説明

成形機における射出装置

【目的】投入した多数のペレットが短時間に効率良く加熱且つ溶融され、品質の良い溶融樹脂を射出することができる成形機における射出装置とすること。
【構成】ペレット供給口11aを備えたシリンダー1と、シリンダー1内に配置されると共に軸方向に往復するプランジャー3と、プランジャー3を軸方向に往復移動させる駆動手段4と、錐体状の通路で且つ流入側大開口22aと流出側小開口22bとからなる多数の溶融孔22を有する溶融器2と、シリンダー1の射出側に設けられたノズル14と、溶融器2を加熱する加熱手段6とからなること。溶融器2はプランジャー3とノズル14との間に配置されると共に流入側大開口22aはプランジャー3に対面してなること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入した多数のペレットが短時間に効率良く加熱且つ溶融され、品質の良い溶融樹脂を射出することができる成形機における射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、射出装置は、スクリュータイプとしたものが多く、種々のものが開発されている。その代表的なものとして、特許文献1に開示されているように、主にシリンダーとスクリューとから構成される。シリンダーに設けられたホッパーから投入されたペレットは、シリンダーの内部でスクリューが回転することによって射出ノズル側に移送させられると共に、その移送過程で加熱されて溶融してゆく。そして、溶融した樹脂をノズルの先端に集め、それを射出し、金型に溶融樹脂を送る。
【0003】
一般のペレットは、樹脂(プラスチック)であり、その熱伝導率は約0.07〜0.20kcal/m・hr・℃である。これは、金属の熱伝導率の数百分の1から数千分の1であり、このようなことからペレットは、略断熱材と言える。したがって、ペレットを溶融するために、十分な溶融熱を与えても、熱がペレット内部(中心部)まで伝達しにくく、十分に加熱されるのに、かなりの時間がかかってしまう。
【0004】
したがって、個々のペレットが十分に溶融されて、樹脂成形ができる状態となるまでは短時間ではきないものであった。そのためにシリンダー内で比較的長い時間をかけて、ペレットを溶融させなければならず、作業効率も良好とはいえないものであった。また、前記射出装置において、シリンダー投入した多数のペレットのそれぞれの固体が、加熱されてスクリューが回転することによって、噴射側に移動させるものであり、このとき多数のペレットの一部がシリンダー内壁に押し付けられる状態となる。
【0005】
つまり、シリンダー内壁に押圧されることになる。そして、押圧される個々のペレットについても、その固体の表面の一部のみがシリンダー内壁に接触するものであり、個々のペレットの溶融は、ペレット固体が部分的に溶融するのみである。シリンダー内でスクリューによってこねられるペレットは、短時間でシリンダー内壁から離れてしまい、十分な加熱が行われず、ペレット固体は全体が溶融されず、大半のペレットは溶融部分と非溶融部分とが混ざり合った状態となる。
【0006】
ペレットがスクリューによってシリンダー内壁に繰り返して押圧されることで、ペレットの完全な溶融が行われ、溶融したペレットがノズルに付近に移送され場合でも、シリンダーに滞留している樹脂の量は、1回の射出に必要な量の数十倍以上であり、無駄な量のペレットがシリンダー内に残留することになる。
【0007】
また、溶融された樹脂がスクリューとシリンダーの隙間を通過するときに、樹脂に機械的損傷を与える。特にガラス繊維入りのペレットを溶融する場合には問題が多く、スクリューが磨耗してしまう。また、それぞれのペレットがランダムに一部のみの溶融となるため、シリンダー内にいつまでも同じペレットが残留してしまうことは避けられない。そのために、シリンダー内のペレットにおける材料替えを行う際は、特に作業が大変である。
【0008】
次に、射出装置では、前述したスクリュータイプの他に、プランジャータイプのものが存在する。この種のものは、特許文献2の図2に開示されており、構造が簡単で、且つ小型化にし易いものであるが、スクリュータイプのように、多数のペレットを加熱しながらかき混ぜることにより安定した品質の溶融樹脂を射出する射出性能の点でプランジャータイプは劣っているためである。また、プランジャータイプでは、多数のペレットの掻き混ぜができないので、ペレットの溶融に長時間かかるという問題もある。このようなことからプランジャータイプでは、特許文献3に開示されているように、プランジャーと共にトーピードが具備されたもの存在するが、そのために構造が複雑となる問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−246802号
【特許文献2】特開2004−122529号
【特許文献3】特開2009−113360号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
