説明

成形容器及び該成形容器のカール成形方法とその装置

【課題】 胴部開口端部が高密度化している紙製成形容器であっても、容器の形状を問わず優れた保形性を有しているカール部を容易に良好にカール成形ができ、紙製絞り成形容器の実用化を図る。
【解決手段】 プレカール成形工程で成形容器の胴部開口端から所定幅だけホルダー肩とパンチで挟みながら、容器の外方に折り曲げて折曲縁部6を形成し、仕上げカール成形工程で折曲縁部6が内側に位置するように巻き込んで、カール部5を形成する。強制的に折り曲げるプレカール成形と仕上げカール成形の2工程を採用することにより、通常の紙コップと同等寸法精度を有してカール成形できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形容器及び成形容器のカール成形方法とその装置、特に絞り成形あるいは絞りしごき成形により製造される紙カップ等の絞り成形容器、及びそのカール成形方法とその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙コップやトレー状等の紙容器は、強度の向上、端面からの異物の染み込み防止、切口紙粉対策、さらに紙コップ等胴部開口端部から直接飲食する容器の場合は口当たりの良さ等のため、容器の胴部開口端部にカールを付ける必要がある。胴部が継ぎ目を有する2ピースの紙製カップにおける胴部開口端部のカール成形は、環状の成形溝を有するカール用金型に胴部開口端部を押圧することにより、胴部開口端部が成形溝に沿って自然に巻き込み、比較的簡単にカール部を成形できる。その場合、カール用金型を接着剤の軟化温度よりも高温に予熱しておくことによって、1工程で行うもの(例えば、特許文献1参照)。あるいは、紙コップがポリエチレン層を設けたラミネート紙の場合は、カール成形後カール状に巻いたカール部先端とカップ部との接合部に熱を付与して両者を結合したもの(特許文献2参照)等が、従来提案されている。また、押し型を回転させてカール成形する場合もある。このように、2ピース容器の場合は、単純に内側に巻き込むことによって、あるいは巻き込みを浅くする場合は接着することによって、成形されたカール部は緩むことなく、その形状維持し、保形性に優れている。
【0003】
しかしながら、継ぎ目のない1ピースの容器の場合は、絞り成形、或は絞りしごき成形で容器を成形する関係上、胴部開口端部は通常の2ピース紙コップの場合と異なり、高密度・硬質化しているため、巻き込むことが難しく、且つ巻き込んでもスプリングバックで戻ることがあり、保形性に欠け良好なカール状態を維持することが困難である。そのため、従来絞り成形紙容器の場合、胴部開口端面にフランジを形成しているだけ、あるいはフランジの端縁を下方に屈曲しているだけで、その端縁にカーリング加工を施してないのが殆どである(例えば、特許文献3、4参照)。一方、絞り成形した容器のうち、トレー状の角形紙容器のカール成形方法として、外周部にフランジ部とカール部を形成できる幅の平坦部ができるように容器を絞り成形し、該平坦部をフランジ部となる部分を残してその外周を下方に折曲し、該折曲部先端をカーリング溝が形成されたカール部材と該カール部材と対向して上下動する前記カーリング溝よりも小径のカーリング溝が形成されている外枠部材により、カール溝内でカールする方法及び装置が提案されている(特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2002−96408号公報
【特許文献2】実開平2−135431号公報
【特許文献3】特開2002−179044号公報
【特許文献4】特開2003−155018号公報
【特許文献5】特開2003−160121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
角形絞り成形容器の場合、胴部開口端部のコーナー部を除き直線部にはしわの発生がなく且つ直線部の硬質化も比較的少ないので、比較的カーリング加工がしやすいが、コーナー部(曲線部)では縮みフランジとなるためしわが発生し、平坦部と調和してカーリング加工することが難しく且つ保形性に欠けるため、特許文献5では曲線縁巻部の巻き込み径を小さく成形することによって解決しているが、未だ上記の問題を満足に解消するものではない。そして、絞り成形容器のうち、特に円筒容器の場合、開口端部全周にわたって多くのしわが発生し、且つ高密度化、硬質化しているため、カーリング困難であると共に保形性に欠け、円筒絞り成形容器での胴部開口端部のカーリング加工は未だ実用化されていない。特に、本発明者らが新しい紙容器の絞り成形法として提案した絞りしごき成形で紙容器を成形した場合は、従来の予めひだとなる部分に罫線を施して成形する場合と異なり胴部開口端部に多数の小さいしわが発生し、胴部開口端部が高密度化するため、カール成形が困難である。以上のように、紙製絞り成形容器のカール部の成形は、紙製絞り成形容器の製造上克服すべき大きな技術的課題となっており、その実用化を阻害している。
【0005】
そこで、本発明は、しぼり成形容器のカール形成の上記問題点を解決して、通常の絞り成形をはじめ、絞りしごき成形で胴部開口端部が非常に高密度化している成形容器であっても、角形容器、丸型容器を問わず容易に良好にカール成形ができ、且つ優れた保形性を有しているカール部を形成することができ、紙製絞り成形容器の実用化を図ることができる絞り成形容器、及びそのカール成形方法とその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の成形容器は、胴部開口端部にカール部を有する胴部と底部が一体に成形された成形容器であって、前記カール部のカール形状が、胴部開口端から所定幅に外側に折り曲げられた折曲縁部を有し、該折曲縁部がカール部内に位置するよう巻き込んで形成してなることを特徴とするものである。前記成形容器は、紙を主体とする板材を絞り成形して、又は絞りしごき成形してカップ状又はトレー状容器とするのに好適に適用できる。
