説明

情報読取装置

【課題】 カメラで情報コードを短時間で読み取り得る情報読取装置を提供する。
【解決手段】 CPU22のバッファ22bに蓄積した画像データをデジタルバス28を介して間欠的に画像用メモリ24へ送る休止時間にデコードを行うことで、カメラ12から送られる画像データのCPU22のバッファ22bへの蓄積と、デコードとを同時に行うことが可能となり、カメラ12からの画像の取り込みとデコードとの時間を短くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等に貼り付けられているバーコード、QRコード(登録商標)等の光学情報を読み取る情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙などの基材にバーコードやQRコードなどの光学情報を印刷したものを物品や書類に取り付け、これを光学的に読み取り、物品の識別などを行う光学情報読取装置が知られている。係る光学情報読取装置は、受光素子で撮像した光学情報の画像を一旦画像用メモリに取り込んでからデコードを行っていた。特許文献1には、画像取り込み後にデコードを行う情報コード読取装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−196633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、情報コード読取装置では、画像取り込みとデコードとをデコードが成功するまで繰り返すので、画像データの取り込み後にデコードを開始すると、情報コードの読み取りまでの時間が長くなるという課題があった。
【0004】
上記目的を達成するため、本発明は、情報コードを短時間で読み取り得る情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1は、カメラ12で撮像した画像をデコードする情報読取装置10であって、
カメラ12から送られる画像データをバッファ22bに蓄積する画像データ蓄積手段と:
前記バッファ22bに蓄積した画像データをバスライン28を介して間欠的に送り、画像用メモリ24に保持させる画像データ転送手段と:
該画像用メモリ24に保持された画像データを前記バスライン28を介して取得し、デコードするデコード手段と:を備え、
前記バッファ22bの容量を、前記デコード手段によるデコード処理をブロック毎に分割し、分割されたブロックを処理する処理時間のうち最も長くなる処理時間においても、前記画像データ蓄積手段による前記カメラ12からの画像データの蓄積が継続可能なように調整するバッファ容量調整手段を有し、
前記デコード手段は、分割された前記デコードの各ブロックのうち少なくとも1つのブロックの処理後にデコードを中断し;
中断中に前記バッファ22bに蓄積した画像データをバスライン28を介して画像用メモリ24へ送ることで、当該バスライン28を介して画像用メモリ24に画像データを転送する処理を最大バッファ容量となる時間内に開始し;
前記デコード手段は、転送終了後にデコードを再開することを技術的特徴とする。
【0006】
また、請求項2は、カメラ12で撮像した画像をデコードする情報読取装置10であって、
カメラ12から送られる画像データをバッファ22bに蓄積する画像データ蓄積手段と:
前記バッファ22bに蓄積した画像データをバスライン28を介して間欠的に送り、画像用メモリ24に保持させる画像データ転送手段と:
該画像用メモリ24に保持された画像データを前記バスライン28を介して取得し、デコードするデコード手段と:を備え、
前記バッファ22bにおける前記カメラ12からの画像データが最大バッファ容量となる前の、事前に設定したバッファサイズに達すると前記デコード手段に通知する通知手段を有し、
前記デコード手段は、前記通知手段からの通知を受けた後、デコード処理を構成する分割された前記デコードの各ブロックのうち少なくとも1つのブロックの処理後にデコードを中断し;
前記バッファ22bに蓄積した画像データをバスライン28を介して画像用メモリ24へ送ることで、当該バスライン28を介して画像用メモリ24に画像データを転送する処理を最大バッファ容量となる時間内に開始し;
前記デコード手段は転送終了後にデコードを再開することを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の情報読取装置では、バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して間欠的に画像用メモリへ送る休止時間にデコードを行うことで、カメラから送られる画像データのバッファへの蓄積と、デコードとを同時に行うことが可能となり、カメラからの画像の取り込みとデコードとの時間を短くすることができる。ここで、バッファの容量を、デコード処理の分割されたブロックを処理する処理時間のうち最も長くなる処理時間においても、カメラからの画像データの蓄積が継続可能なように調整する。そして、デコード処理を構成する分割されたデコードの各ブロックのうち少なくとも1つのブロックの処理後にデコードを中断することで、バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して間欠的に画像用メモリへ送る休止時間にデコードを行い、当該バスラインを介して画像用メモリに画像データを保持させる間欠送りを妨げないようにでき、カメラからの画像データがバッファの容量を超え、該バッファに保持されない事態を生じせしめない。
