説明

感光体カートリッジ

【課題】フレームにおける開口部の周辺部分の変形を防止することができる、感光体カートリッジを提供する。
【解決手段】ドラムフレーム8には、放電ワイヤ61に対して感光ドラム9と反対側に、開口部60が形成されている。クリーナ71が開口部60に沿って移動可能に設けられている。そして、ドラムフレーム8には、クリーナ71とは別体の補強部材81が当接している。この補強部材81により、ドラムフレーム8における開口部60の周辺部分が補強されるので、ドラムフレーム8における開口部60の周辺部分の変形を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に装着される感光体カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置の一例では、プロセスカートリッジが本体内に着脱可能に設けられている。
【0003】
プロセスカートリッジのフレームには、感光ドラム、帯電器および現像器が保持されている。画像形成時には、感光ドラムが一定の回転速度で回転される。この回転に伴って、帯電器により、感光ドラムの表面が一様に帯電される。そして、その一様に帯電した部分が選択的に露光されることにより、感光ドラムの表面に静電潜像が形成される。静電潜像が現像器に対向すると、現像器から静電潜像にトナーが供給され、静電潜像がトナー像に現像される。トナー像は、感光ドラムから用紙に転写される。これにより、用紙への画像の形成が達成される。
【0004】
帯電器は、たとえば、感光ドラムの回転軸線と平行な方向に延びる放電ワイヤと、感光ドラムと放電ワイヤとの間に介在されるグリッド電極とを備えている。放電ワイヤに高電圧が印加されることにより、放電ワイヤからコロナ放電が生じる。グリッド電極に適当な電圧が印加されることにより、感光ドラムの表面に到達する電荷(イオン)の量が一定量に制御される。
【0005】
フレームにおける放電ワイヤに対向する部分には、放電ワイヤに沿った長手状の開口部が形成されている。これにより、フレームの外部から開口部を介して内部に、エアフローを取り込むことができる。そして、そのエアフローにより、放電ワイヤへの塵埃などの付着を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−98509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、開口部が形成されているために、フレームにおける開口部の周辺部分の強度が低い。そのため、プロセスカートリッジの輸送時などに、フレームに外力が作用し、フレームにおける開口部の周辺部分が変形するおそれがある。そして、このフレームの変形により、グリッド電極が撓み変形し、グリッド電極と感光ドラムとの接触などの問題を生じるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、フレームにおける開口部の周辺部分の変形を防止することができる、感光体カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、感光体カートリッジにおいて、表面が第1方向に移動可能なように設けられた感光体と、前記感光体の前記表面に対して間隔を空けて、前記第1方向と直交かつ前記感光体の前記表面と平行をなす第2方向に延びる放電電極と、前記感光体および前記放電電極を保持し、前記放電電極に対して前記感光体と反対側に前記第2方向に延びる開口部を有するフレームと、前記開口部に沿って移動可能に設けられ、その移動により前記放電電極を清掃するクリーナと、前記クリーナとは別体に形成され、前記フレームに当接し、前記開口部の周辺部分を補強する補強部材とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、感光体は、その表面が第1方向に移動可能なように設けられている。放電電極は、感光体の表面に対して間隔を空けて、第1方向と直交かつ感光体の表面と平行をなす第2方向に延びている。感光体および放電電極は、フレームに保持されている。
【0011】
フレームには、放電電極に対して感光体と反対側に、開口部が形成されている。これにより、フレームの外部から開口部を介して内部に、エアフローを取り込むことができる。そして、そのエアフローにより、放電電極への塵埃などの付着を防止し、また、放電電極に付着した塵埃などを除去することができる。その結果、第2方向において、放電電極から均一な放電を生じさせることができる。
【0012】
