説明

感知器の表示構造

【課題】光源を目立たせることなく配置等することで、感知器の意匠性や商品価値を高めることができる、感知器の表示構造を提供すること。
【解決手段】監視領域における所定の物理量を検出する炎感知器1における表示構造であって、この物理量を検出するためのUVトロン44と、光を発するものであって、炎感知器1の外部から直接的に目視不能なように配置された発光LED49と、UVトロン44の周囲に配置されて当該UVトロン44を保護するものであって、発光LED49から発せられた光の少なくとも一部を透過する透過性ラバー50とを備え、UVトロン44は、発光LED49から発せられて透過性ラバー50を透過した光の少なくとも一部をさらに透過可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域における炎や煙の検知等を行う感知器に関し、特に、検出状態等の各種の状態を表示するための表示構造に特徴を有する感知器の表示構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、監視領域における炎や煙の検知等を行う各種の感知器が提案されている。このような感知器には、一般的に、その電源の状態や炎や煙の検知状態を表示するための表示手段として、LED(Light Emitting Diode)等の光源が設けられる。このような光源は、感知器の筐体に設けられた開口部から外部に露出するように配置されており、この光源から発せられた光を筐体の外部に放出できるようになっている。
【0003】
例えば、実開平7−3089号公報には、炎から放出される紫外線や赤外線等の不可視光線を検出する検出部を備えた炎感知器が開示されており、この炎感知器には、検出部の作動状態等を表示する光源としての表示灯が設けられている。この表示灯は、炎感知器のカバーに形成した開口部から外部に露出するように配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−3089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、近年において、特に一般住宅や商業施設等の人目に触れ易い場所に設置される感知器については、周囲との違和感を覚えさせないような高いデザイン性を持つことが望まれる。しかしながら、従来のように感知器の筐体に開口部を形成し、この開口部から外部に光源を露出させた場合には、これら開口部や光源が目立つために違和感を生じさせ、感知器の意匠性を損なうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光源を目立たせることなく配置等することで、感知器の意匠性や商品価値を高めることができる、感知器の表示構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の感知器の表示構造は、監視領域における所定の物理量を検出する感知器における表示構造であって、前記物理量を検出するための検出手段と、光を発するものであって、前記感知器の外部から直接的に目視不能なように配置された光源と、前記検出手段の周囲に配置されて当該検出手段を保護するものであって、前記光源から発せられた光の少なくとも一部を透過する保護透過手段と、を備え、前記検出手段は、前記光源から発せられて前記保護透過手段を透過した光の少なくとも一部をさらに透過可能であること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、感知器の外部から光源を直接的に目視できないようにする一方で、この光源からの光を保護透過手段を介して透過させているので、検出手段や保護透過手段のみが人目に触れ、光源の如き表示用の構成要素が人目に直接触れることがないので、感知器の意匠性を向上させてその商品価値を高めることができる。特に、検出手段を保護するための保護透過手段を介して表示を行っているので、検出手段の保護と表示光の透過という2つの機能を保護透過手段に兼ねさせることができ、表示光を導光するような特別な手段を設ける必要がないので、感知器を一層簡易で安価に製造できる。また、光源の光を検出手段を介して透過させることで、光を検出手段にて遮ることなく外部に放出でき、表示効率や表示効果を一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る炎感知器の正面図である。
【図2】図1の炎感知器のA−A矢視断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】電子回路のブロック図である。
【図5】UVトロンの周辺の斜視図である。
【図6】実施の形態2に係る炎感知器の正面図である。