【0007】
また、上記課題を解決する本発明の成形容器のカール成形方法は、胴部開口端部にカール部を有する胴部と底部が一体に成形された成形容器のカール成形方法であって、胴部開口端から所定幅だけ外方に折り曲げて折曲縁部を形成するプレカール成形工程、該プレカール成形工程で折曲した前記折曲縁部が内側に位置するように巻き込む仕上げカール成形工程からなることを特徴とするものである。
【0008】
前記プレカール成形工程は、成形容器をホルダー内に保持し、雄型で胴部壁を外側に開き、胴部開口端部を所定位置から直径方向外側に屈曲させ、その状態で先端部を下方に折り曲げることにより折曲縁部を形成してなることを特徴とする。該方法によって、特にカップ状の成形容器も良好にカール成形ができる。また、前記プレカール成形工程は、成形容器を前記ホルダー内に保持し、雄型で胴部壁を外側に開き、胴部開口端部を所定位置から直径方向外側に折り曲げる第1工程、その状態で先端部を下方に折り曲げることにより折曲縁部を形成する第2工程、該折曲部から巻き込み部を形成する所定幅を有して下方位置から外方に折り曲げ、その状態で該屈曲部を圧潰する第3工程からなることを特徴とする方法も採用できる。該方法は、特に成形容器が角形の場合に好適である。
【0009】
前記仕上げカール成形工程は、前記プレカール成形工程で折曲した前記折曲縁部が内側に位置するようにアッパーダイとカール成形溝を有するカーリングダイとの相対的変位による協働作用により前記折曲縁部内側に巻き込むことを特徴とする。該方法は、特にカップ状成形容器の場合に好適である。また他の仕上げカール成形工程として、前記カール成形用伸びフランジの先端部に、外周部にカール成形溝を有するカール成形ローラを外方より押し当て半径方向内側に相対的に変位させることにより、折曲縁部を内側に巻き込むことからなる方法を採用してもよい。該方法は特に角形容器の場合に好適である。
【0010】
さらに、上記課題を解決する本発明の成形容器の胴部開口端部カール成形装置は、胴部開口端部にカール部を有する成形容器のカーリング装置であって、容器の胴部開口端部を胴部開口端から所定幅だけ外方に折り曲げて折曲縁部を形成するプレカール成形装置と、該プレカール成形装置で折曲した前記折曲縁部が内側に位置するように巻き込む仕上げカール成形装置からなることを特徴とするものである。
【0011】
前記プレカール成形装置は、成形容器が嵌合する容器ホルダー、該容器ホルダーの上面に設けられたロワダイ、該ロワダイに対して相対移動して該ロワダイと協働して胴部開口端部を外方に拡げるアッパーダイ、該アッパーダイの外周部に嵌合して前記ロワダイとアッパーダイに挟まれた状態で外方に突出している胴部開口端部をロワダイ外周部に沿って下方に折曲するアウターパンチで構成することもできる。さらに、前記プレカール成形装置は、胴部開口端部に所定幅の折曲縁部を形成する第1プレカール成形装置、前記折曲縁部を押圧し、且つカール形成部分を外方に折り曲げる第2プレカール成形装置の組合せから構成することもできる。
【0012】
前記仕上げカール成形装置は、カップが内側に嵌合する容器ホルダー、プレカール加工したカール加工部をカーリングするカール成形溝を有する成形押し型、該成形押し型の成形溝に対向するカール成形溝を有するカーリングダイを有し、前記成形押し型とカーリングダイとの相対的変位により前記両方のカール成形溝の協働作用により前記折曲縁部が内側に位置するように巻き込むようにして構成することもできる。
【0013】
前記仕上げカール成形装置の他の形態として、伸びフランジ部に前記折曲縁部が形成された成形容器が嵌合するチャック、該チャックに嵌合した前記成形容器を支持する容器支持台、前記チャックに嵌合している成形容器の伸びフランジ部に作用して前記折曲端縁を内側に巻き込んでカール加工するカール成形溝が外周面に形成されたカールリングロールからなり、該カーリングロールが相対的に前記伸びフランジ部周方向と幅方向に移動することによって、前記伸びフランジ端部の折曲縁部をカール部内に巻き込むようにして構成することができる。その場合は、特に容器が非円形容器のカール成形装置として好適である。そのとき、前記カーリングロールは、位相をずらして配置された第1カール成形溝を有する第1カーリングロールと、第2カール成形溝を有する第2カーリングロールからなり、2段階で最終的な仕上げカール加工を行なうのが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の成形容器によれば、カール部にプレカールによる折曲縁部を有し、該折曲縁部が内側に巻き込まれているので、継ぎ目のない成形容器を継ぎ目のある従来の紙製成形容器と同程度の保形性を有する良好なカール巻き込み状態を得ることができ、絞り成形紙容器を飲料用等の容器としての実用化を図ることができる。また、本発明の成形容器は、通常の絞り成形ばかりでなく、絞りしごき成形容器にも適用でき、しわが微細化した従来にない美麗な成形容器を得ることができる。
【0015】
