説明

懸垂碍子装置

【課題】装置本体が揺動してアークホーンに衝撃が加わったとしても、このアークホーンが変形するのを防止できるようにする。
【解決手段】碍子2と、落雷時に碍子2の破壊を防止すべく所定のアーク放電を発生させるアークホーン31,32と、電線を支持する電線支持部4とを有する装置本体5と、鉄塔等の取付対象物の所定の連結位置に装置本体5を連結するとともに、この装置本体5を揺動可能に支持する連結支持手段6とを備える懸垂碍子装置1において、装置本体5が揺動してアークホーン31,32に衝撃が加わったときに、この衝撃を吸収すべく、アークホーン31,32の中途部に弾性変形可能な弾性部41が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落雷による碍子の破壊を防止するために、所定のアーク放電を行わせるアークホーンを備えた懸垂碍子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の懸垂碍子装置として、碍子と、落雷時に碍子の破壊を防止すべく所定のアーク放電を発生させるアークホーンと、電線を支持する電線支持部とを有する装置本体を備えるとともに、鉄塔に設けられた支持アームに装置本体を連結し且つこの装置本体を揺動可能に支持する連結支持手段(クレビス、取付金具等)とを備えたものがある(例えば特許文献1等参照)。
【0003】
この懸垂碍子装置は、連結支持手段によって装置本体を揺動自在に支持することで、例えば、強風時に装置本体を揺動させることにより、連結支持手段に過大な荷重が加わらないようにして、連結支持手段が損傷することを防止できるようになっている。
【特許文献1】特公平7−24171号公報
【特許文献2】特開2006−196396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の懸垂碍子装置では、強風時に装置本体が大きく揺動したときに、装置本体のアークホーンが支持アームに接触し、その衝撃によって変形することがあった。アークホーンが変形してしまうと、所望のアーク放電が行われなくなり、落雷時に碍子を損傷するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、装置本体が揺動してアークホーンに衝撃が加わったとしても、このアークホーンが変形するのを防止できるようにした懸垂碍子装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためのものであって、碍子と、落雷時に碍子の破壊を防止すべく所定のアーク放電を発生させるアークホーンと、電線を支持する電線支持部とを有する装置本体を備えるとともに、鉄塔等の取付対象物の所定の連結位置に装置本体を連結し且つこの装置本体を揺動可能に支持する連結支持手段を備える懸垂碍子装置において、装置本体が揺動してアークホーンに衝撃が加わったときにこの衝撃を吸収すべく、アークホーンの中途部又は基端部に弾性変形可能な弾性部が設けられることを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、装置本体の揺動によってアークホーンに衝撃が加わったとしても、弾性部が弾性変形して緩衝することにより、この衝撃によるアークホーンの変形を防止できるようになる。
【0008】
また、本発明に係る懸垂碍子装置は、前記アークホーンが、所定のアーク放電を発生させる主アークホーンと、碍子近傍で発生するアークを主アークホーンへと移行させるための補助アークホーンとを備え、前記弾性部は補助アークホーンの中途部又は基端部に設けられる構成を採用できる。
【0009】
かかる構成によれば、補助アークホーンに弾性部が設けられていることから、装置本体の揺動によって補助アークホーンに衝撃が加わったとしても、弾性部が弾性変形して緩衝することにより、この衝撃による補助アークホーンの変形を防止できるようになる。
【0010】
また、本発明に係る懸垂碍子装置は、前記補助アークホーンが、碍子近傍で発生するアークを拾い上げるための本体部と、装置本体に取り付けられるとともに本体部を支持する支持部とを備え、前記弾性部をこの支持部の中途部又は基端部に設けられる構成を採用できる。
【0011】
かかる構成によれば、主アークホーンにアークを移行させるという本体部の主たる機能を損なわず、しかも、装置本体が揺動して補助アークホーンに衝撃が加わったとしても、支持部の中途部に設けられたコイルバネの弾性変形による緩衝によって補助アークホーンの変形を防止できるようになる。
【0012】