また、クリーナが開口部に沿って移動可能に設けられている。クリーナが開口部に沿って移動されると、放電電極がクリーナにより清掃され、放電電極に付着した塵埃などが除去される。そのため、放電電極が清掃されることにより、第2方向において、放電電極からより均一な放電を生じさせることができる。
【0013】
そして、フレームには、クリーナとは別体の補強部材が当接している。この補強部材により、フレームにおける開口部の周辺部分が補強されるので、フレームにおける開口部の周辺部分の変形を防止できる。よって、放電電極と感光体との間にグリッド電極が設けられる構成では、グリッド電極の変形を防止でき、ひいてはグリッド電極と感光体との接触を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るドラムカートリッジが備えられるレーザプリンタの断面図である。
【図2】図2は、図1に示されるプロセスカートリッジの斜視図である。
【図3】図3は、プロセスカートリッジの背面図(後方から見た図)である。
【図4】図4は、図3に示される切断線A−Aにおけるプロセスカートリッジの断面図である。
【図5】図5は、図4に示される感光ドラムおよび上壁の背面図(後方から見た図)である。
【図6】図6は、図2に示される右端の補強部材の斜視図である。
【図7】図7は、図2に示される中央および左端の補強部材の斜視図である。
【図8A】図8Aは、プロセスカートリッジの斜視図であり、クリーナの左方への移動途中の状態を示す。
【図8B】図8Bは、感光ドラムおよび上壁の背面図であり、クリーナの左方への移動途中の状態を示す。
【図9A】図9Aは、プロセスカートリッジの斜視図であり、クリーナの左方への移動が完了した状態を示す。
【図9B】図9Bは、感光ドラムおよび上壁の背面図であり、クリーナの左方への移動が完了した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
1.レーザプリンタ
図1に示されるように、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2の正面側の側壁には、カートリッジ着脱口3が形成され、このカートリッジ着脱口3を開閉するフロントカバー4が設けられている。
【0016】
なお、レーザプリンタ1の正面側は、前後方向における前側である。また、レーザプリンタ1が平面上に載置された状態で、その平面に直交する方向が上下方向である。そして、平面上に載置されたレーザプリンタ1を前側から見て、レーザプリンタ1の左右を規定する。
【0017】
本体ケーシング2内の中央より少し前側の位置には、プロセスカートリッジ5が装着されている。プロセスカートリッジ5は、フロントカバー4を開いた状態で、カートリッジ着脱口3を介して、本体ケーシング2内に装着され、また、本体ケーシング2内から離脱される。
【0018】
プロセスカートリッジ5は、感光体カートリッジの一例としてのドラムカートリッジ6と、そのドラムカートリッジ6に着脱自在に装着される現像カートリッジ7とからなる。
【0019】
ドラムカートリッジ6は、フレームの一例としてのドラムフレーム8を備えている。ドラムフレーム8の後端部には、感光体の一例としての感光ドラム9が回転可能に保持されている。また、ドラムフレーム8には、帯電器10および転写ローラ11が保持されている。帯電器10および転写ローラ11は、それぞれ感光ドラム9の後方および下方に配置されている。
【0020】
ドラムフレーム8における感光ドラム9よりも前側の部分は、カートリッジ装着部12とされている。現像カートリッジ7は、カートリッジ装着部12に装着される。
【0021】
現像カートリッジ7は、トナーを収容する筐体13を備えている。筐体13の内部には、互いに連通するホッパ14および現像室15が前後に隣接して形成されている。
【0022】
ホッパ14は、トナーを収容するための空間である。ホッパ14には、樹脂フィルムからなるアジテータ16が収容されている。アジテータ16は、左右方向に延びるアジテータ軸17に貼り付けられ、アジテータ軸17と一体的に回転可能に設けられている。アジテータ16の回転により、ホッパ14内に収容されているトナーが攪拌されつつ、ホッパ14から現像室15へ送られる。
【0023】
現像室15には、現像ローラ18および供給ローラ19がそれぞれ左右方向に延びる現像ローラ軸20および供給ローラ軸21を中心に回転可能に設けられている。現像ローラ18は、その表面(周面)の一部が筐体13の後端部から露出するように配置されている。現像カートリッジ7は、現像ローラ18の表面が感光ドラム9の表面(周面)と接触するように、ドラムカートリッジ6に装着される。供給ローラ19は、その表面(周面)が現像ローラ18の表面に対して前下方から接触するように配置されている。現像室15内のトナーは、供給ローラ19により現像ローラ18の表面に供給され、現像ローラ18の表面上に薄層となって担持される。