【図7】図6の炎感知器のB−B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る感知器の表示構造の各実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念を説明した後、〔II〕各実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0011】
〔I〕各実施の形態に共通の基本的概念
まず、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態に係る感知器の表示構造は、監視領域に設置されて所定の物理量を検出するための感知器の表示構造である。この監視領域は任意であるが、例えば、一般住宅や、小売店舗のような商業施設を挙げることができる。また、直接的な検出対象になる物理量やこの物理量を用いた監視対象になる現象も任意であり、例えば、赤外線、紫外線、煙、若しくは、熱を検出することで火災や炎の有無を監視し、あるいは、赤外線や熱を検出することで侵入者の有無を監視する。以下の説明では、紫外線を検出することによって炎の有無を監視する炎感知器を例示する。
【0012】
この感知器の表示構造の特徴の一つは、光源を筐体の外部に露出させて直接的に表示を行うのではなく、感知器の外部から光源を直接的に目視できないようにする一方で、この光源からの光を保護透過手段を介して透過させて間接的な表示を行う点にある。すなわち、光源は筐体の内部に非露出状に収容すると共に、この光源から発せられた光を保護透過手段を介して筐体の外部に放出する。このため、検出手段や保護透過手段のみが人目に触れ、表示用の構成要素が人目に直接触れることがないので、感知器の意匠性を向上させてその商品価値を高めることができる。特に、この保護透過手段としては、物理量の検出を行う検出手段を保護するために従来から配置されている保護手段を流用している。従って、表示光を導光するような特別な手段を設ける必要がないので、感知器を一層簡易で安価に製造できる。
【0013】
〔II〕各実施の形態の具体的内容
〔実施の形態1〕
次に、本発明に係る各実施の形態の具体的内容について説明する。まず、実施の形態1について説明する。ここでは、炎感知器の構成の概要を説明した後、表示構造の詳細について説明する。図1は、本実施の形態1に係る炎感知器の正面図、図2は、図1の炎感知器のA−A矢視断面図、図3は、図2の要部拡大図である。なお、以下の説明において「平面」とは炎感知器の正面から見た状態を示すものとする。この炎感知器1は、概略的に、筐体10の内部に電子回路20を収容して構成されている。
【0014】
(炎感知器1の構成の概要)
このうち、筐体10は、下部ベース11と上部カバー12とを相互に組み合わせることによって、全体として略方形状に形成されている。この上部カバー12には、監視領域の紫外線を筐体10の内部に入射可能とするための検出用開口部12aと、後述するブザー47の音を筐体10の外部に放音するためのブザー孔12bとが形成されている。
【0015】
また、電子回路20は、紫外線検出及び表示出力等のための制御を行う。図4は、この電子回路20のブロック図である。この電子回路20は、端子基板30と、センサー基板40とを備えている。
【0016】
このうち、端子基板30には、炎感知器1の外部機器に至る各種の図示しない配線が接続される。この配線としては、例えば、炎感知時の移報信号を出力するための信号線や、有線にて電源供給を受ける場合の電力線が含まれる。
【0017】
また、センサー基板40には、電源部41、CPU(Central Processing Unit)42、高電圧発生部43、UVトロン44、移報出力部45、ブザー駆動部46、ブザー47、発光LED駆動部48、及び、発光LED49が実装されている。このうち、電源部41は、端子基板30を介して供給された電力や、図示しない電池から供給された電力を、CPU42に供給する。また、CPU42は、炎感知器1の各部を制御する制御手段であり、電源部41からの電力供給を受けている場合には、発光LED駆動部48に点灯信号を出力することによって発光LED49を点滅させる。また、CPU42は、高電圧発生部43を駆動してUVトロン44に高電圧を印加させると共に、このUVトロン44から出力された電流に基づいて炎の有無を判定する。ここで、UVトロン44(紫外線光電管若しくはUVチューブ)とは、監視領域における紫外線を検出するためのもので、特許請求の範囲における検出手段に対応するものである。このUVトロン44の詳細については後述する。また、CPU42は、炎があると判定した場合に、移報出力部45を駆動して所定の外部機器に移報信号を出力させ、ブザー駆動部46を駆動してブザー47に警報音を出力させ、さらに、発光LED駆動部48に点滅信号を出力することによって発光LED49を点滅させる。このように、発光LED49は、光を発するものであり、特許請求の範囲における光源に対応する。また、CPU42からの発光LED駆動部48は、CPU42からの信号に基づいて発光LED49を駆動するもので、特許請求の範囲における光源駆動手段に対応する。
