情報記録媒体、記録再生装置、記録再生装置の制御方法、記録再生装置の制御プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体
【課題】記録再生装置への挿入時に、少なくともディスクサプライヤーの意図する情報記録層を起動させる。
【解決手段】複数の記録層を有している光ディスク100には、自媒体に対して情報の記録または再生を行う光ディスク装置に挿入されたときに、最初に起動する記録層を指定するための層指定情報が記録されている。それゆえ、光ディスク装置への挿入時に、少なくともディスクサプライヤーの意図する記録層を最初に起動させることができる。
【解決手段】複数の記録層を有している光ディスク100には、自媒体に対して情報の記録または再生を行う光ディスク装置に挿入されたときに、最初に起動する記録層を指定するための層指定情報が記録されている。それゆえ、光ディスク装置への挿入時に、少なくともディスクサプライヤーの意図する記録層を最初に起動させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録特性の異なる情報記録層を複数備える多層情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生を行う記録再生装置(情報記録再生装置)などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像等の膨大な情報処理のために、情報記録媒体の記録容量の向上が求められている。
【0003】
情報記録媒体の記録容量を向上させる一方法としては、情報記録媒体の情報記録層の多層化が考えられる。例えば、現在のところ、DVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc;登録商標)等において情報記録層を2層まで有する多層情報記録媒体が規格化され、販売されている。
【0004】
また、例えば情報記録層の深さを変えることで、フォーマット(規格)の異なる情報記録層(例えば、DVD規格に対応する情報記録層およびHD DVD規格に対応する情報記録層)を1枚のディスクに収納した多層情報記録媒体も存在する。このような多層情報記録媒体は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
具体的に、特許文献1の記録再生装置は、異なるフォーマットに対応した複数の情報記録層を有する多層情報記録媒体(ハイブリッドディスク)から情報を読み出す際の起動シーケンスを、情報記録層のフォーマットに基づいて変更する構成となっている。この構成では、ハイブリッドディスクに記録されているコンテンツを再生する際に、例えばユーザがデフォルトフォーマットレイヤーを設定可能であるため、異なるフォーマットレイヤーへのアクセスに必要な時間が低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−293592号公報(2008年12月4日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、フォーマットの異なる情報記録層を有する場合に、どのフォーマットに対応した情報記録層を指定するかを決定するものであって、単一フォーマットの情報記録媒体(例えばBD)の起動シーケンスを考慮したものではない。すなわち、特許文献1の技術は、フォーマット指定後の当該フォーマット内の情報記録層のうち、どの情報記録層を最初に起動させるかを選択的に指定することができるものではない。
【0008】
従って、特許文献1の技術では、単一フォーマットの情報記録媒体が記録再生装置に挿入されても、ディスクサプライヤー(製造業者)またはユーザが最初に起動させたい情報記録層にアクセスすることができない可能性があり、所望のアプリケーションを情報記録媒体挿入時に起動させることできない虞があった。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、その目的は、情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する層を指定することができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能な情報記録媒体、記録再生装置、記録再生装置の制御方法、記録再生装置の制御プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る情報記録媒体は、上記の課題を解決するために、複数の情報記録層を有する情報記録媒体であって、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報が記録されていることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、複数の情報記録層を有する情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、いずれの情報記録層を最初に起動する情報記録層(起動層)とするかという情報を予め情報記録媒体に記録しておくことが可能となる。また、ディスクサプライヤーが情報記録媒体ごとに層指定情報を記録することができるので、情報記録媒体を記録再生装置に挿入したときに、ディスクサプライヤーの意図する情報記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ディスクサプライヤーにとってはディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0012】
さらに、例えばユーザの指示に応じた層指定情報が記録されている場合には、ユーザが最初に起動させることを希望する情報記録層を指定させることができる。すなわち、この場合には、ユーザの意図する情報記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ユーザにとってはユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0013】
これにより、情報記録媒体は、記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定させることができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能となる。
【0014】
それゆえ、本発明に係る情報記録媒体は、記録再生装置への挿入時に、少なくともディスクサプライヤーの意図する情報記録層を起動させることができる。つまり、少なくともディスクサプライヤーにとっては、少なくともディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることができる。
【0015】
なお、特許文献1の技術では、ユーザによってデフォルトフォーマットレイヤーの設定が切替えられているが、デフォルトフォーマットレイヤーを指定するための情報が多層情報記録媒体に記録されている構成については一切開示されていない。すなわち、特許文献1の技術では、本発明のように情報記録媒体に層指定情報が記録されていないため、情報記録媒体の挿入時に、この層指定情報を用いて記録再生装置に起動層を認識させることはできない。
【0016】
さらに、本発明に係る情報記録媒体は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域、または、記録可能な情報記録層に、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に当該自媒体が挿入されたときに最初に起動する情報記録層である起動層を指定するための層指定情報が記録されていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、複数の情報記録層を有する情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、いずれの情報記録層を起動層とするかという情報を、管理領域または記録可能な情報記録層に予め情報記録媒体に記録しておくことが可能となる。また、ディスクサプライヤーが情報記録媒体ごとに層指定情報を記録することができるので、情報記録媒体を記録再生装置に挿入したときに、ディスクサプライヤーの意図する情報記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ディスクサプライヤーにとってはディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0018】
さらに、例えばユーザの指示に応じた層指定情報が記録されている場合には、ユーザが最初に起動させることを希望する情報記録層を指定させることができる。すなわち、この場合には、ユーザの意図する情報記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ユーザにとってはユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0019】
これにより、情報記録媒体は、記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定させることができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能となる。
【0020】
また、管理領域には上記識別情報が記録されているので、記録再生装置は、通常、管理領域の情報を最初に読み取りにいくように設計されている。このため、管理領域に層指定情報が予め記録されている場合には、記録再生装置は、挿入された情報記録媒体の管理領域に記録された層指定情報を最初に読み出すことができる。すなわち、ディスクサプライヤーが起動させたい情報記録層を最初に起動させることができる。
【0021】
また、例えば、挿入以前にユーザの指示に応じて層指定情報が情報記録媒体に書き込まれた場合、その層指定情報は記録可能な情報記録層に記録されていることになる。従って、記録可能な情報記録層に層指定情報が記録されている場合には、記録再生装置は、記録可能な情報記録層から読み出した層指定情報が示す情報記録層を起動させることができるので、前回の情報記録媒体の挿入時にユーザが希望した情報記録層を優先的に起動させることができる。
【0022】
なお、「記録可能な情報記録層」とは、書き換え可能な情報記録層(RE層)および追記録可能な情報記録層(R層)を指す。
【0023】
本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、上記起動層のボリュームパックを指定するための情報であることが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、ボリュームパックを指定するための情報を用いて起動層を認識することができる。つまり、複数の論理的な管理単位であるボリュームパックを有する情報記録媒体において、ボリュームパックを指定するための情報を用いて1つのボリュームパックを指定することにより、記録再生装置が制御可能な管理単位である情報記録層群(1つのボリュームパックが1層の情報記録層からなる場合はその情報記録層に特定される)を指定することが可能となる。このため、例えば、ユーザが使用したい機能をより早く起動することが可能となる。
【0025】
さらに、本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、上記起動層の層種類を指定するための情報であることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、記録再生装置は、層種類を用いて起動層を認識することができる。すなわち、層種類に基づく起動層へのアクセスを行うことが可能となる。例えば、再生専用の情報記録層(ROM層)が1層、書き換え可能な情報記録層(RE層)が1層の2層構造を有する情報記録媒体の場合には、確実に(一意的に)起動層を指定することができる。
【0027】
ここで、情報記録媒体が同じ種類の情報記録層(例えばROM層が2層、RE層が2層の4層構造)の場合に、記録再生装置は、ROM層を示す層指定情報であれば、再生光入射側から最も遠い情報記録層に近いROM層に対してアクセスを行い、RE層を示す層指定情報であれば、当該情報記録層に近いRE層で、かつ、情報が記録可能な領域に対してアクセスを行う。従って、層種類の場合であっても、最初に起動させたい情報記録層を一意に決めることも可能である。
【0028】
さらに、本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、上記起動層の層番号を指定するための情報であることが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、例えば上記のような4層構造を有する情報記録媒体の場合(すなわち同種類の情報記録層を複数有する場合)に、より確実に(一意的に)、最初に起動させる情報記録層を指定することができる。特に、それぞれの情報記録層で異なるアプリケーションを有している場合に、いずれのアプリケーションを最初に起動させるかを確実に指定することが可能となる。
【0030】
さらに、本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域に記録されていることが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、記録再生装置は、管理領域に予め記録されている層指定情報を読み出すことができるので、ディスクサプライヤーが起動させたい情報記録層を最初に起動させることができる。
【0032】
さらに、本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、記録可能な情報記録層に記録されていることが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、記録再生装置は、例えば、以前にユーザの指示に応じて書き込んだ層指定情報を情報記録媒体から取得した場合には、その層指定情報が示す情報記録層を起動させることができるので、前回の情報記録媒体の挿入時にユーザが希望した情報記録層を優先的に起動させることができる。
【0034】
本発明に係る記録再生装置は、上記の課題を解決するために、複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置であって、上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得手段と、上記取得手段が取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識手段と、を備えることを特徴としている。
【0035】
また、本発明に係る記録再生装置の制御方法は、上記の課題を解決するために、複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置の制御方法であって、上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得ステップと、上記取得ステップにて取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識ステップと、を含むことを特徴としている。
【0036】
上記構成によれば、記録再生装置に情報記録媒体が挿入されたときに、取得手段(取得ステップ)が層指定情報を取得し、認識手段(認識ステップ)が、当該取得した層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する。
【0037】
これにより、記録再生装置(その制御方法)は、情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定することができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能となる。
【0038】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域から上記層指定情報を取得することが好ましい。
【0039】
上記構成によれば、管理領域に予め記録されている層指定情報を読み出すことができるので、ディスクサプライヤーが起動させたい情報記録層を最初に起動させることができる。
【0040】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段は、記録可能な情報記録層から上記層指定情報を取得することが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、例えば、以前にユーザの指示に応じて書き込んだ層指定情報を情報記録媒体から取得した場合には、その層指定情報が示す情報記録層を起動させることができるので、前回の情報記録媒体の挿入時にユーザが希望した情報記録層を優先的に起動させることができる。
【0042】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、記録可能な情報記録層に、ユーザの指示に基づき設定された層指定情報を書き込む書き込み手段を備えることが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、書き込み手段が、例えばユーザの指示に応じて層指定情報を書き込むのであれば、ユーザが最初に起動させることを希望する情報記録層を指定することができる。すなわち、この場合には、ユーザの意図に応じて情報記録媒体に記録されている層指定情報を変更することが可能となる。
【0044】
また、例えば、情報記録媒体に予め層指定情報が記録されていない場合であっても、次の情報記録媒体の挿入時には、記録再生装置が指定した情報記録層からの起動が可能となる。
【0045】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記書き込み手段が書き込む層指定情報は、上記起動層のボリュームパックを指定するための情報、上記起動層の層種類を指定するための情報、または、上記起動層の層番号を指定するための情報であることが好ましい。
【0046】
上記構成によれば、ボリュームパックを指定するための情報を用いて起動層を認識することができる。つまり、複数の論理的な管理単位であるボリュームパックを有する情報記録層において、ボリュームパックを指定するための情報を用いて1つのボリュームパックを指定することにより、記録再生装置が制御可能な管理単位である情報記録層群を指定することが可能となる。このため、例えば、ユーザが使用したい機能をより早く起動することが可能となる。
【0047】
また、記録再生装置は、層種類を用いて起動層を認識することができる。すなわち、層種類に基づく起動層へのアクセスを行うことが可能となる。例えば、再生専用の情報記録層(ROM層)が1層、書き換え可能な情報記録層(RE層)が1層の2層構造を有する情報記録媒体の場合には、確実に(一意的に)起動層を指定することができる。
【0048】
ここで、情報記録媒体が同じ種類の情報記録層(例えばROM層が2層、RE層が2層の4層構造)の場合に、記録再生装置は、ROM層を示す層指定情報であれば、再生光入射側から最も遠い情報記録層に近いROM層に対してアクセスを行い、RE層を示す層指定情報であれば、当該情報記録層に近いRE層で、かつ、情報が記録可能な領域に対してアクセスを行う。従って、層種類の場合であっても、最初に起動させたい情報記録層を一意に決めることも可能である。
【0049】
また、層番号を用いて起動層へのアクセスを行う場合には、上記のような4層構造を有する情報記録媒体に対しても、より確実に(一意的に)、最初に起動させる情報記録層を指定することができる。特に、それぞれの情報記録層で異なるアプリケーションを有している場合に、いずれのアプリケーションを最初に起動させるかを確実に指定することが可能となる。
【0050】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段は、自装置の格納部から上記層指定情報を取得することが好ましい。
【0051】
上記構成によれば、例えば、情報記録媒体に層指定情報が予め記録されていない場合であっても、自装置の格納部に格納された層指定情報を用いて起動層を指定することができる。また、自装置の格納部に格納された層指定情報を情報記録媒体に記録しておけば、次の情報記録媒体の挿入時に、最初に起動させる情報記録層を指定することができる。
【0052】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記格納部は、上記層指定情報を情報記録媒体ごとに対応付けて格納していることが好ましい。
【0053】
上記構成によれば、情報記録媒体が挿入されたときのディスク情報と、層指定情報と、を対応付けて管理することにより、例えば現在挿入されている情報記録媒体と同じ情報記録媒体が次回挿入されたときに、ディスク情報を読み出すと、格納部に格納された層指定情報が示す情報記録層を起動させることが可能となる。なお、記録再生装置において管理されるディスク情報は、固有の情報記録媒体ごとであっても良いし、同種の総種類から構成される情報記録媒体ごとであっても良い。
【0054】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、上記格納部に格納されている層指定情報を書き換える書き換え手段を備えることが好ましい。
【0055】
上記構成によれば、例えば、ユーザの指示に応じて格納部に格納された層指定情報を書き換える場合には、当該層指定情報をユーザ所望の層指定情報が示す情報記録層を起動層として指定することができる。このため、記録再生装置は、次に情報記録媒体が挿入されたときには、当該情報記録媒体から層指定情報を取得しなくても(取得できない場合であっても)、書き換えられた層指定情報を参照することにより、ユーザが希望する情報記録層を起動層として指定することが可能となる。
【0056】
なお、上記記録再生装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記記録再生装置をコンピュータにて実現させる上記記録再生装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0057】
本発明に係る情報記録媒体は、以上のように、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報が記録されている構成である。
【0058】
それゆえ、記録再生装置への挿入時に、少なくともディスクサプライヤーの意図する情報記録層を最初に起動させることができる。
【0059】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、以上のように、上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得手段と、上記取得手段が取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識手段と、を備える構成である。
【0060】
また、本発明に係る記録再生装置の制御方法は、以上のように、上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得ステップと、上記取得ステップにて取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識ステップと、を含む方法である。
【0061】
それゆえ、情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定することができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の全体の概要構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る光ディスクの概略構成を示す図であり、(a)は、再生光入射側から見たときの光ディスクを示す図であり、(b)は、光ディスクの各記録層の構成例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置または光ディスクに格納された各種情報を示すものであり、(a)は、記録エリアに記録されている層種類情報の一例であり、(b)は、ドライブ側格納部に格納された記録層−記録エリア対応テーブルの一例であり、(c)は、層指定情報(Default Volume指定情報)の構造の一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の処理の流れを示す一例であって、光ディスクが挿入された際の起動処理時における、ドライブユニットとホストユニットとの間でのコマンドのやり取りを示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられる「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示すものであり、(a)は、ホストユニットから送信される「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、(b)は、ドライブユニットから返却されるDefault Volume情報(レスポンスデータ)を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられる「READ DISC STRUCTURE」コマンドにより返却されるNew Hybrid Disc Information情報の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられる「SET DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示すものである。
【図9】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の一実施形態に係る光ディスクの層構造の一例を示すものである。
【図11】本発明の他の一実施形態に係る光ディスクの各層に記録されている層番号及びボリュームパック番号の一例を示す図である。
【図12】本発明の他の一実施形態に係る光ディスクにおける層指定情報の構造の一例を示す図である。
【図13】本発明の他の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられるコマンドの一例を示すものであり、(a)は、図5に示すS10の処理においてホストユニットから送信される「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、(b)は、ドライブユニットから返却されるDefault Volume情報(レスポンスデータ)を示す図である。