スクリュータイプの射出装置には、スクリューによって、シリンダー内に投入された多数のペレットを加熱すると共にスクリューによって掻き混ぜつつ、ノズル側に移送させるが、前述したように、全ペレットが溶融するのに時間がかかり、またペレットにガラス繊維材等の添加物が混入されたものでは、スクリューに負担がかかり、比較的早期に摩耗し、耐久性も劣化する。また、プランジャータイプでは、前述したように射出する射出性能の点でスクリュータイプよりも劣っている。本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、多数のペレットを短時間に効率良く加熱且つ溶融し、品質の良い溶融樹脂を射出することができる射出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ペレット供給口を備えたシリンダーと、該シリンダー内に配置されると共に軸方向に往復するプランジャーと、該プランジャーを軸方向に往復移動させる駆動手段と、錐体状の通路で且つ流入側大開口と流出側小開口とからなる多数の溶融孔を有する溶融器と、前記シリンダーの射出側に設けられたノズルと、前記溶融器を加熱する加熱手段とからなり、前記溶融器は前記プランジャーと前記ノズルとの間に配置されると共に前記流入側大開口は前記プランジャーに対面してなる射出装置としたことにより、上記課題を解決したものである。
【0012】
請求項2の発明を、請求項1において、前記溶融孔の流入側大開口は、前記ペレットの少なくとも一部が流入可能な大きさとしてなる射出装置としたことにより、上記課題を解決したものである。請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記溶融器の溶融孔は円錐形状としてなる射出装置としたことにより、上記課題を解決したものである。請求項4の発明を、請求項1,2又は3のいずれか1項の記載において、隣接する前記溶融孔の流入側大開口は略多角形状の開口に形成されると共に、隣接する流入側大開口同士は近接してなる射出装置としたことにより、上記課題を解決したものである。
【0013】
請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4のいずれか1項の記載において、前記駆動手段は、軸周方向に回動する外螺子軸とモーター駆動部とからなり、前記プランジャーには前記外螺子軸と螺合する内螺子部が形成された底部を有し、前記プランジャーは周方向に非回転として、前記外螺子軸の回動により前記プランジャーは軸方向に移動する構成としてなる射出装置としたことにより、上記課題を解決したものである。請求項6の発明を、請求項5おいて、前記プランジャーの外周側面部は、前記シリンダーの内周側面部との間に摩擦が生じるように接触してなる射出装置としたことにより、上記課題を解決した。
【0014】
請求項7の発明を、請求項1,2,3,4,5又は6のいずれか1項の記載において、前記加熱手段は電磁誘導装置としてなる射出装置としたことにより、上記課題を解決したものである。請求項8の発明を、請求項1,2,3,4,5,6又は7のいずれか1項の記載において、前記シリンダーの前記ペレット供給口の供給口箇所付近の周方向の領域には、多数の小孔からなるエアベント部が形成されてなる射出装置としたことにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明では、ペレット供給口を備えたシリンダーと、該シリンダー内に配置されると共に軸方向に往復するプランジャーと、該プランジャーを軸方向に往復移動させる駆動手段と、シリンダーの射出側に設けられるノズルと、前記溶融器を加熱する加熱手段とから構成されたものである。
【0016】
溶融器は、多数の錐体通路状に形成された溶融孔を有しており、該溶融孔の孔形成方向の一方を流入側大開口とし、他方を流出側小開口としている。前記溶融器は前記プランジャーと前記ノズルとの間に配置されると共に前記溶融器の流入側大開口側が前記プランジャー側に対面(又は対向)する構成としている。このような構成によって、シリンダー内に多数のペレットが投入されると、駆動手段の始動によりプランジャーが多数のペレットを、溶融器に向けて押圧する。溶融器は、溶融孔の大開口側である流入側大開口がプランジャーと対向しているので、プランジャーが駆動手段によって溶融器側に向かって移動すると、ペレットは、プランジャーに押圧され、流入側大開口から溶融孔に入り込んでゆく。またこの行程において、加熱手段が溶融器をペレットの十分な溶融温度に設定する。
【0017】
プランジャーの押圧により溶融孔内に流入側大開口から入り込んだペレットは、溶融孔の内周壁面に囲まれる状態となり、溶融孔が錐体状の通路であるから内周壁面は次第に狭くなり、ペレットの周囲との間隔もペレットの流出側小開口側への移動に伴い次第に小さくなる。また、溶融器自体も加熱手段により溶融温度であるため、ペレットが溶融してゆく。このとき、ペレットの全周囲は溶融孔の内周壁面により囲まれた状態であり、ペレットは外周から中心部に略均等にバランス良く溶融してゆくことができる。
【0018】
そして、ペレットが外周から中心に向かって略均等に溶融しつつ、次々に流入側大開口から入り込む多数のペレットに押圧されて、溶融孔の流出側小開口に移動することができ、その間にもペレットは溶融が進行し、溶融孔の長手方向の略中間を通過した当たりでは溶融された部分が殆どであり、溶融器の溶融熱と共に周囲のペレットも溶融が加速度的に進行する。そして、流出側小開口付近では、ペレットは完全に溶融しており、良好な溶融状態の樹脂をノズルから射出することができる。
【0019】
