説明

情報記録装置

【課題】
セキュリティ制御に要する時間を短縮し、システムの負担を軽減することが可能な情報記録装置を提供する。
【解決手段】
音楽データ等のコンテンツのチェックアウトが行われる際に、コンテンツハッシュ算出部121で生成されたコンテンツハッシュがハッシュ情報保持部122に保持され、チェックインが行われる際に、ハッシュ情報保持部122に保持されたコンテンツハッシュが出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に記録されたコンテンツを特定するための一意情報を出力し、著作権保護のようなセキュリティ制御を行う情報記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ(パソコン)と、例えばMD(Mini Disc)機器のような情報記録再生装置(情報記録装置)との間をUSB(Universal Serial Bus)ケーブルで接続することによって、パソコン内の音楽データ(コンテンツ)をMD機器に転送し、MDディスクのような記録媒体にコンテンツを複製して利用するようになってきた。前記のような複製が行われるMD機器では、著作権保護のようなセキュリティ制御が行われるようになっている。
【0003】
前記のような情報記録装置としては、強固な著作権保護技術が特徴の1つであるNetMDと呼ばれる規格に基づいて、無秩序なコンテンツの拡散を防止する情報記録装置が知られている。このNetMD規格の著作権保護技術は、チェックイン・チェックアウト機能と呼ばれている。ここで、チェックアウトとは、パソコンからコンテンツを情報記録装置に転送し、記録媒体に複製する際の手順である。また、チェックインとは、複製されたコンテンツを消去する際の手順である。
【0004】
従来の情報記録装置は、チェックアウト時、チェックイン時に以下のように動作するようになっている。
【0005】
まず、チェックアウト時には、コンテンツをパソコンから情報記録装置に転送し、記録媒体に複製させる。次に情報記録装置が複製されたコンテンツを記録媒体から読み出して、そのコンテンツを特定するための一意情報(コンテンツハッシュ)を生成してパソコンに出力し、パソコンがコンテンツハッシュとコンテンツとを対応付けてパソコンに保存する。
【0006】
次に、チェックイン時には、情報記録装置が記録媒体のコンテンツを読み出して前記コンテンツハッシュを生成し、パソコンに送る。パソコンは、コンテンツと対応付けて保存してあるコンテンツハッシュとMD機器から送られてきたコンテンツハッシュを比較することによって、パソコンが保存しているコンテンツと消去するコンテンツとが同一か否かを確認する。これにより、パソコンから転送したコンテンツと同一のコンテンツが消去されたことが保証される。(例えば、特許文献1を参照。)
【特許文献1】特開2003−338125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のように、チェックイン時、およびチェックアウト時には、記録媒体からコンテンツが読み出され、読み出されたコンテンツを基に、コンテンツハッシュが生成されている。この結果、チェックイン、またはチェックアウトに要する時間全体のうちの多くの時間が、このコンテンツの読み出しの時間に費やされ、特に、複数のコンテンツが続けてチェックインされる場合には、コンテンツを読み出す動作が複数回実施されるため、読み出す動作時間がシステムの負担になっている。
【0008】
本発明は、前記の問題に着目してなされたものであり、セキュリティ制御に要する時間を短縮し、システムの負担を軽減することが可能な情報記録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため、請求項1の発明は、
他の装置から入力されたコンテンツデータをデータ用記録媒体に記録する情報記録装置であって、
コンテンツデータが前記データ用記録媒体に記録される際に、そのコンテンツデータを用いて、そのコンテンツデータを特定する一意情報を生成する一意情報生成部と、
生成された一意情報を一意情報用記録媒体に保持させるとともに、前記他の装置において前記データ用記録媒体に記録されたコンテンツデータの特定が行われる場合に、そのコンテンツデータについての一意情報を前記一意情報用記録媒体から読み出して、前記他の装置に出力する一意情報制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
これにより、データ用記録媒体に記録されたコンテンツデータを逐一読み出して前記一意情報を生成することなく高速に出力でき、コンテンツデータの特定に要する時間を短縮できる。