【0024】
また、本体ケーシング2内には、プロセスカートリッジ5の上方に、レーザなどを備える露光器22が配置されている。
【0025】
画像形成時には、感光ドラム9が左側から見て時計回りに一定速度で回転される。感光ドラム9の回転に伴って、感光ドラム9の表面は、帯電器10からの放電により、一様に帯電される。一方、レーザプリンタ1に接続されたパーソナルコンピュータ(図示せず)から受信する画像データに基づいて、露光器22からレーザビームが出射される。レーザビームは、帯電器10と現像カートリッジ7との間を通り、一様に正帯電された感光ドラム9の表面に照射され、感光ドラム9の表面を選択的に露光する。これにより、感光ドラム9の露光された部分から電荷が選択的に除去され、感光ドラム9の表面に静電潜像が形成される。感光ドラム9の回転により、静電潜像が現像ローラ18に対向すると、現像ローラ18から静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光ドラム9の表面にトナー像が形成される。
【0026】
本体ケーシング2の底部には、用紙Pを収容する給紙カセット23が配置されている。給紙カセット23の上方には、給紙カセット23から用紙を送り出すためのピックアップローラ24が設けられている。
【0027】
また、本体ケーシング2内には、側面視S字状の搬送路25が形成されている。この搬送路25は、給紙カセット23から感光ドラム9と転写ローラ11との間を経由して、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ26に至る。搬送路25上には、互いに対向配置される分離ローラ27および分離パッド28、1対の給紙ローラ29、1対のレジストローラ30ならびに1対の排紙ローラ31が用紙Pの搬送方向にこの順で設けられている。
【0028】
給紙カセット23から送り出された用紙Pは、分離ローラ27と分離パッド28との間を通過し、その際に1枚ずつに捌かれる。その後、用紙Pは、給紙ローラ29により、レジストローラ30に向けて搬送される。そして、その用紙Pは、レジストローラ30により、適切なタイミングで、感光ドラム9と転写ローラ11との間に向けて搬送される。
【0029】
感光ドラム9の周面上のトナー像は、感光ドラム9の回転により、感光ドラム9と転写ローラ11との間を通過する用紙Pと対向したときに、転写ローラ11により電気的に引き寄せられて、用紙Pに転写される。
【0030】
搬送路25上には、転写ローラ11に対して用紙Pの搬送方向の下流側に、定着器32が設けられている。トナー像が転写された用紙Pは、搬送路25を搬送されて、定着器32を通過する。定着器32では、加熱および加圧により、トナー像が画像となって用紙Pに定着される。
【0031】
このレーザプリンタ1は、動作モードとして、用紙Pの片面に画像(トナー像)を形成する片面モードと、用紙Pの一方面に画像を形成した後、その用紙Pの一方面と反対の他方面に画像を形成する両面モードとを有している。
【0032】
片面モードでは、一方面に画像が形成された用紙Pは、排紙ローラ31により、排紙トレイ26上に排出される。
【0033】
両面モードを実現するための構成として、本体ケーシング2内には、反転搬送路33が形成されている。反転搬送路33は、排紙ローラ31の近傍から搬送路25と給紙カセット23との間を延び、搬送路25における給紙ローラ29とレジストローラ30との間の部分に接続されている。反転搬送路33上には、1対の第1反転搬送ローラ34および1対の第2反転搬送ローラ35が設けられている。
【0034】
両面モードでは、用紙Pの一方面に画像が形成された後、その用紙Pは、排紙ローラ31により、排紙トレイ26に排出されずに、反転搬送路33に送り込まれる。そして、用紙Pは、第1反転搬送ローラ34および第2反転搬送ローラ35により、反転搬送路33を搬送され、その表裏が反転されて、画像が形成されていない他方面が感光ドラム9の周面と対向する姿勢で搬送路25に送り込まれる。そして、用紙Pの他方面に画像が形成されることにより、用紙Pの両面への画像の形成が達成される。両面に画像が形成された用紙Pは、排紙ローラ31により、排紙トレイ26上に排出される。
2.ドラムカートリッジ
(1)ドラムフレーム
ドラムカートリッジ6のドラムフレーム8は、樹脂からなる。ドラムフレーム8は、図2に示されるように、左側壁41および右側壁42を備えている。左側壁41および右側壁42は、前後方向に長く延びる板状をなし、左右方向に間隔を空けて対向している。
