説明

感熱記録体

【課題】 支持体上に、無色ないし淡色のロイコ化合物と、該ロイコ化合物を加熱時に呈色させる顕色剤及び発色促進剤を含有する感熱記録層を少なくとも有する感熱記録体において、偽造防止を目的とした、安価で短時間にかつ優れた発色濃度および発光性能で緑色発光する感熱記録体を提供することにある。
【解決手段】 この課題は、感熱記録層および/または保護層中に紫外線を照射する事で緑色に発光する明細書中記載の一般式(I)および/または(II)の化合物を含有すること、感熱記録層中のロイコ化合物の含有量が、感熱記録層の全固形分重量に対して5〜20重量%の範囲にあり、且つ式1および/またはIIの化合物が該ロイコ化合物の固形分に対し10〜250重量%含有されていることを特徴とする感熱記録体によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感熱記録体に関し、偽造防止を目的とした感熱記録体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無色ないし淡色のロイコ化合物と、該ロイコ化合物を加熱時に呈色させる顕色剤及び発色促進剤を含有する感熱記録感熱記録法は、比較的簡単な装置に関しては、古くから多くの方式が知られている。具体的には、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物を使用した感熱記録材料が開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。かかる感熱記録体は一次発色であり、ハードのメンテナンスが容易である等の特徴からファクシミリ、各種プリンター、計測機器等の記録紙に巾広く利用され、近年ではハンディターミナル、レジ用紙、発券機等の分野に使用されるケースが増大している。また用途の拡大に伴いチケット、金券、保証書用途に関しては偽造防止が要望されるに至っている。
【0003】
偽造防止方法としては、感熱記録体に磁気記録層を設け機械のみが読み取り可能な情報を持たせる方法が主に用いられている。また、紙中に蛍光染色した繊維を蛍光染色していない繊維と配合して抄造する方法が開示されているが、磁気記録層を持たせた場合には通常の感熱紙に比べコストが非常に掛かる、また繊維を染色するには時間を要する等の問題がある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特公昭45−14039号公報
【特許文献2】特公昭43−4160号公報
【特許文献3】特公昭56−16238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の課題は、支持体上に、無色ないし淡色のロイコ化合物と、該ロイコ化合物を加熱時に呈色させる顕色剤及び発色促進剤を含有する感熱記録層を少なくとも有する感熱記録体において、偽造防止を目的とした安価で短時間にかつ優れた発色濃度および発光性能で緑色発光する感熱記録体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は支持体上に、無色ないし淡色のロイコ化合物と、該ロイコ化合物を加熱時に呈色させる顕色剤及び発色促進剤を含有する感熱記録層、およびあるいは存在する保護層を有する感熱記録体おいて、該感熱記録層および/または保護層中に紫外線を照射する事で緑色に発光する一般式(I)
【化1】

[式中、mは0または1を表し、nは1または2を表し、RおよびRはそれぞれ独立 して水素原子、−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、ハロゲン原子、または炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基もしくはアリール基を表し、nが1の時、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、または基
【化2】

{RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子お表す。)、ハロゲン原子、または炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基もしくはアリール基を表し、pは0または1を表す。}を表し、これらの基は−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子お表す。)、−CONHまたはハロゲン原子で置換されていてもよい。nが2のとき、Rが直接結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基もしくはアリーレン基、またはこれらの結合種、またはこれらとエーテル結合と組み合わされた基を表し、これらの基は−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、−CONHまたはハロゲン原子で置換されていてもよい。]
および/または一般式(II)
【化3】

