ギャップ制御手段により制御される前記媒体表面と前記固体浸レンズとの間のギャップよりも大きくなる場合、前記ギャップを一時的または連続的に前記限界距離以上に変更するギャップ変更手段とを備える。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のギャップ制御方法は、ディスク状の情報記録媒体に光を照射する光源と、前記情報記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段と、前記エラー信号に基づいて前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段とを備える情報記録再生装置のギャップ制御方法であって、前記情報記録媒体と前記固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、前記チルト量に基づいて前記固体浸レンズ及び前記媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出工程と、前記限界距離が前記ギャップ制御手段により制御される前記媒体表面と前記固体浸レンズとの間のギャップよりも大きくなる場合、前記ギャップを一時的または連続的に前記限界距離以上に変更するギャップ変更工程とを備える。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のコンピュータプログラムは、ディスク状の情報記録媒体に光を照射する光源と、前記情報記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段と、前記エラー信号に基づいて前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段と、前記情報記録媒体と前記固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、前記チルト量に基づいて前記固体浸レンズ及び前記媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出手段と、前記限界距離が前記ギャップ制御手段により制御される前記媒体表面と前記固体浸レンズとの間のギャップよりも大きくなる場合、前記ギャップを一時的または連続的に前記限界距離以上に変更するギャップ変更手段とを備える情報記録再生装置に備えられるコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを前記信号生成手段、前記ギャップ制御手段、前記チルト検出手段、前記ギャップ変更手段の少なくとも一部として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例の情報記録再生装置の基本的な構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例のチルト制御部に係る基本的な構成を示すブロック図である。
【図3】光ディスクと固体浸レンズとの間のチルトの一例を示す説明図である。
【図4】本実施例のチルト制御部に係る基本的な構成を示すブロック図である。
【図5】本実施例のギャップ制御の基本的な動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】ギャップ制御に係るチルト量及びギャップ目標値のプロファイルを示すグラフである。
【図7】ギャップ変更に伴うRF振幅及びRFゲイン目標値の変更の態様を示すグラフである。
【図8】本実施例のメカチルト補正の基本的な動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】メカチルト補正に係るチルト量及びギャップ目標値のプロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(情報記録再生装置の実施形態)
本発明の情報記録再生装置の実施形態は、ディスク状の情報記録媒体に光を照射する光源と、前記情報記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段と、前記エラー信号に基づいて前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段と、前記情報記録媒体と前記固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、前記チルト量に基づいて前記固体浸レンズ及び前記媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出手段と、前記限界距離が前記ギャップ制御手段により制御される前記媒体表面と前記固体浸レンズとの間のギャップよりも大きくなる場合、前記ギャップを一時的または連続的に前記限界距離以上に変更するギャップ変更手段とを備える。
【0013】
本発明の情報記録再生装置の実施形態によれば、例えば半導体レーザである光源から出射された光の一部は、対物レンズによって、固体浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)を介して、例えば光ディスクである記録媒体の媒体表面に集光される。固体浸レンズは、記録媒体の媒体表面に近接して配置されているが、ここでの「近接して」とは、情報記録媒体と固体浸レンズとの間のギャップ(言い換えれば、相対的な距離)が、固体浸レンズによる近接場光を情報の読み取りに利用できる程度に小さいことを示す趣旨である。情報記録媒体と固体浸レンズとの間のギャップは、例えば、十数nm(ナノメートル)或いは数十nmから、百数十nm或いは数百nm程度であり、その具体的な値は、個別具体的な光学系のシステムに応じて設定される。
【0014】
光源から出射された光の他の一部は、固体浸レンズの底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズに入射し、固体浸レンズの底部で全反射される。ここに、本発明に係る「固体浸レンズの底部」とは、固体浸レンズの記録媒体に対向する側をいう。固体浸レンズが近接場領域内で媒体表面に近接している場合、光の他の一部に起因して近接場光が記録媒体へ向かって固体浸レンズを透過する。
【0015】
信号生成手段は、受光素子、及び該受光素子から出力された信号を処理してギャップを制御するためのエラー信号(所謂、ギャップエラー信号)を生成する回路を含んで構成されており、固体浸レンズの底部からの反射光を、該固体浸レンズを介して受光して、ギャップエラー信号を出力する。ここに、「固体浸レンズの底部からの反射光を、該固体浸レンズを介して受光して」とは、「固体浸レンズに入射した光の他の一部のうち、該固体浸レンズの底部で全反射され、該固体浸レンズから出射した光を受光して」という意味である。
【0016】
従って、典型的には、固体浸レンズの底部からの反射光の光強度が、エラー信号として出力される。この場合、固体浸レンズに入射した光の他の一部の全てが固体浸レンズの底部において全反射される距離(即ち、近接場光が固体浸レンズを透過しない距離)では、信号レベルが一定となり、その距離よりも媒体表面に接近すると近接場光が固体浸レンズを透過する分だけ、反射光に係る信号レベルが減ずるように変化する、エラー信号が出力される。このようなエラー信号によれば、情報記録媒体と固体浸レンズとの間のギャップを検出することが可能となる。
