説明

懐炉

【課題】電池の温度環境を改善して、電池の劣化を防止しながら、加温時間を相当に延長する。放熱プレートと電池とヒーターを独特の配置として、全体を小型で軽量化して持ち運びに便利にする。
【解決手段】懐炉は、充電できる電池1と、この電池1を内蔵すると共に、外部に表出する放熱プレート4を有するケース2と、このケース2の放熱プレート4に熱結合構造で内蔵され、かつ電池1に通電されて加熱されるヒーター3とを備える。放熱プレート4は、ケース2の外側に位置する第1の表面4Aと、ケース2の内側に位置する第2の表面4Bを有し、第2の表面4Bの一部に対向してヒーター3を熱結合状態で配設すると共に、第2の表面4Bの他の部分に対向して電池1を熱結合状態で配設している。懐炉は、ヒーター3の熱が放熱プレート4を介して電池1を加温すると共に、充電される電池1の発熱で放熱プレート4を加温する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池で加温されるヒーターを内蔵する懐炉に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースに電池を内蔵し、この電池でヒーターを加熱する懐炉は開発され、特許文献1に記載される。特許文献1に記載される懐炉を図1に示す。この懐炉は、充電式の電池91と、電池91に通電されて発熱するヒーター93を有するヒーター回路94と、ヒーター回路94を収納するケース92とを備える。この懐炉は、円筒形電池91を平行に並べてケース92に収納して、ケース92に内蔵するヒーター93に通電して発熱する。
【特許文献1】特開平11−70137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の懐炉は、低温環境で使用されるときに電池の消耗が大きく、電池で効率よくケースを加温できない欠点がある。それは、電池でヒーターを加熱し、加熱されたヒーターがケース内の空気を加温し、この空気を介して電池を加温するので、スイッチをオンにして電池の温度が上昇するのに時間がかかるからである。このため、スイッチをオンに切り換えるときに懐炉の温度が低いときに、電池の消耗が甚だしくなる欠点がある。さらに、懐炉が使用される温度環境は、電池の好ましい温度環境とは一致せず、懐炉の使用環境において電池が劣化がしやすく、また実質的に放電できる容量が減少して、長時間加温状態にできない等の欠点がある。
【0004】
本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、電池の温度環境を改善して、電池の劣化を防止しながら、加温時間を相当に延長できる懐炉を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、放熱プレートと電池とヒーターを独特の配置として、全体を小型で軽量化して持ち運びに便利な懐炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の懐炉は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
懐炉は、充電できる電池1と、この電池1を内蔵すると共に、外部に表出する放熱プレート4を有するケース2と、このケース2の放熱プレート4に熱結合構造で内蔵され、かつ電池1に通電されて加熱されるヒーター3とを備える。放熱プレート4は、ケース2の外側に位置する第1の表面4Aと、ケース2の内側に位置する第2の表面4Bを有し、第2の表面4Bの一部に対向してヒーター3を熱結合状態で配設すると共に、第2の表面4Bの他の部分に対向して電池1を熱結合状態で配設している。懐炉は、ヒーター3の熱が放熱プレート4を介して電池1を加温する。
【0006】
本発明の請求項2の懐炉は、請求項1の構成に加えて、電池が対向する両面をフラット面1aとしてなる角型のリチウムイオン二次電池又はリチウムポリマー電池からなる角型電池で、ヒーター3を板状発熱体としている。この懐炉は、放熱プレート4の裏面の一部に対向して角形の電池1が配置されると共に、放熱プレート4の他の一部に対向して板状発熱体を配置している。
【0007】
本発明の請求項3の懐炉は、請求項1または2の構成に加えて、ヒーター3を、平面状PTCヒーター3Aとしている。
【0008】
本発明の請求項4の懐炉は、請求項1の構成に加えて、ケース2がプラスチック製の本体ケース5と、この本体ケース5に固定している金属板からなる放熱プレート4を有する。
【0009】
本発明の請求項5の懐炉は、請求項1の構成に加えて、ケース2内に、電池1とヒーター3とを嵌着構造で定位置に配置するプラスチック製のホルダーケース8を配設している。この懐炉は、電池1とヒーター3とをホルダーケース8に嵌着させてケース2内の定位置に配置している。
【0010】
本発明の請求項6の懐炉は、請求項5の構成に加えて、ホルダーケース8が放熱プレート4と電池1との間に配設される熱結合隔壁41を有し、この熱結合隔壁41が放熱プレート4と電池1を熱結合する熱結合穴42を有する。
【0011】
本発明の請求項7の懐炉は、請求項1の構成に加えて、電池1からヒーター3に供給する電力をコントロールする制御回路6と、放熱プレート4の温度を検出する温度センサ10とを備え、制御回路6が供給電力をコントロールして放熱プレート4の温度を制御する。
【0012】
本発明の請求項8の懐炉は、請求項7の構成に加えて、制御回路6が、放熱プレート4の初期設定温度をノーマル設定温度よりも高く制御する。
【0013】
本発明の請求項9の懐炉は、請求項7の構成に加えて、制御回路6が、電池1とヒーター3との間に接続しているスイッチング素子11と、このスイッチング素子11をコントロールする制御部12とを備え、制御部12がスイッチング素子11を所定の周期でオンオフに切り換えるデューティーを制御して、放熱プレート4の温度をコントロールしている。
【0014】
本発明の請求項10の懐炉は、請求項1の構成に加えて、ヒーター3の反対側に外気温度センサ16を配置しており、この外気温度センサ16の検出温度で懐炉の非使用状態を判定して電源をオフにする。
【0015】
本発明の請求項11の懐炉は、請求項1の構成に加えて、ケース2内に、電池1で駆動されさるバイブレータ17を内蔵している。
【0016】
本発明の請求項12の懐炉は、請求項1の構成に加えて、設定温度が異なる複数のヒーターを内蔵しており、通電するヒーターを切り換えて放熱プレートの温度をコントロールしている。
【0017】
本発明の請求項13の懐炉は、請求項1の構成に加えて、ケースの両面に一対の放熱プレートを配設して、一対の放熱プレートの間に電池とヒーターを配設している。
【0018】
本発明の請求項14の懐炉は、請求項7の構成に加えて、制御回路6が設定温度を記憶するメモリ13を備えると共に、この制御回路6に接続しているUSB端子14を有する。この懐炉は、USB端子14を介してコンピュータに接続して、メモリ13に記憶される設定温度を変更する。
【0019】
本発明の請求項15の懐炉は、請求項7の構成に加えて、ケースに設けている複数のLED15を備えると共に、制御回路6がLED15の点灯状態を記憶するメモリ13を内蔵している。さらに、この懐炉は、制御回路6に接続しているUSB端子14を備え、このUSB端子14を介してコンピュータに接続して、メモリ13に記憶されるLED15の点灯状態を変更する。
【0020】
本発明の請求項16の懐炉は、請求項1の構成に加えて、放熱プレート4の表面をエラストマー9で被覆している。
【0021】
本発明の請求項17の懐炉は、請求項3の構成に加えて、平面状PTCヒーター3Aを電池1と直列に接続して、電池1の保護回路に併用している。