このように、本発明において、溶融器は多数の錐体通路状の溶融孔を有するものであり、加熱手段により溶融温度に加熱された多数の錐体通路状の溶融孔にプランジャーに押圧されたペレットが大開口側である流入側大開口より入り込むことで、ペレットがバランス良く溶融し、且つ溶融が促進されて溶融速度も速くなり、ノズルからの射出時間を格段に短縮することができ、射出成形の作業効率を向上させることができる。
【0020】
ペレットは、溶融器の溶融孔に流入側大開口から入り込み、溶融孔を流出側小開口に向かって移動する間に確実に溶融され、しかも、溶融孔に入り込んだペレットのみを溶融するので、ペレットがシリンダー内で長時間熱的、機械的ストレスに晒されることがない。よって品質の良い成形品が出来る。そして、溶融効率が高く、必要以上の材料を投入する必要がないのでシリンダーを小型にでき、省電力、省資源に寄与するものである。
【0021】
次に、請求項2の発明では、溶融孔の流入側大開口は、少なくとも前記ペレットの一部が流入可能な大きさにしたことにより、溶融孔の流入側大開口には、略1個ずつのペレットが入り込むことができ、ペレットは入り込んだと同時に溶融孔の内周壁面に囲まれることとなり、溶融が開始され、射出成形の作業速度が向上する。
【0022】
請求項3の発明では、溶融器の溶融孔は円錐形状としたので、どのような形状のペレットであっても、ペレットの外周が溶融孔の内周壁面に囲まれ易く、ペレットが略均等にバランス良く溶融することができる。請求項4の発明では、隣接する前記溶融孔の流入側大開口は略方形状の開口に形成されると共に、隣接する流入側大開口同士の境目は刃状に形成されたことにより、溶融器における溶融孔の流入側大開口側プランジャーにより押圧されたペレットは、前述した流入側大開口同士の境目の刃状箇所で破砕され、細かく分離されるので、ペレットは流入側大開口により一層入り易くなり、ペレットの溶融を促進させることができる。
【0023】
請求項5の発明では、駆動手段は、軸周方向に回動する外螺子軸とモーター駆動部とからなり、前記プランジャーには前記外螺子軸と螺合する内螺子部が形成された底部を有し、前記プランジャーは周方向に非回転として、前記外螺子軸の回動により前記プランジャーは軸方向に移動する構成としたことで、外螺子軸の回動のみで、プランジャーは往復移動することができる。
【0024】
請求項6の発明では、前記プランジャーの外周側面部は、前記シリンダーの内周側面部との間に摩擦が生じるように接触する構成としたので、外螺子軸が回動につられて、プランジャーが共に周方向に空転することを、前記摩擦力にて防止することができ、プランジャーは、外螺子軸の回動によって、軸方向に移動することができる。これによって、プランジャーには、空転防止のための別の部材を具備する必要がなく、シリンダーの移動構造を極めて簡単なものにすることができる。
【0025】
請求項7の発明では、加熱手段は電磁誘導装置としたことにより、溶融器を迅速に加熱することができる。請求項8の発明では、シリンダーの前記ペレット供給口の供給口箇所付近の周方向の領域には、多数の小孔からなるエアベント部が形成されたことにより、シリンダー内に多数のペレットを送り込み易くすることができる。すなわち、シリンダー内に送り込まれるペレットに対して、シリンダー内に空気が溜っている場合に、その滞留空気を多数の小孔から滞留する空気を排出することができ、ペレットが入り難くなることを防止することができる。さらに、エアベント部の多数の小孔により、シリンダーを形成する材料面積を削減し、熱伝導率を減少させ、駆動手段等に高温が及ぶことを防止でき、放熱性を良好にすることができる。さらに、多数の小孔は、シリンダー内部を目視することが可能であり、シリンダー内に投入されたペレットの残量を目視によって確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(A)は本発明における射出装置の縦断側面図、(B)は(A)のX1−X1矢視拡大断面図、(C)は(A)の(ア)部拡大図である。
【図2】(A)は本発明における射出装置の一部縦断側面図、(B)は(A)の(イ)部及びシリンダーの一部拡大断面図、(C)はシリンダーに案内溝部が形成され、プランジャーに案内突起が装着された実施形態の要部縦断側面図、(D)は(C)のX2−X2矢視断面図である。
【図3】(A)は第1実施形態の射出装置に多数のペレットが投入された状態の縦断側面図、(B)は(A)の(ウ)部拡大図、(C)は多数のペレットがプランジャーによって溶融器に押出されたペレットが溶融器を通過して溶融されノズルから射出された状態の縦断側面図である。
【図4】(A)第1実施形態の射出装置において多数のペレットが溶融器の流入側大開口に入り始めた状態の要部縦断側面図、(B)は多数のペレットが溶融孔内で溶融し始め状態の要部縦断側面図、(C)は多数のペレットが溶融孔内で溶融しつつ流出側小開口から押し出されている状態の要部縦断側面図、(D)は多数のペレットが溶融孔内部で殆ど溶融した状態で流出側小開口から押出されている状態の要部縦断側面図である。
【図5】(A)は溶融器の一部切除した斜視図、(B)は(A)の(エ)部拡大図、(C)はペレットが溶融孔を流入側大開口から流出側小開口に向かって溶融しながら移動する状態を示す略示斜視図である。
