説明

情報送受信システム、クライアント装置及びサーバ装置

【課題】 認証が必要な情報の送受信は認証を経たセッションで行い、認証を経ないセッションでは、認証が不要な情報の送受信を行う情報送受信システム、クライアント装置及びサーバ装置を提供する。
【解決手段】 サーバ装置のデータ送受信管理部は、認証を経ずにセッションを確立し(ステップS34e)、認証が必要な情報の送受信の要求があった場合(ステップS34gの「必要」)、上記セッションを切断して(ステップS34k)、セッションを切断した旨をセッション履歴に記憶する。そして、そのセッションを切断した旨がセッション履歴に記憶されている場合(ステップS34dの「再開処理」)、認証を経てセッションを確立し(ステップS34o)、上記情報の送受信を行う(ステップS34r)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報送受信システム、クライアント装置及びサーバ装置に係り、特に認証が必要な情報の送受信処理に関する。
【背景技術】
【0002】
情報の送受信を要求する装置(以後、クライアント装置と称する。)と、要求された情報の送受信に応じる装置(以後、サーバ装置と称する。)とが通信網を介して接続された情報送受信システムが知られている。この情報送受信システムにおいて、クライアント装置は、1回の、または複数回の情報の送受信に先立って、サーバ装置との間で情報送受信セッションを確立する。そして、情報の送受信終了の後、そのセッションを切断する処理が行われる。
【0003】
セッションの確立の際、サーバ装置は、クライアント装置の認証、または、そのクライアント装置を使用している使用者の認証を行う処理が行われている(以後、クライアント装置の認証、または、そのクライアント装置を使用している使用者の認証を総称してクライアントの認証と称する。)。サーバ装置は、この認証に基づいて、要求された情報の送受信は、許されているか否かを判断し、許されていれば、クライアント装置からの要求に応じて情報の送受信を行う。そして、許されていなければ、クライアント装置からの要求を拒否する。
【0004】
ここで、クライアントの認証なしに、全てのクライアント装置からの要求に応じて送受信が許される情報(以後、認証が不要な情報と称する。一方、クライアントの認証を経て送受信が許される情報を、認証が必要な情報と称する。)が存在することがある。認証が不要な情報のみの送受信に関しても上記認証を行うことは、無用な処理である。また、クライアント装置が匿名のままその情報の送受信を行うことが適切な場合もある。
【0005】
そこで、セッションの確立に当たっては認証処理を行わず、認証が必要な情報の送受信が要求された場合、サーバ装置が認証処理を開始し、例えば、クライアント装置の識別子及び暗証情報の送信をクライアント装置に要求する処理が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−62124号公報(第4頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている方法では、サーバ装置は、情報の送受信の要求毎に、その情報は認証が必要であるか否かを判断する必要があり、負荷が増える問題点があった。更に、その情報は認証が必要であると判断された度に認証処理を行う必要があり、サーバ装置及びクライアント装置の負荷が増える問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、認証が必要な情報の送受信は認証を経たセッションで行い、認証を経ないセッションでは、認証が不要な情報の送受信を行う情報送受信システム、クライアント装置及びサーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の情報送受信システムは、情報送受信セッションの確立と、その確立されたセッションによる情報の送受信とを要求するクライアント装置と、前記クライアント装置から要求されたセッションの確立と、前記情報の送受信とに応じるサーバ装置とが前記情報を送受信する情報送受信システムであって、前記クライアント装置は、前記情報送受信セッションの確立を前記サーバ装置に要求し、前記要求した情報送受信セッションが確立されると前記情報の送受信を前記サーバ装置に要求し、前記確立された情報送受信セッションが前記情報の送受信の要求に応じて前記サーバ装置によって切断されると前記情報送受信セッションの確立を前記サーバ装置に再度要求し、前記再度要求した情報送受信セッションが確立されると前記情報の送受信を前記サーバ装置に再度要求し、前記サーバ装置との間で前記情報を送受信し、前記サーバ装置は、前記クライアント装置によって要求された情報送受信セッションを前記クライアント装置との間で認証を経ずに確立し、前記クライアント装置によって要求