説明

感光性組成物が充填された容器を包装するための包装体

【課題】感光性組成物を充填された容器は、黒色の袋体で包装されている。このため、包装をはがして、容器に貼付されているラベルを確認し、容器に充填されている感光性組成物に関する情報を取得する必要があった。また、黒色の袋体にも、内部の容器に充填された感光性組成物に関する情報が記録されたラベルが貼付されていることが多いが、その場合には、袋体に貼付されたラベルと容器に貼付されたラベルとが同一であるかどうかを確認する必要があり、また、両者のラベルが異なっている場合には、どちらが正しいラベルであるかを確認する作業が必要であった。
【解決手段】200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムからなることを特徴とする感光性組成物が充填された容器を包装するための包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物が充填された容器を包装するための包装体等に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物等の感光性組成物は、例えば、特許文献1に記載されているように、ガロン瓶等の容器に充填されている。前記容器には、通常、名称、種類、ロット番号、製造会社、製造年月日等の充填された感光性組成物に関する情報が記録されたラベルが貼付されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−172881号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記容器は、容器の破損による感光性組成物の漏洩を防ぎ、感光性組成物の劣化を抑制するため、通常、黒色の袋体で包装されている。このため、入手した感光性組成物の管理のために、包装をはがして、容器に貼付されているラベルを確認し、容器に充填されている感光性組成物に関する情報を取得する必要があった。
また、黒色の袋体にも、内部の容器に充填された感光性組成物に関する情報が記録されたラベルが貼付されていることが多いが、その場合には、袋体に貼付されたラベルと容器に貼付されたラベルとが同一であるかどうかを確認する必要があり、また、両者のラベルが異なっている場合には、どちらが正しいラベルであるかを確認する作業が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者らは、当該課題を解決するための手段について鋭意検討した結果、以下の本発明に至った。すなわち、本発明は、
<1> 200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムからなることを特徴とする感光性組成物が充填された容器を包装するための包装体;
<2> 620〜940nmの波長領域における光線透過率が30%以上であることを特徴とする<1>記載の包装体;
<3> 620〜940nmの波長領域における光線透過率が50%以上であることを特徴とする<1>記載の包装体;
<4> フィルムが、透明樹脂と黄色染料とを含むフィルムであることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか記載の包装体;
<5> フィルムが、さらに、紫外線吸収剤を含むことを特徴とする<1>〜<4>のいずれか記載の包装体;
<6> 袋状の包装体であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか記載の包装体;
【0006】
<7> <1>〜<6>のいずれか記載の包装体で包装された感光性組成物が充填された容器;
<8> 感光性組成物が充填された容器の外表面に、充填された感光性組成物に関する情報が記録されたラベルが貼付されていることを特徴とする<7>記載の包装された感光性組成物が充填された容器;
<9> 充填された感光性組成物に関する情報がバーコードであることを特徴とする<8>記載の包装された感光性組成物が充填された容器;
【0007】
<10> 感光性組成物が充填された容器を包装するための、200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムからなる包装体の使用;
<11> 200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムで、感光性組成物が充填された容器を包装することを特徴とする感光性組成物が充填された容器の包装方法;
<12> 感光性組成物が充填された容器を、200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムからなる包装体で包装し、包装された前記容器を保存することを特徴とする感光性組成物の保存方法;
等である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の包装体で、感光性組成物が充填された容器を包装することにより、包装をはがすことなく、目視により、容器や該容器に貼付されたラベルを確認することができる。特に、該容器に貼付されたラベルにバーコードが印刷されている場合には、包装をはがすことなく、赤外線等を用いたバーコードリーダーにより、バーコード情報を読み取ることができ、容易に、容器に充填されている感光性組成物の情報を取得することができる。
本発明の包装体で、感光性組成物が充填された容器を包装することにより、感光性組成物を、品質低下なく、保存することができる。
さらに、容器の破損により感光性組成物が漏洩した場合でも、包装をはがすことなく、漏洩を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例2で用いたフィルムの光線透過率を示したグラフ
【図2】実施例2で得られた、黒色袋体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器から採取したフォトレジスト組成物の粘度に対する本発明の包装体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器から採取されたフォトレジスト組成物の粘度の比の経時変化を示したグラフ
【図3】実施例2で得られた、黒色袋体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器から採取したフォトレジスト組成物の粘度に対する本発明の包装体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器から採取されたフォトレジスト組成物の感度の比の経時変化を示したグラフ