【0022】
本発明の請求項18の懐炉は、請求項7の構成に加えて、制御回路6が、電池1の温度を検出する温度センサ18を備え、電池温度が設定温度よりも低い状態で、ヒーター3が電池1を余熱する。
【0023】
本発明の請求項19の懐炉は、請求項1の構成に加えて、電池1がリチウムポリマー電池で、放熱プレートとケースを変形できるようにしている。
【0024】
本発明の請求項20の懐炉は、請求項1の構成に加えて、ケース2に電池1の充電回路25、35を内蔵している。
【0025】
本発明の請求項21の懐炉は、請求項20の構成に加えて、充電回路35が、無接点充電回路32を備えている。
【0026】
本発明の請求項22の懐炉は、請求項20の構成に加えて、充電回路25をUSB端子14に接続して、USB端子14から電池1を充電する。
【0027】
本発明の請求項23の懐炉は、請求項20の構成に加えて、ケース2に、充電回路25に接続されるACプラグ31を設けており、このACプラグ31をコンセントに接続して電池1を充電する。
【0028】
本発明の請求項24の懐炉は、請求項1の構成に加えて、放熱プレート4の表面に無数の凹凸4aを設けている。
【0029】
本発明の請求項25の懐炉は、請求項1の構成に加えて、放熱プレート4とヒーター3との間に、ヒーター3に通電する金属板54を配設しており、金属板54を放熱プレート4に面接触して熱結合し、ヒーター3には突出部を介して電気接続している。
【0030】
本発明の請求項26の懐炉は、請求項1の構成に加えて、ヒーター3に通電する電池1から電力を供給する防犯ブザー80を内蔵している。
【0031】
本発明の請求項27の懐炉は、請求項25の構成に加えて、電池1の残容量又は電圧を検出して、残容量又は電圧が設定値よりも小さくなるとヒーター3への通電を遮断して防犯ブザー80にのみ電力を供給する状態に切り換える制御部12を内蔵している。
【0032】
本発明の請求項28の懐炉は、請求項25の構成に加えて、制御回路6を構成する電子部品を実装する回路基板7を備えており、この回路基板7をヒーター3の反対側に配置すると共に、ヒーター3と回路基板7の間に電池1を配設している。
【発明の効果】
【0033】
本発明の懐炉は、使用状態における電池温度を好ましい温度範囲にできる。とくに、懐炉が使用される低温環境において電池温度を化学変化が起こりやすい最適環境にできる特徴がある。それは、本発明の懐炉が、放熱プレートの内側面である第2の表面に、ヒーターと電池の両方を熱結合状態で配置するからである。この構造の懐炉は、ヒーターで加温される放熱プレートを介して電池が加温される。化学変化で発電する電池は、低温環境では電気特性が著しく低下する。懐炉は、放熱プレートの温度を約40℃に設定して使用される。電池の40℃における電気特性を図18に示す。この図は、20℃と40℃におけるリチウムイオン二次電池の充放電特性を示している。この図は、40℃における実質放電容量が20℃よりも相当に大きく、しかも充放電を繰り返してもこの実質放電容量が大きいことを明示する。したがって、ヒーターで加温される放熱プレートに熱結合状態で配置される電池は、快適な温度環境となって、実質放電容量が大きく、また充放電を繰り返してもその特性の低下が少ない。したがって、本発明の懐炉は、電池の劣化を防止しながら、加温時間を長くできる特徴が実現される。
【0034】
さらに本発明の懐炉は、充電される電池の劣化をも有効に防止できる特徴も実現する。電池は充電されるときに発熱する。とくに、充電末期の発熱が大きく、この状態での温度上昇が電池を劣化させる原因となる。本発明は電池を放熱プレートに熱結合状態で配置する。このため、発熱する充電電池の熱は放熱プレートに伝えられて、放熱プレートが電池の放熱フィンの作用をする。したがって、放熱プレートは、充電される電池の熱を奪って電池の温度上昇を少なくし、充電電池の温度上昇による劣化を効果的に防止する。
【0035】
さらにまた、充電される電池で加温された放熱プレートは、懐炉として使用するときに、ヒーターの消費電力を少なくして、電池による放熱プレートの加温時間をさらに長くする効果も実現する。それは、ヒーターの電気抵抗は温度が低い状態で小さい。このため、低温でヒーターに通電するときに電池の消耗が甚だしい。放熱プレートが加温された状態にあると、ヒーターの電気抵抗が大きく電池の消耗が少なくなる。このため、本発明の懐炉は、充電後の放熱プレートが加温された状態で使用すると、電池の消耗を相当に小さくして、電池による加温時間を著しく長くできる特徴も実現する。
【0036】
とくに、本発明の請求項2の懐炉は、請求項1の構成に加えて、電池を、リチウムイオン二次電池又はリチウムポリマー電池からなる角形の電池とし、さらにヒーターを板状発熱体とするので、ヒーターを広い面積で放熱プレートに接触して、ヒーターで効率よく放熱プレートを加温でき、さらに、放熱プレートと電池とも広い面積で接触して、理想的な熱結合状態に配置できる。このため、電池で効率よく放熱プレートと電池の両方を加温し、さらに、電池の熱を有効に放熱プレートに伝導できる。したがって、電池による加温時間を長くでき、また電池の劣化をも少なくできる特徴がある。
【0037】
本発明の請求項3の懐炉は、ヒーターを平面状PTCヒーターとするので、平面状PTCヒーター自体で温度設定して、安全に使用できる特長がある。それは、平面状PTCヒーターが、通電されて温度が設定温度まで上昇すると、電気抵抗が急激に大きくなって実質的には電流を遮断するからである。この懐炉は、平面状PTCヒーターで温度を設定温度以下にコントロールすることにより、温度を制御する制御回路を使用しないで、簡単な構造で最高温度を設定温度よりも低くできる。
【0038】
本発明の請求項4の懐炉は、ケースが、プラスチック製の本体ケースと、この本体ケースに固定している金属板からなる放熱プレートを有しているので、本体ケースを絶縁材のプラスチックで成形して絶縁しながら、放熱プレートを熱伝導に優れたが金属板として、ヒーターと電池との熱伝導を良好にできる特長がある。
【0039】
本発明の請求項5の懐炉は、ケース内に、電池とヒーターとを嵌着構造で定位置に配置するプラスチック製のホルダーケースを配設しており、電池とヒーターとをホルダーケースに嵌着させてケース内の定位置に配置しているので、無駄なスペースができないように、電池とヒーターとを定位置に配置して、より小型化しながら、組み立てを簡単にできる特徴も実現する。
【0040】
本発明の請求項6の懐炉は、ホルダーケースが放熱プレートと電池との間に配設される熱結合隔壁を有しているので、電池と放熱プレートが熱結合隔壁を介して接触して、電池から放熱プレートに、また放熱プレートから電池に熱伝導で熱を伝えることができる。さらに、この熱結合隔壁は、放熱プレートと電池を熱結合する熱結合穴を有しているので、熱結合穴でもって、電池から放熱プレートに、また放熱プレートから電池に輻射熱で熱を伝えることができる。
【0041】
さらに、本発明の請求項7の懐炉は、電池からヒーターに供給する電力をコントロールする制御回路と、放熱プレートの温度を検出する温度センサとを備え、制御回路が供給電力をコントロールして放熱プレートの温度を制御するので、ヒーターと放熱プレートの温度を制御回路で制御して、最適温度に加温できる。
【0042】
また、本発明の請求項8の懐炉は、制御回路が、放熱プレートの初期設定温度をノーマル設定温度よりも高く制御するので、懐炉を使用するときに暖かくして、ユーザーは、寒いときには、低温火傷等を防止しながら、速やかに手などを加温できる特徴がある。
【0043】