【0008】
請求項2の情報読取装置では、バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して間欠的に画像用メモリへ送る休止時間にデコードを行うことで、カメラから送られる画像データのバッファへの蓄積と、デコードとを同時に行うことが可能となり、カメラからの画像の取り込みとデコードとの時間を短くすることができる。ここで、バッファにおけるカメラからの画像データが最大バッファ容量となる前の、事前に設定したバッファサイズに達すると、蓄積完了が間近であることをデコード手段に通知し、該デコード手段は、通知を受けた後、デコード処理を構成する分割されたデコードの各ブロックのうち少なくとも1つのブロックの処理後にデコードを中断することで、バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して間欠的に画像用メモリへ送る休止時間にデコードを行い、当該バスラインを介して画像用メモリに画像データを保持させる間欠送りを妨げないようにできる。
【0009】
請求項3の情報読取装置では、バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して間欠的に画像用メモリへ送る休止時間にデコードを行うことで、カメラから送られる画像データのバッファへの蓄積と、デコードとを同時に行うことが可能となり、カメラからの画像の取り込みとデコードとの時間を短くすることができる。ここで、バッファの容量を、デコード処理の分割されたブロックを処理する処理時間のうち最も長くなる処理時間においても、カメラからの画像データの蓄積が継続可能なように調整する。更に、バッファにおけるカメラからの画像データが最大バッファ容量となる前の、事前に設定したバッファサイズに達すると、蓄積完了が間近であることをデコード手段に通知する。デコード手段は、通知を受けた後、デコード処理を構成する分割されたデコードの各ブロックのうち少なくとも1つのブロックの処理後にデコードを中断することで、バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して間欠的に画像用メモリへ送る休止時間にデコードを行い、当該バスラインを介して画像用メモリに画像データを保持させる間欠送りを妨げないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の情報読取装置を情報コード読取装置に適用した実施形態について図を参照して説明する。まず、第1実施形態に係る情報コード読取装置10の構成概要を図1に基づいて説明する。
【0011】
図1は情報コード読取装置10の構成を示すブロック図である。情報コード読取装置10は、主に、照明光源16、結像レンズ14、CCDから成る受光センサ12、受光センサ12からのアナログ出力をA/D変換するA/D変換器32、A/D変換された画像信号を処理するメイン回路20、コンピュータ120との間の信号を制御する信号のやりとりを制御する信号IF36、種々の制御を行う制御IF36,読み取り音を出力するブザー38等から構成されている。
【0012】
図2はメイン回路20の回路構成を示すブロック図である。
画像データからの情報コードのデコードを行うメイン回路20は、CPU22と、DRAMからなる画像用メモリ24とから成り、CPU22と画像用メモリ24とは画像信号を転送するためのデジタルバス28で接続されている。CPU22はバッファ22bを内蔵している。ここで、画像用メモリ24はSDRAMで構成することもできる。カメラ12からA/D変換器(図2中で図略)でデジタル信号に変換された画像信号は、カメラインタフェイスを介してCPU22へ送られ、CPU22のバッファ22bに一旦蓄積される。そして、データ量が一定にまで蓄えられると画像用メモリ24へデジタルバス28を介して転送される。CPU22は、画像用メモリ24に蓄えられた画像データをデジタルバス28を介して取り出し、情報コードのデコードを行う。
【0013】
