説明

情報記録媒体、情報記録再生装置及び情報記録再生方法

【課題】 複数のセクタから構成されるアドレス単位にて情報アドレスの管理が行われている情報記録媒体においても、記録領域の属性が切替わる境界のアドレスを特定でき、光ピックアップが無信号エリアに入り込むことを確実に防止する。
【解決手段】 情報記録媒体には、高密度記録可能なブルーレイディスクなどの光ディスクを用いることができる。ブルーレイディスクでは、物理アドレスの管理を上記のデータセクタよりも大きな単位(AUN)で行っているため、データゾーンやリードアウトエリアなどの記録領域の属性を示す情報(ゾーンタイプ情報)をそのアドレス管理単位で格納することができない。そのため、正確に記録領域の属性が切替わる境界のアドレスを特定することができない。そこで、AUN内において、この境界が存在するかを示す切換えフラグを記録させる。この切換えフラグを用いることにより、情報記録再生装置は光ディスク上の記録領域の境界のアドレスを正確に特定することができる。これにより、光ピックアップを無信号エリアなどに突入させないよう制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録領域から成る情報記録媒体の記録領域の境界を特定する技術を含んだ情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD−ROM(DVD-Read Only Memory)、DVD−R(DVD-Recordable)やDVD−RW(DVD-Re-recordable)などに代表される光ディスクなどの情報記録媒体や、これら情報記録媒体に情報を記録し、記録した情報を再生することができる情報記録再生装置が知られている。このような情報記録媒体においては、情報の記録に用いられる記録領域にはピットが予め形成されているが、リードアウトエリアの外側の無信号エリア(ミラー部)にはピットが存在しない。そのため、情報を読み取るための光ピックアップがこの無信号エリアに突入すると、トラッキングのための信号が得られないためにスピンドル制御が不可能になってしまう。また、最悪の場合には、光ピックアップが外周部に暴走して情報記録再生装置が故障に至る可能性もある。
【0003】
したがって、光ピックアップなどを、リードアウトエリアを超える位置に移動しないように制御する必要がある。基本的には、情報記録再生装置が、光ピックアップがリードアウトエリアの位置にあることを識別できれば、光ピックアップを内周側に引き戻す処理を行うことができる。一般的には、リードインエリア内にデータゾーンの最後のアドレスを示す情報が予め記録されており、情報記録再生装置はその情報を取得することにより光ピックアップの制御を行っている(これを「第1の方法」と呼ぶ)。詳しくは、情報記録再生装置は、現在読み込み中のデータセクタ(単に、「セクタ」とも呼ぶ)のアドレス情報と取得したデータゾーンの最後のアドレスを示す情報とを、その都度比較することで光ピックアップがリードアウトエリアに入っているかどうかを識別している。
【0004】
さらに、他には、データセクタごとに記録領域の種類を示す情報(以下、「ゾーンタイプ情報(Zone type情報)」と呼ぶ)を記録媒体に記録しておき、その情報を毎回読み取ることで光ピックアップが存在する位置を把握する方法がある(「第2の方法」と呼ぶ)。先述した第1の方法では、アドレス情報が常に変化してしまうが、ゾーンタイプ情報を用いた第2の方法では、このゾーンタイプ情報は変化しないため情報の読み取り確率は高い。したがって、ゾーンタイプ情報を用いた第2の方法では、光ピックアップが無信号エリアに達しないように正確に制御することができる。
【0005】
ところで、最近では、情報をさらに高密度に大容量記録するために、ブルーレーザを用いた情報記録再生装置及び情報記録媒体(「ブルーレイディスク」などとも呼ばれる。)が開発されている。赤色のレーザを用いるDVD−ROM、DVD−Rなどの記録媒体にはデータセクタ単位でゾーンタイプ情報が付加できたが、BD−RWやBD−ROMなどのブルーレイディスクにおいてはデータセクタ単位でこのような情報を格納する領域がない。これは、ブルーレイディスクでは、物理アドレスの管理を上記のデータセクタよりも大きな単位で行っているからである。したがって、このゾーンタイプ情報をブルーレイディスクに導入した場合には、上述の第2の方法によっては、光ピックアップの位置制御をデータセクタ単位で正しく行うことができない。そのため、上述した第1の方法によりリードインエリア内にあるデータゾーンの最後のアドレスを示す情報を取得できなかった場合には、光ピックアップが無信号エリアに突入してしまう可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
請求項1に記載の発明は、記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体であって、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されていることを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に情報を記録する情報記録装置であって、前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、前記情報記録装置は、前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得手段と、前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項6に記載の発明は、記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に記録された情報を再生する情報再生装置であって、前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、前記情報再生装置は、前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得手段と、前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項8に記載の発明は、記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に情報を記録する情報記録方法であって、前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、前記情報記録方法は、前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得工程と、前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得工程と、前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