成形装置
【課題】ノズルタッチ時の金型の局所的変形を抑えて高精度の光ピックアップ用レンズその他の光学素子を形成することができる成形金型を提供すること。
【解決手段】ノズルタッチ部65aの密着面である楕円体状面S31bによってタッチ力をノズルタッチ部65a内に広く分散させることができるので、ノズルタッチ部65a周辺における第1金型41の局所的な変形を抑えることができる。これにより、第1金型41と第2金型42とによって成形されるレンズの偏芯を低減して、高精度のレンズ(具体的には光ピックアップ用の対物レンズ)を形成することができる。
【解決手段】ノズルタッチ部65aの密着面である楕円体状面S31bによってタッチ力をノズルタッチ部65a内に広く分散させることができるので、ノズルタッチ部65a周辺における第1金型41の局所的な変形を抑えることができる。これにより、第1金型41と第2金型42とによって成形されるレンズの偏芯を低減して、高精度のレンズ(具体的には光ピックアップ用の対物レンズ)を形成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型を用いて光学素子の射出成形を行う成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学素子の射出成形では、型締めされた一対の金型間に形成された成形空間に連通するスプルーブッシュに対して、射出装置のノズルの先端の外周を環状に接触させたノズルタッチ状態として、射出装置のノズルからの樹脂を高速・高圧で成形空間中に充填する(特許文献1参照)。
【0003】
例えば光ピックアップ装置用の対物レンズは、近年の高性能化によってレンズのサイズが小型化するとともに相対的な肉厚が厚くなっており、その転写性を確保するため、射出装置のノズルから樹脂を高速で射出させ成形空間を高速で充填する必要がある。特に光学面に微細加工が施されている光ピックアップ装置用の対物レンズの場合、高速充填後に高圧力で保持する必要性がある。
【0004】
以上のように、射出装置のノズルから樹脂を高圧力で射出して高圧に保持する場合には、ノズルタッチ時にノズルをスプルーブッシュに一定以上の力で強く押しつける必要が生じる。この場合、ノズル先端の外周とスプルーブッシュとの接触点で応力が集中し、金型が局所的に湾曲する。このような金型の局所的湾曲も、情報記録用のディスクの成形では特に問題が生じないレベルであるが、光ピックアップ装置用の対物レンズのように高い形状精度が要求されるものでは、ノズルタッチ時の局所的湾曲に起因する形状的な偏芯がコマ収差等として無視できなくなることが分かってきた。とりわけ、互換等の目的で微細な構造が設けられたピックアップ用レンズの場合、上記のような偏芯に対する感度が高く、金型の局所的湾曲が光学性能に大きく影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際出願公開第WO2004/45822号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ノズルタッチ時の金型の局所的変形を抑えて高精度の光ピックアップ装置用レンズその他の光学素子を形成することができる成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る第1の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、第1金型と第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して光学面を形成する光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置に設けられて第1金型を支持装置に固定する固定部材と、を備える。
【0008】
上記第1の成形装置では、固定部材が光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置に設けられている。この固定部材によって第1金型をノズルタッチ部に近い部分で支持装置に固定することができ、ノズルタッチ部周辺に局在する変形が生じにくくなる。これにより、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を低減することができる。結果的に、光学面転写面の傾斜を防止し、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0009】
本発明の具体的な側面では、上記第1の成形装置において、固定部材は、ボルト、クランプ型の留め具、及びマグネットクランプのいずれかである。
【0010】
本発明の別の側面では、ノズルタッチ部の軸を基準として、固定部材の位置からノズルタッチ部の軸までの距離は、光学面転写面の位置からノズルタッチ部の軸までの距離よりも短い。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、光学面転写面の軸からノズルタッチ部の軸までの距離をDaとしたときに、固定部材の中心からノズルタッチ部の軸までの距離Dbは、Da/2≦Db≦Daの範囲にある。この場合、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲をより確実に防止することができる。
本発明のさらに別の側面では、第1金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板と、を有し、固定部材は、支持装置及び取付板間に設けられる。この場合、取付板の変形防止によって型板の変形を防止する。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る第2の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、を備え、第1金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板と、第1金型と第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して光学面を形成する光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置において、支持装置及び取付板間並びに型板及び取付板間の少なくとも一方に設けられる応力分散構造と、を有する。
【0013】
上記第2の成形装置では、光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置において支持装置、取付板間、及び型板の少なくとも一対の間に設けられる応力分散構造を有する。これにより、ノズルタッチ時の射出方向へのタッチ力ベクトルを分散又は変化させることができ、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を光学面転写面付近で低減することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0014】
本発明の具体的な側面では、上記第2の成形装置において、応力分散構造は、支持装置及び取付板間の接触面積、又は型板及び取付板間の接触面積を増加させた部分である。
【0015】
上記課題を解決するため、本発明に係る第3の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、を備え、第1金型は、第1金型と第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して光学面を形成する光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置に応力の伝達を阻止する緩衝材を有する。
【0016】
上記第3の成形装置では、第1金型が、光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置に緩衝材を有することにより、ノズルタッチ部の周辺の湾曲が光学面転写面付近に及びにくくなり、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を光学面転写面付近で低減することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0017】
本発明の具体的な側面では、上記第3の成形装置において、緩衝材は、第1金型に設けた取付板と型板との間に設けられる。この場合、第1金型の加工を簡単にすることができる。また、第1金型に傷が生じるのを防ぐことができる。
【0018】
本発明の別の側面では、緩衝材は、第1金型に設けた取付板及び型板においてノズルタッチ部の軸方向に平行な方向に延びるように設けられる。この場合、光学面転写面付近で第1金型の取付板及び型板の変形を防止することができる。
【0019】
上記課題を解決するため、本発明に係る第4の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、を備え、第1金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板と、を有し、型板は、取付板よりも剛性を有する材料で形成される。
【0020】
上記第4の成形装置では、第1金型の型板が、剛性を有する材料で形成されていることにより、ノズルタッチ時の第1金型すなわち型板の湾曲を低減することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0021】
上記課題を解決するため、本発明に係る第5の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を近接及び離間可能に支持する支持装置と、第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、を備え、第1金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板と、を有し、型板のうちノズルタッチ部の軸方向上に配置される中央部は、ノズルタッチ部側に凸となって湾曲している。
【0022】
上記第5の成形装置では、予め湾曲した型板がノズルタッチ時の歪み変形を相殺する。これにより、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を許容しつつも、光学面転写面の傾斜を防止することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0023】
本発明の別の側面では、上記第1から第5の成形装置において、第1金型及び第2金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板とをそれぞれ有し、第1金型の型板は、第1金型に取り付けられる取付板よりも厚い。この場合、第1金型の変形をより防ぐことができる。
【0024】
本発明の別の側面では、上記第1から第5の成形装置において、第1金型及び第2金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板とをそれぞれ有し、第1金型の型板は、第2金型の型板よりも厚い。この場合、第1金型の変形をより防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態の成形装置を説明する概念図である。
【図2】(A)、(B)は、図1の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図3】第1金型のスプルーブッシュ周辺の部分拡大断面図である。
【図4】成形金型又は成形装置によって形成される光学素子の側面図である。
