説明

情報記録再生装置、情報記録再生装置の制御方法、情報記録再生装置制御プログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】記録素子と再生素子との相対的な位置関係が変化した場合でも、正常に情報の再生を行うことができるヘッドを備える情報記録再生装置を実現する。
【解決手段】本発明の磁気情報記録再生装置1は、トラックサーボパターンからトラックサーボ出力を取得し、磁気記録素子101によって磁気記録媒体111に記録された再生情報から再生出力を取得する再生出力取得部15と、再生出力取得部15が取得したトラックサーボ出力に対応する基準トラック位置に対する磁気再生素子102の位置を変化させながら、再生出力取得部15が取得する再生出力の値を監視し、再生出力の値が所定の値を超える磁気再生素子102の相対位置を決定する最適オフセット値決定部11と、最適オフセット値決定部11が決定した相対位置に、磁気再生素子102を位置決めする位置制御信号送信部13とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録再生装置、特にオフセット値を用いて、記録媒体の情報記録位置に対する再生素子の位置を調整する情報記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気記録再生装置等の情報記録再生装置では、記録媒体に記録される情報の高密度化が進んでいる。例えば、磁気記録再生装置においては、磁気記録の高密度化が進んでいる。それに伴い、記録されるトラック同士の間隔も狭くなってきている。したがって、磁気情報の書き込みや読み出しを行うヘッドを所定の位置に位置決めするために必要な精度も高まってきている。
【0003】
従来のヘッドの位置決め方式としては、記録媒体において何らかのトラックサーボ用パターンを設け、該パターンをヘッドに読み取らせて追従させ、位置決めを行う方式が知られている。
【0004】
上記トラックサーボ用パターンは、磁気情報で形成されたものを始めとする様々な方式が提案されており、特許文献1には、トラックの位置の応じてサーボパターンの配置を変える技術が記載されている。
【0005】
また、ヘッド自体の構造に関しても、記録の高密度化を達成するための様々な機構を搭載する提案がされている。
【0006】
例えば、特許文献2では、ヘッドのスライダにヒーターコイルを設け、該ヒーターコイルに電流を流し加熱することによって、記録媒体と上記スライダとのクラッシュを避けつつスライダの浮上量を制御する磁気ヘッドが記載されている。これは、磁気記録媒体と磁気ヘッドスライダとの距離、すなわち、スライダ浮上量を低減し、スペーシングロスを低減して記録の高密度化を図るものである。
【0007】
また、磁気記録の次世代技術の一つとして目されるものに光アシスト磁気記録がある。光アシスト磁気記録は、従来の磁気記録における記録の段階において、記録媒体を加熱して微小領域を記録可能な温度にまで上昇させ、上記微小領域にだけに記録を行い、記録の高密度化を図るものである。近年では加熱領域の微小化を実現するために、近接場光と呼ばれる伝搬しない光により記録する方法も提案されている。
【0008】
例えば、特許文献3では、レーザ光照射手段によりレーザ光を導体に照射して近接場光を発生させつつ、上記導体に通電して磁界も発生させる素子をヘッドのスライダ部に形成し、上記近接場光と磁界により記録できるヘッドが記載されている。
【特許文献1】特開2006−260715号公報(公開日:2006年9月28日)
【特許文献2】特開2006−53972号公報(公開日:2006年2月23日)
【特許文献3】特開2006−114099号公報(公開日:2006年4月27日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した情報記録の高密度化により、ヘッドのトラック位置決めにおける許容される誤差が小さくなってきている。そのため、再生素子に対する記録素子の相対的な位置関係の僅かな変化といった、従来では問題とされなかった要因も、情報記録を行う上で問題となってきている。
【0010】
特許文献2に記載された磁気ヘッドにおいては、ヒーターコイルを電流により加熱することにより、ヘッドスライダにおいて加熱による変形が生じ、再生素子と記録素子との相対的な位置関係が変化する可能性がある。
【0011】
また、特許文献3で挙げたヘッドにおいては、レーザ素子がヘッドスライダに搭載されているため、レーザ素子を動作させた時の発熱により該素子を支持している各部(導体)が変形し、レーザ光を照射する場所が変化する可能性がある。また、上記各部の変形により、レーザ光において横モードが不安定化して、光の放射方向が変化した場合でも、同様の可能性がある。このように、レーザ光を照射する場所が変化した場合、近接場光が発生する場所が変化する。すなわち、記録素子の位置が変化することになる。これにより、再生素子と記録素子との相対的な位置関係も変化する可能性がある。
【0012】
以上のように、再生素子と記録素子との相対的な位置関係が変化すると、本来想定していた位置に情報を記録できず、トラックサーボなどの位置決め情報に従って位置決めされた再生素子が、記録された情報を正常に再生できないという問題が生じる。
【0013】
具体的に、図10(a)および図10(b)を用いて説明する。
【0014】
図10(a)は、ヘッドに備えられている記録素子904および再生素子905が同一トラック上を通過している状態を模式的に示す図である。記録媒体に記録されたトラックサーボパターン領域901を、再生素子905が追従することにより軌跡902上を通過する。記録素子904もまた、同じ軌跡902上を通過する。よって、記録素子904によって記録媒体に記録される情報領域903も、軌跡902上に位置することになる。したがって、情報領域903は再生素子905の軌跡上に位置することになるため、再生素子905により正常に再生することができる。
【0015】
一方、図10(b)は、記録素子904と再生素子905との相対的な位置関係が変化し、異なる軌跡上を通過している状態を示す図である。再生素子905は、トラックサーボパターン領域901を追従して軌跡902上を通過するが、記録素子904は軌跡902とは異なる軌跡906上を通過する。よって、記録素子904によって記録媒体に記録される情報領域903は、軌跡902とは異なる軌跡906上に位置することになる。これは、情報領域903が再生素子905の軌跡上から外れて位置することになるため、再生素子905によって正常に情報の再生を行うことができない可能性が生じる。
【0016】
また、磁気を用いて情報を記録再生する場合で、例えば、磁気情報用トラック同士が、凹凸形状や非磁性体などによって互いに磁気的に分離されている磁気記録媒体(ディスクリートトラック型記録媒体と呼ばれることもある)や、あるいは、トラックだけでなく同一トラックにおける記録用ビット同士も同様に磁気的に分離されている磁気記録媒体(パターンド記録媒体と呼ばれることもある)を用いたときにおいても、同様の問題が生じる。
【0017】
具体的に、前者の場合について、図11を用いて説明する。
【0018】
図11は、非記録用領域1002によって互いに磁気的に分離されている磁気情報用トラック1001および1003が設けられている磁気記録媒体において、磁気情報用トラック1001に対して磁気記録を行っている例を模式的に示す図である。磁気記録素子(図示せず)と磁気再生素子(図示せず)とが同一トラック上にある時は、上記磁気記録素子の軌跡が磁気情報用トラック1001と合致する。かかる状況下で磁気記録を行うと、磁気情報1004に示すように完全な状態で記録され、磁気情報が全て磁気情報用トラック1001に収まり、所定の大きさで記録される。よって、上記磁気再生素子によって磁気情報1004から得られる再生信号出力も所定の値が期待される。
【0019】
一方、上記磁気記録素子と上記磁気再生素子との相対的な位置関係が変化し、上記磁気記録素子の軌跡が磁気情報用トラック1001から外れた時に磁気記録をすると、磁気情報1005に示すように不完全な状態で記録され、磁気情報は所定の大きさで記録されない。不完全な磁気情報1005のうち、破線で示す部分は、非記録用領域1002に位置していて記録されないためである。よって、上記磁気再生素子によって磁気情報1005から得られる再生信号出力は、所定の値よりも小さくなり、再生信号の信号雑音比が低下することが懸念される。
【0020】
本発明の目的は、記録素子と再生素子との相対的な位置関係が変化した場合でも、上述したような弊害を防止し、正常に情報の再生を行うことができるヘッドを備える情報記録再生装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するために、本発明に係る情報記録再生装置は、記録媒体に記録されたトラックサーボパターンから得たトラックサーボ出力に基づいて再生素子の位置を調整する情報記録再生装置において、上記トラックサーボパターンからトラックサーボ出力を取得するとともに、記録素子によって上記記録媒体に記録された再生情報から再生出力を取得する再生出力取得手段と、上記再生出力取得手段が取得したトラックサーボ出力に対応する基準トラック位置に対する上記再生素子の位置を変化させながら、上記再生出力取得手段が取得する再生出力の値を監視し、当該再生出力の値が所定の値を超える再生素子の相対位置を決定する再生位置決定手段と、上記再生位置決定手段が決定した相対位置に、上記再生素子を位置決めする再生位置調整手段と、を備えていることを特徴としている。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る情報記録再生装置の制御方法は、記録媒体に記録されたトラックサーボパターンから得たトラックサーボ出力に基づいて再生素子の位置を調整する情報記録再生装置の制御方法であって、上記トラックサーボパターンからトラックサーボ出力を取得するトラックサーボ出力取得ステップと、上記トラックサーボ出力取得ステップで取得したトラックサーボ出力に対応する基準トラック位置に対する上記再生素子の位置を変化させながら、記録素子によって上記記録媒体に記録された再生情報から再生出力を取得する再生出力取得ステップと、記再生出力取得ステップで取得する再生出力の値を監視し、当該再生出力の値が所定の値を超える再生素子の相対位置を決定する再生位置決定ステップと、上記再生位置決定ステップで決定した相対位置に、上記再生素子を位置決めする再生位置調整ステップと、を含むことを特徴としている。
