説明

成膜方法および成膜装置

【課題】成膜速度が大きく、高品質な膜を所望の厚さで形成することができる成膜方法および成膜装置を提供する。
【解決手段】本発明の成膜方法は、原料粉体7を保持した第1のチャンバー8に搬送気体5を間欠的に導入して原料粉体7と搬送気体5とを混合することにより第1のエアロゾルを生成すること、第1のエアロゾルを第2のチャンバー9に導入することによって第2のエアロゾルを生成すること、および、第2のエアロゾルを第3のチャンバー13に噴射することにより、原料粉体7の膜を形成する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾルデポジッション法により基板等に膜を形成する成膜方法および成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムイオン二次電池用の電極は、活物質をバインダおよび導電剤とともに溶剤に分散させて得られた合剤を集電体上に塗布した後、乾燥させることにより作製されていた。しかし、電極中におけるバインダおよび導電剤の割合が少ないほど単位体積あたりの電池容量が増大し、高容量の電池が得られるため、バインダを用いずに電極を作製することが検討されている。
【0003】
たとえば、バインダを用いずに電極を作製する方法として、エアロゾルデポジッション法(以下、「AD法」と略す)を用いてリチウムイオン二次電池用の電極を作製する方法が提案されている。ここで、「エアロゾル」とは、気体中に浮遊している固体や液体の微粒子のことをいい、「AD法」とは、原料の粒子を含むエアロゾルを生成し、それをノズルから基板に向けて噴射することにより粒子を堆積させる成膜方法である。AD法では、高速で噴射された原料粒子が、基板や、既に堆積された原料粒子に衝突して新生面を生じさせるとともに、衝突の際に原料粒子自体が破砕して、原料粒子自体にも新生面が生成される。この新生面同士が付着するメカノケミカル反応によって粒子同士や粒子と基板が結合し、基板上に膜が形成される。AD法は、電極の他にも様々な膜を形成する技術として有用である。
【0004】
AD法では、エアロゾルの濃度や噴射速度、ノズルの走査速度などの様々な要因により、成膜速度が変化する。成膜速度が変化しやすいため膜質を一定に保つのは困難であり、また、成膜を行う時間を調整することのみでは所望の厚さの膜を形成できない。また、AD法は比較的新しく開発された技術であるため、膜質や膜厚を調整するための検討は十分になされていない。
【0005】
例えば、特許文献1には、AD法と類似の成膜法として、ガスデポジッション法という方法が開示されている。AD法が、サブミクロンから数ミクロンの粒径を持つ粉体をエアロゾル化し、キャリアガスで搬送し、メカノケミカル反応を利用して成膜を行う方法であるのに対し、ガスデポジッション法は、微粒子を気相中で合成し、キャリアガスを用いて基材まで搬送して堆積させる成膜法であり、その原料として用いる微粒子は一般に金属粒子を蒸発後固化させることにより生成させ、成膜するものである。
【0006】
AD法により形成した膜の厚さを調整するために、例えば、特許文献2には、セラミック粒子を含んだエアロゾルを発生させ、エアロゾル中のセラミック微粒子の量をセンサにより感知して発生器の制御部へフィードバックする方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、ガスデポジッション法において、エアロゾル化した超微粒子の一部を粒子計測装置へ導入し、粒子計測装置で超微粒子の粒径分布、粒子濃度のいずれか又は両方を計測し、搬送気体の流量、加熱エネルギーのいずれかまたは両方を制御する方法が開示されている。
【0008】
また、特許文献4には、ガスデポジッション法において、粒子供給手段を用いて第2のチャンバー内空間に粒子を定量供給することにより一定粒子濃度のエアロゾルを形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−128728号公報
【特許文献2】特開2001−348659号公報
【特許文献3】特開2003−313656号公報
【特許文献4】特開2006−200013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来から、原料粉体の平均粒径については検討されているが、エアロゾル粒子の凝集状態(原料粉体が集まって一体として存在している状態)は注目されていない。従来の方法で平均粒径を規定して膜を形成しても、依然として膜質にバラツキが生じており、緻密で高品質な膜を安定して得ることは容易ではなかった。
【0011】
また、成膜速度を大きくする場合、エアロゾル粒子の濃度が変動しやすい。成膜室内でエアロゾル濃度などの粒子計測を行うと、成膜に寄与しなかった粉体が成膜室内のセンサ部へ付着したりして検出結果に影響を与えてしまうため、膜厚の正確な制御が困難であった。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、成膜速度が大きく、高品質な膜を所望の厚さで形成することができる成膜方法および成膜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の成膜方法は、微粒子を保持した第1のチャンバーに搬送気体を間欠的に導入して前記微粒子と前記搬送気体とを混合することにより第1のエアロゾルを生成すること、前記第1のエアロゾルを第2のチャンバーに導入することによって第2のエアロゾルを生成すること、および、前記第2のエアロゾルを第3のチャンバーに噴射することにより、前記微粒子の膜を形成する工程を包含する。
【0014】
ある実施形態において、前記微粒子の膜を形成する工程は、前記生成された第2のエアロゾルの少なくとも濃度を計測し、前記計測の結果に基づいて、前記濃度が所定の範囲内の値となるように、前記第1のチャンバーに導入する前記搬送気体の量および圧力の少なくとも一方を調整する工程(a)と、前記調整された少なくとも一方の量および圧力で前記搬送気体を前記第1のチャンバーに間欠的に導入し、前記第2のチャンバーから前記第3のチャンバーに前記第2のエアロゾルを供給することにより、前記第3のチャンバー内に設置された支持体に向けて前記第2のエアロゾルを噴射させ、前記支持体上に前記微粒子の膜を形成する工程(b)とを含む。
【0015】
ある実施形態では、前記工程(a)において前記計測と前記調整とを複数回繰り返す。
【0016】
ある実施形態では、前記工程(a)において、前記第2のエアロゾルの前記濃度および粒度分布を測定する。
【0017】
ある実施形態において、前記第2のチャンバーには粒子計測部が接続され、前記第2のエアロゾルの濃度は、前記第2のチャンバーから前記粒子計測部に導入された前記第2のエアロゾルの濃度を測定することによって得られる。
【0018】
ある実施形態において、前記第2のチャンバーと前記粒子計測部との間に設けられた切り替え弁と、前記第2のチャンバーと前記第3のチャンバーとの間の切り替え弁とを交互に開くことにより、前記工程(a)と前記工程(b)とを交互に行う。
【0019】
ある実施形態では、前記工程(a)において、前記第1のチャンバーに供給する前記搬送気体の量または圧力を時間の経過に伴って変化させる。
【0020】
ある実施形態では、前記工程(a)において、前記微粒子の膜の緻密度が所望の値となるように、前記濃度の前記所定の範囲内の値を決定する。
