説明

感光性印刷要素の高速現像装置

【要約書】
【課題】本発明は、フレキソ印刷に好適なレリーフ構造を形成するための感光性要素の熱処理システムに関する。
【解決手段】本発明のシステムは、感光性印刷要素の画像面から未硬化の感光性ポリマーを除去するための連続に配置された複数のブロッティング台を有する。本発明の装置により製造されたフレキソ版は、新聞及び他の刊行物の印刷の使用に特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性要素を熱処理してフレキソ印刷に適したレリーフ構造を形成するための装置に関する。本発明の装置により製造されたフレキソ版は、新聞及び他の刊行物の印刷の使用に特に好適である。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、大量印刷に一般的に使用される印刷方法である。フレキソ印刷は、紙、板紙素材、段ボール、フィルム、フォイル、及び積層体等の多様な支持体への印刷に用いられる。新聞、食料雑貨入れの袋が主な例である。フレキソ刷版は、画像となる部分が開口領域に盛り上がったレリーフ版である。そのような版は、主にその耐久性及び作製容易性によって、印刷機にとって多くの長所がある。
【0003】
フレキソ印刷で新聞を作製している今日の製造メーカーほぼ全てが、高圧水を噴霧して刷版を処理している。これらのシステムの例は、特許文献1(Inoko)及び特許文献2(Horner)に記載されている。このアプローチは高速であるが、欠点は多い。第一に、このアプローチは、水を運搬する配管と本プロセスで使用する水を加熱するエネルギーとを必要とする。また、本プロセでは、処分の必要がある廃液が生成されてしまう。廃液を処分する前に処理が必要となることが多く、費用が更に掛かってしまう。最後に、水分散性を得るためには特別なポリマー化学反応が必要であり、刷版の感光性ポリマー樹脂の耐久性及び解像度が制限されてしまう。そのため、版から印刷への過程をより高速化し、且つ従来の溶媒ベースによるプロセスの欠点を解消するために、レリーフ画像の現像に印刷版の化学処理を不用とすることがフレキソ製版の印刷業界で非常に望まれている。
【0004】
熱ブロッティングは、フレキソ版の製造によく使用されるプロセスである。熱ブロッティングは、高品質の版を製造するユーザフレンドリーなプロセスである。しかしながら、新聞及び他の刊行物の処理に対して遅過ぎ、現行では非常に遅いものである。熱ブロッティングプロセスでは、感光性ポリマー刷版を熱により作製し、硬化及び未硬化感光性ポリマー間の溶融温度の違いにより、潜像の現像を行う。本プロセスの基本パラメータは、特許文献3(Petersonら)、特許文献4(Martens)、特許文献5(Franら)、及び特許文献6(Mengelら)に記載されているように公知である。これらのプロセスにより、現像用溶媒の使用、及び該溶媒の除去に必要な長時間の乾燥を省くことができる。しかしながら、早い反転時間及び高い生産性が重要である、新聞及び他の刊行物の印刷用のフレキソ版製造において本プロセスを使用可能とするためには、本プロセスの速度及び効率を向上する必要がある。
【0005】
フレキソ版の包装に現在使用されている熱処理機は、新聞用フレキソ版には適していない。主な問題は遅すぎることであり、ブロッティング台を一つしか使用しないため少なくとも速度が約一桁遅い。現在のプロセスでは、フレキソ版をドラム又はベルトに貼り付け、未硬化樹脂が除去されるまで、ブロッティング台を複数回通過させる。吸収性材料からなる予め熱した織布(web)に、放射線硬化性層を接触することが好ましい。吸収性織布の熱は接触させると放射線硬化性層に移動し、放射線硬化性層の未硬化部分が軟化又は液化して吸収用織布に吸収されるのに十分な温度に、放射線硬化性層の温度を上昇させる。加熱されている間に、支持層と接触している硬化した放射線硬化性層から、吸収性シート材料を分離し、レリーフ構造を露出させる。その後刷版を装置から手で取り外し、別の機械にセットして後硬化させる。
【0006】
特許文献3には、加熱刷版と接触している加熱ローラー及び吸収性材料を使用する一般的な熱現像装置が記載されている。この装置では、印刷要素の表面から溶融ポリマーを全て除去するため、印刷要素を加熱ローラーに複数回通す必要がある。特許文献7(Daernsら)は熱現像にラミネータを使用することを提案しており、刷版は清掃布と接触させられ、ラミネーション・ローラを通過する。ここでも、未硬化の感光性ポリマーを全て除去するため、刷版を装置に複数回通す必要がある。
【0007】
本発明は、先行技術の多くの欠点を克服する、新聞用フレキソ版の高速熱現像のための新システムを提供する。
【0008】