【0011】
また、請求項2の発明は、
請求項1の情報記録装置であって、
前記一意情報用記録媒体は、当該情報記録装置に設けられた揮発性メモリ、または不揮発性メモリであることを特徴とする。
【0012】
これにより、前記一意情報が情報記録装置に保持されるので、データ用記録媒体に記録されたコンテンツデータを逐一読み出して前記一意情報を生成することなく高速に出力でき、コンテンツデータの特定に要する時間を短縮できる。
【0013】
また、請求項3の発明は、
請求項2の情報記録装置であって、
前記データ用記録媒体は、交換可能な記録媒体であって、
前記一意情報制御部は、コンテンツデータが記録されるデータ用記録媒体を識別する識別情報に対応付けて、前記コンテンツデータについての一意情報の保持および出力が行われるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
これにより、複数のデータ用記録媒体を交換して使用しても、交換したデータ用記録媒体のコンテンツデータに対応した前記一意情報を高速に出力でき、コンテンツデータの特定に要する時間を短縮できる。
【0015】
また、請求項4の発明は、
請求項3の情報記録装置であって、
前記一意情報制御部は、新たな一意情報を記録するために、既に記録されている一意情報を消去する場合に、データ用記録媒体の最終使用日時が古い、使用頻度が少ない、または当該情報記録装置の使用者が指定したデータ用記録媒体に記録されたコンテンツデータについての一意情報を消去するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、一意情報用記録媒体の空き容量がなくなった場合などに、一意情報用記録媒体が適切なコンテンツに対しての一意情報を保持でき、一意情報の出力を高速化することが可能になる。
【0017】
また、請求項5の発明は、
請求項1の情報記録装置であって、
前記一意情報制御部は、前記一意情報用記録媒体とデータ用記録媒体とを兼用し、前記一意情報を前記データ用記録媒体に記録するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
これにより、データ用記録媒体に記録した全てのコンテンツデータについての一意情報を高速に出力できる。
【0019】
また、請求項6の発明は、
請求項1の情報記録装置であって、
前記一意情報制御部は、データ用記録媒体に記録されたデータが読み出し可能かどうかにかかわらず、前記一意情報用記録媒体に保持されている前記コンテンツデータについての一意情報を出力するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
これにより、前記一意情報の生成に必要なコンテンツデータが削除された場合や、読み出せないような場合などでも、前記一意情報を高速に出力できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コンテンツハッシュなどの一意情報を出力する場合、逐一記録媒体からコンテンツを読み出して前記一意情報を生成する必要がないので、セキュリティ制御に要する時間を短縮し、システムの負担を軽減することが可能になり、さらに何らかの原因で、前記一意情報の生成に必要なデータが削除された場合や、読み出せないような場合などでも、前記一意情報を出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態として、例えばNetMD規格のチェックイン・チェックアウトと呼ばれる機能に基づいて、パソコンから転送された音楽データの複製、前記コンテンツハッシュの生成、および生成したコンテンツハッシュを出力する装置の例を図面を参照しながら説明する。
【0023】
《発明の実施形態1》
(情報記録再生装置の構成)
発明の実施形態1に係る情報記録再生装置は、例えばハードディスクのような交換不可能な記録媒体に対し、音楽データの複製を行う装置の例である。
【0024】
この情報記録再生装置100は、図1に示すように、NetMD制御部110、ユーザインターフェイス制御部120、記録装置130、およびシステム制御部140を備えて構成されている。これらの構成要素のうち、ユーザインターフェイス制御部120以外は、従来の情報記録再生装置にも備えられている構成要素である。具体的には、ユーザインターフェイス制御部120の後述するハッシュ情報保持部122、およびハッシュ情報制御部123の部分が新たな構成要素である。
【0025】