【0035】
左側壁41および右側壁42の各前端部間には、前壁43が架設されている。
【0036】
左側壁41および右側壁42の各後端部間には、図3に示されるように、後壁44が架設されている。
【0037】
左側壁41および右側壁42の各後端部間には、図2,3に示されるように、上壁45が上方から覆い被さるように架設されている。
【0038】
左側壁41および右側壁42の各下端部間には、図4に示されるように、下壁46が架設されている。
【0039】
上壁45と下壁46との間において、感光ドラム9および転写ローラ11が左側壁41および右側壁42に回転可能に支持されている。
【0040】
上壁45には、帯電器10が保持されている。
【0041】
また、左側壁41および右側壁42に挟まれる空間において、上壁45と対向せずに上方が開放されている部分がカートリッジ装着部12(図1参照)である。
(2)上壁
図2,3に示されるように、上壁45は、1対の左対向部51および右対向部52、被覆部53ならびに帯電器保持部54を一体的に備えている。
【0042】
左対向部51および右対向部52は、図2に示されるように、側面視で下方に凸となる略三角形状の同一形状をなしている。そして、左対向部51および右対向部52は、それぞれ左側壁41および右側壁42の各後端上部に対して左右方向の外側から対向している。
【0043】
被覆部53は、左対向部51および右対向部52の上端縁間に架設されている。被覆部53は、格子状をなし、感光ドラム9(図1参照)に対して上方に間隔を空けて、感光ドラム9を上方から被覆するように形成されている。
【0044】
帯電器保持部54は、被覆部53の後方に形成されている。帯電器保持部54は、図4に示されるように、1対の外支持部55、内支持部56、連結部57および係止部58を一体的に備えている。また、帯電器保持部54は、1対のワイヤ支持部59を備えている。
【0045】
1対の外支持部55は、後上がり(前下がり)および左右方向に延びる板状をなし、その後上がりに延びる方向と直交する方向に互いに間隔を空けて配置されている。
【0046】
内支持部56は、1対の外支持部55の内側において、各外支持部55の後上端部に対して微小な間隔を空けて対向している。内支持部56は、外支持部55と平行をなす断面矩形状をなしている。
【0047】
連結部57は、各外支持部55の後上端部とこれに対向する内支持部56の後上端部との間に架設されている。
【0048】
係止部58は、内支持部56の後上端部に連続して形成され、内支持部56から1対の外支持部55の対向方向(以下、単に「対向方向」という。)の内側および後上方に突出する断面矩形状をなしている。これにより、係止部58と内支持部56における対向方向の内側の面および後上端面との各間には、段差が形成されている。一方の係止部58と他方の係止部58との間は、図2に示されるように、左右方向に延びる矩形状の開口部60として開放されている。
【0049】
1対のワイヤ支持部59は、少なくとも左右方向に感光ドラム9の表面における静電潜像が形成される領域の左右方向の幅よりも大きな間隔を空けて対向し、左右方向と直交する方向に延びる板状をなしている。
(3)帯電器
帯電器10は、図4に示されるように、放電電極の一例としての放電ワイヤ61、1対のシールド電極62およびグリッド電極63を備えている。
【0050】
放電ワイヤ61は、1対のワイヤ支持部59間に架設され、感光ドラム9の表面に対して間隔を空けて、感光ドラム9の表面における放電ワイヤ61と対向する部分の移動方向である第1方向(図4に矢印Dで示される方向)と直交かつ感光ドラム9の表面と平行をなす第2方向(すなわち、左右方向)に延びている。放電ワイヤ61に高電圧が印加されることにより、放電ワイヤ61からコロナ放電が生じる。
【0051】
1対のシールド電極62は、それぞれ左右方向に延びる薄い金属板状をなしている。各シールド電極62の後上端部には、被挟持部64が形成されている。各シールド電極62は、被挟持部64が外支持部55とこれに対向する内支持部56との間に差し込まれて、被挟持部64が外支持部55および内支持部56に挟持されることにより、帯電器保持部54に取り付けられている。この状態で、1対のシールド電極62は、それぞれ第1方向の上流側および下流側に配置されて、放電ワイヤ61と間隔を空けて、放電ワイヤ61と平行に延びている。1対のシールド電極62が設けられていることにより、放電ワイヤ61からの放電が第1方向の上流側および下流側に漏れることを防止できる。
【0052】