【0017】
ギャップ制御手段は、例えば、信号比較用の処理回路、アクチュエータ及び該アクチュエータを制御するためのコントローラを含んで成り、エラー信号に基づき情報記録媒体と固体浸レンズとの間のギャップが所定のギャップ目標値を維持するよう、例えば固体浸レンズの位置を調整する。具体的には、ギャップ制御手段は、予め決定される情報記録媒体と固体浸レンズとの間のギャップ目標値とエラー信号により示される情報記録媒体と固体浸レンズとの間のギャップ(言い換えれば、観測値)とを比較し、算出される差分を補正するよう、固体浸レンズを移動させる。尚、エラー信号に基づく情報記録媒体と固体浸レンズとのギャップ制御(言い換えれば、フォーカス制御)は、固体浸レンズと媒体表面とが近接場光が透過する近接場領域内に近接した場合でないと実施出来ない。このため、近接場光が透過しない近接場領域外においては、公知のフォーカスエラー信号に基づくフォーカス制御が実施されても良い。
【0018】
更に、本発明の情報記録再生装置の実施形態は、情報記録媒体と固体浸レンズとの間の相対的なチルト量(言い換えれば、チルト角)を検出するチルト検出手段及び該チルト量に基づき、ギャップ制御手段により制御されるギャップを変更するギャップ変更手段を備える。
【0019】
チルト検出手段は、例えば、チルトセンサなどのチルト量検出装置を用いて、または情報記録媒体と固体浸レンズとの間の面振れ量に基づいて、情報記録媒体と固体浸レンズとの間の相対的なチルト量を検出する。上述したように、近接場光を用いる情報記録再生装置においては、情報記録媒体と固体浸レンズとの間のギャップが十数nm乃至数百nmと小さいため、適切なギャップが維持されている場合であっても、情報記録媒体と固体浸レンズとの間に生じる相対的なチルト量によっては、固体浸レンズ底面の縁部が情報記録媒体に接触してしまう可能性がある。
【0020】
そこで、チルト検出手段は、検出されたチルト量に基づいて、情報記録媒体と固体浸レンズとが接触しないで接近可能な限界距離を示す限界距離を算出する。一般的に、情報記録媒体と固体浸レンズとの間の相対的なチルトには、情報記録媒体におけるディスク半径方向の傾きであるラジアルチルトと、半径方向に直行する方向の傾きであるタンジェンシャルチルトとがある。このため、チルト検出手段は、例えば、ラジアルチルトのチルト量とタンジェンシャルチルトのチルト量とを夫々絶対値化し、総合的なチルト量を算出する。具体的には、ラジアルチルトのチルト量をθr、タンジェンシャルチルトのチルト量をθtとすると、総合的なチルト量θは、以下の式より算出される。
【0021】
【数1】

【0022】
また、算出された総合的なチルト量θに基づく、情報記録媒体と固体浸レンズとの間の限界距離dmは、固体浸レンズの底面の半径をrとすると、以下の式より算出される。
【0023】
【数2】

【0024】
ギャップ変更手段は、ギャップ制御手段により決定される情報記録媒体と固体浸レンズとの間のギャップ(つまり、予め決定されるギャップ目標値)と、チルト検出手段により算出される限界距離とに基づき、制御されるギャップ目標値を変更する。具体的には、ギャップ目標値と限界距離とを比較し、限界距離がギャップ目標値より大きい場合、媒体表面及び固体浸レンズ間のギャップが少なくとも限界距離以上となるよう、ギャップ目標値を一時的に変更する。このため、チルト量の変動に起因して情報記録媒体と固体浸レンズとの間の限界距離が所定のギャップ間隔より大きくなる場合に、情報記録媒体と固体浸レンズとのギャップを適切に調整することが出来、両者の接触を回避出来る。
【0025】
以上、説明したように、本発明の情報記録再生装置の実施形態によれば、特別なチルトサーボ機構を用いることなく、情報記録媒体と固体浸レンズとの間の接触を回避する事が可能となる。これは、装置構成や、コスト面から有益である。
【0026】
また、情報記録媒体と固体浸レンズとの間のチルト量を監視することで、ギャップの変更を実施するため、例えば、フォーカスのためのサーボクローズ中であっても、ギャップの制御が可能となり、接触を回避する事が可能となる。
【0027】
この結果、情報記録媒体と固体浸レンズのチルト量が比較的大きい箇所でも、情報記録媒体と固体浸レンズの接触を回避する事が可能となる。
【0028】
本発明の情報記録再生装置の実施形態の一の態様は、前記情報記録媒体に対する前記固体浸レンズの角度を変更するチルト調整手段を更に備える。
【0029】
この態様によれば、チルト調整手段の動作により、情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的な角度を変更することが出来る。このとき、チルト調整手段は、固体浸レンズの設置角度を変更することで、情報記録媒体に対する相対的な角度を変更しても良く、また、固体浸レンズが配置される光ピックアップの設置角度を変更しても良い。このようなチルト調整手段は、例えば、固体浸レンズを傾けるレンズチルトや、固体浸レンズや光源が配置される光ピックアップを傾けることで、固体浸レンズと情報記録媒体との相対角度を変更するメカチルトなどのメカチルト機構である。
【0030】
このため、チルト調整手段の動作によれば、情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的な角度を物理的に変更することが可能となる。このため、後に詳述するように、情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的なチルト量を好適に低減させることが出来、該チルト量に起因する情報記録媒体と固体浸レンズとの限界距離をより小さくすることが可能となる。
【0031】
本発明の情報記録再生装置の実施形態の他の態様は、前記チルト検出手段は、前記情報記録媒体の半径方向に傾くチルトのうち、前記情報記録媒体が一回転する間に変動が生じない直流成分を検出し、前記チルト調整手段は、前記直流成分が0となるように前記情報記録媒体に対する前記固体浸レンズの角度を変更する。
【0032】
一般的にディスク状の情報記録媒体においては、半径方向にディスクの反りが生じることから、半径方向における集光位置が変動するにつれて、情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的なチルト量(すなわち、半径方向のチルト量)が変動する。このとき、典型的には半径方向の集光位置がディスクの外周側に向かうにつれて、ディスクの反りが大きくなるため、チルト量も大きくなる傾向がある。
【0033】
他方で、該ディスクの反りに起因する情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的なチルト量は、半径方向において同一の位置にある限り、ディスクの回転に応じて変動することがない、所謂直流成分である。
【0034】