本発明は、連続に配置された複数のブロッティング台を有する、フレキソ刷板を熱現像するための新システムを対象としており、各前記ブロッティング台は、各ブロッティング台中の少なくとも1つのロールを加熱する手段と、各々のブロッティング台を通してフレキソ印刷版を運搬する手段とに沿って描画/露光したフレキソ印刷版が通過するニップ間隙を形成する一組のロールを有する。従来の熱現像システムとは異なり、本発明のシステムは、一回の通過で印刷要素から樹脂を完全に除去可能である。
【0009】
また、本発明の熱現像システムは、従来の高圧水噴霧現像システムと比べて多くの利点がある。
【0010】
本発明の新システムは水を使用しない。そのため、水を供給するための配管を必要とせず、処理・処分が必要な廃水を生じない。また、溶媒、即ち水を使用しないことは乾燥工程の必要がないということを意味し、刷版製造プロセスが短縮される。最後に、水分散性に対する条件が無くなるため、刷版の化学組成の自由度が大幅に広がる。フレキソ印刷版を所望の性能特性とするために広範囲のモノマー、ポリマー及び添加剤を使用することが可能となり、性能(例えば、寿命及び解像度)の強化、樹脂の低コスト化に繋がる。
【0011】
本発明のシステムは非常に高速であり、またワンパス設計とされているため、大量製造ユーザー向けである。1時間で150ftを超える製造が可能であり、単版ならばわずか5分で作製可能である。本発明の各ブロッティング台は、温度、ニップ間隙、及び弾性ロールのデュロメータ硬度/厚さを個別に最適化することができ、処理に対して大幅な柔軟性を与えることができる。最後に、後硬化工程はプロセス内に設けられる。必要に応じて曲げ変形及び穴あけを行った後、刷版は印刷に使用可能な状態となる。
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,196,018号明細書
【特許文献2】米国特許第4,801,815号明細書
【特許文献3】米国特許第5,279,697号明細書
【特許文献4】米国特許第5,175,072号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2003/0180655号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0211423号明細書
【特許文献7】米国特許第6,551,759号明細書
【特許文献8】米国特許第6,247,404号明細書
【特許文献9】米国特許第5,257,444号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ワンパスで感光性印刷要素を高速で処理できる熱現像システムを提供することである。
本発明の他の目的は、新聞及び他の刊行物を印刷するための感光性フレキソ刷板の製造に使用できる熱現像システムを提供することである。
最後に、本発明の目的は、複数のブロッティング台を有する熱現像システムを提供することであり、個々のブロッティング台は、温度、ニップ間隙、及び弾性ロールのデュロメータ硬度/厚さを個別に最適化することが可能なため、感光刷版処理に対して大きな柔軟性が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、前記感光性印刷要素の描画面から未架橋感光性ポリマーを除去するための、感光性印刷要素の熱現像システムを対象としており、前記感光性印刷要素を熱に曝すことにより描画面上の未架橋の感光性ポリマーを部分的に軟化させることができるシステムであって、前記感光性印刷要素をその間に搬送する間隙を形成する第一ロール及び第二ロールを各々有する連続に配置された複数のブロッティング台と、前記連続に配置された各ブロッティング台の少なくとも前記第一ロールを加熱する手段と、前記連続に配置された複数のブロッティングを通して前記感光性印刷要素を運搬する手段と、前記感光性印刷要素と接触可能な、前記連続に配置された各ブロッティング台の少なくとも前記第一ロールの一部にブロッティング材を供給する手段とを有し、前記感光性印刷要素が、前記連続に設置された各ブロッティング台のニップ間隙を通り抜け前記加熱第一ロールの少なくとも一部周辺に配置された前記ブロッティング材と接触する際に、前記感光性印刷要素の描画面の未架橋の感光性ポリマーが軟化し、前記ブロッティング材により除去されることを特徴とするシステムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の十分な理解のために、以下図面を参照しながら説明をする。各図面において全ての構成要素に符号を付してないが、同一の符号である全ての要素は、類似又は同一部分を示す。
本発明は、高速版処理を可能とする改良熱現像システムに関する。本発明の設計では、2台以上の連続に配置されたブロッティング台が設けられるが、連続配置するブロッティング台の必要台数は、主に除去するレリーフ量に依存する。
【0016】