【図4】実施例3で用いたフィルムの光線透過率を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の感光性組成物が充填された容器を包装するための包装体は、200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620nm〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムからなる。620nm〜940nmの波長領域における光線透過率が15%以上であることが好ましく、620nm〜940nmの波長領域における光線透過率が30%以上であることがより好ましく、620nm〜940nmの波長領域における光線透過率が50%以上であることが特に好ましい。
ここで、光線透過率は、JIS K7361で規定される全光線透過率の試験方法によって求めることができる。
【0011】
前記フィルムの主成分は、通常、透明樹脂である。透明樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/エチレン/α−オレフィン三元共重合体等のポリプロピレン系樹脂;高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン/ビニルアセテート共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂等のポリエチレン系樹脂;メチルペンテンポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン三元共重合体、ハイインパクトポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)等のポリスチレン系樹脂;;ポリクロロプレン;塩素化ゴム;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;メタクリル樹脂;;フッ素樹脂;ポリアセタール;グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリウレタン;ポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリカーボネート;アクリル樹脂;ポリスルホン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルスルホン;芳香族ポリエステル樹脂;ジアリルフタレートプリポリマー;シリコーン樹脂;1,2−ポリブタジエン;ポリイソプレン;ブタジエン/アクリロニトリル共重合体;等が挙げられる。なかでも、成型加工性の良さから、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂およびポリスチレン系樹脂が好ましい。
【0012】
本発明に用いられるフィルムは、200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。
かかるフィルムとしては、例えば、上記透明樹脂に黄色染料を適宜、含有させたもの等が挙げられる。
黄色染料としては、透明樹脂に混練できるものであればよい。具体的には、オイルイエロー105(商品名、オリエント化学工業株式会社製)、オイルイエロー107(商品名、オリエント化学工業株式会社製)、オイルイエロー129(商品名、オリエント化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー29)、オイルイエロー3G(商品名、オリエント化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー16)、オイルイエローGG−S(商品名、オリエント化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー56)、バリファストイエロー1101(商品名、オリエント化学工業株式会社製)、バリファストイエロー1105(商品名、オリエント化学工業株式会社製)、バリファストイエロー4120(商品名、オリエント化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー82)、オレオゾルブリリアントイエロー5G(商品名、田岡化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー150)、オレオゾルファストイエロー2G(商品名、田岡化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー21)、オレオゾルファストイエローGCN(商品名、田岡化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー151)、アイゼンゾットイエロー1(商品名、保土谷化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー56)、アイゼンゾットイエロー3(商品名、保土谷化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー16)、アイゼンゾットイエロー6(商品名、保土谷化学工業株式会社製、C.I.ソルベントイエロー33)、アイゼンスピロンイエローGRLH(商品名、保土谷化学工業株式会社製)、アイゼンスピロンイエロー3RH(商品名、保土谷化学工業株式会社製)、オラゾールイエロー2GLN(商品名、チバガイギー社製、C.I.ソルベントイエロー88)、オラゾールイエロー2RLN(商品名、チバガイギー社製、C.I.ソルベントイエロー89)、オラゾールイエロー3R(商品名、チバガイギー社製、C.I.ソルベントイエロー25)、オラセツトイエローGHS(商品名、チバガイギー社製、C.I.ソルベントイエロー163)、フィラミッドイエローR(商品名、チバガイギー社製、C.I.ソルベントイエロー21)等が挙げられる。
【0013】
本発明に用いられるフィルムは、200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620nm〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムであれば、顔料や黒色染料等の黄色染料以外の染料を含んでいてもよい。
【0014】
本発明に用いられるフィルムは、さらに、紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾチアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、アゾ系紫外線吸収剤、ポリエン系紫外線吸収剤、アントラキノン系紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系紫外線吸収剤等が挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシ)プロポキシベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0015】
サリシレート系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