また、本発明に係る懸垂碍子装置は、前記弾性部にコイルバネを採用してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、弾性部にコイルバネを採用することにより、アークホーンに対してどのような方向から衝撃が加わった場合であっても、これを吸収することができるようになり、これによってアークホーンが変形することを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、装置本体が揺動してアークホーンに衝撃が加わったとしても、このアークホーンの変形を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る懸垂碍子装置を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。図1〜図3は、懸垂碍子装置の第1実施形態を示している。
【0016】
図1に示すように、懸垂碍子装置1は、磁器製の碍子2と、落雷時に碍子2の破壊を防止すべく所定のアーク放電を発生させる金属製のアークホーン31(31a,31b),32(32a、32b)と、電線を支持する電線支持部4とを有する装置本体5を備えるとともに、この懸垂碍子装置1が取り付けられる取付対象物である鉄塔の所定の取付位置に装置本体5を連結し且つこの装置本体5を揺動可能に支持する連結支持手段6を備える。この懸垂碍子装置1の装置本体5は、鉄塔の中途部から左右方向に張り出して設けられた支持アームに、この連結支持手段6を介して取り付けられている。
【0017】
本実施形態では、複数の碍子2が直列に連結されて長尺状の1つの碍子連7が構成されており、アークホーン31(31a,31b),32(32a,32b)は上下対とされていて、それぞれ碍子連7の一方側(例えば上側)と他方側(例えば下側)の2箇所に設けられている。また、電線支持部4は、この碍子連7の一方側に設けられ、連結支持手段6は、碍子連7の他方側に設けられている。
【0018】
装置本体5は、碍子連7の一方の端部にある碍子2と、上下対とされたアークホーン31,32の一方(例えば上側のアークホーン31a,32a)と、連結支持手段6とを連結する連結具(以下「第1連結具」という)11を備える。また、装置本体5は、碍子連7の他方の端部にある碍子2と、上下対の他方のアークホーン31,32(例えば下側のアークホーン31b,32b)と、電線支持部4とを連結する連結具(以下「第2連結具」という)12を備える。
【0019】
第1連結具11は、十字状の板部材により構成され、上下方向に突出する2つの突出部を備える。以下、この2つの突出部のうち、上方に突出する突出部13を「上突出部」といい、下方に突出する突出部14を「下突出部」というとともに、これらをまとめて「上下突出部」という。
【0020】
また、第1連結具11は、上下方向に直交する左右方向に突出する2つの突出部を備える。以下、これら2つの突出部のうち、右方に突出する突出部15を「右突出部」といい、左方に突出する突出部16を「左突出部」というとともに、これらをまとめて「左右突出部」という。
【0021】
第1連結具11の上突出部13には、連結支持手段6を連結するための連結孔(図示略)がその板厚方向に貫通して形成され、下突出部14には、碍子連7の一端側の碍子2を連結するための連結孔(図示略)がその板厚方向に貫通して形成されている。また、第1連結具11の左右突出部15,16には、その中途部に複数の貫通孔15a…,16a…が形成されている(図2参照)。
【0022】
第1連結具11と同様に、第2連結具12も十字状の板部材により構成され、上下突出部13,14、左右突出部15,16を備える。第2連結具12の上突出部13には、碍子連7の他端側の碍子2を連結するための連結孔(図示略)が形成され、下突出部14には、電線支持部4を連結するための連結孔(図示略)が形成されている。また、第2連結具12の左右突出部15,16には、複数の貫通孔15b…,16b…が形成されている(図3参照)。
【0023】
電線支持部4は、例えば高圧用電線を把持可能なクランプとされており、第2連結具12に連結される連結部21を有する。この連結部21には、第2連結具12の下突出部14と連結するための連結孔(図示略)が形成されており、この連結部21の連結孔と下突出部14の連結孔とを一致させ、ボルト・ナット等の締結手段を介して連結部21と下突出部14とを締結することにより、両者は連結される。
【0024】
アークホーン31(31a,31b),32(32a,32b)は、所定のアーク放電を発生させるための主アークホーン31(31a,31b)と、碍子2近傍で発生するアークを主アークホーン31(31a,31b)へと移行させるための補助アークホーン32(32a,32b)とを備える。本実施形態では、装置本体5に上下2対の主アークホーン31a,31b…、および上下1対の補助アークホーン32a,32bが設けられている。
【0025】
