説明

感圧性接着剤物品

基材と、基材に隣接し、シリコーン含有感圧性接着剤を有し、約5μm未満の厚さを有する第1の層と、第1の層に隣接し、基材と反対側にあり、感圧性接着剤を有する第2の層と、を含む物品を本明細書に開示する。シリコーン含有感圧性接着剤は、それにグラフト化したポリシロキサン部分を有するビニル高分子主鎖のコポリマーを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感圧性接着剤(PSA)物品、具体的には従来のPSAの層と基材との間にシリコーン含有PSAの薄層を有するものに関する。また、2層以上の流体の層を基材上にコーティングする多層コーティング方法、及びその方法を用いて製造される物品も開示する。
【背景技術】
【0002】
コーティングプロセスの基本的な特徴は、アプリケータを通じて適用できる層の数である。単層コーティングプロセスは、1度に1層のコーティング層を適用できる、つまり、単一コーティング層がアプリケータを超えてウェブの流路を通じて適用されるアプリケータを使用する。多層コーティングプロセスは、1度に2層以上のコーティング層を適用できるアプリケータを使用し、典型的には、アプリケータに供給される全ての流体がウェブに適用される予計量プロセスである。多層コーティングプロセスの例としては、スロット、押出、スライド、及びカーテンコーティングプロセスが挙げられる。
【0003】
今日、2層以上の流体を連続ウェブ上にコーティングすることにより製造される高性能被コーティング物品に対する大きな要求が存在する。流体が順次コーティングされ、次の層が適用される前にそれぞれの層が乾燥、硬化等されるように、流体を単層コーティングプロセスを用いてコーティングすることができる。効率及びコスト等の理由のため、通常、流体がウェブ上に同時にコーティングされる多層コーティングプロセスを使用することがより望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多層コーティングプロセスで用いられるアプリケータは、広範な流体を放出するように設計できるが、典型的には、流体が同時にコーティングされるべき場合は、当てはまらない。つまり、同時にコーティングされるべき所与の流体セットについて、多層コーティングプロセスで用いられる特定のアプリケータ及びプロセス条件が、表面張力、粘度等のような特定の特性に関して、どのくらい異なる流体であり得るか、を決定することが多い。したがって、互いに非常に異なる特性を有する流体を同時にコーティングしやすい、多層コーティングプロセスに対する要求が存在する。また、従来の多層コーティングアプリケータを使用し、互いに非常に異なる特性を有する流体を同時にコーティングしやすい、多層コーティングプロセスに対する要求も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、基材上に同時に流体をコーティングするために用いることができる多層コーティング方法を本明細書で開示する。多層コーティング方法は、第1の感圧性接着剤を含む第1のコーティング流体を提供することと;第2の感圧性接着剤を含む第2のコーティング流体を提供することであって、第2のコーティング流体が第1のコーティング流体より高い表面張力を有することと;コーティングステーションを通して経路に沿って基材を移動させることと;第2のコーティング流体を、基材に連続流動層を形成するのに十分な速度で流すことと;第1のコーティング流体を連続流動層上に流し、それにより複合流動層を形成することと;第1のコーティング流体が連続流動層と基材との間に介在するように、基材を複合流動層に接触させることと;複合流動層が基材に接触した後、連続流動層をフィルムに成形することと、を含む。
【0006】
別の態様では、この方法は、2層の感圧性接着剤:基材に隣接し、シリコーンを含有する第1の感圧性接着剤を含む第1の層と、第1の層に隣接し、基材の反対側にあり、第2の感圧性接着剤を含む第2の層と、を含む物品を作製するのに用いることができる。第1の感圧性接着剤は、それにグラフト化したポリシロキサン部分を含むビニル高分子主鎖を有するコポリマーを含んでよい。第1の層は、約25μm未満の厚さを有してよい。基材は、第1の層に隣接する微細構造表面を有する微細構造剥離ライナのような剥離ライナを含んでよい。所望により、裏材を第2の層に積層してよい。裏材を用いるとき、基材を除去して、第1の層が露出した物品を形成してよい。次いで、この物品を物体に接着させ、所望の配置になるまで一時的に再配置することができる。物品を、いくつか例を挙げると、保護フィルム、装飾フィルム、グラフィックアートフィルム、プライバシーフィルム、又は塗料代替フィルムとして用いてよい。
【0007】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下の図面及び「発明を実施するための形態」から明らかである。しかしながら、上記結論は、いかなる場合も請求の主題の限定として解釈されるべきではなく、主題は、本明細書に記載の請求項によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】代表的な多層コーティング方法の概略。
【発明を実施するための形態】
【0009】