アゾ系紫外線吸収剤としては、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、1−エトキシ−4−[4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニルアゾ]ベンゼン等が挙げられる。ポリエン系紫外線吸収剤としては、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシ−3’−ニトロスチルベン、4−ジエチルアミノ−4’−ヒドロキシ−3’−ニトロスチルベン等が挙げられる。アントラキノン系紫外線吸収剤としては、1,2,5,8−テトラヒドロキシアントラキノン、1,4,9,10−テトラヒドロキシアントラセン、1,5−ジアミノアントラキノン等が挙げられる。
これら紫外線吸収剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本発明に用いられるフィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の種々の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、光安定剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、可塑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等の中和剤、結着剤等を挙げることができる。
【0017】
本発明に用いられるフィルムとして、自動車用遮光フィルム等として市販されている、いわゆる「イエローフィルム」を用いてもよい。
【0018】
かかるフィルムの膜厚は、通常50μm〜120μmであり、60μm〜100μmが好ましい。
【0019】
本発明の包装体は、前記フィルムを、感光性組成物が充填された容器を包装可能な程度の大きさに切断したものであってもよいし、該容器を包装しやすいよう、前記フィルムを袋状に成形したものであってもよい。感光性組成物が充填された容器を包装可能な程度の大きさに切断された包装体の形状は限定されず、例えば、三角形状、四角形状等の多角形状であってもよいし、円形であってもよいし、楕円形であってもよいし、不定形であってもよい。本発明の包装体が袋状に形成されたものである場合、開口部は、感光性組成物が充填された容器の出し入れが可能な大きさであればよく、その開口部の形状も限定されない。また、開口部に対して垂直方向の断面の形状も限定されない。
【0020】
本発明の包装体は、例えば、透明樹脂と黄色染料と、必要に応じて、紫外線吸収剤と添加剤とを混合する混合工程、混合工程で得られた混合物を加熱しながら混練する混練工程、混練工程で得られた樹脂組成物をインフレーション成型法、Tダイ成型法等によってフィルム状に成形する成形工程、および必要に応じて、成形工程で得られたフィルムをヒートプレス、切断等して袋を作る製袋工程を含む方法により製造することができる。
【0021】
本発明の包装体により、感光性組成物が充填された容器を包装し、開口部を、紐、テープ、ゴム、ヒートシール、樹脂フィルムで被覆された針金等の封止手段によって封止することにより、本発明の包装体で包装された感光性組成物が充填された容器を得ることができる。
【0022】
感光性組成物は、光酸発生剤、光重合開始剤等の感光性物質を含む組成物であれば制限されず、具体的には、フォトレジスト組成物、フォトスペーサー用感光性組成物、オーバーコート用感光性組成物、絶縁膜用感光性組成物、カラーレジスト組成物、感光性エレメント用組成物、ブラックマトリックス用組成物、セパレーター用感光性組成物、印刷版用感光性組成物等が挙げられる。
【0023】
感光性組成物を充填するために用いられる容器は、透明ガラスや透明樹脂で形成された容器であってもよいし、褐色や黒色等に着色されたガラスや合成樹脂で形成された容器であってもよい。好ましくは、褐色や黒色等に着色されたガラスや合成樹脂で形成された容器である。また、かかる容器が紙袋で包装されていてもよい。具体的には、特開平7−330074号公報、特開平8−113678号公報、特開平08−175555号公報、特開平9−95565号公報、特開平10−181219号公報、特開平11−290420号公報、特開平11−314678号公報、特開2007−22610号公報、特開2007−137506号公報、特開2007−197040号公報等に記載された感光性組成物を充填するための容器が挙げられる。
【0024】
かかる容器には、通常、充填されている感光性組成物に関する情報が記録されたラベルが貼付されている。充填されている感光性組成物に関する情報としては、感光性組成物の種類、ロット番号、製造年月日、製造会社、品質保証期間等が挙げられる。これら情報は、文字情報であってもよいし、バーコードであってもよい。好ましくは、バーコードである。また、これら情報が記録されたICチップを該ラベルは含んでいてもよい。
【0025】
本発明の感光性組成物が充填された容器を包装するための包装体を用いることにより、包装をはがすことなく、包装された感光性組成物が充填された容器やそのラベルを目視等により確認することができるため、感光性組成物製造工場や半導体製造工場等において、感光性組成物が充填された容器をより効率的に管理することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されない。なお、以下の実施例において、光線透過率は、JIS K7361で規定される全光線透過率の試験方法によって求めた。
【0027】
(実施例1)
イエローフィルム(リンテック株式会社製 ルミクール1905、膜厚80μm)を2枚重ね合わせ、3辺をヒートプレスすることにより、袋状の包装体を得た。
得られた袋状の包装体の中に、商品名およびロット番号が記載されたラベルが貼付されたフォトレジスト組成物が充填されたガラス製褐色ガロン瓶を入れた。包装体の外側から、商品名およびロット番号を目視により読み取ることができた。
用いたイエローフィルムが貼合されたガラスの光線透過率を、紫外可視分光光度計により測定したところ、280nm〜500nmにおける最大透過率は1%であった。
【0028】
(実施例2)
前記実施例1と同様にして、イエローフィルムを用いて、袋状の包装体を得た。用いたフィルムの光線透過率を図1に示した。
ラベルが貼付された茶褐色のガラス製ガロン瓶に、ノボラック樹脂、感光剤、溶剤等を含むポジ型フォトレジスト組成物を充填し、密封した。得られたフォトレジスト組成物が充填された容器を、前記で得た袋状の包装体で包装し、包装体の開口部を、樹脂フィルムで被覆された針金でくくり、本発明の包装体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器を得た。包装をはがすことなく、容器に添付されたラベルを目視により確認できた。また、包装をはがすことなく、赤外線を用いたバーコードリーダーにより、ラベル上に印刷されたバーコードを読み取ることができ、容器に充填されたフォトレジスト組成物に関する情報を取得できた。