された情報の送受信が認証を必要とする場合、前記確立された情報送受信セッションを切断し、その情報送受信セッションの切断から所定の時間以内に前記クライアント装置によって再度要求された情報送受信セッションを前記クライアント装置との間で認証を経て確立し、前記クライアント装置によって再度要求された情報の送受信に応じて前記クライアント装置との間で前記情報を送受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、認証が必要な情報の送受信は認証を経たセッションで行い、認証を経ないセッションでは、認証が不要な情報の送受信を行う情報送受信システム、クライアント装置及びサーバ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明による情報送受信システム、クライアント装置及びサーバ装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る情報送受信システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
この情報送受信システムは、本発明の実施形態に係るクライアント装置11と、本発明の実施形態に係るサーバ装置12とからなり、クライアント装置11とサーバ装置12とは通信網13を介して接続されている。なお、通信網13には、例えば、ブルートゥース(登録商標)が利用される。クライアント装置11、及びサーバ装置12の台数は、複数台であっても良い。また、1台の装置がクライアント装置11とサーバ装置12との両者の動作をしても良い。
【0012】
更に、通信網13は、赤外線通信方式や、無線LAN方式を用いても良く、また、USB(Universal Serial Bus)方式による有線通信方式を用いても良い。
【0013】
図2は、クライアント装置11の構成を示すブロック図である。このクライアント装置11は、装置全体の制御を行う制御部21と、通信網13との間で電波の送受信を行うアンテナ22aと、通信部22bと、送受信部23と、データ送受信管理部24と、情報記憶部25とからなる。情報記憶部25には、データ25aが記憶される。
【0014】
図3は、サーバ装置12の構成を示すブロック図である。このサーバ装置12は、装置全体の制御を行う制御部31と、通信網13との間で電波の送受信を行うアンテナ32aと、通信部32bと、送受信部33と、データ送受信管理部34と、セッション履歴記憶部34aと、情報記憶部35とからなる。セッション履歴記憶部34aには、セッション履歴34bが記憶される。情報記憶部35には、データ35aと、データ認証情報35bとが記憶される。
【0015】
データ25a及びデータ35aは、例えば、電話番号、メールアドレス、名前などから構成されるアドレス帳であって、1名分のデータまたはデータ全体を示す。
【0016】
また、クライアント装置11及び/またはサーバ装置12が、電子メール機能を有する場合、データ25a及びデータ35aは、1通、または複数通の送信メールであり、もしくは、受信メールである。
【0017】
データ認証情報35bは、クライアント装置11の要求に応じてデータ35aを送受信するに際して、送受信されるデータ35a毎に認証を必要とするか否かを記憶している。なお、データ35aをクライアント装置11に送信する際に認証を必要とするか否かと、データ35aをクライアント装置11から受信する際に認証を必要とするか否かとは、区別されて記憶されているとしても良い。
【0018】
上記のように構成された、本発明の実施形態に係る情報送受信システムの各部の動作を、各図を参照して説明する。まず、クライアント装置11の各部の動作を、図2を参照して説明する。通信部22bは、アンテナ22aを介して通信網13から受信された無線高周波信号を送受信部23に送信する。また、送受信部23から出力される高周波信号をアンテナ22aを介して通信網13に送信する。
【0019】
送受信部23は、通信部22bからの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得た制御信号を制御部21に、そしてデジタル信号をデータ送受信管理部24に送信する。更には、制御部21から出力される制御信号と、データ送受信管理部24から出力されるデジタル信号を変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを通信部22bに送信する。
【0020】
データ送受信管理部24は、OBEX(Object Exchange Protocol)プロトコルを用いたOPP(Object Push Profile)プロファイルによって、サーバ装置12との間で情報の送受信を行う。即ち、データ送受信管理部24は、サーバ装置12にデータ送受信セッションの確立を要求し、そのセッションの確立の後、サーバ装置12へデータ25aを送信及び/またはデータ送受信管理部24の要求に応じてサーバ装置12から送信された情報を受信して、データ25aに記憶する。