グリッド電極63は、シールド電極62と一体に形成され、1対のシールド電極62の前下端縁間に架設されている。そして、感光ドラム9の表面と微小な間隔を空けて対向し、第1方向におよび左右方向に延びる薄い金属板状をなしている。グリッド電極63には、左右方向に延びる一定幅の複数の開口が長手方向と直交する方向に微小な一定間隔を空けて形成されている。これにより、グリッド電極63は、各開口の間に、左右方向(第2方向)に延びる細長い電極部を有している。グリッド電極63に適当な電圧が印加されることにより、放電ワイヤ61から感光ドラム9の表面に到達する電荷(イオン)の量が一定量に制御される。
(4)ワイヤクリーナ
ドラムカートリッジ6は、図2,3に示されるように、放電ワイヤ61の清掃のためのクリーナ71を備えている。クリーナ71は、開口部60に沿って移動可能に設けられている。クリーナ71が開口部60に沿って移動されると、放電ワイヤ61がクリーナにより擦られ、放電ワイヤ61に付着した塵埃などが除去される。
(5)補強部材
また、ドラムカートリッジ6は、図2〜5に示されるように、3つの補強部材81を備えている。ドラムカートリッジ6が新品の状態において、3つの補強部材81は、図5に示されるように、等間隔を空けて配置され、開口部60に対向方向に架設されている。
【0053】
左端の補強部材81は、図6に示されるように、操作部82、1対の当接部83および梁部84を一体的に備えている。
【0054】
操作部82は、細長い略矩形板状をなしている。操作部82の長手方向の両端部は、一方側に屈曲している。操作部82の長手方向の両端面には、操作部82の長手方向の両端部が屈曲する方向に延びる円柱状の係合凸部85が突設されている。
【0055】
1対の当接部83は、操作部82の一方側の面(放電ワイヤ61側の面)に接続されている。また、1対の当接部83は、操作部82の長手方向に互いに間隔を空けて設けられ、操作部82の一方側の面の長手方向の中央を通る垂直線に関して線対称をなしている。各当接部83は、操作部82の一方側の面に対して垂直に延び、操作部82の長手方向の外側に屈曲して延びるL字状をなし、操作部82の長手方向と直交する方向に操作部82と同じ幅を有している。
【0056】
梁部84は、操作部82の一方側の面に接続されるとともに、1対の当接部83間に架設される板状をなしている。梁部84の一方側の面(放電ワイヤ61と対向する面)84Aは、操作部82側に凹む半円弧面に形成されている。
【0057】
中央および右端の補強部材81は、図7に示されるように、操作部82に係合凸部85が形成されていない点を除いて、図6に示される右端の補強部材81と同一の構成を有している。
【0058】
そして、各補強部材81は、図4に示されるように、当接部83の先端部が係止部58と内支持部56における対向方向の内側の面との間の段差に係止され、操作部82の長手方向の両端部が係止部58と内支持部56における後上端面との間の段差に係止されることにより、ドラムフレーム8に着脱可能かつ開口部60に沿って移動可能に取り付けられている。この状態で、各当接部83がドラムフレーム8の係止部58に対向方向の内側から当接している。
(6)逃がし部
ドラムフレーム8の上壁45には、開口部60の右端部に、3つの補強部材81を配置可能なスペースが逃がし部91として設けられている。逃がし部91の左端部には、右端の補強部材81の2つの係合凸部85に対応して、対向方向の外側に凹む係合凹部92が形成されている。
(7)清掃動作
ドラムカートリッジ6が新品の状態では、クリーナ71は、図5に示されるように、その右端部が開口部60の左端部に差し掛かる位置(ホームポジション)に配置されている。そして、前述のように、3つの補強部材81は、等間隔を空けて配置されている。
【0059】
たとえば、現像カートリッジ7の筐体13内のトナーがなくなり、現像カートリッジ7が新品と交換されるときには、放電ワイヤ61の汚れに起因する放電むらを防止するため、放電ワイヤ61の清掃を行う必要がある。この清掃は、クリーナ71が左右方向に往復移動されることにより達成される。
【0060】
まず、クリーナ71が右方に移動される。クリーナ71の移動に伴い、クリーナ71が放電ワイヤ61を摺擦する。これにより、放電ワイヤ61に付着している塵埃などが掻き落とされる。
【0061】
クリーナ71の右方への移動の途中で、クリーナ71の右端面が右端の補強部材81の当接面の一例としての左端面81Aに当接する。この当接後のクリーナ71の右方への移動により、左端の補強部材81がクリーナ71に押されて右方に移動する。
【0062】
クリーナ71および左端の補強部材81の移動が進むと、図8A,8Bに示されるように、左端の補強部材81が中央の補強部材81に当接する。この当接後のクリーナ71の右方への移動により、左端および中央の補強部材81がクリーナ71に押されて右方に移動する。