さらに、本発明の請求項9の懐炉は、制御回路が、電池とヒーターとの間に接続しているスイッチング素子と、このスイッチング素子をコントロールする制御部とを備え、制御部がスイッチング素子を所定の周期でオンオフに切り換えるデューティーを制御して、放熱プレートの温度をコントロールするので、ヒーターと放熱プレートの温度を自由にコントロールできる特徴がある。
【0044】
また、本発明の請求項10の懐炉は、ヒーターの反対側に外気温度センサを配置し、この外気温度センサの検出温度で懐炉の非使用状態を判定して電源をオフにするので、電池の無駄な消費を防止できる特徴がある。
【0045】
さらにまた、本発明の請求項11の懐炉は、ケース内に、電池で駆動されさるバイブレータを内蔵しているので、放熱プレートを加温しながらバイブレータでマッサージして快適に使用できる特徴がある。
【0046】
また、本発明の請求項12の懐炉は、設定温度が異なる複数のヒーターを内蔵して、通電するヒーターを切り換えて放熱プレートの温度をコントロールするので、ヒーターを切り換えてヒーターと放熱プレートの温度を簡単に変更できる特徴がある。
【0047】
また、本発明の請求項14の懐炉は、制御回路が設定温度を記憶するメモリを備え、この制御回路に接続しているUSB端子からコンピュータでメモリに記憶される設定温度が変更できるので、ユーザーはコンピュータを使用して、懐炉の設定温度を自分に最適な温度に設定できる特徴がある。
【0048】
また、本発明の請求項15の懐炉は、ケースに複数のLEDを設け、このLEDを制御回路のメモリに記憶し、さらに、この制御回路にUSB端子を介してコンピュータを接続して、メモリに記憶されるLEDの点灯状態が変更できるので、ユーザーが自分の好きな点灯状態にLEDを発光できる。
【0049】
さらにまた、本発明の請求項16の懐炉は、放熱プレートの表面をエラストマーで被覆しているので、エラストマーで低温火傷を防止しながら、衝撃のショックを吸収して耐落下強度を向上できる。
【0050】
また、本発明の請求項16の懐炉は、平面状PTCヒーターが電池と直列に接続されて、電池の保護回路に併用されるので、平面状PTCヒーターでもって電池の短絡電流などが流れるのを防止できる。
【0051】
さらに、本発明の請求項18の懐炉は、制御回路が、電池の温度を検出する温度センサを備え、電池温度が設定温度よりも低い状態で、ヒーターが電池を余熱するので、懐炉が低温に保存される状態で、電池の低温障害を防止できる。
【0052】
また、本発明の請求項19の懐炉は、電池をリチウムポリマー電池とし、さらに放熱プレートとケースを変形できるようにしているので、使用箇所によっては、体の表面に沿って変形して、快適に使用できる特徴がある。
【0053】
さらに、本発明の請求項20の懐炉は、ケースに電池の充電回路を内蔵しているので、内蔵電池を簡単に充電できる。とくに、請求項21の懐炉は、無接点充電回路を備えるので、コネクタなどを接続することなく電池を充電できる。また、請求項22の懐炉は、USB端子から電池を充電できるので、懐炉をコンピュータのUSB端子などに接続して電池を充電できる。また、請求項23の懐炉は、充電回路にACプラグを接続しているので、このACプラグをコンセントに接続して電池を充電できる。
【0054】
さらに、本発明の請求項24の懐炉は、放熱プレートに無数の凹凸を設けているので、低温障害を防止できる。
【0055】
さらに、本発明の請求項24の懐炉は、放熱プレートの内面に平面部を設けて、この平面部をヒーターに熱結合するので、ヒーターの熱を有効に放熱プレートに熱伝導できる。
【0056】
さらに、本発明の請求項25の懐炉は、放熱プレートとヒーターとの間に、ヒーターに通電する金属板を配設して、この金属板を放熱プレートに面接触させて熱結合するので、ヒーターの温度変化に対する放熱プレートの温度変化を少なくできる特長がある。とくに、この懐炉は、金属板に設けた突出部を介して、金属板をヒーターに電気接続するので、金属板とヒーターとを確実に電気接続できる。
【0057】
さらに、本発明の請求項26の懐炉は、ヒーターに通電する電池から電力を供給する防犯ブザーを内蔵している。このように、防犯ブザーを内蔵する懐炉は、手で握って、あるいはポケットに入れた状態で持ち運びするので、冬の夜道等において、緊急時にすばやく操作してブザーを鳴らすことができる。
【0058】
さらに、本発明の請求項27の懐炉は、電池の残容量又は電圧を検出して、設定値よりも小さくなるとヒーターへの通電を遮断して防犯ブザーにのみ電力を供給するので、緊急時に電池が切れるのを阻止して、防犯ブザーを確実に作動させることができる。
【0059】
さらにまた、本発明の請求項28の懐炉は、制御回路を構成する電子部品を実装する回路基板をヒーターの反対側に配置すると共に、ヒーターと回路基板の間に電池を配設しているので、ヒーターと回路基板の中間に位置する電池によって、ヒーターの熱が回路基板の電子部品に伝達されるのを有効に防止してできる特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための懐炉を例示するものであって、本発明は懐炉を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0061】
図2ないし図8に示す懐炉は、電池1と、この電池1を内蔵するケース2と、このケース2に内蔵している電池1に通電されて加熱されるヒーター3と、このヒーター3に熱結合している放熱プレート4と、ヒーター3に供給する電力をコントロールする制御回路6とを備える。ヒーター3は、板状発熱体とすることができる。このヒーター3として、平面状PTCヒーター3Aが使用できる。ただ、ヒーターとしては、平面状PTCヒーター以外に、トランジスターの発熱を利用したもの、抵抗体等も利用できる。
【0062】
電池1は、対向する両面をフラット面1aとしてなる角型のリチウムイオン二次電池又はリチウムポリマー電池である。電池1は、アルミニウムやアルミニウム合金を角型にプレス加工している外装缶に、電極と電解液を入れて密閉している。その外周には、絶縁等のために、絶縁性の樹脂材料シート或いはチューブが装着されている。この電池1は、外装缶のフラット面1aの内面に電極を密接している。このため、冬季の低温状態において、外装缶のフラット面1aを介して電極を所定の温度に加温して、低温時の電気特性を速やかに改善できる。電池1は、電圧を3.7V、容量を2000mAhとするリチウムイオン二次電池である。この電池1は、平面状PTCヒーター3Aで放熱プレート4を42℃〜46℃に加温して、約10〜12時間使用できる。ただ、電池には、リチウムポリマー電池も使用できる。
【0063】
ケース2は、全体の平面形状を所定の厚さの四角形、図においては長方形としている。このケース2は、絶縁材であるプラスチック製の本体ケース5と、放熱プレート4とからなる。この放熱プレート4は、熱伝導が良好であることが望ましく、例えば、金属板からなる。ケース2には、電池1とヒーター3を定位置に配置する絶縁材からなるホルダーケース8を内蔵している。
【0064】
ケース2は、ホルダーケース8を介して、電池1と、制御回路6の電子部品を実装する回路基板7と、ヒーター3とを内蔵する大きさに成形している。さらに、本体ケース5は、ホルダーケース8を連結する止ネジ20をねじ込む連結ボス21を一体的に成形して設けている。連結ボス21は、本体ケース5の四隅部に配置される。
【0065】