【図14】本発明の他の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられる、図5に示すS17の処理においてホストユニットから送信される「SET DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示す図である。
【図15】本発明の他の一実施形態に係る光ディスクの変形例を示すものであり、当該光ディスクの層構造の一例を示すものである。
【図16】図15に示す光ディスクの各層に記録されている層番号及びボリュームパック番号の一例を示す図である。
【図17】図15に示す光ディスクが有する記録エリアの構造(層指定情報の構造)の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の便宜上、図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
なお、以下の説明において、光ディスク100(情報記録媒体)が有する層として、書き換え可能な記録層をRE(RE-writable)層と呼び、再生専用の記録層をROM(Read Only Memory)層と呼び、追記録可能な記録層をR(Recordable)層と呼ぶ。
【0065】
また、情報記録媒体(記憶媒体)における論理的な管理上の単位を「ボリューム」という。単層からなる光ディスクの場合、一般的には1つのボリュームとして管理される。また、2層からなる光ディスクについても、従来の2層DVDのように2層のデータを一元管理する場合は1つのボリュームとして管理される。2層からなる光ディスクにおいて、各層のデータを独立して管理する場合には、2つのボリュームとなる。
【0066】
また、物理的な観点では「記録層(情報記録層)」を「レイヤー」と表現することもある。情報記録媒体には、「記録層」すなわち「レイヤー」が複数存在してもよい。さらに、RE層およびR層を総称して「記録可能な記録層」と表現することもある。なお、「記録層」を「ボリューム(Volume)」と表現してもよい。
【0067】
〔光ディスク装置1の概略構成〕
まず、図2に基づき、本発明の一実施形態である光ディスク装置(記録再生装置)1の全体の概略構成について説明する。図2は、光ディスク装置1の全体の概要構成を示すブロック図である。
【0068】
図示のように、光ディスク装置1は、DVD、BDなどの光ディスク100に対して情報の記録または再生を行うものであり、ドライブユニット2およびホストユニット3を備えている。
【0069】
ドライブユニット2は、光ディスク100に記録されている情報の読み出し、または、光ディスク100に情報を記録するものである。また、ホストユニット3は、主として、ドライブユニット2が備えるATAPI I/F21を介して、例えば光ディスク100に対する再生制御および記録制御を行うための指示をドライブユニット2に与えるものである。
【0070】
ドライブユニット2は、主として、ディスク装填認識部6、光ピックアップ12、ドライブ側制御部20、ATAPI I/F21およびドライブ側格納部27(格納部)を備えている。また、記録再生回路群10は、主として、ピックアップ駆動回路13、レーザ駆動回路14および再生回路15を備えている。
【0071】
ドライブユニット2では、回転する光ディスク100の図示しないトラックへ、ドライブ側制御部20がピックアップ駆動回路13を介して光ピックアップ12を移動させるようになっている。
【0072】
光ピックアップ12には、光ヘッド11が設けられている。そして、ドライブ側制御部20がレーザ駆動回路14を介して記録条件を設定し、光ヘッド11から記録用のレーザビームを光ディスク100の記録部位に照射することによって、光ディスク100のトラックに情報が記録されるようになっている。
【0073】
また、光ディスク装置1は、ドライブ側制御部20がピックアップ駆動回路13を介して光ピックアップ12を光ディスク100の記録部位へ移動させる。そして、ドライブ側制御部20がレーザ駆動回路14を介して再生条件を設定し、光ヘッド11から再生用のレーザビームを光ディスク100に照射するようになっている。
【0074】
光ヘッド11が検出した反射光は、再生回路15にて再生信号に変換され、ドライブ側制御部20に入力される。これにより、光ディスク装置1は、光ディスク100のトラック(複数のセクタからなる)に記録された情報を再生するようになっている。
【0075】
また、光ディスク装置1には、ディスク装填認識部6が設けられている。ディスク装填認識部6は、光ディスク100の装填を検出するためのものであり、例えば、各種センサが例示できるが、光ディスク100の装填を検出できるものであれば、どのようなセンサを用いてもよい。また、ディスク装填認識部6は、検出した結果を検出信号としてドライブ側制御部20へ出力するようになっている。
【0076】
また、ATAPI I/F21は、ATAPI(Attachment Packet Interface)に準拠した光ディスク100に記録されたコンテンツを再生するためのものであり、ドライブユニット2とホストユニット3との間のデータ転送(情報のやり取り)に用いられる。以下では、ATAPI I/F21は、ドライブユニット2が備えているものとして説明するが、これに限らず、ドライブユニット2およびホストユニット3とは独立して光ディスク装置1に備えられていてもよい。
【0077】
なお、ドライブ側制御部20の具体的な構成およびドライブ側格納部27については、後述する。
【0078】
〔光ディスク装置1のより詳細な構成〕
次に、図1に基づき、光ディスク装置1の要部構成、すなわちドライブユニット2およびホストユニット3の具体的な構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態である光ディスク装置1の要部構成を示すブロック図である。なお、ディスク装填認識部6について上述したので、ここではその説明を省略する。
【0079】
図示のように、ドライブユニット2のドライブ側制御部20は、主として、ディスク装填確認部22、層情報取得部23(取得手段)、起動層認識部24(認識手段)、層情報書込部25(書き込み手段)および記録再生回路群制御部26を備え、例えば制御プログラムを実行することにより、ドライブユニット2を構成する部材を制御するものである。ドライブ側制御部20は、ドライブユニット2に備えられたドライブ側格納部27に格納されているプログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、光ディスク100に対するフォーカス制御、トラッキング制御などの各種処理を実行する。
【0080】
ディスク装填確認部22は、ディスク装填認識部6から検出信号を受信しているか否かにより、光ディスクが挿入されたか否かを確認するものである。
【0081】
層情報取得部23は、主に、光ディスクの管理領域またはリードイン領域から各種情報を取得するものである。例えば、層情報取得部23は、管理領域からディスク情報を取得することにより、光ディスクがハイブリッドディスクであるか否かを確認するものである。これにより、光ディスク装置1が、ハイブリッドディスクである光ディスク100が装填されたか否かを確認することができる。
【0082】
また、層情報取得部23は、光ディスク100が挿入されたときに、最初に起動する記録層を指定するための層指定情報を取得するものである。
【0083】
例えば、層情報取得部23は、光ディスクがハイブリッドディスクであった場合に、リードイン領域102の特定領域(書き込み可能な領域)内に層指定情報が存在するか否かの確認を行うものである。言い換えれば、層情報取得部23は、書き換え可能な記録層(RE層)から層指定情報を取得するものといえる。これにより、以前にユーザの指示に応じて書き込まれた層指定情報を取得した場合には、その層指定情報が示す記録層を起動させることができるので、前回挿入されたときにユーザが希望した記録層を優先的に起動させることができる。
【0084】
また、層情報取得部23は、管理領域101に記録されている情報(例えば層指定情報)を読み出すものである。言い換えれば、層情報取得部23は、光ディスク100の構造を示す識別情報が記録されている管理領域101から層指定情報を取得するものといえる。これにより、管理領域101に予め記録されている層指定情報を読み出すことができるので、ディスクサプライヤーが起動させたい記録層を最初に起動させることができる。
【0085】
さらに、層情報取得部23は、光ディスク装置1のホスト側格納部35(またはドライブ側格納部27)から層指定情報を取得するものであってもよい。例えば、層情報取得部23は、光ディスク100の管理領域101に層指定情報が予め設定されていないことが確認できた場合に、ホスト側制御部31がホスト側格納部35に予め格納しておいた層指定情報を読み出すことによって、当該層指定情報を取得する。層情報取得部23が取得した層指定情報を、層情報書込部25が、光ディスク100の特定領域に書き込むことにより、次に光ディスク100が挿入されたときに、最初に起動させる記録層を指定することができる。
【0086】
起動層認識部24は、層情報取得部23が取得した層指定情報が示す記録層を、最初に起動させる起動層として認識するものである。これにより、光ディスク装置1は、情報記録媒体の挿入時に、最初に起動する記録層を指定することができるので、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する記録層を起動させることが可能となる。
【0087】
層情報書込部25は、層情報取得部23がホストユニット3から送信された層指定情報を取得したときに、当該層指定情報を、上記特定領域に書き込む(または書き換える)ものである。言い換えれば、層情報書込部25は、記録可能な記録層(RE層またはR層)に、ユーザの指示に基づき設定された層指定情報を書き込むものであるといえる。これにより、層情報書込部25が例えばユーザの指示に応じて層指定情報を書き込むのであれば、ユーザが最初に起動させることを希望する記録層を指定することができる。また、上記のように、光ディスク100に予め層指定情報が記録されていない場合であっても、次の挿入時には、光ディスク装置1が指定した記録層からの起動が可能となる。
【0088】
なお、層情報書込部25は、書き換え可能な記録層(RE層)に記録されている層指定情報を書き換えるものであるともいえる。すなわち、層情報書込部25は、光ディスク100に層指定情報が記録されていない場合には、ユーザの指示に基づくあるいは予めドライブ側格納部27に格納された層指定情報を書き込む。一方、層情報書込部25は、RE層(特定領域)に既に層指定情報が書き込まれている場合には、その層指定情報を、ユーザの指示に基づくあるいは予めドライブ側格納部27に格納された層指定情報に書き換える。
【0089】
記録再生回路群制御部26は、層情報取得部23、起動層認識部24および層情報書込部25の指示により、記録再生回路群10を駆動させるものである。
【0090】
また、ドライブ側格納部27は、ドライブ側制御部20が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。ドライブ側格納部27は、例えばROM(Read Only Memory)フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。なお、上述した一次記憶部は、RAMなどの揮発性の記憶装置によって構成されているが、本実施形態では、ドライブ側格納部27が一次記憶部の機能も備えているものとして説明する場合もある。ドライブ側格納部27は、例えば記録層−記録エリア対応テーブルT1や層指定情報などを格納している。
【0091】
また、ホストユニット3は、主として、ホスト側制御部31、操作部32、表示部33、送受信部34およびホスト側格納部35(格納部)を備えている。
【0092】
ホスト側制御部31は、主として、コマンド制御部311、表示制御部312、通信制御部313、再生制御部314および記録制御部315を備え、例えば制御プログラムを実行することにより、ホストユニット3を構成する部材を制御したり、ATAPI I/F21を介して、ドライブユニット2に指示を与えるものである。ホスト側制御部31は、ホストユニット3に備えられたホスト側格納部35に格納されているプログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、操作部32へのユーザ操作に対応した処理、表示部33への表示に関する処理、送受信部34がネットワークと情報のやり取りを行う際の処理などの各種処理を実行する。
【0093】
コマンド制御部311は、ATAPIコマンドを発行して、ドライブユニット2の各部への指示を行うと共に、ドライブユニット2から返却されたATAPIコマンドを解析して、次の処理を、ドライブユニット2またはホストユニット3の各部に指示するものである。
【0094】
表示制御部312は、表示部33を制御するものであり、例えば光ディスク100から読み出した層指定情報が最初に起動を希望する記録層を示すものであるかを、ユーザに確認させるための画像を作成するものである。
【0095】
通信制御部313は、送受信部34を介して、外部のネットワークと通信を行うものである。通信制御部313は、例えば光ディスク100のROM層に記録されたアプリケーションのバージョンアップ情報を、送受信部34を介してネットワーク上から取得するものである。
【0096】
再生制御部314は、光ディスク100に記録された情報を読み出すことにより、当該情報の再生を制御するものである。このとき、再生制御部314は、コマンド制御部311に指示を与えることにより、情報再生時に必要なATAPIコマンドを発行させ、ドライブユニット2を制御する。
【0097】
記録制御部315は、光ディスク100のRE層(またはR層)に情報を記録するために、主に、コマンド制御部311を制御するものである。例えば、コマンド制御部311が層指定情報またはバージョンアップ情報を光ディスク100に記録するときに、当該コマンド制御部311を制御するものである。以下では、コマンド制御部311が独自に層指定情報またはバージョンアップ情報を光ディスク100に記録させるためのATAPIコマンドを発行するものとして説明する。
【0098】
なお、ホスト側制御部31(書き換え手段)は、光ディスク装置1のドライブ側格納部27に格納されている層指定情報を書き換える構成であってもよい。ホスト側制御部31は、光ディスク100から読み取られた層指定情報、または、ドライブ側格納部27に予め格納されている層指定情報を、例えばユーザの指示に応じて書き換える場合には、当該層指定情報をユーザ所望の層指定情報に書き換えることができる。従って、光ディスク装置1は、次に光ディスク100が挿入されたときには、光ディスク100から層指定情報を取得しなくても(取得できない場合であっても)、書き換えられた層指定情報を参照することにより、ユーザが希望する記録層を起動層として指定することが可能となる。
【0099】
また、操作部32は、ユーザが、光ディスク装置1に各種の操作命令を入力するためのものであり、例えば、操作ボタンとそのインターフェースなどが挙げられる。
【0100】
表示部33は、表示制御部312に制御されることにより、例えば挿入された光ディスク100の各記録層のどの層を起動させるかをユーザが選択できるような画像を表示するなど、光ディスク装置1の制御に必要な情報を表示するものである。表示部33は、例えば液晶パネルにより構成されているが、これに限らず、有機EL(Electro Luminescence)パネルなどが用いられていてもよい。
【0101】
送受信部34は、通信制御部313に制御されることにより、外部のネットワークから取得した情報を通信制御部313に送信するものである。送受信部34は、例えば外部装置との通信を確立するための通信媒体として、赤外線通信、ZigBee(登録商標)、UWB(ultra wide band)、Bluetooth(登録商標)、LAN(local area network)、Wibree等が用いることが可能な物理媒体である。
【0102】
ホスト側格納部35は、ホスト側制御部31が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。ホスト側格納部35は、例えばROM(Read Only Memory)フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。なお、上述した一次記憶部は、RAMなどの揮発性の記憶装置によって構成されているが、本実施形態では、ホスト側格納部35が一次記憶部の機能も備えているものとして説明する場合もある。ホスト側格納部35は、例えば層種類情報や層指定情報などを格納している。
【0103】
なお、ホスト側格納部35(またはドライブ側格納部27)は、層指定情報を光ディスク100ごとに対応付けて格納していてもよい。この場合、光ディスク100が挿入されたときのディスク情報と、層指定情報と、を対応付けて管理することにより、例えば次に同じ光ディスク100が挿入されたときに、ディスク情報を読み出した時点で、ホスト側格納部35に格納された層指定情報が示す記録層を起動させることが可能となる。光ディスク装置1をこのような処理を行うことが可能な設定にしておく場合には、光ディスク100が挿入されてからの起動処理時間を短縮することが可能となる。
【0104】
〔光ディスク100の概略構成〕
次に、図3に基づき、本発明の一実施形態である光ディスク100の概略構成について説明する。図3は、本発明の一実施形態である光ディスク100の概略構成を示す図であり、図3(a)は、再生光入射側から見たときの光ディスク100を示す図であり、図3(b)は、光ディスク100の各記録層の構成例を示す図である。
【0105】
まず、図3(a)に示すように、光ディスク100は、その内周側に、管理領域101およびリードイン領域102を備えている。
【0106】
管理領域101は、光ディスク100の最内周で、かつ、再生光入射側から最も遠い記録層(RE層)に設けられた領域であり、トラッキング制御が不要な領域またはフォーカス制御のみでアクセス可能なバーコード状の記録領域(管理領域記録領域)である。光ディスク装置1は、光ディスク100が挿入されると、まず管理領域101の情報を読み取りにいくように設計されている。また、管理領域101は、製造時にのみ情報の書き込みを行うことが可能な領域(すなわち書き換え不可能な領域)である。管理領域101は、本実施形態では、BCA(Burst Cutting Area)を指す。
【0107】
管理領域101には、主として、光情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録される。識別情報の具体例としては、光ディスク100の記録層のタイプ(再生専用型、追記型、書き換え型)、光ディスク100のサイズ、光ディスク100のバージョン(速度等に関連)、サーボの極性、記録マークの極性および光ディスク100固有の番号などが挙げられるが、管理領域101における各識別情報の記録順序(又は配置方法)は、任意であってよい。なお、これらの記録順序は、通常規格などによって決められている。
【0108】
リードイン領域102は、光ディスク100において管理領域101の外周側に、記録層ごとに設けられた領域であり、光ディスク装置1が各層に対する処理を行う際に、最初に再生光が照射される(最初に情報が読み出される領域)記録領域である。また、リードイン領域102には、製造時にのみ情報の書き込みを行うことが可能な領域(すなわち書き換え不可能な領域)と、光ディスク装置1に挿入された後に情報の書き換えを行うことが可能な領域とが設けられている。リードイン領域102には、例えば光ディスク100への記録・再生の標準条件、各層に対する光ディスク装置1のアクセスの許可不許可(アクセス制限)を示す情報、製造時の欠陥および使用中にできた欠陥の位置を示す情報などが記録されている。なお、この欠陥の位置を示す情報は、リードイン領域102およびリードアウト領域104内の欠陥管理領域に記録される。
【0109】
また、管理領域101、または、リードイン領域102の書き換え不可能な領域には記録エリアA1〜A8(図4(a)を参照)が設けられており、当該記録エリアのそれぞれに層種類情報が記録されている。管理領域101およびリードイン領域102は、ディスクの最内周に設けられているので、当該領域に層種類情報を記録しておけば、光ディスク装置1が当該層種類情報を簡単に、かつ、一括して取得することを可能にする。
【0110】
さらに、管理領域101、または、リードイン領域102の書き換え不可能な領域には記録エリアB0〜B7(図4(c)を参照)が設けられており、当該記録エリアには、光ディスク装置1に光ディスク100が挿入されたときに最初に起動する記録層を指定するための層指定情報が記録されている。すなわち、管理領域101、および、リードイン領域102の書き換え不可能な領域の何れの領域に、層指定情報が記録されていてもよい。なお、記録エリアB0〜B7は、管理領域101及びリードイン領域102の両方に設けられていてもよい。
【0111】
次に、図3(b)は、再生光入射側から最も遠い記録層から記録層L0、L1、・・・と称する場合、記録層L0がRE層、記録層L1がROM層である場合の光ディスク100の構成を示している。図示のように、記録層L0(RE層)には、管理領域101、リードイン領域102、ユーザデータ領域103およびリードアウト領域104が設けられている。なお、管理領域101およびリードイン領域102については上述したので、ここではその説明を省略する。
【0112】
ユーザデータ領域103は、OS(Operating System)などのアプリケーションやコンテンツなど、様々な情報が記録されている(または記録可能な)領域である。例えばROM層のユーザデータ領域103には、ディスクサプライヤーが用意したアプリケーションやコンテンツなどが予め記録されており、RE層のユーザデータ領域103には、ユーザが録画したコンテンツや、アプリケーションのバージョンアップ情報など、光ディスク装置1により記録される情報が記録される。
【0113】
リードアウト領域104は、通常、光ディスク100の各層の最外周側に設けられており、前述した欠陥の位置を示す情報などが記録されている。
【0114】
なお、図3(b)では、記録層L0およびL1だけを図示しているが、再生光入射側にさらに記録層を設けた構成であってもよい。本実施形態では、光ディスク100は、層種類情報が記録される記録エリアA1〜A8が用意されているため、最大8層の記録層を有していてもよい。
【0115】
以上より、光ディスク100は、自媒体に対して情報の記録または再生を行う光ディスク装置1に挿入されたときに、最初に起動する記録層を指定するための層指定情報が記録されている。また、光ディスク100は、光ディスク100の構造を示す識別情報が記録されている管理領域101、または、書き換え可能な記録層(RE層)に、光ディスク装置1に光ディスク100が挿入されたときに最初に起動する記録層を指定するための層指定情報が記録されていてもよい。
【0116】
これにより、複数の記録層を有する光ディスク100が光ディスク装置1に挿入されたときに、いずれの記録層を起動層とするかという情報を予め光ディスク100に記録しておくことが可能となる。また、ディスクサプライヤーが光ディスク100ごとに層指定情報を記録することができるので、光ディスク100を挿入したときに、ディスクサプライヤーの意図する記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ディスクサプライヤーにとってはディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0117】
さらに、例えばユーザの指示に応じた層指定情報が記録されている場合には、ユーザが最初に起動させることを希望する記録層を指定させることができる。すなわち、この場合には、ユーザの意図する記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ユーザにとってはユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0118】
つまり、光ディスク100は、光ディスク装置1への挿入時に、少なくともディスクサプライヤーの意図する記録層を最初に起動させることができる。つまり、少なくともディスクサプライヤーにとっては、少なくともディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることができる。
【0119】
〔層種類情報および層指定情報について〕
次に、図4(a)〜(c)に基づき、光ディスク100に記録されている層種類情報および層指定情報と、光ディスク装置1に記録されている記録層−記録エリア対応テーブルT1とについて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置または光ディスクに格納された各種情報を示すものである。なお、ここでは、光ディスク100の記録層が、記録層L0〜L7の8層である場合について説明する。
【0120】
図4(a)は、記録エリアA1〜A8に記録されている層種類情報の一例である。本実施形態では、層種類情報は、「01」がROM層、「10」がRE層、「11」がR層を示すものとして説明するが、2ビット情報と層の種類とは任意に対応付けることができる。なお、「00」は、層なし、すなわち、記録層が存在しないことを示すものとする。
【0121】
図4(a)において、記録エリアA1が「10」となっているのは、記録エリアA1に対応する記録層の種類が、RE層であることを示している。同様に、記録エリアA2〜A4が「01」となっているのは、記録エリアA2〜A4に対応する記録層の種類が、ROM層であることを示している。さらに、記録エリアA5〜A8が「00」となっているのは、記録エリアA5〜A8に対応する記録層は存在していないことを示している。
【0122】
つまり、光ディスク装置1は、記録エリアA1〜A8にアクセスして層種類情報を読み取ることにより、図4(a)に示す光ディスク100の記録層の層数が4であることがわかる。
【0123】
次に、図4(b)は、ドライブ側格納部27に格納された記録層−記録エリア対応テーブルT1の一例である。
【0124】
図4(b)において、「記録層−例1」では、記録エリアA1〜A8のそれぞれが、同順で記録層L0〜L7に対応していることを示している。また、「記録層−例2」では、記録エリアA1〜A8のそれぞれが、逆順で記録層L7〜L0に対応していることを示している。さらに、「記録層−例3」では、記録エリアA1〜A8のぞれぞれと記録層L7〜L0のそれぞれとの対応関係がランダムである場合を示している。
【0125】
つまり、光ディスク装置1は、光ディスク100から層種類情報を取得したときに、記録層−記録エリア対応テーブルT1を参照することにより、どの記録層がどの種類の層か(例えばROM層かRE層かなど)を判定することができる。
【0126】