[式中、rは0または1を表し、sは1または2を表し、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、ハロゲン原子、または炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基もしくはアリール基を表し、sが1のとき、R’は炭素原子数1〜20のアルキル基もしくはアリール基または−NH−C(=O)−R(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。)を表し、これらの基は−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、−CONHまたはハロゲン原子で置換されていてもよい。sが2のときは、R’は直接結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基もしくはアリーレン基またはこれら結合種とエーテル結合の組み合わされた基を表し、これらの基は−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、−CONHまたはハロゲン原子で置換されていてもよい。]
で表される化合物を含有すること、熱記録層中のロイコ化合物の含有量が、感熱記録層の全固形分重量に対して5〜20重量%の範囲にあり、且つ式1および/またはIIの化合物が該ロイコ化合物の固形分に対し10〜250重量%含有されていることを特徴とする感熱記録体によって解決される。
【発明の効果】
【0006】
この様な構成をとることによって、従来に比べコストと時間を少なくして、優れた発色濃度および発光性能で緑色発光する偽造防止機能を持つ感熱記録体を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の感熱記録体について、詳細に説明する。
支持体上に、無色ないし淡色のロイコ化合物と、該ロイコ化合物を加熱時に呈色させる顕色剤及び発色促進剤を有する感熱記録層を有する感熱記録体およびあるいは存在するそれの保護層が、該ロイコ化合物として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを含有し、且つ下 記一般式(I)および/または一般式(II)で表される化合物を含有することにあり、地肌濃度が良好で且つ該記録体に紫外線を照射すると緑色の蛍光を発光することで上記課題である偽造防止を行なうことができる。
【0008】
一般に感熱記録層に用いられる蛍光染料を用いた場合は、紫外線照射すると青色の蛍光を発するため、特定な用紙か判断できない。
【0009】
上記一般式(I)または(II)で表される化合物の具体例としては下記式の化合物1〜12が挙げられる。
【化4】