【図6】(A)はペレットが流入側大開口から流出側小開口に向かって溶融しながら移動する状態を示す溶融孔の拡大縦断側面図、(B)は(A)のX3−X3矢視拡大断面図、(C)は(A)のX4−X4矢視拡大断面図、(D)は(A)のX5−X5矢視拡大断面図、(E)は(A)のX6−X6矢視拡大断面図、(F)は(A)のX7−X7矢視拡大断面図である。
【図7】(A)は第2タイプの溶融器の一部切除した斜視図、(B)は(A)の(オ)部拡大図、(C)は(B)のX8−X8矢視拡大断面図、(D)は(B)のX9−X9矢視拡大断面図、(E)は(B)のX10−X10矢視拡大断面図、(F)はペレットが破断される状態を示す溶融孔の流入側大開口側の要部拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。本発明は、図1(A)に示すように、主にシリンダー1と、ペレットp,p,…を溶融する溶融器2と、プランジャー3と、該プランジャー3を駆動する駆動手段4と、加熱手段6とから構成される。前記シリンダー1の内部には、溶融器2とプランジャー3が配置される。シリンダー1の長手方向一端側にノズル14が装着され、長手方向他端側には駆動手段4が装着され、該駆動手段4によってプランジャー3がシリンダー1内を長手方向に往復移動する構成となっている〔図2(A),(B)参照〕。
【0028】
シリンダー1の材質は、加熱が迅速に行われることが必要であり、鉄又は鉄の含有量の多いステンレスなどが好適である。シリンダー1は、シリンダー本体部11,供給管12及びホッパー13から構成されている。シリンダー本体部11は、内方側が略円柱状の空隙を有する円筒状の部材である。シリンダー本体部11は、長手方向の一部が後述する加熱手段6にて加熱される領域が設定される。
【0029】
そして、円筒状のシリンダー本体部11の長手方向中間箇所にペレット供給口11aが形成されている〔図1(A)、図2(A)参照〕。前記シリンダー本体部11の外周側面で前記ペレット供給口11aの周縁から、前記管状の供給管12が形成され、該供給管12の端部に前記ホッパー13が設けられている〔図1(A)参照〕。シリンダー本体部11の肉厚寸法は、約2mm程度のものが好ましい。
【0030】
前記ホッパー13には、多数のペレットp,p,…が投入可能であり、投入されたペレットp,p,…は、供給管12を通して前記ペレット供給口11aからシリンダー本体部11内に送り込まれる〔図3(A)参照〕。また、特に図示しないが、供給管12に空気圧装置を具備して、ペレットp,p,…を空気圧にて強制的に投入することもある。
【0031】
シリンダー本体部11のペレット供給口11a付近には、エアベント部15が設けられている〔図1(A)参照〕。該エアベント部15は、前述したように供給管12からシリンダー本体部11内に送り込まれるペレットp,p,…に対して、シリンダー本体部11内に空気が溜っている場合に、その滞留空気によってペレットpが入り難くなることを防止する役目をなすものである。
【0032】
エアベント部15は、多数の小孔15a,15a,…から形成され、シリンダー本体部11内に溜まる空気を外部に逃がすものである。前記エアベント部15を構成する小孔15aは、ペレットpよりも十分小さく形成され、具体的には、直径約1mm程度の貫通孔である。
【0033】
エアベント部15の小孔15a,15a,…は、ペレット供給口11aの近傍で且つ周方向に沿って配列形成されたものであり、出来るだけ多数開けることが好適である〔図1(A)参照〕。そして、シリンダー1のシリンダー本体部11内に送り込まれる多数のペレットp,p,…に対して、シリンダー本体部11内に空気が溜っている場合に、その滞留空気を前記多数の小孔15a,15a,…から滞留する空気を排出することができ、一度に多数のペレットp,p,…を入れ易くすることができる。
【0034】
また、エアベント部15の多数の小孔15a,15a,…は、シリンダー本体部11を形成する材料面積を削減するので、熱伝導率を減少させ、駆動手段等に高温が及ぶことを防止でき、放熱性も良好である。さらに、エアベント部15の多数の小孔15a,15a,…は、シリンダー本体部11の内部を目視することが可能であり、シリンダー本体部11内に投入されたペレットp,p,…の有無,残量を外部から観察することが出来る〔図3(A),(B)参照〕。
【0035】
シリンダー本体部11の長手方向一端側には、ノズル14が装着されている。該ノズル14は、本発明の射出装置と共に使用する金型に合わせて射出部分の口径を変更させるように交換することが出来るようになっている。ノズル14は、射出口14aと接続部14bとから構成される〔図1(A)参照〕。
【0036】
射出口14aは、シリンダー本体部11の内径よりも狭く形成されたもので、図示されない金型のゲートに挿入する部位である。ノズル14の接続部14bと、シリンダー本体部11とは、螺子構造(外螺子,内螺子)による構成で着脱自在となっている。ノズル14の材質は、熱伝導の良いものが好適で、具体的には、ベリリウム銅又は銅が望ましい。
【0037】
溶融器2は、器本体部21に多数の溶融孔22,22,…が形成されたものである(図1,図5等参照)。器本体部21は、円筒形状に形成されたものであり、その材質は熱伝導の良いものが好適である。具体的には、銅又はベリリウム銅が使用される。器本体部21は、前記シリンダー1のシリンダー本体部11内部で且つノズル14装着側付近となるように固着される〔図1(A)参照〕。
【0038】