次に、図4(c)は、層指定情報(Default Volume指定情報)の構造の一例を示す図である。層指定情報が光ディスク100に記録されている場合、記録エリアA1〜A8と異なる領域(管理領域101またはリードイン領域102)に、記録エリアB0〜B7が設けられている。記録エリアB0〜B7には1ビット情報が記録される。
【0127】
記録エリアB0およびB1は、光ディスク装置1に挿入されたときに最初に起動する記録層(起動層)の層の種類を指定するための情報(「層種類」)を記録するものである。例えばROM層を指定する場合には、記録エリアB0には「1」、記録エリアB1には「0」が記録される。
【0128】
記録エリアB2〜B4は、上記起動層の層番号を指定するための情報(「層番号」)を記録するものである。層番号とは、その層が、基板側(再生光入射側の反対側、基板は不図示)から何番目にあたるかを示すものである。例えば記録層L1を指定する場合には、記録エリアB2には「1」、記録エリアB3には「0」、記録エリアB4には「0」が記録される。
【0129】
記録エリアB6は、上記起動層を指定する際に、層種類を指定するための情報および層番号を指定するための情報の何れを用いるかを示す情報(「ボリューム選択」)を記録するものである。例えば層種類を指定する情報を用いる場合には、「0」が記録される。
【0130】
記録エリアB7は、層指定情報がリードイン領域102の特定領域内に記録されているか否かを示す情報(「特定領域内デフォルトボリュームの有無」)を記録するためのものである。例えば上記特定領域に層指定情報が記録されている場合には、「1」が記録される。なお、記録エリアB5には、「Reserved」が記録されており、この記録エリアにビット情報が入っていないことを示している。
【0131】
つまり、光ディスク装置1は、光ディスク100から層指定情報を取得すると、光ディスク100のどの層を起動するのかを決定することができる。なお、光ディスク100に記録されている層指定情報は、ATAPIコマンドに準拠しているため、光ディスク装置1では、当該層指定情報を取得すれば、層指定情報の「層種類」、「層番号」および「ボリューム選択」を読み取ることができる。すなわち、層指定情報が、ATAPIコマンドとして、ドライブユニット2とホストユニット3との間をやり取りされる場合の構造は、上記記録エリアB0〜B7に対応するものである。なお、ATAPIコマンドについては後述する。
【0132】
すなわち、層指定情報は、起動層認識部24が最初に起動させる記録層として認識した起動層の層種類を指定するための情報である。この場合、光ディスク装置1は、層種類を用いて起動層へのアクセスを行うことができる。例えば、ROM層が1層、RE層が1層の2層構造を有する光ディスク100の場合には、確実に(一意的に)起動層を指定することができる。
【0133】
ここで、光ディスク100が同じ種類の記録層(例えばROM層が2層、RE層が2層の4層構造)を有する場合(すなわち同種類のボリュームを有する場合)に、光ディスク装置1は、ROM層を示す層指定情報であれば、記録層L0に近いROM層に対してアクセスを行い、RE層を示す層指定情報であれば、記録層L0に近いRE層で、かつ、情報が記録可能な領域に対してアクセスを行う。従って、層種類の場合であっても、最初に起動させたい記録層を一意に決めることも可能である。
【0134】
一方、上記のような光ディスク100(同一ボリュームを有する多層媒体)の場合に、より確実に(一意的に)、最初に起動させる記録層を指定することを可能とするために、本実施形態では、層指定情報として、起動層認識部24が最初に起動させる記録層として認識した起動層の層番号を指定するための情報が指定されていてもよい。特に、それぞれの記録層で異なるアプリケーションを有している場合に、いずれのアプリケーションを最初に起動させるかを確実に指定することが可能となる。すなわち、記録再生装置にて通常設定されている順番で(例えば記録層L0に近い記録層から順に)アプリケーションを再生する必要がない。このため、ディスクサプライヤーまたはユーザが光ディスク100を挿入時に起動することを希望するアプリケーションを最初に起動することができる。
【0135】
なお、層情報書込部25が書き換える層指定情報も、起動層の層種類を指定するための情報、または、起動層の層番号を指定するための情報である。
【0136】
〔光ディスク装置1の起動処理の流れ(コマンドのやり取り)〕
次に、図5〜図9に基づき、光ディスク100が挿入されてから光ディスク100内の情報が起動されるまでに、ドライブユニット2とホストユニット3との間でのコマンドのやり取りの一例について説明する。図5は、光ディスク100が挿入された際の起動処理時における、ドライブユニット2とホストユニット3との間でのコマンドのやり取りを示すタイミングチャートである。また、図9は、光ディスク装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
【0137】
図示のように、ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、光ディスクが装填されたか否かを判定するために、「TEST UNIT READY」コマンドを所定のタイミングでドライブユニット2に送信している(S1)。ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20のディスク装填確認部22は、「TEST UNIT READY」コマンドを受信したときに(S2)、ディスク装填認識部6から検出信号を受信していれば、光ディスクが挿入されたと判定し、ホストユニット3に「READY」コマンドを返す(S3)。一方、光ディスクが挿入されたことを確認していなければ、ホストユニット3に「NOT READY」コマンドを返す。この場合には、ホストユニット3は、「READY」コマンドが返ってくるまで「TEST UNIT READY」コマンドをドライブユニット2に送信する。
【0138】
次に、ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、ドライブユニット2から「READY」コマンドが返ってくると(S4)、ドライブユニット2に対して、光ディスクがハイブリッドディスクの特性を持っているかの問合せを行うためのコマンドとして「GET CONFIGRATION」コマンドを送信する(S5)。
【0139】
すなわち、光ディスク装置1は、S4の段階で、光ディスクが挿入されたことを確認する(図9のS21)。
【0140】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の層情報取得部23は、「GET CONFIGRATION」コマンドを受信すると(S6)、例えば「GET CONFIGRATION」コマンドのfeature情報を取得するための処理を行うことにより、光ディスクがハイブリッドディスクであるかの確認を行う。具体的には、層情報取得部23は、記録層L0の最内周にある管理領域にアクセスするように、記録再生回路群制御部26に通知する。記録再生回路群制御部26は、この通知を受けると、記録再生回路群10を駆動させることにより管理領域にアクセスし、管理領域から読み取った情報(ディスク情報)を再生回路15から取得する。そして、記録再生回路群制御部26は、再生回路15から取得したディスク情報を層情報取得部23に送信する。なお、管理領域にディスク情報がない場合には、層情報取得部23は、リードイン領域の書き換え不可能な領域にアクセスするように、記録再生回路群制御部26に通知してもよい。すなわち、この場合には、リードイン領域の書き換え不可能な領域にディスク情報が記録されている。
【0141】
層情報取得部23は、ディスク情報を受信すると、このディスク情報を解析することにより、挿入された光ディスクがハイブリッドディスクであるか否かを判定し、その結果をfeature情報として、ホストユニット3に返却する(S7)。
【0142】
ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、光ディスクがハイブリッドディスク(すなわち光ディスク100)であることを示す結果をfeature情報として受信すると(S8)、光ディスク100の層指定情報を読み出すための処理を行う。まず、コマンド制御部311は、ドライブユニット2に対して、リードイン領域102内の特定領域に層指定情報が存在するかの問合せを行うために、当該問合せを行うための「READ DEFAULT VOLUME」を送信する(S9)。
【0143】
すなわち、光ディスク装置1は、S8の段階で、挿入された光ディスクがハイブリッド(Hybrid)ディスク(光ディスク100)であると認識する(図9のS22)。
【0144】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の層情報取得部23は、「READ DEFAULT VOLUME」コマンドを受信すると(S10)、例えば、「READ DEFAULT VOLUME」コマンド(新規Vender uniqueコマンド)のDefault Volumeを取得するための処理を行うことにより、上記特定領域に層指定情報が存在するかの確認を行う。
【0145】
具体的には、層情報取得部23は、上記特定領域にアクセスするように、記録再生回路群制御部26に通知する。記録再生回路群制御部26は、この通知を受けると、記録再生回路群10を駆動させることにより上記特定領域にアクセスし、当該特定領域から読み取った情報を再生回路15から取得する。そして、記録再生回路群制御部26は、再生回路15から取得した情報を層情報取得部23に送信する。
【0146】
層情報取得部23は、記録再生回路群制御部26から受信した情報の中に層指定情報が存在するか(すなわちリードイン領域102の特定領域に層指定情報が存在するか)否かを確認し、その結果をDefault Volume情報として、ホストユニット3に返却する(S11)。なお、図6は、「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示すものであり、図6(a)は、ホストユニット3から送信される「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、図6(b)は、ドライブユニット2から返却されるDefault Volume情報(レスポンスデータ)を示す図である。図6に示すビット配置は、あくまで一例であり、適宜変更することが可能である。
【0147】
ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、上記結果をDefault Volume情報として受信すると(S12)、その結果を解析することにより、ユーザが既に更新した層指定情報が光ディスク100に記録されているかを確認する。コマンド制御部311は、更新した層指定情報があった場合には、当該層指定情報をホスト側格納部35に格納しておく。
【0148】
次に、コマンド制御部311は、ドライブユニット2に対して、「READ DISC STRUCTURE」コマンドを送信する(S13)。すなわち、コマンド制御部311は、「READ DISC STRUCTURE」コマンドを発行する(図9のS23)。「READ DISC STRUCTURE」コマンドは、管理領域101(内周管理領域)に記録された情報を読み取り指示を示すものであり、ボリューム数(層数を示す情報)、ボリュームの種類(層種類情報)およびデフォルトボリューム(層指定情報)の問合せを行うためのコマンドである。
【0149】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の層情報取得部23は、「READ DISC STRUCTURE」コマンドを受信すると(S14)、例えば「READ DISC STRUCTURE」コマンドのNew Hybrid Disc Information情報を取得するための処理を行うことにより、上記の各種情報を光ディスク100から取得する。なお、図7は、「READ DISC STRUCTURE」コマンドにより返却されるNew Hybrid Disc Information情報の一例を示す図である。図7に示すビット配置は、あくまで一例であり、適宜変更することが可能である。
【0150】
具体的には、層情報取得部23は、管理領域101にアクセスするように、記録再生回路群制御部26に通知する。記録再生回路群制御部26は、この通知を受けると、記録再生回路群10を駆動させることにより管理領域101にアクセスし、当該管理領域101から読み取った情報(層種類情報および層指定情報)を再生回路15から取得する。そして、記録再生回路群制御部26は、再生回路15から取得した層種類情報および層指定情報を層情報取得部23に送信する。
【0151】
層情報取得部23は、記録再生回路群制御部26から受信した層種類情報および層指定情報を、New Hybrid Disc Information情報としてホストユニット3に返却する(S15)。なお、層情報取得部23は、管理領域101に層指定情報が記録されていない場合には、層種類情報のみを取得し、その旨をNew Hybrid Disc Information情報として、ホストユニット3に返却する。
【0152】
すなわち、ドライブユニット2は、S15の段階で、ボリューム数、ボリュームの種類およびデフォルトボリュームを、ホストユニット3に返却する(図9のS24)。
【0153】
ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、New Hybrid Disc Information情報を受信すると(S16)、受信した層種類情報および層指定情報をホスト側格納部35に格納しておく。このとき、コマンド制御部311は、所望の層指定情報であるかをユーザに確認するための指示を表示制御部312に送信する。表示制御部312は、この指示を受信すると、光ディスク100の記録層の層種類を表示すると共に、起動層がどの記録層であるか、当該起動層を起動してよいか、起動させない場合にはどの記録層を起動層とするか、などの情報を示す画像を表示部33に表示させる。なお、コマンド制御部311が層指定情報を上記特定領域から取得している場合には、当該特定領域から取得した層指定情報が示す記録層を起動層とするか否かをユーザに問合せる。
【0154】
つまり、コマンド制御部311は、層情報取得部23が層指定情報を管理領域101および上記特定領域の両方から取得している場合で、かつ、ユーザによる変更の指示がない場合には、起動層認識部24が、当該特定領域から取得した層指定情報が示す記録層を起動層として認識可能なように処理する。なぜなら、上記特定領域に記録されている層指定情報は、光ディスク100が光ディスク装置1にて使用され、そのときに例えばユーザの指示に応じて書き換えられたものであるといえるからである。
【0155】
すなわち、光ディスク装置1は、S16の段階で、光ディスク100に記録されたデフォルトボリュームが、ユーザが希望するデフォルトボリュームであるか否かを判定するために、ユーザに対する問合せを行う(図9のS25)。
【0156】
ホスト側制御部31は、操作部32を介してユーザ入力を取得することで、ユーザが希望する起動層がどの記録層であるかを判別し、ホスト側格納部35に格納されている層指定情報が示す記録層の起動をユーザが希望していないことを確認した場合には(図9のS25でNO)、ユーザが起動を希望している記録層を示す層指定情報を、ホスト側格納部35に格納されている層指定情報と書き換える。すなわち、ホスト側制御部31は、光ディスク100に記録された層指定情報の変更があったことを確認する。
【0157】
ホスト側制御部31が層指定情報の変更があったことを確認すると、コマンド制御部311は、ホスト側格納部35に格納された層指定情報(変更後の層指定情報)を読み出し、ドライブユニット2に対して、当該層指定情報を「SET DEFAULT VOLUME」コマンド(新規Vender uniqueコマンド)として送信する(S17)。なお、図8は、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示すものである。図8に示すビット配置は、あくまで一例であり、適宜変更することが可能である。
【0158】
すなわち、ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、S17の段階で、ユーザが希望するデフォルトボリュームを「SET DEFAULT VOLUME」コマンドに指定し(図9のS28)、当該「SET DEFAULT VOLUME」コマンドを発行する(図9のS29)。
【0159】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の層情報書込部25は、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドを受信すると(S18)、上記特定領域に層指定情報が格納されている場合には、当該層指定情報を、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドに記述された層指定情報に書き換える。一方、層情報書込部25は、上記特定領域に層指定情報が格納されていない場合には、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドに記述された層指定情報を新規に書き込む。このため、層情報書込部25は、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドに記述された層指定情報を書き換える(書き込む)ための指示を、記録再生回路群制御部26に与える。なお、このとき、層情報書込部25は、書き換える(書き込む)層指定情報をドライブ側格納部27に格納する。
【0160】
なお、層情報書込部25が上記層指定情報を書き込む特定領域は、通常、記録層L0のリードイン領域102の特定領域が好ましい。なぜなら、このリードイン領域102は管理領域101に隣接しているため、層情報書込部25が、管理領域101とリードイン領域102との間の移動の際にフォーカス制御を記録再生回路群10に行わせる必要がないからである。
【0161】
次に、ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、S17の処理から例えば所定の時間経過後、ドライブユニット2に対して、層指定情報が示す起動層へフォーカス制御を指示するための「START STOP UNIT」コマンドを送信する(S19)。すなわち、コマンド制御部311は、「START STOP UNIT」コマンドを発行する(図9のS30)。なお、「START STOP UNIT」コマンドとしては、本実施形態の光ディスク100に対応した新たなコマンドが用意されていても良い。
【0162】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の起動層認識部24は、「START STOP UNIT」コマンドを受信すると(S20)、ドライブ側格納部27に格納された層指定情報を読み出し、当該層指定情報が示す記録層を起動層として認識する。そして、起動層認識部24は、この起動層に記録された情報を起動するための指示を、記録再生回路群制御部26に与える。これにより、ドライブユニット2は、層指定情報が示す起動層へフォーカス制御を行い、当該起動層に記録された情報を起動することができる。
【0163】
すなわち、ドライブユニット2は、S20の段階で、ユーザによって変更(指定)されたボリュームへとフォーカス位置を移動する(図9のS31)。
【0164】
なお、S16の処理の際に、ホスト側制御部31が、操作部32に対するユーザ入力によりユーザが希望する起動層が、光ディスク100に記録された層指定情報(上記特定領域に記録されている場合には、その層指定情報)が示す記録層であることを確認した場合には(図9のS25でYES)、S17の処理を行わず、S19の処理を行うだけでよい。すなわち、コマンド制御部311は、「START STOP UNIT」コマンドを発行する(図9のS26)。そして、ドライブユニット2は、当該コマンドを受信すると、光ディスク100に記録されている層指定情報が示すデフォルトボリュームにフォーカス位置を移動する(図9のS27)。
【0165】
以上のように、光ディスク装置1(その制御方法)は、光ディスク装置1に光ディスク100が挿入されたときに、層情報取得部23(取得ステップ)が層指定情報を取得し、起動層認識部24(認識ステップ)が、当該取得した層指定情報が示す記録層を起動層として認識する。
【0166】
これにより、光ディスク100が光ディスク装置1に挿入されたときに、最初に起動する記録層を指定することができる。従って、光ディスク100の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する記録層を起動させることが可能となる。
【0167】
また、ROM層に記録されたアプリケーションがOSである場合には、当該ROM層が起動層となるように層指定情報を指定することができるので、例えば、光ディスク装置1がOSを有しないPC(Personal Computer)内に実現されている場合であっても、当該OSをブートすることができる。
【0168】
〔バージョンアップについて〕
次に、光ディスク100のROM層に記録されたアプリケーション(OS)のバージョンアップを行う場合の処理について説明する。
【0169】
ホストユニット3では、ホスト側制御部31の通信制御部313が、上記バージョンアップを行うためのバージョンアップ情報を、送受信部34を介して受信すると、コマンド制御部311にその旨を通知する。コマンド制御部311は、バージョンアップ情報をATAPIコマンドとして層情報書込部25に送信する。
【0170】
層情報書込部25は、バージョンアップ情報を受信すると、当該バージョンアップ情報を光ディスク100のRE層(もしくはR層)に書き込むための指示を、記録再生回路群制御部26に与える。このとき、層情報書込部25が書き込む記録層は、予めドライブユニット2に設定されており、例えば挿入された光ディスク100の記録層L0(RE層)のうち、バージョンアップ情報を記録することが可能な領域(情報が記録されていない領域)と設定されていてもよい。
【0171】
層情報書込部25は、上記指示を与えると、バージョンアップ情報を書き込んだ記録層をATAPIコマンドとして、ホストユニット3に送信する。ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311が、上記記録層を、次に光ディスク100が挿入されたときに最初に起動する記録層とするために、ホスト側格納部35に格納されている層指定情報を書き換える。そして、コマンド制御部311は、この層指定情報を光ディスク100に書き込むために、当該層指定情報を「SET DEFAULT VOLUME」コマンドとしてドライブユニット2に送信する。ドライブユニット2では、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドを受信すると、図5に示すS18と同様、上記特定領域に記録されている層指定情報を、受信した層指定情報に書き換える(または、受信した層指定情報を新規に書き込む)。
【0172】
これにより、光ディスク装置1は、次に光ディスク100が挿入されたときに最初に起動する記録層を、バージョンアップ情報が記録された記録層とすることができるので、バージョンアップ後のアプリケーションを起動することができる。このため、バージョンアップ後のアプリケーションを最初に起動できない場合に比べ、起動処理時間を短縮できるとともに、当該アプリケーションを起動する際の光ディスク装置1の処理の簡略化や、ユーザの手間を省くことができるなど、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0173】
また、ROM層に記録されたアプリケーションがOSである場合には、バージョンアップ情報が記録されたRE層(またはR層)が起動層となるように層指定情報を指定することができる。このため、例えば、光ディスク装置1がOSを有しないPC(Personal Computer)内に実現されている場合であっても、バージョンアップされたOSをブートすることができる。
【0174】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図10〜図17に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0175】
〔ボリュームパックについて〕
本実施の形態では、光ディスク100が光ディスク装置1に挿入された際に最初に起動する記録層(起動層)を指定するための情報として、「層種類」および「層番号」に加え、「ボリュームパック番号」を追加したものである。
【0176】
換言すれば、光ディスク100には、層指定情報として、起動層のボリュームパックを指定するための情報(「ボリュームパック番号」)が記録されている。また、光ディスク装置1の層情報書込部25が書き込む層指定情報は、起動層のボリュームパックを指定するための情報を含むものである。なお、ここでは、ボリュームパックを指定するための情報として、ボリュームパック番号を一例として挙げて説明するが、これに限らず、各ボリュームパックを特定できる記号であればよい。
【0177】
この構成によれば、ボリュームパック番号を用いて起動層を認識することができる。つまり、複数の論理的な管理単位であるボリュームパックを有する光ディスク100において、ボリュームパック番号を用いて1つのボリュームパックを指定することにより、光ディスク装置1が制御可能な管理単位である記録層群(1つのボリュームパックが1層の記録層からなる場合はその記録層に特定される)を指定することが可能となる。このため、例えば、ユーザが使用したい機能をより早く起動することが可能となる。
【0178】
ここで、「ボリュームパック」とは、光ディスク装置1が認識可能な論理的な管理単位であり、1層以上の記録層を含む1つの管理単位(1つの記録領域)を指すものであり、ユーザデータに対して全クラスタにわたって連続して配置される論理セクタ番号を持つ1つ以上の層種類を備え、独立したボリュームに含まれる記録層により構成される。
【0179】
また、ボリュームパックを用いる場合、光ディスク装置1は、ボリュームパック番号が割り当てられたボリュームパックそれぞれを、1つの管理単位として(1つの補助記憶装置のように)取り扱うことができる。また、本実施の形態では、光ディスク装置1が制御可能な(認識可能な)管理単位がボリュームパックとなるため、光ディスク装置1は、一度に1つのボリュームパックしか制御することができず、別のボリュームパックを制御できない。つまり、「ボリュームパック」は、「光ディスク装置1が一度に制御可能な(認識可能な)管理単位」となっている。
【0180】
通常、ボリュームパックごとに異なる機能(アプリケーション)が搭載されていることが多いため、ボリュームパック単位で指定できることは、機能ごとの読み出し速度を向上させる点、すなわち利便性を向上させる点で有効となる。