項9に記載の発明は、記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に記録された情報を再生する情報再生方法であって、前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、前記情報再生方法は、前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得工程と、前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得工程と、前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項10に記載の発明は、記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に情報を記録する情報記録装置にて実行される情報処理プログラムであって、前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、前記情報処理プログラムは、前記情報記録装置を、前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得手段と、前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定手段として機能させることを特徴とする。
【0012】
請求項11に記載の発明は、記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に記録された情報を再生する情報再生装置にて実行される情報処理プログラムであって、前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、前記情報処理プログラムは、前記情報再生装置を、前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得手段と、前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定手段として機能させることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の好適な実施形態では、情報記録媒体は、記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体であって、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されている。
【0014】
上記の情報記録媒体は、光ディスクとすることができ、特にBD−RWやBD−ROMなどに代表される高密度記録が可能なブルーレイディスクが好適である。情報記録媒体は、リードインエリア、データゾーン及びリードアウトエリアなどの情報を記録するための記録領域と、リードアウトエリアの外側に無信号エリアと、を備える。このような情報記録媒体において、記録領域にはピットが予め形成されているが、リードアウトエリアの外側の無信号エリア(ミラー部)にはピットが存在しないので、光ピックアップがこの無信号エリアに突入すると、トラッキングのための信号が得られないためにスピンドル制御が不可能になってしまう。このような状況を生じさせないために、データセクタごとに上記の記録領域の属性を示す情報(即ち、「ゾーンタイプ情報」)を記録媒体に記録しておき、その情報を毎回読み取ることで光ピックアップが存在する位置を把握して、無信号エリアに達しないように正確に制御する方法が採用されている。ここで、ブルーレイディスクでは、記録情報に関する物理アドレスの管理をデータセクタよりも大きなAUN(Address Unit Number)単位で行っている。上記のゾーンタイプ情報をブルーレイディスクに導入した場合には、データセクタ単位でこのような情報を格納する領域がないので、データセクタ単位で、記録領域の境界を正確に認識することができない。これにより、ブルーレイディスクを記録又は再生を行う際に、光ピックアップが無信号エリアに突入してしまう可能性がある。そのため、本発明の実施形態では、ゾーンタイプ情報以外に切替えフラグをAUN内に記録させている。この切替えフラグは、複数のデータセクタから成るAUN内において、ゾーンタイプ情報が途中で切替わっているかどうかを示している情報である。つまり、この切替えフラグを参照することにより、例えばデータゾーンとリードアウトエリアの境界のアドレスを特定することができる。以上により、例えばデータゾーンの最終セクタのアドレス取得後は、情報処理装置は、それ以降の領域に光ピックアップを移動させないように制御することができる。
【0015】
1つの好適な実施例では、前記アドレス単位は、2つの前記セクタから構成されることができる。一般的にデータセクタは2Kバイト単位であるが、この場合にはAUNはその2倍の4Kバイト単位となる。
【0016】
また、他の好適な実施例では、前記ゾーンタイプ情報は2ビットのデータであり、前記切替えフラグは1ビットのデータとすることができる。例えば、任意に選んだ1つのセクタがリードインエリアに存在していればゾーンタイプ情報として「01」が記録され、データゾーンに存在すれば「00」の情報が記録され、リードアウトエリアに存在すれば「10」の情報が記録される。また、AUN内でゾーンタイプ情報が途中で切替った場合は「1」、途中で切替っていない場合には「0」を当該AUN内に記録させる。
【0017】
さらに、本発明の好適な実施形態では、記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体であって、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されている情報記録媒体に情報を記録する又は当該情報記録媒体を再生する情報処理装置であって、前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得手段と、前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定手段と、を備えることができる。
【0018】
上記の情報処理装置は、BD−RWやBD−ROMなどの情報記録媒体に記録された記録情報を再生する機能と、さらに情報を記録する機能とを備えている。本実施形態に係る情報処理装置は、上述したような記録型のブルーレイディスク(BD−RW)に対して記録又は再生の処理を行うことができ、現在規格策定中の再生専用型のブルーレイディスク(BD−ROM)に対して再生の処理を行うことができる。具体的には、記録媒体のデータセクタが属している記録領域の属性を示すゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、AUN内に前記記録領域の境界が存在しいているかを示す切替えフラグを読み取る切替えフラグ取得手段と、を備えている。そして、これらにより取得した情報に基づいて、前記情報記録媒体の記録領域の境界を特定する境界特定手段を有している。これらにより、情報処理装置は、光ピックアップを無信号エリアなどに突入させないように制御することができる。
