説明

情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および吸着具

【課題】本発明は、吸着部で情報記録媒体用ガラス基板を吸着した際に、情報記録媒体用ガラス基板の表面に付着する異物や傷等の数が多量に増加するおそれが少ない情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、および、情報記録媒体用ガラス基板を研磨装置の研磨パッドから取り外し易い吸着具の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の吸着具1は、吸着パッド32を備えている。吸着パッド32は、中心孔32aと、その中心孔32aから当該当接パッド32の外周端に延ばされた溝32bとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、および、負圧により被吸着部材を吸着する吸着具、特に、情報記録媒体用ガラス基板を吸着することに適した吸着具に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータなどに用いられる磁気ディスク記録装置、例えばハードディスクには、研磨パッドを有する研磨装置による研磨工程を経たアルミニウム合金またはガラスが基板として用いられている。この研磨後の基板上に金属磁気薄膜が形成され、金属磁気薄膜を磁気ヘッドで磁化することによって情報が記録される。このような情報記録媒体用ガラス基板の研磨の工程において、研磨装置の研磨パッドで研磨した情報記録媒体用ガラス基板は、研磨装置から取り出される際、従来、手によって行われていた。情報記録媒体用ガラス基板は、研磨液等で研磨パッドに張り付いた状態になっているため、手で外し難い。さらに、情報記録媒体用ガラス基板の表面に傷、凝集した砥粒粒子、或いはバクテリア等の異物を付着させてしまうおそれもある。
【0003】
そこで、情報記録媒体用ガラス基板を研磨装置の研磨パッドから取り出す吸着具が、例えば、特許文献1に開示されている。この吸着具は、当接パッドを有する吸着部(吸着面)を情報記録媒体用ガラス基板の表面に当接させるようにして前記吸着部に開口された吸引口(吸引穴)から吸引することによって前記吸着部で情報記録媒体用ガラス基板を吸着し、これにより、研磨した情報記録媒体用ガラス基板を研磨装置から取り出すことができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−216311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の吸着具において、吸着具の吸着部で吸着すると、情報記録媒体用ガラス基板の表面に付着する異物数が多量に増加する問題が生じた。本出願人が緻密な調査を行なった結果、これは、特許文献1に開示の吸着具を用いた情報記録媒体用ガラス基板の取り出しに起因するものであると結論付けられた。
【0006】
より詳しくは、例えば、図12に示すように、情報記録媒体用ガラス基板100に当接させた吸着具aの吸着部bに開口された吸引口cから吸引すると、吸着に際して情報記録媒体用ガラス基板100の貫通孔101の空気も吸引して貫通孔101を通じて研磨パッド111が吸引されしまう場合がある。このような場合に、情報記録媒体用ガラス基板100を研磨パッド111から取り外す際に、吸着具aによる吸引力を強くする必要があるため、情報記録媒体用ガラス基板100と吸着部bとの間に強い押圧が生じてしまう。そのため、吸着部bが有する異物が情報記録媒体用ガラス基板100の表面に固着し、洗浄によっても除去できなくなる場合がある。その結果、情報記録媒体用ガラス基板100の表面に付着する異物が多量に残存することが考えられる。
【0007】
また、貫通孔101内の空気が吸引された場合には、貫通孔101内が真空化するため、研磨パッド110が劣化したり、貫通孔101内に滞留していた研磨液や研磨粒子等が貫通孔101から吸引口cの方向に情報記録媒体用ガラス基板100と吸着部bとの間を通って吸引された結果、情報記録媒体用ガラス基板100に傷がついたり、異物が固着する問題が発生する場合がある。
【0008】
さらに、貫通穴101を介して情報記録媒体用ガラス基板100と研磨装置110の研磨パッド111とが吸着されてしまうため、情報記録媒体用ガラス基板100を研磨装置110の研磨パッド111から取り外し難くなり、取り外しの際にガラス基板100の落下や、研磨パッド111の劣化により傷や異物が発生しやすくなる。
【0009】