【0023】
上記の構成および方法によれば、再生素子の基準トラック位置に対する位置が変化する。そして、再生素子を変化させながら、再生出力が所定の値を超える相対位置が決定される。そして、決定された相対位置に再生素子が位置決めされる。
【0024】
これにより、再生素子は、記録媒体に記録された再生情報を再生したときに、所定の値以上の出力を得ることができる位置に位置決めされる。よって、例えば、記録素子と再生素子との相対的な位置関係が変化し、トラックサーボパターンと対応する位置に再生情報が記録されなかった場合であっても、再生情報が記録された場所に対応して再生素子の位置が位置決めされるので、記録された再生情報を正常に再生することができる。
【0025】
なお、記録媒体に記録された上記再生情報を記録する記録素子は、自装置に備えられるものであってもよいし、他の情報記録装置に備えられたものであってもよい。
【0026】
本発明に係る情報記録再生装置では、上記記録媒体に上記再生情報が記録されている否かを判断する記録判断手段と、上記記録判断手段が、上記記録媒体に上記再生情報が記録されていないと判断した場合に、記録素子を制御することにより上記再生情報を上記記録媒体に記録する記録制御手段とをさらに備えているものであることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記記録判断手段が、記録媒体に再生情報が記録されているかいないかを判断し、再生情報が記録されていなかった場合、記録制御手段は、記録素子制御することによって、記録媒体に再生情報を記録する。
【0028】
これにより、記録媒体には必ず再生情報が記録され、記録媒体に再生情報が記録されていないことで、再生素子の位置決めができなくなることを防止することができる。
【0029】
本発明に係る情報記録再生装置では、上記再生位置決定手段は、上記再生出力取得手段が取得した再生出力が所定の値を超えなかったと判断した場合、上記基準トラック位置に対する上記再生素子の位置を変化させることで、上記再生素子と同じヘッドに備えられた上記記録素子の位置を変化させ、上記記録制御手段は、上記記録素子を制御することによって、上記記録媒体の上記録素子の変化後の位置に、上記再生情報を記録するものであることが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、記録媒体に記録されている再生情報の再生出力が所定の値を超えない場合、再生位置決定手段は、記録素子の位置を変化させ、記録制御手段は記録媒体の記録素子の変化後の位置に再生情報を記録する。
【0031】
これにより、再生出力が所定の値を超えるまで、再生情報が記録位置を変更しながら記録される。よって、記録媒体に記録された再生情報の再生出力が所定の値を超えないことで、再生素子の位置決めができなくなることを防止することができる。
【0032】
例えば、磁気情報の記録媒体において、ディスクリートトラック型記録媒体(磁気情報用トラック同士が、凹凸形状や非磁性体などによって互いに磁気的に分離されている磁気記録媒体)や、パターンド記録媒体(トラックだけでなく同一トラックにおける記録ビット同士も同様に磁気的に分離されている磁気記録媒体)などの非記録領域を備えている記録媒体の場合、記録素子(記録手段)の位置によっては、非記録領域に磁気情報が記録され、十分な再生出力を得ることができない可能性がある。
【0033】
上記のような場合に対しても、記録される位置、すなわち記録素子の位置を変更しながら、所定の再生出力が得られるまで、磁気情報を記録を行うので、対応することが可能である。
【0034】
本発明に係る情報記録再生装置では、上記再生位置決定手段は、上記再生素子を所定の距離、変位させ、当該所定の距離を変位させる間に、上記再生出力取得手段が取得した再生出力が最大となったときの位置を上記相対位置とするものであってもよい。
【0035】
上記の構成によれば、再生素子が所定の距離、変位している間において、再生情報の再生出力が最大となったときの位置が相対位置として決定される。
【0036】
これにより、再生情報の再生出力が最大の位置に再生素子が位置決めされ、再生情報をより正確に再生することができる。
【0037】
ここで、所定の距離とは、例えば、記録媒体のトラックの幅に相当する距離を挙げることができる。
【0038】
本発明に係る情報記録再生装置では、上記再生位置決定手段が決定した相対位置を記憶する記憶部をさらに備え、上記再生位置決定手段は、上記基準トラック位置を起点として、上記記憶部に記憶されている相対位置と同じ方向へ上記再生素子を変位させるものであってもよい。
【0039】
上記の構成によれば、上記再生位置決定手段は、上記基準トラック位置を起点として、上記記憶部に記憶されている相対位置と同じ方向へ上記再生素子を変位させる。
【0040】
これにより、前回の相対位置からの変動が小さい場合は、新たな相対位置と前回の相対位置とは、基準トラック位置を起点として同じ方向である可能性が高く、新たな相対位置の決定をより短時間で行うことができる。
【0041】
本発明に係る情報記録再生装置では、上記再生位置決定手段が決定した相対位置を記憶する記憶部をさらに備え、上記再生位置決定手段は、上記記憶部に記憶されている相対位置に上記再生素子を変位させるものであってもよい。
【0042】
上記の構成によれば、上記再生位置決定手段は、上記記憶部に記憶されている相対位置に上記再生素子を変位させる。
【0043】
これにより、前回の相対位置からの変動が小さい場合は、新たな相対位置と前回の相対位置とが近くである可能性が高く、新たな相対位置の決定をより短時間で行うことができる。
【0044】
本発明に係る情報記録再生装置では、上記再生位置決定手段が決定した相対位置に対し、上記基準トラック位置が中点となる反対位置に上記再生素子を変位させる再生位置移動手段を備えているものであってもよい。
【0045】
上記の構成によれば、上記再生位置決定手段が決定した相対位置に対し、上記基準トラック位置が中点となる反対位置に上記再生素子を変位する。
【0046】
これにより、記録素子が基準トラック位置に変位し、トラックサーボパターンに合わせて記録素子による記録を行うことができる。
【0047】
なお、上記情報記録再生装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記情報記録再生装置をコンピュータにて実現させる情報記録再生装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0048】
以上のように、本発明に係る情報記録再生装置は、記録媒体に記録されたトラックサーボパターンから得たトラックサーボ出力に基づいて再生素子の位置を調整する情報記録再生装置において、上記トラックサーボパターンからトラックサーボ出力を取得するとともに、記録素子によって上記記録媒体に記録された再生情報から再生出力を取得する再生出力取得手段と、上記再生出力取得手段が取得したトラックサーボ出力に対応する基準トラック位置に対する上記再生素子の位置を変化させながら、上記再生出力取得手段が取得する再生出力の値を監視し、当該再生出力の値が所定の値を超える再生素子の相対位置を決定する再生位置決定手段と、上記再生位置決定手段が決定した相対位置に、上記再生素子を位置決めする再生位置調整手段と、を備えている構成である。
【0049】
また、本発明に係る情報記録再生装置の制御方法は、記録媒体に記録されたトラックサーボパターンから得たトラックサーボ出力に基づいて再生素子の位置を調整する情報記録再生装置の制御方法であって、上記トラックサーボパターンからトラックサーボ出力を取得するトラックサーボ出力取得ステップと、上記トラックサーボ出力取得ステップで取得したトラックサーボ出力に対応する基準トラック位置に対する上記再生素子の位置を変化させながら、記録素子によって上記記録媒体に記録された再生情報から再生出力を取得する再生出力取得ステップと、記再生出力取得ステップで取得する再生出力の値を監視し、当該再生出力の値が所定の値を超える再生素子の相対位置を決定する再生位置決定ステップと、上記再生位置決定ステップで決定した相対位置に、上記再生素子を位置決めする再生位置調整ステップと、を含む方法である。
【0050】
これにより、再生素子は、記録媒体に記録された再生情報を再生したときに、所定の値以上の出力を得ることができる位置に位置決めされる。よって、例えば、記録素子と再生素子との相対的な位置関係が変化し、トラックサーボパターンと対応する位置に再生情報が記録されなかった場合であっても、再生情報が記録された場所に対応して再生素子の位置が位置決めされるので、記録された再生情報を正常に再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態について図1から図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、本実施の形態では、磁気情報記録再生装置について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、トラックサーボを用いる情報記録再生装置であれば適用可能である。
【0052】
図1は、本実施の形態に係る磁気情報記録再生装置(情報記録再生装置)1のブロック図である。図1に示すように、磁気情報記録再生装置1は、磁気ヘッド100に備えられた磁気記録素子(記録素子)101および磁気再生素子(再生素子)102、磁気ヘッド保持部103、記録再生制御部104、位置制御部105および記憶部106を含む構成である。そして、記録再生制御部104は、再生出力取得部(再生出力取得手段)15、記録判断部(記録判断手段)16、記録信号送信部17を含む構成であり、位置制御部105は、出力信号取得部10、最適オフセット値決定部(再生位置決定手段)11、および位置制御信号送信部(再生位置調整手段)13を含む構成である。
