説明

感圧接着剤組成物及び表面保護フィルム

【課題】
表面保護フィルムの表面に大きな外部応力がかかって、感圧接着剤層の一部が破壊を起こしても、表面保護フィルムを剥離した際、被着体である光学部材上に破壊した感圧接着剤層の一部が転着しないことであり、かつ大面積での高速剥離における剥離力が小さく、更にジッピングを起こさず低速剥離における接着力に優れる感圧接着剤組成物及び光学部材表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】
少なくとも
0.1〜10重量%の水酸基含有単量体が共重合成分として含まれ、ガラス転移点(Tg)が−76〜−50℃のアクリル共重合体(A)と、
該アクリル共重合体(A)100重量部に対し0.01〜2.0重量部のポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)と、
を含有することを特徴とする感圧接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 感圧接着剤組成物及びそれを使用した表面保護フィルムに関するものであり、詳しくは、液晶表示板など光学部材表面の一次保護のために使用される表面保護フィルム用感圧接着剤組成物及びそれを使用した表面保護フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示板は、薄型軽量であること、消費電力が少なくて済むことなどから、近年、各種の情報関連機器、例えばワープロやノート型パソコンなどの画面表示装置として利用されている。このような液晶表示板には、本体である液晶を内包したガラスセル(液晶セル)と共に偏光板や位相差板などの光学部材が用いられている。これらの光学部材のうち、例えば偏光板は、通常、ポリビニルアルコ−ル(PVA)フィルムからなる偏光素子と、その機械的強度を保持するため該偏光素子の両面に貼り合わされている鹸化されたトリアセチルセルロ−ス(TAC)フィルムからなる保護層により構成され、また該偏光板の液晶表示板正面となる側の表面には、偏光板を傷や汚染から守り、さらにその用途に応じての機能を付与するために機能層が形成されることが多い。
【0003】
これらの光学部材は、通常、打抜加工、検査、輸送、液晶表示板の組立などの各工程を経る間にその表面が汚染されたり損傷したりしないように、さらに表面保護フィルムで接着被覆されて長尺の光学部材積層体として形成され、該表面保護フィルムは表面保護が不要となった段階で光学部材から剥離除去される。さらに、液晶表示板の組立工程では、光学部材と液晶セルとの接着状態の安定化を目的に、オートクレーブ処理といわれる加熱加圧処理が施されることもあり、さらに必要に応じて、該オートクレーブ処理において生じる歪みを解除するために、たとえば90℃などの高温で数時間エ−ジング処理される。
【0004】
このような表面保護フィルムには、塗工作業に充分なポットライフを有し、光学部材の表面保護が必要とされる間は、該部材の表面上でずれを生じたり表面から脱落したりすることがない程度にその表面に接着していると共に、液晶の性能など各種の検査に支障を来さないように、高度に透明であること及びフクレ、トンネリング、ハガレなど接着剤層内及び該接着剤層と光学部材との界面に欠陥がないことが要求される。光学部材からの該フィルムの剥離に際しては、剥離に伴う歪みによって光学部材や液晶セルを損傷することがないように、また液晶セルから光学部材が剥離してしまうなどの不都合が生じないように、容易に剥離できることが必要である。
近年、作業効率の向上を目的として表面保護フィルムの剥離の速度が高速化される傾向にあり高速剥離における作業性も接着剤の特性として要求されるようになった。
【0005】
従来の表面保護フィルムの多くは、上記の加工工程で光学部材の表面保護のために十分な程度の接着性を有している場合、経時的にその光学部材に対する接着力を上昇させて剥離する際の接着力が高くなり過ぎる傾向がある。そのため特に高速で剥離すると作業効率が悪く、その上剥離に伴う歪みによって光学部材や液晶セルの配向の乱れ、セルギャップの拡大などの不都合さえ生じることがあった。特に上記のアンチグレア層などを設けた偏光板では接着力が上昇しやすく、中でもエ−ジング処理などによってもフクレが生じない程度に濡れが十分である場合には、接着力が高くなりすぎる傾向にあり、さらに表面保護フィルムの剥離が機械化され高速化されると従来の剥離速度におけるよりは大きな剥離力がかかることになる。
【0006】
これらの問題点を解消するため、従来から幾多の提案が知られている。例えば、特許文献1(特開平9−208910号公報)には、アルキル基の炭素数が1〜9のアクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに水酸基及び/又はカルボキシル基を含有する共重合可能な不飽和モノマ−、アルキル基の炭素数が16〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び反応性乳化剤をそれぞれ特定量共重合してなるアクリル共重合体に、イソシアネ−ト系などの架橋剤を特定量配合してなる粘着剤組成物及びそれを用いた表面保護フィルムが開示されている。
【0007】
しかしながら上記提案の粘着剤を用いた表面保護フィルムでは、確かにフクレやトンネリングの発生を抑制することは可能であったが、再剥離性はまだ必ずしも十分とはいいがたく、特に被着体としてアンチグレア層を有する偏光板を用いた場合にはその剥離力が実用に供し得ないほど大きなものとなることが判明した。
【0008】
例えば、特許文献2(特開2001−33624号公報)には、温度や湿度等の環境変化によっても光学部材から剥離することがなく、且つ剥離時には糊残りなく光学部材から剥離分離できるという基本的性能を満足させつつ、エ−ジング等の加熱処理後においても光学部材の損傷や液晶セルからの剥離なしに容易に剥離分離できる表面保護フィルムを得ることを目的とした表面保護フィルムであって、剥離速度300mm/分で180゜剥離において、80℃放置の接着力が常温放置の接着力の1.3倍以内である表面保護フィルムが開示されている。
【0009】
しかしながら、上記第2の提案の粘着剤は、被着体としてステンレス鋼板を用いた接着力試験では、80℃放置の接着力が常温放置の接着力1.3倍以内となってはいたが、被着体として、例えば表面にアンチグレア層を有する偏光板を用いたときには、オートクレーブ処理後に90℃で2時間エ−ジング処理を行ったところ、偏光板表面と表面保護フィルムとの間に多数のフクレが発生するなどの問題があることが判明した。
【0010】
本発明者等は、アクリル系感圧接着剤の改良研究を行い、特許文献3(特開平2003−41229号公報)、特許文献4(特開2005−97451号公報)等において、光学部材表面保護フィルム用感圧接着剤組成物を提案している。
【0011】
特許文献4で提案した組成物は、小面積の液晶表示部材に使用される場合はバランス良く良好な性質を示すものであったが、液晶表示部材の大型化が進んだことによる、大面積の表示部材を保護する用途においては、高速剥離での接着力が大きすぎて剥離作業に支障をきたすものであった。そこで、大面積を保護する保護フィルムにおいて十分な接着力(低速での剥離力)を保持しつつ、高速での剥離力を低下させることが必要となっている。
【0012】
上記の如く、表面保護フィルムは剥離力を低下させる必要があるが、そのために、その感圧接着剤層の主成分である樹脂は高度に架橋されており、脆い特性を有している。