【0181】
また、光ディスク装置1は、例えばボリュームパック内のいずれの記録層を起動層として認識するかを予め決めておくことにより、その認識のために、光ディスク100が有する複数の記録層すべてを把握しておく必要はなく、ボリュームパック分だけを把握しておけばよいことになる。なお、光ディスク装置1は、記録層から情報を読み出す場合、通常、光ディスク100のディスク構造を明確に把握しておく必要がある。
【0182】
このため、光ディスク装置1は、記録層ごとに起動層が指定されている場合に比べ、容易に、かつ、速く起動層を認識することができる。特に、光ディスク100が現在よりも多層化された場合に有益である。
【0183】
また、層種類の異なる複数の記録層を1つのボリュームパックとして指定すること、及び、別のボリュームパックに同一の層種類の記録層が存在することを許容している。このため、ディスクサプライヤーによる層指定情報の設定の自由度を増すことができる。また、この点で、ボリュームパックは、単純な層種類とは異なるものといえる。
【0184】
なお、本実施の形態では説明上、上記のように、光ディスク装置1が一度に1つのボリュームパックしか制御することができない例について説明したが、実際には必ずしもその必要はなく、光ディスク装置1が一度に複数のボリュームパックを制御できても構わない。本実施の形態の技術的思想は、層番号を用いて起動層を指定する場合に比べて、ボリュームパックを指定するための情報を用いて起動層を指定することで、より容易に、かつ、速く起動層を認識できることにあり、光ディスク装置1が一度に制御できるボリュームパックが単数か複数かを問うものではない。
【0185】
〔ボリュームパックの割り当て(その1)〕
以下、図面を用いてより具体的に説明する。まず、複数のボリュームパックに同一の層種類の記録層(各ボリュームパック内はそれぞれ同じ層種類の記録層)が存在している場合について、図10〜図14を用いて説明する。
【0186】
図10は、光ディスク100の層構造の一例を示すものである。同図では、その一例として、6層構造の場合を示しており、再生光入射側から最も遠い記録層である記録層L0〜L3がRE層、記録層L4及びL5がROM層である光ディスク100を示している。例えば、同じ種類の記録層であるRE層が、「ボリュームパック♯0」及び「ボリュームパック♯1」に割り当てられている。
【0187】
また、この光ディスク100では、記録層L0及びL1に「ボリュームパック♯0」、記録層L2及びL3に「ボリュームパック♯1」、並びに、記録層L4及びL5に「ボリュームパック♯2」と、ボリュームパック番号が設定されている。
【0188】
なお、この例では、記録層L0側から「♯0」が与えられているが、これに限らず、例えば再生光入射側に最も近い記録層から「♯0」を設定していくなど、各ボリュームパックを特定できればどのようにボリュームパック番号が設定されてもよい。また、このボリュームパック番号は、例えばディスクサプライヤーによって製造時に設定されているものである。
【0189】
ここで、光ディスク装置1は、層指定情報として設定された1つのボリュームパック内において再生光入射側から最も遠い記録層を起動層として認識するように設定されている。図10に示す光ディスク100において、層指定情報として「ボリュームパック♯0」が指定されている場合には、光ディスク装置1は記録層L0を起動層として認識し、当該記録層L0に対してアクセスを行い、層指定情報として「ボリュームパック♯1」が指定されている場合には、光ディスク装置1は記録層L2を起動層として認識し、当該記録層L0に対してアクセスを行う。従って、ボリュームパックの場合であっても、最初に起動させたい記録層を一意に決めることも可能である。
【0190】
次に、図11は、光ディスク100の各層に記録されている層番号及びボリュームパック番号の一例を示す図である。光ディスク100の各層のリードイン領域102には、各層の層種類情報に、層番号及びボリュームパック番号が対応付けて記録されている。本実施の形態では、光ディスク装置1は、各層のリードイン領域102から、層種類情報、層番号及びボリュームパック番号を読み出すことによって、どの記録層が、どの種類の層で、どのようにボリュームパックが指定されているかを判定することができる。
【0191】
例えば、図10に示す光ディスク100の場合、記録層L0のリードイン領域102には、層種類情報「011」、層番号「000」及びボリュームパック番号「000」が記録されており、記録層L4には、層種類情報「001」、層番号「100」及びボリュームパック番号「010」が記録されている。
【0192】
本実施の形態では、層種類情報は、「001」がROM層、「010」がR層、「011」がRE層を示すものとして説明するが、3ビット情報と層の種類とは任意に対応付けることができる。なお、「000」は、層なし、すなわち、記録層が存在しないことを示すものとする。
【0193】
また、本実施の形態では、ボリュームパック番号は、「ボリュームパック♯0」が「000」と、「ボリュームパック♯1」が「001」と、「ボリュームパック♯2」が「010」と、3ビット情報として与えられている。これに限らず、ボリュームパック番号として、全ボリュームパックの区別が可能なビット情報が与えられていればよい。
【0194】
なお、本実施の形態では、層種類情報、層番号及びボリュームパック番号が光ディスク100の各層にそれぞれ記録されており、光ディスク装置1は、各層のリードイン領域102にアクセスすることにより、各層の層種類、層番号及びボリュームパック番号を判定している。これに限らず、例えば実施の形態1と同様、記録エリアA1〜A8(図4(a)参照)に層種類情報が記録され、光ディスク装置1のドライブ側格納部27に記録層−記録エリア対応テーブルT1(図4(b)参照)が格納されている構成であってもよい。
【0195】
この場合、記録エリアA1〜A8のそれぞれは、層種類情報としての3ビット情報を格納できるようになっている。また、管理領域101、または、リードイン領域102の書き換え不可能な領域には、記録エリアA1〜A8と対応付けてボリュームパック番号(3ビット情報)が格納されている。なお、記録エリアA1〜A8のそれぞれに、層種類情報及びボリュームパック番号を示す6ビット情報が格納されてもよい。この場合、例えばRE層「011」で、ボリュームパック番号「001」である場合には、「011001」が格納される。
【0196】
光ディスク装置1は、層種類情報を読み出すことにより、記録層−記録エリア対応テーブルT1を参照して、どの記録層がどの種類の層かを判定し、さらに、ボリュームパック番号を読み出すことで、記録層がどのようにボリュームパック化されているのかを判定することができる。
【0197】
次に、本実施の形態に係る記録エリアB0〜B7の構造(層指定情報の構造)の一例について図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る層指定情報の構造の一例を示す図である。この層指定情報の構造は、層指定情報として層種類及び層番号だけでなく、ボリュームパック番号を用いることを可能としたものである。
【0198】
記録エリアB0〜B2は、後述の記録エリアB5及びB6に記録される情報に従って、光ディスク装置1に挿入されたときに最初に起動する記録層(起動層)の層の種類を指定するための情報(「層種類」)、当該起動層の層番号を指定するための情報(「層番号」)、又は、当該起動層のボリュームパックを指定するための情報(「ボリュームパック番号」)を記録するものである。なお、記録エリアB0〜B2に記録される情報を「ボリューム情報」と表現する場合もある。
【0199】
記録エリアB5およびB6は、上記起動層を指定する際に、層種類を指定するための情報、層番号を指定するための情報およびボリュームパックを指定するための情報の何れを用いるかを示す情報(「ボリューム選択」)を記録するものである。
【0200】
記録エリアB7は、層指定情報がリードイン領域102の特定領域内に記録されているか否かを示す情報(「特定領域内デフォルトボリュームの有無」)を記録するためのものである。例えばリードイン領域102の特定領域内に層指定情報が記録されている場合には、「1」が記録される。
【0201】
例えば、図10に示す光ディスク100において、「ボリュームパック♯1」を指定する場合には、記録エリアB5には「0」、記録エリアB6には「1」が記録されるとともに、記録エリアB0には「1」、記録エリアB1には「0」、記録エリアB2には「0」が記録される。
【0202】
つまり、光ディスク装置1は、光ディスク100から層指定情報を取得すると、光ディスク100のどのボリュームパック内の記録層を起動するのかを決定することができる。なお、光ディスク100に記録されている層指定情報は、ATAPIコマンドに準拠しているため、光ディスク装置1では、当該層指定情報を取得すれば、「ボリューム選択」に従った「ボリューム情報」を読み取ることができる。すなわち、層指定情報が、ATAPIコマンドとして、ドライブユニット2とホストユニット3との間をやり取りされる場合の構造は、上記記録エリアB0〜B7に対応するものである。
【0203】
次に、本実施の形態において、光ディスク100が挿入されてから光ディスク100内の情報が起動されるまでに、ドライブユニット2とホストユニット3との間でやり取りされるコマンドの一例について、図13及び図14を用いて説明する。上記コマンドのやり取りについては、図5に示すタイミングチャート(層指定情報として、「層番号」及び「層種類」と同様に「ボリュームパック番号」を扱うことを前提とする)に従うため、ここではその説明を省略する。
【0204】
図13(a)は、図5に示すS10の処理においてホストユニット3から送信される「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、図13(b)は、ドライブユニット2から返却されるDefault Volume情報(レスポンスデータ)を示す図である。図13に示すビット配置は、あくまで一例であり、適宜変更することが可能である。
【0205】
図13(a)に示す「READ DEFAULT VOLUME」コマンドは、実施の形態1で用いられる「READ DEFAULT VOLUME」コマンド(図6(a)参照)と同じであるが、図13(b)に示すDefault Volume情報は、実施の形態1で用いられるDefault Volume情報とは異なっており、本実施の形態の記録エリアB0〜B7に対応した構造となっている。
【0206】
また、図14は、図5に示すS17の処理においてホストユニット3から送信される「SET DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、この「SET DEFAULT VOLUME」コマンドもまた、実施の形態1で用いられる「SET DEFAULT VOLUME」コマンドとは異なっており、本実施の形態の記録エリアB0〜B7に対応した構造となっている。
【0207】
〔ボリュームパックの割り当て(その2)〕
次に、本実施の形態に係る光ディスク100の別例として、1つのボリュームパック内に異なる層種類が割り当てられている場合について、図15〜図17を用いて説明する。
【0208】
図15は、図10に示す光ディスク100の層構造の変形例を示すものである。同図では、その一例として、4層構造の場合を示しており、再生光入射側から最も遠い記録層である記録層L0がRE層、記録層L1がR層、記録層L2及びL3がROM層である光ディスク100を示している。図15では、「ボリュームパック♯0」が設定された1つのボリュームパック内に、異なる層種類であるRE層及びR層が割り当てられている。
【0209】
また、図16は、図15に示す光ディスク100の各層に記録されている層番号及びボリュームパック番号の一例を示す図である。図11と同様、光ディスク100の各層のリードイン領域102には、各層の層種類情報に、層番号及びボリュームパック番号が対応付けて記録されている。これにより、図15に示す光ディスク100についても、光ディスク装置1は、どの記録層が、どの種類の層で、どのようにボリュームパックが指定されているかを判定することができる。なお、この判定は、上述のように、記録層−記録エリア対応テーブルT1を用いて行われてもよい。
【0210】
このように、図10又は図15に示す光ディスク100に、層指定情報として、起動層のボリュームパックを指定するための情報が記録されていることにより、上述のように、例えば、ユーザが使用したい機能をより早く起動することが可能となる。また、図10及び図15に示す光ディスク100のように、様々な記録層の組合せを有するボリュームパックを設定することできるので、ディスクサプライヤーによる層指定情報の設定の自由度を増すことができる。
【0211】
なお、本実施の形態においては、光ディスク装置1は、層指定情報として設定された1つのボリュームパック内において再生光入射側から最も遠い記録層を起動層として認識するように設定されている。このため、図15に示す光ディスク100が挿入された場合で、層指定情報として「ボリュームパック♯0」が設定されている場合には、光ディスク装置1は、記録層L0(RE層)を起動層として認識することとなり、記録層L1(R層)を起動層として認識できない。
【0212】
当然ながら、層指定情報として設定された1つのボリュームパック内において再生光入射側から最も近い記録層を起動層として認識するように設定されている場合には、記録層L1を起動層として認識することができる。このように、ボリュームパック内のどの記録層を起動層として認識するかを予め設定しておくことにより、光ディスク装置1は、ボリュームパックを認識するだけで、起動層を起動させることができるので、早いアクセスを実現することが可能となる。つまり、ディスクサプライヤー又はユーザにとっては、ディスクサプライヤー又はユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。さらに、層番号により起動層を認識する場合に比べ、ディスクサプライヤー又はユーザが記録層すべての構造を意識することなく、起動層の指定を簡便に行うことが可能となる。
【0213】
このアクセス速度を考慮せず、ボリュームパックと共に起動層まで認識しようとする場合には、例えば図17に示す層指定情報を用いることも可能である。図17は、図15に示す光ディスク100が有する記録エリアB0〜B7の構造(層指定情報の構造)の一例を示すものである。
【0214】
すなわち、図17に示す層指定情報の構造は、図12に示す層指定情報の構造において、「Reserved」が記録されていた記録エリアB3及びB4に、起動層の層種類を指定するための情報(「層種類」)を記録可能なようにしたものである。なお、この記録エリアB3及びB4は、層指定情報としてボリュームパック番号が選択された場合(「ボリューム選択」に「10」が記録されている場合)に記録することができる。
【0215】
〔起動層の決定について〕
本実施の形態において、上記では、光ディスク装置1がボリュームパック内のいずれの記録層(例えば再生光入射側から最も遠い記録層)を起動層として認識するのかが予め決められている場合について説明した。しかし、光ディスク装置1による起動層の決定方法については、これに限らず、光ディスク装置1において、ボリュームパックが指定されれば、ホスト側格納部35に格納されているファイルシステムにより論理的に起動層が選択される構成であってもよい。すなわち、光ディスク装置1は、層指定情報として設定された1つのボリュームパック内においてファイルシステムにより論理的に選択された記録層を起動層として認識してもよい。
【0216】
ファイルシステムによれば、例えば、ROM層が選択された場合には論理アドレスの先頭(それに対応する層番号を光ディスク装置1が認識する)から再生され、RE層が選択された場合には空き論理アドレスの先頭(上記同様、対応する層番号を光ディスク装置1が認識する)から記録される。このファイルシステムの動作を利用すれば、ボリュームパック内のいずれの記録層を起動層として認識するかを予め決めておかなくても、光ディスク装置1による起動層の決定を行うことは可能である。
【0217】
そして、光ディスク装置1は、ファイルシステムを利用して起動層を決定することにより、光ディスク100が有する複数の記録層すべてを把握しておく必要がなく、また、ボリュームパックを認識するだけで起動層を起動させることができるので、早いアクセスを実現することが可能となる。つまり、ディスクサプライヤー又はユーザにとっては、ディスクサプライヤー又はユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。さらに、層番号により起動層を認識する場合に比べ、ディスクサプライヤー又はユーザが記録層すべての構造を意識することなく、起動層の指定を簡便に行うことが可能となる。
【0218】
〔本発明の別表現〕
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0219】
本発明に係る記録再生装置は、複数の層を有する記録媒体を用いてデータを読み書きする記録再生装置であって、上記記録再生装置に上記記録媒体を挿入した際に、最初に起動する層を指定する層指定情報を外部から取得する取得手段と、上記記録媒体挿入時に上記取得手段により取得した起動層が記録再生装置により認識される記録層認識手段と、を備えている構成である。
【0220】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記取得情報とは、層種類を判別する情報であってもよい。
【0221】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記取得情報とは、層番号を判別する情報であってもよい。
【0222】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段とは、ディスク情報が記録されているディスク最内周のバーコード状の管理領域に含まれる層指定情報を用いてもよい。
【0223】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段とは、書換可能な層の特定領域に含まれていてもよい。
【0224】
また、本発明に係る記録再生装置は、複数の層を有する記録媒体を用いてデータを読み書きする記録再生装置であって、上記記録媒体上に記録されている最初に起動可能となる層を指定する層指定情報を書き換える手段と、を備えていてもよい。
【0225】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記層指定情報書換手段は、層種類判別情報もしくは層番号判別情報をさらに有していてもよい。
【0226】
また、本発明に係る記録再生装置は、複数の層を有する記録媒体を用いてデータを読み書きする記録再生装置であって、上記記録再生装置に上記記録媒体を挿入した際に、記録媒体上に最初に起動する層を指定する層指定情報を有していない場合、記録再生装置上のメモリに含まれる層指定情報を用いていてもよい。
【0227】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記記録再生装置上のメモリに含まれる層指定情報は、記録媒体種類別に保有していてもよい。
【0228】
また、本発明に係る記録再生装置の制御方法は、複数の層を有する記録媒体を用いてデータを読み書きする記録再生装置であって、上記記録再生装置に上記記録媒体を挿入した際に、最初に起動する層を指定する層指定情報を外部から取得する取得ステップと、上記記録媒体挿入時に上記取得手段により取得した起動層が記録再生装置により認識される記録層認識ステップと、を含む構成である。
【0229】
また、本発明に係る情報記録媒体は、複数の層を有する記録媒体であって、上記層指定情報を有するディスク最内周のバーコード状の管理領域を含んでいる構成である。
【0230】
さらに、本発明に係る情報記録媒体は、複数の情報記録層を有する情報記録媒体であって、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域、または、記録可能な情報記録層に、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に当該自媒体が挿入されたときに最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報が記録されている構成である。
【0231】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、記録可能な情報記録層に、ユーザの指示に基づく層指定情報を書き込む書き込み手段を備えていることが好ましい。
【0232】
〔補足〕
最後に、光ディスク装置1の各ブロック、特にドライブユニット2のドライブ側制御部20(ディスク装填確認部22、層情報取得部23、起動層認識部24、層情報書込部25および記録再生回路群制御部26)およびホストユニット3のホスト側制御部31(コマンド制御部311、表示制御部312、通信制御部313、再生制御部314および記録制御部315)は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0233】
すなわち、光ディスク装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである光ディスク装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記光ディスク装置1に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0234】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0235】
また、光ディスク装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0236】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0237】
本発明は、ROM層、RE層及びR層が混在した多層構造の光情報記録媒体や該光情報記録媒体に情報を記録・再生するための光情報記録再生装置などに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0238】
1 光ディスク装置(記録再生装置)
23 層情報取得部(取得手段)
24 起動層認識部(認識手段)
25 層情報書込部(書き込み手段)
27 ドライブ側格納部(格納部)
31 ホスト側制御部(書き換え手段)
35 ホスト側格納部(格納部)
100 光ディスク(情報記録媒体)
101 管理領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録特性の異なる情報記録層を複数備える多層情報記録媒体に対して情報の記録及び/又は再生を行う記録再生装置(情報記録再生装置)などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像等の膨大な情報処理のために、情報記録媒体の記録容量の向上が求められている。
【0003】
情報記録媒体の記録容量を向上させる一方法としては、情報記録媒体の情報記録層の多層化が考えられる。例えば、現在のところ、DVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc;登録商標)等において情報記録層を2層まで有する多層情報記録媒体が規格化され、販売されている。
【0004】
また、例えば情報記録層の深さを変えることで、フォーマット(規格)の異なる情報記録層(例えば、DVD規格に対応する情報記録層およびHD DVD規格に対応する情報記録層)を1枚のディスクに収納した多層情報記録媒体も存在する。このような多層情報記録媒体は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
具体的に、特許文献1の記録再生装置は、異なるフォーマットに対応した複数の情報記録層を有する多層情報記録媒体(ハイブリッドディスク)から情報を読み出す際の起動シーケンスを、情報記録層のフォーマットに基づいて変更する構成となっている。この構成では、ハイブリッドディスクに記録されているコンテンツを再生する際に、例えばユーザがデフォルトフォーマットレイヤーを設定可能であるため、異なるフォーマットレイヤーへのアクセスに必要な時間が低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−293592号公報(2008年12月4日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、フォーマットの異なる情報記録層を有する場合に、どのフォーマットに対応した情報記録層を指定するかを決定するものであって、単一フォーマットの情報記録媒体(例えばBD)の起動シーケンスを考慮したものではない。すなわち、特許文献1の技術は、フォーマット指定後の当該フォーマット内の情報記録層のうち、どの情報記録層を最初に起動させるかを選択的に指定することができるものではない。
【0008】
従って、特許文献1の技術では、単一フォーマットの情報記録媒体が記録再生装置に挿入されても、ディスクサプライヤー(製造業者)またはユーザが最初に起動させたい情報記録層にアクセスすることができない可能性があり、所望のアプリケーションを情報記録媒体挿入時に起動させることできない虞があった。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、その目的は、情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する層を指定することができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能な情報記録媒体、記録再生装置、記録再生装置の制御方法、記録再生装置の制御プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る情報記録媒体は、上記の課題を解決するために、複数の情報記録層を有する情報記録媒体であって、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報が記録されていることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、複数の情報記録層を有する情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、いずれの情報記録層を最初に起動する情報記録層(起動層)とするかという情報を予め情報記録媒体に記録しておくことが可能となる。また、ディスクサプライヤーが情報記録媒体ごとに層指定情報を記録することができるので、情報記録媒体を記録再生装置に挿入したときに、ディスクサプライヤーの意図する情報記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ディスクサプライヤーにとってはディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0012】
