説明

感圧接着シート及び積層体

【課題】 感圧接着剤自身が難燃剤を含有せずともUL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する感圧接着シート及び積層体を提供する。
【解決手段】基材と、該基材に形成された非難燃性の感圧接着剤とを備えた感圧接着シートであって、前記基材は、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合し、前記基材と前記感圧接着剤との総厚みが35〜200μmであり、かつ、前記基材と前記感圧接着剤との厚みの比率が1:1〜8:1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感圧接着シート及び積層体に関し、特に難燃性の感圧接着シート及び積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムや紙に感圧接着剤を塗布した感圧接着シートは難燃性に乏しいため、難燃性を付与すべく、例えば感圧接着剤に、イオン架橋構造を有するアクリル系ポリマーと水酸化アルミニウムを含有する組成物を用いること等が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−322447号公報(請求項1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら難燃剤は大量に添加・混合しなければ十分な難燃効果、例えばUL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合するような難燃性を得ることができない。また、これら難燃剤は大量に添加・混合することで、感圧接着剤が可塑化し、感圧接着シート表面や被着体との界面に析出してしまうことにより被着体の汚染や劣化等を促進させてしまうという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑み、簡易な構成で、十分な難燃性を発現する感圧接着シート及びこれを用いた積層体を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の感圧接着シートは、基材と、該基材に形成された非難燃性の感圧接着剤とを備えた感圧接着シートであって、前記基材は、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合し、前記基材と前記感圧接着剤との総厚みが35〜200μmであり、かつ、前記基材と前記感圧接着剤との厚みの比率が1:1〜8:1であることを特徴とする。
【0007】
本発明では、感圧接着剤に難燃剤を含有しない非難燃性感圧接着剤であっても、基材単体でUL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する基材に形成すれば、この感圧接着シートに難燃性の被着体を設けることで十分な難燃性を得ることができる。
【0008】
本発明の積層体は、前記感圧接着剤シートを備え、前記感圧接着剤の前記基材とは反対側に、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0又はV−0に適合する被着体が設けられてなることを特徴とする。本発明の積層体は、感圧接着剤に難燃剤を含有しない非難燃性感圧接着剤であっても、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0又はV−0に適合する被着体及びUL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する基材が設けられていることで、全体として十分な難燃性を得ることができる。
【0009】
好ましくは、十分な難燃性として、この積層体が、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合することが挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の感圧接着シート及び積層体においては、非難燃性の感圧接着剤を用いても、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する基材が設けられており、これをUL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する被着体に設けることで、十分な難燃性を得ることができるという優れた効果を奏する。また、本発明の感圧接着シート及び積層体は、感圧接着剤に難燃剤を添加していないので、感圧接着剤が可塑化し、感圧接着シート表面や被着体に析出してしまうことにより被着体の汚染や劣化等を促進させてしまうことがないという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の感圧接着シートを(1)基材、(2)感圧接着剤に項分けして詳細に説明する。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸の総称であり、他の「(メタ)」もこれに準拠する。また、重合体とは単独重合体及び共重合体の総称であるものとする。
【0012】
(1)基材
本発明の基材は、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合する難燃性を有するものである。このような基材としては、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等からなり、樹脂単体で難燃性を有するフィルムを用いることができる。また、後述する難燃剤を含有したポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、EVA樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエン樹脂(ABS樹脂)、エポキシ樹脂、ポリスチレン−ポリカーボネートアロイ樹脂、ポリスチレン−ABSアロイ樹脂、ポリアミド樹脂等からなり、難燃性を有するフィルム等が挙げられる。
【0013】