放熱プレート4は、全体を金属板をプレス加工して製作している。金属板は、アルミニウム板である。ただし、放熱プレートの金属板は、鉄板、銅板、シンチュウ板なども使用できる。さらに、放熱プレートは、熱伝導に優れた全ての熱伝導材、たとえば金属粉末を充填して成形しているプラスチック等も使用できる。また、放熱プレートは、樹脂材料とすることもできる。放熱プレート4は、図3の一部拡大断面図に示すように、表面に無数の凹凸4aを設けて、低温火傷を防止できる。凹凸4aのある放熱プレート4が、人体に面接触する状態で密着しないからである。また、図9に示すように、放熱プレート4の表面をエラストマー9で被覆して、低温火傷を防止することもできる。さらにまた、ケース2の表面をエラストマー9で被覆する懐炉は、落下による衝撃等を吸収して、耐衝撃強度を向上することもできる。なお、図9に示す実施例において、図3に示す実施例と同じ構成要素については、同符号を付して、その説明を省略する。
【0066】
図2の放熱プレート4は、両端部を突出させて突出部をバンド連結部22としている。バンド連結部22は、バンドを挿通するスリット23を設けている。このケース2は、バンド連結部22に連結されるバンド24でもって、ユーザーが懐炉を体の一部に安定して位置ずれしないように固定できる特徴がある。また、金属板からなる放熱プレート4にバンド連結部22を設ける構造は、バンド連結部22を強靱な構造にできる。このため、バンド24で強く引っ張ってもケース2が破損したり変形するのを防止できる。また、放熱プレート4の面積を大きくして、ユーザーを広い面積で加温できる。
【0067】
本体ケース5は、ホルダーケース8を固定して、このホルダーケース8でもって、電池1とヒーター3と回路基板7を定位置に配置している。ホルダーケース8は、全体を絶縁材のプラスチックで成形している。図のホルダーケース8は、その外形を本体ケース5の内形よりもわずかに小さくして、本体ケース5の内側に嵌着して定位置に配置される。
【0068】
懐炉は、放熱プレート4の内側に位置する第2の表面4Bの一部に対向してヒーター3を熱結合状態で配設し、さらに、第2の表面4Bの他の部分に対向して電池1を熱結合状態で配設している。電池1と放熱プレート4とを熱結合状態で配置するために、ホルダーケース8は、放熱プレート4と電池1との間に熱結合隔壁41を設けている。この熱結合隔壁41は、角形の電池1の熱を放熱プレート4に、また放熱プレート4の熱を角形の電池1に伝える。図の熱結合隔壁41は、開口である熱結合穴42の外周に位置し、従って、熱結合穴42を開口して、熱結合穴42でもって、電池1から放熱プレート4に、また放熱プレート4から電池1に輻射熱で伝える。また、電池1と放熱プレート4が熱結合隔壁41を介して接触して、電池1から放熱プレート4に、また放熱プレート4から電池1に熱伝導で熱を伝える。電池1と放熱プレート4を輻射熱で熱結合する熱結合隔壁41は、たとえば1mm以下と薄く成形して、電池1と放熱プレート4とを互いに接近させて、輻射熱で効率よく熱を伝える。さらに、熱結合穴に、たとえば熱結合剤であるシリコン等を充填して、電池と放熱プレートとを熱結合状態に配置することもできる。この構造は、熱結合剤を介して電池から放熱プレートに、また放熱プレートから電池に熱伝導されて効率よく熱を伝えることができる。このため、熱結合穴に熱結合剤を充填する構造は、熱結合隔壁を厚く成形して、電池と放熱プレートの熱伝導をよくできる。
なお、電池から放熱プレートに、また放熱プレートから電池に熱が良好に伝達するのであれば、熱結合穴をなくし、熱結合隔壁が延長した形状の板状、換言するなら、熱結合穴を閉塞する板状とすることもできる。
【0069】
電池1と放熱プレート4との間に、熱結合穴42のある熱結合隔壁41を配置する懐炉は、電池1を定位置に配置しながら、電池1と放熱プレート4とを熱結合状態で配置できる。ただし、本発明の懐炉は、電池と放熱プレートとを熱結合状態で配置する構造をこの構造には特定しない。たとえば、電池と放熱プレートの表面に、マイカなどの絶縁熱伝導シートを挟着し、絶縁熱伝導シートで絶縁しながら熱結合状態で配置することもできる。この構造は、マイカなどの絶縁熱伝導シートの表面にシリコンオイルを塗布して熱伝導を良くすることができる。
【0070】
ホルダーケース8は、その外周に沿って内周壁43を設けている。内周壁43は、本体ケース5の外周に設けている周壁40の内側に配設される。さらに、ホルダーケース8は、角形の電池1を定位置に配置するために、図6において熱結合隔壁41の下面に角形の電池1を嵌着する嵌着壁44を一体的に成形して設けている。さらに、ホルダーケース8は、熱結合隔壁41の片側の下面に、回路基板7を定位置に配置する凹凸45を設けると共に、この上面には、回路基板7やヒーター3に接続されるリード50を貫通するスリット51を設けている。さらに、ホルダーケース8は、回路基板7と反対側の上面に、ヒーター3を定位置に配置する位置決リブ46を設けている。回路基板7は、本体ケース5とホルダーケース8と間に配置されて、上下から狭着される状態で定位置に保持される。また、ヒーター3は、ホルダーケース8の上面に嵌着される。さらに、回路基板7とヒーター3は、これらに接続されるリード50をスリット51に挿通して、ホルダーケース8の定位置に配置される。
【0071】
放熱プレート4は、金属板をプレス加工して、本体ケース5の周壁40の外側に位置する外周壁52を設けている。本体ケース5の外周壁52は、バンド連結部22との境界の外周壁52に連結孔53を設けている。連結孔53は、本体ケース5とホルダーケース8の係止部47を係止して、放熱プレート4に本体ケース5とホルダーケース8を固定する。この構造は、ホルダーケース8をネジ止めして本体ケース5に連結し、互いに連結された本体ケース5とホルダーケース8の係止部47を放熱プレート4の連結孔53に連結して組み立てられる。本体ケース5の係止部47は弾性変形する係止フックである。この構造は、本体ケース5を放熱プレート4に挿入して、係止部47である係止フックを連結孔53に案内して、放熱プレート4に簡単に連結できる。
【0072】
ヒーター3は、ほぼ円板状の平面状PTCヒーター3Aである。このヒーター3は、ホルダーケース8の上面にあって、放熱プレート4の第2の表面4Bに対向し、放熱プレート4に接近して熱結合状態で配置される。この平面状PTCヒーター3Aは、放熱プレート4を加温する。平面状PTCヒーター3Aは、通電されて温度が設定温度まで上昇すると、電気抵抗が急激に大きくなって実質的には電流が遮断される。したがって、平面状PTCヒーター3Aは、自己で温度を設定温度以下にコントロールする機能があり、温度を制御する制御回路を使用しないで、最高温度を設定温度よりも低くできる。ただ、平面状PTCヒーター3Aは、通電する電流をコントロールして温度を制御することもできる。平面状PTCヒーター3Aは、その両面に、銀メッキされた電極が形成されており、その表面に、金属板54、55が押圧した状態で接触することで、電力が供給される。金属板54、55は、リード50を介して、回路基板7に電気接続されている。
【0073】
図の懐炉は、ひとつのヒーターを内蔵するが、複数のヒーターを内蔵することもできる。複数のヒーターを内蔵する懐炉は、各々のヒーターの設定温度を同じ温度とし、あるいは異なる温度とすることができる。設定温度が異なるヒーターを内蔵する懐炉は、通電するヒーターを切り換えて放熱プレートの温度をコントロールすることができる。たとえば、ふたつの平面状PTCヒーターを内蔵する懐炉は、ひとつの平面状PTCヒーターの設定温度を45℃、別の平面状PTCヒーターの設定温度を48℃とする。この懐炉は、設定温度を45℃とする平面状PTCヒーターに通電して放熱プレートを45℃まで加温する。また、48℃の平面状PTCヒーターに通電して、平面状PTCヒーターを48℃まで加温する。また、両方の平面状PTCヒーターに通電して、放熱プレートを速やかに温度上昇させて、48℃まで加温する。
【0074】