【0021】
次に、サーバ装置12の各部の動作を、図3を参照して説明する。通信部32bは、アンテナ32aを介して通信網13から受信された高周波信号を送受信部33に送信する。また、送受信部33から出力される高周波信号をアンテナ32aを介して通信網13に送信する。
【0022】
送受信部33は、通信部32bからの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得た制御信号を制御部31に、そして、デジタル信号をデータ送受信管理部34に送信する。更には、制御部31から出力される制御信号と、データ送受信管理部34から出力されるデジタル信号を変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを通信部32bに送信する。
【0023】
データ送受信管理部34は、OBEXプロトコルを用いたOPPプロファイルによって、クライアント装置11との間で情報の送受信を行う。即ち、データ送受信管理部34は、クライアント装置11から要求されたデータ送受信セッションの確立に応じて、そのセッションの確立の後、クライアント装置11から送信された情報を受信して、データ35aに記憶し及び/またはクライアント装置11からの要求に応じてデータ35aを送信する。
【0024】
セッション履歴記憶部34aに記憶されるセッション履歴34bは、データ送受信のサービスを行うために確立されたデータ送受信セッションが切断された履歴であって、後述するように、データ送受信管理部34がデータ送受信に際し、認証が必要であるとしてデータ送受信セッションを切断した履歴である。図4は、セッション履歴34bの一例を示す。このセッション履歴34bは、クライアント装置識別子34cと、セッション切断時刻34dと、サービス34eとが関連付けられた情報からなる。
【0025】
図4に示すセッション履歴34bは、クライアント装置識別子34cが「クライアント1」と、セッション切断時刻34dが「2005年1月2日3時4分5秒」と、サービス34eが「データ送受信」なる情報が記憶されており、データ送受信管理部34は、「クライアント1」に対して「データ送受信」サービスを提供したセッション、即ち、データ送受信セッションが「2005年1月2日3時4分5秒」に切断されたことを示す。
【0026】
上記のように構成された、本発明の実施形態に係わる情報送受信システムのデータ送受信の動作を説明する。
【0027】
(クライアント装置11のデータ送受信管理部24の動作)
図5は、データ送受信管理部24のデータ送受信の動作のフローチャートを示す。データ送受信管理部24は、クライアント装置11とサーバ装置12との間でデータ送受信を行う際に、制御部21に起動されて動作を開始する(ステップS24a)。そして、サーバ装置12に対して通信網13を介したブルートゥース(R)リンクの接続を要求し、サーバ装置12との間にリンクを接続する(ステップS24b)。
【0028】
そして、データ送受信管理部24は、接続されたリンクを用いてOBEXプロトコルによるデータ送受信セッションの確立をサーバ装置12に要求し、その要求に対するサーバ装置12からの応答を受信する(ステップS24c)。受信した応答を調べ(ステップS24d)、その応答が、認証要求なしのセッション確立であれば、データ送受信管理部24は、サーバ装置12に対してデータ送受信を要求し(ステップS24e)、その要求に対するサーバ装置12からの応答を調べる(ステップS24f)。
【0029】
その応答が、認可であれば、データ送受信管理部24は、サーバ装置12との間でステップS24eで要求したデータ送受信を行い(ステップS24g)、ステップS24eに動作を戻して、更に次のデータ送受信の要求の動作に移る。
【0030】
ステップS24fで、応答が非認可であり、かつ、サーバ装置12によってステップS24cで確立を要求したデータ送受信セッション及びステップS24bで接続を要求したリンクが切断された場合、データ送受信管理部24は、ステップS24bに動作を戻して、再度、サーバ装置12に対してリンクの接続を要求し、サーバ装置12との間にリンクを接続する動作に戻る。
【0031】
ステップS24dで、サーバ装置12からの応答が認証要求であれば、データ送受信管理部24は、サーバ装置12との間で認証処理を行って、データ送受信セッションを確立する(ステップS24h)。ここで、認証処理とは、サーバ装置12との間で相互に所定のパスワードを送信し、それらのパスワードが一致したことを検出することであるが、これに限るものではなく、例えば、クライアント装置11に割当てられている機器番号を用いても良い。
【0032】