また、本発明の成形容器のカール成形方法及び装置によれば、プレカール成形工程と仕上げカール成形工程に分けて行なっているので、従来のカール成形方法では困難であった伸縮性に欠ける紙材等を主体とする絞り成形容器におけるカール成形が良好にでき、且つ保形性に優れたカール成形が可能となった。特に本発明では、プレカール工程では、容器の開口部を外側に広げて胴部開口端部を所定位置から外側に折り曲げるので、絞り成形で縮みフランジとなり高密度化・硬質化している容器開口端部が外方に広がって伸びフランジとなるので、成形が容易となり、かつその先端部を確実に折り曲げて折曲縁部を形成できる。折曲縁部は90°以上に強制的に折り曲げられた状態でカール部内に位置するのでスプリングバックが少なく良好なカール状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる成形容器の実施形態を示し、本実施形態では、絞りしごき成形したカップ状成形容器1に適用した場合を示している。該カップ状成形容器1は、後述するように、紙材を主体としてその両面を合成樹脂フィルムをラミネート若しくは合成樹脂を含浸させる等、適宜の手段で防水処理或は断熱処理してなり、本出願人が先に提供したような絞りしごき成形により一枚のシートから底壁2と略円筒状の胴部壁3からなるカップ状に成形され、その後胴部開口端部をカール加工してカール部5を形成している。カール部5は、その断面形状は、図1に示すように、胴部開口端部を折り曲げて形成した折曲縁部6を有し、該折曲縁部がカール部内に位置するよう巻き込んで形成されている。容器成形用シート材としては、例えば紙基材に低密度ポリエチレンフィルムをラミネートしたもの、ポリプロピレンフィルムをラミネートしたもの、あるいはポリエチレンテレフタレートフィルムをラミネートしたもの等が好適に採用できるが、それに限らず用途に合わせて適宜の材料を採用できる。
【0017】
カール部5は、後で詳述するように図2に示すような工程を経て成形される。図に示すように、胴部開口端から所定幅を有するように外側に拡げて伸びフランジ8を形成して、該伸びフランジ部から所定幅aを有して下側に折り曲げて、幅aの環状折曲縁部6を形成し、それを環状縁部が内側になるように巻き込んで、カール部高さc、カール部幅dを有するカール部5が成形されたものである。なお、図中bは胴部開口端からカール部形成域の寸法を表している。前記折曲縁部6は、後述する方法により伸びフランジ8を、先端が鋭角になっているロワダイに沿って折り曲げられているため、折曲基端9は環状の折曲線に沿って下方にロワダイとアウターパンチの協働作用により強く折り曲げられた状態となっており、その状態で折曲縁部6が内側に巻きこまれているので、きわめて優れた保形性を有し、従来の単に巻き込んでカール部を形成する場合と比べて飛躍的にスプリングバック量が少なく、良好なカール形状が得られる。また、絞りしごき成形容器で胴部開口端が高密度化していても、容易に成形することができる。その結果、半径方向の剛性も向上し、口当りの良さ、端面からの異物の染み込み、紙切口粉等の問題が解消され、飲料用にも実用化できる継ぎ目なしの紙製のカップ状成形容器を得ることに成功した。
【0018】
図3及び図4は、本発明に係る成形容器の他の実施形態を示し、本実施形態はトレー状角形容器に適用した場合を示している。前記実施形態と同様な部分は同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施形態のトレー状の角形絞り容器60は、図4の平面図で示すように、4個の円弧状コーナー部61と直線部62とからなるテーパー状の胴部壁63と底部壁64とからなり、底部壁の周囲には突起65がついて脚部を構成すると共に底部壁64のパネル強度を高めている。また、底部壁64には本実施形態では補強リブ66が適宜間隔で複数条形成されている。そして、その胴部開口端部にはカール部67が形成されている。該カール部67の断面形状は、前記実施形態と同様に、縁部を折り曲げて形成した折曲縁部6を有し、該折曲縁部6がカール部内に位置するよう巻き込んで形成されている。該カール部67の形状は、コーナー部も直線部も同様に形成されている。そして、本実施形態の角形絞り成形容器も絞りしごき成形法によって形成されており、従来の絞り成形法の場合は、コーナー部に多くのひだを形成しなければならないが、絞りしごき成形であるため、従来のような予めひだ形成用の罫線を入れたりする必要がなく絞り成形ができ、しかも従来よりも極端に小さいしわが発生しているだけで、良好にカール成形ができる。角形容器の絞り成形の場合は、円筒カップ状成形容器の場合のような、全周に一括してカール部を形成することが困難であり、本実施形態では後述するように仕上げカール成形工程は外周面に沿って相対的に移動するカーリングロールによって順次カール成形を行なっている。
【0019】
図5〜図8は、本発明の実施形態に係る成形容器のカール成形装置を示している。以下の実施形態での説明において、説明の便宜上紙面における表示に基づいて縦型として説明するが、実際の装置においては方向性は限定されるものでなく、横型であってもよい。
本実施形態のカーリング装置は、図1に示すカップ状の成形容器1をカール成形するための装置であり、容器の開縁部を所定幅だけ折り曲げて折曲縁部を形成するためのプレカール成形装置と、プレカールされた胴部開口端部を内側に巻きこんで仕上げカールする仕上げカール成形装置との組み合わせからなる。プレカール成形装置10の概略は図5に示され、ダイホルダー11にカップが内側に嵌合する容器ホルダー12が固定され、該容器ホルダー12の上面にロワダイ13が固定されている。該ロワダイ13は容器ホルダー12と同一部材で一体に形成してもよく、別部材で形成して一体化してもよい。