【図5】第1実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図6】第1実施形態の別の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図7】第2実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図8】第3実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図9】第3実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図10】第4実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図11】第4実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図12】第4実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図13】第5実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図14】第5実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図15】第6実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図16】第6実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図17】第7実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図18】第7実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図19】第8実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図20】第9実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図21】第10実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る射出成形用の成形装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に示すように、成形装置100は、射出成形を行って成形品MPを作製する本体部分である射出成形機10と、射出成形機10から成形品MPを取り出す付属部分である取出装置20と、成形装置100を構成する各部の動作を統括的に制御する制御装置30とを備える。
【0028】
射出成形機10は、横型の成形機であり、成形金型40と、固定盤11と、可動盤12と、型締め盤13と、支持フレーム14と、開閉駆動装置15と、射出装置16とを備える。射出成形機10は、固定盤11と可動盤12との間に成形金型40を構成する第1金型41と第2金型42とを挟持して両金型41,42を型締めするとともに両金型41,42間に樹脂を射出することにより成形を可能にする。ここで、固定盤11と、可動盤12と、型締め盤13と、支持フレーム14とは、両金型41,42を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置50となっている。
【0029】
固定盤11は、プラテンとも呼ばれ、可動盤12に対向して支持フレーム14の略中央に固定され、取出装置20をその上部に支持する。固定盤(プラテン)11の内側11aは、可動盤12の内側12aに対向しており、第1金型41を着脱可能に支持している。固定盤11には、後述するノズル16dを通す開口11bが形成されている。なお、固定盤11は、タイバーを介して型締め盤13に固定されており、成形時の型締めの圧力に耐え得るようになっている。
【0030】
可動盤12は、プラテンとも呼ばれ、リニアガイド15aによって固定盤11に対して進退移動可能に支持されている。可動盤(プラテン)12の内側12aは、固定盤11の内側11aに対向しており、第2金型42を着脱可能に支持している。なお、可動盤12には、エジェクター駆動部45が組み込まれている。このエジェクター駆動部45は、第2金型42内の成形品MPを離型するために第1金型41側に押し出すものである。
【0031】
型締め盤13は、支持フレーム14の端部に固定されている。型締め盤13は、型締めに際して、開閉駆動装置15の動力伝達部15dを介して可動盤12をその背後から支持する。
【0032】
開閉駆動装置15は、リニアガイド15aと、動力伝達部15dと、アクチュエーター15eとを備える。リニアガイド15aは、可動盤12を支持しつつ、固定盤11に対する進退方向に関して可動盤12の滑らかな往復移動を可能にしている。動力伝達部15dは、制御装置30の制御下で動作するアクチュエーター15eからの駆動力を受けて伸縮する。これにより、型締め盤13に対して可動盤12が近接したり離間したり自在に進退移動する。結果的に、固定盤11と可動盤12とを互いに近接又は離間させることができ、第1金型41と第2金型42との型締め又は型開きを行うことができる。
【0033】
射出装置16は、シリンダー16a、原料貯留部16b、スクリュー駆動部16c等を備える。射出装置16は、制御装置30の制御下で適当なタイミングで動作するものであり、樹脂射出用のノズル16dから温度制御された状態で溶融樹脂を射出することができる。射出装置16は、第1金型41と第2金型42とを型締めした状態において、固定盤11の開口11bを介して後述するスプルーブッシュ65(図2(A)参照)にノズル16dを接触させることにより、後述する流路空間FC(図2(B)参照)に対してシリンダー16a中の溶融樹脂を所望のタイミング及び圧力で供給することができる。
【0034】
射出成形機10に付随して設けられた金型温度調節機46は、両金型41,42中に温度制御された熱媒体を循環させる。これにより、成形時に両金型41,42の温度を適切な温度に保つことができる。
【0035】
取出装置20は、成形品MPを把持することができるハンド21と、ハンド21を3次元的に移動させる3次元駆動装置22とを備える。取出装置20は、制御装置30の制御下で適当なタイミングで動作するものであり、第1金型41と第2金型42とを離間させて型開きした後に、第2金型42に残る成形品MPを把持して外部に搬出する役割を有する。
【0036】
制御装置30は、開閉制御部31と、射出装置制御部32と、エジェクター制御部33と、取出装置制御部34とを備える。開閉制御部31は、アクチュエーター15eを動作させることによって両金型41,42の型閉じ、型締め、型開き等を可能にする。射出装置制御部32は、スクリュー駆動部16c等を動作させることによって両金型41,42間に形成された成形空間中に所望の圧力で樹脂を注入させる。エジェクター制御部33は、エジェクター駆動部45を動作させることによって型開き時に第2金型42に残る成形品MPを第2金型42内から押し出させて離型を行わせる。取出装置制御部34は、取出装置20を動作させることによって型開き及び離型後に第2金型42に残る成形品MPを把持して射出成形機10外に搬出させる。
【0037】
以下、成形金型40について詳しく説明する。図2(A)等に示すように、成形金型40のうち第2金型42は、AB方向に往復移動可能になっている。この第2金型42を第1金型41に向けて移動させ、両金型41,42を型合わせ面すなわちパーティング面PS1,PS2で型合わせして型締めすることにより、図2(B)に示すように、図4に示すレンズLPを成形するための成形空間CVと、これに樹脂を供給するための流路である流路空間FCとが形成される。
【0038】
第1金型41は、内側すなわちパーティング面PS1側に配置される型板61と、外側すなわち図1の固定盤11側に配置される取付板64とを備える。また、第1金型41に付随して、スプルーブッシュ65が設けられている。
【0039】
第1金型41のうち型板61は、金属製の板状の部材である。型板61は、複数のコア型62を挿入する複数のコア孔61aと、スプルーブッシュ65の先端側を挿入するスプルーブッシュ孔61bと、レンズLPの光学機能部OP(図4参照)を形成するためのレンズ凹部61eとを備える。各コア孔61aにはコア型62が挿入されており、コア型62の先端面がレンズ凹部61eに対応するものとなっている。レンズ凹部61eは、成形品MPが光ピックアップ装置用の対物レンズである場合、光学面転写用の凹の鏡面状の第1転写面S1を有している。特に、BD/DVD/CDの3互換型の光ピックアップ用の対物レンズである場合、第1転写面S1には、光学面に設けられる微細な構造に対応する微細形状が設けられる場合もある。
【0040】
なお、型板61内部には、成形時に金型の温度を適切な温度に保つため、熱媒体を流通させる温調流路、加熱用のヒーター、温度監視用の温度計等が形成されているが、説明の簡単のため図示を省略している。
【0041】
取付板64は、金属製の板状の部材であり、型板61を背後から支持している。取付板64は、スプルーブッシュ65の根元側を挿入するスプルーブッシュ孔64aを備える。取付板64は、型板61をパーティング面PS1やレンズ凹部61eの反対側(背後側)から支持する。取付板64に設けたスプルーブッシュ孔64aの固定盤11側は、傾斜した円錐面を有するすり鉢状の拡径部64cとなっており、スプルーブッシュ65の根元側に設けたノズルタッチ部65aを周囲から支持している。取付板64は、周辺側において、複数の締結部材64fによって固定盤11に締結されており、中央側において、複数の固定部材64eによって固定盤11に固定されている。
【0042】
ここで、固定部材64eは、第1転写面S1を有するコア型62側よりもノズルタッチ部65a側に設けられている。つまり、固定部材64eは、両金型41,42の型合わせ面であるパーティング面PS1に沿った方向に関して、光学面転写面である第1転写面S1よりも相対的にノズルタッチ部65aに近い位置に設けられている。言い換えれば、ノズルタッチ部65aの軸AXを基準として、軸AXから固定部材64eの軸BXまでの距離は、軸AXからコア型62の軸CX(すなわち第1転写面の軸)までの距離よりも短くなっている。具体的には、図3に示すように、コア型62の軸CXからノズルタッチ部65aの軸AXまでの距離をDaとしたときに、固定部材64eの軸BXからノズルタッチ部65aの軸AXまでの距離Dbは、Da/2≦Db≦Daの範囲にある。つまり、固定部材64eの位置は、コア型62の中心よりも内側であって、ノズルタッチ部65aとコア型62との中間位置よりもコア型62寄りとなっている。これにより、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、固定部材64eにより取付板64の変形が防止され、ノズル16dの圧力の影響が取付板64や型板61の周辺に及ぶことを防止している。
【0043】
固定部材64eは、図2(A)等に示すように、例えば締結部材64fと同様のボルトを用いることができる。
【0044】
スプルーブッシュ65は、取付板64の背後からスプルーブッシュ孔64aに挿入されて固定されている。スプルーブッシュ65の先端側は、型板61のスプルーブッシュ孔61bに挿入されており、スプルーブッシュ65の根元側は、テーパー状のノズルタッチ部65aとなっている。ノズルタッチ部65aは、取付板64の拡径部64cに埋め込まれて嵌合するとともに、図示を省略するボルトや保持部材によって拡径部64cから抜けないようにしっかりと固定されている。
【0045】
第2金型42は、内側すなわちパーティング面PS2側に配置される型板71,73と、外側すなわち図1の可動盤12側に配置される取付板74と、取付板74に埋め込むように形成されたエジェクター部材75とを備える。
【0046】
第2金型42のうち型板71,73は、金属製の板状の部材であり、複数のコア型72を挿入する複数のコア孔71aと、スプルーブッシュ65の先端に対向するコールドスラグ71bと、レンズの光学機能部を形成するための第2転写面であるレンズ凹部71eとを備える。各コア孔71aにはコア型72が挿入されており、コア型72の先端面がレンズ凹部71eに対応するものとなっている。レンズ凹部71eは、成形品MPが光ピックアップ装置用の対物レンズである場合、光学面転写用の凹の鏡面状の第2転写面S2を有しており、特にBD/DVD/CDの3互換型の光ピックアップ装置用の対物レンズである場合、微細な構造が設けられた光学面を有するものとなる場合もある。表側の型板71には、エジェクター部材75を構成するエジェクターピン75aを通すピン孔71gも形成されている。裏側の型板(受板ともいう)73には、エジェクエジェクターピン75a,75bを通すピン孔73g,73hが形成されている。
【0047】
なお、型板71,73内部には、成形時に金型の温度を適切な温度に保つため、熱媒体を流通させる温調流路、加熱用のヒーター、温度監視用の温度計等が形成されているが、説明の簡単のため図示を省略している。
【0048】
取付板74は、金属製の板状の部材であり、型板71,73を背後から支持している。取付板74は、エジェクター部材75を構成するエジェクターピン75a,75bを通すピン孔74g,74hを備える。なお、取付板74は、取付板74自体を固定盤11の固定するため複数の締結部材74fを有している。
【0049】
エジェクター部材75は、エジェクターピン75a,75bと、エジェクター板75dとを有する機械的な機構であり、図1のエジェクター駆動部45に駆動されて動作する。エジェクターピン75a,75bは、エジェクター板75dに連結されており、型板71のピン孔71g,ピン孔73g,73hと取付板74のピン孔74g,74h内で一括して進退移動させることができる。エジェクター部材75を前進状態とした場合、エジェクターピン75a,75bが前進し、このうち中央のエジェクターピン75aが型板71のコールドスラグ71bの底部に突起し、周辺のエジェクターピン75bがコア型72を押してパーティング面PS2から突出させる。逆に、エジェクター部材75を後退状態とした場合、エジェクターピン75a,75bが後退し、このうち中央のエジェクターピン75aが型板71のコールドスラグ71bの底部に引っ込み、周辺のエジェクターピン75bも同様に引っ込んでコア型72の後退を許容する。なお、コア型72は、不図示のバネ等を付随させた構造を有しており、エジェクターピン75aから前進させる付勢力を受けなくなった場合、後退してコア孔71aの奥に収納される。