具体的には、シリンダー本体部11の内周側面部11bに溶融器2の器本体部21が圧入等の固着手段にて固着されている。特に、溶融器2は、後述するプランジャー3により大きな圧力で押圧された多数のペレットp,p,…を受け止めるので、シリンダー本体部11と溶融器2同士は極めて強固に固着される。溶融器2は、シリンダー本体部11内において、ノズル14とプランジャー3との間に位置する〔図1(A)参照〕。
【0039】
また、シリンダー本体部11の内周側面部11bと溶融器2の器本体部21とが強固に固着され、相互に密接することで、シリンダー本体部11から溶融器2への熱伝導性を良好なものとし、加熱手段6を介して溶融器2の加熱が迅速に行われるようしている。溶融孔22は、器本体部21の長手方向(軸方向)に沿って形成されたものである〔図5(A),(B),図6(A)参照〕。さらに詳しくは、溶融孔22は、トンネル状或いは管路状とした錐体状の貫通孔である〔図5(A),(B)参照〕。
【0040】
錐体状の貫通孔とは、孔形成方向に直交する複数の任意の位置の断面形状が広い形状から狭い形状となるように形成されたものであり〔図5(B),(C)及び図6(A)参照〕、具体的には円錐或いは角錐等の空隙を有する孔である。本発明では、特に、溶融孔22の錐体状として円錐形状が好ましく、直径が大から小に向かって次第に小さくなるように形成されている(図5参照)。
【0041】
前述したように、溶融孔22は、錐体状の空隙を有する孔であるために、溶融孔22の両端の開口の大きさは異なる。そこで、前記溶融孔22の大開口側は、ペレットp,p,…が流入する流入側大開口22aと称する〔図1(C),図5(A),(B),図6(A)参照〕。また、前記溶融孔22の小開口側を流出側小開口22bと称する。つまり、流入側大開口22aから流出側小開口22bに向かって次第に断面が狭くなる。そして、溶融器2は、器本体部21の流入側大開口22a側がプランジャー3に対面(又は対向)し、流出側小開口22b側がノズル14に対面(又は対向)するように配置されている〔図1(A)参照〕。具体的には、流入側大開口22aはプランジャー3の後述する押圧先端部32と対面するものである。
【0042】
溶融孔22を円錐形状の孔とした場合では、長手方向に沿って、それぞれの直交する箇所の断面形状は円形状である〔図5(C)、図6参照〕。そして、溶融孔22の流入側大開口22aは、1個のペレットp全体が入り込む大きさであり、少なくとも該ペレットpの一部(一部分)が入り込むような大きさとしている。流入側大開口22aの具体的な大きさは、ペレットp,p,…が容易に入り易いような直径で、約3〜4mm程度である。また、流出側小開口22bは、ペレットp,p,…が溶融した状態となり、直径は約1mm程度である。溶融孔22は、その長手方向に沿った断面形状が略テーパー形状である。ここで、図中において符号paは、溶融して液化したペレットである〔図3(B),図4(B)乃至(D)及び図6等参照〕。つまり、ペレットpが溶融して、液化したものを、溶融(又は液化)した状態のペレットpaという。
【0043】
溶融孔22の形状は、前述したように、長手方向に沿って錐体状であり、角錐状とした場合には、四角錐形状としたり、或いは三角錐形状とすることもある。また、四角錐形状と円錐形状を組合わせたタイプも存在する(図7参照)。このタイプの溶融孔22では、円錐形状の溶融孔22の流入側大開口22aを略多角形状とし、流出側小開口22bを円形状としたものである。
【0044】
さらに具体的には、錐体状の溶融孔22の流入側大開口22aが略正方形に形成され、隣接する流入側大開口22a,22a同士の間隔が最小限となるように形成された実施形態も存在する〔図7(A)乃至(E)参照〕。この実施形態では、隣接する流入側大開口22a,22aの境目となる部位が略直線の刃状として形成されることになり〔図7(B)参照〕、集合する流入側大開口22a,22a,…が格子形状を構成される〔図7(A)乃至(C)参照〕。また、略多角形状とした流入大開口22aは、前述したように正方形等の四角形の他に、三角形,六角形等の形状も存在し、隣接する流入大開口22a,22a同士の縁が平行且つ直線となるものが好ましい。
【0045】
このように、流入側大開口22aを略正方形状とし、多数の流入側大開口22a,22a,…によって略格子状を構成し〔図7(A)乃至(C)参照〕、隣接する流入側大開口22a,22aの境目が略直線の刃状となるように構成されることで、各流入側大開口22aの周縁は鋭利な形状となり、流入側大開口22aに入り込もうとするペレットp,p,…が刃状部位に引っ掛かると、プランジャー3の押圧力によって、細か破断され、流入側大開口22aにより一層入り易い状態となる〔図7(F)参照〕。
【0046】
次に、プランジャー3は、前記駆動手段4の外螺子軸41の回動によって、シリンダー本体部11内を長手方向に往復移動し、多数のペレットp,p,…を溶融器2の溶融孔22,22,…に送り込む役目をなすものである(図3、図4参照)。プランジャー3は、外周側面部31と押圧先端部32と底部33とから構成され、これらによって円筒形状に形成される。プランジャー3は、周方向に非回転とする構成とし、外螺子軸41の回動によって、長手方向に往復移動することできるようになっている〔図2(A),(B)参照〕。また、プランジャー3の非回転とする構成とは、つまり該プランジャー3が周方向に空転しないようにする構成のことである。