【0019】
好適な実施例では、前記境界特定手段は、前記ゾーンタイプ情報がデータゾーンからリードアウトゾーンに変化する変化点を含むアドレス単位を検出する手段と、前記変化点を含むアドレス単位の切替えフラグが前記境界を含むことを示すときには当該アドレス単位内に前記データゾーンの最後尾が存在すると判定し、前記変化点を含むアドレス単位の切替えフラグが前記境界を含まないことを示すときには当該アドレス単位の直前に前記データゾーンの最後尾が存在すると判定する判定手段と、を備える。
【0020】
上記の境界特定手段に関する処理の一例としては、AUNの前後でデータゾーンからリードアウトエリアに切替わっており、さらに、後に位置するAUNの切換えフラグを調べたとき、切替わっていることを示す「1」である場合、この後に位置するAUN内の最初のデータセクタがデータゾーンの最後尾であると特定することができる。一方、AUNの前後でデータゾーンからリードアウトエリアに切替わっており、さらに、後に位置するAUNの切換えフラグを調べたとき、切替わっていないことを示す「0」である場合、前に位置するAUN内の最後のデータセクタがデータゾーンの最後尾であると特定することができる。
【0021】
さらに、本発明の同様の観点により、上記の情報処理装置と同様の方法で情報記録媒体の記録領域の境界を特定することが可能な情報処理方法を提供することができる。また、情報処理装置内で実行されることにより、情報処理装置を上記のように機能させる情報処理プログラムを提供することができる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【0023】
[情報記録媒体]
まず、本発明の実施形態に係る情報記録媒体について説明する。図1は本実施形態に係る情報記録媒体である光ディスク100の概略構造について示してある。なお、図1において、左側が光ディスク100の内周側であり、右側が外周側である。なお、光ディスク100としては、BD−RW、BD−ROMディスクなどが挙げられる。
【0024】
図1に示すように、光ディスク100の記録面上には、その内周側にリードインエリア101が存在し、リードインエリア101の外周側にデータゾーン102が存在し、データゾーン102の外周側にリードアウトエリア103が存在する。さらに、リードアウトエリア103の外周側には無信号エリア104が存在している。
【0025】
リードインエリア101とリードアウトエリア103には、光ディスク100に記録された情報に対するディスク全般の管理情報などが記録されている。一方、データゾーン102には、画像データ、音声データ、コンテンツデータ、コンピュータプログラムなど、主に再生ないし実行の対象となるデータ及び、これら記録されているファイルの管理情報などが記録されている。
【0026】
これらリードインエリア101、データゾーン102及びリードアウトエリア103においては光ディスク100上に情報を記録するために予めピットが形成されている。一方、無信号エリア104にはピットが形成されておらず、無信号となっている。このため、情報を読み取る光ピックアップが無信号エリア104に突入すると、トラッキングのための信号が得られないためにスピンドル制御が不可能になってしまう。
【0027】
本実施形態に係る光ディスク100には、記録情報を再生することができる情報記録再生装置が有する光ピックアップが、無信号エリア104に突入しないように正確に制御されるための処置が施してある。基本的には、情報記録再生装置が、光ピックアップがリードアウトエリア103の位置にあることを識別できれば、光ピックアップを内周側に引き戻す処理を行うことができる。そのため、本実施形態では、データセクタごとに記録領域の属性を示す情報(即ち、ゾーンタイプ情報)を光ディスク100に記録しておき、その情報を毎回読み取ることで光ピックアップが存在する位置を把握する方法を採用している。このゾーンタイプ情報を用いた方法では、ゾーンタイプ情報は変化しないため情報の読み取り確率が高いという利点がある。
【0028】
具体的にゾーンタイプ情報について説明する。図1に示すように、記録領域の属性に対するゾーンタイプ情報が予め決められており、その記録領域に存在する各情報のデータセクタ内に、2ビットのゾーンタイプ情報がそれぞれ記録される。例えば、光ディスク100上に記録された記録情報がリードインエリア101に存在していれば「01」のゾーンタイプ情報が記録され、データゾーン102に存在していれば「00」のゾーンタイプ情報が記録され、リードアウトエリア103に存在していれば「10」のゾーンタイプ情報が記録されている。このゾーンタイプ情報はデータセクタごとに記録されているので、情報記録再生装置は記録情報を読み出すごとにゾーンタイプ情報を確認して、光ピックアップがどの領域に存在しているかを認識することができ、光ピックアップが無信号エリア104に達しないように制御することができる。
【0029】
次に、光ディスク100の詳細な記録構造について図2を参照しながら説明する。図2の上段に示すように、光ディスク100上に記録された情報はECC(Error Correction Code)ブロック11を1単位として誤り訂正処理が行われる。さらに、ECCブロック11は、図2の中段のように複数のデータセクタ12から構成される。ECCブロック11は、例えば、赤色光を用いるDVD−Rなどであれば16個のデータセクタ12を含み、ブルーレイディスクであればその倍の32個のデータセクタ12から構成される。
【0030】
また、データセクタ12は、ユーザデータ13と制御情報15から構成される。ユーザデータ13は、画像データ、音声データ、コンテンツデータ、コンピュータプログラムなど、再生ないし実行すべき主たる情報である。一方、制御情報15には、例えば、データセクタ12の開始位置情報やトラッキングのための情報を含んだID情報などが含まれる。
【0031】
次に、これら制御情報15を1つのECCブロック11内で集めて作成した制御情報ブロック17の構成を図3に示す。制御情報ブロック17は、アドレス情報ブロック18とその他の情報から構成される。さらに、このアドレス情報ブロック18は、それぞれのデータセクタ12に対応するアドレスフィールド19を含んでいる。この例では、16個のアドレスフィールド19から構成されるアドレスブロック18について示している。このアドレスフィールド19は、そのデータセクタ12のアドレス情報や、そのデータセクタ12が属する記録領域に関する情報などを含んでいる。
【0032】
