説明

感知装置

人体又は動物体の中に挿入するための管を調製するための方法であって、前記方法は、a.第1の材料及び第2の材料を含む中空管を形成するステップであって、第1の材料は、コイル又は管状メッシュの形態であり、第2の材料は、第1の材料を被覆して、中空管の連続的な、実質的に不透過性の外方壁部を形成する、ステップと、b.外方壁部の一領域において、第1の材料を留めつつ、少なくとも1つの開口を形成するように前記第2の材料の一部分を選択的に除去するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感知装置において使用するための多孔性管材料に関し、このような管材料を使用する、分析物を検出するためのセンサを含む。さらに、多孔性管材料を調製するための方法が説明される。本発明は、とりわけ、侵襲性の又は植込み式のセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の化学薬品及びバイオセンサが、とりわけ侵襲性センサ及び植込み式センサの分野において知られている。これらは、例えば組織、体腔、血管、又は別の体液の中など、体内に挿入することが可能であり、温度及び/又は分析物濃度など、1つ又は複数の変数をモニタリングするために使用することが可能である。例えばブドウ糖などのサッカライド、酸素、二酸化炭素、及びpHなどの、分析物の測定は、手術時、術後時に、及び集中治療下の入院時に、非常に重要なものとなる可能性がある。
【0003】
先行技術のセンサは、感知装置が中に配置され、組織中に、血管中に、又は体腔中に挿入することが可能な管を有するプローブを備える。感知装置を収容するこの管は、いかなる切れ目又は穴もその構造中に有さない連続壁部を有し、したがって、感知装置を内部に密閉する。センサが、分析物の存在の測定を意図される場合には、分析物は、管にその開放端部にて進入することが可能であり、管に沿って感知装置の方に移動する。このタイプの先行技術のセンサのための適切な構成が、図1に図示される。図1は、センサ及びサーミスタを備える、センサの感知先端部のみを示す。
【0004】
これらの先行技術のセンサは、問題点がないわけではなく、とりわけ、プローブが、許容不能な物理的応力にさらされて、その結果として捩れる、圧縮される、及び壊れる可能性がある。したがって、身体内に導入される圧力に耐えることが可能であり、さらに、正しい感知領域に正確に位置決めされ得るように幾分かの可撓性を有する、より強靭であり、より頑丈なセンサを提供する必要がある。この問題は、さらされる応力に対してより優れて耐えることが可能な強化された壁部を有するセンサを提供することによって、対処されてきた。強化された壁部は、例えば特許文献1に記載されているような感知装置を収容する編組式管状構造体を提供することによってなど、複数の様式で形成することが可能である。この編組により、管状構造体を撓曲させ、正確な感知位置へと操縦することが可能になるとともに、センサに対して強度を与えることが可能になる。
【0005】
このような編組式センサは、先行のセンサを上回る利点を示したが、欠点を有さないわけではない。とりわけ、編組式管状構造体を使用する結果としての構造化された表面により、センサが中に導入される組織又は血管に対するセンサの不適合性が高まる。例えば、編組表面により、フィブリノゲンの形成及び可能な場合には凝塊物の形成が引き起こされる可能性があり、さらに、センサが配置される血管内の血流を乱す可能性もある。さらに、編組表面が、研磨性のものとなる可能性もあり、センサを体内に導入する際に、及び体内で移動させる際に、患者の皮膚又は組織を引き裂く、又は引っ掛けて傷つける可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許出願公開第2004/054438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、頑丈であり、体内に正確に導入され位置決めされ得る、及び、感知装置が中に導入される環境に対して適合性を有する、新たな感知装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、人体又は動物体の中に挿入するための管を調製するための方法を提供し、前記方法は、
(a)第1の材料及び第2の材料を含む中空管を形成するステップであって、第1の材料は、コイル又は管状メッシュの形態であり、第2の材料は、第1の材料を被覆して、中空管の連続的な、実質的に不透過性の外方壁部を形成する、ステップと、
(b)外方壁部の一領域において、第1の材料を留めつつ、少なくとも1つの開口を形成するように前記第2の材料の一部分を選択的に除去するステップと
を含む。
【0009】