本発明は、吸着部で情報記録媒体用ガラス基板を吸着した際に、情報記録媒体用ガラス基板の表面に付着する異物や傷等の数が多量に増加するおそれが少ない情報記録媒体用ガラス基板の製造方法、および、情報記録媒体用ガラス基板を研磨装置の研磨パッドから取り外し易い吸着具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、中央部に貫通孔が設けられた円盤状の情報記録媒体用ガラス基板を製造する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、中央部に貫通孔が設けられた円盤状のガラス素材の表面を研磨装置で研磨して情報記録媒体用ガラス基板を形成する工程、前記研磨された情報記録媒体用ガラス基板に吸着具を当接させて、前記情報記録媒体用ガラス基板に前記吸着具を吸着させた状態で、前記情報記録媒体用ガラス基板を前記研磨装置から取り出す工程、とを有する。そして、前記吸着具は、吸引装置に吸引可能に接続される吸引用通気路を有する吸着具本体と、前記吸引用通気路と連通した吸引口を有し前記吸着具本体と一体的に設けられた吸着部とを備え、前記情報記録媒体用ガラス基板を前記研磨装置から取り出す工程においては、前記吸着部を前記情報記録媒体用ガラス基板に当接させた当接状態で、前記吸引装置の作動に伴い前記吸着部の吸引口から吸引用通気路を介して吸引させることにより、前記吸着部で前記情報記録媒体用ガラス基板が吸着されており、前記当接状態で、前記情報記録媒体用ガラス基板に設けられた貫通孔が外部と連通されている。
【0011】
この構成によれば、吸着部を情報記録媒体用ガラス基板に当接させた状態で、情報記録媒体用ガラス基板に設けられた貫通孔と外部とを連通できるように構成されているため、吸着部で情報記録媒体用ガラス基板を吸着するに際し、吸引口から貫通孔内の空気が吸引される場合に、情報記録媒体用ガラス基板の貫通孔内に空気を導入でき、情報記録媒体用ガラス基板と研磨装置の研磨パッドとが吸着するおそれの少ないものにできる。したがって、このような構成の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および吸着具は、吸着部で情報記録媒体用ガラス基板を強く吸着せずに済み、吸着部が有する異物が情報記録媒体用ガラス基板の表面に強く固着して残留するおそれの少ないものできる。しかも、このような構成の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および吸着具は、情報記録媒体用ガラス基板を研磨装置の研磨パッドから取り外し易いものにできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法および吸着具は、吸着部で情報記録媒体用ガラス基板を吸着した際に、情報記録媒体用ガラス基板の表面に付着する異物や傷等の数が多量に増加するおそれが少なく、しかも、情報記録媒体用ガラス基板を研磨装置の研磨パッドから取り外し易いものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明における第1実施形態の吸着具の正面図である。
【図2】図1の底面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】第1実施形態の吸着具で情報記録媒体用ガラス基板を吸着する際の断面説明図である。
【図5】吸着部を情報記録媒体用ガラス基板に位置ずれした状態で当接した状態の説明図である。
【図6】本発明における第2実施形態の吸着具の正面図である。
【図7】図6の底面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【図9】第1実施形態の吸着具と比較例とのそれぞれで情報記録媒体用ガラス基板を吸着した際の異物数に基づく情報記録媒体用ガラス基板の良品率を10段階に分けた各段階に含まれるバッチ数を表した図表である。
【図10】図9のバッチ数に基づいて作成したグラフの一例である。
【図11】第1実施形態の吸着具と比較例とのそれぞれで吸着した情報記録媒体用ガラス基板の4個について、付着した異物(パーティクル)の数を測定してその数を表示した一例の図表である。
【図12】外部連通用通気路を設けていない吸着具で情報記録媒体用ガラス基板を吸着する際の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明における第1実施形態の吸着具の正面図であり、図2は、図1の底面図であり、図3は、図2のIII−III線断面図である。
【0016】
第1実施形態の吸着具1は、吸着具本体2と、吸着部3とを備えている。吸着具本体2は、把持部21と、吸着操作部22とを備えている。
【0017】
把持部21は、手で把持できる程度の径を有する円柱状体から構成されている。また、把持部21の内部の軸心部に、軸方向に沿って軸方向の両端を貫通しかつ流体が通過することができるようにあけられた把持部用通気孔23aが設けられている。
【0018】
また、把持部21における軸方向の第1端(図の上端)には、吸引装置接続部24が設けられている。そして、この吸引装置接続部24に吸引装置(図示せず)の接続ホース27の接続具26が接続されるようになっており、これにより、把持部用通気孔23aが前記吸引装置に吸引可能に接続される。
【0019】
また、把持部21における外周面には、その外周面から把持部用通気孔23aに貫通するようにあけられた開閉操作用孔25が設けられている。この開閉操作用孔25は、この実施形態では、手の指で塞ぐことができる程度の大きさで構成されている。
【0020】