さらに、例えばユーザの指示に応じた層指定情報が記録されている場合には、ユーザが最初に起動させることを希望する情報記録層を指定させることができる。すなわち、この場合には、ユーザの意図する情報記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ユーザにとってはユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0013】
これにより、情報記録媒体は、記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定させることができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能となる。
【0014】
それゆえ、本発明に係る情報記録媒体は、記録再生装置への挿入時に、少なくともディスクサプライヤーの意図する情報記録層を起動させることができる。つまり、少なくともディスクサプライヤーにとっては、少なくともディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることができる。
【0015】
なお、特許文献1の技術では、ユーザによってデフォルトフォーマットレイヤーの設定が切替えられているが、デフォルトフォーマットレイヤーを指定するための情報が多層情報記録媒体に記録されている構成については一切開示されていない。すなわち、特許文献1の技術では、本発明のように情報記録媒体に層指定情報が記録されていないため、情報記録媒体の挿入時に、この層指定情報を用いて記録再生装置に起動層を認識させることはできない。
【0016】
さらに、本発明に係る情報記録媒体は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域、または、記録可能な情報記録層に、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に当該自媒体が挿入されたときに最初に起動する情報記録層である起動層を指定するための層指定情報が記録されていることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、複数の情報記録層を有する情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、いずれの情報記録層を起動層とするかという情報を、管理領域または記録可能な情報記録層に予め情報記録媒体に記録しておくことが可能となる。また、ディスクサプライヤーが情報記録媒体ごとに層指定情報を記録することができるので、情報記録媒体を記録再生装置に挿入したときに、ディスクサプライヤーの意図する情報記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ディスクサプライヤーにとってはディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0018】
さらに、例えばユーザの指示に応じた層指定情報が記録されている場合には、ユーザが最初に起動させることを希望する情報記録層を指定させることができる。すなわち、この場合には、ユーザの意図する情報記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ユーザにとってはユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0019】
これにより、情報記録媒体は、記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定させることができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能となる。
【0020】
また、管理領域には上記識別情報が記録されているので、記録再生装置は、通常、管理領域の情報を最初に読み取りにいくように設計されている。このため、管理領域に層指定情報が予め記録されている場合には、記録再生装置は、挿入された情報記録媒体の管理領域に記録された層指定情報を最初に読み出すことができる。すなわち、ディスクサプライヤーが起動させたい情報記録層を最初に起動させることができる。
【0021】
また、例えば、挿入以前にユーザの指示に応じて層指定情報が情報記録媒体に書き込まれた場合、その層指定情報は記録可能な情報記録層に記録されていることになる。従って、記録可能な情報記録層に層指定情報が記録されている場合には、記録再生装置は、記録可能な情報記録層から読み出した層指定情報が示す情報記録層を起動させることができるので、前回の情報記録媒体の挿入時にユーザが希望した情報記録層を優先的に起動させることができる。
【0022】
なお、「記録可能な情報記録層」とは、書き換え可能な情報記録層(RE層)および追記録可能な情報記録層(R層)を指す。
【0023】
本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、上記起動層のボリュームパックを指定するための情報であることが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、ボリュームパックを指定するための情報を用いて起動層を認識することができる。つまり、複数の論理的な管理単位であるボリュームパックを有する情報記録媒体において、ボリュームパックを指定するための情報を用いて1つのボリュームパックを指定することにより、記録再生装置が制御可能な管理単位である情報記録層群(1つのボリュームパックが1層の情報記録層からなる場合はその情報記録層に特定される)を指定することが可能となる。このため、例えば、ユーザが使用したい機能をより早く起動することが可能となる。
【0025】
さらに、本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、上記起動層の層種類を指定するための情報であることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、記録再生装置は、層種類を用いて起動層を認識することができる。すなわち、層種類に基づく起動層へのアクセスを行うことが可能となる。例えば、再生専用の情報記録層(ROM層)が1層、書き換え可能な情報記録層(RE層)が1層の2層構造を有する情報記録媒体の場合には、確実に(一意的に)起動層を指定することができる。
【0027】
ここで、情報記録媒体が同じ種類の情報記録層(例えばROM層が2層、RE層が2層の4層構造)の場合に、記録再生装置は、ROM層を示す層指定情報であれば、再生光入射側から最も遠い情報記録層に近いROM層に対してアクセスを行い、RE層を示す層指定情報であれば、当該情報記録層に近いRE層で、かつ、情報が記録可能な領域に対してアクセスを行う。従って、層種類の場合であっても、最初に起動させたい情報記録層を一意に決めることも可能である。
【0028】
さらに、本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、上記起動層の層番号を指定するための情報であることが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、例えば上記のような4層構造を有する情報記録媒体の場合(すなわち同種類の情報記録層を複数有する場合)に、より確実に(一意的に)、最初に起動させる情報記録層を指定することができる。特に、それぞれの情報記録層で異なるアプリケーションを有している場合に、いずれのアプリケーションを最初に起動させるかを確実に指定することが可能となる。
【0030】
さらに、本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域に記録されていることが好ましい。
【0031】
上記構成によれば、記録再生装置は、管理領域に予め記録されている層指定情報を読み出すことができるので、ディスクサプライヤーが起動させたい情報記録層を最初に起動させることができる。
【0032】
さらに、本発明に係る情報記録媒体では、上記層指定情報は、記録可能な情報記録層に記録されていることが好ましい。
【0033】
上記構成によれば、記録再生装置は、例えば、以前にユーザの指示に応じて書き込んだ層指定情報を情報記録媒体から取得した場合には、その層指定情報が示す情報記録層を起動させることができるので、前回の情報記録媒体の挿入時にユーザが希望した情報記録層を優先的に起動させることができる。
【0034】
本発明に係る記録再生装置は、上記の課題を解決するために、複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置であって、上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得手段と、上記取得手段が取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識手段と、を備えることを特徴としている。
【0035】
また、本発明に係る記録再生装置の制御方法は、上記の課題を解決するために、複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置の制御方法であって、上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得ステップと、上記取得ステップにて取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識ステップと、を含むことを特徴としている。
【0036】
上記構成によれば、記録再生装置に情報記録媒体が挿入されたときに、取得手段(取得ステップ)が層指定情報を取得し、認識手段(認識ステップ)が、当該取得した層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する。
【0037】
これにより、記録再生装置(その制御方法)は、情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定することができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能となる。
【0038】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域から上記層指定情報を取得することが好ましい。
【0039】
上記構成によれば、管理領域に予め記録されている層指定情報を読み出すことができるので、ディスクサプライヤーが起動させたい情報記録層を最初に起動させることができる。
【0040】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段は、記録可能な情報記録層から上記層指定情報を取得することが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、例えば、以前にユーザの指示に応じて書き込んだ層指定情報を情報記録媒体から取得した場合には、その層指定情報が示す情報記録層を起動させることができるので、前回の情報記録媒体の挿入時にユーザが希望した情報記録層を優先的に起動させることができる。
【0042】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、記録可能な情報記録層に、ユーザの指示に基づき設定された層指定情報を書き込む書き込み手段を備えることが好ましい。
【0043】
上記構成によれば、書き込み手段が、例えばユーザの指示に応じて層指定情報を書き込むのであれば、ユーザが最初に起動させることを希望する情報記録層を指定することができる。すなわち、この場合には、ユーザの意図に応じて情報記録媒体に記録されている層指定情報を変更することが可能となる。
【0044】
また、例えば、情報記録媒体に予め層指定情報が記録されていない場合であっても、次の情報記録媒体の挿入時には、記録再生装置が指定した情報記録層からの起動が可能となる。
【0045】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記書き込み手段が書き込む層指定情報は、上記起動層のボリュームパックを指定するための情報、上記起動層の層種類を指定するための情報、または、上記起動層の層番号を指定するための情報であることが好ましい。
【0046】
上記構成によれば、ボリュームパックを指定するための情報を用いて起動層を認識することができる。つまり、複数の論理的な管理単位であるボリュームパックを有する情報記録層において、ボリュームパックを指定するための情報を用いて1つのボリュームパックを指定することにより、記録再生装置が制御可能な管理単位である情報記録層群を指定することが可能となる。このため、例えば、ユーザが使用したい機能をより早く起動することが可能となる。
【0047】
また、記録再生装置は、層種類を用いて起動層を認識することができる。すなわち、層種類に基づく起動層へのアクセスを行うことが可能となる。例えば、再生専用の情報記録層(ROM層)が1層、書き換え可能な情報記録層(RE層)が1層の2層構造を有する情報記録媒体の場合には、確実に(一意的に)起動層を指定することができる。
【0048】
ここで、情報記録媒体が同じ種類の情報記録層(例えばROM層が2層、RE層が2層の4層構造)の場合に、記録再生装置は、ROM層を示す層指定情報であれば、再生光入射側から最も遠い情報記録層に近いROM層に対してアクセスを行い、RE層を示す層指定情報であれば、当該情報記録層に近いRE層で、かつ、情報が記録可能な領域に対してアクセスを行う。従って、層種類の場合であっても、最初に起動させたい情報記録層を一意に決めることも可能である。
【0049】
また、層番号を用いて起動層へのアクセスを行う場合には、上記のような4層構造を有する情報記録媒体に対しても、より確実に(一意的に)、最初に起動させる情報記録層を指定することができる。特に、それぞれの情報記録層で異なるアプリケーションを有している場合に、いずれのアプリケーションを最初に起動させるかを確実に指定することが可能となる。
【0050】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段は、自装置の格納部から上記層指定情報を取得することが好ましい。
【0051】
上記構成によれば、例えば、情報記録媒体に層指定情報が予め記録されていない場合であっても、自装置の格納部に格納された層指定情報を用いて起動層を指定することができる。また、自装置の格納部に格納された層指定情報を情報記録媒体に記録しておけば、次の情報記録媒体の挿入時に、最初に起動させる情報記録層を指定することができる。
【0052】
さらに、本発明に係る記録再生装置では、上記格納部は、上記層指定情報を情報記録媒体ごとに対応付けて格納していることが好ましい。
【0053】
上記構成によれば、情報記録媒体が挿入されたときのディスク情報と、層指定情報と、を対応付けて管理することにより、例えば現在挿入されている情報記録媒体と同じ情報記録媒体が次回挿入されたときに、ディスク情報を読み出すと、格納部に格納された層指定情報が示す情報記録層を起動させることが可能となる。なお、記録再生装置において管理されるディスク情報は、固有の情報記録媒体ごとであっても良いし、同種の総種類から構成される情報記録媒体ごとであっても良い。
【0054】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、上記格納部に格納されている層指定情報を書き換える書き換え手段を備えることが好ましい。
【0055】
上記構成によれば、例えば、ユーザの指示に応じて格納部に格納された層指定情報を書き換える場合には、当該層指定情報をユーザ所望の層指定情報が示す情報記録層を起動層として指定することができる。このため、記録再生装置は、次に情報記録媒体が挿入されたときには、当該情報記録媒体から層指定情報を取得しなくても(取得できない場合であっても)、書き換えられた層指定情報を参照することにより、ユーザが希望する情報記録層を起動層として指定することが可能となる。
【0056】
なお、上記記録再生装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記記録再生装置をコンピュータにて実現させる上記記録再生装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0057】
本発明に係る情報記録媒体は、以上のように、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報が記録されている構成である。
【0058】
それゆえ、記録再生装置への挿入時に、少なくともディスクサプライヤーの意図する情報記録層を最初に起動させることができる。
【0059】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、以上のように、上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得手段と、上記取得手段が取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識手段と、を備える構成である。
【0060】
また、本発明に係る記録再生装置の制御方法は、以上のように、上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得ステップと、上記取得ステップにて取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識ステップと、を含む方法である。
【0061】
それゆえ、情報記録媒体が記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定することができるので、情報記録媒体の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する情報記録層を起動させることが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の全体の概要構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る光ディスクの概略構成を示す図であり、(a)は、再生光入射側から見たときの光ディスクを示す図であり、(b)は、光ディスクの各記録層の構成例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置または光ディスクに格納された各種情報を示すものであり、(a)は、記録エリアに記録されている層種類情報の一例であり、(b)は、ドライブ側格納部に格納された記録層−記録エリア対応テーブルの一例であり、(c)は、層指定情報(Default Volume指定情報)の構造の一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の処理の流れを示す一例であって、光ディスクが挿入された際の起動処理時における、ドライブユニットとホストユニットとの間でのコマンドのやり取りを示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられる「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示すものであり、(a)は、ホストユニットから送信される「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、(b)は、ドライブユニットから返却されるDefault Volume情報(レスポンスデータ)を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられる「READ DISC STRUCTURE」コマンドにより返却されるNew Hybrid Disc Information情報の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられる「SET DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示すものである。
【図9】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の一実施形態に係る光ディスクの層構造の一例を示すものである。
【図11】本発明の他の一実施形態に係る光ディスクの各層に記録されている層番号及びボリュームパック番号の一例を示す図である。
【図12】本発明の他の一実施形態に係る光ディスクにおける層指定情報の構造の一例を示す図である。
【図13】本発明の他の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられるコマンドの一例を示すものであり、(a)は、図5に示すS10の処理においてホストユニットから送信される「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、(b)は、ドライブユニットから返却されるDefault Volume情報(レスポンスデータ)を示す図である。
【図14】本発明の他の一実施形態に係る光ディスク装置において用いられる、図5に示すS17の処理においてホストユニットから送信される「SET DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示す図である。
【図15】本発明の他の一実施形態に係る光ディスクの変形例を示すものであり、当該光ディスクの層構造の一例を示すものである。
【図16】図15に示す光ディスクの各層に記録されている層番号及びボリュームパック番号の一例を示す図である。
【図17】図15に示す光ディスクが有する記録エリアの構造(層指定情報の構造)の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の便宜上、図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
なお、以下の説明において、光ディスク100(情報記録媒体)が有する層として、書き換え可能な記録層をRE(RE-writable)層と呼び、再生専用の記録層をROM(Read Only Memory)層と呼び、追記録可能な記録層をR(Recordable)層と呼ぶ。
【0065】
また、情報記録媒体(記憶媒体)における論理的な管理上の単位を「ボリューム」という。単層からなる光ディスクの場合、一般的には1つのボリュームとして管理される。また、2層からなる光ディスクについても、従来の2層DVDのように2層のデータを一元管理する場合は1つのボリュームとして管理される。2層からなる光ディスクにおいて、各層のデータを独立して管理する場合には、2つのボリュームとなる。
【0066】
また、物理的な観点では「記録層(情報記録層)」を「レイヤー」と表現することもある。情報記録媒体には、「記録層」すなわち「レイヤー」が複数存在してもよい。さらに、RE層およびR層を総称して「記録可能な記録層」と表現することもある。なお、「記録層」を「ボリューム(Volume)」と表現してもよい。
【0067】
〔光ディスク装置1の概略構成〕
まず、図2に基づき、本発明の一実施形態である光ディスク装置(記録再生装置)1の全体の概略構成について説明する。図2は、光ディスク装置1の全体の概要構成を示すブロック図である。
【0068】
図示のように、光ディスク装置1は、DVD、BDなどの光ディスク100に対して情報の記録または再生を行うものであり、ドライブユニット2およびホストユニット3を備えている。
【0069】
ドライブユニット2は、光ディスク100に記録されている情報の読み出し、または、光ディスク100に情報を記録するものである。また、ホストユニット3は、主として、ドライブユニット2が備えるATAPI I/F21を介して、例えば光ディスク100に対する再生制御および記録制御を行うための指示をドライブユニット2に与えるものである。
【0070】
ドライブユニット2は、主として、ディスク装填認識部6、光ピックアップ12、ドライブ側制御部20、ATAPI I/F21およびドライブ側格納部27(格納部)を備えている。また、記録再生回路群10は、主として、ピックアップ駆動回路13、レーザ駆動回路14および再生回路15を備えている。
【0071】
ドライブユニット2では、回転する光ディスク100の図示しないトラックへ、ドライブ側制御部20がピックアップ駆動回路13を介して光ピックアップ12を移動させるようになっている。
【0072】
光ピックアップ12には、光ヘッド11が設けられている。そして、ドライブ側制御部20がレーザ駆動回路14を介して記録条件を設定し、光ヘッド11から記録用のレーザビームを光ディスク100の記録部位に照射することによって、光ディスク100のトラックに情報が記録されるようになっている。
【0073】
また、光ディスク装置1は、ドライブ側制御部20がピックアップ駆動回路13を介して光ピックアップ12を光ディスク100の記録部位へ移動させる。そして、ドライブ側制御部20がレーザ駆動回路14を介して再生条件を設定し、光ヘッド11から再生用のレーザビームを光ディスク100に照射するようになっている。
【0074】
光ヘッド11が検出した反射光は、再生回路15にて再生信号に変換され、ドライブ側制御部20に入力される。これにより、光ディスク装置1は、光ディスク100のトラック(複数のセクタからなる)に記録された情報を再生するようになっている。
【0075】
また、光ディスク装置1には、ディスク装填認識部6が設けられている。ディスク装填認識部6は、光ディスク100の装填を検出するためのものであり、例えば、各種センサが例示できるが、光ディスク100の装填を検出できるものであれば、どのようなセンサを用いてもよい。また、ディスク装填認識部6は、検出した結果を検出信号としてドライブ側制御部20へ出力するようになっている。
【0076】
また、ATAPI I/F21は、ATAPI(Attachment Packet Interface)に準拠した光ディスク100に記録されたコンテンツを再生するためのものであり、ドライブユニット2とホストユニット3との間のデータ転送(情報のやり取り)に用いられる。以下では、ATAPI I/F21は、ドライブユニット2が備えているものとして説明するが、これに限らず、ドライブユニット2およびホストユニット3とは独立して光ディスク装置1に備えられていてもよい。
【0077】
なお、ドライブ側制御部20の具体的な構成およびドライブ側格納部27については、後述する。
【0078】
〔光ディスク装置1のより詳細な構成〕
次に、図1に基づき、光ディスク装置1の要部構成、すなわちドライブユニット2およびホストユニット3の具体的な構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態である光ディスク装置1の要部構成を示すブロック図である。なお、ディスク装填認識部6について上述したので、ここではその説明を省略する。