【0018】
次に、UVトロン44について説明する。図5は、UVトロン44の周辺の斜視図である。図3及び図5に示すように、このUVトロン44は、紫外線を透過するUV透過ガラス管44aの内部に、一対の陽極44b及び陰極44cを収容すると共にガスを封入して構成されている。そして、炎から放射された紫外線がUV透過ガラス管44aを透過して陰極44cの表面に当ると、この陰極44cから光電効果によって光電子が放出され、この光電子が陽極44bに移動する際に封入ガスに衝突して当該封入ガスをイオン化させる。このように封入ガスがイオン化されると、高電圧が印加された陽極44bと陰極44cとが放電状態になり、陽極44bから陰極44cに放電電流が流れる。そして、この放電電流に基づいて炎の有無を判定することができる。
【0019】
ここで、UVトロン44とセンサー基板40との間には、透過性ラバー50が配置されている。この透過性ラバー50は、UVトロン44の周囲に配置されて当該UVトロン44を保護するものであり、かつ、発光LED49から発せられた光の少なくとも一部を透過するものであって、特許請求の範囲における保護透過手段に対応する。この透過性ラバー50は、全体として略方形状に形成されており、その上面にはUVトロン44の外形に略対応する凹部50aが形成されている。そして、この凹部50aにUVトロン44を載置することで、このUVトロン44の下部及び側部を透過性ラバー50によって略覆った状態で当該UVトロン44を固定できるので、衝撃等が加わった場合においてもこの衝撃が透過性ラバー50の弾性にて吸収され、UVトロン44が保護される。また、透過性ラバー50は、透過性樹脂によって全体的に透明又は半透明に形成されており、発光LED49にて発せられた光の少なくとも一部を透過させる。
【0020】
(透過性ラバー50を用いた透過構造の詳細)
次に、透過性ラバー50を用いた透過構造についてより詳細に説明する。図3に示すように、電子回路20に発光LED49が実装されており、その上方(図示左方)に透過性ラバー50が配置され、この透過性ラバー50にUVトロン44が載置されている。また、これら発光LED49、透過性ラバー50、及び、UVトロン44は、図1に示すように、検出用開口部12aに対応する平面位置に配置されている。従って、発光LED49から発せられた光は、透過性ラバー50を透過し、この透過性ラバー50を介して放出される。このように放出された光は、UVトロン44の周辺から検出用開口部12aを介して筐体10の外部に放出される。従って、発光LED49による光を炎感知器1の外部に放出でき、炎検出時の警報等を行うことができる。
【0021】
ここで、透過性ラバー50の平面形状は発光LED49の平面形状より大きいため、図1に示すように、その正面方向から見ると、発光LED49は透過性ラバー50によって完全に覆われており、発光LED49が検出用開口部12aから直接的に外部に露出することはない。このように、発光手段である発光LED49を外部に対して非露出状としているので、周囲に違和感を与えることがなく、炎感知器1の意匠性を向上させることができる。
【0022】
さらに、本実施の形態1においては、発光LED49の光を均一に放出するための工夫が施されている。すなわち、発光LED49の光を単に透過性ラバー50を透過させるためであれば、発光LED49の光が透過性ラバー50に入射し得る限りにおいて、発光LED49をいかなる位置に配置してもよい。例えば、透過性ラバー50の一側面の近傍位置に発光LED49を配置してもよい。しかしながら、このような場合には、平面的に見ると、発光LED49の光が透過性ラバー50の一部にのみ強く入射し、透過性ラバー50を介して筐体10の外部に放出される光が平面的に見て不均一になる。このため、本実施の形態1においては、発光LED49を、透過性ラバー50を中心としてUVトロン44と対向する位置(透過性ラバー50の底面側の位置)であって、かつ、透過性ラバー50における平面方向の略中央位置に対応する位置に配置している。このため、平面的に見ると、発光LED49の光が、透過性ラバー50の底部の略中央位置に最も強く入射し、透過性ラバー50の周囲に略均一に拡散してから外部に放出されるので、発光LED49の光を略均一に放出することができる。
【0023】
また、本実施の形態1においては、UVトロン44のUV透過ガラス管44aは、透明に形成されている。従って、透過性ラバー50を透過した発光LED49の光は、UVトロン44の周囲のみならず、UVトロン44のUV透過ガラス管44aを透過して、検出用開口部12aから筐体10の外部に放出される。従って、より多くの光を筐体10の外部に放出でき、表示効率や表示効果を高めることができる。