吸着操作部22は、把持部21よりも径が大きい円板状体から構成されており、把持部21の軸方向の第2端(図の下端)に連結されている。把持部21における、この第2端は、前記第1端とは異なる軸方向の他方端である。この実施形態では、吸着操作部22は、把持部21と一体的に形成された第1吸着操作部22aと、第1吸着操作部22aに取り付けられた第2吸着操作部22bとの2つから構成されている。
【0021】
第1吸着操作部22aの内部には、保持部用通気孔23bが設けられている。この保持部用通気孔23bの第1端(図の上端)は、把持部用通気孔23aと連通されている。
【0022】
また、この保持部用通気孔23bの第2端(図の下端)には、3つの分岐孔23cが設けられている。分岐孔23cは、それぞれ、保持部用通気孔23bから径方向外方に延ばされるように形成されている。各分岐孔23cは、周方向で互いに等間隔に設けられている。この実施形態では、分岐孔23cは、第1吸着操作部22aの軸心を中心とした略直径40mmの円周上まで延ばされ、その円周上に分岐孔端23dが形成されている。
【0023】
第2吸着操作部22bは、第1吸着操作部22aと略同じ径の円板状体から構成されている。また、第2吸着操作部22bにおける軸方向の第1端(図の上端)は、第1吸着操作部22aに連結される連結部22cを構成している。一方、第2吸着操作部22bにおける軸方向の第2端(図の下端)には、後述のように吸着部3が設けられている。第2吸着操作部22bにおける、この第2端は、前記第1端とは異なる軸方向の他方端である。
【0024】
また、第2吸着操作部22bには、軸方向に沿って、連結部22cから吸着部3それぞれに貫通するようにあけられた3つの吸引用貫通孔23eが設けられている。これらの吸引用貫通孔23eは、第1吸着操作部22aの分岐孔23cの分岐孔端23dに対応する位置に形成されている。
【0025】
そして、このように構成された第2吸着操作部22bは、その連結部22cが第1吸着操作部22aに合わされ、その状態でボルト5を介して固定的に連結されている。また、この連結状態で、各吸引用貫通孔23eと吸着保持部22の分岐孔23cの分岐孔端23dとが合致して連通されている。
【0026】
これにより、3つの吸引用貫通孔23eと、保持部用通気孔23bと、把持部用通気孔23aとが連通し、これらによって吸引用通気路23が構成されている。
【0027】
吸着部3は、上述のように、第2吸着操作部22bの第2端の端面に設けられている。また、この吸着部3は、この実施形態では、当接パッド32を備えている。当接パッド32は、吸着操作部22の外径と同程度(この実施形態では、49mm)の外径を有する円形状(円板状)のものから構成されている。また、当接パッド32は、3つの吸引口33と、連通口としての中心孔32aと、連通路としての溝32bとを備えている。
【0028】
吸引口33は、それぞれ、吸着部本体31の吸引用貫通孔23eに対応する位置に設けられている。
【0029】
中心孔32aは、この実施形態では、後述の情報記録媒体用ガラス基板100の貫通孔101(図4に図示)と同じかまたはやや大きい程度の大きさのものから構成されている。したがって、中心孔32aは、吸引口33の径内側に配設されている。
【0030】
溝32bは、この実施形態では、2mm程度の細幅で、中心孔32aから外周端まで、当接パッド32の一部をカットするようにして形成されている。そして、この溝32bと上記中心孔32aとで、外部連通用通気路34を構成する。
【0031】
そして、この当接パッド32は、第2吸着操作部22bの第2端に取り付けられ、その取り付け状態で、当接パッド32の吸引口33は、それぞれ、吸着具本体2における吸引用通気路23の吸引用貫通孔23eに合致して連通している。
【0032】
なお、この実施形態では、当接パッド32にできるバリを防止するため、コンパスカッターにより切り出したものを用いている。また、吸引口33を、ホールパンチにより作成している。
【0033】
また、当接パッド32の材質は、特に限定されないが、後述の研磨装置110の研磨パッド111(図4に図示)と同じ材質のものを用いるのが好ましい。これにより、情報記録媒体用ガラス基板100(図4、図5に図示)を吸着支持した際に情報記録媒体用ガラス基板100に傷を付けるおそれが少なく、また、当接パッド32が研磨パッド111に当たった場合にも、研磨パッド111が損傷するおそれの少ないものにできる。また、当接パッド32の硬さは、Asker硬度で75以下のものが好ましい。
【0034】
以上のように構成された吸着具1は、例えば情報記録媒体用ガラス基板の製造工程における研磨工程で、被吸着部材として情報記録媒体用ガラス基板を吸着して研磨装置から取り出すのに用いられる。
【0035】
この被吸着部材としての情報記録媒体用ガラス基板100は、図4、図5に示すように貫通孔101を有するドーナツ状(環状)の円板状のものであり、例えば外径が65mm、内径が20mm、板厚が0.635mmのものである。
【0036】