【0047】
その非回転の構成としては、種々の実施形態が存在し、その具体的な構成として、プランジャー3の外周側面部31は、前記シリンダー本体部11内に収納された状態で、前記シリンダー本体部11の内周側面部11bに接触し、周方向に或る程度の摩擦が生じるように、外周側面部31の直径が設定される。具体的には、プランジャー3の外周側面部31と、シリンダー本体部11の内周側面部11bとは、数ミクロンの隙間となるようにして、略接触状態としたものである。そして、プランジャー3は、シリンダー本体部11内を、周方向に非回転の状態で、長手方向にのみ移動することができるようにしたものである〔図2(A),(B)参照〕。前記押圧先端部32は、平坦面状に形成される。そして、該押圧先端部32は、多数のペレットp,p,…を溶融器2側に押圧して、溶融孔22,22,…にペレットp,p,…を送り込む役目をなす部位である。
【0048】
プランジャー3の底部33には、貫通孔33aが形成され、該貫通孔33aには、内螺子部34が形成されている〔図2(A),(B)参照〕。該内螺子部34は、後述する駆動手段4の外螺子軸41と螺合し、該外螺子軸41の回動によって、底部33と共にプランジャー3がシリンダー本体部11内を長手方向に往復移動し、ペレットp,p,…を溶融器2の流入側大開口22aから溶融孔22に押し込むようにして流入させるものである(図3、図4参照)。プランジャー3の材質は、鉄又はステンレスである。
【0049】
また、プランジャー3の外周側面部31の直径は、前記シリンダー1のシリンダー本体部11の内周側面部11bに直接接触せず、シリンダー本体部11に接触介在物16を介して前記プランジャー3の外周側面部31に接触させる構成にすることもある。前記接触介在物16として、ビス等が使用される。ビスとした接触介在物16は、シリンダー本体部11にプランジャー3を直径方向に締付可能に装着されるものである〔図1(A)の点線部参照〕。
【0050】
また、プランジャー3の外周側面部31と、シリンダー本体部11の内周側面部11bとの間に摩擦を生じさせるための別の手段としては、特に図示しないが、プランジャー3の外周側面にOリングを装着し、該Oリングによって、プランジャー3の周方向の回動を抑制することもある。
【0051】
さらに、プランジャー3の周方向における非回転構造のさらに別の実施形態として、シリンダー1のシリンダー本体部11には、案内溝17が形成され、プランジャー3には前記案内溝17に遊挿される案内ピン36が装着されるものである〔図2(C),(D)参照〕。この実施形態では、案内ピン36が案内溝17に遊挿されることで、該案内溝17の長手方向に沿って移動することができ、しかもプランジャー3の周方向の空転を確実に防止できる。
【0052】
前記駆動手段4は、外螺子軸41,モーター駆動部42,減速部43から構成されている〔図1(A)、図2参照〕。外螺子軸41とモーター駆動部42とが減速部43を介して連結され、モーター駆動部42の駆動により、外螺子軸41が回動する。減速部43は、遊星歯車機構等で、モーター駆動部42の回転数を約1/5乃至1/10程度に減速し、且つ回転力を増強する。モーター駆動部42の入力電流を制御することにより、射出圧力、射出量、射出速度を制御する。外螺子軸41の減速部43に挿入された部分は、遊星歯車と噛み合う歯車が形成されている。
【0053】
駆動手段4の外螺子軸41は、プランジャー3の底部33に形成された内螺子部34と螺合されており、外螺子軸41の回動がプランジャー3の長手方向における前後の往復動作を与える〔図2(A),(B)参照〕。外螺子軸41は、シリンダー本体部11内に固着された軸受44によって、シリンダー本体部11の直径中心となる位置に配置される。外螺子軸41は、固定ナット45にて前記軸受44に固定される〔図1(A)参照〕。
【0054】
モーター駆動部42は、モーターハウジング42aがシリンダー1のシリンダー本体部11の長手方向端部にビス等の固着具にて固着される。また、モーターハウジング42aとシリンダー本体部11との間には、断熱材が装着されることもある。断熱材は、シリンダー本体部11の熱が駆動手段4のモーター駆動部42に伝わるのを防ぐ役目をなすものであり、セラミック等にて構成される。また、駆動手段4の別の実施形態として、特に図示しないが、プランジャー3を油圧にて駆動するタイプ及び空気圧にて駆動するタイプも存在する。
【0055】
加熱手段6は、シリンダー1のシリンダー本体部11内に固着された溶融器2を加熱する役目をなす。加熱手段6は、具体的には、電磁誘導装置つまりIH(インダクションヒーティング)コイルが好適であり、樹脂又はセラミック製の断熱材コイルボビンにIHコイルを巻いたものである。
【0056】
IHコイルとシリンダー本体部11の外周側面との間隔が最適になるようにボビンの形状が設定されている。入力電力は、制御装置により0乃至1Kwまで可変可能としたものが好適である。シリンダー1には、熱電対が取り付けられており、シリンダー1の温度を設定値にすることができるようになっている。また加熱手段6の別のタイプとして、バンドヒーターが使用されることもある。さらに、加熱手段6は、前述したものに限定されるものではなく、その他の本発明に使用可能な加熱装置であれば何れのものが使用されても構わない。