さらに、本発明は、上述の方法により調製可能な、人体又は動物体の中に挿入するための管を提供する。さらに、人体又は動物体の中に挿入するための管であって、コイル又は管状メッシュの形態の第1の材料と、第1の材料を被覆して、中空管の連続的な、実質的に不透過性の外方壁部を形成する第2の材料とを含み、第2の材料の少なくとも一部分が、外方壁部の一領域において、第1の材料を留めつつ、少なくとも1つの開口を形成するように選択的に除去されている、管が提供される。
【0010】
さらに、本発明は、上述の管を備えるセンサ・デバイスを提供し、前記管は、少なくとも1つの分析物センサを備えるプローブを収容する。
【0011】
上述において提示される管は、体内への挿入及び体内における使用に必要な頑丈さ及び操縦性を有し、さらに実質的に連続する外方壁部を有するため、有利である。したがって、これらの管を用いるセンサは、体内に容易に導入することが可能であり、さらに、導入される領域に対する適合性を有し、それによりフィブリノゲン又は凝血を形成する可能性が低減され、患者の皮膚又は組織を引き裂く可能性が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】先行技術によるセンサを示す図である。
【図2A】本発明の一実施例によるセンサを示す図である。
【図2B】本発明の他の一実施例によるセンサを示す図である。
【図3】本発明の他の一実施例によるセンサを示す図である。
【図4A】本発明の他の一実施例によるセンサを示す図である。
【図4B】本発明の他の一実施例によるセンサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の材料は、コイル又は管状メッシュの形態である。第1の材料として使用するために適する材料には、金属材料及び非金属材料が共に含まれる。適切な金属材料には、ステンレス鋼、金、チタン、及び銀、並びに、ニチノール、ベリリウム銅、及びMP−35−N(コバルト、ニッケル、クロム、及びモリブデンから構成される)などの合金が含まれる。ステンレス鋼が好ましい。適切な非金属材料には、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ナイロン、及び、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素重合体などの合成高分子が含まれる。しかし、第1の材料は、第1の材料を被覆する第2の材料の一領域を、第1の材料自体をその領域から除去することなく選択的に除去することが可能となるように、選択されなければならない。
【0014】
上述のように、第1の材料は、コイル又は管状メッシュの形態のものが可能である。コイルの形態の場合には、コイルは、好ましくは円形断面又は平坦断面を有する第1の材料からなるワイヤより作製することが可能である。管状メッシュの形態の場合には、メッシュ構造体は、複数のフィラメントを含むと有利である。「フィラメント」という用語は、その断面構成及び構造にかかわらず任意の細長ストランドを指すために使用される。例えば、フィラメントの断面は、円形又は平坦であってよい。一実施例においては、メッシュは、例えば反時計回り方向に巻かれたフィラメントの第1のグループと、逆に時計回り方向に巻かれたフィラメントの第2のグループとを含む、複数のらせん巻状フィラメントを含むことが可能である。適切なメッシュ構造体が、特許文献1に記載されている。
【0015】
第1の材料が、メッシュの形態である場合には、フィラメント交差部の密度は、結果的に得られる管の特性を制御するために変更され得る。例えば、高密度メッシュは、より高い強度を有することができ、低密度メッシュは、より高い可撓性を有し得る。さらに、メッシュ密度を変更することにより、メッシュの多孔性が変わることとなる。このことは、メッシュの多孔性により、試験されることとなる材料の管内への拡散速度が制御されるため、外方壁部中の窓の位置においては重要である。コイルの目詰まり度合を変更することにより、同様の効果を得ることが可能である。
【0016】
第2の材料は、第1の材料を被覆して、中空管の連続的な、実質的に不透過性の外方壁部を形成するために使用される。本明細書において使用される際に、実質的に不透過性の、という表現は、第2の材料が、管の外部から管の内部への物質の進入に対して不透過性の、有効に密閉された管を形成することを意味する。したがって、第2の材料の一部分が取り除かれるまでは、この管は、その端部を除いては、その長さ部分にわたって有効に密閉される。
【0017】
第2の材料として使用するために適する材料には、高分子材料が広く含まれ、さらに詳細には、ポリエステル、ポリオレフィン(例えば低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン(PE)など)、フッ素重合体(フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びパーフルオロアルコキシポリマー(PFA)など)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、Pebax(登録商標)、ナイロンなど)、並びにポリウレタンが含まれる。ポリエステル及びポリオレフィンは、コイル又は管状メッシュを覆って押出成形するのに適しているため、好ましい。さらに、例えばレーザ・アブレーションなどによる、ポリエステル又はポリオレフィン被覆部の一部分の選択的な除去もまた、簡便である。ポリオレフィンは、同材料のレーザ・アブレーションが容易であるため、特に好ましい。