【0063】
クリーナ71の右方への移動がさらに進むと、中央の補強部材81が右端の補強部材81に当接する。この当接後のクリーナ71の右方への移動により、3つの補強部材81がクリーナ71に押されて右方に移動する。
【0064】
クリーナ71が逃がし部91の左側に隣接する位置まで移動されると、図9A,9Bに示されるように、3つの補強部材81が逃がし部91に配置され、左端の補強部材81の2つの係合部の一例としての係合凸部85が被係合部の一例としての係合凹部92に係合する。
【0065】
その後、クリーナ71が左方に移動される。係合凸部85が係合凹部92に係合しているので、クリーナ71が左方に移動されても、3つの補強部材81は、逃がし部91に滞在する。そして、図5に示されるように、クリーナ71がホームポジションまで戻されると、クリーナ71による放電ワイヤ61の清掃が達成される。
【0066】
なお、補強部材81は、ドラムフレーム8に着脱可能に取り付けられているので、補強部材81を後上方に引っ張り、当接部83および操作部82の長手方向の両端部の先端部と内支持部56との係止状態を解除すれば、ドラムフレーム8から取り外すことができる。
3.作用効果
(1)作用効果1
以上のように、感光ドラム9は、その表面が第1方向に移動可能なように設けられている。放電ワイヤ61は、感光ドラム9の表面に対して間隔を空けて、第1方向と直交かつ感光ドラム9の表面と平行をなす第2方向(左右方向)に延びている。感光ドラム9および放電ワイヤ61は、ドラムフレーム8に保持されている。
【0067】
ドラムフレーム8には、放電ワイヤ61に対して感光ドラム9と反対側に、開口部60が形成されている。これにより、ドラムフレーム8の外部から開口部60を介して内部に、エアフローを取り込むことができる。そして、そのエアフローにより、放電ワイヤ61への塵埃などの付着を防止し、また、放電ワイヤ61に付着した塵埃などを除去することができる。その結果、第2方向において、放電ワイヤ61から均一な放電を生じさせることができる。
【0068】
また、クリーナ71が開口部60に沿って移動可能に設けられている。クリーナ71が開口部60に沿って移動されると、放電ワイヤ61がクリーナ71により清掃され、放電ワイヤ61に付着した塵埃などが除去される。そのため、放電ワイヤ61が清掃されることにより、第2方向において、放電ワイヤ61からより均一な放電を生じさせることができる。
【0069】
そして、ドラムフレーム8には、クリーナ71とは別体の補強部材81が当接している。この補強部材81により、ドラムフレーム8における開口部60の周辺部分が補強されるので、ドラムフレーム8における開口部60の周辺部分の変形を防止できる。よって、グリッド電極63の変形を防止でき、ひいてはグリッド電極63と感光ドラム9との接触を防止できる。
(2)作用効果2
補強部材81は、ドラムフレーム8から取り外すことができる。補強部材81がドラムフレーム8から取り外されることにより、補強部材81がクリーナ71の移動の妨げとなることを防止できる。
(3)作用効果3
補強部材81には、梁部84が形成されている。梁部84は、1対の当接部83間に架設され、これにより第2方向と交差する対向方向に延びている。これにより、補強部材81は、対向方向に大きい強度を有する。そのため、ドラムフレーム8における開口部60の周辺部分が対向方向に変形することを良好に防止できる。
(4)作用効果4
補強部材81における放電ワイヤ61と対向する面84Aは、放電ワイヤ61から離れる方向に凹んでいる。これにより、補強部材81が放電ワイヤ61に接触することを防止できる。
(5)作用効果5
クリーナ71が左端の補強部材81の左端面81Aに当接した後、クリーナ71がさらに移動されることにより、クリーナ71から補強部材81の左端面81Aに押圧力が与えられ、補強部材81がクリーナ71とともに移動する。よって、クリーナ71の移動が補強部材81に阻害されることなく、クリーナ71による放電ワイヤ61の円滑な清掃を実行することができる。
(6)作用効果6
ドラムフレーム8には、開口部60の左端部に、逃がし部91が形成されている。補強部材81を逃がし部91に配置することにより、クリーナ71の移動経路上から補強部材81を逃がすことができ、クリーナ71の移動が補強部材81に阻害されることを確実に防止できる。
(7)作用効果7