【0020】
一方、前記ダイホルダーに対向して相対的に移動するパンチホルダー15には、容器ホルダーに嵌合した容器の内周面に嵌合して胴部壁3を容器ホルダーとで挟んでカール成形時に胴部壁が座屈するのを防止するインナーパンチ16と、容器の胴部開口端部を折り曲げ加工するアウターパンチ17と、折り曲げ時に前記ロワダイと共同して胴部壁を押えるアッパーダイ18が設けられている。アウターパンチ17はパンチホルダー15に一体に固定され、空圧シリンダやモータ等適宜の駆動機構で一体に変位し、インナーパンチ16とアッパーダイ18はそれぞれスプリング19とスプリング20を介してパンチホルダー15に取り付けられている。パンチホルダーが上昇している状態では、スプリングによりインナーパンチ及びアッパーダイ18はアウターパンチ17より下方に突出しており、プレカール成形時にインナーパンチ及びアッパーダイ18が先に作用し、その後さらにパンチホルダー15が下降してアウターパンチが作用するときはスプリングにクッションしてその状態を維持するようになっている。
【0021】
前記構成のプレカール成形装置の要部を図7に拡大して示すように、ロワダイ13とアッパーダイ18は、協働して胴部開口端部から所定距離内側位置から胴部壁を外側に開きつつ水平に開く作用をし、ロワダイ13は頂部に外側に湾曲した凸成形面21を有し、アッパーダイ18は前記凸成形面21と略同円弧の凹成形面22を有している。したがって、絞り成形で縮みフランジとなっていた部分が逆に広げられて伸びフランジが形成されることになる。ロワダイ13とアッパーダイ18とにより、凸成形面21の外周縁部は図7に明示すように鋭角に屈曲してロワダイ外周面に連なっており、後述するように伸びフランジを屈曲して屈曲縁部6を形成する際に、その先端縁27が伸びフランジ面に食い込んで線状折り目を形成できるようになっている。ロワダイ13とアッパーダイ18の外周面は円筒面となっており、両者で上下より挟んで胴部壁の開口端部を外側に開きつつ水平に開いて伸びフランジ8を形成した状態で、ロワダイの円筒面24から容器の折曲縁部を形成する部分が突出するように、ロワダイ及びアッパーダイの成形部の厚さが規定されている。
【0022】
一方、仕上げカール成形装置30は、その概略は図6に示され、ダイホルダー31にカップが内側に嵌合する容器ホルダー32が固定され、該容器ホルダー32の上面にカーリングダイ33が固定されている。該カーリングダイ33は容器ホルダー32と同一部材で一体に形成してもよく、別部材で形成して一体化してもよい。一方、前記ダイホルダー31に対向して相対的に移動するパンチホルダー35には、容器ホルダーに嵌合した容器の内周面に嵌合して胴部壁を容器ホルダーとで挟んでカール成形時に胴部壁が座屈するのを防止するインナーパンチ36と、プレカールした容器の胴部開口端部を仕上げカール加工する成形押し型37が設けられている。成形押し型37はパンチホルダー35に一体に固定され、適宜の駆動機構で一体に変位し、インナーパンチ36はそれぞれスプリング39を介してパンチホルダー35に取り付けられ、パンチホルダー35に対して所定量だけクッション可能となっている。それにより、仕上げカール成形時の容器破断を防止している。
【0023】
カーリングダイ33は、図8に拡大して示すように、プレカール工程で形成された折曲縁部を巻きこむように円弧状のカール成形面41を有し、成形押し型37は、カーリングダイ33のカール成形面41より径大の円弧状成形面42を有しており、両者が相対的に近づくことによってプレカールした胴部開口端部を次第に巻き込み仕上げカールするようになっている。なお、成形押し型37はヒータにより加熱できるように、本実施形態では成形押し型37の外周面に抵抗ヒータ43を設けてあるが、ヒータは成形押し型37に内蔵であってもよい。
【0024】
次に、以上の装置によるカップ状成形容器のカール成形方法の実施形態について図2の工程図を参照しながら説明する。
前工程で絞り成形または絞りしごき成形されたカップは、図2(a)に示すように胴部開口端部は胴部壁から直線状に伸びた状態にあり、その状態でプレカール成形装置10の容器ホルダー12に嵌合する。なお、絞りしごき成形によるカップ状容器の場合は、まず、胴部壁が円筒状の有底カップを絞りしごき成形で得て、次いで図5に示す容器ホルダー12に嵌合して底部を吸引保持等して、その状態で外周面がテーパー状になっているインナーパンチが下降することによって、カップの胴部壁をテーパー面に沿って次第にテーパー状に拡げ、インナーパンチが完全に下降した状態では図5に示すように胴部壁が容器ホルダー12のテーパー状内周面に密着したテーパー状の絞り成形容器が得られる。このような加工をすることによって、絞りしごき成形によって胴部開口端部付近が縮み成形により高密度化しているのを逆にテーパー状に拡げることによって伸ばし成形となり、高密度化を緩和しカール成形をし易くしている。
【0025】
