説明

感光性樹脂及びそれを含有する感光性樹脂組成物

【課題】カラーフィルター、ブラックマトリクス、スペーサー等の用途に適し、無機物の分散安定性に優れ、硬化膜が柔軟かつ強靭であり、優れたパターニング特性が得られる樹脂及び樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)との反応物である水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C)、カルボキシル基含有ジオール化合物(D)、脂肪族系ジイソシアナート化合物(E)、必要に応じてジオール化合物(F)を反応させて得られるウレタン化合物(G)及び該化合物を含有するネガ型感光性樹脂組成物。


(式中、nは平均値を表し1.01〜5である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンブラック等の無機物の分散性が良好なだけでなく、硬化物が柔軟かつ強靭であることを特徴とするアルカリに可溶な感光性樹脂であるウレタン化合物、それを含有するネガ型着色感光性樹脂組成物及びその硬化物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンや液晶テレビ等に代表されるフラットパネルディスプレイや電子ペーパーにはカラー化の為にカラーフィルターやブラックマトリクスが必要であり、又、液晶層の厚さを均一にする為にスペーサーが必要である。
【0003】
これらの表示装置に用いられている感光性樹脂組成物の硬化物は、装置そのものの軽薄短小化に伴い微細化、薄膜化の一途をたどっている。近年ではフレキシブルな表示装置である電子ペーパー等への応用から、フォトリソグラフィによるパターンの解像性やカーボンブラック等の無機物の分散性が良好であることに加え、硬化後のカラーフィルターに対する密着性、柔軟性に優れるといった特性も感光性樹脂組成物に求められている。
【0004】
例えば、特許文献1では様々な印刷方式に対応し、顔料分散性はもちろん硬化膜の柔軟性、高靭性に優れた樹脂が紹介されている。特許文献2ではウレタン骨格を持つ印刷インキバインダーとして顔料分散性、耐候性、柔軟性に優れた塗膜を与える樹脂が記載されている。しかし、これらの樹脂はフォトレジストとしてのパターニング用途には使用できない。又、特許文献3ではウレタン骨格をもつ感光性樹脂組成物が紹介されている。しかし、ビフェニル骨格を持つエポキシ樹脂は含まれておらず、加えて、原料のエポキシ樹脂はジエポキシドに限定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−269690号公報
【特許文献2】特開2004−137406号公報
【特許文献3】特開2001−33959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的はカラーフィルター、ブラックマトリクス、スペーサー等の用途に適し、無機物の分散安定性に優れ、硬化膜が柔軟かつ強靭であり、優れたパターニング特性が得られる樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の(1)〜(7)に関する。
(1)1分子中に2個以上のエポキシ基を有する下記式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)との反応物である水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C)、カルボキシル基含有ジオール化合物(D)、脂肪族系ジイソシアナート化合物(E)、必要に応じてジオール化合物(F)を反応させて得られるウレタン化合物(G)。
【化1】

(式中、nは平均値を表し1.01〜5である)
【0008】
(2)前記(1)に記載のウレタン化合物(G)、光重合開始剤及び架橋剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物。
【0009】
(3)前記(2)に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化して得られるスペーサー。
【0010】
(4)前記(1)に記載のウレタン化合物(G)、光重合開始剤、架橋剤と、有機顔料あるいはカーボンブラックを含有するネガ型着色感光性樹脂組成物。
【0011】
(5)前記(4)に記載のネガ型着色感光性組成物を硬化して得られるカラーフィルター若しくはブラックマトリクス。
【0012】
(6)前記(3)に記載のスペーサー及び/又は前記(5)に記載のカラーフィルター若しくはブラックマトリクスを備える表示装置。
【0013】
(7)前記(5)に記載のカラーフィルターを備える撮像素子。
【発明の効果】
【0014】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、特定のエポキシ樹脂から得られる水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物を反応させて得られるウレタン化合物を含有し、カーボンブラック等の無機物の分散において良好で高い安定性を示し、その硬化物は高い靭性と低弾性を両立し、特にカラーフィルター、ブラックマトリクス、スペーサー等の用途に適する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のウレタン化合物(G)は1分子中に2個以上のエポキシ基を有する前記式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)との反応物である水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C)、カルボキシル基含有ジオール化合物(D)、脂肪族系ジイソシアナート化合物(E)、必要に応じてジオール化合物(F)を反応させて得られる。
【0016】