【0079】
図示のように、ドライブユニット2のドライブ側制御部20は、主として、ディスク装填確認部22、層情報取得部23(取得手段)、起動層認識部24(認識手段)、層情報書込部25(書き込み手段)および記録再生回路群制御部26を備え、例えば制御プログラムを実行することにより、ドライブユニット2を構成する部材を制御するものである。ドライブ側制御部20は、ドライブユニット2に備えられたドライブ側格納部27に格納されているプログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、光ディスク100に対するフォーカス制御、トラッキング制御などの各種処理を実行する。
【0080】
ディスク装填確認部22は、ディスク装填認識部6から検出信号を受信しているか否かにより、光ディスクが挿入されたか否かを確認するものである。
【0081】
層情報取得部23は、主に、光ディスクの管理領域またはリードイン領域から各種情報を取得するものである。例えば、層情報取得部23は、管理領域からディスク情報を取得することにより、光ディスクがハイブリッドディスクであるか否かを確認するものである。これにより、光ディスク装置1が、ハイブリッドディスクである光ディスク100が装填されたか否かを確認することができる。
【0082】
また、層情報取得部23は、光ディスク100が挿入されたときに、最初に起動する記録層を指定するための層指定情報を取得するものである。
【0083】
例えば、層情報取得部23は、光ディスクがハイブリッドディスクであった場合に、リードイン領域102の特定領域(書き込み可能な領域)内に層指定情報が存在するか否かの確認を行うものである。言い換えれば、層情報取得部23は、書き換え可能な記録層(RE層)から層指定情報を取得するものといえる。これにより、以前にユーザの指示に応じて書き込まれた層指定情報を取得した場合には、その層指定情報が示す記録層を起動させることができるので、前回挿入されたときにユーザが希望した記録層を優先的に起動させることができる。
【0084】
また、層情報取得部23は、管理領域101に記録されている情報(例えば層指定情報)を読み出すものである。言い換えれば、層情報取得部23は、光ディスク100の構造を示す識別情報が記録されている管理領域101から層指定情報を取得するものといえる。これにより、管理領域101に予め記録されている層指定情報を読み出すことができるので、ディスクサプライヤーが起動させたい記録層を最初に起動させることができる。
【0085】
さらに、層情報取得部23は、光ディスク装置1のホスト側格納部35(またはドライブ側格納部27)から層指定情報を取得するものであってもよい。例えば、層情報取得部23は、光ディスク100の管理領域101に層指定情報が予め設定されていないことが確認できた場合に、ホスト側制御部31がホスト側格納部35に予め格納しておいた層指定情報を読み出すことによって、当該層指定情報を取得する。層情報取得部23が取得した層指定情報を、層情報書込部25が、光ディスク100の特定領域に書き込むことにより、次に光ディスク100が挿入されたときに、最初に起動させる記録層を指定することができる。
【0086】
起動層認識部24は、層情報取得部23が取得した層指定情報が示す記録層を、最初に起動させる起動層として認識するものである。これにより、光ディスク装置1は、情報記録媒体の挿入時に、最初に起動する記録層を指定することができるので、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する記録層を起動させることが可能となる。
【0087】
層情報書込部25は、層情報取得部23がホストユニット3から送信された層指定情報を取得したときに、当該層指定情報を、上記特定領域に書き込む(または書き換える)ものである。言い換えれば、層情報書込部25は、記録可能な記録層(RE層またはR層)に、ユーザの指示に基づき設定された層指定情報を書き込むものであるといえる。これにより、層情報書込部25が例えばユーザの指示に応じて層指定情報を書き込むのであれば、ユーザが最初に起動させることを希望する記録層を指定することができる。また、上記のように、光ディスク100に予め層指定情報が記録されていない場合であっても、次の挿入時には、光ディスク装置1が指定した記録層からの起動が可能となる。
【0088】
なお、層情報書込部25は、書き換え可能な記録層(RE層)に記録されている層指定情報を書き換えるものであるともいえる。すなわち、層情報書込部25は、光ディスク100に層指定情報が記録されていない場合には、ユーザの指示に基づくあるいは予めドライブ側格納部27に格納された層指定情報を書き込む。一方、層情報書込部25は、RE層(特定領域)に既に層指定情報が書き込まれている場合には、その層指定情報を、ユーザの指示に基づくあるいは予めドライブ側格納部27に格納された層指定情報に書き換える。
【0089】
記録再生回路群制御部26は、層情報取得部23、起動層認識部24および層情報書込部25の指示により、記録再生回路群10を駆動させるものである。
【0090】
また、ドライブ側格納部27は、ドライブ側制御部20が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。ドライブ側格納部27は、例えばROM(Read Only Memory)フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。なお、上述した一次記憶部は、RAMなどの揮発性の記憶装置によって構成されているが、本実施形態では、ドライブ側格納部27が一次記憶部の機能も備えているものとして説明する場合もある。ドライブ側格納部27は、例えば記録層−記録エリア対応テーブルT1や層指定情報などを格納している。
【0091】
また、ホストユニット3は、主として、ホスト側制御部31、操作部32、表示部33、送受信部34およびホスト側格納部35(格納部)を備えている。
【0092】
ホスト側制御部31は、主として、コマンド制御部311、表示制御部312、通信制御部313、再生制御部314および記録制御部315を備え、例えば制御プログラムを実行することにより、ホストユニット3を構成する部材を制御したり、ATAPI I/F21を介して、ドライブユニット2に指示を与えるものである。ホスト側制御部31は、ホストユニット3に備えられたホスト側格納部35に格納されているプログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、操作部32へのユーザ操作に対応した処理、表示部33への表示に関する処理、送受信部34がネットワークと情報のやり取りを行う際の処理などの各種処理を実行する。
【0093】
コマンド制御部311は、ATAPIコマンドを発行して、ドライブユニット2の各部への指示を行うと共に、ドライブユニット2から返却されたATAPIコマンドを解析して、次の処理を、ドライブユニット2またはホストユニット3の各部に指示するものである。
【0094】
表示制御部312は、表示部33を制御するものであり、例えば光ディスク100から読み出した層指定情報が最初に起動を希望する記録層を示すものであるかを、ユーザに確認させるための画像を作成するものである。
【0095】
通信制御部313は、送受信部34を介して、外部のネットワークと通信を行うものである。通信制御部313は、例えば光ディスク100のROM層に記録されたアプリケーションのバージョンアップ情報を、送受信部34を介してネットワーク上から取得するものである。
【0096】
再生制御部314は、光ディスク100に記録された情報を読み出すことにより、当該情報の再生を制御するものである。このとき、再生制御部314は、コマンド制御部311に指示を与えることにより、情報再生時に必要なATAPIコマンドを発行させ、ドライブユニット2を制御する。
【0097】
記録制御部315は、光ディスク100のRE層(またはR層)に情報を記録するために、主に、コマンド制御部311を制御するものである。例えば、コマンド制御部311が層指定情報またはバージョンアップ情報を光ディスク100に記録するときに、当該コマンド制御部311を制御するものである。以下では、コマンド制御部311が独自に層指定情報またはバージョンアップ情報を光ディスク100に記録させるためのATAPIコマンドを発行するものとして説明する。
【0098】
なお、ホスト側制御部31(書き換え手段)は、光ディスク装置1のドライブ側格納部27に格納されている層指定情報を書き換える構成であってもよい。ホスト側制御部31は、光ディスク100から読み取られた層指定情報、または、ドライブ側格納部27に予め格納されている層指定情報を、例えばユーザの指示に応じて書き換える場合には、当該層指定情報をユーザ所望の層指定情報に書き換えることができる。従って、光ディスク装置1は、次に光ディスク100が挿入されたときには、光ディスク100から層指定情報を取得しなくても(取得できない場合であっても)、書き換えられた層指定情報を参照することにより、ユーザが希望する記録層を起動層として指定することが可能となる。
【0099】
また、操作部32は、ユーザが、光ディスク装置1に各種の操作命令を入力するためのものであり、例えば、操作ボタンとそのインターフェースなどが挙げられる。
【0100】
表示部33は、表示制御部312に制御されることにより、例えば挿入された光ディスク100の各記録層のどの層を起動させるかをユーザが選択できるような画像を表示するなど、光ディスク装置1の制御に必要な情報を表示するものである。表示部33は、例えば液晶パネルにより構成されているが、これに限らず、有機EL(Electro Luminescence)パネルなどが用いられていてもよい。
【0101】
送受信部34は、通信制御部313に制御されることにより、外部のネットワークから取得した情報を通信制御部313に送信するものである。送受信部34は、例えば外部装置との通信を確立するための通信媒体として、赤外線通信、ZigBee(登録商標)、UWB(ultra wide band)、Bluetooth(登録商標)、LAN(local area network)、Wibree等が用いることが可能な物理媒体である。
【0102】
ホスト側格納部35は、ホスト側制御部31が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。ホスト側格納部35は、例えばROM(Read Only Memory)フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。なお、上述した一次記憶部は、RAMなどの揮発性の記憶装置によって構成されているが、本実施形態では、ホスト側格納部35が一次記憶部の機能も備えているものとして説明する場合もある。ホスト側格納部35は、例えば層種類情報や層指定情報などを格納している。
【0103】
なお、ホスト側格納部35(またはドライブ側格納部27)は、層指定情報を光ディスク100ごとに対応付けて格納していてもよい。この場合、光ディスク100が挿入されたときのディスク情報と、層指定情報と、を対応付けて管理することにより、例えば次に同じ光ディスク100が挿入されたときに、ディスク情報を読み出した時点で、ホスト側格納部35に格納された層指定情報が示す記録層を起動させることが可能となる。光ディスク装置1をこのような処理を行うことが可能な設定にしておく場合には、光ディスク100が挿入されてからの起動処理時間を短縮することが可能となる。
【0104】
〔光ディスク100の概略構成〕
次に、図3に基づき、本発明の一実施形態である光ディスク100の概略構成について説明する。図3は、本発明の一実施形態である光ディスク100の概略構成を示す図であり、図3(a)は、再生光入射側から見たときの光ディスク100を示す図であり、図3(b)は、光ディスク100の各記録層の構成例を示す図である。
【0105】
まず、図3(a)に示すように、光ディスク100は、その内周側に、管理領域101およびリードイン領域102を備えている。
【0106】
管理領域101は、光ディスク100の最内周で、かつ、再生光入射側から最も遠い記録層(RE層)に設けられた領域であり、トラッキング制御が不要な領域またはフォーカス制御のみでアクセス可能なバーコード状の記録領域(管理領域記録領域)である。光ディスク装置1は、光ディスク100が挿入されると、まず管理領域101の情報を読み取りにいくように設計されている。また、管理領域101は、製造時にのみ情報の書き込みを行うことが可能な領域(すなわち書き換え不可能な領域)である。管理領域101は、本実施形態では、BCA(Burst Cutting Area)を指す。
【0107】
管理領域101には、主として、光情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録される。識別情報の具体例としては、光ディスク100の記録層のタイプ(再生専用型、追記型、書き換え型)、光ディスク100のサイズ、光ディスク100のバージョン(速度等に関連)、サーボの極性、記録マークの極性および光ディスク100固有の番号などが挙げられるが、管理領域101における各識別情報の記録順序(又は配置方法)は、任意であってよい。なお、これらの記録順序は、通常規格などによって決められている。
【0108】
リードイン領域102は、光ディスク100において管理領域101の外周側に、記録層ごとに設けられた領域であり、光ディスク装置1が各層に対する処理を行う際に、最初に再生光が照射される(最初に情報が読み出される領域)記録領域である。また、リードイン領域102には、製造時にのみ情報の書き込みを行うことが可能な領域(すなわち書き換え不可能な領域)と、光ディスク装置1に挿入された後に情報の書き換えを行うことが可能な領域とが設けられている。リードイン領域102には、例えば光ディスク100への記録・再生の標準条件、各層に対する光ディスク装置1のアクセスの許可不許可(アクセス制限)を示す情報、製造時の欠陥および使用中にできた欠陥の位置を示す情報などが記録されている。なお、この欠陥の位置を示す情報は、リードイン領域102およびリードアウト領域104内の欠陥管理領域に記録される。
【0109】
また、管理領域101、または、リードイン領域102の書き換え不可能な領域には記録エリアA1〜A8(図4(a)を参照)が設けられており、当該記録エリアのそれぞれに層種類情報が記録されている。管理領域101およびリードイン領域102は、ディスクの最内周に設けられているので、当該領域に層種類情報を記録しておけば、光ディスク装置1が当該層種類情報を簡単に、かつ、一括して取得することを可能にする。
【0110】
さらに、管理領域101、または、リードイン領域102の書き換え不可能な領域には記録エリアB0〜B7(図4(c)を参照)が設けられており、当該記録エリアには、光ディスク装置1に光ディスク100が挿入されたときに最初に起動する記録層を指定するための層指定情報が記録されている。すなわち、管理領域101、および、リードイン領域102の書き換え不可能な領域の何れの領域に、層指定情報が記録されていてもよい。なお、記録エリアB0〜B7は、管理領域101及びリードイン領域102の両方に設けられていてもよい。
【0111】
次に、図3(b)は、再生光入射側から最も遠い記録層から記録層L0、L1、・・・と称する場合、記録層L0がRE層、記録層L1がROM層である場合の光ディスク100の構成を示している。図示のように、記録層L0(RE層)には、管理領域101、リードイン領域102、ユーザデータ領域103およびリードアウト領域104が設けられている。なお、管理領域101およびリードイン領域102については上述したので、ここではその説明を省略する。
【0112】
ユーザデータ領域103は、OS(Operating System)などのアプリケーションやコンテンツなど、様々な情報が記録されている(または記録可能な)領域である。例えばROM層のユーザデータ領域103には、ディスクサプライヤーが用意したアプリケーションやコンテンツなどが予め記録されており、RE層のユーザデータ領域103には、ユーザが録画したコンテンツや、アプリケーションのバージョンアップ情報など、光ディスク装置1により記録される情報が記録される。
【0113】
リードアウト領域104は、通常、光ディスク100の各層の最外周側に設けられており、前述した欠陥の位置を示す情報などが記録されている。
【0114】
なお、図3(b)では、記録層L0およびL1だけを図示しているが、再生光入射側にさらに記録層を設けた構成であってもよい。本実施形態では、光ディスク100は、層種類情報が記録される記録エリアA1〜A8が用意されているため、最大8層の記録層を有していてもよい。
【0115】
以上より、光ディスク100は、自媒体に対して情報の記録または再生を行う光ディスク装置1に挿入されたときに、最初に起動する記録層を指定するための層指定情報が記録されている。また、光ディスク100は、光ディスク100の構造を示す識別情報が記録されている管理領域101、または、書き換え可能な記録層(RE層)に、光ディスク装置1に光ディスク100が挿入されたときに最初に起動する記録層を指定するための層指定情報が記録されていてもよい。
【0116】
これにより、複数の記録層を有する光ディスク100が光ディスク装置1に挿入されたときに、いずれの記録層を起動層とするかという情報を予め光ディスク100に記録しておくことが可能となる。また、ディスクサプライヤーが光ディスク100ごとに層指定情報を記録することができるので、光ディスク100を挿入したときに、ディスクサプライヤーの意図する記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ディスクサプライヤーにとってはディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0117】
さらに、例えばユーザの指示に応じた層指定情報が記録されている場合には、ユーザが最初に起動させることを希望する記録層を指定させることができる。すなわち、この場合には、ユーザの意図する記録層を最初に起動させることが可能となる。つまり、ユーザにとってはユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。
【0118】
つまり、光ディスク100は、光ディスク装置1への挿入時に、少なくともディスクサプライヤーの意図する記録層を最初に起動させることができる。つまり、少なくともディスクサプライヤーにとっては、少なくともディスクサプライヤー所望の機能をより早く動作させることができる。
【0119】
〔層種類情報および層指定情報について〕
次に、図4(a)〜(c)に基づき、光ディスク100に記録されている層種類情報および層指定情報と、光ディスク装置1に記録されている記録層−記録エリア対応テーブルT1とについて説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置または光ディスクに格納された各種情報を示すものである。なお、ここでは、光ディスク100の記録層が、記録層L0〜L7の8層である場合について説明する。
【0120】
図4(a)は、記録エリアA1〜A8に記録されている層種類情報の一例である。本実施形態では、層種類情報は、「01」がROM層、「10」がRE層、「11」がR層を示すものとして説明するが、2ビット情報と層の種類とは任意に対応付けることができる。なお、「00」は、層なし、すなわち、記録層が存在しないことを示すものとする。
【0121】
図4(a)において、記録エリアA1が「10」となっているのは、記録エリアA1に対応する記録層の種類が、RE層であることを示している。同様に、記録エリアA2〜A4が「01」となっているのは、記録エリアA2〜A4に対応する記録層の種類が、ROM層であることを示している。さらに、記録エリアA5〜A8が「00」となっているのは、記録エリアA5〜A8に対応する記録層は存在していないことを示している。
【0122】
つまり、光ディスク装置1は、記録エリアA1〜A8にアクセスして層種類情報を読み取ることにより、図4(a)に示す光ディスク100の記録層の層数が4であることがわかる。
【0123】
次に、図4(b)は、ドライブ側格納部27に格納された記録層−記録エリア対応テーブルT1の一例である。
【0124】
図4(b)において、「記録層−例1」では、記録エリアA1〜A8のそれぞれが、同順で記録層L0〜L7に対応していることを示している。また、「記録層−例2」では、記録エリアA1〜A8のそれぞれが、逆順で記録層L7〜L0に対応していることを示している。さらに、「記録層−例3」では、記録エリアA1〜A8のぞれぞれと記録層L7〜L0のそれぞれとの対応関係がランダムである場合を示している。
【0125】
つまり、光ディスク装置1は、光ディスク100から層種類情報を取得したときに、記録層−記録エリア対応テーブルT1を参照することにより、どの記録層がどの種類の層か(例えばROM層かRE層かなど)を判定することができる。
【0126】
次に、図4(c)は、層指定情報(Default Volume指定情報)の構造の一例を示す図である。層指定情報が光ディスク100に記録されている場合、記録エリアA1〜A8と異なる領域(管理領域101またはリードイン領域102)に、記録エリアB0〜B7が設けられている。記録エリアB0〜B7には1ビット情報が記録される。
【0127】
記録エリアB0およびB1は、光ディスク装置1に挿入されたときに最初に起動する記録層(起動層)の層の種類を指定するための情報(「層種類」)を記録するものである。例えばROM層を指定する場合には、記録エリアB0には「1」、記録エリアB1には「0」が記録される。
【0128】
記録エリアB2〜B4は、上記起動層の層番号を指定するための情報(「層番号」)を記録するものである。層番号とは、その層が、基板側(再生光入射側の反対側、基板は不図示)から何番目にあたるかを示すものである。例えば記録層L1を指定する場合には、記録エリアB2には「1」、記録エリアB3には「0」、記録エリアB4には「0」が記録される。
【0129】
記録エリアB6は、上記起動層を指定する際に、層種類を指定するための情報および層番号を指定するための情報の何れを用いるかを示す情報(「ボリューム選択」)を記録するものである。例えば層種類を指定する情報を用いる場合には、「0」が記録される。
【0130】
記録エリアB7は、層指定情報がリードイン領域102の特定領域内に記録されているか否かを示す情報(「特定領域内デフォルトボリュームの有無」)を記録するためのものである。例えば上記特定領域に層指定情報が記録されている場合には、「1」が記録される。なお、記録エリアB5には、「Reserved」が記録されており、この記録エリアにビット情報が入っていないことを示している。
【0131】
つまり、光ディスク装置1は、光ディスク100から層指定情報を取得すると、光ディスク100のどの層を起動するのかを決定することができる。なお、光ディスク100に記録されている層指定情報は、ATAPIコマンドに準拠しているため、光ディスク装置1では、当該層指定情報を取得すれば、層指定情報の「層種類」、「層番号」および「ボリューム選択」を読み取ることができる。すなわち、層指定情報が、ATAPIコマンドとして、ドライブユニット2とホストユニット3との間をやり取りされる場合の構造は、上記記録エリアB0〜B7に対応するものである。なお、ATAPIコマンドについては後述する。
【0132】
すなわち、層指定情報は、起動層認識部24が最初に起動させる記録層として認識した起動層の層種類を指定するための情報である。この場合、光ディスク装置1は、層種類を用いて起動層へのアクセスを行うことができる。例えば、ROM層が1層、RE層が1層の2層構造を有する光ディスク100の場合には、確実に(一意的に)起動層を指定することができる。
【0133】
ここで、光ディスク100が同じ種類の記録層(例えばROM層が2層、RE層が2層の4層構造)を有する場合(すなわち同種類のボリュームを有する場合)に、光ディスク装置1は、ROM層を示す層指定情報であれば、記録層L0に近いROM層に対してアクセスを行い、RE層を示す層指定情報であれば、記録層L0に近いRE層で、かつ、情報が記録可能な領域に対してアクセスを行う。従って、層種類の場合であっても、最初に起動させたい記録層を一意に決めることも可能である。
【0134】
一方、上記のような光ディスク100(同一ボリュームを有する多層媒体)の場合に、より確実に(一意的に)、最初に起動させる記録層を指定することを可能とするために、本実施形態では、層指定情報として、起動層認識部24が最初に起動させる記録層として認識した起動層の層番号を指定するための情報が指定されていてもよい。特に、それぞれの記録層で異なるアプリケーションを有している場合に、いずれのアプリケーションを最初に起動させるかを確実に指定することが可能となる。すなわち、記録再生装置にて通常設定されている順番で(例えば記録層L0に近い記録層から順に)アプリケーションを再生する必要がない。このため、ディスクサプライヤーまたはユーザが光ディスク100を挿入時に起動することを希望するアプリケーションを最初に起動することができる。
【0135】
なお、層情報書込部25が書き換える層指定情報も、起動層の層種類を指定するための情報、または、起動層の層番号を指定するための情報である。
【0136】
〔光ディスク装置1の起動処理の流れ(コマンドのやり取り)〕
次に、図5〜図9に基づき、光ディスク100が挿入されてから光ディスク100内の情報が起動されるまでに、ドライブユニット2とホストユニット3との間でのコマンドのやり取りの一例について説明する。図5は、光ディスク100が挿入された際の起動処理時における、ドライブユニット2とホストユニット3との間でのコマンドのやり取りを示すタイミングチャートである。また、図9は、光ディスク装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
【0137】
図示のように、ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、光ディスクが装填されたか否かを判定するために、「TEST UNIT READY」コマンドを所定のタイミングでドライブユニット2に送信している(S1)。ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20のディスク装填確認部22は、「TEST UNIT READY」コマンドを受信したときに(S2)、ディスク装填認識部6から検出信号を受信していれば、光ディスクが挿入されたと判定し、ホストユニット3に「READY」コマンドを返す(S3)。一方、光ディスクが挿入されたことを確認していなければ、ホストユニット3に「NOT READY」コマンドを返す。この場合には、ホストユニット3は、「READY」コマンドが返ってくるまで「TEST UNIT READY」コマンドをドライブユニット2に送信する。