【0053】
磁気記録素子101は、磁気ヘッド100のスライダ部(図示せず)に搭載されている、磁界を発生させる素子である。これは、インダクティブ型とも呼ばれる。磁気記録素子101は、記録再生制御部104の記録信号送信部17から記録信号を受信し、受信した記録信号に応じた周波数で磁界により、磁気記録媒体111に対して磁気情報(再生情報)203(403、407、706、804、903)を記録する。ここで、磁気情報とは、磁気によって記録、再生を行うことができる情報である。
【0054】
磁気記録素子101は、磁界を発生させるだけでなく、レーザ素子や光を伝搬する機構(光ファイバや光導波路)などを備え、該機構などから磁気記録媒体に光を照射し、加熱しながら記録する素子であってもよい。
【0055】
磁気再生素子102は、磁気記録素子101と同様に、磁気ヘッド100のスライダ部に搭載されている、磁界を発生させる素子である。これは、磁気抵抗効果やトンネル抵抗効果を用いたものが主である。磁気再生素子102には、記録再生制御部104によって、磁気記録媒体111に記録された磁気情報203(403、407、706、804、903)あるいはトラックサーボパターン201(401、406、703、802、901)を再生するための電流(再生電流)が通電される。そして、磁気再生素子102が再生した信号を記録再生制御部104に送信する。本明細書では、磁気情報112を再生して得られたものを再生出力(または再生信号)、トラックサーボパターン113を再生して得られたものをトラックサーボ出力(またはサーボ信号)と呼ぶ。
【0056】
磁気記録素子101と磁気再生素子102とは、磁気記録媒体111のトラックに沿うよう方向に直列に並んで備えられている。すなわち、磁気記録素子101と磁気再生素子102とは、本来、磁気記録媒体111の同一トラック上を通過する。
【0057】
磁気ヘッド保持部103は、磁気ヘッド100を保持し、磁気記録媒体111への記録または磁気記録媒体111に記録されている磁気情報112の再生を行うことができる状態にする。磁気記録媒体111がディスク状記録媒体であれば、回転している磁気記録媒体111に対し、磁気ヘッド100を接近させて所定の浮上高で浮上させる。
【0058】
また、磁気ヘッド保持部103は、位置制御部105からの位置制御信号により、ボイスコイルモータやピエゾアクチュエータなどを用いて磁気ヘッド100が磁気記録媒体111上における所定の位置に位置するように駆動する。そして、磁気ヘッド100がサーボ信号に対応する位置(基準トラック位置)に位置決めされると、位置決めが完了した旨を示す情報を最適オフセット値決定部11に送信する。
【0059】
記録再生制御部104は、磁気記録媒体111に磁気情報203を記録、および磁気記録媒体111に記録されている磁気情報203を再生するための制御を行う。より具体的には、記録信号送信部17は、磁気記録媒体111に磁気情報203を記録するために、磁気記録素子101に対して記録信号を送信する。
【0060】
また、再生出力取得部15は、磁気記録媒体111に記録された磁気情報203、トラックサーボパターン201等を再生するために、磁気再生素子102に対して再生電流を通電し、磁気再生素子102が再生した再生出力、およびトラックサーボ出力を取得する。
【0061】
さらに、記録判断部16は、磁気記録媒体111に磁気情報203が記録されているか否かを判断する。そして、磁気情報203が記録されていなければ、記録信号送信部17に磁気記録素子101に対して記録信号を送信するように指示し、磁気情報203を磁気記録媒体111に記録させる。
【0062】
この磁気記録媒体111に磁気情報203が記録されているか否かの判断は、再生出力取得部15が取得した再生出力が所定の値を超えるか否かで行う。
【0063】
位置制御部105は、磁気ヘッド保持部103に対し磁気ヘッド100の位置を制御するための信号を送信する。また、位置制御部105は、磁気ヘッド保持部103から磁気ヘッド100が基準トラック位置に位置決めされた旨を示す情報を受信する。
【0064】
また、位置制御部105は、磁気記録媒体111に記録された磁気情報を正常に再生するために位置制御部105の各部が次の動作を行う。
【0065】
出力信号取得部10は、再生出力取得部15から再生信号とサーボ信号とを取得する。そして取得した上記信号を最適オフセット値決定部11と位置制御信号送信部13とへ送信する。
【0066】
最適オフセット値決定部11は、磁気記録媒体111に記録された磁気情報203を正常に再生するために最適なオフセット値を決定する。最適なオフセット値の決定方法については後述する。
【0067】
位置制御信号送信部13は、出力信号取得部10が取得したサーボ信号(トラックサーボ出力)に対応するトラック位置(基準トラック位置)から、最適オフセット値決定部11から受信したオフセット値が示す距離だけ変位した位置に磁気ヘッド100を変位させるための制御信号を磁気ヘッド保持部103に送信する。
【0068】
記憶部106は、最適オフセット値決定部11が最適オフセット値を決定する場合に使用する値(所定の値を超えたか否かの基準となる値、過去に決定したオフセット値等)が記憶されている。
【0069】
なお、本発明とは直接関係していないので図示していないが、記録再生制御部104または位置制御部105は、磁気記録媒体111の運動の制御、磁気情報記録再生装置1の外部からの制御命令の受信、磁気情報記録再生装置1で得られた磁気情報・内部温度などの情報の外部への送信なども行ってもよい。また、これらの機能を行う別の制御部を、磁気情報記録再生装置1の内部または外部に備えていてもよい。
【0070】
上述した磁気記録媒体111の運動の制御としては、例えば、磁気記録媒体111がディスク上の媒体であった場合は、媒体の回転数の制御が挙げられる。
【0071】
また、記録再生制御部104および位置制御部105は、必要に応じて1つの制御部で構成されていてもよいし、3つ以上の制御部で構成されていてもよい。例えば、磁気情報記録再生装置1は、磁気記録素子101へ記録信号を送信する制御部と、磁気再生素子102に再生電流を通電し、磁気再生素子102から得られる信号を受信する制御部と、磁気ヘッド保持部103に制御信号を送信する制御部とを含む構成であってもよい。
【0072】
次に、本発明の原理を、図2(a)および(b)を参照しながら説明する。
【0073】
図2(a)および(b)は、磁気記録媒体111に記録されたトラックサーボパターン201および磁気情報203と、トラックサーボパターン201から得られるトラックサーボ出力の波形205とを示している。なお、図2(a)および(b)では、トラックサーボパターン201および磁気情報203を矩形とし、トラックサーボ出力の波形205も図で示したような曲線としたが、特にこれらの形に限定されるものではなく、他の形を有していてもよい。
【0074】
磁気記録媒体111にはトラックサーボパターン201が記録されており、磁気ヘッド100の磁気再生素子102によりトラックサーボパターン201から得られるトラックサーボ出力の波形は、波形205で示される。そして、トラックサーボ出力の波形205は、トラックサーボパターン201の中心に合致するトラック位置rにおいてピーク値を持つ。なお、磁気ヘッド100は、スライダ部に磁気素子だけでなくヒーターコイルやレーザ素子が設けられたヘッドであってもよい。
【0075】
磁気ヘッド100の磁気再生素子102は、トラックサーボ出力の波形205のピークをトラックサーボパターン201の中心(すなわち、トラックの中心)と判断してトラックサーボパターン201に追従する。この追従は従来の方法を用いる。したがって、磁気再生素子102は、トラックサーボパターン201の中心に合致するトラック位置(基準トラック位置)rの軌跡202上に位置する。磁気再生素子102と磁気ヘッド100の磁気記録素子101との相対的な位置関係が変化しなければ、磁気記録素子101もまた、同じ軌跡202上に位置する。
【0076】
しかし、磁気記録素子101と磁気再生素子102との相対的な位置関係が変化し、例えば、磁気記録素子101の位置がrに変化した場合は、磁気記録素子101は軌跡204上に位置する。この状態において、磁気記録素子101が、磁気記録媒体111に磁気情報203を記録すると、磁気情報203はトラックサーボパターン201とは異なる位置rに記録されることになる。なお、磁気記録媒体111への磁気情報の記録は、磁気記録媒体111を初期化して行ってもよいし、磁気記録媒体111のノイズ出力が所定の値より小さい場合は省略してもよい。
【0077】
そして、トラックサーボパターン201と磁気情報203とのトラック方向における位置がずれた状態で、磁気ヘッド保持部103は、トラックサーボパターン201の出力信号であるサーボ信号に対応するトラック位置(基準トラック位置)から、オフセット値が示す距離だけ、磁気記録素子101および磁気再生素子102が搭載されている磁気ヘッド100の位置を変位させる。
【0078】
例えば、図2(b)に示すように、トラックサーボパターン201の中心に合致するトラック位置rの軌跡202から、磁気情報203が記録されている位置へ、磁気ヘッド100の位置を変位させる場合を考えると以下のようになる。
【0079】
磁気ヘッド保持部103は、位置制御部105の位置制御信号送信部13から制御信号を受信して駆動し、磁気ヘッド100を基準トラック位置に位置決めする。
【0080】
磁気ヘッド100が位置決めされたという情報を受信した位置制御部105の最適オフセット値決定部11は、基準トラック位置(トラック位置r)に対して一方の方向に磁気ヘッド100が変位する距離を示すオフセット値を位置制御信号送信部13に送信する。位置制御信号送信部13は、受信したオフセット値が示す距離だけ磁気ヘッド100が変位するための制御信号を生成し、磁気ヘッド保持部103に送信する。
【0081】
ここで、オフセット値とは、磁気ヘッド100を基準トラック位置からトラッキング方向に変位させるための値である。仮に、磁気ヘッド100の位置が最終的にrからrに変化した場合、オフセット値は(r−r)となる。