【0050】
なお、第1金型41と第2金型42とは、第1金型41に設けた位置決め嵌合部41xと第2金型42に設けた位置決め嵌合部42xとを嵌合させることにより、パーティング面PS1,PS2に垂直な方向の位置決めが可能になっている。
【0051】
図4は、図1の取出装置20によって射出成形機10外に取り出される成形品MPの一部であり光学素子であるレンズLPの外観を示している。レンズ(光学素子)LPは、光機能部OPとフランジ部FLとを有しており、光機能部OPは、図2(A)の成形金型40に設けたレンズ凹部61e,71eのうち例えばレンズ凹部61eによって形成される第1の光学面OS1と、例えばレンズ凹部71eによって形成される第2の光学面OS2とを有している。レンズLPは、例えば光ピックアップ用の対物レンズであり、BD等の規格に対応するものとする。なお、レンズLPがBD/DVD/CDの3互換型の光ピックアップ装置用の対物レンズである場合、第1の光学面OS1には、微細な構造が設けられる。
【0052】
以下、図1等に示す成形装置100を用いた成形品MPすなわちレンズLPの製造方法について説明する。まず、金型温度調節機46により、支持装置50に支持された両金型41,42を成形に適する温度まで加熱する。次に、開閉駆動装置15を動作させ、支持装置50のうち可動盤12を前進させて型閉じを開始させる。開閉駆動装置15の閉動作を継続することにより、支持装置50に支持された固定側の第1金型41と可動側の第2金型42とを必要な圧力で締め付ける型締めが行われる。次に、射出成形機10において、射出装置16を動作させて、ノズル16dを第1金型41のスプルーブッシュ65に接触させるとともに、型締めされた第1金型41と第2金型42との間の成形空間CV中に、必要な圧力で溶融樹脂を注入する射出を行わせる。そして、射出成形機10は、成形空間CV中の樹脂圧を保つ。なお、溶融樹脂を成形空間CVに導入した後は、成形空間CV中の溶融樹脂が放熱によって徐々に冷却されるので、かかる冷却にともなって溶融樹脂が固化し成形が完了するのを待つ。次に、射出成形機10において、開閉駆動装置15を動作させて、支持装置50の可動盤12を後退させる型開きが行われる。これに伴って、第2金型42が後退し、第1金型41と第2金型42とが離間する。次に、射出成形機10において、エジェクター駆動部45を動作させ、エジェクターピン75a,75b等の前進によって、レンズLP等を含む成形品MPの突き出しを行わせる。この結果、第2金型42に残る成形品MPのうちレンズLPは、第1金型41側に押し出されて第2金型42から離型される。最後に、取出装置20を動作させて、突き出された成形品MPの適所をハンド21で把持して外部に搬出する。
【0053】
以上のように、本実施形態の成形金型40によれば、パーティング面PS1に平行な面で考えて、固定部材64eが第1の光学面OS1を形成する光学面転写面である第1転写面S1よりも相対的にノズルタッチ部65aに近い位置に設けられている。この固定部材64eによって、第1金型41をノズルタッチ部65aに近い部分で支持装置50の固定盤11に固定することができ、ノズルタッチ部65a周辺に局在する変形が生じにくくなる。これにより、ノズルタッチ時の第1金型41の湾曲を低減することができる。結果的に、光学面転写面である第1転写面S1の傾斜を防止し、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0054】
なお、以上の説明では、固定部材64eとしてボルトを用いることができるとしたが、ボルト以外に、機械機構を利用したクランプ型の留め具、磁性体を利用したマグネットクランプ等も用いることができる。
【0055】
具体的には、図5に示すように、ノズルタッチ部65aの軸AXの周辺において取付板64と固定盤11との間に介在するようにマグネットクランプからなる固定部材164eを配置することができる。
【0056】
さらに、図6に示すように、ボルトからなる締結部材64fの代わりに、マグネットクランプからなる締結部材164fを用いてもよい。ただし、マグネットクランプはある程度の空間が必要なため、省スペース化のためには、ボルトなどで固定を補助する必要がある。
【0057】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態の成形金型について説明する。第2実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0058】
図7に示す成形金型40の場合、コア型62側よりもノズルタッチ部65a側において型板261と取付板264とに応力分散構造66が設けられている。応力分散構造66は、型板261と取付板264との接触面積を増加させた部分である。具体的には、取付板264は、スプルーブッシュ65を貫通させる中央部A1において、第1転写面S1側すなわちパーティング面PS1側に狭まる凸形状のテーパー面TP1を有する。一方、型板261は、中央部において、第1転写面S1側に狭まる凹形状のテーパー面TP2を有する。テーパー面TP1,TP2は、互いに密着して嵌合している。この場合、応力分散構造66により、型板261のうちスプルーブッシュ65に比較的近接する中央部A1の変形を抑えることができ、型板261の周辺部に形成されたレンズ凹部61eすなわち光学面(第1転写面)S1の傾きや変形が抑えられ、第1の光学面OS1に傾きや変形が生じにくくなる。
【0059】
なお、成形金型40のスプルーブッシュ65周辺の応力集中を防止する応力分散構造は、図7に示すように、型板261と取付板264との間に形成されるもの(応力分散構造66)に限らず、取付板264と固定盤11との間に配置するものとできる。
【0060】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態の成形金型について説明する。第3実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0061】
図8に示す成形金型40の場合、第1金型41の型板61と取付板64との間に、パーティング面PS1に平行に延びる薄い弾性部材68が設けられている。弾性部材68は、スプルーブッシュ65の軸AXの周りに環状に配置されている。弾性部材68は、例えば型板61に形成された窪み61jに埋め込まれるように配置されるが、取付板64側に埋め込まれるように配置することもできる。弾性部材68は、ノズルタッチ部65aの軸AXに垂直な方向に広がっており、ノズルタッチ部65aの軸AX方向に力を受けた場合に弾性変形する。つまり、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、弾性部材68により取付板64の変形が防止され、ノズル16dの圧力の影響が取付板64や型板61の周辺に及ぶことを防止している。つまり、弾性部材68が緩衝材となって、ノズルタッチ部65aで受けたタッチ力や変形を弾性部材68で吸収して型板61等に変形の影響が及ぶことを防止している。
【0062】
以上のように、本実施形態の成形金型40によれば、第1金型41が光学面転写面である第1転写面S1よりも相対的にノズルタッチ部65aに近い位置に緩衝材である弾性部材68を有することにより、ノズルタッチ部65aの周辺の湾曲が第1転写面S1付近に及びにくくなり、ノズルタッチ時の第1金型41の湾曲を第1転写面S1で低減することができる。結果的に、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0063】
図9は、図8に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、第1金型41の型板61の本体61kから弾性部材168を介して中央部61mが分離され、取付板64の本体64kから弾性部材168を介して中央部64mが分離されている。弾性部材68は、緩衝材として、ノズルタッチ部65aの軸AX方向に平行な方向に延びており、中央部61m,64mを弾性的に支持して、これら中央部61m,64mがノズルタッチ部65aの軸AX方向へ移動することを許容している。つまり、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部64mに圧力が付与されても、弾性部材68により取付板64の本体64kの変形が防止され、ノズル16dの圧力の影響が取付板64や型板61の周辺に及ぶことを防止している。つまり、弾性部材168等が緩衝材となって、ノズルタッチ部65aで受けたタッチ力や変形を弾性部材168で吸収して型板61等に変形の影響が及ぶことを防止している。
【0064】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態の成形金型について説明する。第4実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0065】
図10に示す成形金型40の場合、第1金型41に取付板64を介して固定された型板461の全体が剛性を有する材料で形成されている。型板461は、第1金型41を支持する固定盤(プラテン)11や取付板64よりも低い弾性率を有する高剛性の材料で形成されている。このため、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、型板461の剛性によりその変形が抑制され、ノズル16dの圧力の影響が型板61の周辺に及ぶことを防止している。
【0066】
以上のように、本実施形態の成形金型40によれば、第1金型41の型板461が、剛性を有する材料で形成されていることにより、ノズルタッチ時の第1金型41すなわち型板461の湾曲を低減することができる。結果的に、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0067】
図11は、図10に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、型板461の一部が剛性を有する結果として、型板461全体としても剛性を有するものとなっている。つまり、型板461は、剛性の異なる材料を組み合わせたものとなっている。具体的には、型板461が表部材461aと裏部材461bとを積層して固定した構造を有しており、表部材461aは、比較的加工しやすい通常の剛性を有する材料で形成されており、裏部材461bは、相対的に剛性の高い材料で形成されている。裏部材461bは、表部材461aと比較してだけでなく、第1金型41を支持する固定盤(プラテン)11や取付板64と比較しても、低い弾性率を有する高剛性の材料で形成されている。このため、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、型板461の剛性によりその変形が抑制され、ノズル16dの圧力の影響が型板61の周辺に及ぶことを防止している。
【0068】
図12は、図10に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、型板461'は、その軸AX方向の厚みが取付板64や対向する型板71よりも厚く、固定盤(プラテン)11や取付板64よりも剛性を有するものとなっている。このため、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、型板461'の剛性によりその変形が抑制され、ノズル16dの圧力の影響が型板61の周辺に及ぶことを防止している。
【0069】
型板461'の厚みは、例えば取付板64の厚みの1.2倍以上とする。これは、型板461'や取付板64が一般的な成形金型用鋼材であり、かつ、一般的なノズルタッチ力で樹脂の射出を行うという条件でシミュレーションを行った結果に基づく。例えば、型板461'の元の厚みが40mmである場合に、60mmの厚みとすることで、型板461'の窪みを5μm以下に抑えることが期待でき、コマ収差の低減が期待できる。
【0070】
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態の成形金型について説明する。第5実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0071】
図13に示す成形金型40の場合、第1金型41に取付板564を介して固定された型板561は、中央部CPにおいて、ノズルタッチ部65a側に凸となって湾曲している。つまり、取付板564の表側の面64nは、軸AXのまわりに対称的な凹面となっており型板561の裏側の面61nは、軸AXのまわりに対称的な凸面となっており、両面64n,61nは密着している。取付板564は、ノズルタッチ部65aの軸AX方向に力を受けた場合に弾性変形する。つまり、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されると、取付板64が湾曲し、その影響で型板561も湾曲する。この際、ノズルタッチ部65a側に凸となっている型板561は、外力で湾曲した結果として、外見上略平坦な状態となる。つまり、第1金型41の型合わせ面であるパーティング面PS1は、全体でノズルタッチ部65aの軸AXに略垂直な状態となる。結果的に、型板61に形成されたレンズ凹部61eすなわち光学面(第1転写面)S1は、殆ど傾きがないものとなる。