前記のようにパンチホルダー15が下降することによりインナーパンチ16が下降して容器の胴部壁3を挟み固定する。それにより、成形中の胴部壁の座屈を防止する。さらに、パンチホルダー15がスプリング19に抗して下降するとアッパーダイ18の凹成形面22の内側に位置する環状先細導入部25が容器の開口部から容器内に進入し、そのテーパー面が胴部壁内周面に圧接しながら下降することによって次第に胴部壁の開口端部を外側に開き、その胴部開口端縁7は凹成形面22に沿ってアール状に屈曲しながらアッパーダイの外側に延びる。そして、アッパーダイ18が最下端位置に達しアッパーダイとロワダイ13で胴部壁を完全に挟んで押圧した状態で、図2(b)に示すようにロワダイの円筒外周面24から所定幅aが突出している伸びフランジ8が形成さる。さらにパンチホルダー15が下降してアウターパンチ17が下降することによって、アウターパンチ17の下面がロワダイ13の円筒外周面24から外方に突出している伸びフランジ8に当って折り曲げ、最終的にアウターパンチ17の外周面26とアッパーダイ13の外周面26とで図7に示すように、挟みこんで、伸びフランジをロワダイからの突出基端9から下方に屈曲成形する。それにより、容器開口部は図2(c)に示す形状となり、該状態は突出基端9での強い折り目が形成されているので、保形成を有しスプリングバックが少ない。以上のようにして折曲縁部6が形成され、プレカール工程が終了する。プレカール工程が終了した容器は、プレカール成形装置から取り出されて次の仕上げカール成形装置に供給される。
【0026】
仕上げカール成形工程は、プレカールが終了した容器を仕上げカール成形装置30の容器ホルダー31に嵌合し、次いでパンチホルダー35が下降することによりインナーパンチ36が下降して容器の胴部壁3を挟み固定する。それにより、成形中の胴部壁の座屈を防止する。この状態で、成形押し型37が次第に下降することにより、円弧状成形面42が胴部壁の折曲縁部基端9が円弧状成形面42の径大円弧面から次第に径小円弧面に当接しながら移動することによって円弧状に巻き込まれ、さらにカーリングダイ33のカーリング成形面42に当接しながら移動することによって、折曲縁部6が完全にカール部の内側に位置するように渦巻き状に巻き込まれて、仕上げカールが行われる。仕上げカール加工に際して、アッパーダイ18及び必要に応じてカーリングダイ33が所定温度に加熱されていることによって、容器の伸びフランジを加熱しながら成形でき成形性が向上する。以上のように成形されたカール部は、良好なカール巻きこみ状態を得ることができ、且つ鋭角な折り目を有する屈曲縁部6を有しているため、カール部が戻ることがなく優れた保形性を有している。
【0027】
次に、図2に示すような角形の成形容器のカール加工を行なうのに適している他の実施形態のカール成形装置を図9〜図15に基づいて説明する。本実施形態において、前記実施形態と同様な構成については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態におけるカール成形装置は、第1プレカール成形装置70、第2プレカール成形装置71、仕上げカール成形装置72の組合せから構成されている。
【0028】
第1プレカール成形装置70は、前記実施形態と同様に、ダイホルダーに角形状の容器が内側に嵌合する容器ホルダー75が固定され、該容器ホルダー75の上面にロワダイ76が固定されている。該ロワダイ76は容器ホルダー75と同一部材で一体に形成してもよく、別部材で形成して一体化してもよい。図示しないパンチホルダーには、容器ホルダーに嵌合した容器の内周面に嵌合して胴部壁を容器ホルダーとで挟んでカール成形時に胴部壁が座屈するのを防止するインナーパンチ76とアッパーダイ77が固定されている。本実施形態では、図示のようにインナーパンチとアッパーダイが一体に形成されて部品点数の削減を図っているが、前記実施形態と同様に別部材で形成され、パンチホルダーに対してスプリングを介して取付けられ、所定量クッション可能に設けてもよい。また、パンチホルダーにはアウターパンチ78が設けられている。この第1プレカール成形装置70は、前記実施形態のプレカール成形装置と同様な作動を行ない、図9から図10に示すように伸びフランジ68を形成し、その後アウターパンチ78が下降することによって、図11に示すように伸びフランジ部を折り曲げて折曲縁部69を成形する。
【0029】
第2プレカール成形装置71は、図12にその要部が示され、前記折曲縁部69が形成された胴部開口端部の胴部壁をカール加工する部分を予め外側に開きつつ外側にアール状に屈曲させてフランジ状に成形すると共に、前記折曲縁部69全体をアウターパンチで押圧して、より折曲縁部の折り曲げを確実にする機能を有している。第2プレカール成形装置71は、容器ホルダー80に胴部壁のカール部となる部分を基端から外側に開き屈曲させるロワダイ81が固定され、図示しないパンチホルダーには、容器ホルダーに嵌合した容器の内周面に嵌合して胴部壁を容器ホルダーとで挟んでカール成形時に胴部壁が座屈するのを防止するインナーパンチ82とアッパーダイ83が固定されている。本実施形態では、図示のようにインナーパンチとアッパーダイ83が一体に形成されているが、前記実施形態と同様に別部材で形成してもよい。また、パンチホルダーにはアウターパンチ78が設けられている。この第2プレカール成形装置80は、第1プレカール成形装置で折曲縁部69が形成された容器60を容器ホルダー80に嵌合して保持し、その状態でインナーパンチと共にアッパーダイが下降することによって、図12に示すように、カール部の起点となる位置で外側に折り曲げ、その状態でアウターパンチが下降することによって、図13に示すように、折曲縁部を押し潰すと共に、カール部となる部分を略水平状態に屈曲させてカール成形部73をフランジ状にする。
【0030】