【0024】
また、このUVトロン44による紫外線検出に対して発光LED49の光が悪影響を与えることがないよう、本実施の形態1の透過性ラバー50の材質には工夫が施されている。すなわち、発光LED49から発せられる光に紫外線が含まれている場合には、この紫外線がUVトロン44に入射し、このUVトロン44による監視領域の紫外線検出に悪影響を与える可能性がある。このような事態を防止するため、透過性ラバー50は、紫外線吸収性を有する樹脂、例えば、パラメトキシケイ皮酸2エチルヘキシル(オクチル)等の紫外線吸収剤を含有させた樹脂に含有させた機能性樹脂を用いて形成されている。あるいは、発光LED49として、非紫外線領域の光のみ(例えば可視光成分のみ)を発するLEDを使用することにより、透過性ラバー50における紫外線吸収性を省略することができる。さらに、UVトロン44に高電圧が印加されることを考慮して、透過性ラバー50には、絶縁性の高い材質を用いることが好ましい。
【0025】
(発光LED49の発光駆動の詳細)
次に、発光LED駆動部48による発光LED49の発光駆動についてより詳細に説明する。図5の発光LED駆動部48は、通常監視時には、CPU42からの点灯信号に基づいて、電流及び電圧を発光LED49に連続的に供給することで発光LED49を点灯させ、炎検出時には、CPU42からの点滅信号に基づいて、電流及び電圧を発光LED49に断続的に供給することで発光LED49を点滅させる。
【0026】
ここで、発光LED駆動部48は、通常監視時に発光LED49を点灯させる場合、この発光LED49から発せられる光の輝度がゆらぎ理論に従った1/fにて変化するように、この発光LED49に供給する電流を変化させる。このような電流制御は任意の方法で行い得るが、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)方式を用いて電流を制御することができる。このことにより、透過性ラバー50を介して放出される光を1/fにてゆらぎ変化させることができ、ユーザにとって心地よい表示を行うことができる。特に、通常監視時にのみ1/fによる発光を行わせることで心地よい表示を行い、炎検出時には1/fによらない点滅発光を行わせることで人目を引く表示を行って、炎検出器の警報効果を高めることができる。
【0027】
このように実施の形態1によれば、発光LED49を外部に対して非露出状としているので、周囲に違和感を与えることがなく、炎感知器1の意匠性を向上させることができる。また、発光LED49の光が透過性ラバー50の周囲に略均一に拡散してから外部に放出されるので、発光LED49の光を略均一に放出することができる。また、発光LED49の光をUV透過ガラス管44aを透過させることで、表示効率や表示効果を高めることができる。また、発光LED49から発せられる光に紫外線が含まれている場合には、透過性ラバー50に紫外線吸収性を持たせることで紫外線検出機能を維持でき、あるいは、発光LED49として非紫外線領域の光のみを発するLEDを使用することにより、透過性ラバー50における紫外線吸収性を省略することができる。さらに、透過性ラバー50を介して放出される光を1/fにてゆらぎ変化させることができ、ユーザにとって心地よい表示を行うことができる。特に、炎検出時には1/fによらない点滅発光を行わせることで人目を引く表示を行って、炎検出器の警報効果を高めることができる。
【0028】
〔実施の形態2〕
次に、本発明に係る実施の形態2の具体的内容について説明する。この実施の形態2は、透過性ラバーを筐体の外側面に延出させた形態である。図6は、実施の形態2に係る炎感知器の正面図、図7は、図6の炎感知器のB−B矢視断面図である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたのと同一の符号を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0029】
(炎感知器の構成の概要)
この炎感知器2は、概略的に、筐体10の内部に、UVトロン44、透過性ラバー60、及び、電子回路20を収容して構成されている。ここで、透過性ラバー60は、UVトロン44とセンサー基板40との間に配置された基部61と、この基部61からUVトロン44の周囲を通って筐体10の外側面に延出された立上げ部62とを一体に備えて構成されている。この立上げ部62は、筐体10に形成された検出用開口部12aの周縁を通って当該筐体10の外部に露出され、この筐体10の外側面と略面一状とされている。
【0030】
(透過性ラバーを用いた透過構造の詳細)