【0029】
(参考例1)
上記と同一のフォトレジスト組成物を別の茶褐色のガラス製ガロン瓶に充填し、黒色の袋体で包装した。
包装をはがすことなく、容器に添付されたラベルを目視により確認することはできなかった。また、包装をはがすことなく、赤外線を用いたバーコードリーダーにより、ラベル上に印刷されたバーコードを読み取ることができず、容器に充填されたフォトレジスト組成物に関する情報を取得できなかった。
【0030】
(実施例2及び参考例1で保存されたフォトレジスト組成物の評価)
本発明の包装体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器と黒色袋体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器とを、23℃、蛍光灯照射下で保存した。保存開始後、1週間ごとに、それぞれの容器から、所定量のフォトレジスト組成物を採取し、粘度を、キャノンフェンスケ粘度計を用いて、25℃で測定した。黒色袋体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器から採取したフォトレジスト組成物の粘度に対する本発明の包装体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器から採取されたフォトレジスト組成物の粘度の比を算出したところ、当該比はほぼ1であり、粘度の経時変化に差がないことが分かった。結果を図2に示す。
また、採取したフォトレジスト組成物を、ヘキサメチルジシラザンで処理したシリコンウェハー上に、乾燥後の膜厚が3.9μmとなるようにスピンコートし、続いて、ホットプレート上でプリベークした。レジスト膜が形成されたそれぞれのウェハーに、365nm(i線)を露光光源とする縮小投影露光機〔(株)ニコン製”NSR−1755i7A”、NA=0.50、σ=0.5〕を用いて、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後、ホットプレート上でポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で現像を行い、ラインアンドスペースパターンを得た。
感度を、50μmの1:1ラインアンドスペースパターンのスペース部の膜厚が0となる露光量で表わした。
黒色袋体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器から採取したフォトレジスト組成物の感度に対する本発明の包装体で包装されたフォトレジスト組成物が充填された容器から採取されたフォトレジスト組成物の感度の比を算出したところ、当該比はほぼ1であり、感度の経時変化に差がないことが分かった。結果を図3に示す。
【0031】
(実施例3)
前記実施例1と同様にして、膜厚の異なるイエローフィルムを用いて、袋状の包装体を得た。用いたフィルムの光線透過率を図4に示した。
ラベルが貼付された茶褐色のガラス製ガロン瓶を、前記で得た袋状の包装体で包装した。包装をはがすことなく、容器に添付されたラベルを目視により確認できた。また、包装をはがすことなく、赤外線を用いたバーコードリーダーにより、ラベル上に印刷されたバーコードを読み取ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の包装体で、感光性組成物が充填された容器を包装することにより、包装をはがすことなく、目視により、容器や該容器に貼付されたラベルを確認することができる。特に、該容器に貼付されたラベルにバーコードが印刷されている場合には、包装をはがすことなく、赤外線等を用いたバーコードリーダーにより、バーコード情報を読み取ることができ、容易に、容器に充填されている感光性組成物の情報を取得することができる。
本発明の包装体で、感光性組成物が充填された容器を包装することにより、感光性組成物を、品質低下なく、保存することができる。
さらに、容器の破損により感光性組成物が漏洩した場合でも、包装をはがすことなく、漏洩を確認することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムからなることを特徴とする感光性組成物が充填された容器を包装するための包装体。
【請求項2】
620〜940nmの波長領域における光線透過率が30%以上であることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項3】
620〜940nmの波長領域における光線透過率が50%以上であることを特徴とする請求項1記載の包装体。
【請求項4】
フィルムが、透明樹脂と黄色染料とを含むフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の包装体。
【請求項5】
フォトレジスト液容器が、当該容器上にラベルを貼付してなる容器であることを特徴とする請求項4記載のフォトレジスト液容器包装体。
【請求項6】
袋状の包装体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の包装体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の包装体で包装された感光性組成物が充填された容器。
【請求項8】
感光性組成物が充填された容器の外表面に、充填された感光性組成物に関する情報が記録されたラベルが貼付されていることを特徴とする請求項7記載の包装された感光性組成物が充填された容器。
【請求項9】
充填された感光性組成物に関する情報がバーコードであることを特徴とする請求項8記載の包装された感光性組成物が充填された容器。
【請求項10】
感光性組成物が充填された容器を包装するための、200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムからなる包装体の使用。
【請求項11】
200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムで、感光性組成物が充填された容器を包装することを特徴とする感光性組成物が充填された容器の包装方法。
【請求項12】
感光性組成物が充填された容器を、200nm〜500nmの波長領域における光線透過率が5%以下であり、620〜940nmの波長領域における光線透過率が10%以上であるフィルムからなる包装体で包装し、包装された前記容器を保存することを特徴とする感光性組成物の保存方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−30681(P2010−30681A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150758(P2009−150758)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】