【0018】
第2の材料の一部分の選択的な除去の前に、連続的な、実質的に不透過性の管を形成するために、初めに、第2の材料を使用して、第1の材料により形成されたコイル又は管状メッシュを被覆する。第2の材料は、第1の材料の外側面を被覆し、第1の材料により形成されたコイル若しくは管状メッシュの周囲に連続的な、実質的に不透過性の管を有効に形成することが可能であるか、又は、第1の材料を完全にカプセル封入し、第1の材料により形成されたコイル若しくは管状メッシュが中に嵌め込まれる第2の材料からなる管を有効に形成することが可能である。一実施例においては、第2の材料は、第1の材料により形成されたコイル又は管状メッシュに浸漬被覆を行うことにより、第1の材料に塗布されてよい。この実施例においては、第2の材料は、殆どの場合ポリアミドであり、これにより、非常に剛性の管が得られる。別の実施例においては、第1の材料からなるコイル又は管状メッシュが周囲に形成された、第2の材料からなる管を提供することが可能である。次いで、第2の材料からなるさらなる層が、第1の材料を覆うように塗布されて、結果的に、第1の材料は、第2の材料からなる2つの層の間に挟まれることとなる。
【0019】
上述のように、第2の材料からなる一領域を、この領域に第1の材料を留めつつ、選択的に除去することが可能である必要がある。したがって、第2の材料が第1の材料と異なることが、要件となる。ここで、「と異なる」とは、第2の材料からなる一領域を選択的に除去することが可能となるように、第1の材料及び第2の材料が、特性において違いを有さなければならないことを意味する。この違いは、完全に異なる材料を使用することにより、又は、同一の材料を使用するが、異なる物理特性を有する異なる形態のものを使用することによって、実現され得る。好ましくは、完全に異なる材料が使用される。例えば、好ましい一実施例においては、第1の材料は金属であり、第2の材料はポリマーである。
【0020】
第1の材料及び第2の材料に加えて、本発明の管にさらなる材料を含むことが可能である。例えば、いくつかのアプリケーションに関して、管を含むセンサを生体内で(in vivo)可視化することが可能となるように放射線不透過性添加物を含むことが有効である場合がある。例えば、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、及びタングステンなどの、放射線不透過性添加物を添加することが可能である。これらが存在する場合には、これらは、第2の材料の中に添加されると好ましい。
【0021】
本発明のプロセスにおいては、第2の材料の一部分が、外方壁部の一領域において、この領域に第1の材料を留めつつ少なくとも1つの開口を形成するように選択的に除去される。第1の材料が、コイル又は管状メッシュの形態をとるため、第1の材料は、完全に密閉される管を形成しない。したがって、第2の材料が、前記領域から除去されると、これにより、管の連続的な、実質的に不透過性の壁部中に、切れ目が有効に形成される。第2の材料が第1の材料を単純に被覆する場合には、開口が形成されることとなる領域において、この第2の材料により形成される被覆部を単に除去することが必要となる。第2の材料が第1の材料を有効にカプセル封入する場合には、開口が形成されることとなる領域において、第1の材料を囲みカプセル封入する第2の材料を全て除去することが必要となる。
【0022】
好ましくは、センサのプローブ(このセンサの使用により感知されるパラメータ及び/又は分析物の測定が可能なもの)が、第2の材料の選択的な除去によって形成される開口に隣接して配置される。これにより、管の壁部上の開口の領域における環境の感知が可能となる。例えば、センサがグルコース・センサである場合には、ブドウ糖は、センサが導入される血管又は他の腔部からこの開口を介して管内に進入することが可能であり、この管内において、プローブによりブドウ糖の存在を検出し測定することが可能となる。
【0023】
外方壁部中の開口のサイズは、概して1から400mmの間であり、例えば25から225mmの間である。開口のサイズは、小さすぎてはならず、小さすぎる場合には、センサが中に導入される血液又は他の物質が、この開口を通過することが不可能となるか、又は正確な測定を行うには不十分な量において通過することとなる。さらに、開口は、センサを体内に導入する際にプローブが若干移動しても、プローブが開口に隣接するようにプローブを位置決めすることが可能となるのに十分な大きさでなければならない。