【0072】
上記第5の成形装置では、予め湾曲した型板がノズルタッチ時の歪み変形を相殺する。これにより、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を許容しつつも、光学面転写面の傾斜を防止することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0073】
以上のように、本実施形態の成形金型40によれば、型板561が中央部CPにおいてノズルタッチ部65a側に凸となって湾曲していることにより、ノズルタッチ時に湾曲を平坦にする力が働き型板461の湾曲を低減することができる。結果的に、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0074】
図14は、図13に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、型板561は、図13の場合と同様にノズルタッチ部65a側に凸となって湾曲しているが、取付板64は平坦である。なお、型板561の周辺と、取付板64の周辺との間には、スペーサー69が挿入されており、型板561の安定した支持を可能にしている。
【0075】
〔第6実施形態〕
以下、第6実施形態の成形金型について説明する。第6実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0076】
図15に示す成形金型40は、図2(A)等に示す第1実施形態と、図13に示す第5実施形態とを折衷したものとなっている。すなわち、固定部材164eによって取付板564の中央側を固定盤11に固定するとともに、型板561がノズルタッチ部65a側に凸となるように湾曲している。
【0077】
図16は、図15に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、図2(A)等に示す第1実施形態と、図14に示す第5実施形態とを折衷したものとなっている。
【0078】
〔第7実施形態〕
以下、第7実施形態の成形金型について説明する。第7実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1、2実施形態等の成形金型と同様であるものとする。
【0079】
図17に示す成形金型40は、図7に示す第2実施形態と、図12に示す第4実施形態とを折衷したものとなっている。すなわち、コア型62側よりもノズルタッチ部65a側において、型板661と取付板664との間に応力分散構造66が設けられている。また、型板661は、その軸AX方向の厚みが取付板664や対向する型板71よりも厚く、固定盤(プラテン)11や取付板664よりも剛性を有するものとなっている。
【0080】
図18は、図17に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、図7に示す第2実施形態と、図11に示す第4実施形態とを折衷したものとなっている。
【0081】
〔第8実施形態〕
以下、第8実施形態の成形金型について説明する。第8実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1、2実施形態等の成形金型と同様であるものとする。
【0082】
図19に示す成形金型40は、図5に示す第1実施形態と、図7に示す第3実施形態とを折衷したものとなっている。すなわち、固定部材164eによって取付板264の中央側を固定盤11に固定するとともに、ノズルタッチ部65aの軸AX近傍において、型板261と取付板264との間に応力分散構造66が設けられている。
【0083】
〔第9実施形態〕
以下、第9実施形態の成形金型について説明する。第9実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0084】
図20に示すように、固定部材864eによって、スプルーブッシュ65に付随するロケートリング部65sにおいて、スプルーブッシュ65を固定盤11や取付板64に固定している。結果的に、固定盤11と取付板64とがノズルタッチ部65a周辺で固定されることになる。これにより、ノズルタッチ時の第1金型41(具体的には型板61)の湾曲を低減することができる。結果的に、光学面転写面である第1転写面S1の傾斜を防止し、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0085】
〔第10実施形態〕
以下、第10実施形態の成形金型について説明する。第10実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0086】
図20に示すスプルーブッシュ65は、円筒状で、軸AX方向に微小変位可能になっている。つまり、スプルーブッシュ65の側面65tと、型板61のスプルーブッシュ孔61bとの間には、弾性部材968a又はスライドガイド1068aが設けられている。また、スプルーブッシュ65のヘッド部65uと固定盤11の開口内縁11uとの間には、軸AXに垂直に広がる輪帯状の弾性部材968bが設けられている。これにより、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介してスプルーブッシュ65に前進方向の圧力が付与されると、弾性部材968bが圧縮変形し、スプルーブッシュ65が第2金型42側に微小変位する。これにより、取付板64の変形が防止され、ノズル16dの圧力の影響が取付板64や型板61の周辺に及ぶことを防止できる。つまり、弾性部材968b等が緩衝材となって、型板61等に変形の影響が及ぶことを防止している。なお、スプルーブッシュ65の先端65vは、突起部を有しており、第2金型42の型板71に設けた凹部71vと嵌合する。これにより、スプルーブッシュ65が過度に先端側に移動することを防止できる。
【0087】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態において、第1金型41及び第2金型42で構成される射出成形金型に設ける成形空間CVの形状は、光学素子の用途に応じて様々な形状とすることができる。すなわち、レンズ凹部61e,62e等によって形成される成形空間CVの形状は、単なる例示であり、レンズLPその他の光学素子の用途等に応じて適宜変更することができる。例えば、レンズLPの光学面OS1,OS2には、光学素子の用途(例えばfθレンズ、DOE)非球面や鏡面を形成することもできる。
【符号の説明】
【0088】
10…射出成形機、 11…固定盤、 12…可動盤、 13…型締め盤、 15…開閉駆動装置、 16…射出装置、 16d…ノズル、 20…取出装置、 30…制御装置、 40…成形金型、 41…固定金型(第1金型)、 42…可動金型(第2金型)、 45…エジェクター駆動部、 61…型板、 61b…スプルーブッシュ孔、 61e…レンズ凹部、 62…コア型、 64…取付板、 64a…スプルーブッシュ孔、 65…スプルーブッシュ、 65a…ノズルタッチ部、 71…型板、 71e…レンズ凹部、 72…コア型、 74…取付板、 75…エジェクター部材、 100…成形装置、 CD…射出方向、 CV…成形空間、 FC…流路空間、 LP…レンズ、 MP…成形品、 PS1,PS2…パーティング面
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型を用いて光学素子の射出成形を行う成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学素子の射出成形では、型締めされた一対の金型間に形成された成形空間に連通するスプルーブッシュに対して、射出装置のノズルの先端の外周を環状に接触させたノズルタッチ状態として、射出装置のノズルからの樹脂を高速・高圧で成形空間中に充填する(特許文献1参照)。
【0003】
例えば光ピックアップ装置用の対物レンズは、近年の高性能化によってレンズのサイズが小型化するとともに相対的な肉厚が厚くなっており、その転写性を確保するため、射出装置のノズルから樹脂を高速で射出させ成形空間を高速で充填する必要がある。特に光学面に微細加工が施されている光ピックアップ装置用の対物レンズの場合、高速充填後に高圧力で保持する必要性がある。
【0004】
以上のように、射出装置のノズルから樹脂を高圧力で射出して高圧に保持する場合には、ノズルタッチ時にノズルをスプルーブッシュに一定以上の力で強く押しつける必要が生じる。この場合、ノズル先端の外周とスプルーブッシュとの接触点で応力が集中し、金型が局所的に湾曲する。このような金型の局所的湾曲も、情報記録用のディスクの成形では特に問題が生じないレベルであるが、光ピックアップ装置用の対物レンズのように高い形状精度が要求されるものでは、ノズルタッチ時の局所的湾曲に起因する形状的な偏芯がコマ収差等として無視できなくなることが分かってきた。とりわけ、互換等の目的で微細な構造が設けられたピックアップ用レンズの場合、上記のような偏芯に対する感度が高く、金型の局所的湾曲が光学性能に大きく影響する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際出願公開第WO2004/45822号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ノズルタッチ時の金型の局所的変形を抑えて高精度の光ピックアップ装置用レンズその他の光学素子を形成することができる成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る第1の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、第1金型と第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して光学面を形成する光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置に設けられて第1金型を支持装置に固定する固定部材と、を備える。
【0008】
上記第1の成形装置では、固定部材が光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置に設けられている。この固定部材によって第1金型をノズルタッチ部に近い部分で支持装置に固定することができ、ノズルタッチ部周辺に局在する変形が生じにくくなる。これにより、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を低減することができる。結果的に、光学面転写面の傾斜を防止し、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0009】
本発明の具体的な側面では、上記第1の成形装置において、固定部材は、ボルト、クランプ型の留め具、及びマグネットクランプのいずれかである。
【0010】
本発明の別の側面では、ノズルタッチ部の軸を基準として、固定部材の位置からノズルタッチ部の軸までの距離は、光学面転写面の位置からノズルタッチ部の軸までの距離よりも短い。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、光学面転写面の軸からノズルタッチ部の軸までの距離をDaとしたときに、固定部材の中心からノズルタッチ部の軸までの距離Dbは、Da/2≦Db≦Daの範囲にある。この場合、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲をより確実に防止することができる。
本発明のさらに別の側面では、第1金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板と、を有し、固定部材は、支持装置及び取付板間に設けられる。この場合、取付板の変形防止によって型板の変形を防止する。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る第2の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、を備え、第1金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板と、第1金型と第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して光学面を形成する光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置において、支持装置及び取付板間並びに型板及び取付板間の少なくとも一方に設けられる応力分散構造と、を有する。
【0013】