図1、図2に示すように、上下2対とされた主アークホーン31a,31b…のうち、第1連結具11に取り付けられる上側(接地側)の2つの主アークホーン31a,31aは、それぞれ金属製で長尺状の棒状体により構成され、その一端部に第1連結具11に連結される連結部33a,33aを備えている。各連結部33a,33aには、これらの連結部33a,33aを第1連結具11に連結するための複数の連結孔34a,34a…が形成されている。
【0026】
上下2対とされた主アークホーン31a,31b…のうち、第2連結具12に取り付けられる下側(線路側)の2つの主アークホーン31b,31bは、それぞれ金属製で長尺状の棒状体により構成され、その一端部に第2連結具12に連結される連結部33b,33bを有し、他端部が曲げられて環状に構成されている。各連結部33b,33bには、これらの連結部33b、33bを第2連結具12に連結するための複数の連結孔34b,34b…が形成されている。
【0027】
補助アークホーン32は、第1連結具11に取り付けられる上側(接地側)の補助アークホーン32aと、第2連結具12に取り付けられる下側(線路側)の2つの補助アークホーン32b,32bとで上下1対とされている。
【0028】
この上側の補助アークホーン32aは、円環状に構成された本体部35と、この本体部35を装置本体5の第1連結具11に固定して支持する棒状の支持部36を有する。
【0029】
前記補助アークホーン32aの本体部35は、碍子2近傍位置で発生するアークが主アークホーン31a、31bによって適切に放電されるように、このアークを上側の主アークホーン31aに移行させるためのものである。
【0030】
この本体部35には、2つの支持部36,36が設けられている。各支持部36,36は、長尺状に構成されるとともに、その一端部が本体部35に固定され、その他端部に第1連結具11に連結される連結部37が設けられている。
【0031】
この連結部37は、板状とされており、その中途部に、第1連結具11に連結するための複数(図例では2つ)連結孔37a,37aが板厚方向に貫通して設けられている。また、各支持部36,36は、平面視において、円環状の本体部35aの半径方向に沿って設けられている。
【0032】
この上側の補助アークホーン32aの中途部には、装置本体5が揺動して衝撃が加わったときに、この衝撃を吸収するための弾性部41が設けられている。具体的には、弾性部41は、支持部36の中途部に設けられている。本実施形態では、この弾性部41としてコイルバネが採用されている。
【0033】
上側の主アークホーン31a,31aと上側の補助アークホーン32aは、一方の主アークホーン31aの連結部33aと補助アークホーン32aの一方の連結部37とで第1連結具11の右突出部15を挟むようにし、この連結部33aの連結孔34aと連結部37の連結孔37aとを右突出部15の貫通孔15aに一致させるとともに、ボルト・ナット等の締結手段によって、これらが締結されている。
【0034】
さらに、他方の主アークホーン31aの連結部33aと補助アークホーン32aの他方の連結部37とで第1連結具11の左突出部16を挟むようにし、この連結部33aの連結孔34aと連結部37の連結孔37aとを左突出部16の貫通孔16aに一致させるとともに、ボルト・ナット等の締結手段によってこれらが締結され、以上によって主アークホーン31aと補助アークホーン32aとは第1連結具11に取り付けられる。
【0035】
図3に示すように、上下対の補助アークホーン32a,32bのうち、下側の2つの補助アークホーン32b,32bのそれぞれは、円弧状の本体部43,43と、この本体部43,43を第2連結具12に固定して支持する支持部44,44を有する。各補助アークホーン32b,32bの支持部44,44は棒状に構成され、その一端部が本体部43,43の中間部に固定され、その他端部に第2連結具12に連結される板状の連結部45,45が設けられている。この連結部45,45には、第2連結具12に連結するための複数(図例では2つ)の連結孔45a,45aが、その板厚方向に貫通して形成されている。
【0036】
下側の主アークホーン31b,31bと下側の補助アークホーン32b,32bは、一方の主アークホーン31bの連結部33bと一方の補助アークホーン32bの連結部45で第2連結具12の右突出部15を挟むようにし、連結部33bの連結孔34bと連結部45の連結孔45aとを右突出部の貫通孔15bに一致させ、ボルト・ナット等の締結手段によって、これらが締結されている。
【0037】
さらに、他方の主アークホーン31bの連結部33bと他方の補助アークホーン32bの連結部45とで第2連結具12の左突出部16を挟むようにし、この連結部33bの連結孔34bと連結部45の連結孔45aとを左突出部16の貫通孔16bに一致させるとともに、ボルト・ナット等の締結手段によって、これらが締結され、以上によって主アークホーン31bと補助アークホーン32bとは第2連結具12に取り付けられる。