この態様によれば、上述したようなディスクの反りに起因する直流成分である情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的なチルト量が0となるように、チルト調整手段の動作によって情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的な角度が変更される。
【0035】
また、このようなディスクの反りに起因するチルト量は、ディスクの回転角に応じて変動することが無く、情報記録媒体に対する記録または再生時には比較的緩やかに変動する。このため、チルト調整手段による情報記録媒体に対する固体浸レンズの角度の変更制御は、比較的低速の処理で十分となる。
【0036】
このように構成することで、比較的反応速度が低いメカチルト機構を用いたとしても、好適に情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的なチルト量を好適に低減させることが出来、該チルト量に起因する情報記録媒体と固体浸レンズとの限界距離をより小さくすることが可能となる。
【0037】
本発明の情報記録再生装置の実施形態の他の態様は、前記チルト検出手段は、前記情報記録媒体の半径方向に直交するタンジェンシャル方向の一方に傾くチルトを正のチルト、前記正のチルトとは反対側に傾くチルトを負のチルトとする場合、前記情報記録媒体が一回転する間の正のチルト量の最大値及び負のチルト量の最小値の夫々を検出し、前記チルト調整手段は、前記情報記録媒体が一回転する間の前記正のチルト量の最大値及び前記負のチルト量の最小値の中間値が0となるように、前記情報記録媒体に対する前記固体浸レンズの角度を変更する。
【0038】
この態様によれば、チルト調整手段の動作により、情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的なチルト量のうち、ディスクのタンジェンシャル方向のチルト量を低減することが可能となる。
【0039】
ディスクのタンジェンシャル方向のチルトとは、例えば、情報記録媒体に対する固体浸レンズの傾きや、ディスク表面の傷や凹凸に起因するものなどがある。これらのチルトの多くは、ディスクの回転に応じて変動するため、個々のチルトに応じて情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的な角度を変更するためには、極めて高速度での処理が必要となり、現実的ではない。
【0040】
他方、この態様のチルト調整手段によれば、ディスクの一回転内における正のチルト量(つまり、一のタンジェンシャル方向への傾きのチルト量)の最大値及び負のチルト量(つまり、他のタンジェンシャル方向への傾きのチルト量)の最小値の中間値が0となるように、情報記録媒体に対する固体浸レンズの角度を変更される。このような動作によれば、ディスクの一回転内における正のチルト量の絶対値と、負のチルト量の絶対値とが同一となるよう情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的な角度が調整される。このため、ディスクの一回転中にタンジェンシャル方向のいずれか一方により傾くチルトが生じている場合、該チルト量を低減させることが出来る。
【0041】
このように構成することで、比較的反応速度が低いメカチルト機構を用いたとしても、好適に情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的なチルト量を好適に低減させることが出来、該チルト量に起因する情報記録媒体と固体浸レンズとの限界距離をより小さくすることが可能となる。
【0042】
本発明の情報記録再生装置の実施形態の他の態様は、前記エラー信号及び前記ギャップの少なくとも一方に基づき、前記光の強度をフィードフォワード的に制御する信号強度制御手段を更に備える。
【0043】
この態様によれば、上述した情報記録媒体と固体浸レンズとの相対的なチルト量に起因する限界距離に応じて、媒体表面と固体浸レンズとのギャップを一時的に広げる場合に、媒体表面から得られるRF信号のゲインを一定の品質に保てるよう、光源が照射する光の強度をフィードフォワード的に制御する。
【0044】
このように構成すれば、ギャップが一時的に変更される場合であっても、一定のRF信号の振幅を得ることが出来、データの記録または再生時のエラーレートの劣化を抑制することが可能となる。
【0045】
(ギャップ制御方法の実施形態)
本発明のギャップ制御方法の実施形態は、ディスク状の情報記録媒体に光を照射する光源と、前記情報記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段と、前記エラー信号に基づいて前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段とを備える情報記録再生装置のギャップ制御方法であって、前記情報記録媒体と前記固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、前記チルト量に基づいて前記固体浸レンズ及び前記媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出工程と、前記限界距離が前記ギャップ制御手段により制御される前記媒体表面と前記固体浸レンズとの間のギャップよりも大きくなる場合、前記ギャップを一時的または連続的に前記限界距離以上に変更するギャップ変更工程とを備える。
【0046】
本発明のギャップ制御方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の情報記録再生装置に係る実施形態が享受することが出来る各種効果と同様の効果を享受しながら、情報記録媒体にデータを記録すると共に、情報記録媒体に記録されたデータを再生することが出来る。
【0047】
尚、上述した本発明の情報記録再生装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のギャップ制御方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0048】
(コンピュータプログラムの実施形態)
本発明のコンピュータプログラムの実施形態は、ディスク状の情報記録媒体に光を照射する光源と、前記情報記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段と、前記エラー信号に基づいて前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段と、前記情報記録媒体と前記固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、前記チルト量に基づいて前記固体浸レンズ及び前記媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出手段と、前記限界距離が前記ギャップ制御手段により制御される前記媒体表面と前記固体浸レンズとの間のギャップよりも大きくなる場合、前記ギャップを一時的または連続的に前記限界距離以上に変更するギャップ変更手段とを備える情報記録再生装置に備えられるコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを前記信号生成手段、前記ギャップ制御手段、前記チルト検出手段、前記ギャップ変更手段の少なくとも一部として機能させる。