仕上がりカール成形装置72は、図14及び図15に示すように、第2プレカール成形装置で伸びフランジ状に外方に屈曲させたカール加工部をカール状に成形するものであり、プレカール成形が済んだ角形状の成形容器が嵌合するチャック90と、チャックに嵌合した容器底部を支持する容器支持台(図示してない)を有している。本実施形態では、仕上げカール成形を2段階で行なうように構成され、チャック90を挟んで180°位相をずらして、第1カーリングロール91と第2カーリングロール92(図15)が配置されている。第1カーリングロール91及び第2カーリングロール92は、それぞれ周方向に第1カール成形溝93と第2カール成形溝94がそれぞれ形成されている。これらのカール成形溝は、チャックに保持された先端部に折曲縁部が形成されたフランジ状のカール成形部73に対して、相対的に回転しながら半径方向に移動することによって、フランジ端部を該成形溝に沿って次第に内側に巻き込むような溝形状に形成されている。第1カール成形溝93は、第1段階の仕上げカール成形を行なうものであり、図14に示すように、折曲縁部69が水平状態からほぼ90°以上巻きこまれ中間状態までカール成形をするように溝の形状が形成されている。そして、第2カーリングロールに形成された第2カール成形溝94は、図15に示すように、第1段階のカール成形に続いて仕上げカール成形を行なうもので、第2カール成形溝の断面形状は容器のカール部の外形状とほぼ同様な形状に形成されている。
なお、第1カーリングロール91及び第2カーリングロールは、それぞれヒータによりカール成形溝が所定温度に加熱できるようになっている。
【0031】
上記実施形態において、容器の全周にわたってカール加工を行なうには、チャック90に嵌合した容器側か、第1カーリングロール91、第2カーリングロール92のロール側の少なくともどちらか一方が回動し、且つ水平方向に変位する必要があるが、ロールを前記位相を保った状態で容器のカール成形部73に沿って移動させるようにしても良く、チャックを回転させて容器を回転させてもよい。その場合、第1カーリングロール91及び第2カーリングロール92は、容器の回転半径の変化に応じて水平面に変位するように構成する。また、何れの場合も第1カーリングロール91及び第2カーリングロール92は、その軸心回りの回転(自転)は自由回転するようにしてもよく、強制回転させてもよい。
【0032】
本実施形態の成形容器のカール加工装置は、以上のように形成され、角形容器の場合は、円形容器の場合と相違して、コーナー部と直線部があり、それぞれの部位の密度が相違しているため、カール加工時に容器に作用する曲げ変形に伴なう応力が相違し、全周を同時にカール成形することは困難であるが、本実施形態によれば、プレカール加工工程と仕上げカール加工工程に分け、プレカール加工工程では全周同時に行ない、仕上げカール工程のみを従来と同様にカーリングロールで行なうようにしている。以上のように本発明では、角形容器の場合もカップ状容器の場合と同様にプレカール工程で予めしっかりした折り癖をつけた折曲縁部を強制的に形成して、それをカール部内に巻き込むようにしてあるので、角形容器の場合も容易にカール成形でき、かつ保形性に優れた良好なカール成形ができる。
【実施例1】
【0033】
紙基材の内外面を低密度ポリエチレンフィルム(LDPEフィルム)でラミネートした紙板材(総厚さ0.38mm)から絞りしごき加工により、直径58.2mm、深さ43mmの図16の写真に示すカップ状1次成形カップ容器を得た。得られた1次成形容器の胴部壁の密度を測定したところ、胴部壁の底部近傍では0.82g/cmで、開口端部付近では1.63g/cmとなっており、開口端部付近では底部付近の約2倍程度の高密度となっている。これは絞りしごき加工により、開口端部付近は縮み成形されるためである。この1次成形容器の開口部から約12.7mm深さまでをカール形成域として、図5及び図6に示すプレカール成形装置及び仕上げカール成形装置により、カール部の屈曲縁部6を形成するプレカール加工及び仕上げカール加工を行い、図17に示すような胴部開口端部にカール部を有するカップ状絞りしごき成形容器を得た。実験を繰り返した結果、仕上げカール成形時のカール成形性は、成形温度と成形速度が影響し、成形温度は90℃以上が良く、成形速度は200mm/s以下の遅い方が成形しやすい傾向をもっていることが分かった。そのため、本実施例では、仕上成形工程は、成形温度120℃、成形速度200mm/sで行った。
プレカール成形装置及び仕上成形装置の各寸法は次のように設定したものを使用した。
プレカール成形装置:
アッパーダイの曲率半径R:1.81mm
ロワダイの曲率半径R: 1.40mm
仕上成形装置:
成形押し型の曲率半径R=1.40mm、R=2.00mm
カーリングダイの曲率半径R=1.40mm
カーリング高さH=3.39mm
以上のような成形装置を使用して10個カール成形し、得られた容器のカール部の寸法を測定した。測定結果の平均値は以下の通りであった。
折曲縁部幅a: 1.9mm
カール部高さb: 11.6mm
カール部幅 c: 4.3mm
容器カール部外径:71.5mm
容器高さ: 30.3mm
また、比較例として、プレカール成形工程を行わないで、図5の仕上げカール成形装置を使用して従来のカップのカール成形工程と同様に、直接カール成形を実施例と同様に10個について行なった。その平均値は次の通りであった。
カール部高さb: 11.7mm
カール部幅c: 4.4mm
容器カール部外径:72.3mm
容器高さ: 30.3mm
【0034】