複数のブロッティング台の連続配置することにより、高速作業が達成される。単版は高速で処理され、高いスループットが連続作業ベースで実現される。フレキソ版が処理中に通る経路は、ほぼ全ての新聞で所望される作業レイアウトに好適な「一直線」である。既存の版を、穴あけ/曲げ機等の装置に直接送ることができる。「穴あけ機」を使用して刷版の長手方向端部に穴を開けて、回転印刷機の版シリンダー上に刷版を位置決めすることも可能である。版曲げ機を使用して、刷版を印刷シリンダーに取り付けられるようにしてもよい。新聞印刷機の製造に使用される穴あけ/曲げ機の例は、特許文献8(Okamura)及び特許文献9(Nishiyama)に記載されている。
【0017】
本発明のシステムは高速・高効率であるため、早い反転時間及び高い生産性が重要となる新聞及び他の刊行物の印刷に用いられるフレキソ版の製造に使用可能である。事実、標準サイズの新聞刷版は、5分未満で製造可能と考えられる。製造される版は高品質であり、刷版製造にかかる全体の価格は、従来の有機溶媒系又は水系溶媒による現像プロセスより安価である。
【0018】
図に示すように、本発明はフレキソ刷板を熱現像してレリーフ画像を形成するためのシステム10を対象とする。前記感光性印刷要素を熱で現像し、前記感光性印刷要素の描画面から未架橋の感光性ポリマーを除去する。
【0019】
本発明の熱処理システムは、描画及び露光された感光性印刷要素の表面から未露光の樹脂を除去するための、連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20を有する。本発明の熱現像システムで処理する前に、当技術分野で知られているように、前記感光性印刷要素に対して描画及び露光を行う。像様露光にネガ型のフィルムマスクを使用し、感光性ポリマー樹脂の所望の部分を硬化させる。像様露光前に、ブランケット前露光を感光性ポリマーに施してもよく、これによって像様露光工程の速度を高めることができる。像様露光後は、放射線硬化性層は硬化部分と未硬化部分とから構成される。前記感光性印刷要素は本発明の熱現像システムで処理可能な状態となる。
【0020】
前記感光性印刷要素は、一般的に、熱に曝すことで部分的に軟化可能である少なくとも1つの層を有する。この感光刷版は、通常、少なくとも2つの層、即ち、支持層と少なくとも1つの感光性ポリマー層とを含む。また、放射線硬化性層上に赤外感光層を任意で設けてもよく、この層は、化学線による露光の前に、赤外線レーザー線を用いて該硬化性層上に、その場(in−situ)マスクを形成するために使用する。本発明の一つの態様において、感光性印刷要素は、スチール、アルミニウム、及び高温ポリマーからなる群から選択される耐熱支持体を有する。より好ましい態様において、支持体層は金属からなる。金属支持体は、感光性ポリマー層の基礎構造となり、より高温での熱現像を可能とし、また、印刷機への効果的な取り付けを可能とする。
【0021】
感光性ポリマー層により所望の描画が可能となり、印刷表面が得られる。一般的に使用される感光性ポリマーは、バインダー、モノマー、光開始剤、及び性能向上用添加剤等の材料を一種以上含む。ポリスチレン−イソプレン−スチレン、ポリスチレン−ブタジエン−スチレン、ポリウレタン、及び/又はチオレン等をバインダーとして使用したもの等の様々な感光性ポリマーが有用である。好ましいバインダーとしては、ポリスチレン−イソプレン−スチレン、ポリスチレン−ブタジエン−スチレン、特にそれらのブロック共重合体が挙げられる。感光性ポリマーは、加熱された際に像が形成されるように、硬化及び未硬化ポリマー間に実質的に溶融温度差が存在するような組成でなければならない。硬化した感光性ポリマーが選択した温度で固体にそのまま保たれる一方、未硬化の感光性ポリマー(即ち、化学線に接触していない感光性ポリマー部分)は、溶融又は実質的に軟化する。溶融温度の差により、未硬化の感光性ポリマーを本発明の熱現像システムで選択的に除去でき、レリーフ画像が形成される。
【0022】
印刷要素の正確な加熱温度は、使用する感光性ポリマーの性質に依存する。現像温度は、下限としての未硬化感光性ポリマーの溶融温度と、上限としての硬化感光性ポリマー溶融温度との間に設定するのが好ましい。こうすることにより、感光性ポリマーの選択的な除去が可能となり、像が形成される。しかしながら、現像温度は、硬化感光性ポリマーの溶融温度、及び硬化感光性ポリマーが劣化する温度を超えてはならない。また、未硬化感光性ポリマー溶融又は実質的に軟化させ、除去するのに十分な温度でなければならない。
【0023】