また、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、例えば次のような工程を有するものである。まず、貫通孔101を有する円盤状の板状ガラス素材が形成される。次に、その板状ガラス素材の表面をラッピングするラッピング工程が実施される。次に、そのラッピングした表面を研磨装置を用いて粗研磨する粗研磨工程と、粗研磨工程で研磨した板状ガラス素材の表面を更に表面粗さを小さく研磨して情報記録媒体用ガラス基板に形成する精密研磨工程との2つからなる研磨工程が実施される。次に、その精密研磨工程で研磨した情報記録媒体用ガラス基板を研磨装置から取り出す取り出し工程が実施される。そして、その取り出した情報記録媒体用ガラス基板を洗浄する洗浄工程が実施される。
【0037】
また、上記精密研磨工程で使用する研磨装置110は、図4に示すように、例えば下定盤112と、図示しない上定盤とを備えている。下定盤112の上面には、研磨パッド111が配設されている。また、図示しないが、上定盤の下面にも、その研磨パッド111と同構成を採る研磨パッドが設けられている。
【0038】
そして、下定盤112の研磨パッド111と上定盤の研磨パッドとの間に板状ガラス素板100が配設される。この実施形態では、研磨装置110は、同時に100枚の板状ガラス素板100を配設でき、1バッチで100枚の板状ガラス素板100を研磨処理できる。
【0039】
そして、これら上記間に研磨液が供給されながら、下定盤112と上定盤とが相対回転等される。これにより、両研磨パッド111によって、情報記録媒体用ガラス基板100の表面が研磨される。
【0040】
次に、この第1実施形態の吸着具1の動作について説明する。なお、上記精密研磨工程で用いる研磨装置110で研磨した後の情報記録媒体用ガラス基板100を研磨装置110から取り出す場合を例にして説明する。
【0041】
吸着具1の吸引装置接続部24に吸引装置を接続し吸引装置を作動させた状態で、操作者は、例えば図4に示すように、研磨装置110によって表面を研磨し終えて下定盤112の研磨パッド111上にある情報記録媒体用ガラス基板100の表面に、吸着具1の吸着部3の当接パッド32を当接させる。
【0042】
これにより、情報記録媒体用ガラス基板100の貫通孔101と外部とが、外部連通用通気路34をなす当接パッド32の中心孔32aおよび溝32bを介して連通した状態になる。
【0043】
また、その際、当接パッド32の中心を、情報記録媒体用ガラス基板100の中心に合わせるようにして情報記録媒体用ガラス基板100の全体が当接されてもよいが、例えば図5に示すように、当接パッド32の中心が、情報記録媒体用ガラス基板100の中心から多少ずれても、本実施形態の吸着具1は、情報記録媒体用ガラス基板100の貫通孔10と中心孔32aとの一部同士が重なり、中心孔32aおよび溝32bを介して情報記録媒体用ガラス基板100の貫通孔101と外部とを連通した状態にできる。
【0044】
従って、例えば下定盤112の研磨パッド111上にある情報記録媒体用ガラス基板100が研削液の反射等の影響によりその位置が明確に把握し難い場合でも、本実施形態の吸着具1は、容易に中心孔32aおよび溝32bを介して情報記録媒体用ガラス基板100の貫通孔10と外部とを連通した状態にできる。
【0045】
そして、この状態で、操作者は、開閉操作用孔25を、例えばその手の指で塞ぐ。これにより、吸引用通気路23を介して吸引口33から吸引して当接パッド32に情報記録媒体用ガラス基板100が吸着される。
【0046】
その際、例えば図12に示すように外部連通用通気路を有しない吸着具において、当接パッド32が押圧・経年劣化によって歪を持つような場合には、情報記録媒体用ガラス基板100と当接パッド32との間に間隙が生じやすく、吸着に際して情報記録媒体用ガラス基板100の貫通孔101の空気も吸引して貫通孔101を通じて研磨パッド111が吸引されしまう場合がある。
【0047】
しかし、この実施形態では、吸着具1は、外部連通用通気路34を構成する中心孔32aおよび溝32bを介して貫通孔101に空気を導入でき、吸引口33および貫通孔101を通じて研磨パッド111が吸引されるおそれの少ないものにできる。
【0048】
したがって、この実施形態の吸着具1は、当接パッド32が有する異物が情報記録媒体用ガラス基板100の表面に付着するおそれの少ないものにできる。しかも、この実施形態の吸着具1は、情報記録媒体用ガラス基板100を研磨パッド111から取り外し易いものにできる。
【0049】
また、例えば研磨装置110の下定盤112の研磨パッド111が、例えば図5の一点鎖線で示すように、その表面に、複数の凹溝111aを有したものであるが、隣接する凹溝111a同士の間隔L1が貫通孔101の直径よりも大きくて情報記録媒体用ガラス基板100が重ねあわされた場合に凹溝111a同士の間の部分で貫通孔101を下方側(一面側)から隙間無く塞いでしまうもの、或いは、そのような凹溝111aを全く有しないものである場合には、上記のように、貫通孔101を通じて研磨パッド111が吸引され易くなる。しかし、この実施形態の吸着具1は、外部連通用通気路34によって、そのようなことを防止できる。したがって、この実施形態の吸着具1では、研磨装置110に種々の研磨パッドが使用でき、研磨装置110は、使用便利なものにできる。
【0050】
次に、上記第1実施形態の吸着具1を用いて研磨装置から取り出した情報記録媒体用ガラス基板100の異物の検査を行ったので、以下に説明する。