【0038】
下側の2つの補助アークホーン32b,32bは、その本体部43,43が下側の各主アークホーン31を挟むように設けられ、本体部43,43の先端部が主アークホーン31に可及的に接近した状態で、第2連結具12に取り付けられている。また、2つの主アークホーン31b,31bは、本体部43,43が第2連結具12を挟んで対称となるように設けられることで、平面視でほぼ円形状となっている。
【0039】
上記構成の上側の主アークホーン31a,31bは、例えば落雷があった場合に、第1連結具11に固定された上側の主アークホーン31aの端部と、第2連結具12に固定された下側の主アークホーン31bの環状の端部との間で所定のアーク放電を行わせるようになっている。また、補助アークホーン32a,32bは、碍子近傍で発生するアークを直近の主アークホーン31a,31bに移行させることができる。
【0040】
連結支持手段6は、第1連結具11に取り付けられる第1連結部材(例えばクレビス)51と、鉄塔に設けられた支持アームに連結される第2連結部材52とを備える。第1連結部材51は、連結軸(以下「第1連結軸」という)53を介して第1連結具11の上突出部13に連結されており、この第1連結具11に対し、連結軸まわりに相対回動自在に連結されている。
【0041】
また、第1連結部材51と第2連結部材52とは連結軸(以下「第2連結軸」という)54を介して連結されており、第1連結部材51と第2連結部材52とは、この第2連結軸54を介して相対回動自在に連結されている。
【0042】
また、第1連結軸53は第2連結軸54と、ほぼ直交するように設けられている。また、前記上側の主アークホーン31a,31aは、第2連結軸54の軸心方向に沿う方向に突出して設けられている。
【0043】
懸垂碍子装置1は、第2連結部材52を鉄塔の支持アームにボルト等の固定手段によって固定することにより、装置本体5が、第1連結軸53および第2連結軸54まわりに揺動可能になっている。
【0044】
より具体的には、本実施形態に係る懸垂碍子装置1は、鉄塔の支持アームに取り付けられたとき、第1連結軸53が、支持アームの突出方向に沿うように設けられ、第2連結軸54がこの支持アームの突出方向に直交するように設けられる。
【0045】
したがって、装置本体5が第2連結軸54まわりに揺動した場合であっても、主アークホーン31a,31aは、支持アームに接触しないようになっている。その一方で、上側の補助アークホーン32aの本体部は、装置本体5が第2連結軸54まわりに大きく揺動したときに、支持アームに接触する場合がある。
【0046】
上記構成の懸垂碍子装置1によれば、例えば装置本体5が第2連結軸54まわりに大きく揺動して補助アークホーン32aの本体部35が支持アームに接触した場合であっても、補助アークホーン32aの支持部36,36に設けられた弾性部41が弾性変形することにより、補助アークホーン32が支持アームに接触したときの衝撃を吸収(緩和)できるようになり、これによって、補助アークホーン32が変形するのを防止できるようになる。
【0047】
また、補助アークホーン32aの支持部36,36の中途部に弾性部41,41を設けることにより、本体部35の主たる機能を損なうことなく、この補助アークホーン32aに加わった衝撃を吸収することができる。
【0048】
また、弾性部41をコイルバネによって構成することにより、補助アークホーン32に対していかなる方向から衝撃が加わったとしても、これを吸収することができ、懸垂碍子装置1は、補助アークホーン32の変形を確実に防止できるようになる。
【0049】
図4、図5は、懸垂碍子装置1の第2実施形態を示している。図4に示すように、本実施形態に係る懸垂碍子装置1は、装置本体5に、上下4対の主アークホーン31a,31b…が設けられている。また本実施形態では、装置本体5に、補助アークホーン32a,32b、第1連結具11、第2連結具12が設けられていない。装置本体5は、碍子連7、電線支持部4、主アークホーン31a,31b…が直接連結されることによって構成されている。なお、電線支持部4には、カウンタウエイト付きのクランプが採用されている。
【0050】
本実施形態では、長尺状に構成された碍子連7の一端側にある碍子2に連結支持手段6が連結され、碍子連7の他端側にある碍子2に電線支持部4が設けられている。また、本実施形態に係る懸垂碍子装置1は、主アークホーン31a,31bをこの碍子連7に直接取り付けることができるようになっている。
【0051】
すなわち、碍子連7の一端部(上端部)に取り付けられる4つの主アークホーン31a,31a…は、2つずつに分かれて、それぞれ1つの支持部61に固定されている。2つの主アークホーン31a,31aが設けられた各支持部61,61は、互いに連結されることで、装置本体5の碍子連7に取り付けられるようになっている。