【0021】
本発明の非水電解質二次電池用電極の製造方法は、活物質を保持したチャンバーに搬送気体を間欠的に導入して前記活物質と前記搬送気体とを混合することによりエアロゾルを生成し、前記エアロゾルを集電体に向けて噴射することにより前記集電体上に活物質層を形成する。
【0022】
ある実施形態において、前記チャンバーに前記搬送気体を間欠的に導入することにより、前記集電体に向けて前記エアロゾルを間欠的に噴射する。
【0023】
本発明の成膜装置は、外部から搬送気体が間欠的に導入され、内部に保持した原料粉体を前記搬送気体と混合することにより第1のエアロゾルを生成する第1のチャンバーと、前記第1のチャンバーから前記第1のエアロゾルが導入され、第2のエアロゾルを生成する第2のチャンバーと、前記第2のチャンバーから前記第2のエアロゾルが導入され、内部に保持した支持体上に、前記第2のエアロゾルを噴射することにより、前記支持体上に前記原料粉体の膜を形成する第3のチャンバーとを備える。
【0024】
ある実施形態において、前記第2のチャンバーから前記第2のエアロゾルが導入され、前記第2のエアロゾルの少なくとも濃度を計測する粒子計測部と、前記粒子計測部において計測された結果が出力され、前記濃度が所定の範囲内の値となるように、前記第1のチャンバーに導入される前記搬送気体の量および圧力の少なくとも一方を制御する制御部とをさらに備える。
【0025】
ある実施形態において、前記第2のチャンバーと前記粒子計測部との間を接続する第1の経路と、前記第2のチャンバーと前記第3のチャンバーとの間を接続する第2の経路と、前記第1の経路に設けられ、前記第2のチャンバーから前記粒子計測部への前記第2のエアロゾルの供給を制御する第1の弁と、前記第2の経路に設けられ、前記第2のチャンバーから前記第3のチャンバーへの前記第2のエアロゾルの供給を制御する第2の弁とをさらに備える。
【0026】
ある実施形態において、前記制御部は、前記第1の弁と前記第2の弁とを交互に切り替え可能である。
【0027】
ある実施形態において、前記制御部は、前記微粒子の膜の緻密度が所望の値となるような前記濃度の範囲を設定および調整可能である。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、搬送気体を間欠的に第1のチャンバーに供給することにより、気体中に微粒子を効果的に分散させることができるため、エアロゾル中の微粒子濃度を高く、かつ安定させることができる。これにより、膜質のバラツキの少ない高品質な膜を、高い成膜速度で形成することができる。
【0029】
さらに、第2のチャンバーを設けることにより、第1のエアロゾルよりも安定した第2のエアロゾルによる成膜を行うことができる。これによっても、膜の品質や均一性を高めることができる。
【0030】
さらに、第1のチャンバーに導入される搬送気体の量および圧力の少なくとも一方を制御することにより、第2のエアロゾルにおけるエアロゾル濃度を所望の値に近づけることができる。そして、所望の値の緻密度を得るために必要なエアロゾル濃度を予め求めておいて制御部を制御することにより、所望の緻密度の膜を形成することができる。また、第2のエアロゾルにおけるエアロゾル濃度は成膜レートにも関係するため、制御部の制御により成膜レートも調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による成膜装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図2】(a)、(b)は、AD法によって膜を作製する方法を示す模式図である。
【図3】本発明による成膜方法の実施形態を示すフローチャートである。
【図4】本発明による成膜装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図5】実施形態3の製造方法に用いる成膜装置の構造を模式的に示す図である。
【図6】実施形態3の電極を用いたリチウムイオン二次電池を示す断面図である。
【図7】実施例1における制御弁6a、6bおよび6cの開閉のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】実施例1の成膜装置で作製したAD膜のSEM画像を示す図である。
【図9】比較例における制御弁6a、6bおよび6cの開閉のタイミングを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を詳しく説明する。
【0033】
(実施形態1)
図1は、本発明による成膜装置の実施形態を模式的に示す図である。図1に示すように、本実施形態の成膜装置は、第1のチャンバー8と、第1のチャンバー8に接続される第2のチャンバー9と、第2のチャンバー9に接続される第3のチャンバー13と、第2のチャンバー9に接続される粒子計測部3と、粒子計測部3に接続される制御機構30とを備えている。
【0034】
第1のチャンバー8は、配管2aによってガスボンベ1に接続されている。ガスボンベ1には、搬送気体5として使用されるヘリウムが充填されている。また、ガスボンベ1と配管2aとが接続される部分には、搬送気体5の圧力を調節する圧力調整部1aが設けられている。配管2aには、ガスボンベ1からの搬送気体5の供給を制御する制御弁6aが設けられている。
【0035】
第1のチャンバー8は原料粉体7を保持しており、第1のチャンバー8内において、配管2aの先端は原料粉体7に差し込まれている。第1のチャンバー8内に配管2aを通じて搬送気体5が導入されると、原料粉体7が巻き上げられて搬送気体5と混合されることにより、第1のエアロゾルが生成する。第1のチャンバー8には、内部に供給された原料粉体7が運動するように、振動機構、揺動機構または回転機構が設けられていてもよい。これは、原料粉体7の凝集や容器底部での偏在を防止することにより、原料粉体7が搬送気体5と混合された状態を保持するためのものである。例えば、振動機構として超音波振動子を、回転機構として攪拌モーターを用いることができる。また、撹拌モーターの他に、容器内壁面への付着を掻き落とす回転機構を設けてもよい。
【0036】
第1のチャンバー8と第2のチャンバー9との間は、配管2dによって接続されている。第1のエアロゾルは、第2のチャンバー9に導入されると第2のエアロゾルとなる。このとき、エアロゾル粒子のうち重いエアエゾル粒子が堆積し、軽いエアロゾル粒子が浮遊することにより分離されてもよい。第2のチャンバー9の内圧は、大気圧付近に保たれている。
【0037】
第2のチャンバー9と第3のチャンバー13との間は、配管2cによって接続されている。配管2cの先端にはノズル12が設けられている。配管2cには制御弁6cが設けられ、制御弁6cが開くと、第2のエアロゾルが、ノズル12から基材11に向けて高速で噴射する。これにより、基材11上に原料粉体7の膜が形成される。ノズル12は、所定の形状及び大きさ(例えば、φ1.0mmの円形状、または長さ15mm、幅0.2mmのスリット状等)の開口を有している。第3のチャンバー13は、基板ホルダー15により基材11を保持する。また、基板ホルダー15には、基板ホルダー駆動部15aが設けられており、基板ホルダー駆動部15aは、ノズル12と基材11との相対位置および相対速度を3次元的に制御する。
【0038】