【0024】
本発明の一実施例においては、1つの開口のみが、管の壁部中に形成される、すなわち、第2の材料の一領域のみが、選択的に除去される。好ましくは、この開口は、管の周囲部の周囲にわたり一部分のみに延在する。すなわち、管の全長部分に沿って第2の材料の幾分かの連続性を保持することが好ましく、したがって、第2の材料の除去により形成される開口が、管の周囲部の全周にわたり延在しないことが好ましい。例えば、開口が、管の周囲部の最大で75%まで、より好ましくは最大で50%まで延在することが、好ましい場合がある。
【0025】
本発明の別の実施例においては、複数の開口が、管の壁部中に形成されてよく、すなわち、第2の材料の2つ以上の領域が選択的に除去されてよい。この実施例により、プローブを、管の長さ部分にわたって複数の箇所に配置し、多数の測定値を得ることが可能となる。したがって、各プローブを管の壁部内のそれぞれ異なる開口に隣接させた状態で、複数のプローブを管内に配置することが可能である。代替的には、単一のプローブが管内に配置され、このプローブが、ある開口から別の開口にこのプローブを移動させるための手段を備えることが可能であり、これにより、管の長さ部分にわたって複数の箇所において測定値を得ることが可能となる。
【0026】
第2の材料を、複数の異なるプロセスにより選択的に除去することが可能である。最適なプロセスは、第1及び第2の両材料の性質により決定され、プロセスの多くは、関心領域において、この領域に第1の材料を留めつつ、第2の材料が除去されるように、選択される。適切な方法には、レーザ・アブレーション、溶剤、熱、又は研磨による第2の材料の除去が含まれる。最も正確な技術は、レーザ・アブレーションであり、これが好ましい。第2の材料が溶剤により除去される場合には、第2の材料が少なくとも部分的に溶解可能となる溶剤が選択される。除去されることとなる領域をこの溶剤にさらすことにより、この領域に存在する第2の材料が、第1の材料を残しつつ、この溶剤内で効果的に溶解する。
【0027】
本発明において使用される管の直径は、結果的に得られるセンサの用途に応じて様々である。例えば、血管内に導入するためのセンサは、概して、比較的小さな直径を有し、センサの周囲における血流の乱れを低減させる。したがって、これらのセンサにおいて使用される管は、可能な限り小さなものとなるように設計されなければならない。他方において、組織内に又は体腔内に導入するためのセンサは、概してはるかに大きなものが可能であるが、さらに、それらが導入される領域に対する生体適合性を有する必要がある。
【0028】
本発明の適切な管は、概して最大1mmまでの直径を有し、例えば、0.01から1mmであり、より好ましくは0.1から0.8mmであり、さらに好ましくは0.2又は0.25mmから0.7又は0.75mmであり、最も好ましくは0.25から0.5mmである。
【0029】
本発明のセンサは、上述の多孔性管を備え、この管は、少なくとも1つの分析物センサを備えるプローブを収容する。このプローブは、好ましくは、第2の材料が選択的に除去されている管の領域に隣接して配置される。
【0030】
本発明のセンサは、多様なパラメータ及び分析物を感知し測定するために使用することが可能である。例えば、これらのセンサは、ブドウ糖、果糖、カリウム、尿素、クレアチニン、及びチアミンなどの、体内に存在する複数の物質の存在を検出する及び/又はそれらの濃度を測定するために、使用されてよい。このセンサに組み込むことが可能な、複数の分析物のためのレセプタが、当技術において知られている。例えば、クラウンエーテルが、カリウムを検出するために使用されてよく、様々な酵素もまた有効である。サッカライド、とりわけブドウ糖の場合には、有効なレセプタは、フルオロフォアを有するボロン酸化合物である。ボロン酸種は、ブドウ糖と共に複合体を形成する能力を備え、この分子の蛍光発光パターンは、ブドウ糖の存在下において変化し、これにより光学的検出が可能となる。
【0031】
さらに、本発明のセンサは、例えば酸素濃度(pO)、二酸化炭素濃度(pCO)、水素イオン濃度(すなわちpH)、及び/又は温度などの、モニタリングすることが望ましい場合のある複数の他のパラメータを測定するために使用されてよい。
【0032】
最も好ましくは、本発明のセンサは、ブドウ糖濃度を測定するために使用される。ある特定のタイプの侵襲性グルコース・センサを参照として、本発明をさらに説明するが、本発明はそのセンサに限定されないことを理解されたい。患者の血糖値のモニタリングは、特に、集中治療室において有効である。集中治療患者は、非常に高い血糖値を有する傾向があることが判明している。インスリンの投与により正常な血糖値を単に維持することによって、死亡率を著しく低下させることが可能である。しかし、患者が、過剰な量のインスリンを投与されると、低血糖の危険が生じる。ブドウ糖の断続的なモニタリングは、サンプリングから結果確認までの時間が概して長すぎるため、患者の現状を正確に判定することができず、投与されたインスリンに対する反応を正確に判定することができないことから、低血糖を防ぐためには不十分である。さらに、生体内で(in vitro)の断続的モニタリングは、頻繁な試験が必要となることにより看護スタッフに対する作業負荷を著しく増加させる。したがって、連続的なブドウ糖モニタリングを実現する侵襲性デバイスは、集中治療環境において特に有効である。