本発明のシステムは、通常、連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20を含む。該連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20は、それぞれ、第一ロール22及び第二ロール24を有し、第一ロール22及び第二ロール24は、感光性印刷要素15が搬送される間隙25を形成する。更に、本発明のシステムの前記連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20は、それぞれ、第一ロール22、第二ロール24のうち少なくとも1つを加熱する手段を有する。本発明のシステムは、前記連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20を通して感光性印刷要素15を運搬する手段、及びブロッティング台14、16、18、20それぞれの第一ロール22にブロッティング材33を供給する手段も有する。前記感光性印刷要素が、各ブロッティング台のニップ間隙を通過し、加熱された第一ロールの少なくとも一部周辺に設置されたブロッティング材と接触する際に、前記感光性印刷要素の画像面上の未架橋の感光性ポリマーが軟化し、ブロッティング材により除去される。
【0024】
本発明のシステムは、好ましくは少なくとも2台、多くて6台のブロッティング台を有する。ブロッティング台の必要数は、除去する版のレリーフ量に主に依存する。今日の一般的なフレキソ印刷による新聞のレリーフは、約13.5〜15ミルである。このレリーフ厚を達成するには、およそ4台のブロッティング台が必要となる。前記連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20は、略一直線に配置することが好ましい。
【0025】
本発明の一つの態様において、連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20各々の第一ロール22及び第二ロール24の少なくとも1つは、樹脂の除去を向上するため、弾性カバーで覆われる。様々な厚さ及びデュロメータ硬度の弾性カバーを使用して、処理中の印刷要素上に所望のレリーフを形成することが可能である。熱伝導度の良好な弾性カバーが好ましい。
【0026】
複数の連続に配置されたブロッティング台14、16、18、20各々の第一ロール22又は第二ロール24の少なくとも一つを加熱する手段は、一般的に、感光性材料の少なくとも一部を軟化又は液化する第一ロール22又は第二ロール24の表面温度を維持できるコアヒーターを有する。熱源は、電気コアヒーターを含むことが好ましいが、スチーム、循環熱油、熱風、及び様々な他の熱源を使用して所望の表面温度としてもよい。第一ロール22及び/又は第二ロール24を加熱する温度は、感光性材料の組成や、感光性材料内に含まれるモノマー及びポリマーの溶融温度に基づいて選択する。一般的に、少なくとも1つの加熱ロールの温度は、下限としての未硬化感光性ポリマーの溶融温度と、上限としての硬化感光性ポリマーの溶融温度の間に維持される。これにより、感光性ポリマーが選択的に除去可能となり、レリーフ像が形成される。
【0027】
連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20各々は、少なくとも温度及びニップ間隙幅の可変制御ができ、コントローラ60内に配置されていることが好ましい。適切なコントローラとしてはマイクロプロセッサが挙げられるが、これに限定されることなく、該コントローラは当該技術分野で一般的に周知である。適切なコントローラの一つが特許文献3に記載され、その主題は参照することで全体を本明細書に援用する。
【0028】
前記連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20各々の少なくとも前記第一ロールの加熱温度は、別々に制御してもよい。第一ロール22及び第二ロール24間のニップ間隙25を可変制御して、前記ブロッティング台14、16、18、20に様々な厚さの感光性印刷要素を通過させ、尚且つ感光性印刷要素15が複数の連続に配置されたブロッティング台14、16、18、20各々を通過する際に更にレリーフが除去させるようにしてもよい。一般的に、版から吸収ブロッティング材33への樹脂の移動を促進するため、2つの加熱ロール間の間隙25は十分狭く設定するが、版の硬化部分が崩壊して形成像が損傷する程狭くはしない。連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20各々のニップ間隙25は、厚さが約10〜100ミルの版が処理できるよう調節してもよい。連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20に感光性印刷要素15を通過させる際に、空気シリンダー(不図示)を使用して適切なニップ間隙25を設けてもよい。連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20を通過する感光性印刷要素15の速度を可変制御してもよい。
【0029】