次に、データ送受信管理部24は、サーバ装置12に対してデータ送受信を要求し(ステップS24i)、その要求に対するサーバ装置12からの許可応答の受信を待って(ステップS24j)、サーバ装置12との間でステップS24iで要求したデータ送受信を行い(ステップS24k)、ステップS24iに動作を戻して、更に次のデータ送受信の要求の動作に移る。
【0033】
なお、ステップS24dでリンク切断の応答を受信した場合、データ送受信管理部24は、ステップS24bで接続したリンクを切断して(ステップS24m)、動作を終了する(ステップS24n)。また、ステップS24eまたはステップS24iで、要求するデータ送受信が尽きたと判断した場合、データ送受信管理部24は、ステップS24cで確立を要求したデータ送受信セッション及びステップS24bで接続を要求したリンクを切断して、動作を終了する。(図示せず)。
【0034】
(サーバ装置12のデータ送受信管理部34の動作)
図6は、データ送受信管理部34のデータ送受信の動作のフローチャートを示す。データ送受信管理部34は、クライアント装置11からの制御信号が受信された際に、制御部31に起動されて動作を開始する(ステップS34a)。そして、クライアント装置11から送信された通信網13を介したブルートゥース(R)リンクの接続要求を受信して、そのリンクを確立する(ステップS34b)。
【0035】
次に、データ送受信管理部34は、接続されたリンクを用いてクライアント装置11から送信されたOBEXプロトコルによるデータ送受信セッションの確立要求を受信し(ステップS34c)、セッション履歴34bに記憶されているそのクライアント装置11とのデータ送受信セッションの履歴を調べることによって、この要求されたセッションに対して、再開処理ではない通常の処理を行うか、再開の処理を行うか、または、セッション確立要求を拒否するかを判断し、処理を分岐する(ステップS34d)。
【0036】
即ち、セッション履歴34bのクライアント装置識別子34cにそのクライアント装置11の識別子が、セッション切断時刻34dに現在の時刻以前で、かつ、現在の時刻から所定時間遡った時刻以降の時刻が、そして、サービス34eに「データ送受信」が関連付けられた情報が記憶されている場合、後述するように、所定時間以内の近い過去にそのクライアント装置11との間のデータ送受信に際し、認証が必要であるとしてデータ送受信セッションの切断がされたことを意味する。そこで、データ送受信管理部34は、この場合、セッションの再開処理を行うと判断する。
【0037】
また、セッション履歴34bのクライアント装置識別子34cにそのクライアント装置11の識別子が、セッション切断時刻34dに現在の時刻以前で、かつ、現在の時刻から所定時間遡った時刻以降の時刻が、そして、サービス34eに「データ送受信」と異なる情報が関連付けられた情報が記憶されている場合、所定時間以内の近い過去にそのクライアント装置11との間のセッションの切断がされ、セッションの再開処理が適切でありながら、異なるサービス34eのセッションが要求されたことを意味する。そこで、データ送受信管理部34は、この場合、セッション確立要求を拒否すると判断する。
【0038】
また、セッション履歴34bのクライアント装置識別子34cにそのクライアント装置11の識別子が記憶されていない場合、及び、クライアント装置識別子34cにそのクライアント装置11の識別子が、そして、セッション切断時刻34dに現在の時刻から所定時間遡った時刻以前の時刻が関連付けられた情報のみが記憶されている場合、クライアント装置11との過去の通信の有無及びその通信のサービス34eを評価する必要はないことを意味する。そこで、データ送受信管理部34は、この場合、再開処理ではない通常の処理を行うと判断する。
【0039】
ステップS34dで、再開処理ではない通常の処理を行うと判断した場合、データ送受信管理部34は、認証を要求せずにデータ送受信セッションを確立する(ステップS34e)。
【0040】
そして、データ送受信管理部34は、クライアント装置11から送信されたデータ送受信の要求を受信し(ステップS34f)、その要求には認証が必要か不要かをデータ認証情報35bを参照して判断する(ステップS34g)。認証が不要と判断された場合、クライアント装置11にステップS34fで要求を受信したデータ送受信は認可である旨の応答、即ち、成功応答を送信し(ステップS34h)、ステップS34fで要求が受信されたデータ送受信を行い(ステップS34i)、ステップS34fのデータ送受信の要求を受信する動作に戻る。
【0041】
ステップS34gで、認証が必要と判断された場合、データ送受信管理部34は、クライアント装置11にステップS34fで要求を受信したデータ送受信は非認可である旨の応答、即ち、エラー応答を送信し(ステップS34j)、ステップS34eで確立されたデータ送受信セッション及びステップS34bで確立されたリンクを切断する(ステップS34k)。