一方、表面保護フィルムは光学部材表面を汚染されたり損傷したりしないように、光学部材を保護するために張りつけてあり、物品同士の衝突、すり合せ等、保護フィルム表面は外的応力を受けやすい環境にある。このような外的応力を受けることにより、表面保護フィルムの感圧接着剤層の一部も破壊され、表面保護フィルムを剥離した時に破壊された感圧接着剤層の一部が光学部材表面に残る不具合が発生した。
【0013】
【特許文献1】特開平9−208910号公報
【特許文献2】特開2001−33624号公報
【特許文献3】特開2003−41229号公報
【特許文献4】特開2005−97451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願の解決すべき課題は、表面保護フィルムの表面に大きな外部応力がかかって、感圧接着剤層の一部が破壊を起こしても、表面保護フィルムを剥離した際、被着体である光学部材上に破壊した感圧接着剤層の一部が転着しないことであり、かつ大面積での高速剥離における剥離力が小さく、更にジッピングを起こさず低速剥離における接着力に優れる感圧接着剤組成物及び光学部材表面保護フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために鋭意研究を続けた結果、感圧接着剤組成物中に特定のアクリル共重合体と特定のシリコン化合物を含有させることにより、本課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
1.少なくとも
0.1〜10重量%の水酸基含有単量体が共重合成分として含まれ、ガラス転移点(Tg)が−76〜−50℃のアクリル共重合体(A)と、
該アクリル共重合体(A)100重量部に対し0.01〜2.0重量部のポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)と、
を含有することを特徴とする感圧接着剤組成物。
2.上記感圧接着剤組成物に、更にイソシアネート化合物(C)が含有され、
上記アクリル共重合体(A)中の水酸基当量とカルボキシル基当量の和をnとするとき、該イソシアネート化合物(C)の含有量がイソシアネート当量で0.1〜1.5n当量である前記1に記載の感圧接着剤組成物。
【0016】
3.少なくとも
0.1〜10重量%の水酸基含有単量体が共重合成分として含まれ、ガラス転移点(Tg)が−76〜−50℃のアクリル共重合体(A)と、
該アクリル共重合体(A)100重量部に対し0.01〜2.0重量部のポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)と、
を含有する感圧接着剤組成物から形成された感圧接着剤層を有することを特徴とする表面保護フィルム。
4.上記感圧接着剤組成物に、更にイソシアネート化合物(C)が含有され、
上記アクリル共重合体(A)中の水酸基当量とカルボキシル基当量の和をnとするとき、該イソシアネート化合物(C)の含有量がイソシアネート当量で0.1〜1.5n当量である前記3に記載の表面保護フィルム。
【発明の効果】
【0017】
本発明の感圧接着剤組成物は、感圧接着剤組成物中に特定のアクリル共重合体(A)と特定のシリコン化合物を含有するために、樹脂内の架橋構造から適度に感圧接着剤組成物転着防止成分がブリ−ドし、転着阻害層を形成することにより、感圧接着剤組成物の転着を防止することができる。
【0018】
また、このように構成されることによって本発明の感圧接着剤組成物を用いた表面保護フィルムは、光学部材の表面保護性及び高度な透明性を有し、また例えば、表面にアンチグレア層など微細な凹凸を有する層を設けた偏光板などの光学部材に使用する場合でも、オートクレーブ処理やその後の作業上及び使用上の熱履歴を経た後にも、フクレ、トンネリング、ハガレなどの接着剤層欠陥の発生が見られず、さらにまた、光学部材保護フィルム表面に大きな圧縮応力がかかり、感圧接着組成物が凝集破壊を起こしても、光学部材に凝集破壊した感圧接着剤組成物が転着せず、良好な剥離特性を示し、該光学部材や液晶セルの配向の乱れや、セルギャップの拡大、液晶セルからの光学部材の剥離などの不都合を生じさせることなく容易に剥離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の感圧接着剤組成物は、特定のアクリル共重合体(A)と特定のシリコン化合物(B)を含有する感圧接着剤組成物である。
【0020】
上記アクリル共重合体(A)は、その分子中に0.1〜10重量%の水酸基含有単量体が共重合成分として含まれ、ガラス転移点(Tg)が−76〜−50℃のアクリル共重合体である。
【0021】
上記水酸基含有単量体の種類としては、水酸基を含有している単量体であれば特に制限はなく、水酸基を含有するアクリル単量体及びメタクリル単量体その他の単量体を挙げられる(以下、アクリル単量体とメタクリル単量体を併記する場合には(メタ)アクリル単量体と記載することがある)。
上記水酸基を含有する(メタ)アクリル単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチル-3-ブチル(メタ)アクリレート、1,3-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-3-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-3-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドを挙げることができる。
【0022】
上記その他の単量体としては、例えば、アリルアルコール、メタリルアルコール等を挙げることができる。
【0023】
これらの単量体の中で、他の単量体と共重合してアクリル共重合体(A)を合成する際の他の単量体との相溶性及び共重合性が良好である、並びに架橋剤との架橋反応性が良好である観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、が好ましく、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
【0024】
上記水酸基含有単量体の上記アクリル共重合体(A)分子中に共重合成分として含まれる含有量は、アクリル共重合体(A)に対して0.1〜10重量%であり、好ましくは1〜8重量%であり、更に好ましくは3から6重量%である。
【0025】
水酸基含有単量体の共重合成分として含まれる含有量が上記下限値未満であれば、表面保護フィルムを剥離する際に被着体への汚染が発生し、一方該上限値を超えると、接着剤層が固くなるために、表面保護フィルムを被着体に貼る際になじみ性(濡れ性)に問題が生じる。
【0026】
本発明において、上記アクリル共重合体(A)とは、共重合体中に共重合成分として(メタ)アクリル単量体が70重量%以上含まれるものを意味し、好ましくは90重量%以上含まれるのがよい。
共重合体(A)中に共重合成分として含まれる(メタ)アクリル単量体が上記下限値未満であると、感圧接着剤の耐熱性が低下するため、オートクレーブ処理やエ−ジング処理によっても偏光板表面と表面保護フィルムの感圧接着剤層との間にフクレを生じる。
【0027】
また、前記水酸基含有単量体のうち(メタ)アクリル酸エステルであるものも、上記共重合体(A)中に含有する共重合成分として(メタ)アクリル単量体の量としてカウントされる。
【0028】