【0049】
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の情報記録再生装置に係る実施形態を比較的簡単に実現出来る。
【0050】
尚、上述した本発明の情報記録再生装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
【0051】
上述したように、本発明の情報記録再生装置の実施形態によれば、光源と、固体浸レンズと、光学系と、信号生成手段と、ギャップ制御手段と、チルト検出手段と、ギャップ変更手段とを備える。本発明のギャップ制御方法の実施形態は、光源と、固体浸レンズと、光学系と、信号生成手段と、ギャップ制御手段とを備える情報記録再生装置のギャップ制御方法であって、チルト検出工程と、ギャップ変更工程とを備える。本発明のコンピュータプログラムの実施形態によれば、光源と、固体浸レンズと、光学系と、信号生成手段と、ギャップ制御手段と、チルト検出手段と、ギャップ変更手段とを備える。本発明のギャップ制御方法の実施形態は、光源と、固体浸レンズと、光学系と、信号生成手段と、ギャップ制御手段とを備える情報記録再生装置に備えられるコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、該コンピュータを信号生成手段、ギャップ制御手段、チルト検出手段、ギャップ変更手段の少なくとも一部として機能させる。
【0052】
従って、近接場光を用いてデータの記録または再生する場合における、固体浸レンズと情報記録媒体との間のチルト変化に応じた適切なギャップ制御を実施することが出来る。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0054】
(1)情報記録再生装置の構成例
先ず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る基本構成について説明する。ここに、図1は、実施形態に係る情報記録再生装置の全体構成を図式的に示すブロック図である。実施形態に係る情報記録再生装置は、固体浸レンズからの戻り光に基づく、固体浸レンズと光ディスクとのギャップ制御における固体浸レンズの引き込み動作、所謂、合焦点動作を実行する
図1に示されるように、実施形態に係る情報記録再生装置1は、光ディスク100にレーザ光を出射すると共に、光ディスク100からのレーザ光を受光する光ピックアップ10、スピンドルモータ20、スピンドルサーボ機構30、エラー信号生成部40、位相補償部50、レンズ駆動部60及びチルト制御部70を備えて構成されている。
【0055】
光ピックアップ10は、本発明の光源、固体浸レンズ及び光学系の一具体例を構成する部材であって、固体浸レンズ(SIL:Solid Immersion Lens)11、レンズアクチュエータ12、対物レンズ13、レーザダイオードLD(Laser Diode)、受光素子PD(Photo Detector)を備えて構成されている。
【0056】
データの記録または再生時には、不図示のレーザダイオードドライバの制御のもと、レーザダイオードLDから照射される光LBが、光ディスク100の記録面上に照射される。その結果、光ディスク100の記録面上に、データに応じたデータパターンが形成されることでデータの記録が行われたり、記録面上のデータパターンが読み取られることでデータの再生が行われる。
【0057】
より詳細には、レーザダイオードLDから出射した光LBは、夫々不図示のコリメータレンズ、回折格子、ビームシェイパ、無偏光ビームスプリッタ、偏光ビームスプリッタ、エキスパンダ、四分の一波長板、及びミラーなどを介して、対物レンズ13に到達する。光LBの一部は、該対物レンズ13によって、固体浸レンズ11を介して光ディスク100の媒体表面に集光される。
【0058】
光LBの他の一部は、固体浸レンズ11の底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズ11に入射し、全反射されて、戻り光となり、固体浸レンズ11から出射する。戻り光は、対物レンズ13、ミラー、四分の一波長板、エキスパンダ、偏光ビームスプリッタ、無偏光ビームスプリッタ、及び集光レンズなどを介して、受光素子PDに入射する。受光素子PDは、該受光した戻り光の光量に応じた信号をギャップエラー信号として、不図示のA/D変換器を介してエラー信号生成部40に出力する。
【0059】
固体浸レンズ11及び光ディスク100の媒体表面間のギャップが比較的小さい(例えば、約200nm以下)、所謂ニアフィールド領域内では、固体浸レンズ11の底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズ11に入射した光の一部が近接場光として、光ディスク100の媒体表面に出射される。尚、近接場領域における固体浸レンズの底面(即ち、光ディスク100に最も近い固体浸レンズの面)と、光ディスク100の記録面との距離をギャップまたはギャップ長と称す。
【0060】
一方、固体浸レンズ11の底面と光ディスク100の媒体表面とのギャップが比較的大きい(例えば、数百μm(マイクロメートル))ファーフィールド状態では、戻り光量に応じた、ファーフィールド位置制御用のフォーカスエラー信号が生成され、該フォーカスエラー信号を用いたギャップの制御(所謂、公知のフォーカスエラー制御)が実施されても良い。
【0061】
スピンドルモータ20は、光ディスク100を回転及び停止させるもので、光ディスク100へのアクセス時に動作する。より詳細には、スピンドルモータ20は、スピンドルサーボ機構30により回転のオンオフや、回転速度の制御を受けつつ、光ディスク100を回転及び停止させるように構成されている。
【0062】
エラー信号生成部40は、本発明の「信号生成手段」の一具体例であって、近接場領域において、光ピックアップ10の受光素子PDにおいて生成される、戻り光量に応じたギャップエラー信号と、予め設定されるギャップ目標値dtとを比較することにより、本発明のエラー信号の一具体例であるニアフィールド位置制御信号を生成する。具体的には、ギャップ目標値dtからギャップエラー信号の減算を行い、算出された差分を補正するようアクチュエータ12の駆動を指示するためのニアフィールド位置制御信号を生成する。
【0063】
一般的に、ギャップ長が、光源波長の約「1/2」以下になると近接場領域になる。例えば光源が青紫色レーザである場合、照射された光の波長はおよそ400nmであり、近接場領域におけるギャップ長は200nm以下となる。
【0064】
近接場領域においてギャップ長が短くなるに従って、近接場光が光ディスク100へ向かって固体浸レンズ11を透過することにより、受光素子PDに入射する戻り光量が低下する。具合的には、近接場領域では、上述したように、固体浸レンズ11の底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズ11に入射した光LBの一部は、近接場光として光ディスク100の媒体表面に出射される。このため、戻り光の光量が減少し、受光素子PDに入射する戻り光量に応じたギャップエラー信号の信号レベルも減少する。