【0042】
次に、データ送受信管理部34は、クライアント装置識別子34cに上記クライアント装置11の識別子、セッション切断時刻34dに現在の時刻、そして、サービス34eに「データ送受信」なる情報を関連付けたセッション履歴34bをセッション履歴記憶部34aに記憶して(ステップS34m)、動作を終了する(ステップS34n)。
【0043】
ステップS34dで、再開の処理を行うと判断した場合、データ送受信管理部34は、認証を要求して、認証を経た上でデータ送受信セッションを確立する(ステップS34o)。
【0044】
そして、データ送受信管理部34は、クライアント装置11から送信されたデータ送受信の要求を受信する(ステップS34p)。既にステップS34oでデータ送受信セッションが認証を経て確立されているので、要求されたデータ送受信が認可すべきか否かの判断を行わずに、クライアント装置11にそのデータ送受信は認可である旨の応答を送信し(ステップS34q)、ステップS34pで要求が受信されたデータ送受信を行い(ステップS34r)、ステップS34pのデータ送受信の要求を受信する動作に戻る。
【0045】
データ送受信管理部34は、任意の動作ステップで、クライアント装置11によってステップS34eで確立されたデータ送受信セッション及びステップS34bで確立されたリンクが切断された場合、動作を終了する(図示せず)。
【0046】
なお、データ送受信管理部34は、ステップS34bのブルートゥース(R)リンクの接続確立の際に、データ送受信セッションの確立に際して認証を要求するか否かの判断をしても良い。そして、その場合、セッション履歴34bを参照し、現在の時刻を所定時間遡った時刻以降のセッション切断の履歴が含まれているか否か、即ち、情報送受信処理の再開であるか否かに従って判断しても良い。
【0047】
また、ステップS34dで、セッション確立要求を拒否すると判断した場合、データ送受信管理部34は、ステップS34bで確立されたリンクを切断し(ステップS34s)、動作を終了する(ステップS34t)。
【0048】
(クライアント装置11とサーバ装置12との動作のシーケンスの一例)
図7及び図8は、クライアント装置11とサーバ装置12との間で行われる情報の送受信シーケンスの一例を示す。この例は、クライアント装置11からアドレス帳全体からなるデータ25aをサーバ装置12に送信し、サーバ装置12のデータ認証情報35bには、受信されたアドレス帳全体をデータ35aとして情報記憶部35に記憶するには、認証が必要と記憶されている場合を示す。
【0049】
このシーケンス中の各動作には、その動作に対応する図5に示したデータ送受信管理部24の動作のステップと、図6に示したデータ送受信管理部34の動作のステップを付記した。ただし、クライアント装置11とサーバ装置12との間で行われる通信は、データ送受信管理部24の動作のステップと、データ送受信管理部34の動作のステップの双方によって行われているが、一方のみを付記して簡明な説明としてある。
【0050】
このシーケンスは、クライアント装置11のデータ送受信管理部24からブルートゥース(R)方式の接続要求を送信することに始まる(ステップS51、図5に示すフローチャートのステップS24bに対応する。)。この要求に対して、サーバ装置12のデータ送受信管理部34は、接続応答を送信して、ブルートゥース(R)方式のリンクを接続する(ステップS52、図6に示すフローチャートのステップS34bに対応する。)。
【0051】
次に、データ送受信管理部24は、OBEXプロトコルによる接続要求を送信する(ステップS53、図5に示すフローチャートのステップS24cに対応する。)。この要求の際、セッション履歴34bには情報が記憶されていないとし、この要求に対して、データ送受信管理部34は、認証なしで接続応答を送信して、OBEXセッションを確立する(ステップS54、図6に示すフローチャートのステップS34eに対応する。)。ここで、このクライアント装置11との情報送受信は過去に行われておらず、セッション履歴34bには、何も記憶されていなかったとし、図6に示すフローチャートのステップS34dでは、「記憶されていない」と判断されたとする。
【0052】
次に、データ送受信管理部24は、アドレス帳全体からなるデータ25aの送信要求を送信する(ステップS55、図5に示すフローチャートのステップS24eに対応する。)。この要求に対して、データ送受信管理部34は、受信されたアドレス帳全体が記憶されるデータ35aは、認証が必要なデータ35aであるか否かをデータ暗証情報35bを参照して判断し(ステップS56、図6に示すフローチャートのステップS34gに対応する。)、認証が不要なデータ35aであれば、通常の送受信動作、即ち、認証が不要の場合の送受信動作(ステップS57、図6に示すフローチャートのステップS34h以降に対応する。)を行う。