第2のチャンバー9と粒子計測部3との間は、配管2bにより接続されている。配管2bには制御弁6bが設けられ、制御弁6bを開くと、第2のチャンバー9から粒子計測部3に第2のエアロゾルが導入される。粒子計測部3は、第2のエアロゾルの粒度分布および濃度を計測する。濃度計測は、レーザー散乱法などの方式による計測器を用いて行うことができ、粒度分布の計測は、レーザーを利用して濃度計測と同時に行うこともできるが、それぞれ別に行ってもよく、電気移動度分級法や超音波インパクターなどにより計測すればよい。
【0039】
粒子計測部3は、計測した粒度分布および濃度を、制御機構30に出力する。制御機構30は、演算部10および制御部4を有している。演算部10は、第2のエアロゾルの粒度分布および濃度に基づいて、第2のエアロゾルの濃度が所定の範囲内の値であるかどうかを判定する。制御部4は、演算部10からの演算結果に基づいて制御弁6aや圧力調整部1aにセンサ信号を出力する。制御部4は、粒子計測部3において測定される第2のエアロゾルの濃度が所定の範囲内になるように、第1のチャンバー8に導入される搬送気体の量および圧力の少なくとも一方を制御する。例えば、第1のチャンバー8に搬送気体5を間欠的に供給する場合には、制御部4は、制御弁6aを10ミリ秒から数分程度の間隔で開閉する。
【0040】
搬送気体5としては、ヘリウムなどの軽い気体を用いた方が、原料粉体7が第3のチャンバー13内に供給される速度を大きくすることができ、基材11への衝突エネルギーを大きくすることができる。衝突エネルギーが大きくなると、接合力の大きい膜が得られる。この接合をさらに強化するためには、不活性な表面を破壊して、新生面の生成領域をできるだけ大きくすることが必要である。「新生面」とは、瞬間的に原子の結合手(ダングリングボンド)が露出した、高い活性状態にある面のことをいう。新生面は、衝突速度がある閾値を超えるときに生成するものと考えられる。なお、搬送気体5としてはヘリウムの他に、アルゴン、窒素、酸素、または乾燥空気等を用いてもよい。
【0041】
原料粉体7としては、AD法による成膜が可能なものであれば、金属の酸化物、非金属の酸化物、炭化物または窒化物など、様々な材料を用いることができる。例えば、アルミナなどの酸化物、PZT、PZTと固溶体を形成する複合酸化物、Si34などの窒化物またはSiOx(x=0.1〜2)などの非晶質粉体などが挙げられる。また、機能性材料としては、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、Pb(Zn1/3Nb2/3)O3、Pb(Ni1/3
Nb2/3)O3、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、(Mn,Zn)Fe23、BaTiO3、(Li,Na)(Nb,Ta)O3、LiCoO3、Li(Ni,Co,Al)O3、LaN
iO3、Y3Al512などのセラミックス材料が挙げられる。さらに、CoPtCrなどの合金材料も挙げられる。
【0042】
図2(a)、(b)は、AD法により膜(AD膜)を作製する方法を示す模式図である。図2(a)に示すように、原料粉体7と搬送気体5からなるエアロゾル17を、真空雰囲気、常温の条件下で、基材11の表面に向け噴射させると、図2(b)に示すように、基材11の表面に、原料粉体7と同一組成のAD膜18が形成される。
【0043】
エアロゾル17が基材11に衝突すると、セラミック粒子である原料粉体7は破壊変形し、新たな結合に関与する新生面19(図2(b)に破線で示す面)が生じる。同時に、基材11の表面においても不活性面が除去されて新生面19が生じる。これら2つの新生面19が接触することにより、粒子と基材11とは直接的に接合する。この接合は常温でAD法を実施した場合であっても強固である。なお、ここでいう「直接的な接合」とは、不活性な表面層が除去された新生面で生じる化学結合のことであり、原料粉体7同士、または原料粉体7と基材11の表面における原子との間で生じる。なお、衝突する運動エネルギーが小さい場合には、新生面の生成が十分ではなく、結合が生じない領域もある。このような場合には、粒子において、新生面が生じている領域と、生じていない領域とが存在してもよい。また、粒子同士が結合する際、粒子の変形破壊が生じるが、これらは満遍なく充填されるわけではなく、表面において、他の粒子と結合せずに結合手が終端していることもある。このように終端された表面に包囲された領域は空孔20となる。
【0044】
なお、凝集粒子(一次粒子または二次粒子同士のゆるい結合体で、解砕されても同時に新生面19を生じにくい)を解砕したのみでは新生面19の生成は不十分である。これに対し、凝集粒子ではなく焼結された二次粒子を破壊すると、より新生面19が生成しやすくなるため、これを原料粉体7に用いた方が、十分な厚さのAD膜18を容易に形成できる。また、粒径0.5μm以下の一次粒子を含む0.5μm以上5μm以下の二次粒子を原料粉体7として用いることが好ましく、一次粒子の平均粒径が0.05μm以上0.2μm以下であり、1μm以上3μm以下の二次粒子であればより好ましい。
【0045】
原料粉体7における二次粒子の平均粒径は0.2μm以上5μm以下であることが好ましい。この範囲内にあれば、エアロゾル17が容易に得られ、原料粉体7同士が結合しやすくなり、かつ空孔20の割合である空隙率が制御された(多孔質な)AD膜18が得られる。特に、二次粒子の最大粒径が15μm以下である場合には、基材11に与えられるダメージがより小さくなる。原料粉体7がリチウム含有複合酸化物である場合、二次粒子の粒径分布は、0.5〜15μmであることが好ましい。
【0046】
原料粒子7の粒径分布および平均粒径は、例えば、(株)マイクロトラック製の湿式レーザー粒度分布測定装置により測定することができる。この場合、粉体の粒径分布における積算頻度の割合が50%である時の粒径(メディアン値:D50)を平均粒径とする。
【0047】
次に、本実施形態の成膜方法について図面を参照しながら説明する。図3は、本実施形態の成膜方法を示すフローチャート図である。この成膜方法では、図1に示すような成膜装置を用いるため、図1も再度参照しながら説明を行う。
【0048】
本実施形態の成膜方法では、まず、ガスボンベ1と第1のチャンバー8との間の配管2aに形成された制御弁6aを開くことにより、ガスボンベ1から第1のチャンバー8に搬送気体5を導入する。搬送気体5が第1のチャンバー8内に導入されると、第1のチャンバー8内に保持された原料粒子7が搬送気体5と混合され、第1のエアロゾルが生成する。第1のエアロゾルは、配管2dを通じて第2のチャンバー9に導入されて、第2のチャンバー9では第2のエアロゾルが生成する。この時点において、配管2cに設けられた制御弁6cは閉じられており、配管2bに設けられた制御弁6bは開かれている。したがって、第2のエアロゾルは、第2のチャンバー9から粒子計測部3の方に導入される。
【0049】
第2のエアロゾルが導入されると、まず、図3のステップST1に示すように、粒子計測部3は、第2のエアロゾルの濃度および粒度分布を計測し、この計測結果を演算部10に出力する。
【0050】
演算部10は、計測された濃度および粒度分布を元に以下の演算を行う。第2のエアロゾルの粒度分布および濃度と、その濃度で形成する膜の緻密度との間には相関関係があり、粒度分布および濃度が分かれば、形成する膜の緻密度を推定することができる。言い換えれば、測定された粒度分布のエアロゾルを用いて所望の緻密度を有する膜を形成するためには、どの程度の濃度が必要なのかを推定することができる。演算部10は、粒度分布ごとの濃度の許容範囲を記憶しており、これを基準として、測定された濃度が許容範囲内であるか否かの判定を行う(ステップST2)。
