説明

情報記録媒体付き食品パッケージによる個食提供方法

【課題】栄養バランスのとれた、かつ個人の嗜好にもあった個食を提供する。
【解決手段】ユーザー端末1を通じて、被提供者から個食の提供の依頼が入力される。サーバ2はインターネット3を介して、ユーザー端末1より個食提供の依頼を受信する。サーバ2は、選択した食事内容に関する情報を、情報記録媒体4に書き込む。情報記録媒体に情報の書き込みが完了したら、各食事に付されて配送されることになる。配送された食事は、被提供者によって、調理器5に設置される。次に調理器5は調理を開始する。調理が終了すると、調理器5は食事に関する情報を、サーバ2へ送信する。サーバ2は受信した食事が調理された情報を保存し、次回以降、食事を選択するときに利用することになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養バランスの整った、且つ嗜好にもあった個食を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
個食とは、個人で食べる食事のことである。
現在、日本の家族形態の割合を調べると、約60%が核家族であるという結果がでており、年々核家族化が進んでいる。これに伴い、塾通いやお稽古事などで子供の帰宅が遅くなるといった事情や、残業や共働きなどで親との生活サイクルがかみ合わなくなったりするなどして、家族揃って一緒に食事が出来ず、子供がコンビニエンスストアの弁当やおにぎり・ファーストフードのハンバーガーセットなど、出来合いの食事で夕食を済ませたり、あるいはインスタント食品やスナック菓子を夜食にと食べて済ませてしまうケースが見られる。
【0003】
また、日本の総人口に占める老年人口は年々増加傾向にあり、一人暮らしの高齢者も増加している。一人暮らしの高齢者もまた、出来合いの食事で済ませたりしてしまうことが多い。これら簡便な食品は「とりあえず空腹が収まる」程度でしかない高カロリーで栄養面ではアンバランスなジャンクフードであるなど、育ち盛りの子供や高齢者など、栄養面で特に意識しなければならない人々ついて各種栄養が不足してしまうことになり、アンバランスの原因となりやすく問題となっている。
これらの問題は、栄養バランスを意識して、食事を選択すれば解決できることではあるが、子供や一人暮らしの高齢者などは、なかなか毎度の食事について、嗜好が優先してしまい、栄養面まで気をつかうことは難しい。
現在、一人暮らしの高齢者の家庭等に栄養バランスの整った食事を提供するサービスはあるが、一方的に栄養バランスの整った弁当みたいなものを提供することに留まっており、各個人の嗜好にまで合わせた食事を提供するまでには至っていない。
また、一人暮らしの高齢者の食生活をサポートするシステムとして、献立作成を支援する献立作成システムや、調理を支援するための自動調理システムなどが考えられている。しかし、どちらも献立作成を支援するだけであったり、自動で調理を行なうだけであったり、食生活につい全面的に支援するまでには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−317741
【特許文献2】特開2002−022177
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高齢者や子供の食事に関して、栄養面でバランスのとれた、かつ個人の嗜好に合うような食事を、被提供者に提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するものであり、請求項1に記載の発明は、個食情報データベースに蓄積されている個食情報から、提供する対象に適した個食を選択して提供する個食提供方法であって、個食の包装体には、情報記録媒体が付されており、前記情報記録媒体には、個食の調理情報が記録されており、調理器に設置すると、前記情報に基づき調理が行なわれ、調理後は、個食利用情報を個食情報データベースに送信し、個食情報として蓄積していき、蓄積された個食情報を、次回以降に食品を選択するときに利用することを特徴とする個食提供方法。
【0007】
本発明の請求項2に記載の発明は、前記情報記録媒体がICチップ又は/及び二次元バーコードであることを特徴とする請求項1に記載の個食提供方法である。
【0008】
本発明の請求項3に記載の発明は、前記個食情報は材料、カロリー、調理時間、調理方法、嗜好、アレルギー情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の個食提供方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、個人の嗜好に合い、かつ栄養バランスの整った食事を提供できる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明によれば、情報記録媒体にICチップを用いた場合だと、食品の包装体と調理器具との双方向の通信が可能となる。また、二次元バーコードを用いる場合は、ICチップでは問題になると考えられる電子レンジで発生するマイクロ波の影響もない。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明によれば、食品の選択に必要な様々な情報を蓄積しておくことで、栄養バランスの整い、かつ個人の嗜好にあった食品を安心して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の構成図。
【図2】本発明の情報記録媒体に二次元バーコードを用いた場合の調理器の構成図
【図3】本発明の情報記録媒体にICチップを用いた場合の調理器の構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施する為の形態について図を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態に関する構成図である。まず、ユーザー端末1を通じて、被提供者から個食の提供の依頼が入力される。サーバ2はインターネット3を介して、ユーザー端末1より個食提供の依頼を受信する。サーバ2は受信した内容から、被提供者を特定する。次に、サーバ2は特定した被提供者の個食情報から、食事内容を選択し、ユーザー端末1に送信する。被提供者は、提示された食事内容で良ければ承諾、変更したい場合には変更の指示をする。変更の指示を受けたサーバ2は再度、食事を選択し直し、ユーザー端末1に送信する。これは、ユーザー端末から承諾の指示があるまで繰り返される。承諾の指示を受けたサーバ2は、選択した食事内容に関する情報を、情報記録媒体4に書き込む。情報記録媒体に情報の書き込みが完了したら、各食事に付されて配送されることになる。