図4は、ブルーレイディスクに関する上記のアドレスフィールド19の詳細を示した図である。アドレスフィールド19は、AUN20と、リザーブ領域(Reserve領域)21と、その他の情報から構成される。ブルーレイディスクにおいては物理アドレスの管理をデータセクタ12ではなく、それよりも大きなAUN20の単位を用いて行っている。したがって、先に述べたゾーンタイプ情報のみをブルーレイディスクに導入した場合には、データセクタ単位の正しい対処をとることができず光ピックアップが無信号エリアに突入してしまう可能性がある。なお、一般的にデータセクタ12が2Kバイト単位であるのに対して、上記のAUN20はその2倍の4Kバイト単位となっている。
【0033】
本実施形態では、上述したようなAUN20単位を採用することによって生じる問題を解決することが可能な処置を記録媒体に施してある。即ち、図4のリザーブ領域21内には、2ビットのゾーンタイプ情報21aと、1ビットの切替えフラグ21bとを記録しており、残りが5ビットのリザーブ(Reserved)領域となっている。ゾーンタイプ情報21aは、先で説明したものと同様であり、AUN20単位の情報が属する光ディスク100上の記録領域の属性を示している。
【0034】
但し、このゾーンタイプ情報21aは、上述したようにデータセクタ12よりも大きなAUN20をアドレス制御の単位として用いる場合には、データセクタ単位で光ディスク100上の記録領域を正確に示すことはできない。例えば、AUN20内を構成する全てのデータセクタ12が同じ記録領域に属していれば、そのAUN20のゾーンタイプ情報21aを当該ゾーンタイプ情報にすることができる。しかし、AUN20内でデータセクタ12が属する記録領域が切替わっている場合においては、そのAUN20のゾーンタイプ情報21aを何にすべきかという問題が生じる。この問題には単純に、先頭に位置するデータセクタ12のゾーンタイプ情報、又は最後尾に位置するデータセクタ12のゾーンタイプ情報で、AUN20のゾーンタイプ情報21aを代表させることで対処することができる。しかし、これだけでは正確に異なる記録領域の境界を把握することができず、光ピックアップが無信号エリア104に突入してしまう可能性がある。
【0035】
そのため、本実施形態では、このゾーンタイプ情報21a以外に切替えフラグ21bをAUN20内に記録させている。この切替えフラグ21bは、複数のデータセクタ12から成るAUN20内において、ゾーンタイプ情報が途中で切替わっているかどうかを示している情報である。つまり、この切替えフラグ21bを参照することにより、AUN20の途中に、例えばデータゾーン102とリードアウトエリア103の境界など、記録領域の境界が存在するかどうかを識別することができる。具体的には、AUN20内でゾーンタイプ情報が途中で切替った場合は「1」、途中で切替っていない場合には「0」を、リザーブ領域21内の情報に付加させる。
【0036】
次に、図5を用いて記録領域の境界を特定する方法の概要について説明する。図5では、2個のデータセクタ12から構成されるAUN20を示している。左から、AUN20のアドレスがx、x+1、x+2となっている(以下、それぞれのAUN20を、「AUNx」、「AUNx+1」、「AUNx+2」と表記する)。AUNxを構成するデータセクタ12は、全てデータゾーン102に属している。一方、AUNx+1を構成するデータセクタ12は、データゾーン102とリードアウトエリア103の2つに属している。また、AUNx+2を構成するデータセクタ12は、全てリードアウトエリア103に属している。
【0037】
ゾーンタイプ情報21aは、AUNx、AUNx+1、AUNx+2においてそれぞれ「00」、「10」、「10」となっている。一方、切替えフラグはそれぞれ「0」、「1」、「0」となっている。これらより、AUNxの切替フラグ21bは「0」であるのでAUNx内の全てのデータセクタ12はデータゾーン102に属しており、途中で記録領域が切替わっていないことがわかる。AUNx+2も同様に、切替フラグ21bは「0」であるので、全てのデータセクタ12はリードアウトエリア103に属しており、途中で記録領域が切替わっていないことがわかる。しかし、AUNx+1だけは、切換えフラグ21bが「1」であるので、途中で属する記録領域が切替わっていることがわかる。さらに、ゾーンタイプが「10」であるので、AUNx+1を構成するデータセクタ12がデータゾーン102に属するものとリードアウトエリア103に属するものがあることが識別できる。このように、ゾーンタイプ情報21aだけでなく切替えフラグ21bも参照することにより、そのAUNにおいて、記録領域の属性が途中で切り替っていることを検出することができる。
【0038】
[情報記録再生装置]
以下では、本発明に係る情報記録再生装置について説明する。
【0039】
まず、情報記録再生装置400の構成について説明する。図6は本発明の実施例である情報記録再生装置400を示している。情報記録再生装置400は、記録媒体に記録情報を記録する機能と、記録媒体に記録された記録情報を再生する機能とを備えている。具体的には、情報記録再生装置400は、BD−RW等の記録用ディスクに情報を記録することができる。また、情報記録再生装置400は、ファイナライズ処理されたBD−RW等の記録用ディスクの再生に加え、BD−ROM等の再生専用ディスクを再生することもできる。情報記録再生装置400は、ディスクドライブ200と、バックエンド300とを備えている。
【0040】
図7はディスクドライブ200の内部構成を示している。ディスクドライブ200は、光ディスク100に情報を記録すると共に、光ディスク100に記録された情報を読み取る装置である。光ディスク100は、上述した記録用ディスクと再生専用ディスクのいずれかを用いることができる。
【0041】
ディスクドライブ200は、図7に示すように、スピンドルモータ201、光ピックアップ202、RFアンプ203、サーボ回路204を備えている。これらの要素は、主としてディスクドライブ200の駆動機構およびその駆動制御手段を構成するものである。
【0042】
スピンドルモータ201は光ディスク100を回転させるモータである。
【0043】
光ピックアップ202は、記録時および読取時のいずれにおいても、光ビームの反射光に対応するRF信号を出力する。光ディスク100がウォブルランドグルーブ方式を採用している場合には、光ディスク100の記録面上にはウォブルの付いたランドおよびグルーブ並びにプリピットなどが予め形成されているので、RF信号の中にはウォブル、ランド、グルーブ、プリピット等の制御情報が含まれている。さらに、光ディスク100に記録情報がすでに記録されている場合には、この記録情報もRF信号の中に取り込まれる。
【0044】
RFアンプ203は、光ピックアップ202から出力されたRF信号を増幅して、そのRF信号を変調復調部205に出力する。さらに、RFアンプ203は、このRF信号から、ウォブル周波数信号WF、トラッキングエラー信号TEおよびフォーカスエラー信号FEなどを作り出し、これらを出力する。
【0045】