また、基材上に前記したいずれかの樹脂をコートすることにより、難燃性を有する基材としてもよい。この場合の基材としては、例えば、シート状またはフィルム状プラスチック、含浸紙等の紙、金属箔、織布、不織布等を用いてもよい。また、基材の厚さは、粘着シートの用途に応じて適宜決定されるが、通常は10〜300μm程度であり、好ましくは20〜200μm程度である。本実施形態では、10〜190μm程度であり、好ましくは20〜180μm程度、最も好ましくは25〜145μm程度である。
【0014】
ここで、難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤などを使用することができる。特に、環境対応の観点から無機系難燃剤を使用することが好ましい。また、以下に挙げる難燃剤のうち、二以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
無機系難燃剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、硫化亜鉛、硼酸亜鉛、モリブデン化合物、錫化合物、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、カーボンブラック、硝酸銅、硝酸鉄、スルフォン酸金属塩、フォスファゼン化合物、ナノコンポジットフィラー、フュームドシリカ、微粒子化炭酸カルシウム、炭酸リチウム、フェロセン、酸化鉄、水酸化第二鉄、活性フェロオキサイト、ニッケル酸化物、アルミニウム/銅ゼオライト、チオシアン化銅、シュウ酸銅、アセチール酢酸アルミ、水和金属化合物、ヒドロキノリン金属塩(Fe,Mo,Co,V)、フターロシアニン金属塩(Fe,Cu,Mn,Co,V)、赤燐、リン酸アンモン、などが挙げられる。
【0016】
ハロゲン系難燃剤としては、ヘキサブロモベンゼン、ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールA、ビス(ジブロモプロピルイソシアヌレート)、トリス(トリブロモネオペンチルホスフェート、デカブロモジフェニルオキサイド、臭素化エポキシ樹脂、ビス(ペンタブロモフェノオキシ)トリアジン、エチレンビステトラブロモフタロイミド、ポリブロモフェニルインダン、臭素化ポリスチレン、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネート、臭素化フェニレンオキサイド、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、無水クロレンド酸、環状脂肪族塩素化合物、臭素化フェノール、ジブロモメタクレゾール、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェートなどが挙げられる。
【0017】
その他難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリニルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、クレジルビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート、2エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、レゾルシノルビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、レゾルシノルビス(ジ−2,6−キシレニル)ホスフェート、ジエチル−N−N−ビス(2ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェート、シリコーン系化合物、ヒンダートアミン化合物、メラミン化合物、グアニジン化合物などが挙げられる。
【0018】
本発明の基材の具体的な製品例としては、非ハロゲン系難燃剤含有フィルムとして、東レ株式会社製ルミラーZV−10、トレリナ、ミクトロン、東レ・デュポン株式会社製カプトン、三菱樹脂株式会社製スペリオUT、ダイヤラミーなどが挙げられる。また、トキワ電気株式会社製LAXRONポリカSDB−3、ワコー樹脂株式会社製フミロン、株式会社武田産業製NF・Vertical、住友ベークライト株式会社製サンロイドバリア、サンロイドエコシートポリカ、旭硝子製ウルテム、レキサン、バロックス、大井田工業株式会社製セフティーフィルムなどが挙げられる。なお、これらの製品例に限定されるわけではない。
【0019】
また、これらの基材の感圧接着剤が塗布される面とは反対側の面には、印刷・印字用表面コート処理や、隠蔽性付与のための白色コート処理、アルミ蒸着等が施されていてもよい。
【0020】
(2)感圧接着剤
本発明における感圧接着剤は、非難燃性のものであり、(a)アクリル系感圧接着剤、(b)ゴム系感圧接着剤、(c)シリコーン系感圧接着剤等を用いることができる。また、これらは、溶剤系感圧接着剤、ホットメルト型感圧接着剤、水系感圧接着剤、UV硬化型感圧接着剤等であってもよい。
【0021】
(a)アクリル系感圧接着剤
アクリル系感圧接着剤としては、主成分として、例えばアクリル酸エステル単独重合体、アクリル酸エステル単位2種以上を含む共重合体及びアクリル酸エステルと他の官能性単量体との共重合体の中から選ばれた少なくとも1種を含有するものが用いられる。該アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−トリデシル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。また、官能性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド類;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。その他、上記単量体と共重合可能な単量体として、ビニル安息香酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;ビニルグリシジルエーテル等のビニルエーテル化合物;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系化合物;N−ビニル−2−ピロリドン等の脂環式ビニル化合物などが挙げられる。
【0022】