上記アクリル単量体としては、アクリル酸エステル構造を有するものであれば特に限定するものではなく、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、i-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-ノニルアクリレート、i-ノニルアクリレート、n-デシルアクリレート、n-ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート等のアクリル酸の炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルキルエステルが挙げられる。
【0029】
上記メタクリル系単量体としては、メタクリル酸エステル構造を有するものであれば特に限定するものではなく、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のメタクリル酸の炭素数1〜18の直鎖もしくは分枝アルキルエステル、更にはこれらの各種誘導体の1種又は2種以上を選ぶことができる。
【0030】
上記アクリル共重合体(A)は、上記アクリル共重合体(A)の定義を超えない範囲で(メタ)アクリル単量体以外の単量体を共重合成分として含有することができる。
(メタ)アクリル単量体以外の単量体としては、例えば
飽和脂肪酸ビニルエステル、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バ−サチック酸ビニル」(商品名)等(好ましくは酢酸ビニル);芳香族ビニル単量体、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等;シアン化ビニル単量体、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル;マレイン酸もしくはフマル酸のジエステル、例えば、ジメチルマレ−ト、ジ−N−ブチルマレ−ト、ジ−2−エチルヘキシルマレ−ト、ジ−N−オクチルマレ−ト、ジメチルフマレ−ト、ジ−N−ブチルフマレ−ト、ジ−2−エチルヘキシルフマレ−ト、ジ−N−オクチルフマレ−ト等を挙げることができる。
【0031】
上記アクリル共重合体(A)にカルボキシル基含有単量体が共重合成分として含有されていてもよく、本発明の感圧接着剤組成物を架橋して表面保護シートを作成する際に架橋触媒を使用しない場合には、架橋触媒として該カルボキシル基含有単量体成分が作用するので有効である。
【0032】
上記カルボキシル基含有単量体としては、カルボキシル基を有する単量体であれば特に限定するのではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリ レート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フマル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2-ジカルボキシシクロヘキサンモノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ) アクリレート等を挙げることができる。
【0033】
カルボキシル基含有単量体を共重合して、架橋触媒の効果を発揮させる場合には、カルボキシル基含有単量体がアクリル共重合体(A)中に共重合成分として含まれる含有量は、0.1〜2.0重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%、さらに好ましくは0.4〜0.8重量%の範囲であるのがよい。
【0034】
カルボキシル基含有単量体がアクリル共重合体(A)中に共重合成分として含まれる含有量が上限値を超えると、イソシアネート化合物(C)を配合した後の感圧接着剤組成物のポットライフ濡れ性等が問題となり、一方該下限値未満であれば、架橋触媒が存在しない場合において、再剥離時の接着力が大きくなりすぎ、特に加熱処理などを行った場合でも光学部材の損傷や液晶セルからの光学部材の剥離などの不都合を生じ、表面保護フィルムを容易に剥離することができない。
【0035】
更に、上記アクリル共重合体(A)に共重合成分として含有されていてもよい単量体として、必要に応じて、分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体単位であって、上記水酸基含有単量体、カルボキシル基含有単量体以外の単量体を含有することができる。
【0036】
上記の単量体としては、官能基として、例えば、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、低級アルコキシル基又はエポキシ基等を有する単量体を挙げることができ、また、分子内にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する単量体も使用できる。
【0037】
上記の官能基としてアミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基を有する単量体の具体例としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロ−ルメタクリルアミド、N−N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−i−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド(好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド)等のアミド基もしくは置換アミド基含有単量体;例えば、アミノエチルアクリレ−ト、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレ−ト、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレ−ト、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレ−ト等のアミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体を挙げることができる。
【0038】
上記の官能基として低級アルコキシル基又はエポキシ基等を有する単量体としては、例えば、2−メトキシエチルアクリレ−ト、2−エトキシエチルアクリレ−ト、2−N−ブトキシエチルアクリレ−ト、2−メトキシエトキシエチルアクリレ−ト、2−エトキシエトキシエチルアクリレ−ト、2−N−ブトキシエトキシエチルアクリレ−ト、2−メトキシエチルメタクリレ−ト、2−エトキシエチルメタクリレ−ト、2−N−ブトキシエチルメタクリレ−ト、2−メトキシエトキシエチルメタクリレ−ト、2−エトキシエトキシエチルメタクリレ−ト、2−N−ブトキシエトキシエチルメタクリレ−ト、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等の低級アルコキシル基含有単量体;例えば、グリシジルアクリレ−ト、グリシジルメタクリレ−ト、グリシジルアリルエ−テル、グリシジルメタリルエ−テル等のエポキシ基含有単量体を挙げることができる。
【0039】
上記分子内にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレ−ト、トリアリルシアヌレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,2−プロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−プロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、アリル(メタ)アクリレ−ト等の2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体を挙げることができる。