【0052】
具体的には、各支持部61,61は、平面視円弧状の板形状とされており、各支持部61,61の両端部には、2つの支持部61,61同士を連結するための連結部62,62が形成されている。
【0053】
各連結部62,62には、その板厚方向に貫通する貫通孔64,64が形成されている。一方の支持部61の連結部62に形成された貫通孔64と、他方の支持部61の連結部62に形成された貫通孔64とを一致させ、ボルト・ナット等の締結手段によって締結することによって、2つの支持部61,61は連結される。このとき、この2つの支持部61,61の間に碍子連7の一端部に位置する碍子2の胴部が挟み込まれることにより、各主アークホーン31,31…は、装置本体5に直接取り付けられるようになっている。
【0054】
また、碍子連7の他端部(下端部)に設けられる4つの主アークホーン31b,31b…も、上記の4つの主アークホーン31と同じ構成のものが用いられ、2つの支持部61,61によって、碍子連7の他端部に位置する碍子2の胴部を挟むようにすることで、装置本体5に取り付けられている。
【0055】
本実施形態のその他の点は、第1実施形態と同様の構成であり、本実施形態が第1実施形態と共通する部分には共通符号を付して説明を割愛する。本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0056】
図6は、アークホーン31,32の変形例を示している。本実施形態では、装置本体5の上側に設けられる補助アークホーン32aの形状が第1実施形態と異なる。第1実施形態では、装置本体5の上側の補助アークホーン32aに円環状の本体部35を備えたものを用いていたが、この変形例は、装置本体5の上側に設けられる補助アークホーン32aを、円弧状の本体部71を備えた2つの補助アークホーン32a,32aによって構成したものである。
【0057】
各補助アークホーン32a,32aの本体部71,71には、支持部72,72が設けられているが、第1実施形態で示した支持部36,36が、円環状の本体部35の半径方向に沿って設けられていたのに対し、この変形例では、支持部72,72は、その中途部が曲げられて、円弧状の本体部71,71の半径方向からずれて設けられている。この支持部72,72の中途部には、第1実施形態で示した補助アークホーン32aと同様に、弾性部41が設けられている。
【0058】
なお、この変形例では、装置本体5の上側に設けられる主アークホーン31aは、第1実施形態で示したものと同じものを用いている。また、装置本体5の下側に設けられる主アークホーン31bおよび補助アークホーン32bには、図6に示す主アークホーン31aおよび補助アークホーン32bを用いることができる。
【0059】
例えば、本変形例に係る補助アークホーン32a,32aを第1実施形態に係る懸垂碍子装置1に用いるとともに、この懸垂碍子装置1を鉄塔の支持アームの突端部に設けられた場合には、装置本体5の上側(接地側)に設けられる2つの補助アークホーン32a,32aのうち、一方が鉄塔寄りの位置に設けられ、他方が、この鉄塔から離れて支持アームの突端部寄りに設けられることになる。
【0060】
このような場合には、装置本体5が大きく揺動したとしても、他方の補助アークホーン32は、支持アームに接触しなくなっており、鉄塔寄りの位置に設けられた補助アークホーン32aのみに弾性部41を設けるようにしてもよい。
【0061】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず、種々の変形・変更が可能である。
【0062】
例えば、上記の実施形態では、装置本体5に上下2対の主アークホーン31a,31b…を設けた懸垂碍子装置1を例示したが、これに限らず、主アークホーン31a,31b、を上下1対、または上下3対以上の複数対としてもよい。同様に、補助アークホーン32a,32bについても上下3対以上の複数対としてもよい。
【0063】
上記の実施形態では、上下対の補助アークホーン32a,32bのうち、上側の補助アークホーン32aの中途部に弾性部41を設けた例(第1実施形態)、および上下対の主アークホーン31a,31b…のうち、上側の主アークホーン31aに弾性部41が設けられた例(第2実施形態)を示したが、これに限らず、下側の補助アークホーン32b、下側の主アークホーン31bに弾性部41を設けるようにしてもよい。
【0064】
上記実施形態では、主アークホーン31a、補助アークホーン32aに設けられた弾性部41としてコイルバネが用いられた例を示したが、これに限らず、弾性部41として、板バネその他の種々の弾性変形可能な要素を用いることができる。また、各アークホーンの一部又は全部を弾性変形しやすい金属材料で構成するようにしてもよい。
【0065】