引き続き、第1実施形態の情報コード読取装置10での画像データの転送について図2及び図3を参照して説明する。図3(1)はカメラ12からの画像信号のCPU22のバッファ22bへの送信を示し、図3(2)はバッファ22bからのデジタルバス28を介しての画像用メモリ24への転送を示すタイミングチャートである。第1実施形態では、デジタルバス28の空き時間に、画像データをCPU22のバッファ22bからデジタルバス28を介して画像用メモリ24へ間欠的に転送する。
【0014】
図4を参照して第1実施形態の情報コード読取装置10での画像取り込みとデコードとの処理について説明する。図4(A)は従来技術での画像取り込みとデコードとの処理について説明図である。従来技術では、カメラで画像を取り込んだ後、カメラの画像をデコードしていた。
【0015】
図4(B)は第1実施形態の情報コード読取装置10での画像取り込みとデコードとの処理について説明図である。
第1実施形態では、画像取り込みとデコードとを同時に行う。即ち、カメラで画像を取り込んでいる最中に、前回カメラで取り込んだ画像のデコードを行う。このため、図4(A)に示す従来技術の方法に対して、カメラの画像のデコードまでの時間を短縮できる。
【0016】
この処理タイミングについて、更に、図5及び図6を参照して説明する。
図5(A)及び図5(B)は、画像データ転送とデコードとの関係を示すタイミングチャートである。
図5(A)中で、(3)はカメラからの画像信号のCPU22のバッファ22bへの送信を示し、(4)はバッファ22bからのデジタルバス28を介しての画像用メモリ24への転送を示し、(5)は、CPU22による画像用メモリ24からデジタルバス28を介して画像を取得してのデコード処理を示している。第1実施形態では、上述したように、画像データを継続的に取得し、デジタルバス28を介して画像用メモリ24へ画像データを間欠的に転送し、この空き時間を利用してCPU22はデコードを行う。このため、画像データの取得と、デコードとを同時に行うことができる。
【0017】
第1実施形態では、画像用メモリ24へ画像データを間欠的に転送し、この空き時間を利用してデコードを行うために、間欠転送の前にデコードを一旦停止(中断)し、転送後にデコードを再開する。ここで、図5(B)中では、画像の転送と、デコードとがかち合った場合を示している。デコードの一旦停止が遅れ、デコードとデータの転送とが重なると、即ち、デジタルバス28の利用がかち合うと、画像データの取りこぼしが生じる可能性がある。
【0018】
図6は、画像データの転送周期と転送時間との関係を示すタイミングチャートである。図中(3)はカメラからの画像信号のCPU22のバッファ22bへの転送を示し、(4)はバッファ22bからのデジタルバス28を介しての画像用メモリ24への転送を示している。バッファ22bに蓄える画像データの量を少なくし、転送周期を短くすると転送時間は短くなり、反対に、バッファ22bに蓄える画像データの量を多くし、転送周期を長くすると転送時間は長くなる。
【0019】
第1実施形態では、デコード処理の中断を可能にするため、図7に示すようにデコード処理をブロック(ステップ)毎に分割する。即ち、中断が可能な処理(分割が可能なデコード処理の最小処理単位)毎に分割しておく。そして、各ステップでの処理時間を記憶しておき、最も長くかかるステップでの処理を基準に中断のタイミングを決定する。
【0020】
更に、デコード処理を中断するために、バッファ22bで画像データが最大バッファ容量となる前の、事前に設定したバッファサイズに達するとCPU22から通知信号が出力される。即ち、CPU22は、バッファ22bに設定したバッファサイズを検出する。図8(A)は、CPU22のバッファ22bの構造を示している。32byteで構成されるバッファ22bは、画像データの蓄積がn1(=16byte)に達したことを検出すると、検出フラグを立て(検出フラグを立てることを便宜上CPU22からCPU22への予告通知と呼ぶ)、デコードの中断処理を開始する。
【0021】
更に、第1実施形態では、上述したデコードの最も時間が長くかかるステップで、上記n1(=16byte)での通知後にデコードを中断しても、最も時間が長くかかるステップでの処理を中断する以前に、最大バッファ容量(32byte)に達してしまう場合には、バッファ容量を増やす。即ち、CPU22のバッファ22bの容量を図8(A)に示す32byteから図8(B)に示すように36byteに増やす。
【0022】
上述した第1実施形態のCPU22での画像蓄積及び転送処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
先ず、CPU22は、カメラ12から送られた画像データのバッファ22bへの蓄積を図8(B)を参照して上述したように開始する(S52)。そして、所定のタイミング(n1=16byte)に達したかを判断し(S54)。所定のタイミングに達すると(S54:Yes)、CPU22側に完了予告を通知(フラグを立てる)する(S56)。そして、画像データが32byteに達して、蓄積が完了したら(S58:Yes)、画像データを図3(2)を参照して上述したように、デジタルバス28を介して画像用メモリ24に転送し(S62)、転送の完了をCPU22側に通知(フラグを立てる)する(S64)。