【0051】
まず、公知の手法により粗加工工程まで完了したガラス基板が用いられ、ガラス基板が100枚で1バッチとする精密研磨加工が48バッチ分行われた。精密研磨加工には、平均粒子径が20nm程度のコロイダルシリカが用いられた。そして、それらが、上記第1実施形態の吸着具1(実施例)を用いて吸着して取り出され、その取り出された情報記録媒体用ガラス基板に対し、洗剤を用いた超音波洗浄、リンス処理、フッ酸を用いた表面処理が行われた。そして、このようにして得られた情報記録媒体用ガラス基板の表面が、He−Neレーザ光源を用いた表面検査装置SSI−640(システム精工社製)によって調べられ、情報記録媒体用ガラス基板の表面に付着している異物の数に基づいて、48バッチそれぞれについてその良品率が調べられた。
【0052】
そして、検査結果は、良品率を10段階に分け、各段階に含まれるバッチ数を図9に数値で示すとともに、図10に、図9の数値に基づいて作成した棒グラフを表記した(図10の実施例)。
【0053】
また、上記洗浄工程を経て得られた情報記録媒体用ガラス基板がランダム(無作為)に4個、抜き出され、表面欠陥検査装置OSA−6300(KLA社)によって、観測され、図11に示すように、付着した異物(パーティクル)の数が確認されるとともに、これらの異物の種類が原子間力顕微鏡等の手法によって確認された。その結果、それらの異物は、主にシリカが付着したものであった。
【0054】
また、比較例として、外部連通用通気路を有しない吸着具が作成され(外部連通用通気路を有しないこと以外は上記第1実施形態の吸着具1と同じもので、図12に示した吸着具と同等のもの)、この比較例の吸着具を用いて、上記と同様に、良品率が調べられた。
【0055】
その結果は、図9、図10に示すように、比較例を用いたものに比べ、第1実施形態の吸着具1を用いた方が良品率の良いバッチ数が多く、また、図11に示すように、付着した異物(パーティクル)の数も少なく、シリカの付着が有意に抑えられることが確認できた。
【0056】
次に、第2実施形態の吸着具200について、図6ないし図8に基づいて説明する。第2実施形態の吸着具200における吸着部203の当接パッド232は、先の第1実施形態のものと同様に、3つの吸引口233と、中心孔232aとを備えているが、この第2実施形態の当接パッド232は、先の第1実施形態の当接パッド32における溝32bに相当するものが設けられていない。
【0057】
また、吸着具本体202の吸着操作部222は、中心孔232aと外部とを連通した連通路としての本体連通孔231を備えている。この本体連通孔231は、吸着操作部222の第1吸着操作部222aに設けられた第1本体連通孔234aと、吸着操作部222の第2吸着操作部222bに設けられた第2本体連通孔234bとから構成されている。
【0058】
第2本体連通孔234bは、上記中心孔232aと連通するように形成されている。また、第1本体連通孔234aは、第2本体連通孔234bと外部とを連通するように形成されている。第2本体連通孔234bは、第1吸着操作部222aの上面で外部に臨んでいる。そして、これらの第1本体連通孔234aと第2本体連通孔234bとから構成され本体連通孔231と、中心孔232aとで、外部連通用通気路234が構成されている。第2実施形態のその他は、先の第1実施形態のものと同構成である。
【0059】
なお、上記実施形態では、吸着部は、当接パッドを備えたものとし、当接パッドに、外部連通用通気路としての中心孔および溝を設け、或いは、当接パッドに、外部連通用通気路の一部を構成する中心孔を設けているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0060】
例えば、吸着部は、当接パッドを有しないものから構成し、第2吸着操作部の第2端に円形状の凹部およびその凹部から外周端に延ばした溝を設けるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、中心孔を、情報記録媒体用ガラス基板の貫通穴と同程度の大きさのものから構成しているが、中心孔の大きさは、特に限定されず、例えば溝の幅と同程度の径の孔でもよい。
【0062】
また、当接パッドを設ける場合に、当接パッドの大きさは、情報記録媒体用ガラス基板の外径よりも大きいものでも小さいものでもよく、特に限定されない。また、当接パッドに溝を設ける場合に、溝の幅についても、適宜変更できる。さらには、溝を2以上の複数、設けてもよく、適宜変更できる。
【0063】
また、上記実施形態では、吸着具1、200は、精密研磨工程で用いる研磨装置110で研磨した後の情報記録媒体用ガラス基板100を研磨装置110から取り出すために使用されたが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。吸着具1、200は、例えば、粗研磨工程で用いる研磨装置で粗研磨した後の板状ガラス素材を研磨装置から取り出すために使用することもできる。
【0064】
また、上記第1実施形態では、当接パッドは、連通路としての溝を備えたものとし、上記第2実施形態では、吸着具本体は、連通路としての本体連通孔を備えたものとしているが、当接パッドは、溝を備えたものとするとともに、吸着具本体は、本体連通孔を備えたものとしてもよく、適宜変更できる。