以上の結果から明らかなように、実施例の場合は、成形後のカール部の寸法は、成形装置で設定した寸法とほぼ一致し、カール部が緩むことなく、良好な形状にカールが成形され、保形性に優れていることが確認された。これに対し、比較例の場合は、成形後装置から取り出すとカール部が緩み、成形装置の設定寸法よりもカール部高さb、幅cとも大きくなっており、保形性が悪く良好なカールが得られなかった。また、カール部表面の形状も実施例の場合は、均一な細かいしわを維持して良好な面形状を保っているが、比較例の場合は、部分的なしわの偏りが見られ、カールの形状の良好性に劣っていた。図18は、実施例及び比較例の容器のカール部の断面拡大写真であり、(a)が実施例、(b)が比較例のものである。この写真から明らかなように、実施例は折曲縁部がカール部内に位置するように内側に巻き込まれ、カール部の径方向厚さも小さく、弛むことなくコンパクトな形状にカールが形成されているのに対し、比較例のものはカール部全体が実施例に比べて弛んでおり、特に径方向厚さが実施例と比べて大きくなっており、良好な巻締状態が得られていないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明によれば、従来カール成形が困難な紙を主体とする材料の絞り成形容器あるいは絞りしごき成形容器のカール部を保形性良く良好に形成でき、従来の2ピースカップ状容器や合成樹脂製成形容器とほぼ同寸法精度で成形できることが可能となり、紙製成形容器の飲料容器をはじめ種々の用途への適用を可能にし、環境適応性に優れた容器を適用できる。また本発明は、紙製ばかりでなく、樹脂製成形容器のカール成形にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係るカップ状成形容器の正面断面図であり、(b)はそのカール部の拡大図である。
【図2】そのカール部の成形工程を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る角形絞り成形容器の一部破断正面図である。
【図4】その平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るカール成形装置を構成するプレカール成形装置の要部正面断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るカール成形装置を構成する仕上げカール成形装置の要部正面断面図である。
【図7】図5に示すプレカール成形装置の要部拡大正面断面図である。
【図8】図6に示す仕上げカール成形装置の要部拡大正面断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るカール成形装置を構成する第1プレカール成形装置の成形開始前の状態を表す要部正面断面図である。
【図10】その伸びフランジを形成した状態での要部正面断面図である。
【図11】その折曲縁部を形成した状態での要部正面断面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るカール成形装置を構成する第2プレカール成形装置のカール形成部を折り曲げた状態での要部正面断面図である。
【図13】その折曲縁部を圧潰した状態での要部正面断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係るカール成形装置を構成する仕上げカール成形装置の第1カーリングロールによるカール成形状態を表す要部正面断面図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係るカール成形装置を構成する仕上げカール成形装置の第2カーリングロールによるカール成形状態を表す要部正面断面図である。
【図16】本発明の実施例に係るカップ状成形容器の一次成形を終了したカール未加工状態わ表す斜視方向からの写真である。
【図17】カール加工後の状態を表すカップ状成形容器の斜視方向からの写真である。
【図18】カール部断面の写真であり、(a)は実施例、(b)は比較例である。
【符号の説明】
【0037】
1 カップ状成形容器 2 底壁
3 胴部壁 5、65 カール部
6、69 折曲縁部 8、68 伸びフランジ
10 プレカール成形装置 11 ダイホルダー
12 容器ホルダー 13 ロアダイ
15、35 パンチホルダー 16、36 インナーパンチ
17 アウターパンチ 18 アッパーダイ
19、20、39 スプリング 21 凸成形面
22 凹成形面 23 円筒面
24 円筒外周面 25 環状先細導入部
26 外周面 27 先端縁
30 仕上げカール成形装置 31 ダイホルダー
32、75、80 容器ホルダー 33 カーリングダイ
37 成形押し型 41 カール成形面
42 円弧状成形面 43 抵抗ヒータ
60 角形絞り成形容器 61 コーナー部
62 直線部 63 胴部壁
64 底部壁 65 突起
66 補強リブ 67 カール部
70 第1プレカール成形装置 71 第2プレカール成形装置
72 仕上げカール成形装置 76、82 インナーパンチ
77、83 アッパーダイ 78、84 アウターパンチ
81 容器ホルダー 81 ロアダイ
90 チャック 91 第1カーリングロール
92 第2カーリングロール 93 第1カール成形溝
94 第2カール成形溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部開口端部にカール部を有する胴部と底部が一体に成形された成形容器であって、前記カール部のカール形状が、胴部開口端から所定幅に外側に折り曲げられた折曲縁部を有し、該折曲縁部がカール部内に位置するよう巻き込んで形成してなることを特徴とする成形容器。
【請求項2】