サーボ回路204は、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEその他のサーボ制御信号に基づいて光ピックアップ202およびスピンドルモータ201の駆動を制御するサーボ制御回路である。具体的には、サーボ回路204は、トラッキングエラー信号TEに基づいて、光ピックアップ302と光ディスク100上のトラックとの間の位置関係を制御する。また、サーボ回路204は、フォーカスエラー信号FEに基づいて、光ピックアップ202の光ビームのフォーカシングを制御する。
【0046】
さらに、ディスクドライブ200は、図7に示すように、変調復調部205、バッファ206、インターフェース207および光ビーム駆動部208を備えている。これらの要素は、主として光ディスク100から読み取られた記録情報の復調および出力を担うと共に、光ディスク100に記録すべき記録情報の受取および変調を担う。
【0047】
変調復調部205は、読取時において記録情報に対してエラー訂正を行う機能と、記録時において記録情報にエラー訂正符号を付加してこれを変調する機能とを備えた回路である。具体的には、変調復調部205は、読取時においては、RFアンプ203から出力されるRF信号を復調し、これに対してエラー訂正を行った後、これをバッファ206に出力する。また、変調復調部205は、記録時においては、バッファ206から出力される記録情報にエラー訂正符号を付加した後、これを、光ディスク100の光学的特定等に適合する符号となるように変調し、変調された記録情報を光ビーム駆動部208に出力する。
【0048】
バッファ206は、記録情報を一時的に蓄える記憶回路である。
【0049】
インターフェース207は、ディスクドライブ200とバックエンド300との間の記録情報等の入出力制御ないし通信制御を行う回路である。具体的には、インターフェース207は、再生時においては、バックエンド300からの要求命令に応じて、バッファ206から出力される記録情報(すなわち光ディスク100から読み取られた記録情報)をバックエンド300へ出力する。また、インターフェース207は、記録時においては、バックエンド300からディスクドライブ200に入力される記録情報を受け取り、これをバッファ206に出力する。
【0050】
さらに、ディスクドライブ200は、図7に示すように、ゾーンタイプ情報検出部209と切替えフラグ検出部210を備えている。
【0051】
ゾーンタイプ情報検出部209は、光ディスク100のデータセクタ12又はAUN20内に記録されたゾーンタイプ情報を検出することができる。このゾーンタイプ情報は前述したように2ビットの情報であり、データセクタ12がリードインエリア101に位置すれば「01」と記録されており、データゾーン102に位置すれば「00」と記録されており、リードアウトエリア103にあれば「10」と記録されている。ゾーンタイプ情報検出部209が検出したゾーンタイプ情報は、後述するCPU213などに入力されて光ピックアップ位置の判定などが行われることにより、光ピックアップ202を無信号エリア104に移動させないような制御を行うことができる。
【0052】
切替えフラグ検出部210は、本発明に係る記録構造を有するブルーレイディスクにおいて、AUN20内に記録された切替えフラグ21bを検出することができる。この切替えフラグ21bは1ビットの情報であり、ブルーレイディスクにおいてアドレス管理に用いられるAUN20単位内に記録されている。前述したように、AUN20内に記録領域の境界が存在するときには「1」と記録され、AUN20内に記録領域の境界が存在しないときには「0」と記録される。切替えフラグ検出部210が検出した切替えフラグ21bの情報も、後述するCPU213などに入力されて光ピックアップ位置の判定などが行われることにより、光ピックアップ202を無信号エリア104に移動させないような制御を行うことができる。
【0053】
なお、ゾーンタイプ情報検出部209及び切替えフラグ検出部210は、CPU213とは別個に配置する必要はなく、CPU213内に設けて処理を行ってもよい。
【0054】
CPU213は、ディスクドライブ200の全体的な制御および上述したディスクドライブ200内の各要素間の情報のやり取りを制御・管理する。例えば、本発明においては、ゾーンタイプ情報検出部209が検出したゾーンタイプ情報21aと切替えフラグ検出部210が検出した切替えフラグ21bに基づいて、ブルーレイディスク等に記録されたデータの再生に関する処理を行う。具体的には、CPU213は、ゾーンタイプ情報21a及び切替えフラグ21bにより、データゾーン102とリードアウトエリア103の境界のアドレスを取得することができる。これにより、CPU213は、正確に光ピックアップ202がリードアウトエリア103に突入したことを把握することができるので、光ピックアップ202がその先の無信号エリア104に達しないように制御することができる。
【0055】
さらに、CPU213は、後述するバックエンド300から送られる要求命令に応じて、光ピックアップ202の読取動作の制御、およびバッファ206に蓄えられた記録情報のバックエンドへの出力制御を行い、これにより、コンテンツ情報の通常の再生制御および先読み制御などを行うこともできる。
【0056】
次に、図8に示したバックエンド300の内部構造について説明する。バックエンド300は、ディスクドライブ200によって光ディスク100から読み取られた記録情報に対して再生処理を行うと共に、光ディスク100に記録する目的で外部から供給された記録情報を受け取り、これを圧縮(エンコード)してディスクドライブ200送り出す装置である。
【0057】
図8に示すように、バックエンド300は、ドライブ制御部301、ビデオデコーダ302、オーディオデコーダ303、ビデオエンコーダ304、オーディオエンコーダ305、システム制御部306を備えている。
【0058】
ドライブ制御部301は、ディスクドライブ200の読取処理および記録処理を制御する回路である。記録情報を光ディスク100から読み取ってそれを再生する作業、および記録すべき情報を外部から受け取ってそれを光ディスク100に記録する作業は、バックエンド300とディスクドライブ200とが協働して行う。ドライブ制御部301は、ディスクドライブ200の読取処理および記録処理を制御することにより、バックエンド300とディスクドライブ200との協働を実現する。具体的には、ドライブ制御部301は、ディスクドライブ200に対して、再生、記録、バッファ206から記録情報の出力などに関する要求命令を出力する。さらに、本実施例においては、ドライブ制御部301は上述したCPU213と同様に、ゾーンタイプ情報検出部209及び切替えフラグ検出部210の入力又は出力を制御する入出力制御も行うことができる。
【0059】
ビデオデコーダ302及びオーディオデコーダ303は、夫々、ディスクドライブ200により光ディスク100から読み取られ、ドライブ制御部301を介して供給された記録データを復調し、記録データをディスプレイ、スピーカなどにより再生可能な状態に変換する回路である。