該エポキシ樹脂(A)においてnは平均値で1.01〜5である。nが5を超える場合、得られるウレタン化合物(G)の分子量が大きくなり組成物としたときの相溶性が低下する。nが1.01未満の場合、得られるウレタン化合物(G)の顔料やカーボンブラックに対する分散安定性は著しく低下する。該エポキシ樹脂(A)は公知の文献記載の方法により製造可能であり、又、NC−3000(日本化薬製)として市販されている。
【0017】
分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)としては、例えば、アクリル酸類やクロトン酸、α―シアノケイ皮酸、ケイ皮酸等が挙げられ感光性樹脂としての感度の面からアクリル酸類が特に好ましい。
【0018】
該アクリル酸類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、β―スチリルアクリル酸、β―フルフリルアクリル酸等が挙げられる。
【0019】
本発明のウレタン化合物(G)の製造に使用するカルボキシル基含有ジオール化合物(D)としては特に制限は無く、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等や、3官能以上のポリオール化合物と多塩基酸無水物との反応生成物等が挙げられる。これらは単独で用いても、あるいは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
本発明のウレタン化合物(G)の製造に使用する脂肪族系ジイソシアナート化合物(E)としては、脂肪族炭化水素で1分子中にイソシアナート基を2個含む化合物であれば特に限定されず、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−テトラメチレンジイソシアナート、1,12−ドデカメチレンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート等が挙げられる。
【0021】
該脂肪族系ジイソシアナート化合物(E)としては、柔軟性の点から2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナートが特に好ましい。
【0022】
本発明のウレタン化合物(G)の製造に使用してもよいジオール化合物(F)は樹脂特性の調整のために使用される。ジオール化合物(F)としては、任意のジオール化合物を使用できる。
なおポリエーテル系ジオール類、ポリエステル系ジオール類、ポリブタジエン系ジオール類等の比較的分子量の大きなジオールを使用した場合は得られる樹脂の柔軟性は大きく向上するが、フォトレジスト組成物としての性能が低下することがある。
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の比較的分子量の小さいジオールを使用した場合はフォトレジスト特性を大きく損なうことなく、溶解性、柔軟性を付与することができて好ましい。
これらジオール化合物(F)は、単独で用いてももしくは2種類以上を組み合わせて用いてもよく、又、用いなくてもよい。
【0023】
本発明のウレタン化合物(G)の製造には、前記エポキシ樹脂(A)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)とを反応させて得られる水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C)を合成するエポキシカルボキシレート化工程と、水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C)、カルボキシル基含有ジオール化合物(D)、ジイソシアナート化合物(E)、任意成分であるジオール化合物(F)を反応させるウレタン化工程の2工程があるが、いずれも文献公知又は後記の実施例の反応条件を応用して行うことができる。
【0024】
該製造における希釈剤として用いることのできる有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルアセテート等のエステル系溶剤等が挙げられる。これらは、単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0025】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、バインダーポリマー、架橋剤、光重合開始剤を必須成分とする。
カラーフィルターを製造する場合にはさらに有機顔料を、ブラックマトリクスを製造する場合にはカーボンブラックを、それぞれ加えることができる。
【0026】
本発明のネガ型感光性組成物の成分として使用するバインダーポリマーは、前記本発明のウレタン化合物(G)を含有し、組成物の成膜性を高め、又、カラーフィルター製造時の現像処理工程において用いられる現像液に組成物を可溶化する。ネガ型感光性組成物中にはバインダーポリマーとしてウレタン化合物(G)以外のポリマーを併用することもでき、そのようなポリマーとしてはアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂が挙げられる。
【0027】
該アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ性(水)溶液に溶解可能である樹脂であれば特に制限なく使用でき、例えば、カルボキシル基を有するポリマーが挙げられる。アルカリ性(水)溶液とは、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、ジエタノールアミン水溶液、エタノールアミン水溶液等並びにこれらに界面活性剤を適宜混合したもの、有機アミン溶液等が挙げられる。
【0028】
カルボキシル基を有するポリマーとしては、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー(以下、単に「カルボキシル基を有する不飽和モノマー」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(以下、単に「他の不飽和モノマー」という。)との共重合体(以下、単に「カルボキシル基を有する共重合体」という。)が好ましい。こうした共重合体はブロック共重合体でもランダム共重合体であってもよい。