【0065】
また、別の実施形態として、吸着具は、当接パッドを設ける場合に、吸引口の周辺部の一部のみに当接パッドが設けられ、当接パッドが設けられない部分により、情報記録媒体用ガラス基板の貫通孔と外部とが連通されるような構成とされてもよい。
【0066】
また、上記実施形態の吸着具1、200は、開閉操作用孔25を設け、この開閉操作用孔25を開閉することにより、被吸着部材として情報記録媒体用ガラス基板100を着脱するように構成されているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。吸着具1、200は、例えば、開閉操作用孔25を設けずに、吸引装置を操作スイッチによる操作によって情報記録媒体用ガラス基板100を着脱するように構成されてもよい。
【0067】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0068】
一態様にかかる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、中央部に貫通孔が設けられた円盤状の情報記録媒体用ガラス基板を製造する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、中央部に貫通孔が設けられた円盤状のガラス素材の表面を研磨装置で研磨して情報記録媒体用ガラス基板を形成する工程と、前記研磨された情報記録媒体用ガラス基板に吸着具を当接させて、前記情報記録媒体用ガラス基板に前記吸着具を吸着させた状態で、前記情報記録媒体用ガラス基板を前記研磨装置から取り出す工程、とを有する。
【0069】
そして、前記吸着具は、吸引装置に吸引可能に接続される吸引用通気路を有する吸着具本体と、前記吸引用通気路と連通した吸引口を有し前記吸着具本体と一体的に設けられた吸着部とを備え、前記情報記録媒体用ガラス基板を前記研磨装置から取り出す工程において、前記吸着部を前記情報記録媒体用ガラス基板に当接させた当接状態で、前記吸引装置の作動に伴い前記吸着部の吸引口から吸引用通気路を介して吸引させることにより、前記吸着部で前記情報記録媒体用ガラス基板が吸着されており、前記当接状態で、前記情報記録媒体用ガラス基板に設けられた貫通孔が外部と連通されている。
【0070】
この構成によれば、吸着部を情報記録媒体用ガラス基板に当接させた状態で、情報記録媒体用ガラス基板に設けられた貫通孔と外部とを連通できるように構成されているため、このような構成の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、吸着部で情報記録媒体用ガラス基板を吸着するに際し、吸引口から貫通孔内の空気が吸引される場合に、情報記録媒体用ガラス基板の貫通孔内に空気を導入でき、情報記録媒体用ガラス基板と研磨装置の研磨パッドとが吸着するおそれの少ないものにできる。したがって、この製造方法は、吸着部で情報記録媒体用ガラス基板を強く吸着せずに済み、吸着部が有する異物が情報記録媒体用ガラス基板の表面に強く固着して残留するおそれの少ないものできる。しかも、この製造方法は、情報記録媒体用ガラス基板を研磨装置の研磨パッドから取り外し易いものにできる。
【0071】
また、他の一態様では、上記の態様において、前記研磨装置は、前記円盤状のガラス素材の表面を研磨する研磨パッドを備え、前記研磨パッドとして、前記円盤状のガラス素材が重ね合わされた際に、前記貫通孔を前記円盤状のガラス素材の一面側から塞ぎ得るものを用いることが好ましい。
【0072】
この構成によれば、例えば表面に凹溝を全く有しない研磨パッド、あるいは、表面に凹溝を有するが凹溝同士の間隔が貫通孔の直径よりも大きくて板状ガラス素材が重ね合わされた際に、凹溝同士の間の部分が貫通孔を一面側から塞いでしまうような研磨パッドを用いた場合でも、外部連通用通気路によって、吸着部で研磨した情報記録媒体用ガラス基板を吸着するに際して貫通孔内の空気が吸引されると、外部連通用通気路から貫通孔内に空気が導入され得る。したがって、このような構成の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、平面性の高い種々の研磨パッドを使用でき、研磨の均一性を高めることができる。
【0073】
また、他の一態様にかかる吸着具は、吸引装置に吸引可能に接続される吸引用通気路を有する吸着具本体と、前記吸引用通気路と連通した吸引口を有し前記吸着具本体と一体的に設けられた吸着部とを備え、前記吸着部を貫通孔を有する円盤状の被吸着部材に当接させた当接状態で前記吸引装置の作動に伴い前記吸着部の吸引口から吸引用通気路を介して吸引させることにより、吸着部で被吸着部材を吸着可能とした吸着具であって、前記当接状態で、前記非吸着部材に設けられた貫通孔が外部と連通し得るように構成される。
【0074】