表面張力及び表面エネルギーは、コーティング作業における2つの重要な特性である。基材にコーティングされる単層の流体では、流体の表面張力が基材の表面エネルギーより小さい場合、流体が基材を適切に湿潤させる。そうでない場合には、流体の表面に沿って及ぼされる力が流体を「玉状にして」液滴を形成する可能性が高い。同様に、図に記載した概略のように、2種の異なる流体が同時に基材にコーティングされる典型的な多層コーティング作業では、上層を形成するために用いられる流体が、下層を形成するために用いられる流体と比較してより低い表面張力を有していなければならないことが、一般的に認められている。そうでなければ、上層を形成するために用いられる流体は、その下部に形成される層を湿潤させることができない。多層コーティング作業に関する表面張力及び表面エネルギーの関係の更なる議論は、Cohen,E.and Gutoff,E.Modern Coating and Drying Technology;VCH Publishers:New York,1992;p.122;and in Tricot,Y−M.Surfactants:Static and Dynamic Surface Tension.In Liquid Film Coating;Kistler,S.F.and Schweizer,P.M.,Eds.;Chapman & Hall:London,1997;p.99に見られる。
【0010】
驚くべきことに、上記教示にもかかわらず、たとえ下層を含む流体が上層を形成するために用いられる流体よりも低い表面張力を有する場合でさえ、ユーザが、基材上に、他に重ねて、2種の流体を同時にコーティングすることを可能にする、多層コーティング方法が発見されている。
【0011】
本明細書に開示する多層コーティング方法は、既知の多層コーティング方法に対して多くの利点を有する。1つには、この方法は、互いに非常に異なる特性を有する流体を同時にコーティングしやすい。この方法はまた、通常許容できる範囲から外れる相対特性を有する流体を同時にコーティングしやすい。これにより、広範な流体を単一経路作業でコーティングすることができ、それにより製造の柔軟性が増し、コストを低下することができる。
【0012】
本明細書で開示する方法はまた、従来の多層コーティングアプリケータ及び装置をこの方法を組み込むために適合させることができる、すなわち、特別な設備を必要としない点で有利である。有用な従来の多層コーティング作業としては、コーティング及び押出成形分野において既知である任意のものであり、2種以上の流体を同時に又はほぼ同時にコーティングするものが挙げられる。
【0013】
本明細書で開示する方法は、既知の方法に対して有利であり、なぜなら、それによりユーザは所与のセットのコーティング条件及び材料について典型的に入手可能なものより速い速度でコーティングすることが可能になるためである。既知の方法では、コーティング速度はしばしば制限される、なぜなら、基材とコーティング流体との間の基材表面に空気が閉じ込められるためである。空気の閉じ込めは、基材表面が任意の種類の構造を有するとき、例えば、微細構造表面を有する微細構造剥離ライナを有するとき、特に問題である。理論に縛られるものではないが、第1のコーティング流体は直接基材に接触すると考えられ、なぜなら、それは低い表面張力を有し、基材を湿潤させ、その結果、空気の閉じ込めがほんの少しである又は全くない構造上に、薄い、不均一な厚さの層が形成されるためである。バルク感圧性接着剤層を形成する第2のコーティング流体は、次いで、構造内を満たすことができる。
【0014】
別の利点は、この方法が、1式のコーティング流体を用いて、所望により同じコーティング作業中、種々の接着剤特性を有する感圧性接着剤物品を得ることを可能にする点である。これは、個々に又は組み合わせてコーティングされた層の厚さを変動させることにより達成され得る。一般に、第1の層を用いて、第2の層のバルク特性に影響を及ぼすことなく、物品に特性を付与することができる。例えば、第1の層を用いて、第1及び第2の層の基材からの剥離を促進する、又は一時的に再配置可能にすることができる。十分薄い場合、この第1の層は、物体に適用されたとき、第2の層のバルク接着剤特性により、第2の層と物体との間を、時間とともに接着させることが可能になるように、第2の層のバルク接着剤特性に対する影響が最小限であることができる。
【0015】
更なる利点として、この開示による方法は、溶媒の量が少なく、それにより乾燥時間が短縮され、それにより乾燥による欠陥及び気中浮遊汚染物質による汚染を最小限に抑えるコーティング流体を使用することができる。この方法を用いて、基材上のコーティング流体の湿潤が不完全であることから生じるコーティング欠陥又は不安定性が最小限であり、交互にコーティングされた及びコーティングされていない領域として現される、うね、チャッター、縞、横波、杉綾模様、帯、柵状、ビーズ破壊、したたり、及び細流の形態である物品を製造することができる。
【0016】
図は、本発明を実行するために用いてもよい代表的な多層コーティング方法の概略を示す。多層コーティングアプリケータ10は、上流バー12、くさび形バー14、及び下流バー16を含み、これらは並置されて、アプリケータ内にスロット又はチャネルのような空洞を形成する。第1のコーティング流体及び第2のコーティング流体、18及び20は、それぞれ、基材22に適用するために、個々のポンプ(図示せず)によりアプリケータに供給される。第2のコーティング流体は、アプリケータから流れ、アプリケータと、第1の液体及び第2の液体が基材に接触する点との間の領域で連続流動層26を形成する。第1のコーティング流体は、アプリケータから、連続であっても不連続であってもよい第1のコーティング層24の形態で連続流動層上に流れる。基材は、運搬手段(図示せず)によりバックアップローラ28の周辺表面上を、矢印により示す方向に、コーティングステーションを通って連続的に移動する。複合流動層は、連続流動層と、第1のコーティング層とを含む。基材22上の第1の被コーティング層及び第2の被コーティング層、30及び32は、それぞれ、多層被コーティング物品34を含む。
【0017】