【0082】
そして、最適オフセット値決定部11は、オフセット値を、出力信号取得部10から受信した磁気情報203の再生出力が所定値に達するまで、変化させる。具体的には、所定の間隔で変化させたオフセット値を位置制御信号送信部13に送信する。ここで、所定値とは、受信した再生出力が当該所定値を超えていれば、記録されている情報が正常に読み取ることができるような値である。
【0083】
そして、最適オフセット値決定部11は、磁気情報203の出力値が上記所定値に達すると、そのときのオフセット値を最適オフセット値と決定する。例えば、上記の所定値が、磁気情報203の最高出力値であり、図2(b)において磁気再生素子102が上記最高出力値を得られる位置がrであるとすると、最適オフセット値決定部11は、(r−r)に対応する距離を示す値を最適オフセット値として決定し、位置制御信号送信部13に送信する。位置制御信号送信部13は、受信した最適オフセット値が示す距離だけ磁気ヘッド100を変位させる制御信号を生成し、磁気ヘッド保持部103に送信する。
【0084】
位置制御信号を受信した磁気ヘッド保持部103は、磁気ヘッド100の位置を最適オフセット値が示す距離だけ変位させる。ここでは、最適オフセット値が示す距離は(r−r)なので、磁気ヘッド100の磁気再生素子102は、位置rに変位する。トラックサーボパターン201のサーボ出力が、オフセット値が示す距離だけ変位した場合の波形を波形206で表す。
【0085】
次に、基準トラック位置からオフセット値が示す距離だけ磁気ヘッド100を変位させる流れについて図3を用いて説明する。図3は、磁気ヘッド100の位置を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
まず、磁気ヘッド100は、出力信号取得部10が取得したサーボ信号に対応した位置(基準トラック位置)に、位置制御部105によって位置決めされる(S301)。次に、記録再生制御部104の記録判断部16は、磁気記録媒体111に磁気情報203が記録されているか否かを判断する(S302)。そして、磁気記録媒体111に磁気情報203が記録されていれば(S302でYES)、最適オフセット値決定部11は、位置制御信号送信部13に対しオフセット値を送信する。位置制御信号送信部13は、受信したオフセット値が示す距離だけ磁気ヘッド100が変位する制御信号を、磁気ヘッド保持部103へ送信する(S304)。そして、磁気ヘッド保持部103は、受信した制御信号に基づいて磁気ヘッド100の位置を変化させる(S305)。
【0087】
一方、磁気記録媒体111に磁気情報203が記録されていなければ(S302でNO)、記録再生制御部104の記録判断部16は、記録信号送信部17に対し記録信号を磁気記録素子101に送信させ、磁気記録素子101は、磁気記録媒体111に磁気情報203を記録する(S303)。そして、S304へ進む。
【0088】
次に、最適オフセット値決定部11は、受信した磁気情報203の再生出力が所定値に達したか否かを判断する(S306)。所定値に達すれば(S306でYES)、最適オフセット値決定部11は、そのときのオフセット値を最適オフセット値と決定する(S308)。
【0089】
一方、受信した磁気情報203の再生出力が所定値に達しなかった場合(S306でNO)、最適オフセット値決定部11は、送信するオフセット値を変える(S307)。そして、S304に戻り、S307で変えられたオフセット値が示す距離だけ磁気ヘッド100が変位する制御信号を送信する。ここで、送信するオフセット値は、所定の間隔で変化させる。
【0090】
そして、最適オフセット値決定部11が決定した最適オフセット値に基づいて磁気ヘッド100の位置が位置決めされ、磁気情報203が磁気再生素子102により再生される(S309)。
【0091】
以上で、処理の流れが終了する。
【0092】
以上で述べた手順を用いて、最適オフセット値の決定を続ける場合、最適オフセット値決定部11が位置制御信号送信部13に送信するオフセット値に関して、以下に示す様々な工夫を加えることができる。
【0093】
例えば、最適オフセット値を決定するときに、前回に得た最適オフセット値と同じ正負の符号を持つオフセット値を、最初に送信するオフセット値とすることが挙げられる。
【0094】
これは、次のようにして行う。最適オフセット値決定部11が決定した最適オフセット値を記憶部106に記憶させ、次に最適オフセット値を決定するときに、記憶部106に記憶されている最適オフセット値を参照する。そして、最適オフセット値を決定するあたり、まず参照した記憶部106に記憶されている最適オフセット値と同じ正負の符号を持つオフセット値を送信することから始めることで行う。
【0095】
具体的には、例えば、前回に得たオフセット値が(r−r)であって、(r−r)>0であった場合、今回送信するオフセット値は0から正方向に変化させていく。一方、(r−r)<0であった場合は、オフセット値は逆に0から負方向に変化させるようにする。なお、オフセット値の正負とは、磁気ヘッド100が、基準トラック位置からトラッキング方向に変位する場合の変位する方向を示すものである。
【0096】
これにより、最適オフセット値を判断する時間を短縮できる可能性を高くすることができる。なぜなら、最適オフセット値が前回からあまり変動しておらずオフセット値の正負が変化しない場合は、新たな最適オフセット値が前回に得た最適オフセット値と同じ正負を持つ可能性が高いためである。
【0097】
また、送信するオフセット値を前回の値と同じにして新たな最適オフセット値の決定を始めてもよい。
【0098】
これも、上記と同様に、記憶部106に、最適オフセット値決定部11が決定した最適オフセット値を記憶させ、最適オフセット値決定部11が最適オフセット値を決定するにあたり、まず記憶部106に記憶されている最適オフセット値を送信することから始めることで行う。
【0099】
これにより、最適オフセット値の変動が大きくない場合は、新たな最適オフセット値が前回に得た最適オフセット値の近傍の値を持つため、最適オフセット値を決定する時間を短縮できる可能性を高くすることができる。
【0100】
また、オフセット値によって磁気ヘッドの位置を変化させたときに、磁気情報203の出力値が、変化させる前の出力値に対して低下した場合は、磁気再生素子102が磁気情報203から遠ざかる方向に変位していると考えられるので、最適オフセット値決定部11は、当初とは反対の方向に磁気ヘッドが変位するオフセット値に変えることが好ましい。
【0101】
また、磁気情報203の再生に当たって、磁気情報203の出力値が最も高くなったときのオフセット値を、最適オフセット値として決定してもよい。
【0102】
これは、次にようにして行う。最適オフセット値決定部11は、送信するオフセット値を変化させていき、それぞれのオフセット値のときの再生出力を記憶部106に記憶させる。
【0103】
より詳細には、最適オフセット値決定部11は、オフセット値を所定の間隔で、所定の値だけ変化させる。これにより磁気再生素子102は、基準トラック位置から所定の間隔で変位する。そして、最適オフセット値決定部11は、磁気再生素子102が変位したそれぞれの位置で取得した再生出力を記憶部106に記憶させる。次に、最適オフセット値決定部11は、記憶部106に記憶されている再生出力の中で最も高い再生出力に対応するオフセット値を最適オフセット値とする。ここで、所定の値とは、当該所定の値をオフセット値として送信すると、磁気再生素子102が、磁気記録媒体111のトラックの幅に相当する距離だけ変位するような値である。
【0104】
これにより、磁気情報203から磁気再生素子102が取得する再生出力が最も高い位置に磁気再生素子102を合わせることができ、磁気情報203の位置を正確に判断することができる。
【0105】
以上のような工夫を施すことにより、より効率的にまたはより精度よく最適オフセット値を決定することができる。そして、最適オフセット値を決定することにより、磁気記録素子101と磁気再生素子102との相対的な位置関係が変化した場合でも、磁気記録素子101によって記録された磁気情報203の位置に対して、磁気再生素子102の位置を正確に位置決めすることができる。これにより、再生出力を高く得ることができ、正常に再生することができる。
【0106】
なお、磁気記録媒体111に磁気情報が記録されていない場合であっても、上述したように、磁気記録素子101により磁気記録媒体111に対し磁気情報を記録し、その後、磁気再生素子102により磁気記録媒体111に記録された磁気情報203を再生することで、対応することが可能である。
【0107】
次に、磁気情報を記録する際、上述した方法で最適オフセット値を求めた後、最適オフセット値とは正負の符号が逆の値を位置制御信号送信部13に送信した後、磁気情報を記録する場合について説明する。
【0108】
具体的に、図4(a)および(b)を参照して説明する。図4(a)は、磁気記録媒体111に記録されたトラックサーボパターン401および磁気情報403と、トラックサーボパターンから得られるトラックサーボ出力の波形405とを示す図である。また軌跡402はトラックサーボパターン401の中心(すなわちトラックの中心)に合致するトラック位置rを通る座標軸を示し、軌跡404は、磁気情報403の中心に合致する位置rを通る座標軸を示す。
【0109】
また、図4(b)は、磁気ヘッド100の位置を調整後に、磁気情報407を記録した場合における、磁気記録媒体111に記録されたトラックサーボパターン406および磁気情報407と、トラックサーボパターンから得られるトラックサーボ出力の波形411とを示す図である。
【0110】
まず、磁気ヘッド100は、基準トラック位置に位置決めされる。そして、磁気ヘッド100が基準トラック位置(すなわち磁気再生素子102が基準トラック位置)にあるときに、磁気記録素子101によって磁気記録媒体111に磁気情報403を記録する。その後、上述した図2(a)および(b)を用いて説明した方法と同様にして、最適オフセット値決定部11は、磁気情報403を正確に読み取ることができる位置に磁気ヘッド100を変位させる距離を示す値である最適オフセット値を決定する。