このような構成の吸着具は、吸着部を被吸着部材に当接させた状態で、被吸着部材に設けられた貫通孔と外部とを連通できるように構成されているため、吸着部で被吸着部材を吸着するに際し、吸引口から貫通孔内の空気が吸引される場合に、被吸着部材の貫通孔内に空気を導入でき、被吸着部材と研磨装置の研磨パッドとが吸着するおそれの少ないものにできる。したがって、このような構成の吸着具は、吸着部で被吸着部材を強く吸着せずに済み、吸着部が有する異物が被吸着部材の表面に強く固着して残留するおそれの少ないものできる。しかも、このような構成の吸着具は、被吸着部材を研磨装置の研磨パッドから取り外し易いものにできる。
【0075】
また、他の一態様では、これら上述の態様において、前記吸着具は、前記当接状態で、前記情報記録媒体用ガラス基板(被吸着部材)に設けられた貫通孔と外部とを連通し得るように構成された外部連通用通気路を備え、前記外部連通用通気路は、前記吸着部に開口されて前記当接状態で前記貫通孔に連通するように配設される連通口と、その連通口と外部とを連通した連通路とを備えていることが好ましい。
【0076】
このような形態によれば、被吸着部材に設けられた貫通孔と外部とを簡易な構成で連結させることができる。
【0077】
また、他の一態様では、上述の吸着具において、前記吸着部は、前記被吸着部材に当接する当接パッドを備え、前記当接パッドは、その中心部に形成された中心孔と、前記当接状態で前記中心孔と外部とを連通できるように、前記中心孔から当該当接パッドの外周端に延ばされた溝とを備え、前記連通口は、前記中心孔から構成され、前記連通路は、前記溝を有していることが更に好ましい。
【0078】
このような構成の吸着具は、外部連通用通気路を容易に形成できる。また、例えば中心孔を、情報記録媒体用ガラス基板の貫通孔と同程度の大きさに形成しておけば、当接パッドを情報記録媒体用ガラス基板に当接させる際に、当接パッドが情報記録媒体用ガラス基板に対して所定位置から位置ずれした場合でも、このような構成の吸着具は、中心孔を情報記録媒体用ガラス基板の貫通孔に連通させることができ、貫通孔を外部に連通させた状態にできる。したがって、このような構成の吸着具は、情報記録媒体用ガラス基板に吸着させる際の作業を容易なものにできる。
【0079】
また、他の一態様では、いずれか上述の吸着具において、前記吸着部は、前記被吸着部材に当接する当接パッドを備え、前記当接パッドは、その中心部に形成された中心孔を備え、前記吸着具本体は、前記当接状態で前記中心孔と外部とを連通できるように、前記中心孔から当該吸着具本体の外周に貫通するようにあけられた本体連通孔とを備え、前記連通口は、前記中心孔から構成され、前記連通路は、前記本体連通孔を有していることも好ましい。
【0080】
このような構成の吸着具は、例えば当接パッドを情報記録媒体用ガラス基板に強い力で押し付けた場合でも外部連通用通気路が塞がれることがなく、確実に貫通孔と外部とを連通させた状態に維持できる。
【0081】
また、他の一態様では、いずれか上述の吸着具において、前記吸着部は、前記情報記録媒体用ガラス基板に当接する当接パッドを備え、前記当接パッドは、前記吸引口の周辺を含む一部に設けられており、前記情報記録媒体用ガラス基板に設けられた貫通孔は、前記当接パッドが設けられていない部分により外部と連通されていることも好ましい。
【0082】
このような構成の吸着具は、吸着具と情報記録用媒体との接触する部分を低減させることも可能となり、傷や異物の付着をより低減することが可能となる。
【0083】
この出願は、2010年6月30日に出願された日本国特許出願特願2010−148937を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
【0084】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0085】
1、200 吸着具
2、202 吸着具本体
3、203 吸着部
32、232 当接パッド
32a、232a 中心孔(連通口)
32b 溝(連通路)
23 吸引用通気路
34、234 外部連通用通気路
231 本体連通孔(連通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に貫通孔が設けられた円盤状の情報記録媒体用ガラス基板を製造する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であって、
中央部に貫通孔が設けられた円盤状のガラス素材の表面を研磨装置で研磨して情報記録媒体用ガラス基板を形成する工程と、
前記研磨された情報記録媒体用ガラス基板に吸着具を当接させて、前記情報記録媒体用ガラス基板に前記吸着具を吸着させた状態で、前記情報記録媒体用ガラス基板を前記研磨装置から取り出す工程、とを有し、
前記吸着具は、吸引装置に吸引可能に接続される吸引用通気路を有する吸着具本体と、前記吸引用通気路と連通した吸引口を有し前記吸着具本体と一体的に設けられた吸着部とを備え、
前記情報記録媒体用ガラス基板を前記研磨装置から取り出す工程においては、前記吸着部を前記情報記録媒体用ガラス基板に当接させた当接状態で、前記吸引装置の作動に伴い前記吸着部の吸引口から吸引用通気路を介して吸引させることにより、前記吸着部で前記情報記録媒体用ガラス基板が吸着されており、