【0138】
次に、ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、ドライブユニット2から「READY」コマンドが返ってくると(S4)、ドライブユニット2に対して、光ディスクがハイブリッドディスクの特性を持っているかの問合せを行うためのコマンドとして「GET CONFIGRATION」コマンドを送信する(S5)。
【0139】
すなわち、光ディスク装置1は、S4の段階で、光ディスクが挿入されたことを確認する(図9のS21)。
【0140】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の層情報取得部23は、「GET CONFIGRATION」コマンドを受信すると(S6)、例えば「GET CONFIGRATION」コマンドのfeature情報を取得するための処理を行うことにより、光ディスクがハイブリッドディスクであるかの確認を行う。具体的には、層情報取得部23は、記録層L0の最内周にある管理領域にアクセスするように、記録再生回路群制御部26に通知する。記録再生回路群制御部26は、この通知を受けると、記録再生回路群10を駆動させることにより管理領域にアクセスし、管理領域から読み取った情報(ディスク情報)を再生回路15から取得する。そして、記録再生回路群制御部26は、再生回路15から取得したディスク情報を層情報取得部23に送信する。なお、管理領域にディスク情報がない場合には、層情報取得部23は、リードイン領域の書き換え不可能な領域にアクセスするように、記録再生回路群制御部26に通知してもよい。すなわち、この場合には、リードイン領域の書き換え不可能な領域にディスク情報が記録されている。
【0141】
層情報取得部23は、ディスク情報を受信すると、このディスク情報を解析することにより、挿入された光ディスクがハイブリッドディスクであるか否かを判定し、その結果をfeature情報として、ホストユニット3に返却する(S7)。
【0142】
ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、光ディスクがハイブリッドディスク(すなわち光ディスク100)であることを示す結果をfeature情報として受信すると(S8)、光ディスク100の層指定情報を読み出すための処理を行う。まず、コマンド制御部311は、ドライブユニット2に対して、リードイン領域102内の特定領域に層指定情報が存在するかの問合せを行うために、当該問合せを行うための「READ DEFAULT VOLUME」を送信する(S9)。
【0143】
すなわち、光ディスク装置1は、S8の段階で、挿入された光ディスクがハイブリッド(Hybrid)ディスク(光ディスク100)であると認識する(図9のS22)。
【0144】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の層情報取得部23は、「READ DEFAULT VOLUME」コマンドを受信すると(S10)、例えば、「READ DEFAULT VOLUME」コマンド(新規Vender uniqueコマンド)のDefault Volumeを取得するための処理を行うことにより、上記特定領域に層指定情報が存在するかの確認を行う。
【0145】
具体的には、層情報取得部23は、上記特定領域にアクセスするように、記録再生回路群制御部26に通知する。記録再生回路群制御部26は、この通知を受けると、記録再生回路群10を駆動させることにより上記特定領域にアクセスし、当該特定領域から読み取った情報を再生回路15から取得する。そして、記録再生回路群制御部26は、再生回路15から取得した情報を層情報取得部23に送信する。
【0146】
層情報取得部23は、記録再生回路群制御部26から受信した情報の中に層指定情報が存在するか(すなわちリードイン領域102の特定領域に層指定情報が存在するか)否かを確認し、その結果をDefault Volume情報として、ホストユニット3に返却する(S11)。なお、図6は、「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示すものであり、図6(a)は、ホストユニット3から送信される「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、図6(b)は、ドライブユニット2から返却されるDefault Volume情報(レスポンスデータ)を示す図である。図6に示すビット配置は、あくまで一例であり、適宜変更することが可能である。
【0147】
ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、上記結果をDefault Volume情報として受信すると(S12)、その結果を解析することにより、ユーザが既に更新した層指定情報が光ディスク100に記録されているかを確認する。コマンド制御部311は、更新した層指定情報があった場合には、当該層指定情報をホスト側格納部35に格納しておく。
【0148】
次に、コマンド制御部311は、ドライブユニット2に対して、「READ DISC STRUCTURE」コマンドを送信する(S13)。すなわち、コマンド制御部311は、「READ DISC STRUCTURE」コマンドを発行する(図9のS23)。「READ DISC STRUCTURE」コマンドは、管理領域101(内周管理領域)に記録された情報を読み取り指示を示すものであり、ボリューム数(層数を示す情報)、ボリュームの種類(層種類情報)およびデフォルトボリューム(層指定情報)の問合せを行うためのコマンドである。
【0149】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の層情報取得部23は、「READ DISC STRUCTURE」コマンドを受信すると(S14)、例えば「READ DISC STRUCTURE」コマンドのNew Hybrid Disc Information情報を取得するための処理を行うことにより、上記の各種情報を光ディスク100から取得する。なお、図7は、「READ DISC STRUCTURE」コマンドにより返却されるNew Hybrid Disc Information情報の一例を示す図である。図7に示すビット配置は、あくまで一例であり、適宜変更することが可能である。
【0150】
具体的には、層情報取得部23は、管理領域101にアクセスするように、記録再生回路群制御部26に通知する。記録再生回路群制御部26は、この通知を受けると、記録再生回路群10を駆動させることにより管理領域101にアクセスし、当該管理領域101から読み取った情報(層種類情報および層指定情報)を再生回路15から取得する。そして、記録再生回路群制御部26は、再生回路15から取得した層種類情報および層指定情報を層情報取得部23に送信する。
【0151】
層情報取得部23は、記録再生回路群制御部26から受信した層種類情報および層指定情報を、New Hybrid Disc Information情報としてホストユニット3に返却する(S15)。なお、層情報取得部23は、管理領域101に層指定情報が記録されていない場合には、層種類情報のみを取得し、その旨をNew Hybrid Disc Information情報として、ホストユニット3に返却する。
【0152】
すなわち、ドライブユニット2は、S15の段階で、ボリューム数、ボリュームの種類およびデフォルトボリュームを、ホストユニット3に返却する(図9のS24)。
【0153】
ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、New Hybrid Disc Information情報を受信すると(S16)、受信した層種類情報および層指定情報をホスト側格納部35に格納しておく。このとき、コマンド制御部311は、所望の層指定情報であるかをユーザに確認するための指示を表示制御部312に送信する。表示制御部312は、この指示を受信すると、光ディスク100の記録層の層種類を表示すると共に、起動層がどの記録層であるか、当該起動層を起動してよいか、起動させない場合にはどの記録層を起動層とするか、などの情報を示す画像を表示部33に表示させる。なお、コマンド制御部311が層指定情報を上記特定領域から取得している場合には、当該特定領域から取得した層指定情報が示す記録層を起動層とするか否かをユーザに問合せる。
【0154】
つまり、コマンド制御部311は、層情報取得部23が層指定情報を管理領域101および上記特定領域の両方から取得している場合で、かつ、ユーザによる変更の指示がない場合には、起動層認識部24が、当該特定領域から取得した層指定情報が示す記録層を起動層として認識可能なように処理する。なぜなら、上記特定領域に記録されている層指定情報は、光ディスク100が光ディスク装置1にて使用され、そのときに例えばユーザの指示に応じて書き換えられたものであるといえるからである。
【0155】
すなわち、光ディスク装置1は、S16の段階で、光ディスク100に記録されたデフォルトボリュームが、ユーザが希望するデフォルトボリュームであるか否かを判定するために、ユーザに対する問合せを行う(図9のS25)。
【0156】
ホスト側制御部31は、操作部32を介してユーザ入力を取得することで、ユーザが希望する起動層がどの記録層であるかを判別し、ホスト側格納部35に格納されている層指定情報が示す記録層の起動をユーザが希望していないことを確認した場合には(図9のS25でNO)、ユーザが起動を希望している記録層を示す層指定情報を、ホスト側格納部35に格納されている層指定情報と書き換える。すなわち、ホスト側制御部31は、光ディスク100に記録された層指定情報の変更があったことを確認する。
【0157】
ホスト側制御部31が層指定情報の変更があったことを確認すると、コマンド制御部311は、ホスト側格納部35に格納された層指定情報(変更後の層指定情報)を読み出し、ドライブユニット2に対して、当該層指定情報を「SET DEFAULT VOLUME」コマンド(新規Vender uniqueコマンド)として送信する(S17)。なお、図8は、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドの一例を示すものである。図8に示すビット配置は、あくまで一例であり、適宜変更することが可能である。
【0158】
すなわち、ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、S17の段階で、ユーザが希望するデフォルトボリュームを「SET DEFAULT VOLUME」コマンドに指定し(図9のS28)、当該「SET DEFAULT VOLUME」コマンドを発行する(図9のS29)。
【0159】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の層情報書込部25は、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドを受信すると(S18)、上記特定領域に層指定情報が格納されている場合には、当該層指定情報を、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドに記述された層指定情報に書き換える。一方、層情報書込部25は、上記特定領域に層指定情報が格納されていない場合には、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドに記述された層指定情報を新規に書き込む。このため、層情報書込部25は、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドに記述された層指定情報を書き換える(書き込む)ための指示を、記録再生回路群制御部26に与える。なお、このとき、層情報書込部25は、書き換える(書き込む)層指定情報をドライブ側格納部27に格納する。
【0160】
なお、層情報書込部25が上記層指定情報を書き込む特定領域は、通常、記録層L0のリードイン領域102の特定領域が好ましい。なぜなら、このリードイン領域102は管理領域101に隣接しているため、層情報書込部25が、管理領域101とリードイン領域102との間の移動の際にフォーカス制御を記録再生回路群10に行わせる必要がないからである。
【0161】
次に、ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311は、S17の処理から例えば所定の時間経過後、ドライブユニット2に対して、層指定情報が示す起動層へフォーカス制御を指示するための「START STOP UNIT」コマンドを送信する(S19)。すなわち、コマンド制御部311は、「START STOP UNIT」コマンドを発行する(図9のS30)。なお、「START STOP UNIT」コマンドとしては、本実施形態の光ディスク100に対応した新たなコマンドが用意されていても良い。
【0162】
ドライブユニット2では、ドライブ側制御部20の起動層認識部24は、「START STOP UNIT」コマンドを受信すると(S20)、ドライブ側格納部27に格納された層指定情報を読み出し、当該層指定情報が示す記録層を起動層として認識する。そして、起動層認識部24は、この起動層に記録された情報を起動するための指示を、記録再生回路群制御部26に与える。これにより、ドライブユニット2は、層指定情報が示す起動層へフォーカス制御を行い、当該起動層に記録された情報を起動することができる。
【0163】
すなわち、ドライブユニット2は、S20の段階で、ユーザによって変更(指定)されたボリュームへとフォーカス位置を移動する(図9のS31)。
【0164】
なお、S16の処理の際に、ホスト側制御部31が、操作部32に対するユーザ入力によりユーザが希望する起動層が、光ディスク100に記録された層指定情報(上記特定領域に記録されている場合には、その層指定情報)が示す記録層であることを確認した場合には(図9のS25でYES)、S17の処理を行わず、S19の処理を行うだけでよい。すなわち、コマンド制御部311は、「START STOP UNIT」コマンドを発行する(図9のS26)。そして、ドライブユニット2は、当該コマンドを受信すると、光ディスク100に記録されている層指定情報が示すデフォルトボリュームにフォーカス位置を移動する(図9のS27)。
【0165】
以上のように、光ディスク装置1(その制御方法)は、光ディスク装置1に光ディスク100が挿入されたときに、層情報取得部23(取得ステップ)が層指定情報を取得し、起動層認識部24(認識ステップ)が、当該取得した層指定情報が示す記録層を起動層として認識する。
【0166】
これにより、光ディスク100が光ディスク装置1に挿入されたときに、最初に起動する記録層を指定することができる。従って、光ディスク100の挿入時に、ディスクサプライヤーまたはユーザが起動させたいと希望する記録層を起動させることが可能となる。
【0167】
また、ROM層に記録されたアプリケーションがOSである場合には、当該ROM層が起動層となるように層指定情報を指定することができるので、例えば、光ディスク装置1がOSを有しないPC(Personal Computer)内に実現されている場合であっても、当該OSをブートすることができる。
【0168】
〔バージョンアップについて〕
次に、光ディスク100のROM層に記録されたアプリケーション(OS)のバージョンアップを行う場合の処理について説明する。
【0169】
ホストユニット3では、ホスト側制御部31の通信制御部313が、上記バージョンアップを行うためのバージョンアップ情報を、送受信部34を介して受信すると、コマンド制御部311にその旨を通知する。コマンド制御部311は、バージョンアップ情報をATAPIコマンドとして層情報書込部25に送信する。
【0170】
層情報書込部25は、バージョンアップ情報を受信すると、当該バージョンアップ情報を光ディスク100のRE層(もしくはR層)に書き込むための指示を、記録再生回路群制御部26に与える。このとき、層情報書込部25が書き込む記録層は、予めドライブユニット2に設定されており、例えば挿入された光ディスク100の記録層L0(RE層)のうち、バージョンアップ情報を記録することが可能な領域(情報が記録されていない領域)と設定されていてもよい。
【0171】
層情報書込部25は、上記指示を与えると、バージョンアップ情報を書き込んだ記録層をATAPIコマンドとして、ホストユニット3に送信する。ホストユニット3では、ホスト側制御部31のコマンド制御部311が、上記記録層を、次に光ディスク100が挿入されたときに最初に起動する記録層とするために、ホスト側格納部35に格納されている層指定情報を書き換える。そして、コマンド制御部311は、この層指定情報を光ディスク100に書き込むために、当該層指定情報を「SET DEFAULT VOLUME」コマンドとしてドライブユニット2に送信する。ドライブユニット2では、「SET DEFAULT VOLUME」コマンドを受信すると、図5に示すS18と同様、上記特定領域に記録されている層指定情報を、受信した層指定情報に書き換える(または、受信した層指定情報を新規に書き込む)。
【0172】
これにより、光ディスク装置1は、次に光ディスク100が挿入されたときに最初に起動する記録層を、バージョンアップ情報が記録された記録層とすることができるので、バージョンアップ後のアプリケーションを起動することができる。このため、バージョンアップ後のアプリケーションを最初に起動できない場合に比べ、起動処理時間を短縮できるとともに、当該アプリケーションを起動する際の光ディスク装置1の処理の簡略化や、ユーザの手間を省くことができるなど、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0173】
また、ROM層に記録されたアプリケーションがOSである場合には、バージョンアップ情報が記録されたRE層(またはR層)が起動層となるように層指定情報を指定することができる。このため、例えば、光ディスク装置1がOSを有しないPC(Personal Computer)内に実現されている場合であっても、バージョンアップされたOSをブートすることができる。
【0174】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図10〜図17に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0175】
〔ボリュームパックについて〕
本実施の形態では、光ディスク100が光ディスク装置1に挿入された際に最初に起動する記録層(起動層)を指定するための情報として、「層種類」および「層番号」に加え、「ボリュームパック番号」を追加したものである。
【0176】
換言すれば、光ディスク100には、層指定情報として、起動層のボリュームパックを指定するための情報(「ボリュームパック番号」)が記録されている。また、光ディスク装置1の層情報書込部25が書き込む層指定情報は、起動層のボリュームパックを指定するための情報を含むものである。なお、ここでは、ボリュームパックを指定するための情報として、ボリュームパック番号を一例として挙げて説明するが、これに限らず、各ボリュームパックを特定できる記号であればよい。
【0177】
この構成によれば、ボリュームパック番号を用いて起動層を認識することができる。つまり、複数の論理的な管理単位であるボリュームパックを有する光ディスク100において、ボリュームパック番号を用いて1つのボリュームパックを指定することにより、光ディスク装置1が制御可能な管理単位である記録層群(1つのボリュームパックが1層の記録層からなる場合はその記録層に特定される)を指定することが可能となる。このため、例えば、ユーザが使用したい機能をより早く起動することが可能となる。
【0178】
ここで、「ボリュームパック」とは、光ディスク装置1が認識可能な論理的な管理単位であり、1層以上の記録層を含む1つの管理単位(1つの記録領域)を指すものであり、ユーザデータに対して全クラスタにわたって連続して配置される論理セクタ番号を持つ1つ以上の層種類を備え、独立したボリュームに含まれる記録層により構成される。
【0179】
また、ボリュームパックを用いる場合、光ディスク装置1は、ボリュームパック番号が割り当てられたボリュームパックそれぞれを、1つの管理単位として(1つの補助記憶装置のように)取り扱うことができる。また、本実施の形態では、光ディスク装置1が制御可能な(認識可能な)管理単位がボリュームパックとなるため、光ディスク装置1は、一度に1つのボリュームパックしか制御することができず、別のボリュームパックを制御できない。つまり、「ボリュームパック」は、「光ディスク装置1が一度に制御可能な(認識可能な)管理単位」となっている。
【0180】
通常、ボリュームパックごとに異なる機能(アプリケーション)が搭載されていることが多いため、ボリュームパック単位で指定できることは、機能ごとの読み出し速度を向上させる点、すなわち利便性を向上させる点で有効となる。
【0181】
また、光ディスク装置1は、例えばボリュームパック内のいずれの記録層を起動層として認識するかを予め決めておくことにより、その認識のために、光ディスク100が有する複数の記録層すべてを把握しておく必要はなく、ボリュームパック分だけを把握しておけばよいことになる。なお、光ディスク装置1は、記録層から情報を読み出す場合、通常、光ディスク100のディスク構造を明確に把握しておく必要がある。
【0182】
このため、光ディスク装置1は、記録層ごとに起動層が指定されている場合に比べ、容易に、かつ、速く起動層を認識することができる。特に、光ディスク100が現在よりも多層化された場合に有益である。
【0183】
また、層種類の異なる複数の記録層を1つのボリュームパックとして指定すること、及び、別のボリュームパックに同一の層種類の記録層が存在することを許容している。このため、ディスクサプライヤーによる層指定情報の設定の自由度を増すことができる。また、この点で、ボリュームパックは、単純な層種類とは異なるものといえる。
【0184】
なお、本実施の形態では説明上、上記のように、光ディスク装置1が一度に1つのボリュームパックしか制御することができない例について説明したが、実際には必ずしもその必要はなく、光ディスク装置1が一度に複数のボリュームパックを制御できても構わない。本実施の形態の技術的思想は、層番号を用いて起動層を指定する場合に比べて、ボリュームパックを指定するための情報を用いて起動層を指定することで、より容易に、かつ、速く起動層を認識できることにあり、光ディスク装置1が一度に制御できるボリュームパックが単数か複数かを問うものではない。
【0185】
〔ボリュームパックの割り当て(その1)〕
以下、図面を用いてより具体的に説明する。まず、複数のボリュームパックに同一の層種類の記録層(各ボリュームパック内はそれぞれ同じ層種類の記録層)が存在している場合について、図10〜図14を用いて説明する。
【0186】
図10は、光ディスク100の層構造の一例を示すものである。同図では、その一例として、6層構造の場合を示しており、再生光入射側から最も遠い記録層である記録層L0〜L3がRE層、記録層L4及びL5がROM層である光ディスク100を示している。例えば、同じ種類の記録層であるRE層が、「ボリュームパック♯0」及び「ボリュームパック♯1」に割り当てられている。
【0187】
また、この光ディスク100では、記録層L0及びL1に「ボリュームパック♯0」、記録層L2及びL3に「ボリュームパック♯1」、並びに、記録層L4及びL5に「ボリュームパック♯2」と、ボリュームパック番号が設定されている。
【0188】
なお、この例では、記録層L0側から「♯0」が与えられているが、これに限らず、例えば再生光入射側に最も近い記録層から「♯0」を設定していくなど、各ボリュームパックを特定できればどのようにボリュームパック番号が設定されてもよい。また、このボリュームパック番号は、例えばディスクサプライヤーによって製造時に設定されているものである。
【0189】
ここで、光ディスク装置1は、層指定情報として設定された1つのボリュームパック内において再生光入射側から最も遠い記録層を起動層として認識するように設定されている。図10に示す光ディスク100において、層指定情報として「ボリュームパック♯0」が指定されている場合には、光ディスク装置1は記録層L0を起動層として認識し、当該記録層L0に対してアクセスを行い、層指定情報として「ボリュームパック♯1」が指定されている場合には、光ディスク装置1は記録層L2を起動層として認識し、当該記録層L0に対してアクセスを行う。従って、ボリュームパックの場合であっても、最初に起動させたい記録層を一意に決めることも可能である。
【0190】
次に、図11は、光ディスク100の各層に記録されている層番号及びボリュームパック番号の一例を示す図である。光ディスク100の各層のリードイン領域102には、各層の層種類情報に、層番号及びボリュームパック番号が対応付けて記録されている。本実施の形態では、光ディスク装置1は、各層のリードイン領域102から、層種類情報、層番号及びボリュームパック番号を読み出すことによって、どの記録層が、どの種類の層で、どのようにボリュームパックが指定されているかを判定することができる。
【0191】
例えば、図10に示す光ディスク100の場合、記録層L0のリードイン領域102には、層種類情報「011」、層番号「000」及びボリュームパック番号「000」が記録されており、記録層L4には、層種類情報「001」、層番号「100」及びボリュームパック番号「010」が記録されている。
【0192】
本実施の形態では、層種類情報は、「001」がROM層、「010」がR層、「011」がRE層を示すものとして説明するが、3ビット情報と層の種類とは任意に対応付けることができる。なお、「000」は、層なし、すなわち、記録層が存在しないことを示すものとする。
【0193】
また、本実施の形態では、ボリュームパック番号は、「ボリュームパック♯0」が「000」と、「ボリュームパック♯1」が「001」と、「ボリュームパック♯2」が「010」と、3ビット情報として与えられている。これに限らず、ボリュームパック番号として、全ボリュームパックの区別が可能なビット情報が与えられていればよい。
【0194】
なお、本実施の形態では、層種類情報、層番号及びボリュームパック番号が光ディスク100の各層にそれぞれ記録されており、光ディスク装置1は、各層のリードイン領域102にアクセスすることにより、各層の層種類、層番号及びボリュームパック番号を判定している。これに限らず、例えば実施の形態1と同様、記録エリアA1〜A8(図4(a)参照)に層種類情報が記録され、光ディスク装置1のドライブ側格納部27に記録層−記録エリア対応テーブルT1(図4(b)参照)が格納されている構成であってもよい。
【0195】