図に示した多層コーティングアプリケータは、流体が調節可能なスロットを通して予計量方式で供給される、押出アプリケータの1種であり、具体的にはスロット付きダイアプリケータ又は塗布機と呼ばれる。スロット付きダイ塗布機は、典型的には、移動する基材付近に設置されたオリフィス(oriface)を有する第2の流体をコーティングするための第2のスロット付近にかつそれと平行に位置する流体をコーティングするための1つのスロットを有する。それぞれのスロットを通じたそれぞれの流体の流れは、シムを用いて制御することができる。この種のアプリケータの使用は、例えば、米国特許第5,759,274号、同第5,639,305号、同第5,741,549号、同第6,720,025 B2号、及び同第7,097,673 B2号に開示されている。
【0018】
任意の種類の多層コーティングアプリケータを用いて、本明細書で開示する多層コーティング方法を実行することができ、少なくとも1層が連続流動層として提供され、流体を同時に又はほぼ同時に基材上にコーティング可能である、互いに接触する2種の異なる流体を放出できる。好ましくは、多層コーティングアプリケータは、予計量方式で両方の流体を放出する。有用なアプリケータは、例えば、Cohen,E.and Gutoff,E.Modern Coating and Drying Technology;VCH Publishers:New York,1992;and Liquid Film Coating;Kistler,S.F.and Schweizer,P.M.,Eds.;Chapman & Hall:London,1997に記載されている。これらの参考文献はまた、使用できるコーティング装置の有用なデザインについても記載している。
【0019】
本明細書に開示する多層方法では、複合流動層は、連続流動層を形成するのに十分な速度で第2のコーティング流体を基材に流し、続いて第1のコーティング流体を連続流動層上に流すことにより形成される。次いで、複合流動層が、連続流動層と基材との間に介在する第1のコーティング流体とともにコーティングステーションを通過するとき、基材上に複合流動層が堆積する。第1のコーティング流体は、第2のコーティング流体より低い表面張力を有する。複合流動層が基材に接触した後、連続流動層をフィルムに成形する。
【0020】
第2のコーティング流体が十分な速度を達成し、アプリケータからきれいに離れることができるいくらかの最低速度以上で第2コーティング流体を流すことにより、連続流動層を形成する。連続流動層は、通常基材の幅に依存する所定の幅にわたって、アプリケータから発射される自由噴流として可視である。この方式で第2のコーティング流体を噴出するのに必要な最低速度は、表面張力、粘度、密度、弾性係数、及びレオロジー特性のような流体特性を含む種々の要因に応じて決定される。他の要因としては、アプリケータのデザイン、例えば、それを通じて流体が流れるスロット又はチャネルの寸法、流体がアプリケータを出る角度、アプリケータと基材との間の距離、及び基材に対する連続流動層の進入角が挙げられる。考えられる追加の要因は、基材(ライン)速度及び真空が適用されるか否かである。
【0021】
典型的には、第2の層の単位面積あたりの乾燥コーティング重量が最初に標的とされ、所望の単位面積あたりの湿潤コーティング重量、又は任意の溶媒が蒸発する前の層の単位面積あたりの所望のコーティング重量に関連づけられる。(乾燥及び湿潤コーティング厚さを用いてもよいが、乾燥コーティングの密度は典型的には制限される。)一般に、当業者に認識されるように、操作できるように存在する窓があり、この窓は具体的なアプリケータ及び上記要因に応じてコーティング可能な単位面積あたりの湿潤コーティング重量を制限できる。この操作できる窓を用いて、第2のコーティング流体の単位面積あたりの実際のコーティング重量、及びコーティングプロセスを設定するために用いられるパラメータを決定する。したがって、第2のコーティング流体中の構成成分の濃度もまた変動してもよい。
【0022】
図に示したもののような押出型アプリケータでは、連続流動層を形成するために用いられる流速は、典型的には、噴出幅1センチメートルあたり約1.5mL超である。最小コーティングギャップは、第2のコーティング層の湿潤厚さより大きい。
【0023】
複合流動層は、連続流動層上に第1のコーティング流体を流すことにより形成される。この意味では、連続流動層は、第1のコーティング流体のためのある種の基材層として作用する。複合流動層はまた、上記のような十分な速度を達成するのに十分速い速度で流れなくてはならない。それ故、第1のコーティング流体の特性並びにそのコーティングパラメータはまた、第2のコーティング流体をコーティングするために用いられるパラメータを決定するとき、考慮されなくてはならない。
【0024】
製造されている具体的な物品に応じてどの程度必要であろうと、第1のコーティング流体が連続層を湿潤させるように、いくつかの連続又は不連続方式で連続流動層上に第1コーティング流体を流すことができる。つまり、第1のコーティング層のコーティング均一性及び連続性が重要な物品では、第1コーティング流体が、完全にかつ均一に連続流動層を湿潤させることが望ましい。いくつかの物品では、第1のコーティング層における不連続性は、許容でき又は更には望ましく、その結果ある程度の不完全な湿潤又はデウェッティングは、許容でき又は更には望ましい。一般に、第1コーティング流体のコーティングでは、第2のコーティング流体のために記載したような操作できる窓も存在する。
【0025】