【0057】
次に、本発明の射出装置における動作について、主に図3、図4、図6等に基づいて説明する。駆動手段4のモーター駆動部42を始動すると、外螺子軸41が減速部43により減速されて回動する。プランジャー3は、該プランジャー3の底部33に形成された内螺子部34が前記外螺子軸41と螺合している。前記プランジャー3は、作動前の初期位置は、シリンダー本体部11の長手方向において駆動手段4装着側に位置している〔図1(A)参照〕。
【0058】
この状態でシリンダー本体部11のペレット供給口11aは、プランジャー3の外周側面部31が存在せず開放状態にある〔図1(A)参照〕。そして、ホッパー13から多数のペレットp,p,…が投入され、供給管12を通過してペレット供給口11aからシリンダー本体部11内部に多数のペレットp,p,…が送り込まれる〔図3(A)参照〕。
【0059】
また、前述したように、プランジャー3は、その外周側面部31が、シリンダー本体部11の内周壁面に数ミクロンの隙間で略接触状態となるようにして収納されたものである。この状態により、プランジャー3が周方向に回動しようとすると、プランジャー3の外周側面部31とシリンダー本体部11の内周側面部11bとの間に摩擦が生じ、プランジャー3の周方向における回動動作に対して摩擦抵抗が作用する。
【0060】
そして、駆動手段4の外螺子軸41が回動したときには、該外螺子軸41と共にプランジャー3が引きずられて回動しようとしても、その周方向に摩擦抵抗が働く。そのために、プランジャー3が周方向に回動することを防止し、又は該プランジャー3が空転したとしてもその空転を僅かな量に抑制し、該プランジャー3を非回転状態に維持することができる。つまり、プランジャー3の空転が防止される。したがって、外螺子軸41の回動によって、該外螺子軸41と螺合するプランジャー3の内螺子部34は、軸方向の移動動作のみに変換され、非回転状態でプランジャー3が軸方向に移動することができる。
【0061】
上記のような構成にて、駆動手段4が始動され、モーター駆動部42が作動し、外螺子軸41が回動をすることにより、プランジャー3が動作し始める。外螺子軸41は、モーター駆動部42により正逆両回転し、その正逆両回転によって、プランジャー3が溶融器2に向かって移動し近接したり、又は駆動手段4側に戻る。このようにして、まずプランジャー3は、多数のペレットp,p,…を溶融器2に向かって押圧する〔図4(A)参照〕。同時に溶融器2は、加熱手段6により、ペレットp,p,…が溶融される温度まで加熱されている。
【0062】
このようにして、プランジャー3によって押圧された多数のペレットp,p,…は、多数の流入側大開口22a,22a,…から溶融孔22,22,…内に入り込むようにして流入する〔図4(A),(B),図6(A),(B)参照〕。流入側大開口22aは、前述したように、各ペレットpの少なくとも一部(一部分)が入り込む大きさである。そして、通常は、流入側大開口22aは、平均的なサイズのペレットp全体が流入側大開口22aから入り込む程度の大きさとしている〔図5(C),図6(A),(B)参照〕。
【0063】
溶融孔22,22,…内に入り込んだそれぞれのペレットp,p,…は、あとから流入するペレットp,p,…によって、流出側小開口22b側に押圧される〔図4(B),(C)参照〕。溶融器2は、前述したように加熱部6を介してペレットpを溶融する温度に維持されている。したがって、流入側大開口22aから入り込んだペレットpは、流入側大開口22aから流出側小開口22bに向かって移動するにしたがいペレットp中心部に向かって溶融する〔図6(A)及び(B)乃至(E)参照〕。ペレットpは、流入側大開口22aに入り始めた初期の状態で、ペレットpの周囲が溶融器2の内周壁面に略均等に囲まれた状態となるように設定されている〔図5(C),図6(B)乃至(D)等参照〕。
【0064】
そして、ペレットpは、溶融孔22を流出側小開口22b側に向かって移動するに従い、溶融されつつ、サイズが次第に縮小されてゆく〔図5(C),図6(B)乃至(E)等参照〕。ペレットpが流出側小開口22b側に向かって溶融しながら移動しても、溶融孔22も次第に狭くなっているので、溶融して縮小されたペレットpの周囲は均等に囲まれた状態を維持している〔図6(B)乃至(E)等参照〕。それゆえに、ペレットpの溶融は、迅速に行われてゆく。
【0065】
つまり、個々のペレットpの周囲は、溶融器2の内壁面に略均等に囲まれ、常に内壁面に近接又は当接された状態を維持する〔図6(A),(B)乃至(E)参照〕。そして、ペレットpの溶融が進むに従い、さらに溶融孔22の狭い部分に進行し、ペレットpの溶融を促進させる。しかも、溶融孔22の内部でペレットpは溶融して液化しているので、後から送り込まれたペレットpは、既に液化したペレットpaの熱によって溶融がさらに促進される〔図4(C)等参照〕。
【0066】
このようにして、ペレットpは、溶融孔22の流入側大開口22aから流出側小開口2
2bに向かうにしたがい、溶融が進み、流出側小開口22b付近では溶融を完了して、完全に液化する〔図4(D)参照〕。ペレットpは、この完全に液化された状態のペレットpaとなって、流出側小開口22bからノズル14に送り出され、射出口14aから金型内へ射出される。以上述べたように、プランジャー3に押圧されて、溶融孔22の流入側大開口22aより入り込んだペレットpは、流出側小開口22bに向かう過程において、常に溶融孔22の内周壁面に包囲された状態である。それゆえに、加熱手段6を介して、ペレットpの溶融は、確実且つ迅速に行われ、極めて効率的に金型への射出作業を行うことができる。