さらに、懐炉は、ユーザーの体に沿って変形できる構造とすることもできる。図に示すように、両側にバンド連結部22を設けている懐炉は、バンド連結部22を折曲できるように連結して、ユーザーの体に沿う形状に変形できる。また、懐炉は、図示しないが、全体を複数のユニットに分割し、各々のユニットを折曲できるように連結して、ユーザーの体に沿うよう形状に変形できる。この懐炉は、分割された各々のユニットに電池とヒーターと放熱プレートを設け、あるいはひとつのユニットに電池を内蔵して、他のユニットには放熱プレートとこれを加温するヒーターを設ける構造とすることができる。
【0075】
さらに、懐炉は、図示しないが、全体を湾曲できる構造とすることもできる。この懐炉は、本体ケースを変形できる軟質のプラスチックやゴムで成形すると共に、ケースに内蔵される電池をリチウムポリマー電池とし、さらに放熱プレートを湾曲できる薄い金属板とし、あるいは軟質プラスチックの表面に金属箔を固定する構造とする。この懐炉は、体の温めたい部分に沿う形状に全体を湾曲させて、快適に使用できる特長がある。また、軟質部材で成形されるケースは、触感を良くできる特長もある。
【0076】
懐炉の回路図を図8に示す。この回路図の懐炉は、電池1からヒーターである平面状PTCヒーター3Aに供給する電力をコントロールする制御回路6と、放熱プレート4の温度を検出する温度センサ10とを備える。制御回路6は、平面状PTCヒーター3Aへの供給電力をコントロールして、平面状PTCヒーター3Aの温度、すなわち放熱プレート4の温度を制御する。
【0077】
この制御回路6は、電池1と平面状PTCヒーター3Aとの間に接続しているスイッチング素子11と、このスイッチング素子11をオンオフに制御するマイコンを含む制御部12とを備える。この懐炉は、平面状PTCヒーター3Aがスイッチング素子11を介して電池1と直列に接続されるので、平面状PTCヒーター3Aが電池1の保護回路に併用される。たとえば、スイッチング素子11が内部短絡あるいは溶着されてオン状態に保持されても、平面状PTCヒーター3Aは設定温度になる電気抵抗が急激に大きくなって、電流を実質的に遮断して電池1を保護するからである。
【0078】
制御部12は、スイッチング素子11を所定の周期でオンオフに切り換えるデューティーを制御して、放熱プレート4の温度をコントロールする。制御部12がスイッチング素子11をオンにする時間を長くして、平面状PTCヒーター3Aの温度を高く、すなわち放熱プレート4の温度を高くできる。また、反対に制御部12がスイッチング素子11のオン時間を短くして、平面状PTCヒーター3Aと放熱プレート4の温度を低くできる。また、制御部12は、放熱プレート4の温度を検出する温度センサ10からの信号で、スイッチング素子11のデューティーをコントロールして、平面状PTCヒーター3Aと放熱プレート4を設定温度とすることもできる。
【0079】
制御回路6は、設定温度を記憶するメモリ13を制御部12に内蔵している。平面状PTCヒーター3Aが、メモリ13に記憶される設定温度となるように、制御部12はスイッチング素子11をオンオフに切り換えるデューティーを制御する。制御部12は、必ずしもスイッチング素子11を所定の周期でオンオフに切り換えてデューティーで温度を制御する必要はない。制御部12は、温度センサ10からの信号で、平面状PTCヒーター3Aが設定温度よりも高くなるとスイッチング素子11をオフに切り換え、平面状PTCヒーター3Aが設定温度よりも低くなるとスイッチング素子11をオンに切り換える制御をして、平面状PTCヒーター3Aを設定温度に保持することもできる。
【0080】
制御回路6のメモリ13は、初期設定温度とノーマル設定温度を記憶している。初期設定温度は、ノーマル設定温度よりも高くしている。この制御回路6は、図10に示すように、懐炉の電源スイッチ19を入れた最初に、平面状PTCヒーター3Aを初期設定温度に加温し、その後、ノーマル設定温度に制御する。この温度カーブで平面状PTCヒーター3Aと放熱プレート4を加温する懐炉は、短時間で速やかに加温して、ユーザーが冷えたときに暖かく加温できる。その後は、ノーマル設定温度とするので、平面状PTCヒーター3Aの平均電流を少なくして、長時間使用できる。
【0081】
さらに、図の制御回路6は、懐炉が使用されない状態を検出するために、外気温度センサ16を配置している。この外気温度センサー16は、図示しないが、平面状PTCヒーター3Aの反対側に配置される。この懐炉は、外気温度センサ16で検出される外気温度である検出温度で懐炉が使用されない状態、すなわち非使用状態を判定してスイッチング素子11をオフにする。ここで、外気温度線センサ16近傍のケースに開口を設け、外気をケース内に導入できるようにしても良い。
【0082】
この制御回路6は、平面状PTCヒーター3Aの温度と外気温度センサ16の信号で、非使用状態を判別して、スイッチング素子11をオフに切り換える。図11は、スイッチング素子11をオフに切り換える領域をハッチングで示している。平面状PTCヒーター3Aの温度と外気温度とが、この図のハッチングの領域にあるとき、制御回路6はスイッチング素子11をオフに切り換える。このハッチングの領域は、平面状PTCヒーター3Aの温度が外気温度よりも高い状態、いいかえると外気温度センサ16の検出温度が低い状態、すなわち懐炉が衣類の内部にない状態であるから、非使用状態と判定する。この懐炉は、使用しないときに自動的にスイッチング素子11がオフに切り換えられるので、電池1の無駄な消費を解消できる。
【0083】
さらに、図12に示す懐炉は、制御回路6の制御部12にUSB端子14を接続している。このUSB端子14は、図示しないが、ケースに設けることができる。USB端子14はコンピュータに接続される。この制御回路6は、USB端子14を介してコンピュータに接続され、コンピュータから入力される制御信号で、メモリ13に記憶している設定温度を変更できるようにしている。この懐炉は、コンピュータに接続されて、ユーザーが自分に最適な設定温度に調整できる。
【0084】
さらに、図12の懐炉は、複数のLED15を制御回路6に接続している。LED15は、図示しないが、ケースに内蔵される回路基板に固定されて、制御回路6で点滅状態が制御される。懐炉は、たとえば、LED15の表面側に配置されるケースを透光性を有するプラスチックで製作し、LED15の発光を透過させて外部に表示することも、ケースに、LED15を表出させる開口窓を設けて、ケースの開口窓からLEDを表出させて外部に表示することもできる。制御回路6は、LED15を点灯する点灯パターンを制御部12のメモリ13に記憶している。制御部12のメモリ13に記憶されるLED15の点灯パターンは、USB端子14を介して接続されるコンピュータで変更される。この懐炉は、コンピュータを接続して、LED15の点灯状態をコントロールして、ユーザーが自分の好む点灯パターンに変更できる。
なお、図12に示す実施例において、図8に示す実施例と同じ構成要素については、同符号を付して、その説明を省略する。
【0085】
さらにまた、図13の懐炉は、ケース2内に、電池1で駆動されさるバイブレータ17を内蔵している。この懐炉は、放熱プレート4を加熱しながら、人体をマッサージできる特徴がある。また、放熱プレート4で加熱しない状態にあっても、人体をマッサージすることもできる。さらにまた、懐炉の作動中において、制御部により、バイブレータ17を周期的(10分から1時間の間に1回、10秒程度)に振動させることで、懐炉が作動中であることを確認できる。
なお、図13に示す実施例において、図3に示す実施例と同じ構成要素については、同符号を付して、その説明を省略する。
【0086】