【0033】
ブドウ糖に加えて、さらに、本発明のセンサは、他のパラメータ又は分析物を測定するために使用することも可能である。例えば、適切なセンサにより、血糖値に加えて、温度、pO、pCO、及びpHの中の、1つ又は複数がさらに測定される。さらに好ましくは、このセンサを使用して、血糖値及び温度の両方が測定される。
【0034】
好ましくは、本発明のセンサは、上述の多孔性管を備え、この管は、分析物センサ及び光ファイバ・ケーブルを備えるプローブを収容し、この光ファイバ・ケーブルにより、分析物センサから受領された信号が受領デバイス(例えば変換器など)に送出され、この受領デバイスにより、この信号が電子デジタル信号に変換されて、次いでこの信号は、表示され、解釈され得る。分析物センサは、好ましくは、グルコース・センサである。さらに好ましくは、プローブは、温度センサをさらに備える。いくつかの実施例においては、プローブ内に圧力センサを備えることが望ましい場合もある。しかし、これは、概して、管の直径を増大させ、比較的好ましくない可能性がある。
【0035】
本発明のセンサは、複数の様々なアプリケーションのために、並びに、複数の腔部、脈管、及び組織内に導入するために設計され得る。好ましくは、センサは、血管内に又は組織内に導入されるように、より好ましくは血管内に導入されるように、設計される。
【実施例1】
【0036】
本発明の第1の特定の実施例が、図2Aに示される。この図は、第2の材料からなる外方壁部Wにより被覆される、第1の材料からなるメッシュMを示す。第2の材料からなる外方壁部が除去されている2つの領域Rが、設けられる。患者内に図2Aのこのデバイスを挿入すると、分析されることとなる物質(例えば血液など)が、両方の開口領域Rにて管材料内に拡散することが可能になる。
【0037】
センサSが、管内に拡散する物質がセンサに容易に到達するように、開口領域Rの中の一方の付近に配置される。開口領域Rは、開口領域が外方壁部中の「窓」として現れるように、管の周囲部の周囲にわたり一部のみに延在する。
【実施例2】
【0038】
この実施例の一変形例が、図2Bに示される。この実施例は、単一の開口領域Rが設けられる点、及び、この開口領域が管の壁部の周囲部の全周にわたり延在する点を除いては、上述のものと同一である。
【実施例3】
【0039】
本発明の他の実施例が、図3に示される。この実施例においては、第1の材料は、第2の材料からなる外方被覆部又は壁部Wにより被覆される、コイルCの形態である。外方壁部中の単一の開口領域Rが設けられ、センサ・プローブSがこの開口の付近に配置される。
【実施例4】
【0040】
図4は、比較的低多孔性のメッシュ又はコイルを有する、本発明の代替の実施例を示す。図4Aは、第1の材料から作製され、第2の材料からなる外方壁部Wにより被覆される、高密メッシュMを有する管を示す。外方壁部W中の開口領域が、管材料の周囲部の全周にわたり延在するのが分かる。この場合には、メッシュMは、高密度のフィラメント交差部を呈する。したがって、この実施例は、強度が上昇し、多孔性が低下する。
【実施例5】
【0041】
図4Bは、第1の材料が、第2の材料からなる外方壁部Wにより被覆されるコイルCの形態である、一実施例を示す。単一の開口領域が設けられ、管材料の周囲部の周囲にわたり一部のみに延在する。センサ・プローブSが、開口領域の付近に配置される。この実施例においては、コイルは、高密になされ、これにより、図4Aに図示される実施例と同様に、強度が上昇し、多孔性が低下する。
【0042】
様々な特定の実施例及び実例を参照として、本発明を説明した。しかし、本発明は、これらの特定の実施例及び実例に決して限定されないことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体又は動物体の中に挿入するための管を調製するための方法において、
(a)第1の材料及び第2の材料を含む中空管を形成するステップであって、前記第1の材料は、コイル又は管状メッシュの形態であり、前記第2の材料は、前記第1の材料を被覆して、前記中空管の連続的な、実質的に不透過性の外方壁部を形成する、ステップと、