カルボキシル基を有する不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、桂皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸類、若しくはこれらの酸無水物;3価以上の不飽和多価カルボン酸類若しくはその無水物等を挙げることができる。これらのカルボキシル基を有する不飽和モノマーは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0029】
他の不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−メトキシスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類;2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノプロピルアクリレート、2−アミノプロピルメタクリレート、3−アミノプロピルアクリレート、3−アミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等の不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α−クロロアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、マレイミド等の不飽和アミドあるいは不飽和イミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン類;ポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリn−ブチルアクリレート、ポリn−ブチルメタクリレート、ポリシリコーン等の重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基あるいはモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらの他の不飽和モノマーは、単独で使用してもよいしあるいは2種以上を混合して使用することもできる。
【0030】
カルボキシル基を有する不飽和モノマーとして好ましくは(メタ)アクリル酸が挙げられ、他の不飽和モノマーとしては、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマーおよびポリメチルメタクリレートマクロモノマーの群から選ばれる少なくとも1種のモノマーが挙げられる。
【0031】
該カルボキシル基を有するポリマーとして好ましくは、アクリル酸/ベンジルアクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体等のアクリル酸共重合体;メタクリル酸/ベンジルアクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリラート/ベンジルメタクリラート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリラート/ベンジルメタクリラート/ポリメチルメタクリラートマクロモノマー共重合体等のメタクリル酸共重合体等を挙げることができる。
【0032】
又、前記カルボキシル基を有するポリマーの側鎖に更に不飽和二重結合を導入した重合体もバインダーポリマーとしての使用において有用である。そのような重合体としては、例えば、無水マレイン酸とこれと共重合可能なスチレン、ビニルフェノール、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド等との共重合物のうちの酸無水物部に、ヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性の水酸基を有するアクリレートや、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有するアクリレートを反応させハーフエステル化した化合物、及び、アクリル酸やアクリル酸エステルと、ヒドロキシエチルアクリレート等のアルコール性の水酸基を有するアクリレートとの共重合体の水酸基に、更にアクリル酸を反応させた化合物等が挙げられる。
【0033】
該水溶性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、アクリロイルモルホリン系樹脂等が挙げられる。アクリル系樹脂としてはアクリル酸、アクリル酸ソーダ、アクリルアミド等の重合体及び共重合体等が、メタクリル系樹脂の例としては、メタクリル酸、メタクリル酸ソーダ、2−ヒドロキシメタクリル酸等の重合体又は共重合体がそれぞれ挙げられる。
【0034】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物においてバインダーポリマーは、樹脂組成物の目的によって異なるが、全固形分(溶剤を除いた他の成分総量、以下同様)の、通常5〜70質量%、好ましくは10〜50質量%の割合で使用する。含有量が5質量%未満では、例えば、アルカリ現像性が低下したり、画素が形成される部分以外の領域での地汚れや膜残りが発生したりするおそれがある。
【0035】
ネガ型感光性組成物のバインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)としては、通常1000〜500000、好ましくは2000〜200000である。重量平均分子量が1000未満の場合、又は、重量平均分子量が500000を超える場合、感度および現像性が悪くなるおそれがある。
【0036】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物に含有される架橋剤として用いられる光重合性モノマーには特段の限定はない。
該光重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、水酸基価70mgKOH/g未満のジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−フルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