NetMD制御部110は、USBケーブル410介して通信を行うUSBインタフェースを備え、パソコン400とのデータ等の通信を行うようになっている。
【0026】
ユーザインターフェイス制御部120は、コンテンツハッシュ算出部121、ハッシュ情報保持部122、ハッシュ情報制御部123、送受信部124、および送受信部125を備えて構成され、コンテンツハッシュの生成、および保持を行うようになっている。
【0027】
コンテンツハッシュ算出部121は、記録媒体から読み出された音楽データ(具体的には、音楽データ中の1/2位置、および3/4位置のサウンドグループ情報)を用いて、音楽データを特定するための一意情報(ユニークな情報)であるコンテンツハッシュを生成するようになっている。
【0028】
ハッシュ情報保持部122は、例えば、揮発性メモリ、または不揮発性メモリによって構成され、前記コンテンツハッシュを保持するようになっている。
【0029】
ハッシュ情報制御部123は、ハッシュ情報保持部122に対するコンテンツハッシュの書き込み、および読み出しの制御を行うようになっている。
【0030】
送受信部124は、NetMD制御部110との間でデータの送受を行うようになっている。また、送受信部125は、システム制御部140(送受信部142)との間でデータの送受を行うようになっている。
【0031】
記録装置130は、ハードディスクのような交換不可能な記録媒体に対し、データの記録、および読み出しを行うようになっている。
【0032】
システム制御部140は、情報入出力部141、およびコンテンツデータの送受を行う送受信部142を備えて構成され、情報入出力部141によって、記録装置130の行う前記データの記録、および読み出しを制御するようになっている。
【0033】
パソコン400は、チェックアウト時に、音楽データの転送、および情報記録装置から入力されたコンテンツハッシュの保存を行い、チェックイン時に、複製元の音楽データと消去する音楽データとの同一性の確認を行うようになっている。
【0034】
(情報記録再生装置の動作)
まず、チェックアウト時の動作について説明する。なお、以下の説明においては、通常行われる認証などのやりとりは省略してある。
【0035】
パソコン400は、USBケーブル410を介して、トラック属性、データサイズ、およびトラックモード等の詳細情報を情報記録再生装置100のNetMD制御部110に送る。
【0036】
NetMD制御部110は、前記詳細情報をユーザインターフェイス制御部120(送受信部124)に出力し、ユーザインターフェイス制御部120は、送受信部125を介して、前記詳細情報をシステム制御部140(送受信部142)に出力する。そして、システム制御部140の情報入出力部141は、前記詳細情報を記録装置130に送る。
【0037】
次に、パソコン400は、複製する音楽データをNetMD制御部110に転送する。転送された音楽データは、前記詳細情報と同様にして、システム制御部140に入力され情報入出力部141がNetMD規格に基づいて、音楽データを記録装置130の記録媒体に記録する。
【0038】
1曲の音楽データの複製が終わると、コンテンツハッシュ算出部121は、システム制御部140に対し、記録媒体に記録された音楽データのうちの1/2位置(P1 Data)、および3/4位置(P2 Data)のサウンドグループ情報の読み出しを要求する。システム制御部140は、この要求に応じ、記録装置130を制御することによって、前記サウンドグループ情報を読み出し、ユーザインターフェイス制御部120に出力する。コンテンツハッシュ算出部121は、読み出された前記サウンドグループ情報から一意的に求まるコンテンツハッシュを生成し、ハッシュ情報制御部123に出力する。ハッシュ情報制御部123は、例えば、曲名や曲のIDのような記録媒体上の音楽データとコンテンツハッシュとを結びつける情報と対応付けて、コンテンツハッシュをハッシュ情報保持部122に保持させる一方、NetMD制御部110を介して、パソコン400に出力する。
【0039】
パソコン400は、コンテンツハッシュをパソコン400が保存している音楽データと対応付けて保存する。
【0040】
なお、複数の音楽データが続けてチェックアウトされる場合は、チェックアウトされるそれぞれの音楽データのコンテンツハッシュが前記のように生成され、パソコン400に出力される一方、音楽データと対応付けてハッシュ情報保持部122に保持される。
【0041】
次に、チェックアウトされた音楽データをチェックインする動作について説明する。
【0042】