【0051】
測定された濃度が許容範囲外のものであれば、ステップST3に進み、濃度を許容範囲内に収めるために、第1のチャンバー8に導入される搬送気体5の量または圧力を決定する。搬送気体5の量を調整する場合には、例えば、搬送気体5を間欠的に供給する。具体的には、演算部10において、制御弁6aを開く時間(搬送気体5が第1のチャンバー8に供給される時間)と、制御弁6aを閉じる時間(搬送気体5が第1のチャンバー8に供給されない時間)とを算出する。ここでは、どの程度の時間間隔で制御弁6aを開閉すれば、粒子計測部3で計測される濃度が許容範囲内になるかの経験的な値をもとに、制御弁6aの開閉時間を算出する。この経験的な値は、演算部10が予め記憶している値であってもよいし、成膜装置の動作開始から現在までの値であってもよい。制御弁6aの開閉時間は、制御部4に出力される。ステップST4では、この結果に基づいて、制御部4が制御弁6aの開閉を制御する。
【0052】
一方、ステップST3において搬送気体5の圧力を調整する場合には、例えば、演算部10において必要な圧力を算出し、その結果を制御部4に出力する。この結果に基づいて、制御部4は、圧力調整部1aを制御する。
【0053】
第1のチャンバー8に導入される搬送気体5の量または圧力が変更されると、第1のチャンバー8において発生する第1のエアロゾルの濃度も変化する。この第1のエアロゾルが第2のチャンバーに導入されて、第2のエアロゾルが生成する。第2のエアロゾルは粒子計測部3に導入されると、ステップST1において、粒子計測部3は再び濃度を計測する。この濃度が所定の範囲内の値となるまで、ステップST1からステップST4を繰り返す。
【0054】
一方、ステップST2において、上記濃度が所定の範囲内になれば、搬送気体5の量または圧力を変更することなく、ステップST5に進む。そして、搬送気体5をガスボンベ1から第1のチャンバー8に導入する。同時に、制御弁6bを閉じると共に、制御弁6cを開放する。第1のチャンバー8において生成された第1のエアロゾルは、第2のチャンバー9に導入されて、第2のエアロゾルとなる。制御弁6bが閉じて制御弁6cが開いた状態にあるので、第2のエアロゾルは第3のチャンバー13に供給される。第2のエアロゾルは、第3のチャンバー13内に設置された基材11に向けて噴射され、基材11上に原料粉体7の膜が形成される。
【0055】
この成膜は、ノズル12から第2のエアロゾルを供給しながら、基材11を動かすことにより行われる。基材11を動かすことにより、ノズル12を基材11の表面のX−Y方向にスキャンさせながら、最終的には、所望の面積の膜を形成する。具体的には、まず、X方向を固定して、Y方向に向けてノズルを一定速度でスキャンする。一列のスキャンが終了すると、それ以前の成膜エリアとの重なりを考慮してX方向に移動し、同様にY方向にスキャンする。このようにして所望のX位置に達するまでY方向のスキャンを繰り返すことにより、所望の面積の成膜を行う。
【0056】
ステップST5では、あるエリアの成膜が終了すると、ステップST6に進む。なお、ステップST5を一度行うごとに成膜するエリアは、ステップST4で設定した条件の変動が小さく、所望の緻密度の膜が得られる範囲内であることが好ましい。例えば、ノズルをY方向に一列スキャンしてステップST6に進めばよい。ステップST6では、さらなる成膜が必要かどうかを判定する。さらなる成膜が必要であれば、ステップST1に戻り、ステップST1からステップST4を繰り返す。一方、さらなる成膜が不要であれば、工程を終了する。
【0057】
なお、上述の説明では、演算部10に、許容範囲内の濃度が記憶されていると説明した。しかしながら、濃度ではなく、粒度分布ごとの第2のエアロゾルの濃度と、その濃度で形成する膜の緻密度との対応関係が記憶されていてもよい。この場合には、この対応関係を元に、ステップST2で計測された粒度分布および濃度のときの緻密度を推定する。この緻密度が所定の範囲外であれば、所定の範囲内の緻密度が得られると推定される濃度を上記対応関係から算出する。この場合には、演算部10は、緻密度が所定の範囲内であるかどうかを判定しているが、緻密度は濃度と相関関係を有しているため、実質的には、濃度が所定の範囲内にあるかどうかを判定しているといえる。
【0058】
また、上述の説明では、演算部10において、所望の緻密度を実現するために、粒度分布および濃度を設定した。粒度分布および濃度は成膜レートにも影響を与えるため、粒度分布および濃度を調整することにより成膜レートも所望の値に近づけることができる。
【0059】
また、上述の説明では、粒子計測部3において粒度分布および濃度を測定した後、制御機構30において自動的に搬送気体5の量または圧力を調整した。しかしながら、本実施形態の成膜方法では、粒子計測部3において粒度分布および濃度を測定した後、その結果をもとに、手動で搬送気体5の量または圧力を調整してもよい。
【0060】
以上に説明したように、本実施形態では、第2のエアロゾルにおけるエアロゾル濃度を所望の値に近づけることができる。第2のエアロゾルにおけるエアロゾル濃度は、第3のチャンバー13で形成される原料粉体7の膜の緻密度および成膜レートと相関関係を有する。したがって、所望の値の緻密度および成膜レートを得るために必要なエアロゾル濃度を予め求めておけば、制御機構30の制御により、所望の緻密度の膜を形成することができる。
【0061】
さらに、第1のチャンバー8において発生する第1のエアロゾルの量にばらつきがあっても、第1のエアロゾルを第2のチャンバー9に供給して所定の時間保持することにより、第3のチャンバー13に供給する第2のエアロゾルの量を安定させることができる。また、第2のチャンバー9において、例えば重い原料粒子を沈降させることができるため、原料粒子の重さのばらつきを少なくすることができる(分級効果)。したがって、より安定した条件で第2のエアロゾルによる成膜を行うことができる。これによっても、膜の品質や均一性を高めることができる。
【0062】
また、第2のチャンバー9に粒度計測部3を接続し、粒度計測部3においてエアロゾルの濃度などを測定している。粒度計測部3では、第2のチャンバー9や第3のチャンバーほど多くのエアロゾル粒子が堆積しないため、濃度などの測定を開始して時間が経過しても、測定精度を高く保つことができる。
【0063】
(実施形態2)
図4は、本発明による成膜装置の実施形態を模式的に示す図である。図4のうち図1の成膜装置と同一の構成部材には、同一の符号を付している。図4に示す成膜装置のうち図1の成膜装置と異なるのは、粒子計測部3、制御機構30、配管2b、ノズル6bおよびノズル6cが設けられていない点である。
【0064】
以下、本実施形態の成膜方法について図4を参照しながら説明する。
【0065】
本実施形態の成膜方法では、まず、制御弁6aの開閉を一定の期間ごとに繰り返すことにより、ガスボンベ1から第1のチャンバー8に、搬送気体5を間欠的に導入する。搬送気体5が第1のチャンバー8に導入されると、第1のチャンバー8内に含まれる原料粒子7と搬送気体5が混合され、第1のエアロゾルが生成される。第1のエアロゾルは、配管2dを通じて第2のチャンバー9に導入され、第2のチャンバー9では第2のエアロゾルが生成される。本実施形態では、制御弁6aの開閉の間隔は予め設定されている。この開閉の間隔は、一定であってもよいし、変化してもよい。