前記当接状態で、前記情報記録媒体用ガラス基板に設けられた貫通孔が外部と連通されていることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項2】
前記研磨装置は、前記円盤状のガラス素材の表面を研磨する研磨パッドを備え、
前記研磨パッドとして、前記円盤状のガラス素材が重ね合わされた際に、前記貫通孔を前記円盤状のガラス素材の一面側から塞ぎ得るものを用いることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項3】
前記吸着具は、
前記当接状態で、前記情報記録媒体用ガラス基板に設けられた貫通孔と外部とを連通し得るように構成された外部連通用通気路を備え、
前記外部連通用通気路は、前記吸着部に開口されて前記当接状態で前記貫通孔に連通するように配設される連通口と、その連通口と外部とを連通した連通路とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項4】
前記吸着部は、前記情報記録媒体用ガラス基板に当接する当接パッドを備え、
前記当接パッドは、その中心部に形成された中心孔と、前記当接状態で前記中心孔と外部とを連通できるように、前記中心孔から当該当接パッドの外周端に延ばされた溝とを備え、
前記連通口は、前記中心孔から構成され、
前記連通路は、前記溝から構成されることを特徴とする請求項3に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項5】
前記吸着部は、前記情報記録媒体用ガラス基板に当接する当接パッドを備え、
前記当接パッドは、その中心部に形成された中心孔を備え、
前記吸着具本体は、前記当接状態で前記中心孔と外部とを連通できるように、前記中心孔から当該吸着具本体の外面に貫通するようにあけられた本体連通孔とを備え、
前記連通口は、前記中心孔から構成され、
前記連通路は、前記本体連通孔から構成されることを特徴とする請求項3に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項6】
前記吸着部は、前記情報記録媒体用ガラス基板に当接する当接パッドを備え、
前記当接パッドは、前記吸引口の周辺を含む一部に設けられており、
前記情報記録媒体用ガラス基板に設けられた貫通孔は、前記当接パッドが設けられていない部分により外部と連通されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
【請求項7】
吸引装置に吸引可能に接続される吸引用通気路を有する吸着具本体と、前記吸引用通気路と連通した吸引口を有し前記吸着具本体と一体的に設けられた吸着部とを備え、
前記吸着部を貫通孔を有する円盤状の被吸着部材に当接させた当接状態で前記吸引装置の作動に伴い前記吸着部の吸引口から吸引用通気路を介して吸引させることにより、吸着部で被吸着部材を吸着可能とした吸着具であって、
前記当接状態で、前記被吸着部材に設けられた貫通孔が外部と連通し得るように構成されたことを特徴とする吸着具。
【請求項8】
前記吸着具は、
前記当接状態で、前記被吸着部材に設けられた貫通孔と外部とを連通し得るように構成された外部連通用通気路を備え、
前記外部連通用通気路は、前記吸着部に開口されて前記当接状態で前記貫通孔に連通するように配設される連通口と、その連通口と外部とを連通した連通路とを備えていることを特徴とする請求項7に記載の吸着具。
【請求項9】
前記吸着部は、前記被吸着部材に当接する当接パッドを備え、
前記当接パッドは、その中心部に形成された中心孔と、前記当接状態で前記中心孔と外部とを連通できるように、前記中心孔から当該当接パッドの外周端に延ばされた溝とを備え、
前記連通口は、前記中心孔から構成され、
前記連通路は、前記溝から構成されることを特徴とする請求項8に記載の吸着具。
【請求項10】
前記吸着部は、前記被吸着部材に当接する当接パッドを備え、
前記当接パッドは、その中心部に形成された中心孔を備え、
前記吸着具本体は、前記当接状態で前記中心孔と外部とを連通できるように、前記中心孔から当該吸着具本体の外面に貫通するようにあけられた本体連通孔とを備え、
前記連通口は、前記中心孔から構成され、
前記連通路は、前記本体連通孔から構成されることを特徴とする請求項8に記載の吸着具。
【請求項11】
前記吸着部は、前記被吸着部材に当接する当接パッドを備え、
前記当接パッドは、前記吸引口の周辺に設けられており、
前記被吸着部材に設けられた貫通孔は、前記当接パッドが設けられていない部分により外部と連通されていることを特徴とする請求項7に記載の吸着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−155842(P2012−155842A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96247(P2012−96247)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2012−501483(P2012−501483)の分割
【原出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】