(b)ゴム系感圧接着剤
ゴム系感圧接着剤としては、主成分として、例えば天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレン、ポリブタジエンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDMゴム)、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体などの中から選ばれた少なくとも1種を含有するものが用いられる。
【0023】
(c)シリコーン系感圧接着剤
シリコーン系感圧接着剤としては、例えば主成分としてポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、又はポリジフェニルシロキサンを含有するものが挙げられる。
【0024】
また、感圧接着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤、濡れ剤、防腐剤、増粘剤、光開始剤、有機フィラー、無機フィラー軟化剤などの公知の添加剤を含有してもよい。粘着付与剤としては、例えば、ロジン及びその誘導体、ポリテルペン、テルペンフェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。軟化剤としては、例えば、液状ポリエーテル、グリコールエステル、液状ポリテルペン、液状ポリアクリレート、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル等が挙げられる。
【0025】
感圧接着剤層の厚さは、5〜60μmであることが好ましく、特に10〜50μmであることが好ましい。
【0026】
以下、上述した本発明の感圧接着シートを用いた積層体における(3)被着体について説明する。
【0027】
(3)被着体
本発明における被着体としては、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0又はV−0に適合するものを用いることができる。被着体としては、電子機器用プラスチック板、フィルムや筐体が挙げられる。このような被着体材料としては、(1)で説明した基材と同一のものを用いることができ、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等からなり、樹脂単体で難燃性を有するフィルム、プラスチック板などを用いることができる。また、難燃剤を含有したポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、EVA樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエン樹脂(ABS樹脂)、エポキシ樹脂、ポリスチレン−ポリカーボネートアロイ樹脂、ポリスチレン−ABSアロイ樹脂、ポリアミド樹脂等からなり、難燃性を有するフィルム等が挙げられる。ここでいう難燃剤としても、(1)で説明した難燃材のうち一以上を用いることができる。
【0028】
本発明の感圧接着シートの製造方法について説明する。
【0029】
まず、感圧接着剤の組成物を、有機溶剤系、エマルション系等により希釈して感圧接着剤組成物塗工液を調製する。
【0030】
そして、得られた感圧接着剤組成物塗工液を基材に塗布して、感圧接着剤層を形成する。この際、架橋を促進させるために、感圧接着剤層を加熱処理してもよく、加熱処理温度は、例えば、50〜150℃である。また、別に用意した剥離シートの剥離面に対して前述した感圧接着剤組成物を塗布、乾燥後に基材を積層してもよい。感圧接着剤組成物を塗布する方法としては特に限定されず、例えばロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング等の方法が挙げられる。
【0031】
このような感圧接着シートの構成としては、さらに、前記基材と前記感圧接着剤との総厚みが35〜200μmであり、かつ、前記基材と前記感圧接着剤との厚みの比率が1:1〜8:1であることが挙げられる。この範囲であることで、感圧接着シートに被着体を設けた場合に、十分な難燃性、即ちUL94規格に準ずる試験においてVTM−0を得ることができる。この範囲を満たすことができないと、十分な難燃性を得ることができない。
【0032】
本実施形態に係る感圧接着シートの感圧接着剤層には、剥離シートが積層されていてもよい。剥離シートとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンなどの樹脂フィルムの少なくとも一方の面をシリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、アルキド樹脂系剥離剤等で剥離処理した剥離シートを使用することができる。剥離シートの厚さは、通常10〜200μm程度であり、好ましくは20〜100μm程度である。
【0033】
このようにして得られた積層体は、難燃性に優れ、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合するものとなる。
【0034】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0035】
(実施例1)
攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、及び温度計を取り付けた反応容器にアクリル酸n−ブチル95質量部、アクリル酸5質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.3質量部、酢酸エチル150質量部を投入し、1時間かけて窒素置換を実施した。その後、70℃に昇温し8時間重合を行った。得られたポリマーはGPC(ポリスチレン換算)で分子量測定を行ったところ、重量平均分子量が約40万であった。得られたポリマー溶液にイソシアナート系架橋剤(綜研化学株式会社製、商品名:L−45)1.0質量部を粘着加工直前に加え、塗工液を得た。
【0036】