上記第2の成形装置では、光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置において支持装置、取付板間、及び型板の少なくとも一対の間に設けられる応力分散構造を有する。これにより、ノズルタッチ時の射出方向へのタッチ力ベクトルを分散又は変化させることができ、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を光学面転写面付近で低減することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0014】
本発明の具体的な側面では、上記第2の成形装置において、応力分散構造は、支持装置及び取付板間の接触面積、又は型板及び取付板間の接触面積を増加させた部分である。
【0015】
上記課題を解決するため、本発明に係る第3の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、を備え、第1金型は、第1金型と第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して光学面を形成する光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置に応力の伝達を阻止する緩衝材を有する。
【0016】
上記第3の成形装置では、第1金型が、光学面転写面よりも相対的にノズルタッチ部に近い位置に緩衝材を有することにより、ノズルタッチ部の周辺の湾曲が光学面転写面付近に及びにくくなり、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を光学面転写面付近で低減することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0017】
本発明の具体的な側面では、上記第3の成形装置において、緩衝材は、第1金型に設けた取付板と型板との間に設けられる。この場合、第1金型の加工を簡単にすることができる。また、第1金型に傷が生じるのを防ぐことができる。
【0018】
本発明の別の側面では、緩衝材は、第1金型に設けた取付板及び型板においてノズルタッチ部の軸方向に平行な方向に延びるように設けられる。この場合、光学面転写面付近で第1金型の取付板及び型板の変形を防止することができる。
【0019】
上記課題を解決するため、本発明に係る第4の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、を備え、第1金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板と、を有し、型板は、取付板よりも剛性を有する材料で形成される。
【0020】
上記第4の成形装置では、第1金型の型板が、剛性を有する材料で形成されていることにより、ノズルタッチ時の第1金型すなわち型板の湾曲を低減することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0021】
上記課題を解決するため、本発明に係る第5の成形装置は、光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、第1金型及び第2金型を近接及び離間可能に支持する支持装置と、第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、を備え、第1金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板と、を有し、型板のうちノズルタッチ部の軸方向上に配置される中央部は、ノズルタッチ部側に凸となって湾曲している。
【0022】
上記第5の成形装置では、予め湾曲した型板がノズルタッチ時の歪み変形を相殺する。これにより、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を許容しつつも、光学面転写面の傾斜を防止することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0023】
本発明の別の側面では、上記第1から第5の成形装置において、第1金型及び第2金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板とをそれぞれ有し、第1金型の型板は、第1金型に取り付けられる取付板よりも厚い。この場合、第1金型の変形をより防ぐことができる。
【0024】
本発明の別の側面では、上記第1から第5の成形装置において、第1金型及び第2金型は、光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、型板を支持装置に取り付ける取付板とをそれぞれ有し、第1金型の型板は、第2金型の型板よりも厚い。この場合、第1金型の変形をより防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態の成形装置を説明する概念図である。
【図2】(A)、(B)は、図1の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図3】第1金型のスプルーブッシュ周辺の部分拡大断面図である。
【図4】成形金型又は成形装置によって形成される光学素子の側面図である。
【図5】第1実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図6】第1実施形態の別の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図7】第2実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図8】第3実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図9】第3実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図10】第4実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図11】第4実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図12】第4実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図13】第5実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図14】第5実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図15】第6実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図16】第6実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図17】第7実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図18】第7実施形態の変形例の要部を説明する側方断面図である。
【図19】第8実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図20】第9実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【図21】第10実施形態の成形装置に組み込まれた成形金型を説明する側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る射出成形用の成形装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1に示すように、成形装置100は、射出成形を行って成形品MPを作製する本体部分である射出成形機10と、射出成形機10から成形品MPを取り出す付属部分である取出装置20と、成形装置100を構成する各部の動作を統括的に制御する制御装置30とを備える。
【0028】
射出成形機10は、横型の成形機であり、成形金型40と、固定盤11と、可動盤12と、型締め盤13と、支持フレーム14と、開閉駆動装置15と、射出装置16とを備える。射出成形機10は、固定盤11と可動盤12との間に成形金型40を構成する第1金型41と第2金型42とを挟持して両金型41,42を型締めするとともに両金型41,42間に樹脂を射出することにより成形を可能にする。ここで、固定盤11と、可動盤12と、型締め盤13と、支持フレーム14とは、両金型41,42を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置50となっている。
【0029】
固定盤11は、プラテンとも呼ばれ、可動盤12に対向して支持フレーム14の略中央に固定され、取出装置20をその上部に支持する。固定盤(プラテン)11の内側11aは、可動盤12の内側12aに対向しており、第1金型41を着脱可能に支持している。固定盤11には、後述するノズル16dを通す開口11bが形成されている。なお、固定盤11は、タイバーを介して型締め盤13に固定されており、成形時の型締めの圧力に耐え得るようになっている。
【0030】
可動盤12は、プラテンとも呼ばれ、リニアガイド15aによって固定盤11に対して進退移動可能に支持されている。可動盤(プラテン)12の内側12aは、固定盤11の内側11aに対向しており、第2金型42を着脱可能に支持している。なお、可動盤12には、エジェクター駆動部45が組み込まれている。このエジェクター駆動部45は、第2金型42内の成形品MPを離型するために第1金型41側に押し出すものである。
【0031】
型締め盤13は、支持フレーム14の端部に固定されている。型締め盤13は、型締めに際して、開閉駆動装置15の動力伝達部15dを介して可動盤12をその背後から支持する。
【0032】
開閉駆動装置15は、リニアガイド15aと、動力伝達部15dと、アクチュエーター15eとを備える。リニアガイド15aは、可動盤12を支持しつつ、固定盤11に対する進退方向に関して可動盤12の滑らかな往復移動を可能にしている。動力伝達部15dは、制御装置30の制御下で動作するアクチュエーター15eからの駆動力を受けて伸縮する。これにより、型締め盤13に対して可動盤12が近接したり離間したり自在に進退移動する。結果的に、固定盤11と可動盤12とを互いに近接又は離間させることができ、第1金型41と第2金型42との型締め又は型開きを行うことができる。
【0033】
射出装置16は、シリンダー16a、原料貯留部16b、スクリュー駆動部16c等を備える。射出装置16は、制御装置30の制御下で適当なタイミングで動作するものであり、樹脂射出用のノズル16dから温度制御された状態で溶融樹脂を射出することができる。射出装置16は、第1金型41と第2金型42とを型締めした状態において、固定盤11の開口11bを介して後述するスプルーブッシュ65(図2(A)参照)にノズル16dを接触させることにより、後述する流路空間FC(図2(B)参照)に対してシリンダー16a中の溶融樹脂を所望のタイミング及び圧力で供給することができる。
【0034】
射出成形機10に付随して設けられた金型温度調節機46は、両金型41,42中に温度制御された熱媒体を循環させる。これにより、成形時に両金型41,42の温度を適切な温度に保つことができる。
【0035】
取出装置20は、成形品MPを把持することができるハンド21と、ハンド21を3次元的に移動させる3次元駆動装置22とを備える。取出装置20は、制御装置30の制御下で適当なタイミングで動作するものであり、第1金型41と第2金型42とを離間させて型開きした後に、第2金型42に残る成形品MPを把持して外部に搬出する役割を有する。
【0036】
制御装置30は、開閉制御部31と、射出装置制御部32と、エジェクター制御部33と、取出装置制御部34とを備える。開閉制御部31は、アクチュエーター15eを動作させることによって両金型41,42の型閉じ、型締め、型開き等を可能にする。射出装置制御部32は、スクリュー駆動部16c等を動作させることによって両金型41,42間に形成された成形空間中に所望の圧力で樹脂を注入させる。エジェクター制御部33は、エジェクター駆動部45を動作させることによって型開き時に第2金型42に残る成形品MPを第2金型42内から押し出させて離型を行わせる。取出装置制御部34は、取出装置20を動作させることによって型開き及び離型後に第2金型42に残る成形品MPを把持して射出成形機10外に搬出させる。
【0037】
以下、成形金型40について詳しく説明する。図2(A)等に示すように、成形金型40のうち第2金型42は、AB方向に往復移動可能になっている。この第2金型42を第1金型41に向けて移動させ、両金型41,42を型合わせ面すなわちパーティング面PS1,PS2で型合わせして型締めすることにより、図2(B)に示すように、図4に示すレンズLPを成形するための成形空間CVと、これに樹脂を供給するための流路である流路空間FCとが形成される。
【0038】