前記成形容器が紙を主体とする板材を絞り成形したカップ状又はトレー状容器である請求項1に記載の成形容器。
【請求項3】
前記成形容器が紙を主体とする板材を絞りしごき成形したカップ状又はトレー状成形容器である請求項1に記載の成形容器。
【請求項4】
胴部開口端部にカール部を有する胴部と底部が一体に成形された成形容器のカール成形方法であって、胴部開口端から所定幅だけ外方に折り曲げて折曲縁部を形成するプレカール成形工程、該プレカール成形工程で折曲した前記折曲縁部が内側に位置するように巻き込む仕上げカール成形工程からなることを特徴とする成形容器のカール成形方法。
【請求項5】
前記プレカール成形工程は、成形容器をホルダー内に保持し、雄型で胴部壁を外側に開き、胴部開口端部を所定位置から直径方向外側に屈曲させて伸びフランジを形成し、その状態で先端部を下方に折り曲げることにより折曲縁部を形成してなる請求項4に記載の成形容器のカール成形方法。
【請求項6】
前記プレカール成形工程は、成形容器を前記ホルダー内に保持し、雄型で胴部壁の開口端部近傍を外側に開き、胴部開口端部を所定位置から直径方向外側に折り曲げる第1工程、その状態で先端部を下方に折り曲げることにより折曲縁部を形成する第2工程、該折曲縁部から巻き込み部を形成する所定幅を有して外方に折り曲げてカール成形用伸びフランジを形成し、その状態で前記屈曲縁部を圧潰する第3工程からなる請求項4に記載の成形容器のカール成形方法。
【請求項7】
前記仕上げカール成形工程は、前記プレカール成形工程で折曲した前記折曲縁部が内側に位置するようにカール成形溝をそれぞれ有するアッパーダイとカーリングダイとの相対的変位によるカール成形溝の協働作用により前記折曲縁部を内側に巻き込むことからなる請求項4〜6何れかに記載の成形容器のカール成形方法。
【請求項8】
前記仕上げカール成形工程は、前記カール成形用伸びフランジ先端部に、外周部にカール成形溝を有するカール成形ローラを外方より押し当て半径方向内側に相対的に変位させることにより、折曲縁部を内側に巻き込むことからなる請求項6に記載の成形容器のカール成形方法。
【請求項9】
前記仕上げカール成形工程が、カール加工を途中まで行なう第1のカーリングロールと最終的な仕上げカール加工を行なう第2のカーリングロールにより2段階に分けて行なう請求項8に記載の成形容器のカール成形方法。
【請求項10】
胴部開口端部にカール部を有する成形容器のカーリング装置であって、容器の胴部開口端部を胴部開口端から所定幅だけ外方に折り曲げて折曲縁部を形成するプレカール成形装置と、該プレカール成形装置で折曲した前記折曲縁部が内側に位置するように巻き込む仕上げカール成形装置からなることを特徴とする成形容器のカール成形装置。
【請求項11】
前記プレカール成形装置は、成形容器が嵌合する容器ホルダー、該容器ホルダーの上面に設けられたロワダイ、該ロワダイに対して相対移動して該ロワダイと協働して胴部開口端部を外方に拡げるアッパーダイ、該アッパーダイの外周部に嵌合して前記ロワダイとアッパーダイに挟まれた状態で外方に突出している胴部開口端部をロワダイ外周部に沿って下方に折曲するアウターパンチからなる請求項10に記載の成形容器のカール成形装置。
【請求項12】
前記プレカール成形装置は、胴部開口端部に所定幅の折曲縁部を形成する第1プレカール成形装置、前記折曲縁部を押圧し、且つカール形成部分を外方に折り曲げる第2プレカール成形装置の組合せから構成されている請求項10に記載の成形容器のカール成形装置。
【請求項13】
前記仕上げカール成形装置は、カップが内側に嵌合する容器ホルダー、プレカール加工したカール加工部をカーリングするカール成形溝を有する成形押し型、該成形押し型の成形溝に対向するカール成形溝を有するカーリングダイを有し、前記成形押し型とカーリングダイとの相対的変位により前記両方のカール成形溝の協働作用により前記折曲縁部が内側に位置するように巻き込むようにしてなる請求項10〜12何れかに記載の成形容器のカール成形装置。
【請求項14】
前記仕上げカール成形装置は、伸びフランジ部に前記折曲縁部が形成された成形容器が嵌合するチャック、該チャックに嵌合した前記成形容器を支持する容器支持台、前記チャックに嵌合している成形容器の伸びフランジ部に作用して前記折曲端縁を内側に巻き込んでカール加工するカール成形溝が外周面に形成されたカールリングロールからなり、該カーリングロールが相対的に前記伸びフランジ部周方向と幅方向に移動することによって、前記伸びフランジ端部の折曲縁部をカール部内に巻き込むようにしてなる請求項10〜13何れかに記載の成形容器のカール成形装置。
【請求項15】
前記カーリングロールは、位相をずらして配置された第1カール成形溝を有する第1カーリングロールと、第2カール成形溝を有する第2カーリングロールからなり、2段階で前記折曲縁部が次第に内側に巻き込まれるように仕上げカール成形することを特徴とする請求項14に記載の成形容器のカール成形装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図18】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2006−168811(P2006−168811A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366617(P2004−366617)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【Fターム(参考)】