【0023】
引き続き、CPU22でのデコード処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。
上述した画像データ転送終了の通知を受けると(S72:Yes)、図7を参照して上述したデコードの各ステップ(Step A、Step B、・・・Step X)の処理を行い(S74)、各ステップの処理に要した時間を記憶していく(S76)。例えば、Step A=3ms、Step B=6ms・・・。そして、CPU22の内部処理で、完了予告が通知があるか(フラグが立っているか)を判断する(S78)。完了予告が有るまでは(S78:No)、デコードが終了したかを判断し(S82)、デコードが終了するまで(S82:No)、S74に戻り、各ステップの処理を継続する。ここで、CPU22の内部処理で完了予告の通知があると(S78:Yes)、処理中のステップを完了した時点でデコードを中断し(S80)、S72に戻り、画像データの転送完了まで待機し、転送完了後にデコードを再開する(S74)。
【0024】
上記処理を繰り返し、デコードが完了すると(S82:Yes)、上述したS72で記憶した各ステップの処理時間中で最長時間のステップを特定する(S84)。ここでは、Step Bが6msで最長であったとする。そして、この最長時間(6ms)が、バッファ転送から次の転送までの空き時間に対して長いか否か、具体的には、図8(A)を参照して上述したn1での予告通知を受けてから、既に開始している最も時間の掛かるStep Bの処理の完了後にデコード処理を中断しても、次の画像データの転送を妨げないか判断する(S86)。ここで、最長時間がバッファ転送から次の転送までの空き時間に対して長い場合には(S86:Yes)、図8(B)を参照して上述したように、CPU22のバッファ22bの容量を大きくする(S88)。
【0025】
一方、反対に、最長時間が次の転送までの空き時間に対して短い場合には(S86:No)、最長時間が次の転送までの空き時間に対して非常に短いかを判断する(S92)。非常に短くない場合には(S92:No)、バッファ容量を調整することなく処理を終了する。他方、非常に短い場合には(S92:Yes)、バッファ容量を小さくする(S94)。具体的には図8(B)を参照して上述したように、CPU22のバッファ22bの容量を36byteから、図8(A)に示すように32byteまで減らす。
【0026】
第1実施形態で、デコードの度に、処理時間中で最長時間のステップを特定するのは、読み取り条件、情報コードの種類等によって、処理時間中で最長時間のステップが異なり、また、処理時間自体が変化するからである。第1実施形態では、前回の同じ条件で同じ情報コードの種類を読み取る場合には、円滑に処理を進めることができる。
【0027】
第1実施形態の情報コード読取装置10では、CPU22のバッファ22bに蓄積した画像データをデジタルバス28を介して間欠的に画像用メモリ24へ送る休止時間にデコードを行うことで、カメラ12から送られる画像データのCPU22のバッファ22bへの蓄積と、デコードとを同時に行うことが可能となり、カメラ12からの画像の取り込みとデコードとの時間を短くすることができる。ここで、CPU22のバッファ22bの容量を、デコード処理の分割されたブロックを処理する処理時間のうち最も長くなる処理時間においても、カメラ12からの画像データの蓄積が継続可能なように調整する。更に、CPU22のバッファ22bにおけるカメラ12からの画像データが最大バッファ容量となる前の、事前に設定したバッファサイズに達すると、蓄積完了が間近であることをCPU22に通知する。CPU22は、通知を受けた後、デコード処理を構成する分割されたデコードの各ブロックのうち少なくとも1つのブロックの処理後にデコードを中断することで、CPU22のバッファ22bに蓄積した画像データをデジタルバス28を介して間欠的に画像用メモリ24へ送る休止時間にデコードを行い、当該デジタルバス28を介して画像用メモリ24に画像データを保持させる間欠送りを妨げないようにできる。
【0028】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る情報コード読取装置10について図11、図12を参照して説明する。第2実施形態の情報コード読取装置10の機械的な構成に関しては第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