【0040】
上記アクリル共重合体(A)のガラス転移点(Tg)は、−76〜−50℃のアクリル共重合体であり、Tgが該温度を超えて高すぎては、感圧接着剤層が硬く流動しにくくなり、特に表面にアンチグレア層などを有する偏光板に用いたとき、感圧接着剤がアンチグレア層の凹凸を十分に濡らすことができず、そのためオートクレーブ処理やエ−ジング処理によって、感圧接着剤層とアンチグレア層との間にわずかに残存する空気が膨脹して偏光板表面と表面保護フィルムの感圧接着剤層との間にフクレを生じることがあるので好ましくない。
【0041】
尚、本発明においてTgとは、共重合体(A)を構成するそれぞれの単量体成分の単独重合体のTgを用いて次式によって求めたものである。
【0042】
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・・・・・・・+wk/Tgk

但し、Tgは共重合体(A)のガラス転移温度であり、Tg1、Tg2、・・・・・・Tgkは各単量体成分の単独重合体のTgであり、w1、w2、・・・・・・wkは各単量体成分の重量分率を表わし、w1+w2+・・・・・・+wk=1である。
【0043】
本発明に用いられるアクリル共重合体(A)は、その重量平均分子量(Mw)が、一般に30万以上、好ましくは35万以上、さらに好ましくは40〜80万であるのがよい。該重量平均分子量(Mw)が該下限値未満であれば、再剥離時の接着力が大きくなりすぎ、特に加熱処理などを行なうと、光学部材の損傷や液晶セルからの光学部材の剥離などの不都合を生じ、表面保護フィルムを容易に剥離することができない。一方該上限値を超えると、得られる感圧接着剤層の流動性が低下し、表面に微小の凹凸を有する偏光板に用いたときには、感圧接着剤が偏光板表面を十分に濡らすことができず、オートクレーブ処理やエ−ジング処理によって偏光板表面と表面保護フィルムの感圧接着剤層との間にフクレを生じるので好ましくない。
【0044】
また本発明に好適に用いられるアクリル共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnで表される分子量分布が、一般に15以下、好ましくは12以下の範囲であるのがよい。Mw/Mnの値が該上限値を超えると、再剥離時の接着力が大きくなりすぎる、特に加熱処理などを行なうと光学部材の損傷や液晶セルからの光学部材の剥離などの不都合を生じて表面保護フィルムを容易に剥離することができない。
なお本明細書における上記重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の値には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ−(GPC)法により、定法に従って測定された値が用いられる。
【0045】
本発明に用いられるアクリル共重合体(A)の重合方法は、特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、重合により得られた共重合体を用いて本発明の感圧接着剤組成物を製造するに当り、処理工程が比較的簡単で且つ短時間で行えることから溶液重合により重合することが好ましい。
【0046】
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。この場合に有機溶媒、単量体及び/又は重合開始剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
【0047】
上記の重合用有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、N−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサなどの芳香族炭化水素類;例えば、N−ヘキサン、N−ヘプタン、N−オクタン、i−オクタン、N−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油などの脂肪系もしくは脂環族系炭化水素類;例えば、酢酸エチル、酢酸N−ブチル、酢酸N−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチルなどのエステル類;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類;例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;例えば、メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、N−プロピルアルコ−ル、i−プロピルアルコ−ル、N−ブチルアルコ−ル、i−ブチルアルコ−ル、s−ブチルアルコ−ル、t−ブチルアルコ−ルなどのアルコ−ル類;などを挙げることができる。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0048】
これら重合用有機溶媒のうち、前記アクリル共重合体(A)の重合に際しては、重合反応中に連鎖移動を生じにくい有機溶媒、例えば、エステル類、ケトン類を使用することが好ましく、特に、アクリル共重合体(A)の溶解性、重合反応の容易さなどの点から、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンなどの使用が好ましい。
【0049】
前記の重合開始剤としては、通常の溶液重合で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することが可能である。
このような有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルハイドロパ−オキサイド、クメンハイドロオキサイド、ジクミルパ−オキサイド、ベンゾイルパ−オキシド、ラウロイルパ−オキシド、カプロイルパ−オキシド、ジ−i−プロピルパ−オキシジカ−ボネ−ト、ジ−2−エチルヘキシルパ−オキシジカ−ボネ−ト、t−ブチルパ−オキシビバレ−ト、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルパ−オキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパ−オキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパ−オキシシクロヘキシル)ブタンなどが挙げられ、アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどを挙げることができる。
【0050】
これら有機過酸化物のうち、前記アクリル共重合体(A)の重合に際しては、重合反応中にグラフト反応を起こさない重合開始剤が好ましく、特にアゾビス系が好ましい。その使用量は、通常、単量体合計100重量部に対して0.01〜2.0重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部である。
【0051】
また、本発明に用いられるアクリル共重合体(A)の製造に際しては、連鎖移動剤は使用しないのが普通であるが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、必要に応じて使用することは可能である。
このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノ−ル、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラ−ル、フラルデヒドなどのアルデヒド類:炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノ−ル、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ビネン、タ−ピノレンなどのテルペン類;などを挙げることができる。
【0052】
重合温度としては、一般に約30〜180℃、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜90℃の範囲である。
【0053】
なお、溶液重合法などで得られた重合物中に未反応の単量体が含まれる場合は、該単量体を除くために、メタノ−ルなどによる再沈澱法で精製することも可能である。
【0054】
本発明の感圧接着剤組成物は、上記アクリル共重合体(A)100重量部に対し0.01〜2.0重量部のポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)を含有する。
【0055】
上記ポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)としては、
下記化学式1で表されたジメチルシリコンの側鎖をポリオキシアルキレン基(化学式中では有機基として記載、以下同様)で置換した化合物
〔化学式1〕

【0056】
下記化学式2で表されたジメチルシリコンの末端部分をポリオキシアルキレン基で置換した化合物
〔化学式2〕

【0057】
下記化学式3で表されたジメチルシリコンの両末端をポリオキシアルキレン基で置換した化合物
〔化学式3〕

【0058】
下記化学式4で表されたジメチルシリコンの側鎖及び両末端をポリオキシアルキレン基で置換した化合物
〔化学式4〕

等が挙げられる。
【0059】
ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン及びこれらのブロック化合物が挙げられる。
【0060】
上記ポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)は、例えば「KF−96−1000」、「KF−351」、「KF−353」、「KF−410」、「KF−412」、「KF−851」、「KF−858」、「KF−859」、「X−22−161A」、「X−22−161B」、「KF−6001」、「KF−6002」、「KF−6003」、「X−22−160AS」、「X−22−170B」、「X−22−170D」、「X−41−1810」、「KF−50-100」、「KF−54」、「KF−995」、「KF−945」、「KF−6004」、「FL−100−450」、「KF−905」、「KS−707」、「SEPA−COAT」、「KP−301」、「KP−323」、「KP−354」、「KP−355」〔以上信越化学(株)製〕、「BY−16−201」、「FZ−77」、「FZ−2101」、「FZ−2104」、「FZ−2110」、「FZ−2118」、「FZ−2162」、「FZ−2203」、「FZ−2207」、「FZ−2208」、「L−7001」、「L−7002」、「SF−8427」、「SF−8428」、「SH−3749」、「SH−3773」、「SH−8400」〔東レ・ダウコーニング(株)製〕、「TSF−4440」、「TSF−4445」、「TSF−4450」、「TSF−4452」、「TSF−4460」〔モメンィブ・パフォーマンスマテリアルズ・ジャパン合同会社 製〕などの商品名により市販されている。
【0061】
また、目的に合わせ、ポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)以外に適宜シリコンオイルを組み合わせて配合しても良い。
【0062】
上記ポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)が感圧接着剤組成物に含有される量は、該アクリル共重合体(A)100重量部に対し0.01〜2.0重量部であり、好ましくは0.05〜1.0重量部であり、更に好ましくは0.1〜0.5重量部である。
【0063】
上記ポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)が感圧接着剤組成物に含有される量が上記下限値未満であると、保護フィルム表面が外的応力を受けて表面保護フィルムの感圧接着剤層の一部が破壊された場合に、表面保護フィルムを剥離した時に破壊された感圧接着剤層の一部が光学部材表面に残る不具合が発生する。
また、上記ポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)が感圧接着剤組成物に含有される量が上記上限値を超えると、表面保護フィルムの接着性等が経時変化するとともに、光学部材の表面に過剰のジメチルシリコン化合物(B)が残存して表面汚染を起こす。
【0064】
上記感圧接着剤組成物は、表面保護フィルムを作成するに際してイソシアネート化合物(C)を架橋触媒として添加されて接着剤層が形成される。
【0065】
本発明で使用することのできるイソシアネート化合物(C)としては、例えば、キシリレンジイソシアネ−ト、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、トリフェニルメタントリイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト等の芳香族ポリイソシアネ−ト;例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、該芳香族ポリイソシアネ−ト化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネ−ト;それらポリイソシアネ−トの2量体もしくは3量体又はそれらポリイソシアネ−トと、トリメチロ−ルプロパンなどのポリオ−ルとのアダクト体などの各種ポリイソシアネ−トに由来するポリイソシアネ−ト化合物を挙げることができるが、これらのイソシアネ−ト化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネ−トが特に好ましい。
【0066】
これらのイソシアネ−ト化合物は、例えば「コロネ−トHX」、「コロネ−トHL−S」、「コロネ−ト2234」「アクアネ−ト200」、「アクアネ−ト210」〔以上日本ポリウレタン(株)製〕、「デスモジュ−ルN3400」〔住友バイエルウレタン(株)製〕、「デュラネ−トE−405−80T」、「デュラネ−ト24A−100」、「デュラネ−トTSE−100」〔旭化成工業(株)製〕、「タケネ−トD−110N」、「タケネ−トD−120N」、「タケネ−トM−631N」「MT−オレスタ−NP1200」〔以上三井武田ケミカル(株)製〕などの商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0067】
これらイソシアネ−ト化合物(C)の使用量は、前記アクリル共重合体(A)の水酸基当量とカルボキシル基当量の和をn当量とした時、イソシアネ−ト基として0.1〜1.5n当量が好ましく、0.3〜1.2n当量が更に好ましく、0.5〜1.0n当量が特に好ましい。イソシアネート化合物(C)の量がアクリル共重合体(A)の水酸基当量とカルボキシル基当量の和を1当量とした時、イソシアネ−ト基として上記上限値を超えると、なじみ性(濡れ性)が極端に悪化し、上記下限値未満であると、高速接着力が高すぎるものとなる。
【0068】