【0053】
しかし、アドレス帳全体を受信してデータ35aとして記憶することは、認証が必要なので、データ送受信管理部34は、上記要求に対して非認可の応答を送信し(ステップS58、図6に示すフローチャートのステップS34jに対応する。)、ブルートゥース(R)方式のリンク及びOBEXプロトコルのセッションを切断する(ステップS59、図6に示すフローチャートのステップS34kに対応する。)。
【0054】
そして、データ送受信管理部34は、現在の時刻をセッション切断時刻34dに、クライアント装置11の識別子をクライアント装置識別子34cに、「データ送受信」をサービス34eとする関連付けた情報をセッション履歴34bに記憶する(ステップS60、図6に示すフローチャートのステップS34mに対応する。)。
【0055】
次に、データ送受信管理部24は、再びブルートゥース(R)方式の接続要求を送信する(ステップS61、図5に示すフローチャートのステップS24bに対応する。)。
【0056】
図8を参照して、説明を続ける。データ送受信管理部34は、接続応答を送信して、ブルートゥース(R)方式のリンクを接続する(ステップS62、図6に示すフローチャートのステップS34bに対応する。)。
【0057】
次に、データ送受信管理部24は、OBEXプロトコルによる接続要求を送信する(ステップS63、図5に示すフローチャートのステップS24cに対応する。)。この要求に対して、データ送受信管理部34は、セッション切断時刻34dを参照して、この要求されたセッションは、送受信処理の再開であるか否かを調べる(ステップS64、図6に示すフローチャートのステップS34dに対応する。)。再開でない場合、データ送受信管理部34は、認証を要求せずにセッションを確立し、通常の動作を続ける、または、リンクを切断する(ステップS65、図6に示すフローチャートのステップS34e以降、または、ステップS34s以降に対応する。)。
【0058】
一方、上記要求されたセッションは、送受信処理の再開である場合、データ送受信管理部34は、認証を要求する。この要求に続いて、データ送受信管理部24とデータ送受信管理部34は、それぞれパスワードを入力する。ここで、入力とは、入力装置からの入力であるが、これに限るものではない。記憶されたパスワードを読み出して用いるとしても良い。
【0059】
続いて、データ送受信管理部24とデータ送受信管理部34は、パスワードを用いた認証処理を行って、認証ありのOBEXプロトコルのセッションを確立する(ステップS66、このデータ送受信管理部34が認証を要求してからセッションが確立されるまでは、図5に示すフローチャートのステップS24hに対応し、図6に示すフローチャートのステップS34oに対応する。)。
【0060】
次に、データ送受信管理部24は、データ25a(アドレス帳全体)の送信要求を送信し(ステップS67、図5に示すフローチャートのステップS24iに対応する。)、データ送受信管理部34は、その要求に対して、許可、即ち、成功の応答を送信する(ステップS68、図6に示すフローチャートのステップS34qに対応する。)。この後、上記データ25aの通信が行われる。
【0061】
なお、クライアント装置11の制御部21は、入力装置から入力された指示によってデータ25aの送受信の制御を行うが、これに限るものではない。所定の時間間隔で、所定のデータ25aの送受信を行うとしても良い。
【0062】
以上の説明では、データ25a及びデータ35aは、アドレス帳または電子メールであるとしたが、これに限るものではない。画像情報、音声情報、映像情報など、あらゆる情報で良い。また、本発明の情報送受信システム、クライアント装置及びサーバ装置は、移動通信端末装置、PDA(Personal Digital Assistant)、パソコン、家電製品など、情報の送受信を行うあらゆる装置に適用することが当然に可能である。本発明は以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係る情報送受信システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係るクライアント装置の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係るサーバ装置の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施形態に係るセッション履歴の一例を示す図。