図2は、チェックイン時におけるパソコン400、および情報記録再生装置100の各構成要素間のフロー制御を示すものである。各制御ステップは、S101、S102、S103、S104の順に実行され、各制御ステップの動作は、以下の通りである。
【0043】
[S101] パソコン400は、NetMD制御部110に対し、コンテンツハッシュを要求する情報を送る。
【0044】
[S102] NetMD制御部110は、この要求をユーザインターフェイス制御部120に出力する。
【0045】
[S103] ユーザインターフェイス制御部120のハッシュ情報制御部123は、前記の要求に応答し、ハッシュ情報保持部122からコンテンツハッシュを読み出し、NetMD制御部110に出力する。
【0046】
[S104] NetMD制御部110は、このコンテンツハッシュをパソコン400に出力する。
【0047】
S104の制御ステップが実施された後、パソコン400は、音楽データに対応付けて保存したコンテンツハッシュと情報記録再生装置100(NetMD制御部110)が出力したコンテンツハッシュとを比較することによって、パソコンが保存している音楽データと記録媒体に記録された音楽データの同一性を確認する。
【0048】
なお、複数の音楽データが、続けてチェックインされる場合は、それぞれの音楽データに対して前記S101以降の動作が実行される。
【0049】
前記のように、本実施形態によれば、記録媒体に記録された音楽データのコンテンツハッシュをパソコンに出力する場合、逐一記録媒体から音楽データを読み出してコンテンツハッシュを生成する必要がないので、セキュリティ制御に要する時間を短縮し、システムの負担を軽減することが可能になる。
【0050】
また、何らかの原因で、コンテンツハッシュの生成に必要なデータが記録装置130の記録媒体から削除された場合や、読み出せないような場合などでも、ハッシュ情報保持部122に保持されたコンテンツハッシュを出力することによって、チェックインが可能になる。
【0051】
《発明の実施形態2》
発明の実施形態2に係る情報記録再生装置200は、実施形態1で示したように記録装置130にハードディスクのように交換不可能な記録媒体を用いるのではなく、例えば、MDディスクのような交換可能な記録媒体を用いる例である。なお、以下の実施形態において前記実施形態1等と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
情報記録再生装置200は、図3に示すように、実施形態1と比べ、ユーザインターフェイス制御部120に代えて、ユーザインターフェイス制御部220を備えて構成されている点が異なっている。このユーザインターフェイス制御部220は、コンテンツハッシュ算出部121、送受信部124、送受信部125、ディスクID・ハッシュ情報保持部222、ハッシュ情報制御部223、およびディスクID判別部224を備えている。
【0053】
ディスクID・ハッシュ情報保持部222は、例えば、揮発性メモリ、または不揮発性メモリによって構成され、前記コンテンツハッシュを記録装置130に装填されている記録媒体に記録されている固有のディスクIDと前記コンテンツハッシュとを対応付けて保持するようになっている。
【0054】
ハッシュ情報制御部223は、ディスクID判別部224を制御することによって、ディスクID・ハッシュ情報保持部222にコンテンツハッシュの入出力を行うようになっている。
【0055】
ディスクID判別部224は、ハッシュ情報制御部223の制御に応じて、コンテンツハッシュをシステム制御部140を介して読み取られたディスクID、および前記記録媒体上の音楽データとコンテンツハッシュとを結びつける情報と対応付けてディスクID・ハッシュ情報保持部222へ書き込み、さらに記録装置130に装填されている記録媒体のディスクIDを判別し、判別したディスクID、および前記記録媒体上の音楽データとコンテンツハッシュとを結びつける情報に対応するコンテンツハッシュの読み出しを行うようになっている。
【0056】
前記のように構成された情報記録再生装置200では、コンテンツハッシュが実施形態1と同様にして生成され、パソコン400に出力される。
【0057】
また、記録装置130に装填されている記録媒体のディスクIDは、システム制御部140を介してユーザインターフェイス制御部220に出力され、ディスクID・ハッシュ情報保持部222に保持される。ハッシュ情報制御部223は、前記コンテンツハッシュを前記ディスクIDと対応付けて、ディスクID・ハッシュ情報保持部222に保持させる。
【0058】