複数の連続に配置されたブロッティング台14、16、18、20を通って感光性印刷要素15を運搬させる手段は、一般的に、駆動モーター(不図示)に取り付けられた1つ以上のコンベヤー30及び40を有する。連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20へ感光性印刷要素15を運搬するため、複数のブロッティング台14、16、18、20の前に1つのコンベヤー30を配置するが、該ブロッティング台14、16、18、20から感光性印刷要素15を運び出して後露光/分離装置29を通過させるため、ブロッティング台14、16、18、20の後ろに他のコンベヤー40を配置する。第一ロール22及び第二ロール24を回転させて、感光性印刷要素15を前進させてシステム内に通すことによって、感光性印刷要素15は前記複数の連続に配置されたブロッティング台14、16、18、20内を移動する。感光性印刷要素15をブロッティング台14、16、18、20を通過させるために他のコンベヤー(不図示)を任意に使用してもよい。前記複数の連続に配置されたブロッティング台14、16、18、20各々の第一ロール22及び第二ロール24は、同一の回転速度となるように制御される。
【0030】
1つ以上のコンベヤー30及び40は、それぞれ、複数のロール46及び48に張架された無端ループ42を有する。感光性印刷要素15の重さによる無端ループ42のたるみを防止するため、1つ以上の追加ローラー(不図示)を任意に使用して、1つ以上のコンベヤー30及び40を更に支えてもよい。より好ましい態様において、無端ループ42は、金網メッシュを有する。吸引又は摩擦等の様々な手段により、1つ以上のコンベヤー30及び40上に感光性印刷要素15を保持することが可能である。一つの態様において、傾斜させたスチール製トレー及び重力により、感光性印刷要素15をシステムの版供給セクションを通過して運搬する。他の変形例では、感光性印刷要素15を、摩擦及びゴム製ベルトを用いて後硬化セクションを通過して運搬する。
【0031】
本発明のシステムでは、未架橋の感光性ポリマーの軟化/溶融の効率を向上させ、且つ感光性材料15からなる少なくとも1つの層の一部を更に軟化及び液化させるため、連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20の前の前加熱領域36内に1つ以上の補助ヒーター37を更に配置させてもよい。本発明の他の態様において、1つ以上の補助ヒーター45を、複数のブロッティング台14、16、18、20の間の1つ以上に配置する。様々な種類のヒーターを使用してよいが、好ましい補助ヒーターは、赤外線ヒーターである。
【0032】
複数の連続に配置されたブロッティング台14、16、18、20それぞれの第一ロールにブロッティング材を供給する手段は、通常、複数のブロッティング台14、16、18、20各々の第一ロール22に連続的にブロッティング材33を供給する供給ロール32を有し、前記ブロッティング材33は、感光性印刷要素15の描画面と接触する第一ロール22の少なくとも一部の下及び周りに張架される。新しいブロッティング材33は、通常、吸収ブロッティング材33の供給ロール32から複数の連続に配置されたブロッティング台14、16、18、20それぞれの第一ロール22に連続的に供給される。
【0033】
除去された未架橋ポリマーを含有するブロッティング材33を巻き取るのに、巻取り装置を使用してよく、該巻取り装置は好ましくは巻取りローラー34である。巻取りローラー34は、好ましくは可変速度モーターであるモーター(不図示)により、独立してベルト駆動されることが好ましい。巻取りローラー34は、感光性印刷要素15に接触して液化又は軟化した感光性材料部分を除去したブロッティング材33からなる織布を回収する。自動スライス装置(不図示)を使用して、ブロッティング材33の供給ロール32を新しいロールに交換してもよい。
【0034】
ブロッティング材は、一般的に、スクリーンメッシュ、吸収性布、及び紙からなる群から選択される。織物又は不織物のいずれかが使用され、該織物又は不織物は、運転温度に耐えうる限り、ポリマー製のもの又は紙を使用してよい。本発明において、ブロッティング材が特定の種類であることは重要ではない。ブロッティング材33は、処理する感光性印刷要素15の厚さ、ブロッティング材33の溶融温度、及び感光性印刷要素15及びブロッティング材33両方の熱伝達特性に一部依存して選択する。
【0035】
本発明のシステムは、連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20を通して感光性印刷要素15を運搬した後、該感光性印刷要素15を後露光及び分離する手段29を更に有する。
【0036】
本発明のシステムは、連続に配置された複数のブロッティング台14、16、18、20を収容する筐体11を有してもよい。使用する場合、筐体11は、少なくとも前記感光性印刷要素が本発明のシステムを出入りできる複数の開口部を有する。
【0037】