【0111】
次に、最適オフセット値決定部11は、決定した最適オフセット値の正負を逆にした値を位置制御信号送信部13に送信する。そして、位置制御信号送信部13は、当該正負を逆にした最適オフセット値が示す距離(すなわち、最適オフセット値が示す方向とは反対方向に、最適オフセット値が示す距離)だけ、磁気ヘッド100を変位させる制御信号を磁気ヘッド保持部103に送信する。
【0112】
そして、磁気ヘッド100は、最適オフセット値が示す方向とは反対方向に、最適オフセット値が示す距離だけ変位する。
【0113】
その後、この状態で磁気再生素子102により、磁気記録媒体111に対し磁気情報407の記録を行う。
【0114】
これにより、トラックサーボパターン401(406)と磁気情報407とは同じ軌跡409上に存在することになる。よって、磁気情報407を正確に読み取るためにオフセット値を用いる必要がなくなる。
【0115】
上記の内容を原理的に説明すると以下のようになる。なお、便宜的に、基準トラック位置をr、またはrとし、磁気記録媒体111に記録されている磁気情報403の中心が示す位置(すなわち、磁気再生素子102が基準トラック位置に存在するときに磁気記録素子101が存在する位置)をrまたはrとする。
【0116】
まず、磁気記録素子101は、位置rの軌跡408上に位置している。そして、トラック位置rとrとの間の距離と、rとトラック位置rとの間の距離は等しい。すなわち、
(r−r)=(r−r)・・・(式1)
である。
【0117】
そして、rに対し、rと対称となる位置をrとし、磁気再生素子102の位置をrからrに変位させるためには、最適オフセット値が、磁気記録素子101をトラック基準位置から(r−r)だけ変位させる値であるので、
(r−r)=−(r−r)・・・(式2)
が成立するような距離を示すオフセット値を、最適オフセット値決定部11は位置制御信号送信部13に対し送信すればよい。
【0118】
そして、磁気再生素子102の位置がrに変位すると、磁気記録素子101の位置はrに変位する。何故なら、磁気再生素子102の位置がrからrに変位した時に、磁気記録素子101の位置rの変位先座標rは、次式からrとなるからである。すなわち、
=r+(r−r)・・・(式3)
であり、(式1)より、
=r+(r−r)・・・(式4)
であるから、式2〜4より、
={r+(r−r)}+{−(r−r)}=r・・・(式5)
が成立する。
【0119】
以上の手順により、磁気記録素子101の位置をrに変位させ、トラックサーボパターン406の中心に合致するトラック位置rの軌跡409上に磁気記録素子101を追従させることができる。
【0120】
この状態で磁気記録素子101により磁気記録媒体111に対して記録を行えば、トラックサーボパターン406と同じ位置に磁気情報407を記録することができる。よって、磁気情報407を磁気再生素子102によって再生するときに、オフセット値を送信しなくても、正常に再生することができる。
【0121】
次に、磁気記録素子101の位置を調整する流れについて図5を用いて説明する。図5は、磁気記録素子101の位置を調整する流れを示すフローチャートである。なお、S305までは、図3と同様であるので、ここではそれ以降について説明する。
【0122】
最適オフセット値が決定すると(S308)、最適オフセット値決定部11は、最適オフセット値とは正負が逆のオフセット値を位置制御信号送信部13に送信する。位置制御信号送信部13は、最適オフセット値の正負が逆転したオフセット値が示す距離だけ、磁気ヘッド100が変位する制御信号を生成し、磁気ヘッド保持部103へ送信する(S501)。そして、磁気ヘッド保持部103は受信した位置制御信号に基づいて磁気ヘッド100の位置を制御する(S502)。
【0123】
そして、磁気記録素子101は、磁気記録媒体111に対し磁気情報を記録する(S503)。
【0124】
以上のように、本発明に係る磁気情報記録再生装置1は、磁気記録媒体111に記録されたトラックサーボパターン201から得たトラックサーボ出力から磁気再生素子102の位置を調整する磁気情報記録再生装置1である。
【0125】
そして、再生出力取得部15が、磁気記録媒体111に記録された磁気情報203から再生出力を取得するとともに、トラックサーボパターン201からトラックサーボ出力を取得する。
【0126】
次に、上記再生出力取得手段が取得したトラックサーボ出力に対応する基準トラック位置に対する上記再生素子の位置を変化させる。すなわち、最適オフセット値決定部11は、再生出力取得部15が取得したトラックサーボ出力に対応するトラック位置から、磁気ヘッド100の位置を変位させるための値であるオフセット値を、変化させて送信する。
【0127】
そして、最適オフセット値決定部11は、上記再生出力取得部15が取得する再生出力の値を監視し、当該再生出力の値が所定の値を超える再生素子の相対位置、すなわち、再生出力が所定の値を超えるときのオフセット値を決定する。
【0128】
そして、位置制御信号送信部13は、位置を調整する指示を磁気ヘッド保持部103へ送信することで、最適オフセット値決定部11が決定した相対位置に磁気再生素子102を位置決めする。
【0129】
これにより、磁気再生素子102を含む磁気ヘッド100は、磁気記録媒体111に記録された磁気情報203を再生したときに、所定の値以上の出力を得ることができる位置に調整される。よって、例えば、磁気記録素子101と磁気再生素子102との相対的な位置関係が変化し、トラックサーボパターン201と対応する位置に磁気情報203が記録されなかった場合であっても、磁気情報203が記録された場所に対応して磁気ヘッド100の位置が調整されるので、記録された磁気情報203を正常に再生することができる。
【0130】
また、磁気情報記録再生装置1では、記録判断部16が、磁気記録媒体111に、磁気情報203が記録されている否かを判断する。そして、記録判断部16が、磁気記録媒体111に磁気情報203が記録されていないと判断した場合、記録信号送信部17は、磁気記録素子101に記録信号を送信することで、磁気記録媒体111に磁気情報203を記録する。
【0131】
これにより、磁気記録媒体111に磁気情報203が記録されているかいないかが判断され、磁気情報203が記録されていなかった場合、記録信号送信部17は、磁気記録媒体111に磁気情報203が記録されるように磁気記録素子101に対し記録信号を送信ので、磁気記録媒体111には必ず磁気情報203が記録され、最適オフセット値を求めることができなくなることを防止することができる。
【0132】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図6〜図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記の実施の形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0133】
本実施の形態では、上記の磁気情報記録再生装置1が磁気情報を記録する磁気記録媒体に、磁気情報用トラック同士が、凹凸形状や非磁性体などによって互いに磁気的に分離されている磁気記録媒体(ディスクリートトラック型記録媒体と呼ばれることもある)や、または、トラックだけでなく同一トラックにおける記録用ビット同士も同様に磁気的に分離されている磁気記録媒体(パターンド記録媒体と呼ばれることもある)を用いている。
【0134】
本実施の形態が、実施の形態1と異なるのは、記録された磁気情報から再生出力が所定の値に満たない場合、所定の値を超えるまで、最適オフセット値決定部12が、磁気情報の記録、消去、再生を繰り返すように指示する点である。図6に、本実施の形態に係る磁気情報記録再生装置2のブロック図を示す。
【0135】
図7(a)および(b)を参照しながら、磁気情報用トラック同士が互いに磁気的に分離されている磁気記録媒体(ディスクリートトラック型記録媒体)700を用いた例について説明する。図7(a)および(b)は、磁気記録媒体700に記録されたトラックサーボパターン703および磁気情報706と、トラックサーボパターン703から得られるトラックサーボ出力の波形705とを示す図である。
【0136】
磁気記録媒体700において、磁気情報用トラック701は、非記録用領域702によって他の磁気情報用トラック領域と磁気的に分離されている。磁気情報用トラック701にはトラックサーボパターン703が記録されており、磁気ヘッド100の磁気再生素子102によりトラックサーボパターン703から得られるトラックサーボ出力の波形は、波形705で示される。そして、トラックサーボ出力の波形705は、トラックサーボパターン703の中心に合致するトラック位置rにおいてピーク値を持つ。
【0137】
なお、磁気ヘッド100は、スライダ部に磁気素子だけでなくヒーターコイルやレーザ素子が設けられたものであってもよい。
【0138】
まず、磁気ヘッド100の磁気再生素子102を、トラックサーボ出力の波形705のピークをトラックサーボパターン703の中心(すなわちトラックの中心)と判断してトラックサーボパターン703に追従させる。これは、従来の技術を用いて行う。よって、磁気再生素子102は、トラックサーボパターン703の中心に合致するトラック位置rの軌跡704上に位置する。ここで、磁気再生素子102と磁気再生素子102との相対的な位置関係が変化しなければ、磁気記録素子101もまた、同じ軌跡704上に位置する。
【0139】
しかし、磁気記録素子101と磁気再生素子102との相対的な位置関係が変化した場合、例えば、磁気記録素子101の位置がrに変化した場合、磁気記録素子101は軌跡707上に位置することになる。
【0140】
この状態において、記録再生制御部104は、磁気再生素子102により磁気記録媒体700に対して、磁気記録媒体700の初期化を行ってから磁気情報706を記録する。なお、磁気記録媒体600の初期化は、磁気記録媒体700のノイズ出力が所定の値より小さい場合は省略してもよい。