基材は、連続流動層及び第1のコーティング層が同時に又は実質的に同時にコーティングされるように、複合流動層と接触する。一般に、第1コーティング層は、連続流動層を伴わない限り、基材と接触しない。しかしながら、連続流動層は、第1のコーティング層が連続であるか不連続であるかに応じて、基材と接触してもよく、接触しなくてもよい。複合流動層の個々の流体層は、層の異なる特性が維持されるように、ほぼ又は全く混合することなく基材に作用することができる。これが望ましい場合、個々の層内の乱流は、界面張力が低い、又は層が混和性である場合、最小限に抑えれられるべきである。界面張力が高い場合、界面を乱すことなくいくつかの乱流が生じる場合がある。
【0026】
基材は、経済的に生産力のある製造速度を可能にし、不安定性のない安定なコーティングを提供するのに十分な速度でコーティングステーションを通って移動する。好ましくは、速度は、液体の漏れ(基材速度が低いときに生じる場合があるもののような)又は空気連行(基材速度が高いときに生じる場合があるもののような)を最小限に抑える速度で維持される。コーティング速度とも呼ばれる、基材が移動する速度はまた、上記のような操作できる窓を定義する種々の要因に応じて決定される。
【0027】
第1のコーティング流体は、第1の感圧性接着剤と、第1の層の所望の特性に応じて任意の追加構成成分とを含む。1つには、第1の層の特性は、それが剥離ライナとして機能し、第2の層をほぼ又は全く損傷させることなく基材からの第2の層の分離を促進するよう、設計してよい。第1の層の特性はまた、第2の層に接着する裏材を有する物品が一時的に再配置可能であるように設計することもできる。実際には、いったん2つが接触すると、接着剤物品を物体上に正確に位置付けることは非常に困難である。泡、しわ等もまた、2つが接着するときによくあることである。これらの問題のいずれかを正そうとする試みは、物品又は少なくとも接着剤層に損傷を与えることが多い。好ましくは、第1の層は、第2の層のバルク接着剤特性をほぼ又は全く変化させることなく、物品に一時的な再配置性を付与するよう設計される。これは、物体への物品の初期引き剥がし接着力(固着強度)が低く、続いて経時的に引き剥がし接着力が増加することにより、証明できる。例えば、物品が、第1の層を有しない物品に対して約20%以上低い初期引き剥がし接着力を呈することが有用である場合がある。第1の層はまた、いったん基材を取り除くと第2の層がそれ自体に貼り付くのを防ぐよう設計することもてきる。
【0028】
一般に、感圧性接着剤は、当業者には、(1)永久的粘着力、(2)指圧以下の圧力による被着体への接着、(3)被着体を放さない十分な能力、及び(4)被着体からきれいに取り外すことができる十分な貼着力、を含む特性を有することが周知である。感圧性接着剤としてよく機能を果たすことがわかっている材料は、粘着力、引き剥がし接着力、及びせん断保持力の望ましいバランスをもたらすのに必要な粘弾性を示すように設計され配合されたポリマーである。特性の適正なバランスを得るのは、単純なプロセスではない。
【0029】
第1の感圧性接着剤は、一般に、1つ以上のモノマーを重合することにより調製されるポリマー及び/又はオリゴマー接着剤を含む。1例では、第1の感圧性接着剤は、シリコーンを含んでよい。シリコーンの例としては、米国特許第5,527,578号、同第5,858,545号、及び国際公開第00/02966号に記載されているものが挙げられる。具体例としては、米国特許第6,007,914号に記載されているような、ポリジオルガノシロキサンポリ尿素コポリマー及びそれらのブレンド、並びにポリシロキサン−ポリアルキレンブロックコポリマーが挙げられる。シリコーンの他の例としては、シラノール、シリコーン水素化物、シロキサン、エポキシド、及び(メタ)アクリレートが挙げられる。第1の感圧性接着剤はまた、フッ素性化学物質を含んでもよい。
【0030】
別の例では、第1の感圧性接着剤は、シリコーン含有感圧性接着剤を含んでよい。有用なシリコーン含有感圧性接着剤としては、米国特許第4,693,935号に記載されているような、それにグラフト化したポリシロキサン部分を有するビニル高分子主鎖を含むコポリマーが挙げられる。コポリマーは、少なくとも1つのフリーラジカル重合性モノマーを含むAモノマーと、式XYSiR3−m(式中、XはAモノマーと重合可能なビニル基であり、Yは二価結合基であり、Rは水素、又は低級アルキル、アリール、若しくはアルコキシ基であり、Zは少なくとも約500のMWを有する一価シロキサン部分であり、共重合条件下で本質的に非反応性であり、かつビニル高分子主鎖からのペンダントであり、n=0又は1であり、m=1、2、又は3である)を有するCモノマーと、を含んでよい。コポリマーは、所望によりBモノマーを含んでよい。
【0031】
Aモノマーは、少なくとも1つのフリーラジカル重合性モノマーを含んでよく、粘着性又は粘着可能な材料がAモノマーの重合時に得られる、又は後者が用いられる場合Aモノマー及びBモノマーの重合時に得られるように、選択することができる。Aモノマーの例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、1−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、シクロヘキサノール、2−エチル−1−ブタノール、3−ヘプタノール、ベンジルアルコール、2−オクタノール、6−メチル−1−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5−ジメチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノールのような非3級アルコール(これらのアルコールは1〜18個の炭素原子を有し、炭素原子の平均数は4〜12個である)の(メタ)アクリル酸エステル、並びに、スチレン、ビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。Aモノマーの例としてはまた、イソ−オクチル(メタ)アクリレート、イソ−ノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。本明細書に記載のAモノマーの任意の組み合わせを用いることもできる。