【0066】
第2のチャンバー9で生成された第2のエアロゾルは、配管2cを通じて第3のチャンバー13内の基材11に向けて噴射される。第2のエアロゾルは、搬送気体5が第1のチャンバー8に供給されるタイミングに合わせて、間欠的に第3のチャンバー13内に供給される。これにより、基材11の表面に、原料粉体7の膜が形成される。
【0067】
なお、本実施形態の成膜方法では、搬送気体5の供給を開始した後に、濃度や粒度分布などを計測するステップを経た後、成膜を開始してもよい。その場合には、第2のチャンバー9に、図1と同様の粒度計測部3を接続し、粒度計測部3に第2のエアロゾルを導入することにより、濃度や粒度分布を計測すればよい。
【0068】
従来のように搬送気体を連続的にエアロゾル発生器内に供給する方法では、時が経過すると、原料粉体の大部分がエアロゾル発生器に舞い上がりにくい状態に偏在してしまい、新たに発生するエアロゾル中に原料粒子が分散しにくくなっていた。これにより、高い濃度の安定したエアロゾルが得られにくく、成膜レートが低下すると共に、膜質の安定した膜が得られにくいといった問題が生じていた。それに対して、本実施形態では、搬送気体5を間欠的にエアロゾル発生器13内に供給することにより、気体中に原料粒子7を効果的に分散させることができるため、エアロゾル中の原料粒子7の濃度を高く、かつ安定させることができる。これにより、本実施形態では、膜質のバラツキの少ない高品質な膜を、高い成膜レートで得ることができる。
【0069】
それに加えて、本実施形態では、基材11に向けて、エアロゾルの噴射が間欠的に行なわれるため、連続的に噴射される場合に比べて、緻密度を適度に低下させることができる。そのため、基材11が変形したり、基材11にしわや貫通孔が形成されるのを回避することができる。本実施形態では、基材11に加わるダメージが小さくなるため、基材11として厚さの小さな金属箔を用いたり、粒径の大きな原料粉体7を用いることができる。そのため、従来のように、基材11への衝撃を緩和するために原料粉体7を粉砕する必要がなく、体積あたりのエネルギー密度の高い膜を製造することができる。
【0070】
さらに、第1のチャンバー8において発生する第1のエアロゾルの量にばらつきがあっても、第1のエアロゾルを第2のチャンバー9に供給して所定の時間保持することにより、第3のチャンバー13に供給する第2のエアロゾルの量を安定させることができる。また、第2のチャンバー9において、重い原料粒子を沈降させることができるため、原料粒子の重さのばらつきを少なくすることができる(分級効果)。したがって、より安定した条件で第2のエアロゾルによる成膜を行うことができる。これによっても、膜の品質や均一性を高めることができる。
【0071】
(参考の形態)
以下では、本発明による非水電解質二次電池用電極の製造方法の実施形態を説明する。本実施形態は、リチウムイオン二次電池用電極の活物質層を製造する方法である。本実施形態は、図5に示すような成膜装置を用いて行なわれる。
【0072】
図5に示す成膜装置において、ガスボンベ31には、エアロゾルを発生させるための搬送気体が貯蔵されている。ガスボンベ31は、配管32aを介してエアロゾル発生器33に連結され、配管32aは、エアロゾル発生器33の内部に引き出されている。エアロゾル発生器33の内部には、あらかじめ一定量の活物質粉体40が投入されている。エアロゾル発生器33に連結されるもう1つの配管32bは、成膜チャンバー34に連結され、成膜チャンバー34の内部において、配管32bの端部は、ノズル35に接続されている。
【0073】
成膜チャンバー34の内部において、基板ホルダー37には基板として集電体36が保持され、集電体36は、ノズル35に対向して配置されている。成膜チャンバー34には、成膜チャンバー34内の真空度を調整するための排気ポンプ38が、配管32cを介して接続されている。
【0074】
図示は省略するが、本実施形態で用いられる成膜装置は、基板ホルダー37を横方向または縦方向(基板ホルダー37においてノズル35に対向する平面内の横方向または縦方向)に一定速度で移動させる機構を備える。基板ホルダー37を縦方向および横方向に移動させながら成膜を行うことにより、集電体36の上に、所望の面積の活物質層を形成することができる。
【0075】
ガスボンベ31とエアロゾル発生器33とを連結する配管32aの途中には、制御弁39が設けられている。例えば、この制御弁39の開閉を交互に繰り返すことにより、ガスボンベ31からの搬送気体を、エアロゾル発生器33に間欠的に供給することができる。制御弁39の開閉は、例えば、コンピュータなどの制御装置(図示せず)により制御することができる。
【0076】
本実施形態の製造方法では、まず、制御弁39を開くことにより、ガスボンベ31における搬送気体を、配管32aを通じてエアロゾル発生器33に導入する。エアロゾル発生器33内に搬送気体が導入されると、活物質粉体40が撒き上げられ、搬送気体中に活物質粒子が分散した状態のエアロゾルが発生する。このとき、成膜チャンバー34内は減圧されているため、エアロゾル発生器33内で発生したエアロゾルは、配管32bを通じてノズル35より高速で噴射される。ノズル35は基板ホルダー37に対向しているため、エアロゾルは、基板ホルダー37に保持された集電体36に向けて噴射される。
【0077】
エアロゾルの噴射速度は、ノズル35の形状、配管32bの長さや内径、ガスボンベ31のガス内圧、排気ポンプ38の排気量(成膜チャンバー34の内圧)などにより制御される。例えば、エアロゾル発生器33の内圧を数万Paとし、成膜チャンバー34の内圧を数百Paとし、ノズル35の開口部の形状を内径1mmの円形状とした場合、エアロゾル発生器33と成膜チャンバー34との内圧差により、エアロゾルの噴射速度を数百m/secとすることができる。
【0078】
加速されて運動エネルギーを得たエアロゾル中の活物質粒子が集電体36に衝突して、衝突エネルギーで細かく破砕される。そして、これらの破砕粒子が集電体36に接合すること、および破砕粒子同士が接合することにより、緻密な活物質層が形成される。
【0079】
その後、制御弁39を閉じて、ガスボンベ31からエアロゾル発生器33への搬送気体の供給を停止し、一定時間経過した後に、再びバルブ39を開く。以上のように、バルブ39の開閉を繰り返すことにより、エアロゾル発生器33内に、搬送気体を間欠的に供給することができる。
【0080】
集電体36として厚み20μm程度の金属箔を用い、活物質粉体40として平均粒径が10μm程度のリチウム含有複合酸化物の粒子を用いて正極を作製する場合の成膜条件としては、例えば、成膜チャンバー34の内圧を5〜5000Pa、制御弁39が開状態の時間を0.5〜5秒、および制御弁39が閉状態の時間を0.5〜60秒とすればよい。
【0081】