上記実施形態では、補助アークホーン32aの支持部36,36の中途部に弾性部41を設けた例を示したが、これに限らず、本体部35の中途部に弾性部41を設けるようにしてもよい。また、本体部35と支持部36の両方に弾性部41を設けるようにしてもよい。
【0066】
上記の実施形態では、複数の碍子2を連結して構成された1つの碍子連7を保護するアークホーン31,32を備えた懸垂碍子装置を例示したが、これに限らず、複数の碍子連7,7…を保護するためのアークホーン31,32を備えたものについても本発明を適用できる。
【0067】
上記の実施形態では、懸垂碍子装置1の取付対象物として鉄塔を例に説明したが、これに限らず、本発明は、例えば、高圧電線が設けられる種々の構造物に適用可能である。
【0068】
上記の実施形態では、上下対とされた主アークホーン31a,31bおよび補助アークホーン32a,32bを備える懸垂碍子装置1に本発明を適用した例を示したが、これに限らず、上下対とされたアークホーンの中間に、さらなる補助アークホーンを用いる場合に、この補助アークホーンにも本発明を適用可能である。すなわち、本発明は、アークホーンが上下対とされることに限定されない。
【0069】
上記の実施形態では、弾性部41が補助アークホーン32a,32bの中途部(例えば、支持部36の中途部)に設けられた懸垂碍子装置1を例示したが、これに限らず、弾性部41は、補助アークホーンの基端部、すなわち、支持部36の連結部37(または支持部44の連結部45)寄りの位置に設けられていてもよい。同様に、主アークホーン31a,31bの基端部(連結部33a,33b寄りの位置)に弾性部41が設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態を示す懸垂碍子装置の側面図である。
【図2】同じく装置本体の上側に設けられるアークホーンの平面図である。
【図3】同じく装置本体の下側に設けられるアークホーンの底面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す懸垂碍子装置の側面図である。
【図5】同じく装置本体の上側に設けられるアークホーンの平面図である。
【図6】アークホーンの変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0071】
1…懸垂碍子装置、2…碍子、4…電線支持部、5…装置本体、6…連結支持手段、7…碍子連、11…第1連結具、12…第2連結具、13…上突出部、14…下突出部、15…右突出部、15a…貫通孔、16…左突出部、16a…貫通孔、21…連結部、31(31a,31b)…主アークホーン、32(32a,32b)…補助アークホーン、33(33a,33b)…連結部、34a…連結孔、34b…連結孔、35…本体部、36…支持部、37…連結部、37a…連結孔、41…弾性部、43…本体部、44…支持部、45…連結部、45a…連結孔、51…第1連結部材、52…第2連結部材、53…第1連結軸、54…第2連結軸、61…支持部、62…連結部、64…貫通孔、71…本体部、72…支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
碍子と、落雷時に碍子の破壊を防止すべく所定のアーク放電を発生させるアークホーンと、電線を支持する電線支持部とを有する装置本体を備えるとともに、鉄塔等の取付対象物の所定の連結位置に装置本体を連結し且つこの装置本体を揺動可能に支持する連結支持手段を備える懸垂碍子装置において、
装置本体が揺動してアークホーンに衝撃が加わったときにこの衝撃を吸収すべく、アークホーンの中途部又は基端部に弾性変形可能な弾性部が設けられることを特徴とする懸垂碍子装置。
【請求項2】
前記アークホーンは、所定のアーク放電を発生させる主アークホーンと、碍子近傍で発生するアークを主アークホーンへと移行させるための補助アークホーンとを備え、前記弾性部は補助アークホーンの中途部又は基端部に設けられる請求項1に記載の懸垂碍子装置。
【請求項3】
前記補助アークホーンは、碍子近傍で発生するアークを拾い上げるための本体部と、装置本体に取り付けられるとともに本体部を支持する支持部とを備え、前記弾性部はこの支持部の中途部又は基端部に設けられる請求項2に記載の懸垂碍子装置。
【請求項4】
前記弾性部はコイルバネである請求項1から3のいずれか1項に記載の懸垂碍子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−146643(P2009−146643A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320760(P2007−320760)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】