【0032】
Bモノマーは、強化モノマーと呼んでよく、一般に約20℃を超えるT又はTを有する極性モノマー及びマクロモノマーを含む。極性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、及びN−ビニルピロリドンが挙げられ、マクロモノマーの例としては、ポリ(スチレン)、ポリ(a−メチルスチレン)、ポリ(ビニルトルエン)、及びポリ(メチルメタクリレート)が挙げられる。
【0033】
CモノマーはA及びBモノマーと重合可能であり、一般にその構造に組み込まれたシリコーン官能基を有する。X基は、式:
【0034】
【化1】

【0035】
式中、R1は水素又はCOOH基であり、R2は水素、メチル基、又は−CHCOOH基である、を有してよい。Y基は、X基をシリコーン原子に結合させることができる任意の二価基であってよく、例えば、Y基は式:
【0036】
【化2】

【0037】
式中、p=0又は1であり、qは2〜6の整数であり、rは2〜6の整数であり、R3は水素又はアルキル基である、のうち任意の1種を有してよい。Z基は、少なくとも約500のMWを有する一価シロキサン部分であり、式:
【0038】
【化3】

【0039】
式中、R4及びR6は独立して低級アルキル、アリール、又はフルオロアルキルであり、ここで低級アルキル及びフルオロアルキルは両方とも1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を指し、アリールはフェニル又は置換フェニルを指し、R5はアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ、アリール、ヒドロキシル、又はフルオロアルキルであってよく、sは約5〜約700の整数である、を有するものとして更に記載することができる。Cモノマーの具体例としては、米国特許第4,693,935号に記載のシリコーンマクロモノマーが挙げられる。
【0040】
Cモノマーの分子量及び量は、所望の再配置性が得られるように十分大きいべきであるが、A及び任意のBモノマーとの重合中、適合性であるように十分小さいべきである。一般に、Cモノマーの分子量は、約500〜約50,000、例えば約5000〜約25,000である。
【0041】
シリコン含有感圧性接着剤を調製するために必要なA、B、及びCモノマーの相対量は、上記のような第1の層に望ましい特性に応じて決定される。したがって、モノマーの総重量に対して、Aモノマーは約30重量%〜約99.99重量%の範囲、Cモノマーは約0.01重量%〜約50重量%の範囲、B及びCモノマーは合わせて約0.01重量%〜約70重量%の範囲であってよい。典型的には、Cモノマーの量は、初期引き剥がし接着力の低下に最も直接的に影響を及ぼし、その量は、少なくとも部分的に、その分子量に応じて決定される。
【0042】
Bモノマーの量は、典型的には、シリコン含有感圧性接着剤が過剰に硬くなるのを避けるように、全てのモノマーの総重量を基準として約20重量%を超えない。例えば、約2〜約15重量%のBモノマーを用いる場合、シリコン含有感圧性接着剤は、良好な接着特性を維持しながら、高貼着力及び内部強度を有する可能性がある。
【0043】
具体例では、第1の感圧性接着剤は、それぞれ、約91:4:5の重量比で、SM−1として以下に示すイソ−オクチルアクリレート、アクリルアミド、及びシリコン含有モノマーの重合から調製されるコポリマーを含む。
【0044】
Aモノマー、任意のBモノマー、及びCモノマーは、例えば、溶液、懸濁、エマルション、又はバルク重合により、米国特許第4,693,935号に記載のような従来のフリーラジカル重合方法により重合することができる。溶液重合では、モノマーは不活性有機溶媒に溶解され、熱的に又は光化学的に活性化され得る好適なフリーラジカル反応開始剤を用いて重合される。ポリマーグラフト化技術はまた、米国特許第4,693,935号に記載されており、それぞれはある程度、最終製品の特性が予測可能である。例えば、ビニル高分子主鎖を形成し、次いで環状シロキサンモノマーと重合させてよい。別の例では、ビニル高分子主鎖を形成し、次いで一官能性シロキサンポリマーと重合させてよい。
【0045】
種々の追加構成成分を、第1コーティング流体に含んでよい。例えば、第1の層の粘着特性を調節するために、粘着付与樹脂及び可塑剤を用いてよい。粘着付与樹脂としては、ロジン、並びにポリテルペン、フェノール、及びクマロン−インデンの樹脂が挙げられ、典型的にはシリコン含有感圧性接着剤100重量部を基準として、最大約150重量部の量で用いられる。可塑剤としては、芳香族、パラフィン、及びナフテン増量剤油が挙げられ、典型的には、シリコン含有感圧性接着剤100重量部を基準として、最大約50重量部の量で用いられる。色素、充填剤、ガラスビーズ、安定剤、架橋剤等もまた添加してもよい。
【0046】
上記のように、第1のコーティング流体の表面張力は、第2のコーティング流体よりも小さい。第1の感圧性接着剤の存在により、すなわち、表面張力を低下させるのに必要な任意の追加の構成成分なく、表面張力をより低くすることができる。例えば、第1感圧性接着剤がシリコーンを含み、又はシリコン含有感圧性接着剤であり、かつ第2の感圧性接着剤がこれらのいずれでもない場合、第1のコーティング流体は第1のコーティング流体よりも低い表面張力を有する可能性がある。界面活性剤のような追加の構成成分を用いて表面張力を低下させることも可能である。第1のコーティング流体の表面張力を第1のコーティング流体よりも低くする溶媒を使用することも可能である。第1の流体と第2の流体との表面張力の差は、連続流動層が所望の程度湿潤する限り、特に限定されない。1例では、表面張力の差は約1ダイン/cmである。