補強部材81には、係合凸部85が形成されている。逃がし部91には、係合凸部85と係合する係合凹部92が形成されている。そのため、補強部材81が逃がし部91に配置されると、補強部材81の係合凸部85が逃がし部の係合凹部92に係合する、その結果、補強部材81が逃がし部91に一旦配置されると、クリーナ71の移動とは無関係に、補強部材81が逃がし部91に滞在し続ける。よって、補強部材81がクリーナ71の移動の抵抗になることを防止できる。また、補強部材81が逃がし部91に配置されていることを確認すれば、過去に放電ワイヤ61の清掃が行われたか否かを判断することができる。逆に、補強部材81が逃がし部91に配置されていなければ、放電ワイヤ61の清掃が未完了であると判断することができる。
4.変形例
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0070】
たとえば、補強部材81が3つ設けられている構成を例にとったが、補強部材81の数は、1つまたは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0071】
梁部84における放電ワイヤ61と対向する面84Aは、操作部82側に凹む半円弧面に形成されているとしたが、操作部82側に四角形状に凹む断面コ字状に形成されていてもよい。
【0072】
感光体カートリッジの一例として、ドラムカートリッジ6を取り上げたが、感光体カートリッジは、ドラムカートリッジ6および現像カートリッジ7に相当する構成を一体的に備えるものであってもよい。また、感光体カートリッジは、ドラムカートリッジ6および現像カートリッジ7の現像室15(現像室15に配置される現像ローラ18および供給ローラ19などを含む。)に相当する構成を一体的に備え、トナーを収容するトナーカートリッジが着脱可能に装着されるタイプのものであってもよい。
【0073】
また、本発明の感光体カートリッジが備えられる画像形成装置の一例として、モノクロのレーザプリンタ1を取り上げたが、本発明の感光体カートリッジは、カラーレーザプリンタに備えられてもよい。
【0074】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0075】
6 ドラムカートリッジ
8 ドラムフレーム
9 感光ドラム、
60 開口部
61 放電ワイヤ
71 クリーナ
81 補強部材
81A 右端面
84A 面
85 係合凸部
91 逃がし部
92 係合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が第1方向に移動可能なように設けられた感光体と、
前記感光体の前記表面に対して間隔を空けて、前記第1方向と直交かつ前記感光体の前記表面と平行をなす第2方向に延びる放電電極と、
前記感光体および前記放電電極を保持し、前記放電電極に対して前記感光体と反対側に前記第2方向に延びる開口部を有するフレームと、
前記開口部に沿って移動可能に設けられ、その移動により前記放電電極を清掃するクリーナと、
前記クリーナとは別体に形成され、前記フレームに当接し、前記開口部の周辺部分を補強する補強部材とを備える、感光体カートリッジ。
【請求項2】
前記補強部材は、前記フレームに着脱可能に取り付けられる、請求項1に記載の感光体カートリッジ。
【請求項3】
前記補強部材には、前記第2方向と交差する方向に延びる梁部が形成されている、請求項1または2に記載の感光体カートリッジ。
【請求項4】
前記補強部材における前記放電電極と対向する面は、前記放電電極から離れる方向に凹んでいる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光体カートリッジ。
【請求項5】
前記補強部材には、前記クリーナの移動により前記クリーナと当接する当接面が形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光体カートリッジ。
【請求項6】
前記フレームには、前記開口部に対して前記第2方向の一方側に、前記クリーナの移動経路上から前記補強部材を逃がして配置するための逃がし部が形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光体カートリッジ。
【請求項7】
前記補強部材には、係合部が形成されており、
前記逃がし部には、前記係合部と係合する被係合部が形成されている、請求項6に記載の感光体カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2012−159649(P2012−159649A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18642(P2011−18642)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】