得られた塗工液を剥離フィルム(リンテック社製、製品名SP−PET381031)にアプリケーターを用いて塗布し、100℃で1分間加熱・乾燥することにより、厚さ約20μmの感圧接着剤層とし、厚みが45μmの両面ポリイミドコート処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、製品名:ルミラーZV−10#40、VTM−0取得品)をラミネートし、実施例1の感圧接着シートを作製した。
【0037】
また、剥離フィルムを剥離し、被着体として厚み125μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、製品名:カプトン500H、VTM−0取得品)に貼付し、実施例1の積層体とした。
【0038】
(実施例2)
実施例1において感圧接着剤層の厚みを10μmとした以外は、実施例1と同様に実施例2の感圧接着シート及び積層体を得た。
【0039】
(実施例3)
実施例1において感圧接着剤層の厚みを30μmとした以外は、実施例1と同様に実施例3の感圧接着シート及び積層体を得た。
【0040】
(実施例4)
実施例1において、45μmの両面ポリイミドコート処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名:ルミラーZV−10#40、VTM−0取得品)に替えて、25μmの両面ポリイミドコート処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名:ルミラーZV−10#25、VTM−0取得品)をラミネートした以外は、実施例1と同様に実施例4の感圧接着シート及び積層体を得た。
【0041】
(実施例5)
実施例1において、45μmの両面ポリイミドコート処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名:ルミラーZV−10#40、VTM−0取得品)に替えて、144μmの両面ポリイミドコート処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名:ルミラーZV−10#140、VTM−0取得品)をラミネートした以外は、実施例1と同様に実施例5の感圧接着シート及び積層体を得た。
【0042】
(比較例1)
実施例1において、45μmの両面ポリイミドコート処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名:ルミラーZV−10#40、VTM−0取得品)に替えて、厚み50μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名:T−60、VTM−2取得品)をラミネートした以外は、実施例1と同様に比較例1の感圧接着シート及び積層体を得た。
【0043】
(比較例2)
実施例5において、感圧接着剤層の厚みを60μmとした以外は、実施例5と同様に比較例2の感圧接着シート及び積層体を得た。
【0044】
(比較例3)
実施例4において、感圧接着剤層の厚みを80μmとした以外は、実施例4と同様に比較例3の感圧接着シート及び積層体を得た。
【0045】
(比較例4)
実施例1において、被着体として厚み125μmのポリイミドフィルムに替えて、厚み125μmのPETフィルム(東洋紡績株式会社製、製品名:A4300、UL規格不合格品)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例4の感圧接着シート及び積層体を得た。
【0046】
実施例及び比較例の条件を表1にまとめた。また、得られた感圧接着剤積層体サンプルの難燃性評価を、感圧接着シートの剥離フィルムを剥離し、アンダーライダーズラボラトリーズ社発行のプラスチック材料の燃焼性試験規格UL94の垂直燃焼試験方法に準じてUL94VTMランクを判定した。結果を表2に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
基材がUL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合し、基材と感圧接着剤との総厚みが35〜200μmであり、かつ、基材と感圧接着剤との厚みの比率が1:1〜8:1である実施例1〜5については、全てUL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合した。他方で、これらの要件を満たしていない比較例については、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合することはなかった。即ち、基材がUL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合しない比較例1、基材と感圧接着剤との総厚みが厚すぎる比較例2、基材と感圧接着剤との厚みの比率が低すぎる比較例3、基材としてVTM−0取得の基材を用い、被着体としてUL94試験不合格品を用いた比較例4ではいずれもUL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合することはなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材に形成された非難燃性の感圧接着剤とを備えた感圧接着シートであって、
前記基材は、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合し、
前記基材と前記感圧接着剤との総厚みが35〜200μmであり、かつ、前記基材と前記感圧接着剤との厚みの比率が1:1〜8:1であることを特徴とする感圧接着シート。
【請求項2】
請求項1に記載された感圧接着剤シートを備え、
前記感圧接着剤の前記基材とは反対側に、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0又はV−0に適合する被着体が設けられてなることを特徴とする積層体。
【請求項3】
請求項2に記載の積層体が、UL94規格に準ずる試験においてVTM−0に適合することを特徴とする積層体。


【公開番号】特開2010−265345(P2010−265345A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115993(P2009−115993)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】