【0047】
上記のように、第1のコーティング流体は、第2のコーティング流体により形成される連続流動層上を流れる。この第1のコーティング流体は、第1の層を形成する。一般に、第1の層は、必要に応じて、得られる物品に所望の特性を付与するのに十分な、例えば、連続第1層を形成するのに十分な厚さであるべきである。第1の層はまた、第2の層の特性又はその間に形成されるフィルムに悪影響が及ばないように十分薄いべきである。第1の層の厚さは、典型的には、約25μm未満である。第1のコーティング流体が溶媒を含む場合、第1の層の厚さはコーティングされた厚さより薄くてもよく、溶媒が第1の層から第2の層へ若しくはその間に形成されるフィルムに、及び/又は基材に移動するかもしれない。第1の層の厚さはまた、約10μm未満、約5μm未満、又は約0.5μm未満であってもよい。
【0048】
第2のコーティング流体は、その間に形成されるフィルムの所望の特性に応じて、第2の感圧性接着剤及び任意の追加の構成成分を含む。第2のコーティング流体からのフィルムの形成は、コーティングされた後第2のコーティング流体から溶媒を蒸発させることを含んでよく、又は第2のコーティング流体が数種のホットメルト感圧性接着剤を含む場合、冷却を含んでよい。第2のコーティング流体からのフィルムの形成はまた、熱又は紫外線を適用することにより、架橋剤とポリマー又はオリゴマー構成成分との間の反応を開始させる等、流体中の構成成分を硬化することを含んでもよい。これらの任意の組み合わせを用いてもよい。
【0049】
フィルム、又は第2の層の特性は、特定の種類の物体に最小引き剥がし接着力を付与するよう設計してよい。例えば、適用は、第2の層をある期間後物体から取り除くことができない、又は少なくとも高熱又は層を溶解させる溶媒のような厳しい条件下でのみ取り除くことができることが必要である。このような物品は、自動車用塗料代替フィルムを含んでよい。あるいは、適用は、窓の塗料マスキングテープ用のようないくらかの短い期間後、又はディスプレィデバイスのための保護フィルム用のような長期間、2つが取り外し可能である必要がある。
【0050】
有用な第2の感圧性接着剤としては、第1の感圧性接着剤のために上記した特性を有する材料が挙げられる。例としては、約30重量%〜約99.99重量%のAモノマー及び約0.01重量%〜約70重量%のBモノマーを含むコポリマーが挙げられる。例えば、第2の感圧性接着剤は、約90〜約99.99重量%の、イソ−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、又はこれらの組み合わせと、約0.01〜約10重量%の(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリル酸と、を含んでよい。第2の感圧性接着剤はまた架橋可能であってもよい。種々の追加の構成成分は、第1のコーティング流体のために上記したように、第2のコーティング流体中に含まれてよい。
【0051】
基材は任意の好適なキャリアウェブを含んでよく、可撓性であってもよい。例としては、粘土でコーティングされた紙又はポリエチレンでコーティングされた紙のような紙が挙げられる。例としてはまた、セルロースアセテートブチラート;セルロースアセテートプロピオネート;セルローストリアセテート;ポリメチルメタクリレートのようなポリ(メタ)アクリレート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びナフタレンジカルボン酸に基づくコポリマー又はブレンドのようなポリエステル;ポリエーテルスルホン;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;シンジオタクチックポリスチレン;環状オレフィンコポリマー;並びにキャスト及び二軸延伸ポリプロピレンのようなポリエチレン及びポリプロピレンを含むポリオレフィンのようなポリマーの1種以上を含むポリマーフィルムが挙げられる。基材は、ポリエチレンでコーティングされたポリエチレンテレフタレートのような、単層又は多層を含んでよい。基材は、下塗り又は処理して、その表面の1つ以上にいくつかの所望の特性を付与してよい。そのような処理の例としては、コロナ、火炎、プラズマ及び化学処理が挙げられる。
【0052】
基材は、当業者に既知である任意の転移ライナであってよく、第1及び/又は第2の層と密接に接触して定置し、その後層の性能に影響を及ぼすことなく取り除くことができる剥離ライナを含んでよい。剥離ライナは、任意の上述の紙又はポリマーフィルムであってもよく、そのいずれも剥離コーティングでコーティングすることができる。
【0053】
その上に複合流動層がコーティングされた基材の表面は実質的に平坦であってもよく、又はいくつかの種類の非平坦又は構造化表面を有してよい。非平坦又は構造化表面を有する基材を用いるとき、それらは典型的には剥離ライナである。非平坦又は構造化表面は、第1の層及び第2の層に形状を与える。非平坦表面としては、ランダムな凹凸、ランダムな形状パターン、規則的な凹凸、規則的な形状パターン、又はこれらの組み合わせを含むものが挙げられる。構造化表面としては、微細構造剥離ライナにより提供されるもののような微細構造表面が挙げられる。微細構造表面は、一般に、例えば、米国特許第6,197,397号、米国特許第6,123,890号、米国特許第6,838,142 B2号、米国特許第6,838,150 B2号に記載のように製造される、1.4mm(55mil)未満の少なくとも2つの側部寸法(すなわち、フィルムの平面の寸法)を有する微細構造を含む。微細構造表面は、例えば、隆起部、柱、ピラミッド、半球及び円錐を含む一連の形状を含んでよく、並びに/又は平坦部、尖端部、切頭部、若しくは円形部を有する突出部又は凹部であってよく、これらはいずれも、表面の平面に対して、曲がっていても又は垂直であってもよい。微細構造表面は、パターンを有してもよく、ランダムであってもよく、又はこれらの組み合わせであってもよい。微細構造表面は、第1の層及び/又は第2の層に、実質的に連続な開放経路又は溝を付与できる。