図3の断面図に示す懐炉は、放熱プレート4がケース2の外側に位置する第1の表面4Aと、ケース2の内側に位置する第2の表面4Bとを有し、この第2の表面4Bに対向して電池1とヒーター3とを配設している。この懐炉は、放熱プレート4の内面に対向して、電池1及びヒーター3の両方を配設する。この懐炉は、電池1とヒーター3と放熱プレート4を3層構造には積層しないで、電池1及びヒーター3を配設する第1の層と、放熱プレートを配設する第2の層とを積層する2層構造とする。この懐炉は、電池1とヒーター3とをひとつの層に配置するので、3層構造の懐炉に比較して、全体を薄くできる。
【0087】
さらに、放熱プレート4の内面には、角形の電池1のフラット面1aを熱結合状態で配置すると共に、電池1と異なる領域には、平面状PTCヒーター3Aを平行に配設して熱結合状態で配置する。すなわち、放熱プレート4の内面には、その領域を分けて、電池1のフラット面1aと平面状PTCヒーター3Aを平行な姿勢で対向して配置する。この構造の懐炉は、平面状PTCヒーター3Aの熱を効率よく放熱プレート4に伝えながら、放熱プレート4と電池1との間で効率よく熱を伝えることができる。平面状PTCヒーター3Aの熱は、放熱プレート4を介して電池1に伝えられる。電池1は、平面状PTCヒーター3Aで直接に加熱されることはなく、放熱プレート4を介して加温される。平面状PTCヒーター3Aの熱は、放熱プレート4に伝えられて一部をケース2の外側にある第1の表面4Aから放熱し、残りの一部は熱結合状態にある電池1に伝えられて、電池1を快適な温度に加温する。
【0088】
この懐炉は、低温環境において、平面状PTCヒーター3Aで電池1を加温する。この懐炉は、図8に示すように、制御部12に、電池1の温度を検出する温度センサ18を接続している。制御部12は、電池温度が設定温度よりも低いことを温度センサ18で検出すると、スイッチング素子11をオンに切り換えて、平面状PTCヒーター3Aで電池1を加温する。このとき、制御部12はスイッチング素子11をオンオフに切り換えるデューティーをコントロールして、平面状PTCヒーター3Aの温度をコントロールし、平面状PTCヒーター3Aの温度で電池1を加温する温度を特定する。
【0089】
さらに、図の懐炉は、ヒーター3と放熱プレート4との間に、ヒーター3に通電する金属板54を配設している。この構造は、ヒーター3を平面状PTCヒーター3Aとする構造に適している。金属板54は、平面状PTCヒーター3Aの表面に設けている電極に接触して、平面状PTCヒーター3Aに通電する。金属板54は、平面状PTCヒーター3Aとの電気接続を確実にするために、局部的に突出する突出部を設けることができる。この金属板は、突出部が平面状PTCヒーターの表面の電極に接触して、電気接続される。さらに、金属板54は、全体の形状を平面状として、放熱プレート4の第2の表面4Bに面接触状態で熱結合される。さらに、放熱プレート4の第2の表面4Bと金属板54とは、シリコンペーストなどの熱結合ペーストを塗布して、熱伝導効率を高くすることもできる。
【0090】
この構造は、平面状PTCヒーター3Aの熱が直接に放熱プレート4に伝導されず、金属板54を介して伝導されるので、平面状PTCヒーター3Aの温度変化に対する放熱プレート4の温度変化を少なくできる。平面状PTCヒーター3Aは、図8に示すように、電源である電池1との間に接続しているスイッチング素子11をオンオフに制御して設定温度にコントロールされる。スイッチング素子11がオンの状態で、平面状PTCヒーター3Aは加熱され、スイッチング素子11がオフの状態で平面状PTCヒーター3Aは加熱されない。したがって、平面状PTCヒーター3Aは、スイッチング素子11のオンとオフの状態で温度が変化する。この温度変化は、金属板54を介して平面状PTCヒーター3Aの熱を放熱プレート4に伝導する構造で解消できる。また、制御部12がスイッチング素子11をオンオフに制御するデューティーを制御して、平面状PTCヒーター3Aの温度をコントロールする制御回路6は、平面状PTCヒーター3Aの温度を温度センサ10で検出して、スイッチング素子11のデューティーを制御する。このように、温度センサ10でスイッチング素子11のデューティーをコントロールする懐炉は、平面状PTCヒーター3Aの温度検出に時間遅れが発生し、平面状PTCヒーター3Aの温度が設定温度よりも高くなり、あるいは低くなることがある。この弊害も、平面状PTCヒーター3Aの熱を金属板54を介して放熱プレート4に伝導する構造で解消できる。
【0091】
さらに、スイッチング素子11をオンオフに制御するデューティーを制御して、平面状PTCヒーター3Aの温度を制御する制御回路6は、懐炉の電源スイッチ19がオンに切り換えられた最初に、連続して平面状PTCヒーター3Aに通電して極めて短時間に設定温度まで加温できる。平面状PTCヒーター3Aが設定温度になると、スイッチング素子11をオンオフに切り換えるデューティーをコントロールして、平面状PTCヒーター3Aの温度を制御する。
【0092】
さらに、図8の懐炉は、ケース2に電池1の充電回路25を内蔵している。充電回路25は、ケース2に内蔵される回路基板7に実装される。充電回路25は、電池1であるリチウムイオン二次電池やリチウムポリマー電池を充電する充電制御部26を備える。この充電制御部26は、電池1を定電流・定電圧充電して満充電を検出して、充電を停止する。充電される電池1は発熱するが、電池1の発熱は熱結合状態にある放熱プレート4に伝えられる。電池1の熱を放熱プレート4に伝えることから、放熱プレート4は充電される電池1の放熱フィンの作用をして、電池1の温度上昇を防止する。また、放熱プレート4は加温されることで熱を吸収する。放熱プレート4が吸収する熱、いいかえると放熱プレート4が蓄熱する熱も電池の温度上昇を少なくする。すなわち、放熱プレート4は、最初に電池1の熱を吸収して電池1の温度上昇を制限し、放熱プレート4が電池1の熱を吸収して所定の温度になると、熱を外部に放熱して電池1の温度が異常に高くなるのを防止する。充電される電池1の熱を放熱プレート4で放熱しながら電池1を充電するので、電池1が満充電された状態で放熱プレート4は電池1で加温された状態にある。加温状態にある放熱プレート4は、ヒーター3を加温して、ヒーター3の電気抵抗を大きくする。ヒーター3の電気抵抗が温度が高くなると高くなるからである。このため、電池1を充電して懐炉に使用するとき、ヒーター3の電気抵抗が大きく、電池1の消耗を少なくできる。
【0093】
図の充電回路25は、電池1と直列に保護用FET27を接続しており、この保護用FET27を保護回路28で制御する。保護回路28は、電池1の過充電や過放電を検出して、保護用FET27をオンオフに制御する。充電している電池1が満充電されて過充電される状態になると、保護回路28は保護用FET27をオフに切り換えて充電を停止する。また、放電している電池1が過放電される状態になると、保護回路28は、保護用FET27をオフに切り換えて電池1の放電を停止する。
【0094】
図8の回路図の懐炉は、ACアダプタ29に接続されて、ACアダプタ29から電池1を充電する直流が入力される。懐炉は、ACアダプタ29を接続するDCジャック30を設け、このDCジャック30を充電回路25に接続している。この懐炉は、商用電源を電池1の充電電圧に変換する回路を内蔵しないので、充電回路25を小さくできる。ただし、懐炉は、直接に商用電源に接続して、電池を充電することもできる。この懐炉は、図14に示すように、ケース2に折り畳みできるようにACプラグ31を設ける。ACプラグ31は、商用電源を電池1の充電電圧に変換する回路を内蔵する充電回路に接続されて、電池1を充電する。この懐炉は、ACプラグ31を電源コンセントに接続して、内蔵する電池1を充電できる。