このような構成によれば、発光LED49から発せられた光は、透過性ラバー60の基部61に入射し、この基部61から立上げ部62に導光され、この立上げ部62を介して筐体10の外部に直接的に放出される。従って、発光LED49による光を透過性ラバー60を介して直接的に炎感知器2の外部に放出でき、実施の形態1に比べて一層効果的な表示を行うことができる。特に、従来のように発光LED49を筐体10から露出させるのではなく、弾性のある透過性ラバー60を筐体10から露出させると共に、この透過性ラバー60の全体から略均一的に光を放出しているので、従来の表示手段よりも柔らかな印象を与えることができ、炎感知器2の意匠性を高めることができる。
【0031】
このように実施の形態2によれば、実施の形態1に比べて一層効果的な表示を行うことができる。また、従来の表示手段よりも柔らかな印象を与えることができ、炎感知器2の意匠性を高めることができる。
【0032】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0033】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、表示用の開口部や光源の一部が感知器の外部に露出するような構成をとっている場合であっても、その露出の程度を従来よりも低減できている限りにおいて、本願の課題が解決されている。
【0034】
(光源について)
光源としては、上述の発光LED49の他、レーザ半導体や小型液晶パネルを含む任意の光源を用いることができる。また光源は、一つに限られず、複数の光源を配置してもよい。例えば、保護透過手段の側面や底面に複数の表示色の異なる光源を配置し、感知器の状態に応じて表示色を切替えてもよい。また、光源を感知器の外部から目視不能なように配置するための構成としては、保護透過手段にて覆うことの他、光源をカバーするための専用の手段を設けることもできる。
【0035】
(保護透過手段について)
また、保護透過手段は、樹脂以外の任意の材質にて形成することができる。また、保護透過手段の全体に透光性を持たせる必要はなく、透光部材と非透光部材とを組み合わせて保護透過手段を構成してもよい。また、保護透過手段を透過した光は、検出用以外の開口部を介して筐体の外部に放出可能としてもよい。また、光源から発光された光の全てでなく、その一部のみを保護透過手段を透過させて筐体の外部に導光し、他の光については従来と同様に開口部を介して直接的に筐体の外部に放出してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明に係る感知器の表示構造は、炎感知器や煙感知器等の各種の感知器に適用され、その表示構造を概観から目立たなくすることによって感知器の意匠性やその商品価値を向上させることに有用である。
【0037】
(付記)
付記1に記載の感知器の表示構造は、監視領域における所定の物理量を検出する感知器における表示構造であって、前記物理量を検出するための検出手段と、光を発するものであって、前記感知器の外部から直接的に目視不能なように配置された光源と、前記検出手段の周囲に配置されて当該検出手段を保護するものであって、前記光源から発せられた光の少なくとも一部を透過する保護透過手段と、を備えることを特徴とする。
【0038】
また、付記2に記載の感知器の表示構造は、付記1に記載の感知器の表示構造において、前記検出手段及び前記光源を収容する筐体に、前記物理量を検出するための検出用開口部を形成し、前記光源から発せられて前記保護透過手段を透過した光を、前記検出用開口部を介して前記筐体の外部に放出可能としたこと、を特徴とする。
【0039】
また、付記3に記載の感知器の表示構造は、付記1又は2に記載の感知器の表示構造において、前記保護透過手段の少なくとも一部を、前記検出手段及び前記光源を収容する筐体の外部に露出させたこと、を特徴とする。
【0040】
また、付記4に記載の感知器の表示構造は、付記1から3のいずれか一項に記載の感知器の表示構造において、前記検出手段は、前記光源から発せられて前記保護透過手段を透過した光の少なくとも一部をさらに透過可能であること、を特徴とする。
【0041】
また、付記5に記載の感知器の表示構造は、付記1から4のいずれか一項に記載の感知器の表示構造において、前記検出手段は、監視領域における紫外線を検出するための紫外線検出手段であり、前記保護透過手段は、前記光源から発せられる光に含まれる紫外線を吸収可能な紫外線吸収手段であること、を特徴とする。
【0042】
また、付記6に記載の感知器の表示構造は、付記1から4のいずれか一項に記載の感知器の表示構造において、前記検出手段は、監視領域における紫外線を検出するための紫外線検出手段であり、前記光源は、非紫外線領域の光のみを発すること、を特徴とする。
【0043】
また、付記7に記載の感知器の表示構造は、付記1から6のいずれか一項に記載の感知器の表示構造において、前記光源は、前記保護透過手段を中心として前記検出手段と対向する位置であって、前記保護透過手段における平面方向の略中央位置に対応する位置に配置されていること、を特徴とする。