本発明の感圧接着剤組成物は、架橋剤として上記イソシアネート化合物(C)を含有する以外に、架橋触媒を含有してもよい。架橋触媒として前述したようにカルボキシル基含有単量体を使用することができるが、カルボキシル基含有単量体を使用しない場合は、金属触媒を使用することができる。
金属触媒として一般的なイソシアネ−ト架橋触媒、たとえばSn(スズ)系触媒が使用可能であり、ジブチルスズジラウレートなどは、ポットライフと触媒効果の点から好適に使用できる。
【0069】
本発明の感圧接着剤組成物には、以上述べたアクリル共重合体(A)、ポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)、イソシアネート化合物(C)の他に、必要に応じて、保護フィルム用感圧接着剤組成物に配合される配合物、例えば、溶剤、耐候性安定剤、タッキファイヤ−、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤などを適宜配合することができる。
耐候性安定剤、タッキファイヤ−、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤などの配合量の範囲アクリル共重合体(A)100重量部に対し、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは20重量部以下、最も好ましくは10重量部以下であるのがよい。配合量が該上限値以上であると接着力、濡れ性、耐熱性、糊転着性のバランスがくずれ、各種物性が悪化する。
【0070】
本発明の感圧接着剤組成物に溶剤を含有させて、感圧接着剤組成物の不揮発分は20〜50%の程度であることが塗工に適した粘度とすることができる。
溶剤としては、感圧接着剤組成物の構成要素と反応せず、アクリル共重合体(A)を溶解し、表面保護フィルムを作成する際に、塗工後適当な速度で乾燥するものであれば特に制限はない。
本発明の感圧接着剤組成物の粘度は300〜5000mPa・sの程度であることが塗工性等の観点から好ましい。
【0071】
本発明の表面保護フィルムは、上記の感圧接着剤組成物を適宜の透明な表面保護基材の少なくとも一方の面に感圧接着剤層を形成して製造することができる。
具体的に感圧接着剤層の形成方法としては、本発明の感圧接着剤組成物を、そのまま又は、必要に応じて適宜の溶媒で希釈し、これを表面保護ベースフィルムに直接塗布・乾燥して溶媒を除去する方法を採用することができる。また、先ずシリコン樹脂等により離型処理が施された紙やポリエステルフィルム等の適宜のフィルムからなる剥離シ−ト上に、本発明の感圧接着剤組成物を塗布し、加熱乾燥して感圧接着剤層を形成させ、次に該剥離シ−トの接着剤層側を表面保護ベースフィルムに圧接して該接着剤層を該保護フィルムに転写させることもできる。
【0072】
上記の表面保護フィルムの基材しては、感圧接着剤が塗布できる基材であることが必要である。基材の原料となる樹脂としては透視による光学部材の検査や管理の観点から、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテ−ト系樹脂、ポリエ−テルサルホン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂などからなるフィルムを挙げることができるが、表面保護性能からポリエステル系樹脂が好ましく、実用性を考慮すればポリエチレンテレフタレ−ト樹脂が特に好ましい。
【0073】
基材の厚さは一般には500μm以下、好ましくは5〜300μm、さらに好ましくは10〜200μm程度の厚さを例示することができる。これらの基材に片面又は両面には、剥離時の帯電防止を目的に、帯電防止層が設けられていてもよい。また該基材の、感圧接着剤層が設けられる側の表面には、感圧接着剤層との密着性を向上させるためにコロナ放電処理等が施されていてもよい。
【0074】
基材上に塗布された感圧接着剤組成物は、熱風乾燥機で70〜120℃、1〜3分程度の加熱条件で乾燥および架橋を行うことができる。
【0075】
基材上に形成される感圧接着剤層の厚さは、保護フィルムの求められる接着力や光学部材表面粗さなどに応じて適宜設定することができ、乾燥厚みで好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは15〜30μm程度の厚さを例示することができる。感圧接着剤層の厚さが該上限値以上であると、糊がはみ出しやすくなり接着力が増加し、感圧接着剤層の厚さが該下限値以下であると、接着力が低下し、濡れ性も悪化する。また、光学部材保護フィルム表面に大きな応力がかっかったとき、感圧接着剤層の厚さが該下限値以下ではクッション性が低下するため、光学部材が損傷しやすくなる。
【実施例】
【0076】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例及び比較例において用いた、試験片の作成、並びに各種の試験方法及び評価方法は以下のとおりである。
【0077】
(1) 試験用感圧接着シ−トの作成
シリコン系離型剤で表面処理された離型紙上に、乾燥後の塗工量が21g/m2となるように、感圧接着剤組成物を塗布し、70℃で60秒間熱風循環式乾燥機にて乾燥して感圧接着剤層を形成した後、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)フィルム〔商品名;E5001;東洋紡績(株)製〕上に該感圧接着剤層面が接するように載置し、加圧ニップロ−ルを通して圧着して貼り合わせた後、23℃、50%RHで10日間養生を行って試験用表面保護フィルムを得た。
【0078】
(2) 再剥離性の評価
前(1)項により作製した試験用表面保護フィルムを25mm×150mmにカットしたのち、この表面保護フィルム片を、卓上ラミネ−ト機を用いて、アンチグレア処理された偏光フィルム〔商品名;SQ−1852AP−AG6;住友化学工業(株)製〕に圧着して試験サンプルとした。このサンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置(コンディショニング処理)した後、180゜剥離における接着力を剥離速度30m/min(高速剥離条件)でそれぞれ剥離し、被着体への糊残りを評価する。
【0079】
(評価基準)
◎ :被着体への糊残りが認められない。
○ :被着体への糊残りがほとんど認められないが、薄く貼り跡が認められる。
△ :被着体への糊残りが多少認められる。
× :被着体への糊残りが認められる。
【0080】
(3) 耐熱性の評価
前(1)項により作製した試験用表面保護フィルムを60mm×80mmにカットしたのち、この表面保護フィルム片を、前(2)項と同様にして同じ2種の偏光フィルムに圧着した。次に、市販の感圧接着剤組成物〔ニッセツQ−1851:日本カ−バイド工業(株)製〕を用いて前(1)項と同様にして離型紙上に厚さ約25μmの感圧接着剤層を形成し、この感圧接着剤層をそれぞれの偏光フィルムの背面に転写させた後、これらを、卓上ラミネ−ト機を用いて厚さ約2mmのガラス板に圧着して試験サンプルとした。このサンプルを、23℃、50%RHでの条件下で1週間放置した後、オートクレーブ処理(70℃、490kPa
、20分)を行なった後、さらに90℃で2時間加熱処理して、この試験サンプルの表面保護フィルム側の表面から目視観察により、表面保護フィルムの感圧接着剤層の、気泡の発生、剥がれの状態を評価した。評価基準は次の通りである。
【0081】
(評価基準)
◎ :気泡の発生が全く認められない。
○ :試験サンプルのワク部分(幅約5mm)に気泡発生が多少認められる。
△ :試験サンプルのワク部分(幅約5mm)に気泡発生が認められるが、剥がれはない。
× :試験サンプルの全面に気泡発生が認められる。