【0095】
さらに、懐炉は、図15に示すように、充電回路35に無接点充電回路32を内蔵して、この無接点充電回路32で、内蔵する電池1を充電することもできる。無接点充電回路32を内蔵する充電回路35は、図15に示すように、誘導コイル33と、この誘導コイル33に誘導される交流を整流して直流に変換する整流回路34とを内蔵している。整流回路34の出力は充電制御部36に入力されて、電池1を充電する。無接点充電回路32を内蔵する懐炉は、図16に示すように、出力コイル37を内蔵する充電台39の上に置かれて電池1を充電する。充電台39は、無接点充電回路32に高周波の電力を電磁誘導作用で伝送する出力コイル37と、この出力コイル37に高周波電力を供給する電源回路38とを内蔵している。このように、無接点充電回路32で電池1を充電する懐炉は、コネクタの接触不良などを皆無にして便利に充電できる。このように、無接点充電方式を採用することで、金属端子の接触による電気接続より充電しなくても良い。よって、懐炉を防水構造として、水が懐炉に付着した状態でも、無接点充電方式にて充電することができる。
【0096】
さらに、充電回路25に直流電力を供給して電池1を充電する懐炉は、図12の鎖線で示すように、充電回路25をUSB端子14に接続し、このUSB端子14をコンピュータなどに接続して電池1を充電することもできる。
【0097】
また、本実施例の懐炉には、図示しないが、以下の機能を追加することも可能である。たとえば、懐炉は、ケースの外形形状を、板状のハート型とすることもできる。ハート型であり、懐炉として暖かい温度も備えることにより、使用者を心情的に暖かく感じさせることができる。また、このハート型の懐炉に、上述のバイブレーション機能を持たせて、ボタン操作により、必要時にバイブレーションを実行できるようにすることで、ハート型が振動して、他の人に懐炉をプレゼントするとき、あたかも渡す人のハートがドキドキしているような印象を、受け取った人に与えることができる。さらに、ケースの外形形状、模様等の外観を、板状の鯛焼き型とすることもできる。鯛焼きとは、日本において周知の食べ物であって、概略魚の外形形状、模様等の外観を有し、練った小麦粉を焼いたものの中に、あん(=sweet bean jam)を入れたものである。このような鯛焼き型の懐炉に、上述のバイブレーション機能を持たせることで、鯛が躍動的に動いているような印象を与えて、使用者に楽しい印象を与えることができる。また、同じように、ケースの外形形状、模様等の外観を、板状の動物、マンガ等のキャラクターとすることで、使用者に楽しい印象を与えることができる。また、ケース内に、芳香剤を入れ、ケースに開口を設けることで、懐炉の温度により、芳香剤を適切に発散することができる。さらには、懐炉内に、MP4等を利用したデジタル音楽再生機能を付加することもできる。
【0098】
さらに、図17の懐炉は、防犯ブザー80を内蔵している。防犯ブザー80は、ヒーター3に通電する電池1から電力を供給している。懐炉に内蔵される防犯ブザー80は、ブザー80Aと、このブザー80Aの警報音の発生状態をコントロールする防犯回路80Bとを備えている。防犯回路80Bは、警報スイッチ81を接続している。警報スイッチ81は、すでに市販されている防犯ブザー80に使用されるように、紐を引っ張ってピンが引き抜かれるとオンに切り換えられ、あるいは紐を引いてオンオフに切り換えられるスイッチである。ただ、この警報スイッチは、ケースの外部にスイッチを設け、このスイッチをオンオフに切り換える構造とすることもできる。
【0099】
防犯回路80Bは、警報スイッチ81がオンに切り換えられると、電池1から供給される電力でブザー80Aに通電してブザー80Aから警報音を発生させる。防犯回路80Bは、懐炉のヒーター3に優先して電力が供給される。したがって、制御部12は、電池1の残容量や電圧を検出しており、電池1の残容量や電圧が設定値よりも小さくなると、スイッチング素子11をオフに切り換えて、ヒーター3への通電を停止して、防犯ブザー80のみに電力を供給できる状態とする。この懐炉は、電池1で放熱プレート84を加温できなくなった状態においても、防犯ブザー80として使用できる。とくに、防犯ブザー80の消費電力は、ヒーター3の消費電力に比較して少なく、とくに、ブザー80Aが警報音を発生しない状態での消費電力は極めて小さく、ヒーター3に通電しない状態となった後も、相当に長い時間、防犯ブザー80として使用できる。
なお、図17に示す実施例において、図12に示す実施例と同じ構成要素については、同符号を付して、その説明を省略する。
【0100】
防犯ブザー80を内蔵する懐炉は、以下の優れた特徴がある。
(1)緊急時に、防犯ブザーをすばやく操作できる。
一般的な防犯ブザーは、ランドセルや鞄から吊り下げるタイプのものが多く、緊急時において、警報スイッチをオンにするときに紐を引っ張るのが難しい問題点があった。これに対して、本発明のように、防犯ブザーを内蔵する懐炉は、懐炉の機能を生かすために、常に手で握った状態で使用し、あるいは、ポケットに入れて持ち運びするので、緊急時にすばやく操作できる。とくに、手で握った状態や、ポケットに入れた状態では、犯罪者に防犯ブザーの所持を気づかれない特長もある。このため、防犯ブザーを犯罪者に捕り上げられて、緊急時に使用できなくなる心配がない。
(2)寒い夜道でも確実に防犯ブザーを操作できる。
昨今では、防犯ブザーを携帯して夜の学習塾に通う児童や生徒が増えている。また、痴漢やストーカー犯罪の増加により、夜道で防犯ブザーを携行する女性が増えている。犯罪者に遭遇すると恐怖のあまり声が出なくなるためである。ところが、寒い夜道等では、寒さで指先がかじかんで、緊急時に防犯ブザーを操作できないおそれがある。本発明のように、防犯ブザーを内蔵する懐炉では、懐炉の機能で指先を暖めることができるので、冬の寒い夜道においても、防犯ブザーが鳴らせないような事態を避けることができる。また、指先や体が温まることにより、暗くて寒い夜道での恐怖心を和らげる効果もある。
(3)電池の残容量を確認できる。
一般的な防犯ブザーは、電池の残容量を調べにくい欠点がある。それは、警報スイッチをオンに切り換えてブザーを鳴らす必要があるからである。この状態は、周囲に大音量の警報音が鳴り響くので、周囲への迷惑や注目を考えると、常に残容量を確認することは、まずできない。しかしながら、防犯ブザーの電池が切れていると、緊急時において一大事になる。これに対して、本発明の懐炉では、懐炉の温もりにより、電池の残容量の有無がわかるので、安心して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】従来の懐炉の内部構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる懐炉の斜視図である。
【図3】図2に示す懐炉の一部拡大縦断面図である。
【図4】図2に示す懐炉の分解斜視図である。
【図5】図4に示す懐炉の分解斜視図である。
【図6】図5に示す懐炉を底面から見た分解斜視図である。
【図7】図2に示す懐炉を底面から見た分解斜視図である。
【図8】本発明の一実施例にかかる懐炉のブロック図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかる懐炉の縦断面図である。
【図10】制御回路がヒーターを加温する温度特性を示すグラフである。
【図11】制御回路がヒーター温度と外気温度でスイッチング素子を制御する一例を示すグラフである。
【図12】本発明の他の実施例にかかる懐炉のブロック図である。
【図13】本発明の他の実施例にかかる懐炉の縦断面図である。
【図14】本発明の他の実施例にかかる懐炉の側面図である。