第1金型41は、内側すなわちパーティング面PS1側に配置される型板61と、外側すなわち図1の固定盤11側に配置される取付板64とを備える。また、第1金型41に付随して、スプルーブッシュ65が設けられている。
【0039】
第1金型41のうち型板61は、金属製の板状の部材である。型板61は、複数のコア型62を挿入する複数のコア孔61aと、スプルーブッシュ65の先端側を挿入するスプルーブッシュ孔61bと、レンズLPの光学機能部OP(図4参照)を形成するためのレンズ凹部61eとを備える。各コア孔61aにはコア型62が挿入されており、コア型62の先端面がレンズ凹部61eに対応するものとなっている。レンズ凹部61eは、成形品MPが光ピックアップ装置用の対物レンズである場合、光学面転写用の凹の鏡面状の第1転写面S1を有している。特に、BD/DVD/CDの3互換型の光ピックアップ用の対物レンズである場合、第1転写面S1には、光学面に設けられる微細な構造に対応する微細形状が設けられる場合もある。
【0040】
なお、型板61内部には、成形時に金型の温度を適切な温度に保つため、熱媒体を流通させる温調流路、加熱用のヒーター、温度監視用の温度計等が形成されているが、説明の簡単のため図示を省略している。
【0041】
取付板64は、金属製の板状の部材であり、型板61を背後から支持している。取付板64は、スプルーブッシュ65の根元側を挿入するスプルーブッシュ孔64aを備える。取付板64は、型板61をパーティング面PS1やレンズ凹部61eの反対側(背後側)から支持する。取付板64に設けたスプルーブッシュ孔64aの固定盤11側は、傾斜した円錐面を有するすり鉢状の拡径部64cとなっており、スプルーブッシュ65の根元側に設けたノズルタッチ部65aを周囲から支持している。取付板64は、周辺側において、複数の締結部材64fによって固定盤11に締結されており、中央側において、複数の固定部材64eによって固定盤11に固定されている。
【0042】
ここで、固定部材64eは、第1転写面S1を有するコア型62側よりもノズルタッチ部65a側に設けられている。つまり、固定部材64eは、両金型41,42の型合わせ面であるパーティング面PS1に沿った方向に関して、光学面転写面である第1転写面S1よりも相対的にノズルタッチ部65aに近い位置に設けられている。言い換えれば、ノズルタッチ部65aの軸AXを基準として、軸AXから固定部材64eの軸BXまでの距離は、軸AXからコア型62の軸CX(すなわち第1転写面の軸)までの距離よりも短くなっている。具体的には、図3に示すように、コア型62の軸CXからノズルタッチ部65aの軸AXまでの距離をDaとしたときに、固定部材64eの軸BXからノズルタッチ部65aの軸AXまでの距離Dbは、Da/2≦Db≦Daの範囲にある。つまり、固定部材64eの位置は、コア型62の中心よりも内側であって、ノズルタッチ部65aとコア型62との中間位置よりもコア型62寄りとなっている。これにより、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、固定部材64eにより取付板64の変形が防止され、ノズル16dの圧力の影響が取付板64や型板61の周辺に及ぶことを防止している。
【0043】
固定部材64eは、図2(A)等に示すように、例えば締結部材64fと同様のボルトを用いることができる。
【0044】
スプルーブッシュ65は、取付板64の背後からスプルーブッシュ孔64aに挿入されて固定されている。スプルーブッシュ65の先端側は、型板61のスプルーブッシュ孔61bに挿入されており、スプルーブッシュ65の根元側は、テーパー状のノズルタッチ部65aとなっている。ノズルタッチ部65aは、取付板64の拡径部64cに埋め込まれて嵌合するとともに、図示を省略するボルトや保持部材によって拡径部64cから抜けないようにしっかりと固定されている。
【0045】
第2金型42は、内側すなわちパーティング面PS2側に配置される型板71,73と、外側すなわち図1の可動盤12側に配置される取付板74と、取付板74に埋め込むように形成されたエジェクター部材75とを備える。
【0046】
第2金型42のうち型板71,73は、金属製の板状の部材であり、複数のコア型72を挿入する複数のコア孔71aと、スプルーブッシュ65の先端に対向するコールドスラグ71bと、レンズの光学機能部を形成するための第2転写面であるレンズ凹部71eとを備える。各コア孔71aにはコア型72が挿入されており、コア型72の先端面がレンズ凹部71eに対応するものとなっている。レンズ凹部71eは、成形品MPが光ピックアップ装置用の対物レンズである場合、光学面転写用の凹の鏡面状の第2転写面S2を有しており、特にBD/DVD/CDの3互換型の光ピックアップ装置用の対物レンズである場合、微細な構造が設けられた光学面を有するものとなる場合もある。表側の型板71には、エジェクター部材75を構成するエジェクターピン75aを通すピン孔71gも形成されている。裏側の型板(受板ともいう)73には、エジェクエジェクターピン75a,75bを通すピン孔73g,73hが形成されている。
【0047】
なお、型板71,73内部には、成形時に金型の温度を適切な温度に保つため、熱媒体を流通させる温調流路、加熱用のヒーター、温度監視用の温度計等が形成されているが、説明の簡単のため図示を省略している。
【0048】
取付板74は、金属製の板状の部材であり、型板71,73を背後から支持している。取付板74は、エジェクター部材75を構成するエジェクターピン75a,75bを通すピン孔74g,74hを備える。なお、取付板74は、取付板74自体を固定盤11の固定するため複数の締結部材74fを有している。
【0049】
エジェクター部材75は、エジェクターピン75a,75bと、エジェクター板75dとを有する機械的な機構であり、図1のエジェクター駆動部45に駆動されて動作する。エジェクターピン75a,75bは、エジェクター板75dに連結されており、型板71のピン孔71g,ピン孔73g,73hと取付板74のピン孔74g,74h内で一括して進退移動させることができる。エジェクター部材75を前進状態とした場合、エジェクターピン75a,75bが前進し、このうち中央のエジェクターピン75aが型板71のコールドスラグ71bの底部に突起し、周辺のエジェクターピン75bがコア型72を押してパーティング面PS2から突出させる。逆に、エジェクター部材75を後退状態とした場合、エジェクターピン75a,75bが後退し、このうち中央のエジェクターピン75aが型板71のコールドスラグ71bの底部に引っ込み、周辺のエジェクターピン75bも同様に引っ込んでコア型72の後退を許容する。なお、コア型72は、不図示のバネ等を付随させた構造を有しており、エジェクターピン75aから前進させる付勢力を受けなくなった場合、後退してコア孔71aの奥に収納される。
【0050】
なお、第1金型41と第2金型42とは、第1金型41に設けた位置決め嵌合部41xと第2金型42に設けた位置決め嵌合部42xとを嵌合させることにより、パーティング面PS1,PS2に垂直な方向の位置決めが可能になっている。
【0051】
図4は、図1の取出装置20によって射出成形機10外に取り出される成形品MPの一部であり光学素子であるレンズLPの外観を示している。レンズ(光学素子)LPは、光機能部OPとフランジ部FLとを有しており、光機能部OPは、図2(A)の成形金型40に設けたレンズ凹部61e,71eのうち例えばレンズ凹部61eによって形成される第1の光学面OS1と、例えばレンズ凹部71eによって形成される第2の光学面OS2とを有している。レンズLPは、例えば光ピックアップ用の対物レンズであり、BD等の規格に対応するものとする。なお、レンズLPがBD/DVD/CDの3互換型の光ピックアップ装置用の対物レンズである場合、第1の光学面OS1には、微細な構造が設けられる。
【0052】
以下、図1等に示す成形装置100を用いた成形品MPすなわちレンズLPの製造方法について説明する。まず、金型温度調節機46により、支持装置50に支持された両金型41,42を成形に適する温度まで加熱する。次に、開閉駆動装置15を動作させ、支持装置50のうち可動盤12を前進させて型閉じを開始させる。開閉駆動装置15の閉動作を継続することにより、支持装置50に支持された固定側の第1金型41と可動側の第2金型42とを必要な圧力で締め付ける型締めが行われる。次に、射出成形機10において、射出装置16を動作させて、ノズル16dを第1金型41のスプルーブッシュ65に接触させるとともに、型締めされた第1金型41と第2金型42との間の成形空間CV中に、必要な圧力で溶融樹脂を注入する射出を行わせる。そして、射出成形機10は、成形空間CV中の樹脂圧を保つ。なお、溶融樹脂を成形空間CVに導入した後は、成形空間CV中の溶融樹脂が放熱によって徐々に冷却されるので、かかる冷却にともなって溶融樹脂が固化し成形が完了するのを待つ。次に、射出成形機10において、開閉駆動装置15を動作させて、支持装置50の可動盤12を後退させる型開きが行われる。これに伴って、第2金型42が後退し、第1金型41と第2金型42とが離間する。次に、射出成形機10において、エジェクター駆動部45を動作させ、エジェクターピン75a,75b等の前進によって、レンズLP等を含む成形品MPの突き出しを行わせる。この結果、第2金型42に残る成形品MPのうちレンズLPは、第1金型41側に押し出されて第2金型42から離型される。最後に、取出装置20を動作させて、突き出された成形品MPの適所をハンド21で把持して外部に搬出する。
【0053】
以上のように、本実施形態の成形金型40によれば、パーティング面PS1に平行な面で考えて、固定部材64eが第1の光学面OS1を形成する光学面転写面である第1転写面S1よりも相対的にノズルタッチ部65aに近い位置に設けられている。この固定部材64eによって、第1金型41をノズルタッチ部65aに近い部分で支持装置50の固定盤11に固定することができ、ノズルタッチ部65a周辺に局在する変形が生じにくくなる。これにより、ノズルタッチ時の第1金型41の湾曲を低減することができる。結果的に、光学面転写面である第1転写面S1の傾斜を防止し、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0054】
なお、以上の説明では、固定部材64eとしてボルトを用いることができるとしたが、ボルト以外に、機械機構を利用したクランプ型の留め具、磁性体を利用したマグネットクランプ等も用いることができる。
【0055】
具体的には、図5に示すように、ノズルタッチ部65aの軸AXの周辺において取付板64と固定盤11との間に介在するようにマグネットクランプからなる固定部材164eを配置することができる。
【0056】
さらに、図6に示すように、ボルトからなる締結部材64fの代わりに、マグネットクランプからなる締結部材164fを用いてもよい。ただし、マグネットクランプはある程度の空間が必要なため、省スペース化のためには、ボルトなどで固定を補助する必要がある。
【0057】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態の成形金型について説明する。第2実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0058】
図7に示す成形金型40の場合、コア型62側よりもノズルタッチ部65a側において型板261と取付板264とに応力分散構造66が設けられている。応力分散構造66は、型板261と取付板264との接触面積を増加させた部分である。具体的には、取付板264は、スプルーブッシュ65を貫通させる中央部A1において、第1転写面S1側すなわちパーティング面PS1側に狭まる凸形状のテーパー面TP1を有する。一方、型板261は、中央部において、第1転写面S1側に狭まる凹形状のテーパー面TP2を有する。テーパー面TP1,TP2は、互いに密着して嵌合している。この場合、応力分散構造66により、型板261のうちスプルーブッシュ65に比較的近接する中央部A1の変形を抑えることができ、型板261の周辺部に形成されたレンズ凹部61eすなわち光学面(第1転写面)S1の傾きや変形が抑えられ、第1の光学面OS1に傾きや変形が生じにくくなる。
【0059】
なお、成形金型40のスプルーブッシュ65周辺の応力集中を防止する応力分散構造は、図7に示すように、型板261と取付板264との間に形成されるもの(応力分散構造66)に限らず、取付板264と固定盤11との間に配置するものとできる。
【0060】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態の成形金型について説明する。第3実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0061】