なお、複数の音楽データが続けてチェックアウトされる場合は、それぞれの音楽データのコンテンツハッシュが生成され、パソコン400に出力されるとともに、前記ディスクIDと対応付けられ、ディスクID・ハッシュ情報保持部222に保持される。
【0059】
また、例えば別の記録媒体に音楽データを複製するために、記録媒体が交換された場合には、前記と同様にして、コンテンツハッシュの生成、新しく装填された記録媒体のディスクIDの読み取りが行われ、コンテンツハッシュは、パソコン400への出力される一方、前記ディスクID等の情報と対応付けられてディスクID・ハッシュ情報保持部222に保持される。
【0060】
コンテンツハッシュを記憶させるためのディスクID・ハッシュ情報保持部222の空き容量がなくなった場合などには、例えば、コンテンツハッシュを削除することによって、最近使用した複数の記録媒体、使用頻度の高い複数の記録媒体、または使用者が選択した複数の記録媒体のコンテンツハッシュがディスクID・ハッシュ情報保持部222に残されるようにしてもよい。これにより、ディスクID・ハッシュ情報保持部222が適切なコンテンツに対してのコンテンツハッシュを保持でき、コンテンツハッシュの出力を高速化することが可能になる。
【0061】
次に、チェックイン時の動作について説明する。本実施形態のチェックイン時の動作は、図2に示すフロー制御とほぼ同様の制御が行われるが、同図におけるS103のステップの動作が異なっている(本実施形態では、この制御ステップをS203とする。)。
【0062】
すなわち、チェックインの開始により、S101、およびS102の動作が実施された後、S203では、システム制御部140を介して読み取られた前記ディスクIDがディスクID判別部224に出力される。ディスクID判別部224は、前記ディスクIDを判別する。そして、ディスクIDに対応するコンテンツハッシュがディスクID・ハッシュ情報保持部222から読み出され、ハッシュ情報制御部223に出力される。ハッシュ情報制御部223は、このコンテンツハッシュをNetMD制御部110に出力する。
【0063】
以上のS203の制御ステップが実施された後、前記S104の制御ステップが実施され、さらにパソコン400によって、音楽データの同一性が確認される。
【0064】
なお、複数の音楽データが続けてチェックインされる場合は、S101、S102、S203、S104の一連の制御ステップが複数回実施される。
【0065】
前記のように、本実施形態においても、セキュリティ制御に要する時間を短縮し、システムの負担を軽減することが可能になる。また、何らかの原因で、コンテンツハッシュの生成に必要なデータが、削除された場合や、読み出せないような場合などでも、ディスクID・ハッシュ情報保持部222に保持されたコンテンツハッシュを出力することによって、チェックインできる。
【0066】
しかも、記録媒体に固有のディスクIDによって記録媒体を識別するので、複数の記録媒体を交換して使用しても、交換した記録媒体の音楽データに対応したコンテンツハッシュの出力に要する時間を短縮することができる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3に係る情報記録再生装置300は、前記のように、揮発性メモリ、または不揮発性メモリにコンテンツハッシュを保持するのではなく、音楽データが複製される記録媒体にコンテンツハッシュを記録する例である。なお、本実施形態には、交換可能な記録媒体、および交換不可能な記録媒体の何れの記録媒体も適用できる。
【0067】
情報記録再生装置300は、図4に示すように、実施形態1のユーザインターフェイス制御部120に代えて、コンテンツハッシュ算出部121、送受信部124、および送受信部125を有するユーザインターフェイス制御部320を備え、さらにシステム制御部140に代えてシステム制御部340を備えて構成されている。
【0068】
このシステム制御部340は、情報入出力部141、送受信部142、ハッシュ情報保持部342、およびハッシュ情報制御部343を備えて構成されている。
【0069】
ハッシュ情報保持部342は、例えば、揮発性メモリ、または不揮発性メモリによって構成され、前記コンテンツハッシュを一旦保持するようになっている。
【0070】
ハッシュ情報制御部343は、ハッシュ情報保持部342に対するコンテンツハッシュの書き込み、および読み出しの制御を行い、さらに記録装置130の記録媒体からのコンテンツハッシュの読み出しを制御するようになっている。
【0071】