【0014】
配送された食事は、被提供者によって、調理器5に設置される。調理器5は食事が設置されると、情報記録媒体4より、食事に関する情報を読み出す。このとき読み出されるのは、食事を調理するのに必要な情報であり、これを読み取った調理器5は調理を開始する。調理が終了すると、被提供者によって食事が取り出される。この時、再度食事が調理器5に設置されることがなければ、調理器5は食事に関する情報を、サーバ2へ送信する。例えば、温める時間が足りなかったなど、調理時間等が被提供者の好みに合わなくて、調理方法等が被提供者によって変更された場合には、変更された内容をサーバ2に送信する。
【0015】
サーバ2は受信した食事が調理された情報および調理方法等が変更された場合には変更した内容に関する情報を保存し、次回以降、食事を選択するときに利用することになる。
【0016】
サーバ2には、個食情報データベースが設けられている。個食情報データベースには食品の材料情報、調理情報、カロリー情報と各個人の嗜好情報、アレルギー情報、個食利用情報、年齢情報、身体情報、健康情報と、社会の世代別嗜好統計情報、食品流行情報などが含まれている。材料情報には、材料の成分構成、効能等が含まれる。調理情報には、調理時間、調理方法などが含まれる。個食利用情報とは、いつ何時にどの個食が調理されたか、という情報である。身体情報には、身長、体重、体脂肪率などが含まれる。健康情報とは、現在、疾病中の病名、注意点等が含まれる。世代別嗜好統計情報とは、世代別に嗜好が違う食品について統計をとった情報である。食品流行情報とは、現在どのような食品が流行しているか、という情報である。
例えば、嗜好情報として「カレー」という情報が記録されている人に、提供する食事を選択する場合、カレーが選択されやすくなる。しかし、カレーが選択されやすくなると、カレーが連続して選択されてしまう場合がある。これは栄養バランス的には良くないと考えられるので、個食利用情報であるカレーがいつ調理されたのかという情報を参酌して、個食を選択することになる。また、嗜好情報が記録されていない60代、男性に個食を提供する場合、10代、男性に関する世代別嗜好統計情報を参酌し、その世代で、好まれている食品が選択されやすくなる。
【0017】
図2は、情報記録媒体が二次元バーコードであった場合の調理器の構成図である。食品の包装体6には、情報記録媒体として、二次元バーコード7が付されている。二次元バーコード用調理器8には、バーコードリーダー9が備えられている。二次元バーコード用調理器としては、マイクロ波加熱調理器を用いているが、これに限るものではない。被提供者により、食品の包装体6が設置されると、バーコードリーダー9が、二次元バーコードに記録されている情報を読み取り、調理を開始する。調理後は調理を行なったという情報をサーバへ送信する。二次元バーコードに記録できる情報は、容量が限られていることから、被提供者を特定するのに必要な情報と、食品の種類に関する情報に限る。二次元バーコードリーダーは、被提供者を特定する情報と食品の種類に関する情報を読み取ると、インターネットを介してサーバへアクセスし、調理に必要な情報を得ることで調理が可能となる。
【0018】
図3は、情報記録媒体がICチップであった場合の調理器の構成図である。食品の包装体6には、情報記録媒体として、ICチップ10が付されている。ICチップ用調理器11には、ICチップリーダ/ライタ12が備えられている。ICチップ用調理器は遠赤外線クッキングヒーターやIHクッキングヒーターなどである。被提供者によって、食品の包装体6がICチップ用調理器11に設置されると、ICチップリーダ/ライタ12は、ICチップに記録されている情報を読み取り、調理を開始する。調理を行なった後は、調理をしたという情報をサーバへ送信する。ICチップは、二次元バーコードよりも記録容量が大きいので、調理方法に関する情報を記録しておくことができる。調理方法に関する情報が記録されていれば、調理器がインターネットにアクセスできない状況でも、調理が可能となる。インターネットにアクセスできていない状況で調理をした場合、調理したという情報を回収するのが問題になるが、その場合、調理した食品の情報を調理器に保存しておき、一定期間ごとに、出力に郵送等で送ることも可能である。
【符号の説明】
【0019】
ユーザー端末 1
サーバ 2
インターネット 3
情報記録媒体 4
調理器 5
食品の包装体 6
二次元バーコード 7
二次元バーコード用調理器 8
バーコードリーダー 9
ICチップ 10
ICチップ用調理器 11
ICチップリーダ/ライタ 12

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個食情報データベースに蓄積されている個食情報から、提供する対象に適した個食を選択して提供する個食提供方法であって、
個食の包装体には、情報記録媒体が付されており、
前記情報記録媒体には、個食の調理情報が記録されており、
調理器に設置すると、前記情報に基づき調理が行なわれ、
調理後は、個食利用情報を個食情報データベースに送信し、個食情報として蓄積していき、
蓄積された個食情報を、次回以降に食品を選択するときに利用することを
特徴とする個食提供方法。
【請求項2】
前記情報記録媒体はICチップ又は/及び二次元バーコードであることを、
特徴とする請求項1に記載の個食提供方法。
【請求項3】
前記、個食情報は材料、カロリー、調理時間、調理方法、嗜好、アレルギー情報を含むことを、
特徴とする請求項1または2に記載の個食提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−158960(P2011−158960A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17958(P2010−17958)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】