【0060】
ビデオエンコーダ304及びオーディオエンコーダ305は、夫々、光ディスク100に記録する目的で外部から入力された映像信号、音声信号等を受け取り、これを例えばMPEG圧縮方式等により圧縮し、これを、ドライブ制御部301を介してディスクドライブ200に供給する回路である。
【0061】
システム制御部306は、再生時には、ドライブ制御部301、ビデオデコーダ302、オーディオデコーダ303を制御し、これらと協働して記録データの再生処理を行う回路である。また、記録時には、システム制御部306は、ドライブ制御部301、ビデオエンコーダ304、オーディオエンコーダ305を制御し、これらと協働して記録データの記録処理を行う。また、システム制御部306は、再生時及び記録時において、ディスクドライブ200とバックエンド300との協働を実現するために、ドライブ制御301と共に、ディスクドライブ200に対する制御(例えば各種要求命令の生成・送信、応答信号の受信など)を行うことができる。
【0062】
[最終アドレス探索処理]
次に、上述した情報記録再生装置400にて行われる本発明に係る記録領域の最終アドレス探索処理について説明する。図9に、その処理手順を表したフローチャートを示す。ここでの処理は、先に述べたCPU213又はドライブ制御部301が、ブルーレイディスクなどに記録されたゾーンタイプ情報21a及び切換えフラグ情報21bに基づいてデータゾーン102とリードアウトエリア103の境界のアドレス(即ち、データゾーン102の最終アドレス)を取得するために行うものである。この最終アドレス探索処理後には、CPU213又はドライブ制御部301は、光ピックアップ202がデータゾーン102の最終セクタ以降に移動しないように制御することができる。
【0063】
なお、リードインエリア101などにデータゾーン102の最終アドレス情報が予め記録されている場合があるが、以下で説明する処理は、この最終アドレス情報が読み取れなかった場合に特に有効となる。通常、ドライブは最終アドレス情報が読み取れなかった場合には、再生を続行することができないが、前記ゾーンタイプと切り替フラグの情報があれば、データゾーンの最終アドレス情報を特定することが可能となるため読み込みを続行することができる。
【0064】
以下で、その具体的な処理について、図9を参照しながら説明する。
【0065】
まず、ステップS11にて、CPU213又はドライブ制御部301は光ディスク100の内周側から外周側に例えば、RF探索等を行い、情報の記録エリアと未記録エリアの境界を探す制御を行う。前述したRFアンプ203から出力されるRF信号をサーチすることにより、記録エリアと未記録のおおよその境界を検出することができる。なお、この記録エリアと未記録エリアの境界は、ほぼリードアウトエリア103と無信号エリア104の境界に当たる。
【0066】
次に、ステップS12にて、記録エリアと未記録エリアの境界に到達したか否かの判定を行う。この境界に到達したならば(ステップS12;Yes)、ステップS13に進む。未だ境界に到達していないならば(ステップS12;No)、ステップS11に戻り、再びRF探索にて境界を探す処理を行う。
【0067】
ステップS13では、光ピックアップ202をリードアウトエリア103の領域に相当する距離の分だけ光ディスク100の内周側にジャンプさせて、再生動作を行う。こうするのは、記録エリアと未記録エリアの境界は、ほぼリードアウトエリア103と無信号エリア104の境界に当たるので、光ピックアップ201をデータゾーン102とリードアウトエリア103の境界近傍に落とすことができるからである。以上の処理が終了するとステップS14に進む。
【0068】
以下で説明するステップS14からステップS18までの処理は、ECCブロック11単位に対してデータゾーン102とリードアウトエリア103のおおよその境界を見定める処理を行う。すなわち、これらのステップでは、1つのECCブロック11単位内においてデータゾーン102からリードアウトエリア103へ切り替わっているECCブロック11を決定する処理を行う。具体的には、このECCブロック11内のゾーンタイプ情報21aが、全てリードアウトエリア103を示すもの又はデータゾーンを示すものを排除していく処理を繰り返すことにより、目当てのECCブロック11を探し当てることができる。
【0069】
まず、ステップS14では、CPU213又はドライブ制御部301は、1つのECCブロック11の読み込みとそれのデコードを行う。そして、このECCブロック11内のアドレス情報ブロック18からゾーンタイプ情報21aと切換えフラグ21bを取得する。これらの情報は、ゾーンタイプ情報検出部209及び切替えフラグ検出部210から取得することができる。以上の処理が終了するとステップS15に進む。
【0070】
ステップS15では、CPU213又はドライブ制御部301は、1つのECCブロック11内のゾーンタイプ情報21aが全てリードアウトエリア103を示しているかどうか(即ち、ゾーンタイプ情報21aが全て「10」であるかどうか)を判定する。
【0071】
1つのECCブロック11内のゾーンタイプ情報21aが全てリードアウトエリア103を示していれば(ステップS15;Yes)、ステップS16に進む。ステップS16では、光ピックアップ202をさらに内周側にジャンプさせて再生動作を行う。こうするのは、現在調べたECCブロック11内の全てのデータセクタ12はリードアウトエリア103に属しているので、内周側に位置するデータゾーン102の方に向かって光ピックアップを移動させてデータゾーン102とリードアウトエリア103の境界を探すためである。ステップS16の処理が終了すると、ステップS14に戻り再び上記の処理を行う。ステップS14からステップS16までの処理を繰り返すことで、ECCブロック11内のデータセクタ12全てがリードアウトエリア103に属していないものを探し出すことができる。
【0072】
一方、ステップS15にて1つのECCブロック11内のゾーンタイプ情報21aが全てリードアウトエリア103でないと判定されれば(ステップS15;No)、ステップS17にて処理を行う。ステップS17に至ったECCブロック11は、このECCブロック11内のデータセクタがすべてデータゾーン102に属しているか、又はデータゾーンに属するものとリードアウトエリア103に属するものが混在しているかのどちらかである。ステップS17では、CPU213又はドライブ制御部301は、ECCブロック11内のゾーンタイプ情報21aが全てデータゾーン102を示しているか(即ち、ゾーンタイプ情報21aが全て「00」であるかどうか)を判定する。
【0073】