【化5】

【0010】
また、感熱記録層、および/またはあるいは存在する、水溶性高分子樹脂よりなるかまたは水不溶性高分子樹脂を主体とした保護層中に一般式(I)または(II)の化合物を含有し、感熱記録層中のロイコ化合物としての3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランの含有量が、感熱記録層の全固形分に対して5〜20重量%、好ましくは8〜15重量%の範囲にあり、且つ一般式(I)および/または(II)の化合物の含有量が該
ロイコ化合物の固形分に対し10〜250重量%であるのが発色性の低下を起こさないため好ましい。
【0011】
次に本発明の代表的な感熱層の使用条件及び製造条件について述べる。
【0012】
ロイコ化合物、顕色剤、発色促進剤および一般式(I)および/または一般式(II)で表される化合物は一般的に、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子水溶液とともにボールミル、サンドミル等を用い2μm以下に粉砕する。発色促進剤は、ロイコ化合物、顕色剤のいずれかに加えるか、または両方に加え、同時に粉砕するか、場合によっては予め共融物を作成し、水中に分散しても良い。
これらの分散液は、分散後混合され、必要に応じ顔料、界面活性剤、バインダー(接着剤)、金属石鹸、ワックス、酸化防止剤および/または紫外線吸収剤等を加え感熱記録用塗液とする。
【0013】
感熱記録層に含有されるロイコ化合物としては3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランが必須であるが、白色度を低下しない程度で以下のロイコ化合物も併用することができる。3−N−メチル−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−プロピル−N−メチルアミノ−6−メチル−フェニルアミノフルオラン、(2’−アニリノ−3’−メチル−6’−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)スピロ[フタリド−3,9−キサテン]、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−N−ペンチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、6’−(ジエチルアミノ)−2’−[[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ]−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサテン]−3−オン、6’−[エチル(4−メチルフェニル)アミノ]−3’−メチル−2’−(フェニルアミノ)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサテン]−3−オン、2−クロロ−6−(ジメチルアミノ)フルオラン、2−(2’−クロロアニリノ)−6−ジ−N−ブチルアニリノフルオラン、3,3−ビス(p−ジメチル−アミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0014】
顕色剤としては、例えば4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンビス−(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、パラポキシ安息香酸ベンジルエステル、4−ヒドロキシフェニル(4’−イソプロポキシフェニル)スルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−p−トリルスルフォン、1−(メチルアミノチオカルボニルアミノ)−3−(フェニルアミノカルボニルスルファモイル)ベンゼン、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛等の芳香族カルボン酸亜鉛等が挙げられる。
【0015】
ロイコ化合物と顕色剤との割合は特に限定するものではないが、ロイコ化合物1重量部に対して顕色剤は1〜8重量部、好ましくは1〜4重量部程度使用される。
【0016】
増感剤としては、ステアリン酸アミド、テレフタル酸ベンジル、p−ベンジルビフェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ−p−クロロベンジル、リン酸トリ(p−クロロフェニル)、アジピン酸ジ−o−クロロベンジル、チオジプロピオン酸ジフェナシル、グルタル酸ジフェナシル、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、ジメチルイソテレフタレート、P−トルエンスルホン酸フェニルエステル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、アセナフテン、ベンジルオキシメチル−4−ビフェニルエーテル、ベンジルオキシメチル−4−ビフェニルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、3−テトラデシルヒダントイン、フェニル−メシチルスルホネート、P−トルエン−メシチルスルホネート、ビスフェノールSジアリルエーテル、ジメチルテレフタレート、m−ターフェニル、4-(4-トリルオキシ)ビフェニル等が挙げられる
【0017】
増感剤の使用量の割合は特に限定するものではないが、ロイコ化合物1重量部に対して増感剤は1〜8重量部、好ましくは1〜4重量部程度使用される
【0018】
塗液中には通常バインダーとして、ポリビニルアルコール、スルフォニル変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、珪酸変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、デンプン類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、スチレン・ブタジエン共重合エマルジョン、アクリル酸エステル共重合体系ラテックス、ポリウレタン樹脂等の少なくとも1種が全固形分の5〜40重量%程度配合される。
【0019】
本発明の感熱記録層はロイコ染料と顕色化合物と増感剤とバインダーを主成分とするが必要に応じ一般の感熱記録紙に用いられるワックス類、金属石鹸類、顔料を配合しても良い。ワックス類としてはカルナバワックス等の天然ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックスが挙げられ、金属石鹸としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸亜鉛等が挙げられる。
【0020】
また、感熱記録体の最上層に水溶性高分子樹脂または、水不溶性高分子と顔料を主体とした保護層を感熱記録層上に設けることでより一層の保存性と走行性を向上させた感熱記録体を得ることができる。保護層の調製方法としては、ポリビニルアルコール、スルフォニル変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、珪酸変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、デンプン類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、アクリルエマルジョン、ポリウレタン樹脂等のバインダーと炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、水酸化アルミニウム等の顔料を混合、攪拌して調製される。保護層の塗布量としては0.2〜5g/m、好ましくは0.5〜3g/mである。以下、塗布量は特に断らない限り、乾燥重量による塗布量を示す。更に、保護層には記録機器や記録ヘッドとの接触によってステッキングを生じないように、塗液中にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス等の分散液を添加することもできる。
以上の成分を用いて保護層液を調製し、該液を感熱記録体の最上層に塗布、乾燥し目的とする保護層とする。
【0021】
本発明の感熱記録体は平滑性及び断熱性を得るため、必要に応じて感熱記録層と支持体との間にアンダーコート層を設けることができる。このアンダーコート層の塗布量としては1〜15g/mが好ましく、より好ましくは2〜10g/mである。
【0022】
アンダーコート層に用いられる顔料は焼成カオリンが一般的であるが、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ等の無機顔料、スチレン/アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂等の有機顔料を用いることができる。また、より一層の断熱性を得る為により細孔を多く持つ無機/有機顔料、中空粒子、発泡粒子、エアーカプセルを用いても効果的である。
【0023】
アンダーコート層に用いられるバインダーとしては従来公知のポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、スルフォニル変性ポリビニルアルコール、珪酸変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、デンプン類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、スチレン・ブタジエン共重合エマルジョン、アクリル酸エステル共重合体系ラテックス、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂が挙げられる。
【0024】
また、前記感熱層、保護層、アンダーコート層には発明の効果を損なわない範囲で一般に公知の耐水化剤を含有させることができる。例えばホルマリン、グリオキザール、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等が挙げられる。
【0025】
支持体としては紙が一般的であるが、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂と紙を貼り合わせたもの、あるいはラミネートしたものを用いても良い。
【0026】
また、支持体の裏面に保護層を設けることも勿論可能で、感熱記録体製造分野における各種の公知技術が付加するものである。
【0027】
次に本発明の代表的な使用条件及び製造条件を記する。
また、記録紙上には記録層の保護等の目的でオーバーコート層を設けることも可能であるまた、支持体の裏面に保護層を設けることも勿論可能で、感熱記録体製造分野における各種の公知技術が付加するものである。
実施例:
【0028】
以下に本発明を実施例により、更に具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、特に断らない限り実施例、比較例中の部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【実施例1】
【0029】
(アンダーコート層の形成)
焼成クレーの40%分散液 45重量部
ポリビニルアルコール15%水溶液 35重量部
水 20重量部
上記組成物を混合しアンダーコート用塗液を調製した。この液を乾燥後の塗布量が6g/mとなるように上質紙に塗布・乾燥しアンダーコート層を形成した。
(A−1液の調製)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 30重量部
ポリビニルアルコール15%水溶液 45重量部
水 25重量部
この組成物をサンドグラインダーで平均粒子径が0.6μmとなるまで粉砕し、A−1液を得た。
(B−1液調製)