【0067】
多数のペレットp,p,…は、必要な量のみを溶融できるので材料がシリンダー本体部11内で長時間熱的、機械的ストレスに晒されることがない。よって、品質の良い樹脂成形品が出来る。また、本発明おける射出装置は、溶融効率が高く、必要以上の材料を投入する必要がないので装置全体が小型になり、省電力、省資源である。
【0068】
なお、プランジャー3の非回転構造がプランジャー3の外周側面部31と、シリンダー本体部11の内周側面部11bとの間に生じる摩擦を利用した実施形態の場合では、前記プランジャー3が多数のペレットp,p,…を溶融器2に押し切って、該溶融器2に近接又は当接したとき、或いは樹脂を金型内に射出して充填を完了したとき、又はプランジャー3が駆動手段4側に戻りきったときのそれぞれの状態において、前述したようにプランジャー3は周方向の回動が行われないので、内螺子部34と外螺子軸41のネジ部分に軸方向の応力がかかり、前記内螺子部34と外螺子軸41との噛み合わせがきつく強固な状態となる。
【0069】
つまり、内螺子部34と外螺子軸41とがロックした状態となる。このときには、外螺子軸41と共にロックされた内螺子部34も周方向に回動することによって、プランジャー3は、シリンダー1との間の周方向における摩擦抵抗力に勝って、プランジャー3が周方向に回動することになる。そのために、プランジャー3の軸方向の移動は停止する。これによって、プランジャー3は、駆動手段4による無理な軸方向移動を防止することができ、ひいては機器の破損を防止できる。
【符号の説明】
【0070】
1…シリンダー、11a…ペレット供給口、11b…内周側面部、
15…エアベント部、15a…小孔、14…ノズル、2…溶融器、22…溶融孔、
22a…流入側大開口、22b…流出側小開口、3…プランジャー、33…底部、
34…内螺子部、35…ゲート内螺子部、4…駆動手段、41…外螺子軸、
42…モーター駆動部、6…加熱手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット供給口を備えたシリンダーと、該シリンダー内に配置されると共に軸方向に往復するプランジャーと、該プランジャーを軸方向に往復移動させる駆動手段と、錐体状の通路で且つ流入側大開口と流出側小開口とからなる多数の溶融孔を有する溶融器と、前記シリンダーの射出側に設けられたノズルと、前記溶融器を加熱する加熱手段とからなり、前記溶融器は前記プランジャーと前記ノズルとの間に配置されると共に前記流入側大開口は前記プランジャーに対面してなることを特徴とする成形機における射出装置。
【請求項2】
請求項1において、前記溶融孔の流入側大開口は、前記ペレットの少なくとも一部が流入可能な大きさとしてなることを特徴とする成形機における射出装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記溶融器の溶融孔は円錐形状としてなることを特徴とする成形機における射出装置。
【請求項4】
請求項1,2又は3のいずれか1項の記載において、隣接する前記溶融孔の流入側大開口は略多角形状の開口に形成されると共に、隣接する流入側大開口同士は近接してなることを特徴とする成形機における射出装置。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4のいずれか1項の記載において、前記駆動手段は、軸周方向に回動する外螺子軸とモーター駆動部とからなり、前記プランジャーには前記外螺子軸と螺合する内螺子部が形成された底部を有し、前記プランジャーは周方向に非回転として、前記外螺子軸の回動により前記プランジャーは軸方向に移動する構成としてなることを特徴とする成形機における射出装置。
【請求項6】
請求項5おいて、前記プランジャーの外周側面部は、前記シリンダーの内周側面部との間に摩擦が生じるように接触してなることを特徴とする成形機における射出装置。
【請求項7】
請求項1,2,3,4,5又は6のいずれか1項の記載において、前記加熱手段は電磁誘導装置としてなることを特徴とする成形機における射出装置。
【請求項8】
請求項1,2,3,4,5,6又は7のいずれか1項の記載において、前記シリンダーの前記ペレット供給口の供給口箇所付近の周方向の領域には、多数の小孔からなるエアベント部が形成されてなることを特徴とする成形機における射出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−14101(P2013−14101A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149649(P2011−149649)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【特許番号】特許第4817402号(P4817402)
【特許公報発行日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(511164260)センチュリーイノヴェーション株式会社 (4)
【Fターム(参考)】