1つのECCブロック11内のゾーンタイプ情報21aが全てリードアウトエリア103を示していれば(ステップS17;Yes)、ステップS18に進む。ステップS18では、まず光ピックアップ202を外周側の隣のECCブロック11に移動させ、そのECCブロック11の読み込みとそれのデコードを行う。そして、このECCブロック11内のアドレス情報ブロック18からゾーンタイプ情報21aと切換えフラグ21bを取得する。ステップS18の処理が終了すると、ステップS17に戻り再び上記の処理を行う。ステップS17とステップS18の処理を繰り返すことでデータゾーン102とリードアウトエリア103の境界が含まれるECCブロック11を探し出すことができる。
【0074】
一方、1つのECCブロック11内のゾーンタイプ情報21aが全てリードアウトエリア103を示していなければ(ステップS17;No)、図10に示すステップS21以降の処理を行う。ステップS17での処理より、この処理が行われたECCブロック11内には、データゾーン102とリードアウトエリア103の境界が含まれることが明らかとなっている。そのため、ステップS21以降の処理では、このECCブロック11内のどのデータセクタ12がデータゾーン102の最終セクタであるかを決定する。具体的には、AUN20単位内で上記の最終セクタの位置を決定する処理を行っていく。
【0075】
まず、ステップS21では、CPU213又はドライブ制御部301は、ゾーンタイプ情報21aがデータゾーン102からリードアウトエリア103に切替わる(即ち、ゾーンタイプ情報21aが「00」から「10」になる)最初のAUN20を取得する。図5に示した例においては、AUNx+1がそれに当たる。
【0076】
次にステップS22では、CPU213又はドライブ制御部301は、上記のAUN20が含まれるアドレスフィールド19の切換えフラグ21bが、領域の境界があることを示す「1」であるかどうか判定を行う。
【0077】
切換えフラグ21bが「1」であれば(ステップS22;Yes)、ステップS23に進む。ステップS23では、当該AUV20の最初のデータセクタがデータゾーン102の最終セクタであると特定する。図11(a)に表した具体例を用いて、上記の特定が正しいことを示す。図11では、2個のデータセクタ12から構成されるAUN20を示している。左から、AUN20のアドレスがx、x+1、x+2となっている(以下、それぞれのAUN20を、「AUNx」、「AUNx+1」、「AUNx+2」と表記する)。ここでは、AUNxからAUNx+1の間で、ゾーンタイプ情報21aがデータゾーン102からリードアウトエリア103に切替わったとする。さらに、AUNx+1の切換えフラグ21bを調べたとき、切替わっていることを示す「1」であったとする。このような状況では、このAUNx+1内にデータゾーン102とリードアウトエリア013の境界が含まれることに他ならないことがわかる。したがって、AUVx+1の最初のデータセクタがデータゾーン102の最終セクタであると特定することができる。
【0078】
一方、切換えフラグ21bが「1」でなければ(ステップS22;No)、ステップS24に進む。ステップS24では、当該AUV20の1つ前のAUN20の最後のデータセクタが、データゾーン102の最終セクタであると特定する。図11(b)に表した具体例を用いて、上記の特定が正しいことを示す。図11では、2個のデータセクタ12から構成されるAUN20を示している。左から、AUN20のアドレスがx、x+1、x+2となっている(以下、同様に「AUNx」、「AUNx+1」、「AUNx+2」と表記する)。ここでは、AUNxからAUNx+1の間で、ゾーンタイプ情報21aがデータゾーン102からリードアウトエリア103に切替わったとする。さらに、AUNx+1の切換えフラグ21bを調べたとき、切替わっていないことを示す「0」であったとする。このような状況では、このAUNx+1内にデータゾーン102とリードアウトエリア103の境界は含まれておらず、AUNxとAUNx+1の境界そのものがこれに当たることがわかる。したがって、AUNxの最後のデータセクタが、データゾーン102の最終セクタであると特定することができる。
【0079】
このような処理により、データゾーン102とリードアウトエリア103の境界のアドレス(即ち、データゾーン102の最終アドレス)を取得することができる。これにより、CPU213又はドライブ制御部301は、光ピックアップ202がデータゾーン102の最終セクタ以降に移動しないように制御することができる。
【0080】
なお、上記の例は、光ディスク100のデータゾーン102とリードアウトエリア103の境界を検出する例であったが、本発明による切替フラグを用いて、同様の手法により他の記録領域の境界、例えばリードインエリア101とデータゾーン102の境界なども正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本実施形態に係る情報記録媒体の概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る情報記録媒体の記録構造を示す図である。
【図3】図2中のECCブロック内の制御情報ブロックを詳細に示す図である。
【図4】図3中の制御情報ブロック内のアドレスフィールドに関して一例を示した図である。
【図5】ゾーンタイプ情報と切替えフラグにより記録領域の境界を特定する方法の一例について示した図である。
【図6】本発明の実施例である情報記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図6中の情報記録再生装置のディスクドライブの構成を示すブロック図である。
【図8】図6中の情報記録再生装置のバックエンドの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る最終アドレス探索に関する初期の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図9の処理以降の最終アドレス探索に係る処理手順を示すフローチャートである。
【図11】切換えフラグによる記録領域の境界を特定する方法の一例について示した図である。
【符号の説明】
【0082】
100 光ディスク
101 リードインエリア
102 データゾーン
103 リードアウトエリア
104 無信号エリア
200 ディスクドライブ
201 スピンドルモータ
202 光ピックアップ
203 RFアンプ
204 サーボ回路
209 ゾーンタイプ情報検出部
210 切替えフラグ検出部
213 CPU
300 バックエンド
306 システム制御部
400 情報記録再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体であって、
前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されていることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