【0065】
他方、固体浸レンズ11及び対物レンズ13が、近接場領域から離れてギャップ長が大きくなるに従って、近接場光は光ディスク100へ向かって固体浸レンズ11を透過せず固体浸レンズを介して戻り光が受光素子PDに到達するので、戻り光量は増加し、ある光量において一定となる。具体的には、近接場領域外の領域では、固体浸レンズ11の底部における臨界角以上の角度で固体浸レンズ11に入射した光は、全反射によりその全てが戻り光となる。このため、受光素子PDに入射する戻り光量に応じたギャップエラー信号の信号レベルは一定となる。
【0066】
このため、受光素子PDに入射する戻り光量を検出することにより、ギャップ長を一意に検出することが出来る。エラー信号生成部40は、受光素子PDに入射する戻り光量に応じたギャップエラー信号に基づいて、近接場領域における固体浸レンズの底面と、光ディスク100の記録面との相対距離を一義的に検出可能に構成されている。
【0067】
エラー信号生成部40において生成されるニアフィールド位置制御信号は、位相補償部50に入力される。位相補償部50において位相補償されたニアフィールド位置制御信号は、レンズ駆動部60に入力される。このようなニアフィールド位置制御信号に応じて、レンズ駆動部60によって、駆動電流が生成され、光ピックアップ10の構成要素である固体浸レンズ11のアクチュエータ12に駆動電流が供給される。アクチュエータ12は、供給される駆動電流に従って、固体浸レンズ11を光軸方向に移動させることで、光ディスク100と固体浸レンズ11の底面との距離であるギャップ長を変化させる。
【0068】
このような、受光素子PD、エラー信号生成部40、位相補償部50、レンズ駆動部60、アクチュエータ12により構成される制御ループは、本発明のギャップ制御手段の一具体例であって、近接場領域における固定浸レンズ11の位置制御(つまり、ギャップ制御)を実施する。尚、位相補償部50は、該制御ループにおけるネガティブフィードバックを実施するための制御手段として機能する。
【0069】
レンズ駆動部60は、入力されるニアフィールド位置制御信号に応じた駆動電流をアクチュエータ12に供給することで、アクチュエータ12を駆動させるためのドライバである。レンズ駆動部60はまた、後述するようにチルト制御部70からのギャップ変更信号の入力を受け、該ギャップ変更信号に基づき、固体浸レンズ11の位置(つまり、光ディスク100とのギャップ)を変更するよう、駆動電流をアクチュエータ12に供給する。
【0070】
チルト制御部70は、本発明のチルト検出手段及びギャップ変更手段の一具体例を構成する部材であり、固体浸レンズ11と光ディスク100との間の相対的なチルト量を検出可能に構成されている。また、チルト制御部70は、検出されたチルト量に基づき、ギャップ変更信号を生成して、レンズ駆動部60に供給する。このようなチルト制御部70の動作については後に詳述する。
【0071】
システム制御部300は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を含んで構成され、情報記録再生装置1の各部の動作を制御する。
【0072】
尚、上述した構成以外に、受光素子PDは、光ディスク100の記録面からの反射光を受光する受光素子を備え、固体浸レンズ11と光ディスク100とのギャップが比較的大きい、所謂ファーフィールド領域における合焦点動作を行うためのフォーカスエラー信号を生成し、エラー信号生成部40に出力するよう構成されていても良い。このような構成においては、エラー信号生成部40は、フォーカスエラー信号に基づく合焦点動作である、所謂公知のフォーカスサーボ制御を行うことで、近接場領域外での固体浸レンズ11と光ディスク100とのギャップの調整を実施する。
【0073】
(2)チルト制御部70の構成例
続いて、図2を参照して、本実施例に係るチルト制御部70の基本的な構成及び動作について説明する。ここに、図2(a)は、本実施例に係るチルト制御部70の基本的な構成を示すブロック図である。
【0074】
図2(a)に示されるように、チルト制御部70は、面振れ取得部71、データ処理部72及びギャップ目標値設定部73を備えて構成されている。また、チルト制御部70は、図1に示されるように、スピンドルサーボ機構30、位相補償部50、レンズ駆動部60の各部と接続され、信号の送受信により各種データの出入力を行っている。
【0075】
面振れ取得部71は、本発明のチルト検出手段の一具体例を構成する部材であって、スピンドルサーボ機構30からの光ディスク100の回転プロファイルを取得し、該回転に同期した光ディスク100の面振れ量を取得する。また、面振れ取得部71は、取得した面振れ量を微分することなどによって、固体浸レンズ11と光ディスク100とのチルト量を算出し、データ処理部72へと出力する。尚、面振れ取得部71は、光ディスク100の面振れ量に基づき、ラジアル方向及びタンジェンシャル方向の夫々のチルト量を算出可能に構成されている。
【0076】
ここで、図3を参照して、固体浸レンズ11と光ディスク100との間のチルトについて説明する。図3(a)に示されるように、チルトとは、固体浸レンズ11の底面と、光ディスク100の記録面との間の角度の誤差を示す趣旨である。このようなチルトは、図3(b)に示されるように、光ディスク100のラジアル方向における角度の誤差であるラジアルチルトθr及び、光ディスク100のタンジェンシャル方向における角度の誤差であるタンジェンシャルチルトθtより成っている。
【0077】
このような固体浸レンズ11と光ディスク100との間のチルトは、光ディスク100の回転軸と、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ30の回転軸との間に所定の角度が生じる場合などに生じると考えられる。また、光ディスク100の反りによって、特に、ラジアル方向のラジアルチルトが生じる。
【0078】
また、固体浸レンズ11と光ディスク100との間のラジアルチルト量θrと、タンジェンシャルチルト量θtの最大値及び最小値は、典型的には、光ディスク100が一回転する間に一定の周期を有している。この光ディスク100の一回転する間のチルト量の変動を検出することで、例えば、図6(b)に示されるようなチルトプロファイルが取得される。
【0079】
図2に戻り、説明を続ける。データ処理部72は、本発明のチルト検出手段の一部を構成する部材であって、入力されたラジアル方向のチルト量(以下、ラジアルチルト量θrと記載する)と、タンジェンシャル方向のチルト量(以下、タンジェンシャルチルト量θtと記載する)とに基づき、固体浸レンズ11と光ディスク100との総合的なチルト量θを算出する。尚、チルト量θは、例えば、以下の式に基づいて算出される。
【0080】
【数3】

【0081】
また、データ処理部72は、算出されたチルト量θに基づき、固体浸レンズ11と光ディスク100とが互いに接触せずに接近できる最小のギャップである限界距離dmを算出する。固体浸レンズの底面の半径をrとすると、以下の式より算出される。