図8に示す成形金型40の場合、第1金型41の型板61と取付板64との間に、パーティング面PS1に平行に延びる薄い弾性部材68が設けられている。弾性部材68は、スプルーブッシュ65の軸AXの周りに環状に配置されている。弾性部材68は、例えば型板61に形成された窪み61jに埋め込まれるように配置されるが、取付板64側に埋め込まれるように配置することもできる。弾性部材68は、ノズルタッチ部65aの軸AXに垂直な方向に広がっており、ノズルタッチ部65aの軸AX方向に力を受けた場合に弾性変形する。つまり、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、弾性部材68により取付板64の変形が防止され、ノズル16dの圧力の影響が取付板64や型板61の周辺に及ぶことを防止している。つまり、弾性部材68が緩衝材となって、ノズルタッチ部65aで受けたタッチ力や変形を弾性部材68で吸収して型板61等に変形の影響が及ぶことを防止している。
【0062】
以上のように、本実施形態の成形金型40によれば、第1金型41が光学面転写面である第1転写面S1よりも相対的にノズルタッチ部65aに近い位置に緩衝材である弾性部材68を有することにより、ノズルタッチ部65aの周辺の湾曲が第1転写面S1付近に及びにくくなり、ノズルタッチ時の第1金型41の湾曲を第1転写面S1で低減することができる。結果的に、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0063】
図9は、図8に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、第1金型41の型板61の本体61kから弾性部材168を介して中央部61mが分離され、取付板64の本体64kから弾性部材168を介して中央部64mが分離されている。弾性部材68は、緩衝材として、ノズルタッチ部65aの軸AX方向に平行な方向に延びており、中央部61m,64mを弾性的に支持して、これら中央部61m,64mがノズルタッチ部65aの軸AX方向へ移動することを許容している。つまり、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部64mに圧力が付与されても、弾性部材68により取付板64の本体64kの変形が防止され、ノズル16dの圧力の影響が取付板64や型板61の周辺に及ぶことを防止している。つまり、弾性部材168等が緩衝材となって、ノズルタッチ部65aで受けたタッチ力や変形を弾性部材168で吸収して型板61等に変形の影響が及ぶことを防止している。
【0064】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態の成形金型について説明する。第4実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0065】
図10に示す成形金型40の場合、第1金型41に取付板64を介して固定された型板461の全体が剛性を有する材料で形成されている。型板461は、第1金型41を支持する固定盤(プラテン)11や取付板64よりも低い弾性率を有する高剛性の材料で形成されている。このため、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、型板461の剛性によりその変形が抑制され、ノズル16dの圧力の影響が型板61の周辺に及ぶことを防止している。
【0066】
以上のように、本実施形態の成形金型40によれば、第1金型41の型板461が、剛性を有する材料で形成されていることにより、ノズルタッチ時の第1金型41すなわち型板461の湾曲を低減することができる。結果的に、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0067】
図11は、図10に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、型板461の一部が剛性を有する結果として、型板461全体としても剛性を有するものとなっている。つまり、型板461は、剛性の異なる材料を組み合わせたものとなっている。具体的には、型板461が表部材461aと裏部材461bとを積層して固定した構造を有しており、表部材461aは、比較的加工しやすい通常の剛性を有する材料で形成されており、裏部材461bは、相対的に剛性の高い材料で形成されている。裏部材461bは、表部材461aと比較してだけでなく、第1金型41を支持する固定盤(プラテン)11や取付板64と比較しても、低い弾性率を有する高剛性の材料で形成されている。このため、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、型板461の剛性によりその変形が抑制され、ノズル16dの圧力の影響が型板61の周辺に及ぶことを防止している。
【0068】
図12は、図10に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、型板461'は、その軸AX方向の厚みが取付板64や対向する型板71よりも厚く、固定盤(プラテン)11や取付板64よりも剛性を有するものとなっている。このため、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されても、型板461'の剛性によりその変形が抑制され、ノズル16dの圧力の影響が型板61の周辺に及ぶことを防止している。
【0069】
型板461'の厚みは、例えば取付板64の厚みの1.2倍以上とする。これは、型板461'や取付板64が一般的な成形金型用鋼材であり、かつ、一般的なノズルタッチ力で樹脂の射出を行うという条件でシミュレーションを行った結果に基づく。例えば、型板461'の元の厚みが40mmである場合に、60mmの厚みとすることで、型板461'の窪みを5μm以下に抑えることが期待でき、コマ収差の低減が期待できる。
【0070】
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態の成形金型について説明する。第5実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0071】
図13に示す成形金型40の場合、第1金型41に取付板564を介して固定された型板561は、中央部CPにおいて、ノズルタッチ部65a側に凸となって湾曲している。つまり、取付板564の表側の面64nは、軸AXのまわりに対称的な凹面となっており型板561の裏側の面61nは、軸AXのまわりに対称的な凸面となっており、両面64n,61nは密着している。取付板564は、ノズルタッチ部65aの軸AX方向に力を受けた場合に弾性変形する。つまり、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介して取付板64の中央部に圧力が付与されると、取付板64が湾曲し、その影響で型板561も湾曲する。この際、ノズルタッチ部65a側に凸となっている型板561は、外力で湾曲した結果として、外見上略平坦な状態となる。つまり、第1金型41の型合わせ面であるパーティング面PS1は、全体でノズルタッチ部65aの軸AXに略垂直な状態となる。結果的に、型板61に形成されたレンズ凹部61eすなわち光学面(第1転写面)S1は、殆ど傾きがないものとなる。
【0072】
上記第5の成形装置では、予め湾曲した型板がノズルタッチ時の歪み変形を相殺する。これにより、ノズルタッチ時の第1金型の湾曲を許容しつつも、光学面転写面の傾斜を防止することができる。結果的に、第1金型と第2金型とによって成形される光学素子の偏芯を低減して、高精度の光学素子を形成することができる。
【0073】
以上のように、本実施形態の成形金型40によれば、型板561が中央部CPにおいてノズルタッチ部65a側に凸となって湾曲していることにより、ノズルタッチ時に湾曲を平坦にする力が働き型板461の湾曲を低減することができる。結果的に、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0074】
図14は、図13に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、型板561は、図13の場合と同様にノズルタッチ部65a側に凸となって湾曲しているが、取付板64は平坦である。なお、型板561の周辺と、取付板64の周辺との間には、スペーサー69が挿入されており、型板561の安定した支持を可能にしている。
【0075】
〔第6実施形態〕
以下、第6実施形態の成形金型について説明する。第6実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0076】
図15に示す成形金型40は、図2(A)等に示す第1実施形態と、図13に示す第5実施形態とを折衷したものとなっている。すなわち、固定部材164eによって取付板564の中央側を固定盤11に固定するとともに、型板561がノズルタッチ部65a側に凸となるように湾曲している。
【0077】
図16は、図15に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、図2(A)等に示す第1実施形態と、図14に示す第5実施形態とを折衷したものとなっている。
【0078】
〔第7実施形態〕
以下、第7実施形態の成形金型について説明する。第7実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1、2実施形態等の成形金型と同様であるものとする。
【0079】
図17に示す成形金型40は、図7に示す第2実施形態と、図12に示す第4実施形態とを折衷したものとなっている。すなわち、コア型62側よりもノズルタッチ部65a側において、型板661と取付板664との間に応力分散構造66が設けられている。また、型板661は、その軸AX方向の厚みが取付板664や対向する型板71よりも厚く、固定盤(プラテン)11や取付板664よりも剛性を有するものとなっている。
【0080】
図18は、図17に示す成形金型40の変形例を説明する図である。この場合、図7に示す第2実施形態と、図11に示す第4実施形態とを折衷したものとなっている。
【0081】
〔第8実施形態〕
以下、第8実施形態の成形金型について説明する。第8実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1、2実施形態等の成形金型と同様であるものとする。
【0082】
図19に示す成形金型40は、図5に示す第1実施形態と、図7に示す第3実施形態とを折衷したものとなっている。すなわち、固定部材164eによって取付板264の中央側を固定盤11に固定するとともに、ノズルタッチ部65aの軸AX近傍において、型板261と取付板264との間に応力分散構造66が設けられている。
【0083】
〔第9実施形態〕
以下、第9実施形態の成形金型について説明する。第9実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0084】
図20に示すように、固定部材864eによって、スプルーブッシュ65に付随するロケートリング部65sにおいて、スプルーブッシュ65を固定盤11や取付板64に固定している。結果的に、固定盤11と取付板64とがノズルタッチ部65a周辺で固定されることになる。これにより、ノズルタッチ時の第1金型41(具体的には型板61)の湾曲を低減することができる。結果的に、光学面転写面である第1転写面S1の傾斜を防止し、両金型41,42間で成形される光学素子であるレンズLPの偏芯を低減して、高精度のレンズLPを形成することができる。
【0085】
〔第10実施形態〕
以下、第10実施形態の成形金型について説明する。第10実施形態の成形金型は、第1実施形態の成形金型を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の成形金型と同様であるものとする。
【0086】
図20に示すスプルーブッシュ65は、円筒状で、軸AX方向に微小変位可能になっている。つまり、スプルーブッシュ65の側面65tと、型板61のスプルーブッシュ孔61bとの間には、弾性部材968a又はスライドガイド1068aが設けられている。また、スプルーブッシュ65のヘッド部65uと固定盤11の開口内縁11uとの間には、軸AXに垂直に広がる輪帯状の弾性部材968bが設けられている。これにより、ノズルタッチ時に、ノズル16dからノズルタッチ部65aを介してスプルーブッシュ65に前進方向の圧力が付与されると、弾性部材968bが圧縮変形し、スプルーブッシュ65が第2金型42側に微小変位する。これにより、取付板64の変形が防止され、ノズル16dの圧力の影響が取付板64や型板61の周辺に及ぶことを防止できる。つまり、弾性部材968b等が緩衝材となって、型板61等に変形の影響が及ぶことを防止している。なお、スプルーブッシュ65の先端65vは、突起部を有しており、第2金型42の型板71に設けた凹部71vと嵌合する。これにより、スプルーブッシュ65が過度に先端側に移動することを防止できる。
【0087】