これらは、単独で使用してもよいしあるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。光重合性モノマーは、ネガ型感光性樹脂組成物の全固形分の、通常5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%の割合で使用する。
【0038】
本発明のネガ型感光性組成物に含有される光重合開始剤としては、露光光源、例えば、一般的に用いられる超高圧水銀灯から出射される紫外線に十分な感度を有するものであれば特に制限なく使用できる。例えば該光重合開始剤としては、ベンジル、ベンゾインエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸のエステル化物、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ベンジルジメチルケタール、2−ブトキシエチル−4−メチルアミノベンゾエート、クロロチオキサントン、メチルチオキサントン、エチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、ジメチルアミノメチルベンゾエート、ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ−(4−メトキシフェニル)ビスイミダゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−(4’−メトキシフェニル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−1,3,5−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1,3−ベンゾジオキソラン−5−イル)−1,3,5−s−トリアジン、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−メチルスルファニルフェニル)ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート、1−(4−メチルスルファニルフェニル)ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート等が挙げられる。
【0039】
これらの光重合開始剤は、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。本発明において、光重合開始剤は、本発明のネガ型感光性組成物の全固形分の通常0.5〜30質量%、好ましくは1〜25質量%を占める割合で使用する。
【0040】
カラーフィルター用途又はブラックマトリクス用途に使用することができる本発明のネガ型着色感光性組成物には、前記のバインダーポリマー、前記の架橋剤、前記の光重合開始剤とともに顔料を含有する。
該顔料としては、適正な分光スペクトルを有するものであれば有機顔料、無機顔料が特に制限なく使用できる。
【0041】
該有機顔料としては、例えば、アントラキノン系、フタロシアニン系、ベンゾイミダゾロン系、キナクリドン系、アゾキレート系、アゾ系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ピランスロン系、インダスロン系、アンスラピリミジン系、ジブロモアンザンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、ペリノン系、キノフタロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、キナクリドン系等の顔料;酸性染料、塩基性染料、直接染料等をそれぞれの沈澱剤で不溶化したレーキ顔料;染付けレーキ顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
該無機顔料としては金属酸化物、金属硫化物、硫酸塩、金属水酸化物、金属炭酸塩等が挙げられ、例えば、複合金属酸化物顔料、カーボンブラック、黒色低次酸窒化チタン、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、ベンガラ、群青、紺青、酸化クロム、アンチモン白、鉄黒、鉛丹、硫化亜鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、亜鉛、マンガン紫、コバルト紫、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらの無機顔料は、必要に応じて、単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
本発明のネガ型着色感光性樹脂組成物において顔料を含有する場合、その含有率はネガ型着色感光性組成物の全固形分の通常5〜70質量%、好ましく10〜60質量%である。
更に、色素を含有する場合、その含有量は硬化膜の所望する膜厚、分光特性によって適宜決定される。又、その色相としては赤色、青色、緑色、黒色、黄色、マゼンタ、シアン等が挙げられる。
【0044】
本発明のネガ型(着色)感光性組成物には、必要に応じて有機溶剤を用いることができる。該有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等のベンゼン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のセロソルブ酢酸エステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル類、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のプロピオン酸エステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。
【0045】