【0141】
軌跡707上に位置する磁気記録素子101により記録された磁気情報706は、トラックサーボパターン703とは異なる位置rにおいて記録されることになる。
【0142】
そして、位置rとrとの差が一定以上に達すると、図7(a)で示すように、磁気情報706は磁気情報用トラック701から外れ、所定の大きさで記録されなくなる。磁気情報706の内、図7(a)の破線で囲まれた部分は、非記録用領域702に位置していて記録されないためである。よって、磁気再生素子102によって磁気情報706から得られる再生信号出力は、所定の値よりも小さくなり、再生信号の信号雑音比が低下する。したがって、磁気情報706は、磁気再生素子102により正常に再生できない。
【0143】
この場合は、次の方法により、磁気情報706を正常に再生できるように最適オフセット値を決定する。
【0144】
まず、最適オフセット値決定部12は、出力信号取得部10より受信した磁気情報706の再生出力が所定の値を超えるか否かを判断する。これは、記憶部106に記憶されている所定値と比較することで行う。所定の値を超えなかった場合は、磁気情報706を正常に再生できなかった場合である。
【0145】
そして、所定の値を超えなかった場合は、最適オフセット値決定部12は、送信するオフセット値を変更する。そして、最適オフセット値決定部12は記録再生制御部104に対し、磁気情報706の消去を指示し、位置制御信号送信部13に対し変更したオフセット値を送信する。変更したオフセット値を受信した位置制御信号送信部13は、受信したオフセット値が示す距離だけ磁気ヘッド100が変位する制御信号を生成し、磁気ヘッド保持部103に送信する。
【0146】
そして、磁気ヘッド保持部103は受信した位置制御信号に基づき、磁気ヘッド100の位置を制御する。その後、磁気ヘッド100の変位が終了すると、終了した旨を示す情報を最適オフセット値決定部12へ送信する。
【0147】
最適オフセット値決定部12は、磁気ヘッド100の変位が終了した旨を示す情報を受信すると、記録再生制御部104に対し、再度、磁気情報706を磁気記録媒体700に記録するよう指示する。最適オフセット値決定部12より記録指示を受信した記録再生制御部104は、磁気記録素子101を用いて磁気情報706を記録する。
【0148】
この記録は、位置制御信号送信部13に送信するオフセット値を変えながら行う。そして、磁気再生素子102により得られる磁気情報706からの再生信号出力が所定の値を超えるまで、磁気情報の消去・再記録・再生を繰り返す。なお、上記オフセット値の変更は、どのような形式でオフセット値を変化させるものであってもよい。
【0149】
ここで、所定の値とは、再生出力が当該所定の値を超えると、磁気再生素子102で磁気情報を正常に読み取ることができるような値である。
【0150】
また、再記録を行う方法として、まず一方の方向に変位させながら、記録再生を行った場合に、再生出力が大きくなっていったときは、その方向で再記録を進め、逆に小さくなっていったときは、反対方向へ進めながら再記録を行うものであってもよい。
【0151】
そして、磁気再生素子102により得られた磁気情報706の再生信号出力が所定の値を超えると、上述した第1の実施形態と同じ方法で、最適オフセット値の決定を行う。これにより、磁気情報706が完全な形で記録された後、最適オフセット値を決定することができる。
【0152】
なお、図7(b)では、磁気情報708の再生信号出力が所定の値を超えた場合を示すものとして、磁気情報708の中心がトラックサーボパターン703の中心と一致している場合を示しているが、磁気情報708の再生信号出力が所定の値を超えた場合とは、この状態に限るものではない。磁気情報708の再生信号出力が所定の値を超えていれば、磁気情報708の中心がトラックサーボパターン703の中心とは一致していなくてもよい。
【0153】
次に、図8(a)および(b)を参照しながら、記録用ビット同士が互いに磁気的に分離されている磁気記録媒体(パターンド記録媒体)を用いた例について説明する。
【0154】
図8(a)および(b)は、磁気記録媒体(パターンド記録媒体)800に記録されたトラックサーボパターン802および磁気情報804と、トラックサーボパターン802から得られるトラックサーボ出力の波形806とを示す図である。
【0155】
磁気記録媒体800において、記録用ビット801は周囲の領域から磁気的に分離されている。記録用ビット801の周囲にはトラックサーボパターン802が記録されており、磁気ヘッド100の磁気再生素子102によりトラックサーボパターン802から得られるトラックサーボ出力の波形は、波形806で示される。そして、トラックサーボ出力の波形806は、トラックサーボパターン802の中心に合致するトラック位置r11においてピーク値を持つ。
【0156】
なお、磁気ヘッド100は、スライダ部に磁気素子だけでなくヒーターコイルやレーザ素子が設けられたヘッドであってもよい。
【0157】
磁気ヘッド100の磁気再生素子102を、トラックサーボ出力の波形806のピークをトラックサーボパターン802の中心(すなわち、トラックの中心)と判断してトラックサーボパターン802に追従させる。よって、磁気再生素子102は、トラックサーボパターン802の中心に合致するトラック位置r11の軌跡803上に位置する。ここで、磁気再生素子102と磁気記録素子101との相対的な位置関係が変化しなければ、磁気記録素子101もまた、磁気再生素子102と同じ軌跡803上に位置する。
【0158】
しかし、磁気記録素子101と磁気再生素子102との相対的な位置関係が変化した場合、例えば、磁気記録素子101の位置がr12に変化した場合は、磁気記録素子101は軌跡805上に位置することになる。
【0159】
この状態において、磁気記録素子101により磁気記録媒体800に対して、磁気記録媒体800の初期化を行ってから磁気情報804の記録する。なお、磁気記録媒体800の初期化は、磁気記録媒体800のノイズ出力が所定の値より小さい場合は省略してもよい。
【0160】
軌跡805上に位置する磁気再生素子102により記録された磁気情報804は、トラックサーボパターン802とは異なる位置r12において記録されることになる。
【0161】
そして、r11とr12との差が一定以上に達すると、図8(a)で示すように、磁気情報804は記録用ビット801から外れ、所定の大きさで記録されなくなる。磁気情報804の内、図8(a)の破線で囲まれた部分は、周囲の非記録用領域に位置していて記録されないためである。よって、磁気再生素子102によって磁気情報804から得られる再生信号出力は、所定の値よりも小さくなり、再生信号の信号雑音比が低下する。したがって、磁気情報804は、磁気再生素子102により正常に再生できない。
【0162】
この場合は、次の方法により、磁気情報804を正常に再生できるように最適オフセット値を決定する。
【0163】
まず、最適オフセット値決定部12は、出力信号取得部10より受信した磁気情報804の再生出力が所定の値を超えるか否かを判断する。これは、記憶部106に記憶されている所定値と比較することで行う。所定の値を超えなかった場合は、磁気情報804を正常に再生できなかった場合である。
【0164】
そして、所定の値を超えなかった場合は、最適オフセット値決定部12は記録再生制御部104に対し、磁気情報804の消去を指示し、位置制御信号送信部13に対し変更したオフセット値を送信する。変更したオフセット値を受信した位置制御信号送信部13は、変更したオフセット値が示す距離だけ磁気ヘッド100を変位させる制御信号を生成し、磁気ヘッド保持部103に送信する。
【0165】
磁気ヘッド保持部103は受信した位置制御信号に基づき、磁気ヘッド100の位置を制御する。そして、磁気ヘッド100の変位が終了すると、終了した旨を示す情報を最適オフセット値決定部12に送信する。
【0166】
最適オフセット値決定部12は、終了した旨を示す情報を受信すると、記録再生制御部104に対し、再度磁気情報804を磁気記録媒体600に記録するよう指示する。最適オフセット値決定部12より記録指示を受信した記録再生制御部104は、磁気記録素子101を用いて磁気情報804を記録する。
【0167】
この記録は、位置制御信号送信部13に送信するオフセット値を変えながら行う。そして、磁気再生素子102により得られる磁気情報804からの再生信号出力が所定の値を超えるまで、磁気情報の消去・再記録・再生を繰り返す。
【0168】
ここで、所定の値とは、再生出力が当該所定の値を超えると、磁気再生素子102で磁気情報を正常に読み取ることができるような値である。
【0169】
また、再記録を行う方法として、磁気ヘッド100を、まず一方の方向に変位させながら、記録再生を行った場合に、再生出力が大きくなっていったときは、その方向で再記録を進め、逆に小さくなっていったときは、反対方向へ進めながら再記録を行うものであってもよい。
【0170】
そして、磁気再生素子102によって得られた磁気情報804の再生信号出力が所定の値を超えた後に、上述した第1の実施形態と同じ方法で、最適オフセット値の決定を行う。これにより、磁気情報804が完全な形で記録された後、最適オフセット値を決定することができる。
【0171】
なお、図8(b)では、磁気情報804の再生信号出力が所定の値を超えた場合を示すものとして、磁気情報804の全てが記録用ビット801に重なり合った状態を示しているが、磁気情報804の再生信号出力が所定の値を超えた場合とは、この状態に限るものではない。磁気情報804の再生出力が所定の値を超えていれば、重なり合っていなくてもよい。
【0172】
以上のように、磁気情報記録再生装置2では、最適オフセット値決定部12は、再生出力取得部15が取得した磁気情報706(708、804)の再生出力が所定の値を超えなかった場合、磁気記録素子101の位置を変化させ、磁気記録媒体700(800)の磁気記録素子101が変化させられた位置に、上記再生情報を記録する。すなわち、再生出力取得部15が取得したトラックサーボ出力に対応するトラック位置からオフセット値が示す距離だけ磁気記録素子101の位置を変位させた後、記録信号送信部17に、記録信号を送信させる。