この場合、記録エリアA1〜A8のそれぞれは、層種類情報としての3ビット情報を格納できるようになっている。また、管理領域101、または、リードイン領域102の書き換え不可能な領域には、記録エリアA1〜A8と対応付けてボリュームパック番号(3ビット情報)が格納されている。なお、記録エリアA1〜A8のそれぞれに、層種類情報及びボリュームパック番号を示す6ビット情報が格納されてもよい。この場合、例えばRE層「011」で、ボリュームパック番号「001」である場合には、「011001」が格納される。
【0196】
光ディスク装置1は、層種類情報を読み出すことにより、記録層−記録エリア対応テーブルT1を参照して、どの記録層がどの種類の層かを判定し、さらに、ボリュームパック番号を読み出すことで、記録層がどのようにボリュームパック化されているのかを判定することができる。
【0197】
次に、本実施の形態に係る記録エリアB0〜B7の構造(層指定情報の構造)の一例について図12を用いて説明する。図12は、本実施の形態に係る層指定情報の構造の一例を示す図である。この層指定情報の構造は、層指定情報として層種類及び層番号だけでなく、ボリュームパック番号を用いることを可能としたものである。
【0198】
記録エリアB0〜B2は、後述の記録エリアB5及びB6に記録される情報に従って、光ディスク装置1に挿入されたときに最初に起動する記録層(起動層)の層の種類を指定するための情報(「層種類」)、当該起動層の層番号を指定するための情報(「層番号」)、又は、当該起動層のボリュームパックを指定するための情報(「ボリュームパック番号」)を記録するものである。なお、記録エリアB0〜B2に記録される情報を「ボリューム情報」と表現する場合もある。
【0199】
記録エリアB5およびB6は、上記起動層を指定する際に、層種類を指定するための情報、層番号を指定するための情報およびボリュームパックを指定するための情報の何れを用いるかを示す情報(「ボリューム選択」)を記録するものである。
【0200】
記録エリアB7は、層指定情報がリードイン領域102の特定領域内に記録されているか否かを示す情報(「特定領域内デフォルトボリュームの有無」)を記録するためのものである。例えばリードイン領域102の特定領域内に層指定情報が記録されている場合には、「1」が記録される。
【0201】
例えば、図10に示す光ディスク100において、「ボリュームパック♯1」を指定する場合には、記録エリアB5には「0」、記録エリアB6には「1」が記録されるとともに、記録エリアB0には「1」、記録エリアB1には「0」、記録エリアB2には「0」が記録される。
【0202】
つまり、光ディスク装置1は、光ディスク100から層指定情報を取得すると、光ディスク100のどのボリュームパック内の記録層を起動するのかを決定することができる。なお、光ディスク100に記録されている層指定情報は、ATAPIコマンドに準拠しているため、光ディスク装置1では、当該層指定情報を取得すれば、「ボリューム選択」に従った「ボリューム情報」を読み取ることができる。すなわち、層指定情報が、ATAPIコマンドとして、ドライブユニット2とホストユニット3との間をやり取りされる場合の構造は、上記記録エリアB0〜B7に対応するものである。
【0203】
次に、本実施の形態において、光ディスク100が挿入されてから光ディスク100内の情報が起動されるまでに、ドライブユニット2とホストユニット3との間でやり取りされるコマンドの一例について、図13及び図14を用いて説明する。上記コマンドのやり取りについては、図5に示すタイミングチャート(層指定情報として、「層番号」及び「層種類」と同様に「ボリュームパック番号」を扱うことを前提とする)に従うため、ここではその説明を省略する。
【0204】
図13(a)は、図5に示すS10の処理においてホストユニット3から送信される「READ DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、図13(b)は、ドライブユニット2から返却されるDefault Volume情報(レスポンスデータ)を示す図である。図13に示すビット配置は、あくまで一例であり、適宜変更することが可能である。
【0205】
図13(a)に示す「READ DEFAULT VOLUME」コマンドは、実施の形態1で用いられる「READ DEFAULT VOLUME」コマンド(図6(a)参照)と同じであるが、図13(b)に示すDefault Volume情報は、実施の形態1で用いられるDefault Volume情報とは異なっており、本実施の形態の記録エリアB0〜B7に対応した構造となっている。
【0206】
また、図14は、図5に示すS17の処理においてホストユニット3から送信される「SET DEFAULT VOLUME」コマンドの一例であり、この「SET DEFAULT VOLUME」コマンドもまた、実施の形態1で用いられる「SET DEFAULT VOLUME」コマンドとは異なっており、本実施の形態の記録エリアB0〜B7に対応した構造となっている。
【0207】
〔ボリュームパックの割り当て(その2)〕
次に、本実施の形態に係る光ディスク100の別例として、1つのボリュームパック内に異なる層種類が割り当てられている場合について、図15〜図17を用いて説明する。
【0208】
図15は、図10に示す光ディスク100の層構造の変形例を示すものである。同図では、その一例として、4層構造の場合を示しており、再生光入射側から最も遠い記録層である記録層L0がRE層、記録層L1がR層、記録層L2及びL3がROM層である光ディスク100を示している。図15では、「ボリュームパック♯0」が設定された1つのボリュームパック内に、異なる層種類であるRE層及びR層が割り当てられている。
【0209】
また、図16は、図15に示す光ディスク100の各層に記録されている層番号及びボリュームパック番号の一例を示す図である。図11と同様、光ディスク100の各層のリードイン領域102には、各層の層種類情報に、層番号及びボリュームパック番号が対応付けて記録されている。これにより、図15に示す光ディスク100についても、光ディスク装置1は、どの記録層が、どの種類の層で、どのようにボリュームパックが指定されているかを判定することができる。なお、この判定は、上述のように、記録層−記録エリア対応テーブルT1を用いて行われてもよい。
【0210】
このように、図10又は図15に示す光ディスク100に、層指定情報として、起動層のボリュームパックを指定するための情報が記録されていることにより、上述のように、例えば、ユーザが使用したい機能をより早く起動することが可能となる。また、図10及び図15に示す光ディスク100のように、様々な記録層の組合せを有するボリュームパックを設定することできるので、ディスクサプライヤーによる層指定情報の設定の自由度を増すことができる。
【0211】
なお、本実施の形態においては、光ディスク装置1は、層指定情報として設定された1つのボリュームパック内において再生光入射側から最も遠い記録層を起動層として認識するように設定されている。このため、図15に示す光ディスク100が挿入された場合で、層指定情報として「ボリュームパック♯0」が設定されている場合には、光ディスク装置1は、記録層L0(RE層)を起動層として認識することとなり、記録層L1(R層)を起動層として認識できない。
【0212】
当然ながら、層指定情報として設定された1つのボリュームパック内において再生光入射側から最も近い記録層を起動層として認識するように設定されている場合には、記録層L1を起動層として認識することができる。このように、ボリュームパック内のどの記録層を起動層として認識するかを予め設定しておくことにより、光ディスク装置1は、ボリュームパックを認識するだけで、起動層を起動させることができるので、早いアクセスを実現することが可能となる。つまり、ディスクサプライヤー又はユーザにとっては、ディスクサプライヤー又はユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。さらに、層番号により起動層を認識する場合に比べ、ディスクサプライヤー又はユーザが記録層すべての構造を意識することなく、起動層の指定を簡便に行うことが可能となる。
【0213】
このアクセス速度を考慮せず、ボリュームパックと共に起動層まで認識しようとする場合には、例えば図17に示す層指定情報を用いることも可能である。図17は、図15に示す光ディスク100が有する記録エリアB0〜B7の構造(層指定情報の構造)の一例を示すものである。
【0214】
すなわち、図17に示す層指定情報の構造は、図12に示す層指定情報の構造において、「Reserved」が記録されていた記録エリアB3及びB4に、起動層の層種類を指定するための情報(「層種類」)を記録可能なようにしたものである。なお、この記録エリアB3及びB4は、層指定情報としてボリュームパック番号が選択された場合(「ボリューム選択」に「10」が記録されている場合)に記録することができる。
【0215】
〔起動層の決定について〕
本実施の形態において、上記では、光ディスク装置1がボリュームパック内のいずれの記録層(例えば再生光入射側から最も遠い記録層)を起動層として認識するのかが予め決められている場合について説明した。しかし、光ディスク装置1による起動層の決定方法については、これに限らず、光ディスク装置1において、ボリュームパックが指定されれば、ホスト側格納部35に格納されているファイルシステムにより論理的に起動層が選択される構成であってもよい。すなわち、光ディスク装置1は、層指定情報として設定された1つのボリュームパック内においてファイルシステムにより論理的に選択された記録層を起動層として認識してもよい。
【0216】
ファイルシステムによれば、例えば、ROM層が選択された場合には論理アドレスの先頭(それに対応する層番号を光ディスク装置1が認識する)から再生され、RE層が選択された場合には空き論理アドレスの先頭(上記同様、対応する層番号を光ディスク装置1が認識する)から記録される。このファイルシステムの動作を利用すれば、ボリュームパック内のいずれの記録層を起動層として認識するかを予め決めておかなくても、光ディスク装置1による起動層の決定を行うことは可能である。
【0217】
そして、光ディスク装置1は、ファイルシステムを利用して起動層を決定することにより、光ディスク100が有する複数の記録層すべてを把握しておく必要がなく、また、ボリュームパックを認識するだけで起動層を起動させることができるので、早いアクセスを実現することが可能となる。つまり、ディスクサプライヤー又はユーザにとっては、ディスクサプライヤー又はユーザ所望の機能をより早く動作させることが可能となる。さらに、層番号により起動層を認識する場合に比べ、ディスクサプライヤー又はユーザが記録層すべての構造を意識することなく、起動層の指定を簡便に行うことが可能となる。
【0218】
〔本発明の別表現〕
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0219】
本発明に係る記録再生装置は、複数の層を有する記録媒体を用いてデータを読み書きする記録再生装置であって、上記記録再生装置に上記記録媒体を挿入した際に、最初に起動する層を指定する層指定情報を外部から取得する取得手段と、上記記録媒体挿入時に上記取得手段により取得した起動層が記録再生装置により認識される記録層認識手段と、を備えている構成である。
【0220】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記取得情報とは、層種類を判別する情報であってもよい。
【0221】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記取得情報とは、層番号を判別する情報であってもよい。
【0222】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段とは、ディスク情報が記録されているディスク最内周のバーコード状の管理領域に含まれる層指定情報を用いてもよい。
【0223】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記取得手段とは、書換可能な層の特定領域に含まれていてもよい。
【0224】
また、本発明に係る記録再生装置は、複数の層を有する記録媒体を用いてデータを読み書きする記録再生装置であって、上記記録媒体上に記録されている最初に起動可能となる層を指定する層指定情報を書き換える手段と、を備えていてもよい。
【0225】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記層指定情報書換手段は、層種類判別情報もしくは層番号判別情報をさらに有していてもよい。
【0226】
また、本発明に係る記録再生装置は、複数の層を有する記録媒体を用いてデータを読み書きする記録再生装置であって、上記記録再生装置に上記記録媒体を挿入した際に、記録媒体上に最初に起動する層を指定する層指定情報を有していない場合、記録再生装置上のメモリに含まれる層指定情報を用いていてもよい。
【0227】
また、本発明に係る記録再生装置では、上記記録再生装置上のメモリに含まれる層指定情報は、記録媒体種類別に保有していてもよい。
【0228】
また、本発明に係る記録再生装置の制御方法は、複数の層を有する記録媒体を用いてデータを読み書きする記録再生装置であって、上記記録再生装置に上記記録媒体を挿入した際に、最初に起動する層を指定する層指定情報を外部から取得する取得ステップと、上記記録媒体挿入時に上記取得手段により取得した起動層が記録再生装置により認識される記録層認識ステップと、を含む構成である。
【0229】
また、本発明に係る情報記録媒体は、複数の層を有する記録媒体であって、上記層指定情報を有するディスク最内周のバーコード状の管理領域を含んでいる構成である。
【0230】
さらに、本発明に係る情報記録媒体は、複数の情報記録層を有する情報記録媒体であって、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域、または、記録可能な情報記録層に、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に当該自媒体が挿入されたときに最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報が記録されている構成である。
【0231】
さらに、本発明に係る記録再生装置は、記録可能な情報記録層に、ユーザの指示に基づく層指定情報を書き込む書き込み手段を備えていることが好ましい。
【0232】
〔補足〕
最後に、光ディスク装置1の各ブロック、特にドライブユニット2のドライブ側制御部20(ディスク装填確認部22、層情報取得部23、起動層認識部24、層情報書込部25および記録再生回路群制御部26)およびホストユニット3のホスト側制御部31(コマンド制御部311、表示制御部312、通信制御部313、再生制御部314および記録制御部315)は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0233】
すなわち、光ディスク装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである光ディスク装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記光ディスク装置1に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0234】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0235】
また、光ディスク装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0236】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0237】
本発明は、ROM層、RE層及びR層が混在した多層構造の光情報記録媒体や該光情報記録媒体に情報を記録・再生するための光情報記録再生装置などに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0238】
1 光ディスク装置(記録再生装置)
23 層情報取得部(取得手段)
24 起動層認識部(認識手段)
25 層情報書込部(書き込み手段)
27 ドライブ側格納部(格納部)
31 ホスト側制御部(書き換え手段)
35 ホスト側格納部(格納部)
100 光ディスク(情報記録媒体)
101 管理領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報記録層を有する情報記録媒体であって、
自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報が記録されていることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域、または、記録可能な情報記録層に、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に当該自媒体が挿入されたときに最初に起動する情報記録層である起動層を指定するための層指定情報が記録されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
上記層指定情報は、上記起動層のボリュームパックを指定するための情報であることを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
上記層指定情報は、上記起動層の層種類を指定するための情報であることを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体。
【請求項5】
上記層指定情報は、上記起動層の層番号を指定するための情報であることを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体。
【請求項6】
上記層指定情報は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域に記録されていることを特徴とする請求項2から5の何れか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項7】
上記層指定情報は、記録可能な情報記録層に記録されていることを特徴とする請求項2から5の何れか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項8】
複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置であって、
上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得手段と、
上記取得手段が取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識手段と、を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項9】
上記取得手段は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域から上記層指定情報を取得することを特徴とする請求項8に記載の記録再生装置。
【請求項10】
上記取得手段は、記録可能な情報記録層から上記層指定情報を取得することを特徴とする請求項8に記載の記録再生装置。
【請求項11】
記録可能な情報記録層に、ユーザの指示に基づき設定された層指定情報を書き込む書き込み手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の記録再生装置。
【請求項12】
上記書き込み手段が書き込む層指定情報は、上記起動層のボリュームパックを指定するための情報、上記起動層の層種類を指定するための情報、または、上記起動層の層番号を指定するための情報であることを特徴とする請求項11に記載の記録再生装置。
【請求項13】
上記取得手段は、自装置の格納部から上記層指定情報を取得することを特徴とする請求項8に記載の記録再生装置。
【請求項14】
上記格納部は、上記層指定情報を情報記録媒体ごとに対応付けて格納していることを特徴とする請求項13に記載の記録再生装置。
【請求項15】
上記格納部に格納されている層指定情報を書き換える書き換え手段を備えることを特徴とする請求項13または14に記載の記録再生装置。
【請求項16】
複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置の制御方法であって、
上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得ステップと、
上記取得ステップにて取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識ステップと、を含むことを特徴とする記録再生装置の制御方法。
【請求項17】
複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置の制御プログラムであって、
上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得ステップと、
上記取得ステップにて取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識ステップと、をコンピュータに実行させるための記録再生装置の制御プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の記録再生装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
複数の情報記録層を有する情報記録媒体であって、
自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報が記録されていることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項2】
上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域、または、記録可能な情報記録層に、自媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置に当該自媒体が挿入されたときに最初に起動する情報記録層である起動層を指定するための層指定情報が記録されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
【請求項3】
上記層指定情報は、上記起動層のボリュームパックを指定するための情報であることを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体。
【請求項4】
上記層指定情報は、上記起動層の層種類を指定するための情報であることを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体。
【請求項5】
上記層指定情報は、上記起動層の層番号を指定するための情報であることを特徴とする請求項2に記載の情報記録媒体。
【請求項6】
上記層指定情報は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域に記録されていることを特徴とする請求項2から5の何れか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項7】
上記層指定情報は、記録可能な情報記録層に記録されていることを特徴とする請求項2から5の何れか1項に記載の情報記録媒体。
【請求項8】
複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置であって、
上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得手段と、
上記取得手段が取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識手段と、を備えることを特徴とする記録再生装置。
【請求項9】
上記取得手段は、上記情報記録媒体の構造を示す識別情報が記録されている管理領域から上記層指定情報を取得することを特徴とする請求項8に記載の記録再生装置。
【請求項10】
上記取得手段は、記録可能な情報記録層から上記層指定情報を取得することを特徴とする請求項8に記載の記録再生装置。
【請求項11】
記録可能な情報記録層に、ユーザの指示に基づき設定された層指定情報を書き込む書き込み手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の記録再生装置。
【請求項12】
上記書き込み手段が書き込む層指定情報は、上記起動層のボリュームパックを指定するための情報、上記起動層の層種類を指定するための情報、または、上記起動層の層番号を指定するための情報であることを特徴とする請求項11に記載の記録再生装置。
【請求項13】
上記取得手段は、自装置の格納部から上記層指定情報を取得することを特徴とする請求項8に記載の記録再生装置。
【請求項14】
上記格納部は、上記層指定情報を情報記録媒体ごとに対応付けて格納していることを特徴とする請求項13に記載の記録再生装置。
【請求項15】
上記格納部に格納されている層指定情報を書き換える書き換え手段を備えることを特徴とする請求項13または14に記載の記録再生装置。
【請求項16】
複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置の制御方法であって、
上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得ステップと、
上記取得ステップにて取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識ステップと、を含むことを特徴とする記録再生装置の制御方法。
【請求項17】
複数の情報記録層を有する情報記録媒体に対して情報の記録または再生を行う記録再生装置の制御プログラムであって、
上記情報記録媒体が挿入されたときに、最初に起動する情報記録層を指定するための層指定情報を取得する取得ステップと、
上記取得ステップにて取得した上記層指定情報が示す情報記録層を起動層として認識する認識ステップと、をコンピュータに実行させるための記録再生装置の制御プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の記録再生装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−40148(P2011−40148A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163334(P2010−163334)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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