これらは単独あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。又、本発明のネガ型(着色)感光性組成物に有機溶剤を使用する場合、その使用量は、感光性組成物の全固形分100質量部に対して通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。
【0046】
本発明のネガ型(着色)感光性組成物は、必要に応じて、さらに各種添加剤、例えば、充填剤、界面活性剤、熱重合防止剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を含有することができる。又、本発明のネガ型感光性組成物は、その調製後に異物等を取り除くためフィルター等で濾過することもできる。
【0047】
次に、本発明の有機顔料を含むネガ型着色感光性樹脂組成物を用いるカラーフィルター、本発明のカーボンブラックを含むネガ型着色感光性樹脂組成物を用いるブラックマトリクスや本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いるスペーサーの製造方法について説明する。先ず、本発明のネガ型着色感光性樹脂組成物をガラス基板、シリコン基板等の基板上に、スピンコート法、ロールコート法、バーコート法等の方法で、膜厚が大凡0.1〜7μmになるように塗布し、温度60〜120℃、時間1〜50分というような条件でプリベーク処理を行い製膜する。
次いで、フォトリソグラフィ法により所定のマスクパターンを通してエネルギー線、好ましくは紫外線を照射し、界面活性剤水溶液、アルカリ性(水)溶液又は両者の混合溶液で現像して未硬化部分を取り除き、水でリンスして基板上に本発明のネガ型感光性組成物の硬化物パターンを得る。
【0048】
該界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が使用でき、通常それらの0.05〜1.0質量%の水溶液が使用される。又、アルカリとしては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等が使用され、通常それらの0.05〜1.0質量%の水溶液が使用される。
中でも、上記のアルカリと界面活性剤を含む水溶液の使用が好ましい。現像条件は、温度が通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃、時間が通常30〜180秒、好ましくは30〜120秒である。
【0049】
本発明のネガ型(着色)感光性組成物の硬化物は、表示装置向けのカラーフィルター、ブラックマトリクス、スペーサーに、又、デジタルカメラ等向けの撮像素子用カラーフィルターとして有用であり、これらも本発明に含まれる。
【0050】
本発明の表示装置は、例えば、バックライト、偏光フィルム、表示電極、液晶、配向膜、共通電極、本発明のカラーフィルター、偏光フィルム等がこの順に積層した構造で作製される。
【0051】
又、本発明の撮像素子は、例えば、転送電極、フォトダイオードを設けたシリコンウエハーの上に、本発明のカラーフィルター層を設け、次いでマイクロレンズを積層して作製される。
【実施例】
【0052】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。実施例において、%は質量%を意味する。
【0053】
実施例1
攪拌装置、還流管をつけたフラスコ中に、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(A)として、日本化薬製 NC−3000(エポキシ当量255g/eq.)を300.0g、分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)としてアクリル酸を84.7g、熱重合禁止剤として2,6ージtert-ブチルー4ーメチルフェノールを1.8g、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを1.8g、反応溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)207.2gを仕込み、反応温度98℃にて反応液酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させ、水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C−1)を得た。
【0054】
次いで、得られた水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C−1)含有の反応液335.5g、カルボキシル基含有ジオール化合物(D)としてジメチロールブタン酸60.7g、脂肪族系ジイソシアナート化合物(E)として2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート104.1g、反応溶剤としてPGMEA88.7gを仕込み、反応温度80℃で反応させ、NCO含有量が0.1%以下となったところを反応の終点とし、ウレタン化合物(G−1)を得た。
【0055】
比較例1
攪拌装置、還流管をつけたフラスコ中に、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、日本化薬製 RE−310S(エポキシ当量184g/eq.)を300.0g、分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)としてアクリル酸を117.5g、熱重合禁止剤として2,6ージtert-ブチルー4ーメチルフェノールを1.9g、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを1.9g、反応溶媒としてPGMEA224.8gを仕込み、反応温度98℃にて反応液酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させ、水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C−2)を得た。