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン 30重量部
ポリビニルアルコール15%水溶液 45重量部
水 25重量部
この組成物をサンドグラインダーで平均粒子径が1μmとなるまで粉砕し、B−1液を得た。
(C−1液の調製)
シュウ酸ジ(p-メチルベンジル) 30重量部
ポリビニルアルコール15%水溶液 45重量部
水 25重量部
この組成物をサンドグラインダーで平均粒子径が1μmとなるまで粉砕し、C−1液を得た。
(D−1液調製)
ポリビニルアルコール15%水溶液 40.0重量部
ステアリン酸亜鉛30%水溶液 7.5重量部
炭酸カルシウム(100%) 12.5重量部
水 40.0重量部
この組成物を分散機で分散し、D−1液とした。
(E−1液調製)
式1の化合物[SK1642(旭電化工業株式会社)] 30重量部
ポリビニルアルコール15%水溶液 45重量部
水 25重量部
この組成物をサンドグラインダーで平均粒子径が1μmとなるまで粉砕し、E−1液を得た。
【0030】
(記録層の形成)
A−1液10重量部、B−1液20重量部、C−1液20重量部、D−1液20重量部、E−1液1.0重量部、水39重量部を混合、攪拌し感熱層用塗液とした。得られた感熱層用塗液を上記アンダーコート層上に乾燥重量が5g/mとなるように塗布、乾燥し感熱記録層を形成した。その後、スーパーカレンダーでベック平滑度が600秒以上になるよう処理にして目的の感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物(3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン)の含有率は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりのSK1642(旭電化工業株式会社:式1の化合物)の含有量は10重量%である。
【実施例2】
【0031】
(E−2液調製)
化合物11 30重量部
ポリビニルアルコール15%水溶液 45重量部
水 25重量部
この組成物をサンドグラインダーで平均粒子径が1μmとなるまで粉砕し、E−2液を得た。
実施例1に於いてE−1液の替わりにE−2液を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有率は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりの前記化合物No.11(旭電化工業株式会社:式2の化合物)の含有量は10重量%である。
【実施例3】
【0032】
実施例1に於いてA−1液10重量部、B−1液20重量部、C−1液20重量部、D−1液20部重量部、E−1液25部、水15部とした以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有率は約9.5重量%であり、ロイコ化合物当たりのSK1642(旭電化工業株式会社:式1の化合物)の化合物の含有量は250重量%である。
【実施例4】
【0033】
実施例3に於いてE−1液をE−2液に変更した以外は実施例3と同様にして感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有率は約9.5重量%であり、ロイコ化合物当たりの前記化合物No.11の含有量は250重量%である。
【実施例5】
【0034】
(記録層の形成)
A−1液10重量部、B−1液20重量部、C−1液20重量部、D−1液20部重量部、E−1液1.0部、水39部を混合、攪拌し感熱層用塗液とした。得られた感熱層用塗液を上記アンダーコート層上に乾燥重量が5g/mとなるように塗布、乾燥し感熱記録層を形成した。
(オーバーコート液の調製)
ポリビニルアルコール15%水溶液 40重量部
炭酸カルシウム(100%) 2重量部
ステアリン酸亜鉛(30%) 5重量部
水 51.1重量部
この組成物を混合、攪拌しオーバーコート層(保護層)用塗液とした。得られたオーバーコート層用塗液を感熱紙上に乾燥重量が2g/mとなるように塗布し、その後、スーパーカレンダーでベック平滑度が600秒以上になるように処理して目的の感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有比は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりのSK1642(旭電化工業株式会社:式1の化合物)の含有量は10重量%である。
【実施例6】
【0035】
実施例5に於いてE−1液をE−2液に変更した以外は実施例5と同様にして感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有率は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりの前記化合物No.11の含有量は10重量%である。
【実施例7】
【0036】
(記録層の形成)
A−1液10重量部、B−1液20重量部、C−1液20重量部、D−1液20部重量部、水40を混合、攪拌し感熱層用塗液とした。得られた感熱層用塗液を上記アンダーコート層上に乾燥重量が5g/mとなるように塗布、乾燥し感熱記録層を形成した。
(オーバーコート液の調製)
ポリビニルアルコール15%水溶液 40重量部
炭酸カルシウム(100%) 2重量部
ステアリン酸亜鉛(30%) 5重量部
水 50重量部
E−1液 1.1重量部
この組成物を混合、攪拌しオーバーコート層用塗液とした。
得られたオーバーコート層用塗液を感熱紙上に乾燥重量が2g/mとなるように塗布し、その後、スーパーカレンダーでベック平滑度が600秒以上になるように処理して目的の感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有比は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりのSK1642(旭電化工業株式会社:式1の化合物)の含有量は10重量%である。
【実施例8】
【0037】
実施例7に於いてE−1液をE−2液に変更した以外は実施例7と同様にして感熱記録体を得
た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有率は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりの保護層中の前記化合物No.11の含有量は10重量%である。
【実施例9】
【0038】
A−1液10重量部、B−1液20重量部、C−1液20重量部、D−1液20部重量部、水40重量部を混合し感熱層用塗液とした。得られた感熱層用塗液を上記アンダーコート層上に乾燥重量が5g/mとなるように塗布、乾燥し感熱記録層を形成した。
(オーバーコート液の調製)
ポリビニルアルコール15%水溶液 8重量部
炭酸カルシウム(100%) 1重量部
ステアリン酸亜鉛(30%) 1重量部
E−1液 51重量部
この組成物を混合、攪拌しオーバーコート層用塗液とした。
得られたオーバーコート層用塗液を感熱紙上に乾燥重量が2g/m2となるように塗布し、その後、スーパーカレンダーでベック平滑度が600秒以上になるように処理して目的の感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有率は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりの保護層中のSK1642(旭電化工業株式会社:式1の化合物)の含有量は220重量%である。
【実施例10】
【0039】
実施例9に於いてE−1をE−2とした以外は、実施例9と同様にして感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有率は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりの保護層中の前記化合物No.11の含有量は220重量%である。
【0040】
[比較例1]
実施例1に於いてA−1液10重量部、B−1液20重量部、C−1液20重量部、D−1液20部重量部、E−1液0.9重量部、水39.1重量部とした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有率は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりのSK1642(旭電化工業株式会社:式1の化合物)の含有量は9重量%である。
【0041】
[比較例2]
比較例1に於いてE-1をE−2とした以外は、比較例1と同様にして感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有比率は約13重量%であり、ロイコ化合物当たりの前記化合物No.11の含有量は9重量%である。
【0042】
[比較例3]
実施例3に於いてA−1液10重量部、B−1液20重量部、C−1液20重量部、D−1液20重量部、E−1液25.2重量部、水39.1重量部とした以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有比率は約9.4重量%であり、ロイコ化合物当たりのSK1642(旭電化工業株式会社:式1の化合物)の含有量は252重量%である。
【0043】
[比較例4]
比較例3に於いてE−1をE−2とした以外は、比較例3と同様にして感熱記録体を得た。
感熱記録層中のロイコ化合物の含有率は約9.4重量%であり、ロイコ化合物当たりの前記化合物No.11の含有量は252重量%である。
【0044】
[比較例5]
実施例1に於いてA−1液10重量部、B−1液20重量部、C−1液20重量部、D−1液20部重量部、BXNL(蛍光染料、50%、日本曹達株式会社)2.4重量部とした以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0045】
[比較例6]
実施例1に於いて3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを(2’−アニリノ−3’−メチル−6’−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)スピロ[フタリド−3,9−キサンテン]とした以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0046】
[比較例7]
実施例1に於いて3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを3−ジエチルアミノ−6-メチル−7−アニリノフルオランとした以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。上記実施例および比較例で得られた感熱記録体について次の評価を行ない、その結果を第1表に示す。
【0047】
(1)発色性試験:
感熱試験機 TH−FMR(株式会社大倉電機製)を使用して評価した。印字は下記の条件で行った。
印加電圧 24.0V
印字パルス巾 1.0msec
印字エネルギー 0.45mj/dot
記録部の濃度を大日本スクリーン製造(製)DM−440型反射濃度計で測定した。
発色濃度が1.30以上であれば、実用上問題が無い。
【0048】
(2)地肌濃度の測定:
白紙部の濃度を大日本スクリーン製造(製)DM−440型反射濃度計で測定した。数値が低い程白紙部の変色が少ない。0.04以下では変色が少なく、実用に耐える。0.05より多いと変色が多く、実用に耐えない。
【0049】
(3)発光の確認:
ブラックランプの光源下で紫外線を照射して目視により、発光性能と発光色を確認した。
発光を示さないものは×、発光が不明瞭なものは△、明瞭に発光を示すものは○として評価した。
【0050】
【表1】