本発明の一つの態様において、システム10は、筐体中の揮発性有機化合物含有空気の処理・再利用のため、筐体11に動作可能に接続した換気手段50を有する。揮発性有機化合物は、感光性材料の一部が加熱され、液化又は軟化した際に筐体中へ放出される。換気システム50は、熱処理機内、又は該処理機が設置された部屋内への有機蒸気及び臭気の蓄積を防止する。さらに、換気システム50を設けることによって、有機蒸気を含有した処理機からのオフガスを外部から換気する必要がなくなる。
【0038】
様々な換気手段を本発明の実施する際に使用してよい。1つの好適な換気手段は、筐体から、揮発性有機化合物及び他の不純物を含む空気流を排出する手段と、該空気流から粒子を除去する粒子フィルターと、該空気流から揮発性有機化合物を吸収して清浄化された空気流を生成する手段と、該清浄化された空気流を筐体に戻す再利用手段とを含む。
【0039】
本システムにおいて、筐体11から換気手段50に空気流を排出すると、この空気はフィルター・システムに向かう。フィルター・システムは、通常、あらゆる浮遊粒子又は水滴を除去する粒子フィルター52及び有機蒸気を除去する吸収盤材料54を含む。不純物を沈殿させ、フィルター・システムによる該不純物の除去を向上させ、蒸気漏れを制限するため、好適な温度制御手段56を使用して、不純物を含んだ空気流の温度を制御してもよい。温度制御手段56は、熱交換器、又はヒートポンプを含んでよいが、他の手段についても当該技術分野において周知である。好適な手段、即ち、送風機を使用して、清浄化された空気を筐体11に戻し再利用するか、或いは外部に放出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の熱現像システムの断面図である。
【図2】図2は、本発明の熱現像システムの別視点の図である。
【符号の説明】
【0041】
10 熱現像システム10
11 筐体
14 ブロッティング台
15 感光性印刷要素
16 ブロッティング台
18 ブロッティング台
20 ブロッティング台
22 第一ロール
24 第二ロール
25 間隙
30 コンベヤー
32 供給ロール
33 ブロッティング材
34 巻取りローラー
37 補助ヒーター
40 コンベヤー
42 無端ループ
45 補助ヒーター
50 換気手段(システム)
52 粒子フィルター
54 吸収盤材料
56 温度制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性印刷要素を加熱して該感光性印刷要素の描画面から未架橋の感光性ポリマーを除去して該描画面を現像する感光性印刷要素の熱現像システムであって、前記感光性印刷要素の描画面の未架橋の感光性ポリマーは、熱に曝すことにより部分的に軟化可能であり、
a)前記感光性印刷要素を搬送する間隙を有する、連続に配置された複数のブロッティング台と、
b)前記感光性印刷要素が前記連続に配置されたブロッティング台を通過する際に前記感光性印刷要素を加熱する手段と、
c)前記連続に配置された複数のブロッティング台に、前記感光性印刷要素を通過させる手段と、
d)前記感光性印刷要素と接触可能なように、前記連続に配置されたブロッティング台の各々にブロッティング材を供給する手段とを有し、
前記連続に配置されたブロッティング台の各々間隙に前記感光性印刷要素を通過させ前記ブロッティング材と接触させる際に、前記感光性印刷要素の描画面の未架橋の感光性ポリマーを軟化させ前記ブロッティング材により除去することを特徴とする熱現像システム。
【請求項2】
前記連続に配置された複数のブロッティング台が、2台〜6台である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の連続に配置されたブロッティング台が、略直線上に配置された請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記連続に配置されたブロッティング台各々に前記感光性印刷要素を通過させる手段が、樹脂除去を向上するための弾性カバーを更に有する請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記連続に配置されたブロッティング台各々が、前記感光性印刷要素の温度を制御する可変温度制御装置を備えている請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記連続に配置されたブロッティング台各々が、様々な厚さの感光性印刷要素が前記連続に配置された複数のブロッティング台を通過できるように前記間隙及び前記第二ロールを調節する可変制御装置を備えている請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記連続に配置された複数のブロッティング台各々の前記間隙を、厚さ約10〜100ミルの版に対応できるように調節した請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記連続に配置された複数のブロッティング台に前記感光性印刷要素を通過させる