従来のように搬送気体を連続的にエアロゾル発生器内に供給する方法では、時が経過すると、原料粉体の大部分がエアロゾル発生器に舞い上がりにくい状態に偏在してしまい、新たに発生するエアロゾル中に原料粒子が分散しにくくなっていた。これにより、高い濃度の安定したエアロゾルが得られにくく、成膜レートが低下すると共に、膜質の安定した膜が得られにくいといった問題が生じていた。それに対して、本実施形態では、搬送気体を間欠的にエアロゾル発生器33内に供給することにより、気体中に活物質粉体40を効果的に分散させることができるため、エアロゾル中の活物質粉体40の濃度を高く、かつ安定させることができる。これにより、本実施形態では、膜質のバラツキの少ない高品質な膜を、高い成膜レートで得ることができる。
【0082】
それに加えて、本実施形態では、集電体36に向けて、エアロゾルの噴射が間欠的に行なわれるため、連続的に噴射される場合に比べて、緻密度を適度に低下させることができる。そのため、集電体36が変形したり、集電体36にしわや貫通孔が形成されるのを回避することができる。本実施形態では、集電体36に加わるダメージが小さくなるため、集電体36として厚さの小さな金属箔を用いたり、粒径の大きな活物質粉体40を用いることができる。そのため、従来のように、集電体への衝撃を緩和するために活物質粉体40を粉砕する必要がなく、体積あたりのエネルギー密度の高い電極を製造することができる。
【0083】
例えば、正極活物質として平均粒径が10μmのリチウム含有複合酸化物の粉体を用いる場合には、集電体36として厚さ5μmまでの薄いアルミニウム箔を用いることができる。
【0084】
次に、図6を参照して、上述の方法で形成された電極を有するリチウムイオン二次電池の構造について説明する。図6に示すリチウムイオン二次電池は、正極41と、正極41と対向し、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極42と、正極41と負極42との間に配置されたセパレータ43とを備える。正極41は、集電体41a(図5に示す集電体36)と、上述した方法により形成された活物質層41bとから構成されている。一方、負極42は、集電体42aおよび活物質層42bから構成されている。負極42の活物質層42bとしては、カーボンや合金系の活物質が用いられる。なお、正極41ではなく負極42を上述の方法によって形成してもよい。
【0085】
集電体41aとして用いられる基板としては、アルミニウムを主成分とする物質を用いることが好ましく、例えば、アルミニウム箔を用いる。リチウムイオン二次電池の体積容量密度や得られる活物質層の厚みに応じて基板の厚みを適宜変えればよいが、概ね市販で入手可能な5〜20μmの範囲のアルミニウム箔を用いればよい。アルミニウム箔の厚みが5μm未満であると、箔の強度が弱いため成膜時に破損等の問題が生じ、作業効率が低下する。また、アルミニウム箔の厚みが20μmを超えると、リチウムイオン二次電池の体積容量密度が低下する。
【0086】
活物質層41bの原料としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な公知のリチウム含有複合酸化物の粒子が用いられる。リチウム含有複合酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトチタン酸リチウムまたはこれらの化合物にアルミニウムを添加したものが用いられる。また、これらを単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0087】
セパレータ43は、例えば微多孔性フィルムからなり、電解質溶液を含んでいる。正極41、負極42およびセパレータ43は、外装ケース44の内部に収納されており、外装ケース44の中は電解質溶液48が充填されている。外装ケース44の両端部は樹脂材料47により密閉されると共に、樹脂材料47によって正極リード45および負極リード46が固定されている。正極リード45および負極リード46は、外装ケース44と集電体41a、42aとの間にそれぞれ介在し、正極41および負極42を固定している。
【0088】
負極42における活物質層42bの原料としては、リチウムと電気化学的に反応するものを用いればよい。特に、負極42における活物質層42bの原料として、ケイ素単体、ケイ素合金、ケイ素と酸素とを含む化合物、ケイ素と窒素とを含む化合物、スズ単体、スズ合金、スズと酸素とを含む化合物、スズと窒素とを含む化合物、および炭素材料よりなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。これらの原料は、リチウムとの反応性が比較的高く、高容量が得られるという性質を有する。
【0089】
ケイ素合金としては、例えば、SiB4、SiB6、Mg2Si、Ni2Si、TiSi2、MoSi2、CoSi2、NiSi2、CaSi2、CrSi2、Cu5Si、FeSi2、MnSi2、NbSi2、TaSi2、VSi2、WSi2、ZnSi2、SiCなどが挙げられる。ケイ素と酸素とを含む化合物としては、例えば、Si22O、SiOx(0<x≦2)、SnSiO3、LiSiOなどが挙げられる。ケイ素と窒素とを含む化合物としては、例えば、Si34、Si22Oなどが挙げられる。スズ合金としては、例えば、Mg2Snが挙げられる。スズと酸素とを含む化合物としては、例えば、SnOx(0<x≦2)、SnSiO3などが挙げられる。スズと窒素とを含む化合物としては、例えば、Sn3N4、Sn22Oなどが挙げられる。炭素材料としては、例えば、黒鉛が挙げられる。
【0090】
負極42における集電体42aとしては、例えば、厚みが5〜50μmの銅箔やニッケル箔を用いればよい。
【0091】
電解質溶液(非水電解質)48は、一般的にリチウムイオン二次電池で使用可能なものであればよく、特に限定されない。電解質溶液48は、例えば、非水溶媒および前記非水溶媒中に溶解する支持塩からなる。非水溶媒には、例えば、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートのような環状カーボネートが用いられる。支持塩には、例えば、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)が用いられる。
【0092】
本実施形態の電極を用いることにより、体積あたりの容量密度が高く、かつサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を得ることができる。
【0093】
(実施例1)
以下では、AD膜を実際に作製し、そのAD膜を用いて、エアロゾルの粒径および濃度と、AD膜の成膜レートおよび緻密度との関係を測定した結果について説明する。
【0094】
まず、AD膜の形成に用いる成膜装置の具体的な構成について、再度図1を参照しながら説明する。図1に示すように、成膜室である第3のチャンバー13では、厚さ15μmのAlよりなる基材11が基板ホルダー15に固定されている。第3のチャンバー13内は、排気ポンプ16によって真空状態に保たれている。そして、基材11の表面に対向して、エアロゾルを供給するためのノズル12が配置されている。ノズル12は、直径1mmの大きさの円形状噴出口を備えている。ノズル12に接続される配管2cは成膜室13の外部に引き出され、第2のチャンバー9に接続されている。さらに、配管2cの途中には、第2のチャンバー9からのエアロゾルの供給を制御するための制御弁6cが設けられている。
【0095】