【0082】
(4) 糊転着の評価方法
前(1)項により作製した試験用表面保護フィルムを20mm×150mmにカットしたのち、この表面保護フィルム片を、卓上ラミネ−ト機を用いて、クリア偏光フィルム(表面処理を施していない)に圧着して試験サンプルとした。このサンプルの保護フィルム表面にボールペンを垂直に固定し、500gの荷重をかけ1mm/sの速度で試料30mmの距離を3往復ボールペンで引っかき、引っかき試験を行った。試験後サンプルの保護フィルムを剥離し、クリア偏光フィルムの表面から目視観察により、感圧接着剤組成物の転着状態を評価した。評価基準は次の通りである。
【0083】
(評価基準)
◎ :感圧接着剤組成物の転着が全く認められない。
○ :感圧接着剤組成物の転着がほとんど認められないが、薄く転着の痕跡が認められる。
△ :感圧接着剤組成物の転着が多少認められる。
× :感圧接着剤組成物の転着が認められる。
【0084】
アクリル共重合体(A)溶液の製造
製造例1
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、アセトン80重量部、トルエン40重量部を入れ、また別の容器に、2−エチルヘキシルアクリレ−ト(2EHA)96.0重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト(4HBA)4.0重量部を入れ混合して単量体混合物とし、その単量体混合物中の25%を反応容器中に加え、次いで該反応容器の空気を窒素ガスで置換した後、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリロ(以下AIBNと言う)0.05重量部を添加して、攪拌下に窒素雰囲気中で該反応容器内の混合物温度を70℃に昇温させて初期反応を開始させた。初期反応による発熱がほぼ終了した後、残りの単量体混合物75%、並びにアセトン80重量部、トルエン40重量部及びAIBN 0.5重量部の混合物をそれぞれ逐次添加しながら1.5時間反応させ、引き続いてさらに1.5時間反応させた。その後、トルエン100重量部にパーブチルPV1.0重量部を溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、さらに1.5時間反応させた。反応終了後、反応混合物をトルエン200重量部、酢酸エチル180重量部で希釈して、固形分35.8重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0085】
製造例2
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、アセトン46.7重量部、トルエン73.3重量部を入れ、また別の容器に、2−エチルヘキシルアクリレ−ト(2EHA)47.2重量部、ブチルアクリレ−ト(BA)47.2重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト(4HBA)5.0重量部、アクリル酸(AA)0.6重量部を入れ混合して単量体混合物とし、その単量体混合物中の25%を反応容器中に加え、次いで該反応容器の空気を窒素ガスで置換した後、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリロ(以下AIBNと言う)0.05重量部を添加して、攪拌下に窒素雰囲気中で該反応容器内の混合物温度を70℃に昇温させて初期反応を開始させた。初期反応による発熱がほぼ終了した後、残りの単量体混合物75%、並びにアセトン80重量部、トルエン40重量部及びAIBN 0.5重量部の混合物をそれぞれ逐次添加しながら1.5時間反応させ、引き続いてさらに1.5時間反応させた。その後、トルエン100重量部にパーブチルPV1.0重量部を溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、さらに1.5時間反応させた。反応終了後、反応混合物をアセトン33.3重量部、トルエン166.7重量部で希釈して、固形分42.7重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0086】
製造例3
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、アセトン116.3重量部を入れ、また別の容器に、2−エチルヘキシルアクリレ−ト(2EHA)98.5重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト(4HBA)1.0重量部、アクリル酸(AA)0.5重量部を入れ混合して単量体混合物とし、その単量体混合物中の31.25%を反応容器中に加え、次いで該反応容器の空気を窒素ガスで置換した後、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリロ(以下AIBNと言う)0.067重量部を添加して、攪拌下に窒素雰囲気中で該反応容器内の混合物温度を67℃に昇温させて初期反応を開始させた。初期反応による発熱がほぼ終了した後、残りの単量体混合物68.75%、並びにアセトン125重量部及びAIBN 0.16重量部の混合物をそれぞれ逐次添加しながら1.17時間反応させ、引き続いてさらに1.33時間反応させた。その後、酢酸エチル129.2重量部を1時間かけて滴下し、さらに0.5時間反応させた。その後、アセトン150重量部を0.67時間かけて滴下し、さらに2時間反応させた。反応終了後、反応混合物をメチルエチルケトン346.7重量部で希釈して、固形分27.7重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0087】
製造例4
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、アセトン55重量部、トルエン65重量部を入れ、また別の容器に、2−エチルヘキシルアクリレ−ト(2EHA)68.0重量部、メチルアクリレート29.5重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト(4HBA)2.5重量部を入れ混合して単量体混合物とし、その単量体混合物中の25%を反応容器中に加え、次いで該反応容器の空気を窒素ガスで置換した後、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリロ(以下AIBNと言う)0.05重量部を添加して、攪拌下に窒素雰囲気中で該反応容器内の混合物温度を70℃に昇温させて初期反応を開始させた。初期反応による発熱がほぼ終了した後、残りの単量体混合物75%、並びにアセトン80重量部、トルエン40重量部及びAIBN 0.5重量部の混合物をそれぞれ逐次添加しながら1.5時間反応させ、引き続いてさらに1.5時間反応させた。その後、トルエン100重量部にパーブチルPV1.0重量部を溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、さらに1.5時間反応させた。反応終了後、反応混合物をトルエン200重量部、酢酸エチル180重量部で希釈して、固形分35.8重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0088】
製造例5