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態において、第1金型41及び第2金型42で構成される射出成形金型に設ける成形空間CVの形状は、光学素子の用途に応じて様々な形状とすることができる。すなわち、レンズ凹部61e,62e等によって形成される成形空間CVの形状は、単なる例示であり、レンズLPその他の光学素子の用途等に応じて適宜変更することができる。例えば、レンズLPの光学面OS1,OS2には、光学素子の用途(例えばfθレンズ、DOE)非球面や鏡面を形成することもできる。
【符号の説明】
【0088】
10…射出成形機、 11…固定盤、 12…可動盤、 13…型締め盤、 15…開閉駆動装置、 16…射出装置、 16d…ノズル、 20…取出装置、 30…制御装置、 40…成形金型、 41…固定金型(第1金型)、 42…可動金型(第2金型)、 45…エジェクター駆動部、 61…型板、 61b…スプルーブッシュ孔、 61e…レンズ凹部、 62…コア型、 64…取付板、 64a…スプルーブッシュ孔、 65…スプルーブッシュ、 65a…ノズルタッチ部、 71…型板、 71e…レンズ凹部、 72…コア型、 74…取付板、 75…エジェクター部材、 100…成形装置、 CD…射出方向、 CV…成形空間、 FC…流路空間、 LP…レンズ、 MP…成形品、 PS1,PS2…パーティング面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、
前記第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、
前記第1金型と前記第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して前記光学面を形成する光学面転写面よりも相対的に前記ノズルタッチ部に近い位置に設けられて、前記第1金型を前記支持装置に固定する固定部材と、
を備えることを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記固定部材は、ボルト、クランプ型の留め具、及びマグネットクランプのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記ノズルタッチ部の軸を基準として、前記固定部材の位置から前記ノズルタッチ部の軸までの距離は、前記光学面転写面の位置から前記ノズルタッチ部の軸までの距離よりも短いことを特徴とする請求項1及び2のいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項4】
前記光学面転写面の軸から前記ノズルタッチ部の軸までの距離をDaとしたときに、前記固定部材の中心から前記ノズルタッチ部の軸までの距離Dbは、Da/2≦Db≦Daの範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の成形装置。
【請求項5】
前記第1金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板と、を有し、
前記固定部材は、前記支持装置及び前記取付板間に設けられることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項6】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、
前記第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、
を備え、
前記第1金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板と、前記第1金型と前記第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して前記光学面を形成する光学面転写面よりも相対的に前記ノズルタッチ部に近い位置において、前記支持装置及び前記取付板間並びに前記型板及び前記取付板間の少なくとも一方に設けられる応力分散構造と、を有することを特徴とする成形装置。
【請求項7】
前記応力分散構造は、前記支持装置及び前記取付板間の接触面積、又は前記型板及び前記取付板間の接触面積を増加させた部分であることを特徴とする請求項6に記載の成形装置。
【請求項8】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、
前記第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、
を備え、
前記第1金型は、前記第1金型と前記第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して前記光学面を形成する光学面転写面よりも相対的に前記ノズルタッチ部に近い位置に、応力の伝達を阻止する緩衝材を有することを特徴とする成形装置。
【請求項9】
前記緩衝材は、前記第1金型に設けた取付板と型板との間に設けられることを特徴とする請求項8に記載の成形装置。
【請求項10】
前記緩衝材は、前記第1金型に設けた取付板及び型板において前記ノズルタッチ部の軸方向に平行な方向に延びるように設けられることを特徴とする請求項8に記載の成形装置。
【請求項11】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、
を備え、
前記第1金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板と、を有し、
前記型板は、前記取付板よりも剛性を有する材料で形成されることを特徴とする成形装置。
【請求項12】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を近接及び離間可能に支持する支持装置と、
前記第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、
を備え、
前記第1金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板と、を有し、
前記型板のうち前記ノズルタッチ部の軸方向上に配置される中央部は、前記ノズルタッチ部側に凸となって湾曲していることを特徴とする成形装置。
【請求項13】
前記第1金型及び前記第2金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板とをそれぞれ有し、
前記第1金型の前記型板は、前記第1金型に取り付けられる取付板よりも厚いことを特徴とする請求項1から12までのいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項14】
前記第1金型及び前記第2金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板とをそれぞれ有し、
前記第1金型の前記型板は、前記第2金型の前記型板よりも厚いことを特徴とする請求項1から12までのいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項1】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、
前記第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、
前記第1金型と前記第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して前記光学面を形成する光学面転写面よりも相対的に前記ノズルタッチ部に近い位置に設けられて、前記第1金型を前記支持装置に固定する固定部材と、
を備えることを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記固定部材は、ボルト、クランプ型の留め具、及びマグネットクランプのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記ノズルタッチ部の軸を基準として、前記固定部材の位置から前記ノズルタッチ部の軸までの距離は、前記光学面転写面の位置から前記ノズルタッチ部の軸までの距離よりも短いことを特徴とする請求項1及び2のいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項4】
前記光学面転写面の軸から前記ノズルタッチ部の軸までの距離をDaとしたときに、前記固定部材の中心から前記ノズルタッチ部の軸までの距離Dbは、Da/2≦Db≦Daの範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の成形装置。
【請求項5】
前記第1金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板と、を有し、
前記固定部材は、前記支持装置及び前記取付板間に設けられることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項6】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、
前記第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、
を備え、
前記第1金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板と、前記第1金型と前記第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して前記光学面を形成する光学面転写面よりも相対的に前記ノズルタッチ部に近い位置において、前記支持装置及び前記取付板間並びに前記型板及び前記取付板間の少なくとも一方に設けられる応力分散構造と、を有することを特徴とする成形装置。
【請求項7】
前記応力分散構造は、前記支持装置及び前記取付板間の接触面積、又は前記型板及び前記取付板間の接触面積を増加させた部分であることを特徴とする請求項6に記載の成形装置。
【請求項8】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、
前記第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、
を備え、
前記第1金型は、前記第1金型と前記第2金型との型合わせ面に沿った方向に関して前記光学面を形成する光学面転写面よりも相対的に前記ノズルタッチ部に近い位置に、応力の伝達を阻止する緩衝材を有することを特徴とする成形装置。
【請求項9】
前記緩衝材は、前記第1金型に設けた取付板と型板との間に設けられることを特徴とする請求項8に記載の成形装置。
【請求項10】
前記緩衝材は、前記第1金型に設けた取付板及び型板において前記ノズルタッチ部の軸方向に平行な方向に延びるように設けられることを特徴とする請求項8に記載の成形装置。
【請求項11】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を相互に近接及び離間可能に支持する支持装置と、
を備え、
前記第1金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板と、を有し、
前記型板は、前記取付板よりも剛性を有する材料で形成されることを特徴とする成形装置。
【請求項12】
光学素子のうち一方の光学面を形成するための第1転写面を有する第1金型と、
前記光学素子のうち他方の光学面を形成するための第2転写面を有する第2金型と、
前記第1金型及び前記第2金型を近接及び離間可能に支持する支持装置と、
前記第1金型側に設けられて、樹脂を射出する射出装置のノズル部に形成されたノズル端部を当接可能にしたノズルタッチ部と、
を備え、
前記第1金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板と、を有し、
前記型板のうち前記ノズルタッチ部の軸方向上に配置される中央部は、前記ノズルタッチ部側に凸となって湾曲していることを特徴とする成形装置。
【請求項13】
前記第1金型及び前記第2金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板とをそれぞれ有し、
前記第1金型の前記型板は、前記第1金型に取り付けられる取付板よりも厚いことを特徴とする請求項1から12までのいずれか一項に記載の成形装置。
【請求項14】
前記第1金型及び前記第2金型は、前記光学面を形成する光学面転写面を有する型板と、前記型板を前記支持装置に取り付ける取付板とをそれぞれ有し、
前記第1金型の前記型板は、前記第2金型の前記型板よりも厚いことを特徴とする請求項1から12までのいずれか一項に記載の成形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−78869(P2013−78869A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218784(P2011−218784)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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