【0051】
表1に示す如く、一般式(I)および/または(II)で表される化合物およびロイコ化合物としての3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを請求項1に記載した範囲で使用した実施例で得られた感熱記録体は、紫外線照射によって鮮明な(十分な発色濃度の)緑色の蛍光を発光し且つ、良好な発色性と地肌の白さを有するものであった。これに対して、一般式(I)および/または(II)で表される化合物およびロイコ化合物としての3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを請求項1に記載した範囲で使用していない比較例の場合には以下の問題があった。式(I)または(II)の化合物量が不足する比較例1および2の場合には、発光が不明瞭であり、
多すぎる比較例3および4の場合には、発色濃度が不十分であり且つ変色が多く実用に耐えない。ロイコ化合物を3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン以外の他のものに変更した比較例6および7の場合には、白紙部濃度が高く印字部の鮮明性が劣る。一般式(I)および/または(II)で表される化合物の代わりに、感熱記録紙において通常慣用される蛍光染料のBXNLを使用した比較例5の場合にも緑色の発光を得ることができない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、無色ないし淡色のロイコ化合物と、該ロイコ化合物を加熱時に呈色させる顕色剤及び発色促進剤を含有する感熱記録層、およびあるいは存在する保護層を有する感熱記録体において、該ロイコ化合物が3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランであり、該感熱記録層中だけに、または水溶性高分子樹脂よりなるかまたは水不溶性高分子樹脂を主体とした保護層中にも一般式(I)
【化1】