【0173】
これにより、磁気記録媒体700(800)に記録されている磁気情報706の再生出力が所定の値を超えない場合、最適オフセット値決定部12および位置制御信号送信部13により、トラックサーボ出力に対応するトラック位置からオフセット値が示す距離だけ磁気再生素子102の位置が変位した後、記録信号送信部17により記録信号が送信され、最適オフセット値を決定するために必要な再生出力が得られるまで、磁気情報708が記録位置を変更しながら記録される。
【0174】
よって、最適オフセット値を決定するために必要な再生出力が得られない場合を防止できるという効果を奏する。
【0175】
なお、トラックサーボを用いることによる磁気ヘッド100の磁気再生素子102の位置決めは上述した方法に限られるものではなく、以下の方法であってもよい。
【0176】
すなわち、図9に示すように、磁気記録媒体900には、トラック91に対してその中心となる中心線94を挟み、相互にトラック方向にずれた位置にトラックサーボパターン92とトラックサーボパターン93とが記録されている。
【0177】
そして、磁気再生素子102は、トラックサーボパターン92から得たサーボ出力Vの振幅とトラックサーボパターン93から得たサーボ出力Vの振幅とから位置を決定する。具体的には、Δを磁気再生素子102のトラック91の中心からのずれ(トラックから変位した位置に対応した出力)とした場合、Δは、Δ=(V−V)/(V+V)の式で表される。この式において、位置制御部105は、Δ=0となる位置(基準トラック位置)に磁気再生素子102を位置決めする。Δ=0であれば、図9に示すように磁気再生素子102はトラック91の中心に位置決めされることになる。
【0178】
そして、トラック91に記録されている磁気情報(図示せず)が、トラック91の中心に位置していない場合、上記Δにオフセット値を与えることで、磁気再生素子102の位置は、磁気情報が記録されている位置に位置決めされる。
【0179】
例えば、オフセット値が「+5」であり、磁気情報とトラックとのずれも「+5」であった場合、オフセット値に基づく、磁気再生素子102の変位後の磁気情報とトラックとのずれをΔ´とすると、“Δ´=Δ―5”との式において“Δ´=0”となる。
【0180】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0181】
最後に、磁気情報記録再生装置1の各ブロック、特に記録再生制御部104、位置制御部105の出力信号取得部10、最適オフセット値決定部11、および位置制御信号送信部13は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0182】
すなわち、磁気情報記録再生装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである磁気情報記録再生装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記磁気情報記録再生装置1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU(microprocessor unit))が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0183】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital video disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0184】
また、磁気情報記録再生装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(local area network)、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線でも、IrDA(infrared data association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0185】
(その他の構成)
なお、本発明は以下の構成によるものであってもよい。
【0186】
(構成1)
磁気再生素子と磁気記録素子を有する磁気ヘッドと、磁気記録媒体を備え、前記の媒体に記録されたトラックサーボパターンから、前記の磁気再生素子によりトラックサーボ出力値を得る磁気記録再生装置において、前記の磁気記録素子により磁気記録媒体に第1の磁気情報を記録してから、前記のトラックサーボパターンから得られるトラックサーボ出力値にオフセット値を与え、該オフセット値を変化させて磁気再生素子により前記の第1の磁気情報を再生し、得られる再生出力値により最適オフセット値を判断し、最適オフセット値に基づいて磁気ヘッドを移動させ、前記の第1の磁気情報を記録または再生することを特徴とする磁気記録再生装置。
【0187】
これにより、磁気ヘッドの磁気記録素子によって第1の磁気情報を記録する。次いで、前記の磁気再生素子により得られるトラックサーボ出力値にオフセット値を与える。前記のオフセット値を変化させることにより、前記の磁気情報に対する磁気再生素子の位置を変化させることができる。トラック位置座標における前記の磁気記録素子と磁気再生素子の相対位置が変化した場合は、磁気記録素子により記録される磁気情報も、磁気再生素子に対して相対位置が変化してしまうが、前記の方式により前記の磁気情報に対して磁気再生素子を正確に位置決めすることができ、前記の磁気情報の位置(即ち、磁気記録素子の位置)と磁気再生素子の相対位置に相当するオフセット値を、最適オフセット値として判断し、最適オフセット値に基づいて磁気ヘッドを移動させ、前記の第1の磁気情報を記録または再生することができる。
【0188】
(構成2)
構成1に記載の磁気記録再生装置において、磁気的に分離された磁気情報用トラックまたは磁気的に分離された記録用ビットが形成されている磁気記録媒体を備え、前記の第1の磁気情報から得られる再生出力値の最大値が所定値以上に達してから、最適オフセット値を判断し、最適オフセット値に基づいて磁気ヘッドを移動させ、前記の第1の磁気情報を記録または再生することを特徴とする磁気記録再生装置。
【0189】
これにより、磁気情報用トラック同士が、凹凸形状や非磁性体などによって互いに磁気的に分離されている磁気記録媒体(ディスクリートトラック型記録媒体と呼ばれることもある)または、トラックだけでなく同一トラックにおける記録ビット同士も同様に磁気的に分離されている磁気記録媒体(パターンド記録媒体と呼ばれることもある)などにおいて、トラック位置座標における磁気記録素子と磁気再生素子の相対位置が変化した場合は、磁気記録素子の一部または全部が磁気記録媒体の非記録領域に位置する場合がある。かかる状況下で、第1の磁気情報を記録すると、第1の磁気情報が不完全な形で記録されるが、第1の磁気情報から得られる再生出力値の最大値が所定値以上に達してから最適オフセット値を判断する。所定値は、第1の磁気情報が完全な形で記録された場合に得られる再生出力値の最大値である。前記の方式により、第1の磁気情報が完全な形で記録されてから、最適オフセット値を判断し、最適オフセット値に基づいて磁気ヘッドを移動させ、前記の第1の磁気情報を記録または再生することができる。
【0190】
(構成3)
構成1に記載の磁気記録再生装置において、前記の第1の磁気情報から得られる再生出力値が最大になる時のオフセット値を最適オフセット値と判断し、最適オフセット値に基づいて磁気ヘッドを移動させ、前記の第1の磁気情報を記録または再生することを特徴とする磁気記録再生装置。
【0191】
これにより、磁気再生素子により第1の磁気情報から得られる再生出力値が最大になる時のオフセット値を最適オフセット値と判断することで、第1の磁気情報のトラック位置に、磁気再生素子の最も感度の高い部分のトラック位置を合わせることができ、第1の磁気情報のトラック位置を正確に判断し、最適オフセット値に基づいて磁気ヘッドを移動させ、前記の第1の磁気情報を記録または再生することができる。
【0192】
(構成4)
請求項1に記載の磁気記録再生装置において、前記の最適オフセット値を判断した後に、磁気記録素子により磁気記録媒体に第2の磁気情報を記録してから、あるいは、磁気記録素子により磁気記録媒体に第2の磁気情報を記録した後に、前記の最適オフセット値を判断してから、前記の最適オフセット値を前記のトラックサーボ出力値に与えて、磁気再生素子により前記の第2の磁気情報を再生し、最適オフセット値に基づいて磁気ヘッドを移動させ、前記の第1の磁気情報を記録または再生することを特徴とする磁気記録再生装置。
【0193】
これにより、磁気記録素子の位置と磁気再生素子の相対位置が変化した場合でも、前記の最適オフセット値を判断してから第2の磁気情報を記録し、該値を前記のトラックサーボ出力値に与えることにより、第2の磁気情報のトラック位置に磁気再生素子のトラック位置を正確に合わせることができる。前記の効果を得るには、第2の磁気情報を記録してから前記の最適オフセット値を判断する手順でも良い。上記の手順により、第2の磁気情報から得られる再生出力値を高く得ることができる。
【0194】
(構成5)
構成1に記載の磁気記録再生装置において、前記の最適オフセット値に基づいて、磁気記録素子とトラックサーボパターンの位置を一致させるようなオフセット値を前記のトラックサーボ出力値に与えて第2の磁気情報を記録することを特徴とする磁気記録再生装置。
【0195】
これにより、磁気記録素子の位置と磁気再生素子の相対位置が変化した場合に、第1の磁気情報を再生して得られた最適オフセット値に基づいて、磁気記録素子とトラックサーボパターンのトラック位置を合致させることができる。まず、トラックサーボ出力値にオフセット値を与えて、磁気再生素子のトラック位置を第1の磁気情報のトラック位置に移動させ、最適オフセット値を判断した後に、前記の移動させた量と逆向きかつ同じ量の移動量を与えるようなオフセット値をトラックサーボ出力値に与える。すると、前記の第1の磁気情報を記録した前記の磁気記録素子のトラック位置を、オフセット値が0の時に前記の磁気再生素子が追従しているトラックサーボパターンのトラック位置と合致させることができる。次いで、前記の磁気記録素子により第2の磁気情報を記録すると、該情報は前記のトラックサーボパターンと同じトラック位置に記録することができる。前記の第2の磁気情報を再生する際に、オフセット値をトラックサーボ出力値に与えなくても、再生することができる。