【0056】
次いで、得られた水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C−2)含有の反応液300.0g、カルボキシル基含有ジオール化合物(D)としてジメチロールブタン酸64.0g、ジイソシアナート化合物(E)として2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート113.4g、反応溶剤としてPGMEA95.8gを仕込み、反応温度80℃で反応させ、NCO含有量が0.1%以下となったところを反応の終点とし、ウレタン化合物(G−2)を得た。
【0057】
比較例2
攪拌装置、還流管をつけたフラスコ中に、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂として、日本化薬製 RE−303S(エポキシ当量168g/eq.)を300.0g、分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)としてアクリル酸を128.7g、熱重合禁止剤として2,6ージtert-ブチルー4ーメチルフェノールを2.0g、反応触媒としてトリフェニルホスフィンを2.0g、反応溶媒としてPGMEA230.8gを仕込み、反応温度98℃にて反応液酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させ、水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C−3)を得た。
【0058】
次いで、得られた水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C−3)含有の反応液300.0g、カルボキシル基含有ジオール化合物(D)としてジメチロールブタン酸64.9g、ジイソシアナート化合物(E)として2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート118.4g、反応溶剤としてPGMEA98.7gを仕込み、反応温度80℃で反応させ、NCO含有量が0.1%以下となったところを反応の終点とし、ウレタン化合物(G−3)を得た。
【0059】
比較例3
実施例1で得られた水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C−1)含有の反応液300.0g、カルボキシル基含有ジオール化合物(D)としてジメチロールブタン酸56.8g、ジイソシアネート化合物としてトリレンジイソシアナート79.1g、反応溶剤としてPGMEA73.2gを仕込み、反応温度80℃で反応させ、NCO含有量が0.1%以下となったところを反応の終点とし、ウレタン化合物(G−4)を得た。
【0060】
樹脂物性評価サンプルの作製
実施例1、比較例1〜3にて合成したそれぞれの感光性樹脂に対して、日本化薬製 KAYARAD PEG400DAを140%、日本化薬製RE−306を40%、チバスペシャルティケミカルズ製イルガキュアー184(光重合開始剤)を3%混合し、電解クロム酸処理鋼板上に膜厚約200μmで塗布後、600mJ/cmの光量で照射し硬化させる。その後、硬化膜を基板上から取り出して150℃で1時間乾燥させた。なお、KAYARAD PEG400DAは光硬化性モノマー、RE−306はエポキシ樹脂である。
【0061】
次いで、以下の試験を行い、結果を表1に示す。
(Tgの測定方法)
上記方法で作製した硬化膜を幅5mmで切り出す。その後、Seiko instruments製粘弾性測定装置DMS6100にセットし、空気雰囲気中、周波数10Hz、昇温速度2℃/min.でtanδを測定し、tanδの最大値における温度をTgとした。
【0062】
(伸度、ヤング率、弾性率の測定方法)
硬化膜を幅10mm、長さ120mmで切り出す。その後、オリエンテック製全自動引張り試験機テンシロンにセットし、20℃にて測定を行った。
【0063】
【表1】

以上の結果より、本発明のウレタン化合物(G−1)は比較例化合物(G−2、G−3、G−4)と比較して弾性率が低く、柔軟かつ強靭な膜物性を持つことがわかる。又、このような硬化物物性はスペーサー用として重要な膜物性であり、有用であるといえる。
【0064】
実施例2(赤色ネガ型感光性樹脂組成物としての評価)
バインダーポリマーとして22%ウレタン化合物(G−1)PGMEA溶液32g、光重合性モノマーとしてカヤラッドDPHA(日本化薬製)7g、光重合開始剤としてイルガキュアー907(チバスペシャリティケミカルズ製)1g、カヤキュアーDETX−S(日本化薬製)0.5g、顔料として赤色顔料分散液(C.I.ピグメントレッド177/C.I.ピグメントイエロー83/分散剤/PGMEA=16/4/5/75 質量比)86g、溶剤としてPGMEA30gを混合し、赤色ネガ型感光性樹脂組成物1を得た。
【0065】
比較例4
実施例2のウレタン化合物(G−1)の替わりにウレタン化合物(G−2)を使用する事以外は実施例2と同様にして赤色ネガ型感光性樹脂組成物2を得た。
【0066】
比較例5
実施例2のウレタン化合物(G−1)の替わりにウレタン化合物(G−3)を使用する事以外は実施例2と同様にして赤色ネガ型感光性樹脂組成物3を得た。
【0067】
実施例3(黒色ネガ型感光性樹脂組成物としての評価)
バインダーポリマーとして22%ウレタン化合物(G−1)PGMEA溶液23g、光重合性モノマーとしてカヤラッドDPHA(日本化薬製)5g、光重合開始剤としてOXE02(1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチルオキシム)、チバスペシャリティケミカルズ製)1g、顔料として22%カーボンブラックのPGMEA分散液45g、溶剤としてPGMEA34gを混合し、本発明の黒色ネガ型感光性樹脂組成物4を得た。
【0068】
比較例6
実施例3のウレタン化合物(G−1)の替わりにウレタン化合物(G−2)を使用する事以外は実施例3と同様にして黒色ネガ型感光性樹脂組成物5を得た。
【0069】
比較例7