前記アドレス単位は、2つの前記セクタから構成されることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
前記ゾーンタイプ情報は2ビットのデータであり、前記切替えフラグは1ビットのデータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に情報を記録する情報記録装置であって、
前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、
前記情報記録装置は、
前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、
前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得手段と、
前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定手段と、を備えることを特徴とする情報記録装置。
【請求項5】
前記境界特定手段は、
前記ゾーンタイプ情報がデータゾーンからリードアウトゾーンに変化する変化点を含むアドレス単位を検出する手段と、
前記変化点を含むアドレス単位の切替えフラグが前記境界を含むことを示すときには当該アドレス単位内に前記データゾーンの最後尾が存在すると判定し、前記変化点を含むアドレス単位の切替えフラグが前記境界を含まないことを示すときには当該アドレス単位の直前に前記データゾーンの最後尾が存在すると判定する判定手段と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の情報記録装置。
【請求項6】
記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に記録された情報を再生する情報再生装置であって、
前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、
前記情報再生装置は、
前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、
前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得手段と、
前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定手段と、を備えることを特徴とする情報再生装置。
【請求項7】
前記境界特定手段は、
前記ゾーンタイプ情報がデータゾーンからリードアウトゾーンに変化する変化点を含むアドレス単位を検出する手段と、
前記変化点を含むアドレス単位の切替えフラグが前記境界を含むことを示すときには当該アドレス単位内に前記データゾーンの最後尾が存在すると判定し、前記変化点を含むアドレス単位の切替えフラグが前記境界を含まないことを示すときには当該アドレス単位の直前に前記データゾーンの最後尾が存在すると判定する判定手段と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の情報再生装置。
【請求項8】
記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に情報を記録する情報記録方法であって、
前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、
前記情報記録方法は、
前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得工程と、
前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得工程と、
前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定工程と、を備えることを特徴とする情報記録方法。
【請求項9】
記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に記録された情報を再生する情報再生方法であって、
前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、
前記情報再生方法は、
前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得工程と、
前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得工程と、
前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定工程と、を備えることを特徴とする情報再生方法。
【請求項10】
記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に情報を記録する情報記録装置にて実行される情報処理プログラムであって、
前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、
前記情報処理プログラムは、前記情報記録装置を、
前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、
前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得手段と、
前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定手段として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項11】
記録された情報のアドレス管理が、複数のセクタから構成されるアドレス単位にて行われる情報記録媒体に記録された情報を再生する情報再生装置にて実行される情報処理プログラムであって、
前記情報記録媒体は、前記セクタごとに、当該セクタが前記情報記録媒体上の複数の領域のうちのいずれに属するかを示すゾーンタイプ情報が記録され、かつ、前記アドレス単位ごとに、当該アドレス単位内に前記複数の領域の境界が含まれるか否かを示す切替えフラグが記録されており、
前記情報処理プログラムは、前記情報再生装置を、
前記ゾーンタイプ情報を取得するゾーンタイプ情報取得手段と、
前記切替えフラグを取得する切替えフラグ取得手段と、
前記ゾーンタイプ情報及び前記切替えフラグ情報に基づいて、前記複数の記録領域の境界を特定する境界特定手段として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2005−85445(P2005−85445A)
【公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−320207(P2003−320207)
【出願日】平成15年9月11日(2003.9.11)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】