温度計、攪拌機、窒素導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、アセトン80重量部、トルエン40重量部を入れ、また別の容器に、2−エチルヘキシルアクリレ−ト(2EHA)99.5重量部、アクリル酸(AA)0.5重量部を入れ混合して単量体混合物とし、その単量体混合物中の25%を反応容器中に加え、次いで該反応容器の空気を窒素ガスで置換した後、重合開始剤としてアゾビスブチロニトリロ(以下AIBNと言う)0.05重量部を添加して、攪拌下に窒素雰囲気中で該反応容器内の混合物温度を70℃に昇温させて初期反応を開始させた。初期反応による発熱がほぼ終了した後、残りの単量体混合物75%、並びにアセトン80重量部、トルエン40重量部及びAIBN 0.5重量部の混合物をそれぞれ逐次添加しながら1.5時間反応させ、引き続いてさらに1.5時間反応させた。その後、トルエン100重量部にパーブチルPV1.0重量部を溶解させた溶液を1時間かけて滴下し、さらに1.5時間反応させた。反応終了後、反応混合物をトルエン498重量部、酢酸エチル193.3重量部、で希釈して、固形分28.0重量%のアクリル系共重合体溶液を得た。
【0089】
上記製造例1〜5で使用した単量体の組成及び得られたアクリル共重合体(A)溶液の粘度、固形分、ガラス転移点(Tg)、重量平均分子量(Mw)、重量平均分子量(Mw)を表1に示す。

表1

【0090】
なお表1における単量体の略号は以下のとおりである。
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレ−ト
BA:ブチルアクリレ−ト
MA:メチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレ−ト
AA:アクリル酸
【0091】
表面保護フィルム用感圧接着剤組成物の作製
実施例1
アクリル共重合体(A)として製造例1で製造したアクリル共重合体(A)溶液285.7重量部(固形分100重量部)、シリコン化合物(B)としてKP−355(信越化学(株)製ポリオキシアルキレン変性シリコンオイル、商品名:KP−355、有効成分100%)を0.1重量部、(東レ・ダウ(株)製、ポリオキシアルキレン変性シリコンオイル、商品名:SH8400、有効成分100%)を0.1重量部用い、これにイソシアネート化合物(C)としてヘキサメチレンジイソシアネ−ト系架橋剤(日本ポリウレタン(株)製、商品名:コロネ−トHX、NCO含有量21.3%)をアクリル共重合体(A)100重量部に対して5.48重量部(アクリル共重合体(A)の水酸基当量とカルボキシル基当量の和をn当量とした場合のNCOの当量数=1.0n当量)を添加し、十分に攪拌して光学部材表面保護フィルム用感圧接着剤組成物の溶液を得た。得られた感圧接着剤組成物は固形分約35.8重量%、粘度980mPa・sであった。 この感圧接着剤組成物を用い、前記の試験用感圧接着シ−トの作成方法に従って試験用表面保護フィルムを作成し、前記の各種物性試験を行った。得られた結果を表2に示す。
【0092】
実施例2〜実施例4
実施例1の配合条件の代わりに表2に示した各実施例の配合条件で配合する以外は、実施例1と同様にして試験用表面保護フィルムを作成し、前述した試験方法で各物性を測定した結果を表2に示す。
【0093】
比較例1
実施例1において、アクリル共重合体(A)として製造例5で製造したアクリル共重合体(A)溶液を用いる以外は実施例1と同様にして光学部材表面保護フィルム用感圧接着剤組成物の溶液を得た。
この感圧接着剤組成物を用い、前記の試験用表面保護フィルムの作成方法に従って試験用表面保護フィルムを作成し、前述した試験方法で各物性を測定した結果を表2に示す。
【0094】
比較例2〜6
実施例1の配合条件の代わりに表2に示した各比較例の配合条件で配合する以外は、実施例1と同様にして試験用表面保護フィルムを作成し、前述した試験方法で各物性を測定した結果を表2に示す。

【0095】
なお表2における配合物の略号は以下のとおりである。
KP−355 : ポリオキシアルキレン変性シリコン、有効成分100%
信越化学(株)製、商品名:KP−355
SH8400 : ポリオキシアルキレン変性シリコン、有効成分100%
東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:SH8400
FZ−2208 : ポリオキシアルキレン変性シリコン、有効成分100%
東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:FZ−2208
KF96−1000: ジメチルシリコン、有効成分100%
信越化学(株)製、商品名:KF96−1000
KF−858 : アミノ変性シリコン、有効成分100%
信越化学(株)製、商品名:KF−858
KF−6001 : カルビノール変性シリコン、有効成分100%
信越化学(株)製、商品名:KF−6001
KF−412 : アルキル変性シリコン、有効成分100%
信越化学(株)製、商品名:KF−412
コロネ−トHX : ヘキサメチレンジイソシアネ−ト系架橋剤
NCO含有量21.3%、日本ポリウレタン(株)製、
商品名:コロネートHX
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の感圧接着剤組成物から形成された感圧接着剤層を有する表面保護フィルムは、光学部材の表面に積層されて、その光学部材の表面が汚染されたり損傷したりしないよう保護し、該光学部材が液晶表示板などに加工される際には、該保護フィルムが光学部材に積層された状態のまま、打抜加工、検査、輸送、液晶表示板の組立などの各工程に供され、必要に応じて、オートクレーブ処理や高温エ−ジング処理などの加熱加圧処理が施され、表面保護が不要となった段階で光学部材から剥離除去されて使用される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも
0.1〜10重量%の水酸基含有単量体が共重合成分として含まれ、ガラス転移点(Tg)が−76〜−50℃のアクリル共重合体(A)と、
該アクリル共重合体(A)100重量部に対し0.01〜2.0重量部のポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)と、
を含有することを特徴とする感圧接着剤組成物。
【請求項2】
上記感圧接着剤組成物に、更にイソシアネート化合物(C)が含有され、
上記アクリル共重合体(A)中の水酸基当量とカルボキシル基当量の和をnとするとき、該イソシアネート化合物(C)の含有量がイソシアネート当量で0.1〜1.5n当量である請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
【請求項3】
少なくとも
0.1〜10重量%の水酸基含有単量体が共重合成分として含まれ、ガラス転移点(Tg)が−76〜−50℃のアクリル共重合体(A)と、
該アクリル共重合体(A)100重量部に対し0.01〜2.0重量部のポリオキシアルキレン変性されたジメチルシリコン化合物(B)と、
を含有する感圧接着剤組成物から形成された感圧接着剤層を有することを特徴とする表面保護フィルム。
【請求項4】
上記感圧接着剤組成物に、更にイソシアネート化合物(C)が含有され、
上記アクリル共重合体(A)中の水酸基当量とカルボキシル基当量の和をnとするとき、該イソシアネート化合物(C)の含有量がイソシアネート当量で0.1〜1.5n当量である請求項3に記載の表面保護フィルム。


【公開番号】特開2009−91406(P2009−91406A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261109(P2007−261109)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【Fターム(参考)】