上述した第1実施形態では、デコードの分割したステップの最長時間に応じてバッファ容量を調整した。これに対して、第2実施形態では、バッファ容量を一定として、ステップの最長時間に応じて通知信号(完了予告)のタイミングを調整する。図11(A)は、CPU22のバッファ22bの構造を示している。32byteで構成されるバッファ22bは、例えば画像データの蓄積がn1(=16byte)に達したことを検出すると、検出フラグを立て(検出フラグを立てることを便宜上CPU22からCPU22への予告通知と呼ぶ)、デコードの中断処理を開始する。
【0029】
第2実施形態では、上述したデコードの最も時間が長くかかるステップで、上記n1(=16byte)での通知後にデコードを中断しても、最も長くかかるステップでの処理を中断する以前に、最大バッファ容量(32byte)に達してしまう場合には、通知信号(完了予告)のタイミングを早くする。即ち、図11(B)に示すようにCPU22のバッファ22bでの画像データの蓄積がn1(=14byte)に達した際に、通知信号(完了予告)を出力する。
【0030】
第2実施形態のCPU22側でのデコード処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
S72〜S80までの処理は、図10を参照して上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
デコードが完了すると(S82:Yes)、上述したS72で記憶した各ステップの処理時間中で最長時間のステップを特定する(S84)。ここでは、Step Bが6msで最長であったとする。そして、この最長時間(6ms)が、バッファ転送から次の転送までの空き時間に対して長いか否か、具体的には、図11(A)を参照して上述したn1での予告通知を受けてから、既に開始している最も時間の掛かるStep Bの処理の完了後にデコード処理を中断しても、次の画像データの転送を妨げないか判断する(S86)。ここで、最長時間がバッファ転送から次の転送までの空き時間に対して長い場合には(S86:Yes)、図11(B)を参照して上述したように、完了予告の通知タイミングを早くする(S88)。
【0031】
一方、反対に、最長時間が次の転送までの空き時間に対して短い場合には(S86:No)、最長時間が次の転送までの空き時間に対して非常に短いかを判断する(S92)。非常に短くない場合には(S92:No)、完了予告の通知タイミングを調整することなく処理を終了する。他方、非常に短い場合には(S92:Yes)、完了予告の通知タイミングを遅くする(S94)。具体的には図11(B)を参照して上述したように、CPU22のバッファ22bでの画像データの蓄積がn1(=14byte)に達した際に、通知信号(完了予告)を出力していたのを、図11(A)を参照して上述したようにn1(=16byte)に達した際に、通知信号(完了予告)を出力するように調整する。
【0032】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る情報コード読取装置10について説明する。
第1、第2実施形態では、通知信号(完了予告)があった際に、実行中のステップ処理が終了した時点でデコードを中断した。これに対して、第3実施形態では、画像データの転送を妨げない範囲でデコード処理を継続する。
【0033】
第3実施形態のCPU22側でのデコード処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。
S72〜S76、及び、S82〜S94までの処理は、図10を参照して上述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
ここで、完了予告通知が成されると(S78:Yes)、S76で記憶したステップの処理時間に基づき、現在進行しているステップに引き続いて次ぎのステップの処理を画像データの転送前に完了できるかを判断する(S102)。ここで、転送前に完了できる場合には(S102:Yes)、次のステップを行う(S104)。S102及びS104の処理を繰り返すことで可能な範囲までデコードを進め、次のステップ処理が画像データの転送前に完了できなくなると(S102:No)、進行中のステップの処理を終えることでデコードを中断する(S80)。
【0034】
第3実施形態では、デジタルバスを空き時間を最大限まで利用してデコード処理が進められる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る情報コード読取装置の構成概要を示すブロック図である。
【図2】メイン回路の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3(1)はカメラからの画像信号のCPUのバッファへの送信を示すタイミングチャートであり、図3(2)はバッファからのデジタルバスを介しての画像用メモリへの転送を示すタイミングチャートである。