実施例3のウレタン化合物(G−1)の替わりにウレタン化合物(G−3)を使用する事以外は実施例3と同様にして黒色ネガ型感光性樹脂組成物6を得た。
【0070】
カラーフィルター及びブラックマトリクスの作成
実施例2で得られた赤色ネガ型感光性樹脂組成物1及び実施例3で得られた黒色ネガ型感光性樹脂組成物4、比較例4、比較例5で得られた赤色ネガ型感光性樹脂組成物2、3及び比較例6、比較例7で得られた黒色ネガ型感光性樹脂組成物5、6をガラス基板上にスピンコートにより1000rpmで塗布し、80℃×100秒の条件でプレベークした後、紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用い回路パターンの描画されたマスク(Toppan−Test−Chart−No1−N)を通して200mJ/cm又は400mJ/cmの紫外線をそれぞれ照射した。露光後、界面活性剤入りの0.1%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)水溶液で60秒シャワー現像、水でリンス後、200℃にて加熱処理して赤色パターンと黒色パターンを得た。
【0071】
次いで、以下の試験を行い、結果を表2、表3に示す。
(解像性)
現像後に残った最小ライン幅(μm)を測定することによって求めた。これらの幅が小さいほど解像性が優れていることを示す。
【0072】
(現像性)
現像時に溶解を始めた時間(秒)(ブレイクポイント)にて確認した。現像性はブレイクポイントが短いほど優れている。
【0073】
(感度)
感度露光量を振ってパターニングした結果を光学顕微鏡にて表面の硬化性を確認し判断した。
【0074】
(経時安定性)
得られた赤色ネガ型感光性樹脂組成物又は黒色ネガ型感光性樹脂組成物を40℃で保管、経時的に粘度を測定した。2ヵ月後に粘度の変化が初期値に対して5%以上変化した場合、無機物の分散性が低下したと判断した。
【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
実施例4(スペーサー用ネガ型感光性樹脂組成物としての評価)
バインダーポリマーとして40%ウレタン化合物(G−1)PGMEA溶液10g、光重合性モノマーとしてカヤラッドDPEA−12(日本化薬製)6g、光重合開始剤としてイルガキュアー907(チバスペシャリティケミカルズ製)1g、カヤキュアーDETX−S(日本化薬製)0.5g、溶剤としてジエチレングリコールジメチルエーテル7gを混合し、スペーサー用ネガ型感光性樹脂組成物7を得た。
【0078】
比較例8
実施例4のウレタン化合物(G−1)の替わりにウレタン化合物(G−2)を使用する事以外は実施例4と同様にしてスペーサー用ネガ型感光性樹脂組成物8を得た。
【0079】
比較例9
実施例4のウレタン化合物(G−1)の替わりにウレタン化合物(G−3)を使用する事以外は実施例4と同様にしてスペーサー用ネガ型感光性樹脂組成物9を得た。
【0080】
スペーサーの作製
透明導電膜が形成されたガラス基板上に、実施例4又は比較例8、9で得られたスペーサー用ネガ型感光性樹脂組成物をスピンコートにより塗布し、80℃で3分間乾燥して塗膜を得た。得られた塗膜にドットマスクパターンを通して紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用い200mJ/cm又は400mJ/cmで紫外線を照射した。露光後、0.05%NaOH水溶液で60秒シャワー現像、水でリンス後、220℃にて1時間加熱処理し、高さ約5μmのパターンを形成した。
【0081】
スペーサーのパターニング試験は、赤色ネガ型感光性組成物や黒色ネガ型感光性組成物と同じ方法、同じ基準で行った。結果を表4に示す。
【0082】
【表4】

【0083】
上記の結果から、本発明の感光性樹脂を含有するネガ型感光性樹脂組成物の硬化物はカラーフィルター、ブラックマトリクス、スペーサーといった用途において、無機物の分散安定性に優れ、優れたパターニング特性、特に低エネルギーの紫外線を使用しても高い解像性を有する性能を示し、これらの用途に適していることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中に2個以上のエポキシ基を有する下記式(I)で表されるエポキシ樹脂(A)と分子中にエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(B)との反応物である水酸基含有エポキシカルボキシレート化合物(C)、カルボキシル基含有ジオール化合物(D)、脂肪族系ジイソシアナート化合物(E)、必要に応じてジオール化合物(F)を反応させて得られるウレタン化合物(G)。
【化1】

(式中、nは平均値を表し1.01〜5である)
【請求項2】
請求項1に記載のウレタン化合物(G)、光重合開始剤及び架橋剤を含有するネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項2に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化して得られるスペーサー。
【請求項4】
請求項1に記載のウレタン化合物(G)、光重合開始剤、架橋剤と、有機顔料あるいはカーボンブラックを含有するネガ型着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のネガ型着色感光性組成物を硬化して得られるカラーフィルター若しくはブラックマトリクス。
【請求項6】
請求項3に記載のスペーサー及び/又は請求項5に記載のカラーフィルター若しくはブラックマトリクスを備える表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載のカラーフィルターを備える撮像素子。

【公開番号】特開2011−122109(P2011−122109A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282476(P2009−282476)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】