第2のチャンバー9の形状は円筒状であり、気流が円筒の内壁に沿って上部の噴出口に向かうように、円筒の内壁に螺旋状の凹凸が形成されている。第2のチャンバー9の内壁の一部には障壁部が設けられており、エアロゾルが渦を巻きながら回転して流れるようになっている。一方、第1のチャンバー8内には、原料粉体7が投入されており、エアロゾル濃度は、ガスボンベ1からの搬送気体5の量または圧力を変化させることにより調整されている。本実施例では、搬送気体5を間欠的に供給することにより搬送気体5の単位時間当たりの量を調整している。
【0096】
次に、AD法によるエアロゾルの発生から成膜までの手順を説明する。まず、制御弁6aの開閉を開始することにより、ガスボンベ1から第1のチャンバー8内への搬送気体5の間欠的な導入を開始する。第1のチャンバー8内には原料粉体7が保持されており、搬送気体5が原料粉体7に吹き付けられると、原料粉体7が舞い上がって気流の攪拌状態が発生し、原料粉体7と搬送気体5が混合された第1のエアロゾルが生じる。第1のエアロゾルは配管2dを通じて第2のチャンバー9に導入され、第2のエアロゾルとなる。あらかじめ粒子計測部3への制御弁6bを開き、第3のチャンバーへの制御弁6cを閉じておくことにより、第2のエアロゾルは、第2のチャンバー9から粒子計測部3に導入される。粒子計測部3は、TSI社製のエアロゾル粒子径解析装置Model3321を備えており、エアロゾルの粒度分布および濃度を計測する。この計測において、測定された濃度が許容範囲外であれば、演算部10は制御弁6aの適切な開閉時間を算出する。つまり、エアロゾルの濃度が許容範囲内となるように、搬送気体5を供給する時間と供給しない時間とを算出する。算出した開閉時間をもとに、制御部4は、制御弁6aの開閉を制御する。エアロゾルの濃度が許容範囲内になるまで、上記測定と、制御弁6aの制御とを繰り返す。
【0097】
エアロゾルの濃度が許容範囲内になれば、制御弁6bを閉じ、制御弁6cを開いて、エアロゾルを第3のチャンバー13に送り、ノズル12を通して基材11に第2のエアロゾルを噴射させる。このような工程を経て、図2(b)に示すようなAD膜18を成膜する。
【0098】
図7は、制御弁6a、6bおよび6cの開閉のタイミングを示すタイミングチャートである。なお、図7に示す制御弁6a、6b、6cのタイミングチャートの時間軸は同じである。図7に示すように、まず制御弁6aを制御することにより、搬送気体5の間欠的な供給を開始する。そして、制御弁6bを開いて制御弁6cを閉じた状態で、粒子計測部3が、第2のエアロゾルの1度目の濃度測定を行った後、制御弁6bを一旦閉じる。このとき、演算部10は、測定結果の濃度が許容範囲外であると判定したとする。この場合には、制御部4は、搬送気体5を供給する時間と供給しない時間の周期(間欠時間の周期)を、周期aから周期bに変更する。また、制御弁6cを閉じたままで、再度制御弁6bを開き、2度目の濃度測定を行う。このとき、演算部10は、測定結果の濃度が許容範囲内であると判定したとする。この場合には、制御部4は、搬送気体5の間欠時間の周期を変更することなく、制御弁6cを開いて、成膜を開始する。
【0099】
本実施例では、AD膜18として、Al箔上にニッケル酸リチウム膜を形成した。原料粉体7としては、平均粒径0.55μm、1.3μm及び2.5μmのニッケル酸リチウム(住友金属鉱山製)を用いた。成膜真空度は200Pa、成膜温度は30℃、キャリアガスはヘリウムとした。原料粉体7の粒径分布ごとに許容範囲のエアロゾル濃度を設定し、このエアロゾル濃度を実現するために、搬送気体5を導入する間欠時間の周期を1秒から60秒の間で調節した。ノズルに対して基板であるAl箔を0.2mm/sのスキャン速度で動かし、6mm×6mmの領域を成膜領域とした。
【0100】
また、成膜レートは、基板をノズルに対して0.2mm/sの速度で1時間移動させ、6mm×6mmの領域を成膜したときの膜厚である。膜厚は、東京精密製サーフコム5000DXを用いて計測した。膜の緻密度は、成膜重量を膜厚など形状測定の値から得た体積で割った密度を、理論密度で割った値から求めた。
【0101】
図8に、本実施例の成膜方法で作製したAD膜のSEM画像を示す。図8に示すAD膜は、原料粉体の平均粒径が1.3μmで、間欠時間の平均が1.2秒の条件で形成されたニッケル酸リチウム膜である。
【0102】
表1に、間欠時間の変化に対するエアロゾル濃度(平均値)、成膜レートおよび膜の緻密度の変化を示す。表1に示すように、0.55μm、1.3μmおよび2.5μmの3種の平均粒径を有する原料粉体ごとに、間欠時間の周期、エアロゾル濃度、成膜レートおよび緻密度を測定した。なお、表1に示す測定では、粒度分布の1つの指標として、平均粒径を測定した。また、間欠時間の周期を変化させる場合でも、1周期あたりに搬送気体5を供給する時間は一定(1秒間)に保ち、搬送気体5を供給しない時間を変化させた。また、本実施例の成膜装置では、制御機構30は、制御弁6aを閉じる時間を自動的に調整することにより、間欠時間の周期を微調整している。
【0103】
【表1】

【0104】
例えば、原料粉体の平均粒径が1.3μmの場合には、間欠時間の周期が1.2秒のときに、図8に示すような十分に緻密で厚い膜が得られた。なお、表1に示すように、平均粒径が異なると、間欠時間を変化させることによる影響の度合いは異なるが、いずれの平均粒径を有する場合にも、間欠時間の増加はエアロゾル濃度の低下につながり、緻密度の低下につながることがわかる。これは原料粒子を巻き上げる際の搬送気体の量が大きい方が、凝集した原料粉体の解砕に使われるエネルギーも大きくなるためであると考えられる。また、エアロゾル濃度の低下は、成膜レートの減少につながっていることもわかる。なお、間欠時間と成膜レートおよび緻密度との関係は原料粉体によって異なり、原料粉体の種類によっては、間欠時間を増加させたほうが、成膜レートおよび緻密度が向上する場合もある。
【0105】
以上の測定結果から、AD法により形成したニッケル酸リチウム膜の緻密度と成膜レートを制御するためには、粒度分布およびエアロゾル濃度を調整すればよいことがわかった。
【0106】
(実施例2)
以下では、実施例2のAD膜と比較例のAD膜とを作製し、これらのAD膜を比較した結果について説明する。
【0107】
実施例2のAD膜は、実施例1のAD膜の形成に用いられた成膜装置と同様の成膜装置を用いて、搬送気体5を第1のチャンバー8に間欠的に供給することにより形成した。ただし、エアロゾルの粒度分布および濃度の測定結果を元にした開閉時間の調整は行なわず、あらかじめ設定された間隔で制御弁6aの開閉を行なった。
【0108】
一方、比較例のAD膜の形成には、図1に示す構成から制御弁6aが取り除かれた成膜装置、または制御弁6aが常にオープンの状態にある成膜装置を用いた。このような成膜装置で、搬送気体を連続的にエアロゾル発生室(第2のチャンバー9)に供給することにより、比較例のAD膜を作製した。
【0109】
以下、比較例のAD膜を作製する手順について具体的に説明する。図9は、比較例のAD膜を形成する場合の制御弁6a、6bおよび6cの開閉のタイミングを示すタイミングチャートである。なお、図9に示す制御弁6a、6b、6cのタイミングチャートの時間軸は同じである。
【0110】