このように構成された情報記録再生装置300では、チェックアウトが行われる場合には、まず実施形態1と同様にして、コンテンツハッシュ算出部121によってコンテンツハッシュが生成される。生成されたコンテンツハッシュは、NetMD制御部110を介して、パソコン400に出力されるとともに、ハッシュ情報制御部343の制御によってハッシュ情報保持部342に保持される。なお、複数の音楽データが続けてチェックアウトされる場合は、チェックアウトされるそれぞれの音楽データのコンテンツハッシュが前記のように生成され、パソコン400に出力され、さらにハッシュ情報保持部342に保持される。
【0072】
ハッシュ情報制御部343は、コンテンツハッシュの生成が終了した後に、情報入出力部141を介して、ハッシュ情報保持部342に保持されているコンテンツハッシュを記録装置130の記録媒体に記録する。
【0073】
次に、チェックインが行われる場合の動作について説明する。
【0074】
図5は、チェックイン時におけるパソコン400、および情報記録再生装置300の各構成要素間のフロー制御を示すものである。各制御ステップは、S201、S202...S209の順に実行され、各制御ステップの動作は、以下の通りである。
【0075】
[S201] ユーザインターフェイス制御部320は、システム制御部340に対し、コンテンツハッシュを要求する情報を送る
[S202] システム制御部340は、ハッシュ情報制御部343を使用して、記録装置130の記録媒体に保持されていたコンテンツハッシュを読み出し、ハッシュ情報保持部342に保持させる。
【0076】
[S203] システム制御部340は、コンテンツハッシュの読み出し完了を示す所定の信号をユーザインターフェイス制御部320に出力する。
【0077】
[S204] パソコン400は、NetMD制御部110に対し、コンテンツハッシュの出力を要求する。
【0078】
[S205] NetMD制御部110は、コンテンツハッシュの出力の要求をユーザインターフェイス制御部320に出力する。
【0079】
[S206] ユーザインターフェイス制御部320は、システム制御部340に対して、コンテンツハッシュの出力を要求する。
【0080】
[S207] ハッシュ情報制御部343は、前記の要求に応答して、ハッシュ情報保持部342からコンテンツハッシュを読み出し、NetMD制御部110に出力する。
【0081】
[S208] ユーザインターフェイス制御部320は、システム制御部340が出力したコンテンツハッシュをNetMD制御部110に出力する。
【0082】
[S209] NetMD制御部110は、ユーザインターフェイス制御部320が出力したコンテンツハッシュをパソコン400に出力する。
【0083】
S209の制御ステップが実施された後、パソコン400は、音楽データに対応付けて保存したコンテンツハッシュと情報記録再生装置300(NetMD制御部110)が出力したコンテンツハッシュとを比較することによって、パソコンが保存している音楽データと記録媒体に記録された音楽データの同一性を確認する。
【0084】
なお、複数の音楽データがチェックインされる場合には、S204以降の動作が繰り返される。
【0085】
前記のように、本実施形態においても、セキュリティ制御に要する時間を短縮し、システムの負担を軽減することが可能になる。また、何らかの原因で、コンテンツハッシュの生成に必要なデータが削除された場合や、読み出せないような場合などでも、コンテンツハッシュさえ記録媒体から読み取ることができれば、チェックインできる。
【0086】
しかも、音楽データが複製される記録媒体にコンテンツハッシュを保持させるので、情報記録再生装置内部のハッシュ情報保持部の容量に左右されることなく、複製した全ての音楽データについてのコンテンツハッシュを出力できる。
【0087】
なお、記録媒体は、前記の実施形態で示したハードディスクやMDディスクに限られずコンテンツ等を記録できるものであればよい。
【0088】
また、前記コンテンツは、音楽データに限られず、例えば、画像データなどでもよい。
【0089】
また、複製を行う際の規格はNetMD規格に限られず、コンテンツハッシュなどの一意情報を用いてコンテンツの特定を行うものであればよい。
【0090】
また、パソコンと情報記録再生装置の接続に用いるインターフェースは、前記USBに限られず、双方向でデータの送受信が可能なものであればよい。
【0091】