【0082】
【数4】

【0083】
算出された限界距離dmは、ギャップ目標値設定部73へと入力される。
【0084】
ギャップ目標値設定部73は、本発明のギャップ変更手段の一具体例を構成する部材の一部であって、限界距離dmと、予め設定されるギャップ目標値dtとの比較を行い、dmがギャップ目標値dtより大きい場合、ギャップ目標値dtに限界距離dmを代入し、エラー信号生成部40へ出力する。エラー信号生成部40は、ギャップ目標値dtと、A/D変換器を介して戻り光量に応じたギャップエラー信号との入力を受け、ギャップ目標値dtからギャップエラー信号の減算を行い、ニアフィールド位置制御信号を生成する。該ニアフィールド位置制御信号は位相補償部50へと出力する。
【0085】
生成されたニアフィールド位置制御信号は、位相補償部50及びD/A変換器を介して、レンズ駆動部60に入力される。レンズ駆動部60は、入力される信号に基づき、固体浸レンズ11と光ディスク100とのギャップを変更するように、アクチュエータ12に対し、駆動電流を供給する。このため、供給される駆動電流に基づくアクチュエータ12の動作によれば、固体浸レンズ11と光ディスク100とのギャップが例えば、限界距離dmに変更される。
【0086】
尚、チルト制御部70は、光ディスク100の面振れ量を取得する方法とは異なる方法によって固体浸レンズ11と光ディスク100との間のチルト量を取得する構成であっても良い。例えば、図2(b)に示される、チルト制御部70bのように、チルト検出手段の一具体例として、チルトセンサ74を備え、該チルトセンサ74の動作によりチルト量を取得しても良い。
【0087】
また、情報記録再生装置1は、光ディスク100に対する固体浸レンズ11の角度、または光ディスク100に対する光ピックアップ10の角度を変更するためのメカチルトアクチュエータ14を備えて構成されていても良い。メカチルトアクチュエータ14は、例えば、公知のレンズチルト、またはメカチルト機構を実現する構成であり、例えば、システム制御部300、またはデータ処理部72の制御のもと、光ディスク100に対する固体浸レンズ11の角度、または光ディスク100に対する光ピックアップ10の角度(ひいては、固体浸レンズ11の角度)を変更する。図4(a)及び図4(b)は、このようなメカチルトアクチュエータ14を備える場合の、チルト制御部70c及びチルト制御部70dの構成を示すブロック図である。このようなメカチルトアクチュエータ14の具体的な動作については、後に詳述する。尚、図4(a)及び図4(b)に示されるブロック図おいて、図2(a)及び図2(b)と同様の構成については同一の符号を付して、説明を省略している。
【0088】
以上、説明したように、本実施例の情報記録再生装置1によれば、ギャップエラー信号に基づく固体浸レンズ11と光ディスク100との間のギャップ制御及び、固体浸レンズ11と光ディスク100の間のチルト量に基づくギャップ制御が実施される。このようなギャップ制御動作の詳細な流れについて、以下に説明する。
【0089】
(3)動作例
続いて、図5から図7を参照して、本実施例の情報記録再生装置1に係るギャップ制御動作の流れについて説明する。図5は、ギャップ制御動作の流れを示すフローチャートの一例であり、図6は、ギャップ制御動作に係るチルト量θ及びギャップ目標値dtのプロファイルを示すグラフである。図7は、後述するギャップ変更に伴うRFゲインの変更の態様を示すグラフである。
【0090】
図5に示されるように、ギャップ制御が開始されると、先ず、システム制御部300は、例えばメモリ内に格納されるデータを参照することにより、ギャップ目標初期値di及びRFゲイン初期値giを設定する(ステップS101)。
【0091】
続いて、システム制御部300は、ギャップ制御を実施する際のギャップ目標値dtに、設定されたギャップ目標初期値diを代入する。また、ギャップ制御を実施する際のRFゲインgtに、設定されたRFゲイン初期値giを代入する(ステップS102)。
【0092】
次に、チルト制御部70の面振れ取得部71または、チルトセンサ74は、固体浸レンズ11と光ディスク100との間のチルト量、すなわち、タンジェンシャルチルト量θt及びラジアルチルトθrを取得する(ステップS103)。
【0093】
次に、情報記録再生装置1がメカチルトアクチュエータ14を備える場合(つまり、チルト制御部の構成が、図4に示されるチルト制御部70cまたはチルト制御部70dである場合)である場合(ステップS104:Yes)、メカチルト補正処理が実施される(ステップS105)。このようなメカチルト補正処理の具体的な動作については、後述する。典型的には、メカチルト補正が実施されることで、タンジェンシャルチルト量θt及びラジアルチルトθrの絶対値が減少される。
【0094】
次に、チルト制御部70のデータ処理部72により、総合的なチルト量θ及び該チルト量θに基づく固体浸レンズ11と光ディスク100との限界距離dmが算出される(ステップS106)。
【0095】
ここで、図6を参照して、各部で取得されるデータの態様について説明する。例えば、面振れ取得部71の動作によれば、図6(a)に示されるような光ディスク100の面振れ量のプロファイルが取得される。このような面振れ量のプロファイルや、チルトセンサ74の動作によって取得されるチルト量に基づき、図6(b)に示されるような、光ディスク100の一回転内でのチルト量のプロファイルが作成される。
【0096】
データ処理部72により算出される総合的なチルト量θは、チルト量を絶対値化しているため、図6(b)のグラフに示されるチルトプロファイルは、該絶対値化処理により、図6(c)に示されるプロファイルに変換される。続いて、絶対値化されたチルトプロファイルに基づき、図6(d)に示されるようなチルト量θのプロファイルに基づく限界距離dmのプロファイルが生成される。
【0097】
図5に戻り、説明を続ける。続いて、ギャップ目標値設定部73において、限界距離dmと、ギャップ目標値dtとの比較が実施される(ステップS107)。
【0098】
ここで、限界距離dmがギャップ目標値dtより大きい場合(ステップS107:Yes)、ギャップ目標値設定部73は、ギャップ目標値dtに限界距離dmを代入する(ステップS108)。このため、エラー信号生成部40においては、新たに設定されたギャップ目標値dt(即ち、限界距離dm)とギャップエラー信号との比較によりニアフィールド位置制御信号が生成される。そして、レンズ駆動部60は、位相補償部50及びDAコンバータを介して入力されるニアフィールド位置制御信号に応じた駆動電流をアクチュエータ12に供給する。このため、アクチュエータ12の動作により、固体浸レンズ11と光ディスク100との間のギャップが限界距離dmとなるよう、固体浸レンズ11の移動が行われる。
【0099】
例えば、図6(e)に示されるように、設定されるギャップ目標値dtが20nm、チルト量θから算出される限界距離dmの最大値が25nmである場合、ギャップ目標値dtに、限界距離dmの25nmが代入され、固体浸レンズ11と光ディスク100との間のギャップが限界距離である25nmを維持するよう、アクチュエータ12の動作により、固体浸レンズ11が移動される。