【図4】図4(A)は従来技術での画像取り込みとデコードとの処理について説明図であり、図4(B)は第1実施形態の情報コード読取装置10での画像取り込みとデコードとの処理について説明図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、画像データ転送とデコードとの関係を示すタイミングチャートである。
【図6】画像データの転送周期と転送時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図7】第1実施形態のデコード処理の分割を示す説明図である。
【図8】図8(A)及び図8(B)はCPUのバッファの構造を示す説明図である。
【図9】第1実施形態のCPUでの画像蓄積及び転送処理を示すフローチャートである。
【図10】第1実施形態のCPUでのデコード処理を示すフローチャートである。
【図11】図11(A)及び図11(B)は第2実施形態の情報コード読取装置でのCPUのバッファの構造を示す説明図である。
【図12】第2実施形態に係る情報コード読取装置のCPUでのデコード処理を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態に係る情報コード読取装置のCPUでのデコード処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
10…情報コード読取装置
12…カメラ
20…メイン回路
22…CPU
22b…バッファ
24…画像用メモリ
28…デジタルバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮像した画像をデコードする情報読取装置であって、
カメラから送られる画像データをバッファに蓄積する画像データ蓄積手段と:
前記バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して間欠的に送り、画像用メモリに保持させる画像データ転送手段と:
該画像用メモリに保持された画像データを前記バスラインを介して取得し、デコードするデコード手段と:を備え、
前記バッファの容量を、前記デコード手段によるデコード処理をブロック毎に分割し、分割されたブロックを処理する処理時間のうち最も長くなる処理時間においても、前記画像データ蓄積手段による前記カメラからの画像データの蓄積が継続可能なように調整するバッファ容量調整手段を有し、
前記デコード手段は、分割された前記デコードの各ブロックのうち少なくとも1つのブロックの処理後にデコードを中断し;
中断中に前記バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して画像用メモリへ送ることで、当該バスラインを介して画像用メモリに画像データを転送する処理を最大バッファ容量となる時間内に開始し;
前記デコード手段は、転送終了後にデコードを再開することを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
カメラで撮像した画像をデコードする情報読取装置であって、
カメラから送られる画像データをバッファに蓄積する画像データ蓄積手段と:
前記バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して間欠的に送り、画像用メモリに保持させる画像データ転送手段と:
該画像用メモリに保持された画像データを前記バスラインを介して取得し、デコードするデコード手段と:を備え、
前記バッファにおける前記カメラからの画像データが最大バッファ容量となる前の、事前に設定したバッファサイズに達すると前記デコード手段に通知する通知手段を有し、
前記デコード手段は、前記通知手段からの通知を受けた後、デコード処理を構成する分割された前記デコードの各ブロックのうち少なくとも1つのブロックの処理後にデコードを中断し;
前記バッファに蓄積した画像データをバスラインを介して画像用メモリへ送ることで、当該バスラインを介して画像用メモリに画像データを転送する処理を最大バッファ容量となる時間内に開始し;
前記デコード手段は転送終了後にデコードを再開することを特徴とする情報読取装置。
【請求項3】
前記バッファにおける前記カメラからの画像データが最大バッファ容量となる前の、事前に設定したバッファサイズに達すると前記デコード手段に通知する通知手段と有し、
前記デコード手段は、前記通知手段からの通知を受けた後、デコード処理を構成する分割された前記デコードの各ブロックのうち少なくとも1つのブロックの処理後にデコードを中断する請求項1の情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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