[式中、mは0または1を表し、nは1または2を表し、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、ハロゲン原子、または炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基もしくはアリール基を表し、nが1の時、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、または基
【化2】

{RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子お表す。)、ハロゲン原子、または炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基もしくはアリール基を表し、pは0または1を表す。}を表し、これらの基は−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子お表す。)、−CONHまたはハロゲン原子で置換されていてもよい。nが2のとき、Rが直接結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基もしくはアリーレン基、またはこれらの結合種、またはこれらとエーテル結合と組み合わされた基を表し、これらの基は−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、−CONHまたはハロゲン原子で置換されていてもよい。]
および/または一般式(II)
【化3】

[式中、rは0または1を表し、sは1または2を表し、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、ハロゲン原子、または炭素原子数1〜20のアルキル基、アルコキシ基もしくはアリール基を表し、sが1のとき、R’は炭素原子数1〜20のアルキル基もしくはアリール基または−NH−C(=O)−R(Rは炭素原子数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。)を表し、これらの基は−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、−CONHまたはハロゲン原子で置換されていてもよい。sが2のときは、R’は直接結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基もしくはアリーレン基またはこれら結合種とエーテル結合の組み合わされた基を表し、これらの基は−OH、−COOX(Xは水素原子またはM/kを表す。ただし、Mはk価の金属原子を表す。)、−CONHまたはハロゲン原子で置換されていてもよい。]
で表される化合物を含有すること、感熱記録層中のロイコ化合物の含有量が、感熱記録層の全固形分重量に対して5〜20重量%の範囲にあり、且つ式1および/またはIIの化合物が該ロイコ化合物の固形分に対し10〜250重量%含有されていることを特徴とする、上記感熱記録体。

【公開番号】特開2007−118424(P2007−118424A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314666(P2005−314666)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000241810)北越製紙株式会社 (196)
【Fターム(参考)】