【0100】
ところで、固体浸レンズ11と光ディスク100との間のギャップが変化することにより、光ピックアップ10の受光素子において生成されるRF信号振幅が変化する。尚、該受光素子は、固体浸レンズ11の底面からの戻り光を受光することでギャップエラー信号を生成する受光素子PDとは異なる受光素子であり、光ディスク100の記録面からの反射光を受光し、RF信号を生成する受光素子を示している。近接場光を用いた光学系においては、一般的に、固体浸レンズ11と光ディスク100との間のギャップが大きくなるほど、受光素子におけるRF信号振幅が小さくなる。このため、ギャップをギャップ目標値dtから、より大きい限界距離dmに変更することで、得られるRF信号の振幅が小さくなる。図7(a)は、このようなギャップとRF振幅との関係を概念的に示すグラフの一例である。
【0101】
システム制御部300は、固体浸レンズ11と光ディスク100との間のギャップが変化する場合、光ピックアップ10の該受光素子におけるRF信号のゲインを変更する(ステップS109)。尚、このときのRF信号のゲインの変更の態様は、フィートフォワード的に実施されることが好ましく、例えば、ギャップ目標値dt(例えば、新しく代入される限界距離dm)またはギャップエラー信号に応じてRFゲインgtが変更される。図7(b)及び図7(c)は、ギャップ値及びギャップエラー信号と、設定されるRFゲインとの関係を概念的に示すグラフの一例である。
【0102】
以上、説明したように、情報記録再生装置1に係るギャップ制御によれば、特別なチルトサーボ機構を用いることなく、固体浸レンズ11と光ディスク100との間のギャップが適切に維持される。このとき、固体浸レンズ11と光ディスク100との間の相対的なチルト量θに起因する限界距離dmが、ギャップ制御のためのギャップ目標値dtより大きくなる場合には、ギャップ目標値dtが限界距離dmに変更される。このため、好適に固体浸レンズ11と光ディスク100との接触を回避出来る。この結果、情報記録媒体と固体浸レンズのチルト量が比較的大きい箇所でも、情報記録媒体と固体浸レンズの接触を回避する事が可能となる。
【0103】
尚、上述した例においては、限界距離dmとギャップ目標値dtとを比較することで、図6(e)に示されるように、継続的にギャップ目標値dtを変更していたが、例えば、限界距離dmがギャップ目標値dtを越える場合のみ、一時的にギャップ目標値dtを変更する処理が行われても良い。
【0104】
例えば、ステップS107において、ギャップ目標値dtの代わりに、ギャップ初期目標値diと限界距離dmとを比較し、該比較結果に基づいて限界距離dmをギャップ目標値dtに代入する処理を行うことで、図6(f)に示されるような、ギャップ目標値dtのプロファイルを得ることが出来る。
【0105】
この態様によれば、比較的大きなチルトが生じている部分以外において、固体浸レンズ11と光ディスク100とのギャップをより小さく維持出来るため、RF信号振幅をより良好に維持することが出来る。
【0106】
(4)メカチルト補正処理
続いて、図8及び図9を参照して、上述したメカチルトアクチュエータ14を備える場合に実施されるメカチルト補正処理について説明する。図8は、メカチルト補正処理の流れを示すフローチャートの一例であり、図9は、該メカチルト補正処理が実施される際のギャップ制御動作に係るチルト量θ及びギャップ目標値dtのプロファイルを示すグラフである。尚、本項では、特に、光ピックアップ10の角度を変更するメカチルトアクチュエータ14に係るメカチルト補正処理の動作の態様について説明する。
【0107】
図8に示されるように、メカチルト補正処理の実施時には、システム制御部300などの動作により、先ず前回のギャップ制御動作において、メカチルト補正処理が実施されたか否かが判定される(ステップS201)。
【0108】
前回のギャップ制御動作時にメカチルト補正処理が実施されていないのであれば(ステップS201:No)、続いて、ギャップ制御動作におけるチルト量の検出(図5のステップS103)時から、所定回転(例えば、N回転)以上、光ディスク100の回転が行われているかが判定される(ステップS202)。具体的には、スピンドルサーボ機構30により検出される光ディスク100の回転数などに基づき判定が行われる。所定回転以上の回転が行われている場合、後述するメカチルト補正処理が実施される。
【0109】
他方、前回のギャップ制御動作時にメカチルト補正処理が実施されているのであれば(ステップS201:Yes)、続いて、該メカチルト補正処理の実施時から、所定回転(例えば、N回転)以上、光ディスク100の回転が行われているかが判定される(ステップS203)。所定回転以上の回転が行われている場合、後述するメカチルト補正処理が実施される。
【0110】
ここに、所定のN回転とは、例えば、メカチルト補正処理の実施に係る光ディスク100の回転内でのチルトプロファイルを適切に取得可能な回転回数や、メカチルトアクチュエータ14の動作速度などに基づき、適宜設定されて良い。
【0111】
続いて、取得された光ディスク100の一回転分のタンジェンシャルチルト量θtに基づき、光ピックアップ10のタンジェンシャル方向の角度が調整される(ステップS204)。具体的には、光ディスク100の一回転内におけるタンジェンシャル方向のチルト量θtのうち、正のチルト量(つまり、一のタンジェンシャル方向への傾きのチルト量)の最大値及び負のチルト量(つまり、他のタンジェンシャル方向への傾きのチルト量)の最小値の中間値が0となるように、光ピックアップ10の角度を変更される。
【0112】
このような光ピックアップ10の角度の変更によれば、図9(d)に示されるように、絶対値化されたチルトプロファイルにおけるピークの高さ(つまり、タンジェンシャルチルト量θt)が均一化される。このため、タンジェンシャルチルトに起因する突出したピークが存在する場合、該ピークのチルト量を低減させることが出来、結果的に限界距離dmを小さくすることが出来る。
【0113】
タンジェンシャル方向のメカチルト補正動作(ステップS204)と同時に、または相前後して、取得された光ディスク100の一回転分のラジアルチルト量θrに基づき、光ピックアップ10のラジアル方向の角度が調整される(ステップS205)。
【0114】
例えば、光ディスク100の反りに起因するラジアル方向のチルトは、光ディスク100の回転に関係なく、半径位置に依存して変化する傾向がある。光ディスク100の一回転分のラジアルチルト量θrのプロファイルには、このような反りに起因するチルト量直流成分が含まれるため、結果的に全体的なチルト量が増大している場合がある。例えば、図9(e)に示されるように、光ディスク100の反りに起因する一のラジアル方向へのチルトによって、全体的なラジアルチルト量θrが増加することがある。そこで、光ディスク100の一回転内におけるラジアル方向のチルト量θrのうち、このような光ディスク100の回転角度に依存しない直流成分が0となるよう、光ピックアップ10の角度が変更される。
【0115】