【0054】
上記のように、本明細書に開示する方法を用いて、図に示した多層被コーティング物品34のような物品であって、基材と、基材に隣接し、第1の感圧性接着剤を含み、25μm未満の厚さを有する第1の層と、第1の層に隣接し、基材と反対側にあり、第2の感圧性接着剤を含む第2の層と、を含む物品を調製することができる。
【0055】
層が十分乾燥、硬化等した後、裏材を第1の層と反対側の第2の層に適用してよい。裏材は、紙又はポリ塩化ビニルのようなポリマーフィルムを含んでよい。裏材及び第2の層は、第1の層及び/又は第2の層の基材への非常に高い引き剥がし接着力を有する。裏材の第2の層への接触は、裏材を第2の層へ積層することを含んでよい。剥離ライナを取り除くとき、得られる接着剤物品は、裏材と、裏材に隣接し、第2の感圧性接着剤を含む第2の層と、第2の層に隣接し、裏材の反対側にあり、第1の感圧性接着剤を含み、25μm未満の厚さを有する第1の層と、を含む。
【0056】
接着剤物品を、種々の用途で用いることができる。例えば、それはテープ又はラベルであってよい。裏材は、接着剤物品をサインのようなグラフィックアートフィルムとして用いることができるように、種々の商業的技術を用いてイメージ化することができる。裏材の露出面(第2の層の反対側)は、接着剤物品が自動車の部品又は光学ディスプレイのような物体を保護するために用いることができるように、十分硬くてよい。裏材、第2の層、又は第1の層の1つ以上は、接着剤物品を塗料代替フィルム又は窓用フィルムとして用いて装飾及び/又はプライバシーを提供することができるように、不透明及び/又は着色されていてよい。更に、裏材、第2の層、又は第1の層の1つ以上は、接着剤物品を、光及び又は熱を反射する窓用フィルムとして用いることができるように、吸収及び/又は反射構成成分を含んでよい。
【0057】
本発明を以下の実施例により更に記載する。
【実施例】
【0058】
第1のコーティング流体1(FCF−1)
FCF−1は、91:4:5の重量比で、イソ−オクチルアクリレート、アクリルアミド、及びシリコーンマクロマー−1(SM−1)に由来し、米国特許第4,693,935号の実施例2〜4に記載のように調製された接着剤を含有していた。SM−1は約11,000g/モルの分子量を有しており、米国特許第4,693,935号のモノマー「C 3b」に記載のように調製された。FCF−1は、酢酸エチル、ヘプタン、メタノール、及びイソプロピルアルコールの混合物中に5重量%の接着剤を含有していた。
【0059】
【化4】

【0060】
比較第1コーティング流体(Comp.FCF)
Comp.FCFは、93/7の重量比で、イソ−オクチルアクリレート及びアクリル酸に由来し、米国特許第4,693,935号の実施例26に記載のように調製された接着剤を含有していた。Comp.FCFは、23.7ダイン/cmの表面張力、0.880g/ccの密度、及び20cPの粘度を有していた。
【0061】
第2のコーティング流体(SCF−1)
SCF−1は、90/10の重量比の、イソ−オクチルアクリレート及びアクリル酸からなり、米国特許第4,693,935号の実施例26に記載のように調製された。SCF−1は、MEK中14重量%の接着剤、及び1.5重量%の上記ビスアミド架橋剤を含有していた。SCF−1は、26.2ダイン/cmの表面張力、0.900g/ccの密度、及び700cPの粘度を有していた。
【0062】
接着剤物品の調製
比較例1〜3(C1〜C3)を、それぞれ第1の層及び第2の層として、Comp.FCF及びSCF−1を同時に、高さ10μm及び名目上ピッチ200μmの、基部が正方形である平頂ピラミッドを有する、Comply(商標)接着性能を有する微細構造ライナ3M Scotchcal(商標)高性能フィルム、自動車グレード上にコーティングすることにより調製した。実施例1〜3を、それぞれ第1の層及び第2の層として、FCF−1及びSCF−1を同時に、同じ微細構造ライナ上にコーティングすることにより調製した。米国特許第7,097,673 B2号の図2bに記載のようなダイを装備した二重スロット塗布機を用いた。最小ギャップが少なくとも表1に示すような第2の層の湿潤厚さであるように、かつ剥離ライナ上の第2のコーティング流体の連続均一層が得られる限り、ダイの位置を剥離ライナに対して調節した。層厚さ及びポンプの流速を表1に示す。約12.2mの長さにわたって、49、66、66、74、及び82℃の5種の温度領域を有する硬化/乾燥ステーションを通して7.6m/分の速度で剥離ライナを移動させた。次いで、硬化/乾燥コーティングを、51μm(2mil)のPET裏材を乾燥第2の層に積層する、積層ステーションを通過させた。
【0063】
【表1】

【0064】
引き剥がし接着力の評価
引き剥がし接着力(180°)を以下のように試験した。それぞれの接着剤物品について、ストリップ(2.5cm×20cm)を切断し、PET剥離ライナを除去して第1の層を露出させた。次いで、ガラスをイソプロパノール及びキムワイプ(Kimwipes)(登録商標)(Kimberly Clark)で清浄にした後、得られた物品を、1.7kg(4.5lb.)のゴムローラーを用いて窓ガラスに積層した。ローラを一端に置き、いかなる圧力も加えることなく3秒間ゆっくりと下げ、そして戻した。100%の湿潤が得られていることを保証するために、得られた積層体を視覚的に検査した(肉眼では気泡を全く見ることができなかった)。