【0044】
また、付記8に記載の感知器の表示構造は、付記1から7のいずれか一項に記載の感知器の表示構造において、前記光源を駆動する光源駆動手段を備え、前記光源駆動手段は、前記光源から発せられる光の輝度を1/fにてゆらぎ変化させること、を特徴とする。
【0045】
付記に係る感知器の表示構造は、感知器の外部から光源を直接的に目視できないようにする一方で、この光源からの光を保護透過手段を介して透過させているので、検出手段や保護透過手段のみが人目に触れ、光源の如き表示用の構成要素が人目に直接触れることがないので、感知器の意匠性を向上させてその商品価値を高めることができる。特に、検出手段を保護するための保護透過手段を介して表示を行っているので、検出手段の保護と表示光の透過という2つの機能を保護透過手段に兼ねさせることができ、表示光を導光するような特別な手段を設ける必要がないので、感知器を一層簡易で安価に製造できる。
【0046】
また、付記に係る感知器の表示構造は、物理量を検出するための検出用開口部を介して光を放出可能としているので、表示用の開口部を省略することができ、感知器の意匠性を向上させてその商品価値を高めることができる。
【0047】
また、付記に係る感知器の表示構造は、保護透過手段の一部を筐体の外部に露出させているので、光源の光を保護透過手段を介して直接的に感知器の外部に放出でき、一層効果的な表示を行うことができる。特に、保護透過手段を樹脂等にて形成することで、従来の表示手段よりも柔らかな印象を与えることができ、感知器の意匠性を高めることができる。
【0048】
また、付記に係る感知器の表示構造は、光源の光を検出手段を介して透過させることで、光を検出手段にて遮ることなく外部に放出でき、表示効率や表示効果を一層高めることができる。
【0049】
また、付記に係る感知器の表示構造は、検出手段を紫外線検出手段とすると共に、保護透過手段を紫外線吸収手段としたので、検出手段による紫外線検出機能を維持できる。
【0050】
また、付記に係る感知器の表示構造は、検出手段を紫外線検出手段とすると共に、光源は非紫外線領域の光のみを発するので、検出手段による紫外線検出機能を維持しつつ、透過性ラバーにおける紫外線吸収性を省略することができる。
【0051】
また、付記に係る感知器の表示構造は、光源を、保護透過手段を中心として検出手段と対向する位置であって、保護透過手段の略中央位置に対応する位置に配置したので、光源の光が保護透過手段の周囲に略均一に拡散してから外部に放出されるので、光源の光を略均一に放出することができる。
【0052】
また、付記に係る感知器の表示構造は、光源から発せられる光の輝度を1/fにてゆらぎ変化させることで、ユーザにとって心地よい表示を行うことができる。特に、通常監視時のみ1/fの表示を行い、炎検出時等の異常発生時には1/fによらない点滅発光を行わせて人目を引く表示を行うことで、異常発生時の警報効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0053】
1、2 炎感知器
10 筐体
11 下部ベース
12 上部カバー
12a 検出用開口部
12b ブザー孔
20 電子回路
30 端子基板
40 センサー基板
41 電源部
42 CPU
43 高電圧発生部
44 UVトロン
44a UV透過ガラス管
45 移報出力部
46 ブザー駆動部
47 ブザー
48 発光LED駆動部
49 発光LED
50 透過性ラバー
50a 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における所定の物理量を検出する感知器における表示構造であって、
前記物理量を検出するための検出手段と、
光を発するものであって、前記感知器の外部から直接的に目視不能なように配置された光源と、
前記検出手段の周囲に配置されて当該検出手段を保護するものであって、前記光源から発せられた光の少なくとも一部を透過する保護透過手段と、を備え、
前記検出手段は、前記光源から発せられて前記保護透過手段を透過した光の少なくとも一部をさらに透過可能であること、
を特徴とする感知器の表示構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−253549(P2011−253549A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161512(P2011−161512)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2005−268278(P2005−268278)の分割
【原出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】