また、前記実施形態は、再生機能を有しない装置に対して適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る情報記録装置は、コンテンツハッシュなどの一意情報を出力する場合、逐一記録媒体からコンテンツを読み出して前記一意情報を生成する必要がないので、セキュリティ制御に要する時間を短縮し、システムの負担を軽減することが可能になり、さらに何らかの原因で、前記一意情報の生成に必要なデータが削除された場合や、読み出せないような場合などでも、前記一意情報を出力できるという効果を有し、記録媒体に記録されたコンテンツを特定するための一意情報を出力し、著作権保護のようなセキュリティ制御を行う情報記録装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1のチェックイン時における、パソコン、および記録再生装置の各構成要素間のフロー制御を示す図である。
【図3】本発明の実施形態2の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態3の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態3のチェックイン時における、パソコン、および記録再生装置の各構成要素間のフロー制御を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
100 情報記録再生装置
110 NetMD制御部
120 ユーザインターフェイス制御部
121 コンテンツハッシュ算出部
122 ハッシュ情報保持部
123 ハッシュ情報制御部
124 送受信部
125 送受信部
130 記録装置
140 システム制御部
141 情報入出力部
142 送受信部
200 情報記録再生装置
220 ユーザインターフェイス制御部
222 ディスクID・ハッシュ情報保持部
223 ハッシュ情報制御部
224 ディスクID判別部
300 情報記録再生装置
320 ユーザインターフェイス制御部
340 システム制御部
342 ハッシュ情報保持部
343 ハッシュ情報制御部
400 パソコン
410 USBケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置から入力されたコンテンツデータをデータ用記録媒体に記録する情報記録装置であって、
コンテンツデータが前記データ用記録媒体に記録される際に、そのコンテンツデータを用いて、そのコンテンツデータを特定する一意情報を生成する一意情報生成部と、
生成された一意情報を一意情報用記録媒体に保持させるとともに、前記他の装置において前記データ用記録媒体に記録されたコンテンツデータの特定が行われる場合に、そのコンテンツデータについての一意情報を前記一意情報用記録媒体から読み出して、前記他の装置に出力する一意情報制御部と、
を備えたことを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
請求項1の情報記録装置であって、
前記一意情報用記録媒体は、当該情報記録装置に設けられた揮発性メモリ、または不揮発性メモリであることを特徴とする情報記録装置。
【請求項3】
請求項2の情報記録装置であって、
前記データ用記録媒体は、交換可能な記録媒体であって、
前記一意情報制御部は、コンテンツデータが記録されるデータ用記録媒体を識別する識別情報に対応付けて、前記コンテンツデータについての一意情報の保持および出力が行われるように構成されていることを特徴とする情報記録装置。
【請求項4】
請求項3の情報記録装置であって、
前記一意情報制御部は、新たな一意情報を記録するために、既に記録されている一意情報を消去する場合に、データ用記録媒体の最終使用日時が古い、使用頻度が少ない、または当該情報記録装置の使用者が指定したデータ用記録媒体に記録されたコンテンツデータについての一意情報を消去するように構成されていることを特徴とする情報記録装置。
【請求項5】
請求項1の情報記録装置であって、
前記一意情報制御部は、前記一意情報用記録媒体とデータ用記録媒体とを兼用し、前記一意情報を前記データ用記録媒体に記録するように構成されていることを特徴とする情報記録装置。
【請求項6】
請求項1の情報記録装置であって、
前記一意情報制御部は、データ用記録媒体に記録されたデータが読み出し可能かどうかにかかわらず、前記一意情報用記録媒体に保持されている前記コンテンツデータについての一意情報を出力するように構成されていることを特徴とする情報記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−190185(P2006−190185A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2838(P2005−2838)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】