【図5】本発明の実施形態に係るクライアント装置のデータ送受信管理部の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施形態に係るサーバ装置のデータ送受信管理部の動作を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態に係る情報送受信システムの動作のシーケンス(その1)。
【図8】本発明の実施形態に係る情報送受信システムの動作のシーケンス(その2)。
【符号の説明】
【0064】
11 クライアント装置
12 サーバ装置
24 データ送受信管理部
25 情報記憶部
25a データ
34 データ送受信管理部
34a セッション履歴記憶部
34b セッション履歴
34c クライアント装置識別子
34d セッション切断時刻
34e サービス
35 情報記憶部
35a データ
35b データ認証情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報送受信セッションの確立と、その確立されたセッションによる情報の送受信とを要求するクライアント装置と、前記クライアント装置から要求されたセッションの確立と、前記情報の送受信とに応じるサーバ装置とが前記情報を送受信する情報送受信システムであって、
前記クライアント装置は、前記情報送受信セッションの確立を前記サーバ装置に要求し、前記要求した情報送受信セッションが確立されると前記情報の送受信を前記サーバ装置に要求し、前記確立された情報送受信セッションが前記情報の送受信の要求に応じて前記サーバ装置によって切断されると前記情報送受信セッションの確立を前記サーバ装置に再度要求し、前記再度要求した情報送受信セッションが確立されると前記情報の送受信を前記サーバ装置に再度要求し、前記サーバ装置との間で前記情報を送受信し、
前記サーバ装置は、前記クライアント装置によって要求された情報送受信セッションを前記クライアント装置との間で認証を経ずに確立し、前記クライアント装置によって要求された情報の送受信が認証を必要とする場合、前記確立された情報送受信セッションを切断し、その情報送受信セッションの切断から所定の時間以内に前記クライアント装置によって再度要求された情報送受信セッションを前記クライアント装置との間で認証を経て確立し、前記クライアント装置によって再度要求された情報の送受信に応じて前記クライアント装置との間で前記情報を送受信する
ことを特徴とする情報送受信システム。
【請求項2】
情報送受信セッションの確立と、その確立されたセッションによる情報の送受信とを要求するクライアント装置と、前記クライアント装置から要求されたセッションの確立と、前記情報の送受信とに応じ、前記情報の送受信が認証を必要とする場合、前記確立されたセッションを切断し、前記クライアント装置から再度要求された情報送受信セッションを認証を経て確立し、前記情報の送受信を行うサーバ装置とが情報を送受信する情報送受信システムのクライアント装置であって、
前記情報送受信セッションの確立を前記サーバ装置に要求し、前記要求した情報送受信セッションが確立されると前記情報の送受信を前記サーバ装置に要求し、前記確立された情報送受信セッションが前記情報の送受信の要求に応じて前記サーバ装置によって切断されると前記情報送受信セッションの確立を前記サーバ装置に再度要求し、前記再度要求した情報送受信セッションが確立されると前記情報の送受信を前記サーバ装置に再度要求し、前記サーバ装置との間で前記情報を送受信する
ことを特徴とするクライアント装置。
【請求項3】
情報送受信セッションの確立と、その確立されたセッションによる情報の送受信とを要求し、前記確立された情報送受信セッションが切断されると、再度前記情報送受信セッションの確立と、その確立されたセッションによる情報の送受信を要求するクライアント装置と、前記クライアント装置から要求されたセッションの確立と、前記情報の送受信とに応じるサーバ装置とが前記情報を送受信する情報送受信システムのサーバ装置であって、
前記クライアント装置によって要求された情報送受信セッションを前記クライアント装置との間で認証を経ずに確立し、前記クライアント装置によって要求された情報の送受信が認証を必要とする場合、前記確立された情報送受信セッションを切断し、その情報送受信セッションの切断から所定の時間以内に前記クライアント装置によって再度要求された情報送受信セッションを前記クライアント装置との間で認証を経て確立し、前記クライアント装置によって再度要求された情報の送受信に応じて前記クライアント装置との間で前記情報を送受信する
ことを特徴とするサーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−207016(P2007−207016A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25781(P2006−25781)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】