【図15】本発明の他の実施例にかかる懐炉の回路図である。
【図16】図15に示す懐炉を充電台で充電する状態を示す側面図である。
【図17】本発明の他の実施例にかかる懐炉のブロック図である。
【図18】本発明の一実施例にかかる懐炉の電気特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0102】
1…電池 1a…フラット面
2…ケース
3…ヒーター 3A…平面状PTCヒーター
4…放熱プレート 4A…第1の表面
4B…第2の表面
4a…凹凸
5…本体ケース
6…制御回路
7…回路基板
8…ホルダーケース
9…エラストマー
10…温度センサ
11…スイッチング素子
12…制御部
13…メモリ
14…USB端子
15…LED
16…外気温度センサ
17…バイブレータ
18…温度センサ
19…電源スイッチ
20…止ネジ
21…連結ボス
22…バンド連結部
23…スリット
24…バンド
25…充電回路
26…充電制御部
27…保護用FET
28…保護回路
29…ACアダプタ
30…DCジャック
31…ACプラグ
32…無接点充電回路
33…誘導コイル
34…整流回路
35…充電回路
36…充電制御部
37…出力コイル
38…電源回路
39…充電台
40…周壁
41…熱結合隔壁
42…熱結合穴
43…内周壁
44…嵌着壁
45…凹凸
46…位置決リブ
47…係止部
50…リード
51…スリット
52…外周壁
53…連結孔
54…金属板
55…金属板
80…防犯ブザー 80A…ブザー
80B…防犯回路
81…警報スイッチ
91…電池
92…ケース
93…ヒーター
94…ヒーター回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電できる電池と、この電池を内蔵すると共に、外部に表出する放熱プレートを有するケースと、このケースの放熱プレートに熱結合構造で内蔵され、かつ電池に通電されて加熱されるヒーターとを備える懐炉であって、
前記放熱プレートは、ケースの外側に位置する第1の表面と、ケースの内側に位置する第2の表面を有し、第2の表面の一部に対向してヒーターが熱結合状態で配設されると共に、第2の表面の他の部分に対向して電池が熱結合状態で配設され、
ヒーターの熱が放熱プレートを介して電池を加温する懐炉。
【請求項2】
電池が対向する両面をフラット面としてなる角型のリチウムイオン二次電池又はリチウムポリマー電池からなる角型電池で、前記ヒーターは板状発熱体で、放熱プレートの裏面の一部に対向して角形の電池が配置されると共に、放熱プレートの他の一部に対向して板状発熱体を配置してなる請求項1に記載される懐炉。
【請求項3】
ヒーターが、平面状PTCヒーターである請求項1または2に記載される懐炉。
【請求項4】
ケースがプラスチック製の本体ケースと、この本体ケースに固定している金属板からなる放熱プレートを有する請求項1に記載される懐炉。
【請求項5】
ケース内に、電池とヒーターとを嵌着構造で定位置に配置するプラスチック製のホルダーケースを配設しており、このホルダーケースに嵌着されて電池とヒーターがケース内の定位置に配置されてなる請求項1に記載される懐炉。
【請求項6】
ホルダーケースが放熱プレートと電池との間に配設される熱結合隔壁を有し、この熱結合隔壁が放熱プレートと電池を熱結合する熱結合穴を有する請求項5に記載される懐炉。
【請求項7】
電池からヒーターに供給する電力をコントロールする制御回路と、放熱プレートの温度を検出する温度センサとを備え、制御回路が供給電力をコントロールして放熱プレートの温度を制御する請求項1に記載される懐炉。
【請求項8】
制御回路が、放熱プレートの初期設定温度をノーマル設定温度よりも高く制御する請求項7に記載される懐炉。
【請求項9】
制御回路が、電池とヒーターとの間に接続しているスイッチング素子と、このスイッチング素子をコントロールする制御部とを備え、制御部がスイッチング素子を所定の周期でオンオフに切り換えるデューティーを制御して、放熱プレートの温度をコントロールする請求項7に記載される懐炉。
【請求項10】
ヒーターの反対側に外気温度センサを配置しており、この外気温度センサの検出温度で懐炉の非使用状態を判定して電源をオフにする請求項1に記載される懐炉。
【請求項11】
ケース内に、電池で駆動されさるバイブレータを内蔵している請求項1に記載される懐炉。
【請求項12】
設定温度が異なる複数のヒーターを内蔵しており、通電するヒーターを切り換えて放熱プレートの温度をコントロールする請求項1に記載される懐炉。
【請求項13】
ケースの両面に一対の放熱プレートを配設して、一対の放熱プレートの間に電池とヒーターを配設している請求項1に記載される懐炉。
【請求項14】
制御回路が設定温度を記憶するメモリを備えると共に、この制御回路に接続しているUSB端子を有し、このUSB端子を介してコンピュータに接続されて、メモリに記憶される設定温度が変更されるようにしてなる請求項7に記載される懐炉。
【請求項15】
ケースに設けている複数のLEDを備えると共に、制御回路がLEDの点灯状態を記憶するメモリを内蔵しており、さらに、制御回路に接続しているUSB端子を備え、このUSB端子を介してコンピュータに接続されて、メモリに記憶されるLEDの点灯状態が変更されるようにしてなる請求項7に記載される懐炉。
【請求項16】
放熱プレートの表面をエラストマーで被覆している請求項1に記載される懐炉。
【請求項17】
平面状PTCヒーターが電池と直列に接続されて、電池の保護回路に併用されてなる請求項3に記載される懐炉。
【請求項18】
制御回路が、電池の温度を検出する温度センサを備え、電池温度が設定温度よりも低い状態で、ヒーターが電池を余熱する請求項7に記載される懐炉。
【請求項19】
電池がリチウムポリマー電池で、放熱プレートとケースが変形できる請求項1に記載される懐炉。
【請求項20】
ケースに電池の充電回路を内蔵している請求項1に記載される懐炉。
【請求項21】
充電回路が、無接点充電回路を備える請求項20に記載される懐炉。
【請求項22】
充電回路がUSB端子に接続され、USB端子から電池を充電するようにしてなる請求項20に記載される懐炉。
【請求項23】
ケースに充電回路に接続されるACプラグを設けており、このACプラグをコンセントに接続して電池を充電するようにしてなる請求項20に記載される懐炉。
【請求項24】
放熱プレートの表面に無数の凹凸を設けている請求項1に記載される懐炉。
【請求項25】
放熱プレートとヒーターとの間に、ヒーターに通電する金属板を配設しており、金属板は放熱プレートに面接触して熱結合され、ヒーターには突出部を介して電気接続している請求項1に記載される懐炉。
【請求項26】
ヒーターに通電する電池から電力を供給する防犯ブザーを内蔵している請求項1に記載される懐炉。
【請求項27】
電池の残容量又は電圧を検出して、残容量又は電圧が設定値よりも小さくなるとヒーターへの通電を遮断して防犯ブザーにのみ電力を供給する状態に切り換える制御部を内蔵する請求項26に記載される懐炉。
【請求項28】
制御回路を構成する電子部品を実装する回路基板を備えており、この回路基板をヒーターの反対側に配置すると共に、ヒーターと回路基板の間に電池を配設してなる請求項7に記載される懐炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−259565(P2008−259565A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102771(P2007−102771)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】