【0065】
229cm/分(90インチ/分)、2秒遅延、及び5秒データ取得の条件で、3M90スリップ引き剥がし試験機(IMASS社製)を用いて、180°引き剥がし接着力を試験した。引き剥がし接着力を、初期時間、及び以下の時間間隔:5分、1時間、24時間、及び48時間後に測定した。積層体のサンプルは、測定の間は平らに保管した。それぞれの積層体について3回試験を行った平均値を表2に報告する。
【0066】
【表2】

【0067】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な修正及び変更を行えることが当業者には明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に隣接する第1の層であって、シリコーン含有感圧性接着剤を含み、約5μm未満の厚さを有する第1の層と、
前記第1の層に隣接し、前記基材と反対側にある第2の層であって、感圧性接着剤を含む第2の層と、を含む物品。
【請求項2】
前記シリコーン含有感圧性接着剤が、コポリマーを含み、コポリマーがそれにグラフト化したポリシロキサン部分を有するビニル高分子主鎖を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記コポリマーが、
少なくとも1つのフリーラジカル重合可能なモノマーを含むAモノマーと、式:
XYSiR3−m
(式中、
XはAモノマーと重合可能なビニル基であり、
Yは二価結合基であり、
Rは水素、又は低級アルキル、アリール、若しくはアルコキシ基であり、
Zは少なくとも約500のMWを有する一価シロキサン部分であり、共重合条件下で本質的に非反応性であり、ビニル高分子主鎖からのペンダントであり、
n=0又は1であり、
m=1、2、又は3である)、
を有するCモノマーと、を含む、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記第1の層が、約3μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記第1の層が、約2μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記第1の層が、約0.5μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記第2の層が、約50μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記第2の層が、約25μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記第2の層が、約20μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記第2の層が、約10μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記基材が、剥離ライナを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記基材が、前記第1の層に隣接する微細構造表面を有する微細構造剥離ライナを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記第2の層に隣接し、前記第1の層と反対側にある裏材を更に含む、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
裏材と、
前記裏材に隣接し、感圧性接着剤を含む第2の層と、
前記第2の層に隣接し、前記裏材の反対側にある第1の層であって、シリコーン含有感圧性接着剤を含み、約5μm未満の厚さを有する第1の層と、を含む物品。
【請求項15】
前記第1の層が、約3μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
前記第1の層が、約2μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記第1の層が、約0.5μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
前記第2の層が、約50μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
前記第2の層が、約25μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項20】
前記第2の層が、約20μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項21】
前記第2の層が、約10μm未満の厚さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項22】
グラフィックアートフィルム、光学ディスプレイ用の保護フィルム、自動車用の保護フィルム、又は自動車用の塗料代替フィルムを含む、請求項1に記載の物品。

【図1】
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【公表番号】特表2011−502201(P2011−502201A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532098(P2010−532098)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/074422
【国際公開番号】WO2009/058466
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】