【0196】
(構成6)
構成1から5に記載の磁気記録再生装置において、前回得られた最適オフセット値の正負と同じ正負を持つオフセット値を、前記のトラックサーボ出力値に与えて新たな最適オフセット値の判断を始めることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0197】
これにより、最適オフセット値の判断を始める際に、前回に得た最適オフセット値と同じ正負を持つオフセット値をトラックサーボ出力値に与えることにより、最適オフセット値を判断する時間を短縮できる可能性を高くすることができる。
【0198】
(構成7)
構成6に記載の磁気記録再生装置において、第1の磁気情報と磁気再生素子との最適オフセット値を検出する際に、前記のトラックサーボ出力値に与えるオフセット値の大きさを前回の値と同じにして最適オフセット値の判断を始めることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0199】
これにより、最適オフセット値の判断を始める際に、前回に得た最適オフセット値と同じオフセット値をトラックサーボ出力値に与えることにより、最適オフセット値を判断する時間を短縮できる可能性を高くすることができる。
【0200】
(構成8)
構成1から7に記載の磁気記録再生装置において、第1の磁気情報を記録する領域が、第2の磁気情報を記録する領域とは異なっている磁気記録媒体を備えていることを特徴とする磁気記録再生装置。
【0201】
これにより、第1および第2の磁気情報が混在せずに済み、両者の記録周波数を変えて両者を区別しなくても、各磁気情報を正確に再生することができる。
【産業上の利用可能性】
【0202】
情報記録再生装置において、再生素子と記録素子との位置関係が変化しても正常に記録された情報を再生できるので、再生素子と記録素子との位置関係が変化する可能性がある情報記録装置、例えば、記録再生ヘッドにヒーターコイルやレーザ素子を備えている情報記録再生装置に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、情報記録再生装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施の形態における、磁気情報とトラックサーボパターンから得られるトラックサーボ出力の波形とを示す図であり、(a)はオフセット値を送信する前の図であり、(b)はオフセット値を送信後の図である。
【図3】上記実施の形態における、磁気ヘッドの再生素子の位置を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】上記実施の形態における、磁気情報とトラックサーボパターンから得られるトラックサーボ出力の波形とを示す図であり、(a)はオフセット値を送信する前の図であり、(b)はオフセット値を送信後の図である。
【図5】上記実施の形態における、磁気ヘッドの記録素子の位置を調整する処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施の形態における、磁気情報記録再生装置の要部構成を示すブロック図である。
【図7】上記他の実施の形態における、磁気情報とトラックサーボパターンから得られるトラックサーボ出力の波形とを示す図であり、(a)はオフセット値を送信する前の図であり、(b)はオフセット値を送信後の図である。
【図8】上記他の実施の形態における、磁気情報とトラックサーボパターンから得られるトラックサーボ出力の波形とを示す図であり、(a)はオフセット値を送信する前の図であり、(b)はオフセット値を送信後の図である。
【図9】本発明のさらに他の実施の形態における、トラックとトラックサーボパターンの位置関係を示す図である。
【図10】従来技術における課題を示す図であり、(a)は記録素子と再生素子とが同一軌跡上にある場合を示す図であり、(b)は記録素子と再生素子とが別の軌跡上にある場合を示す図である。
【図11】従来技術における課題を示す図である。
【符号の説明】
【0204】
1 磁気情報記録再生装置(情報記録再生装置)
2 磁気情報記録再生装置(情報記録再生装置)
10 出力信号取得部
11 最適オフセット値決定部(再生位置決定手段)
12 最適オフセット値決定部(再生位置決定手段)
13 位置制御信号送信部(再生位置調整手段)
15 再生出力取得部(再生出力取得手段)
16 記録判断部(記録判断手段)
17 記録信号送信部(記録信号送信手段)
100 磁気ヘッド
101 磁気記録素子(記録素子)
102 磁気再生素子(再生素子)
103 磁気ヘッド保持部
104 記録再生制御部
105 位置制御部
106 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録されたトラックサーボパターンから得たトラックサーボ出力に基づいて再生素子の位置を調整する情報記録再生装置において、
上記トラックサーボパターンからトラックサーボ出力を取得するとともに、記録素子によって上記記録媒体に記録された再生情報から再生出力を取得する再生出力取得手段と、
上記再生出力取得手段が取得したトラックサーボ出力に対応する基準トラック位置に対する上記再生素子の位置を変化させながら、上記再生出力取得手段が取得する再生出力の値を監視し、当該再生出力の値が所定の値を超える再生素子の相対位置を決定する再生位置決定手段と、
上記再生位置決定手段が決定した相対位置に、上記再生素子を位置決めする再生位置調整手段と、を備えていることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
上記記録媒体に上記再生情報が記録されている否かを判断する記録判断手段と、
上記記録判断手段が、上記記録媒体に上記再生情報が記録されていないと判断した場合に、記録素子を制御することにより上記再生情報を上記記録媒体に記録する記録制御手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
上記再生位置決定手段は、上記再生出力取得手段が取得した再生出力が所定の値を超えなかったと判断した場合、上記基準トラック位置に対する上記再生素子の位置を変化させることで、上記再生素子と同じヘッドに備えられた上記記録素子の位置を変化させ、
上記記録制御手段は、上記記録素子を制御することによって、上記記録媒体の上記録素子の変位後の位置に、上記再生情報を記録することを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
上記再生位置決定手段は、上記再生素子を所定の距離、変位させ、当該所定の距離を変位させる間に、上記再生出力取得手段が取得した再生出力が最大となったときの位置を上記相対位置とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
上記再生位置決定手段が決定した相対位置を記憶する記憶部をさらに備え、
上記再生位置決定手段は、上記基準トラック位置を起点として、上記記憶部に記憶されている相対位置と同じ方向へ上記再生素子を変位させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項6】
上記再生位置決定手段が決定した相対位置を記憶する記憶部をさらに備え、
上記再生位置決定手段は、上記記憶部に記憶されている相対位置に上記再生素子を変位させることことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項7】
上記再生位置決定手段が決定した相対位置に対し、上記基準トラック位置が中点となる反対位置に上記再生素子を変位させる再生位置移動手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報記録再生装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の情報記録再生装置を動作させる情報記録再生装置制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための情報記録再生装置制御プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報記録再生装置制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項10】
記録媒体に記録されたトラックサーボパターンから得たトラックサーボ出力に基づいて再生素子の位置を調整する情報記録再生装置の制御方法であって、
上記トラックサーボパターンからトラックサーボ出力を取得するトラックサーボ出力取得ステップと、
上記トラックサーボ出力取得ステップで取得したトラックサーボ出力に対応する基準トラック位置に対する上記再生素子の位置を変化させながら、記録素子によって上記記録媒体に記録された再生情報から再生出力を取得する再生出力取得ステップと、
上記再生出力取得ステップで取得する再生出力の値を監視し、当該再生出力の値が所定の値を超える再生素子の相対位置を決定する再生位置決定ステップと、
上記再生位置決定ステップで決定した相対位置に、上記再生素子を位置決めする再生位置調整ステップと、を含むことを特徴とする情報記録再生装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−187617(P2009−187617A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25683(P2008−25683)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】