手段が、1つ以上のコンベヤーを有し、該1つ以上の各コンベヤーが、前記連続に配置された複数のブロッティング台に前記刷版を搬送する複数のロールの周囲に配置された無端ループを有する請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記感光性印刷要素を、吸引により前記1つ以上のコンベヤー上に保持する請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記連続に配置された複数のブロッティング台を通過する前記感光性印刷要素の速度が可変制御される請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記連続に配置された複数のブロッティング台の前の前加熱領域に配置された1つ以上の補助ヒーターを更に有する請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
1つ以上の前記複数のブロッティング台の間に配置された1つ以上の補助ヒーターを更に有する請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記補助ヒーターが、赤外線ヒーターである請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記補助ヒーターが、赤外線ヒーターである請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記連続に配置されたブロッティング台各々にブロッティング材を供給する手段が、前記連続に配置されたブロッティング台各々の第一ロールにブロッティング材を連続的に供給する供給ロールを有し、前記ブロッティング材は、前記感光性印刷要素の描画面に接触する前記第一ロールの少なくとも一部分の下及び周りに張架される請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
除去された前記未架橋ポリマーを含む前記ブロッティング材を巻き取る巻き取り装置を更に有する請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ブロッティング材の供給ロールを、新しいロールに交換する自動スライシング装置を更に有する請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記ブロッティング材が、スクリーンメッシュ、吸収性布、及び紙からなる群から選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記連続に配置された複数のブロッティング台を通して前記感光性印刷要素を運搬した後、前記感光性印刷要素を後露光及び取り外す手段を更に有する請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記感光性印刷要素が、スチール、アルミニウム、及び高温ポリマーからなる群から選択される耐熱支持体を有する請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記連続に配置された複数のブロッティング台を収容する筐体を更に有する請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
揮発性有機化合物を含む空気を処理及び再利用するための、前記筐体に動作可能に接続された換気手段を前記筐体内に更に有し、前記揮発性有機化合物は、前記感光性材料の一部が加熱され、液化又は軟化した際に、前記筐体内に放出される請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記換気手段が、
a)前記揮発性有機化合物及び他の不純物を含む空気流を前記筐体から排出する手段と、
b)前記空気流から粒子を除去する粒子フィルターと、
c)清浄化された空気流を生成するため、前記空気流から揮発性有機化合物を吸収する手段と、
d)任意で、前記清浄化された空気流を前記筐体に戻す再利用手段と
を有する請求項22に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−518249(P2008−518249A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537885(P2007−537885)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/031783
【国際公開番号】WO2006/047012
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(506318861)ナップ システムズ インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】