このような光ピックアップ10の角度の変更によれば、図9(e)に示されるような、光ディスク100の回転角度に依存しないラジアルチルト量θtの直流成分が取り除かれ、ラジアルチルト量θrを低減させることが出来、結果的に限界距離dmを小さくすることが出来る。
【0116】
上述したメカチルト補正処理によれば、比較的動作が低速であるメカチルトアクチュエータ14を用いることで、固体浸レンズ11と光ディスク100との相対的なチルト量を低減させることが出来る。このため、固体浸レンズ11と光ディスク100との限界距離dmをより小さく維持することが可能となり、結果として、上述した固体浸レンズ11と光ディスク100とのチルトに起因するギャップ目標値dtの変更の頻度を低減させることが出来る。このことは、処理量の軽減にも繋がり、有益である。
【0117】
尚、このようなメカチルト補正処理を実施するためのメカチルトアクチュエータ14の一例として、光ピックアップ10の角度を変更するメカチルト機構について説明したが、例えば、固体浸レンズ11の角度を変更するレンズチルト変更用の機構を用いても、同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0118】
1…情報記録再生装置、
10…光ピックアップ、
11…固体浸レンズ、
12…アクチュエータ、
20…スピンドルモータ、
30…スピンドルサーボ機構、
40…エラー信号生成部、
50…位相補償部、
60…レンズ駆動部、
70…チルト制御部、
100…光ディスク、
LD…レーザダイオード、
PD…受光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状の情報記録媒体に光を照射する光源と、
前記情報記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、
前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、
前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段と、
前記エラー信号に基づいて前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段と、
前記情報記録媒体と前記固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、前記チルト量に基づいて前記固体浸レンズ及び前記媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出手段と、
前記限界距離が前記ギャップ制御手段により制御される前記媒体表面と前記固体浸レンズとの間のギャップよりも大きくなる場合、前記ギャップを一時的または連続的に前記限界距離以上に変更するギャップ変更手段と
を備えることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記情報記録媒体に対する前記固体浸レンズの角度を変更するチルト調整手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記チルト検出手段は、前記情報記録媒体の半径方向に傾くチルトのうち、前記情報記録媒体が一回転する間に変動が生じない直流成分を検出し、
前記チルト調整手段は、前記直流成分が0となるように前記情報記録媒体に対する前記固体浸レンズの角度を変更することを特徴とする請求項2に記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記チルト検出手段は、前記情報記録媒体の半径方向に直交するタンジェンシャル方向の一方に傾くチルトを正のチルト、前記正のチルトとは反対側に傾くチルトを負のチルトとする場合、前記情報記録媒体が一回転する間の正のチルト量の最大値及び負のチルト量の最小値の夫々を検出し、
前記チルト調整手段は、前記情報記録媒体が一回転する間の前記正のチルト量の最大値及び前記負のチルト量の最小値の中間値が0となるように、前記情報記録媒体に対する前記固体浸レンズの角度を変更することを特徴とする請求項2または3に記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
前記エラー信号及び前記ギャップの少なくとも一方に基づき、前記光の強度をフィードフォワード的に制御する信号強度制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の情報記録再生装置。
【請求項6】
ディスク状の情報記録媒体に光を照射する光源と、前記情報記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段と、前記エラー信号に基づいて前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段とを備える情報記録再生装置のギャップ制御方法であって、
前記情報記録媒体と前記固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、前記チルト量に基づいて前記固体浸レンズ及び前記媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出工程と、
前記限界距離が前記ギャップ制御手段により制御される前記媒体表面と前記固体浸レンズとの間のギャップよりも大きくなる場合、前記ギャップを一時的または連続的に前記限界距離以上に変更するギャップ変更工程と
を備えることを特徴とする情報記録再生装置のギャップ制御方法。
【請求項7】
ディスク状の情報記録媒体に光を照射する光源と、前記情報記録媒体の媒体表面に近接して配置され、近接場光を生じさせる固体浸レンズと、前記照射された光の一部を前記固体浸レンズを介して前記媒体表面に集光する光学系と、前記光の他の一部に起因する前記固体浸レンズの底部からの反射光に応じたエラー信号を出力する信号生成手段と、前記エラー信号に基づいて前記媒体表面及び前記固体浸レンズ間のギャップを制御するギャップ制御手段と、前記情報記録媒体と前記固体浸レンズとの相対的なチルト量を検出するとともに、前記チルト量に基づいて前記固体浸レンズ及び前記媒体表面が互いに接触しない距離である限界距離を算出するチルト検出手段と、前記限界距離が前記ギャップ制御手段により制御される前記媒体表面と前記固体浸レンズとの間のギャップよりも大きくなる場合、前記ギャップを一時的または連続的に前記限界距離以上に変更するギャップ変更手段とを備える情報記録再生装置に備えられるコンピュータを制御するコンピュータプログラムであって、
該コンピュータを前記信号生成手段、前記ギャップ制御手段、前記チルト検出手段、前記ギャップ変更手段の少なくとも一部として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−76689(P2011−76689A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229671(P2009−229671)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】