実施例1の場合と同様に、第1のチャンバー8内には、原料粉体7が保持されている。第1のチャンバー8内において配管2aの先端は原料粉体7内に埋没しており、搬送気体5が原料粉体7に吹き付けられると、原料粉体7が舞い上がって、原料粉体7と搬送気体5が混合された第1のエアロゾルが生じる。第1のエアロゾルは配管2dを通じて第2のチャンバー9に導入され、第2のエアロゾルとなる。この状態で、図9に示すように粒子計測部3への制御弁6bを開くことにより、第2のエアロゾルは粒子計測部3へ導入され、その濃度が計測される。濃度の測定が終わると、制御弁6bを閉じて制御弁6cを開くことにより、第2のチャンバー9における第2のエアロゾルを第3のチャンバー13に送り、ノズル12を通じて第2のエアロゾルを噴射させる。これにより、基板11上にAD膜が形成される。
【0111】
実施例2のAD膜および比較例のAD膜として、Al箔上にニッケル酸リチウム膜を形成した。原料粉体7としては、平均粒径1.3μmのニッケル酸リチウム(住友金属鉱山製)を用いた。成膜真空度は200Pa、成膜温度は30℃、キャリアガスはヘリウムとした。ノズルに対して基板であるAl箔を0.2mm/sのスキャン速度で動かし、6mm×6mmの領域を成膜領域とした。
【0112】
また、成膜レートは、基板をノズルに対して0.2mm/sの速度で1時間移動させ、6mm×6mmの領域を成膜したときの膜厚である。膜厚は、東京精密製サーフコム5000DXを用いて計測した。膜の緻密度は、成膜重量を膜厚など形状測定の値から得た体積で割った密度を、理論密度で割った値から求めた。
【0113】
表2に、搬送気体を間欠的に供給して成膜を行った場合(実施例2)および搬送気体を連続的に供給して成膜を行った場合(比較例)のエアロゾル濃度、成膜レートおよび膜の緻密度の変化を示す。表2に示すように、実施例2として、搬送気体の供給と停止を1.2秒の周期(搬送気体の供給を0.2秒、搬送気体の停止を1秒)で行なった1つのサンプルを作製し、比較例として、搬送気体を、3l/min、6l/min、9l/minの
それぞれの流量で供給した3つのサンプルを作製して測定を行なった。
【0114】
【表2】

【0115】
表2に示すように、連続的に搬送気体の導入を行って成膜を行った場合には、より緻密な膜が得られるものの、エアロゾル濃度の低下により成膜レートが減少してしまうことがわかる。以上の結果から、AD法により形成したニッケル酸リチウム膜の成膜レートの高めるためには、搬送気体を間欠的に導入することにより、エアロゾル濃度を高く維持すればよいことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、AD法により高品質な膜を所望の厚さで形成できる点で、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0117】
1 ガスボンベ
2a〜2d 配管
3 粒子計測部
4 制御部
5 搬送気体
6a〜6c 制御弁
7 原料粉体
8 第1のチャンバー
9 第2のチャンバー
10 演算部
11 基材
12 ノズル
13 第3のチャンバー
15 基板ホルダー
15a 基板ホルダー駆動部
16 排気ポンプ
17 エアロゾル
18 AD膜
19 新生面
20 空孔
30 制御機構
31 ガスボンベ
32a〜32c 配管
33 エアロゾル発生器
34 成膜チャンバー
35 ノズル
36 集電体
37 基板ホルダー
38 排気ポンプ
39 制御弁
40 活物質粉体
41 正極
41a 集電体
41b 活物質層
42 負極
42a 集電体
42b 活物質層
43 セパレータ
44 外装ケース
45 正極リード
46 負極リード
47 樹脂材料
48 電解質溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子を保持した第1のチャンバーに搬送気体を間欠的に導入して前記微粒子と前記搬送気体とを混合することにより第1のエアロゾルを生成すること、
前記第1のエアロゾルを第2のチャンバーに導入することによって第2のエアロゾルを生成すること、および、
前記第2のエアロゾルを第3のチャンバーに噴射することにより、前記微粒子の膜を形成する工程を包含する、成膜方法。
【請求項2】
前記微粒子の膜を形成する工程は、
前記生成された第2のエアロゾルの少なくとも濃度を計測し、前記計測の結果に基づいて、前記濃度が所定の範囲内の値となるように、前記第1のチャンバーに導入する前記搬送気体の量および圧力の少なくとも一方を調整する工程(a)と、
前記調整された少なくとも一方の量および圧力で前記搬送気体を前記第1のチャンバーに間欠的に導入し、前記第2のチャンバーから前記第3のチャンバーに前記第2のエアロゾルを供給することにより、前記第3のチャンバー内に設置された支持体に向けて前記第2のエアロゾルを噴射させ、前記支持体上に前記微粒子の膜を形成する工程(b)とを含む、請求項1に記載の成膜方法。
【請求項3】
前記工程(a)において前記計測と前記調整とを複数回繰り返す、請求項2に記載の成膜方法。
【請求項4】
前記工程(a)において、前記第2のエアロゾルの前記濃度および粒度分布を測定する、請求項2に記載の成膜方法。
【請求項5】
前記第2のチャンバーには粒子計測部が接続され、
前記第2のエアロゾルの濃度は、前記第2のチャンバーから前記粒子計測部に導入された前記第2のエアロゾルの濃度を測定することによって得られる、請求項2に記載の成膜方法。
【請求項6】
前記工程(a)において、前記第1のチャンバーに供給する前記搬送気体の量または圧力を時間の経過に伴って変化させる、請求項2に記載の成膜方法。
【請求項7】
前記工程(a)において、前記微粒子の膜の緻密度が所望の値となるように、前記濃度の前記所定の範囲内の値を決定する、請求項2に記載の成膜方法。
【請求項8】
外部から搬送気体が間欠的に導入され、内部に保持した原料粉体を前記搬送気体と混合することにより第1のエアロゾルを生成する第1のチャンバーと、
前記第1のチャンバーから前記第1のエアロゾルが導入され、第2のエアロゾルを生成する第2のチャンバーと、
前記第2のチャンバーから前記第2のエアロゾルが導入され、内部に保持した支持体上に、前記第2のエアロゾルを噴射することにより、前記支持体上に前記原料粉体の膜を形成する第3のチャンバーとを備える、成膜装置。
【請求項9】
前記第2のチャンバーから前記第2のエアロゾルが導入され、前記第2のエアロゾルの少なくとも濃度を計測する粒子計測部と、
前記粒子計測部において計測された結果が出力され、前記濃度が所定の範囲内の値となるように、前記第1のチャンバーに導入される前記搬送気体の量および圧力の少なくとも一方を制御する制御部とをさらに備える、請求項8に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記微粒子の膜の緻密度が所望の値となるような前記濃度の範囲を設定および調整可能である、請求項9に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記第3のチャンバーは真空状態に保たれている、請求項8に記載の成膜装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−133031(P2010−133031A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60468(P2010−60468)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2009−537886(P2009−537886)の分割
【原出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】