(b)前記外方壁部の一領域において、前記第1の材料を留めつつ、少なくとも1つの開口を形成するように前記第2の材料の一部分を選択的に除去するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の材料は、高分子材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の材料は、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、フッ素重合体、及びそれらの組合せから選択される、合成高分子材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の材料は、レーザ・アブレーションによって選択的に除去される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の材料は、ステンレス鋼、チタン、及び金から選択される少なくとも1つの金属を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の材料は、複数のフィラメントから形成される管状メッシュの形態である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記フィラメントは、メッシュ構造部を画成するように構成され、前記メッシュ構造部は、1cmのメッシュ構造部当たり少なくとも0.3cmの複数の開口区域を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の材料は、複数のらせん巻状フィラメントを含み、少なくとも第1の前記フィラメントが、少なくとも第2の前記フィラメントとは逆の方向にらせん状に延在する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の材料は、管状メッシュを形成し、このメッシュ構造部が、編組部である、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の材料は、コイルの形態であり、前記第2の材料の選択的な除去により形成される前記開口のサイズが、前記コイルを延在させる又は収縮させることによって変動され得る、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の材料は、前記管の周囲部の少なくとも一部分の周りに延在する弓部の形状で選択的に除去される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の材料の選択的な除去により形成される前記弓部は、前記管の周囲部全体にわたっては延在しない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記開口は、前記第2の材料が、前記管の少なくとも一部分にわたって長手方向に延在するストリップ又は複数のストリップの形状で選択的に除去されることによって形成される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法により調製可能な、人体又は動物体の中に挿入するための管。
【請求項15】
人体又は動物体の中に挿入するための管であって、コイル又は管状メッシュの形態の第1の材料と、前記第1の材料を被覆して、中空の前記管の連続的な、実質的に不透過性の外方壁部を形成する第2の材料とを含み、前記第2の材料の少なくとも一部分が、前記外方壁部の一領域において、前記第1の材料を留めつつ、少なくとも1つの開口を形成するように選択的に除去されている、管。
【請求項16】
前記第2の材料の選択的な除去により形成される前記開口は、前記管の周囲部の周囲にわたり一部のみに延在する、請求項15に記載の管。
【請求項17】
請求項14から16までのいずれか一項に記載の管を備え、前記管は少なくとも1つの分析物センサを備えるプローブを収容する、センサ・デバイス。
【請求項18】
前記プローブは、前記第2の材料の選択的な除去により前記外方壁部中に形成された前記開口に隣接して位置決めされ得る、請求項17に記載のセンサ・デバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの分析物センサは、ブドウ糖濃度を測定するためのセンサである、請求項17又は18に記載のセンサ・デバイス。
【請求項20】
ブドウ糖を測定するための第1のセンサ及び温度を測定するための第2のセンサを備える、請求項19に記載のセンサ・デバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2010−535561(P2010−535561A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519518(P2010−519518)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002666
【国際公開番号】WO2009/019470
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(509002132)グリシュア リミテッド (4)
【Fターム(参考)】