説明

成膜装置、成膜方法及び記憶媒体

【課題】テンプレートの表面の転写パターン形成領域に成膜ガスを供給して離型膜を形成するにあたり、テンプレートの側面及び裏面に前記離型膜が形成されることを防ぐ技術を提供すること。
【解決手段】転写パターン形成領域に、局所的に前記成膜ガスを供給して前記離型膜を形成するための成膜ガス供給部と、前記転写パターン形成領域の周囲に形成される外側領域に前記転写パターン形成領域の外周に沿ってパージ用流体を供給するパージ用流体供給部と、前記外側領域において前記パージ用流体が供給される領域の内側を前記転写パターン形成領域の外周に沿って排気して、外側領域を転写パターン形成領域に向かう前記パージ用流体と、転写パターン形成領域からテンプレートの側面へ向かう前記余剰の成膜ガスとを除去するための排気部と、を備えるように装置を構成してガスの側面への回りこみを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンプレートの転写パターン形成領域に局所的に成膜ガスを供給して離型膜を形成する成膜装置、成膜方法及び前記成膜方法を行うプログラムを含む記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウエハ(以下、「ウエハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウエハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。このレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。
【0003】
そこで、例えば特許文献1〜3に記載されるようにいわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウエハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。このインプリントでは、その表面の中央部に微細な凹凸からなる転写パターンが形成されたテンプレートが用いられる。この転写パターンを、流動性を有するレジスト膜に押し付けると共に当該レジスト膜に光を照射して、レジスト膜を硬化させてレジストパターンを形成する。
【0004】
前記レジストパターン形成後、転写パターンをレジスト膜から離すにあたりレジスト膜が転写パターンに付着することを防ぐために、転写パターンの表面には予め離型膜を形成しておく。この離型膜を形成する処理としては、離型剤を含む成膜ガスをテンプレート表面に供給して蒸着させる方法があり、例えば特許文献1には密閉された処理容器内にテンプレートを載置し、前記成膜ガスを供給して、離型膜を形成することが記載されている。
【0005】
ところで、上記のインプリントでは前記離型膜が形成されたテンプレートの側面をガイド部材により押圧して位置合わせを行い、位置合わせされたテンプレートの裏面を保持部材が真空吸着して保持し、ウエハ上の所定の位置に搬送して上記のパターン形成処理を行う。そのためにテンプレートの裏面及び側面に離型膜が形成されていると、テンプレートと保持部材やガイド部材との間の摩擦によって当該離型膜から発塵してしまうおそれがあるし、ガイド部材や保持部材がテンプレートに対して滑りやすくなる結果として、保持部材による保持が正常に行えなくなるおそれがある。特許文献1〜3には上記の問題は記載されておらず、この問題を解決できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−805(段落0156、段落0159)
【特許文献2】特開2011−9359
【特許文献3】特開2011−56747
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的はテンプレートの表面の転写パターン形成領域に成膜ガスを供給して離型膜を形成するにあたり、テンプレートの側面及び裏面に前記離型膜が形成されることを防ぐ技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の成膜装置は、基板の一面に形成された塗布膜に押し付けられることにより当該塗布膜にパターンを形成するための転写パターンが設けられたテンプレートに、前記転写パターンを当該塗布膜から離すときに塗布膜が前記転写パターンに付着することを防ぐ離型膜を形成するための成膜ガスを供給する成膜装置において、
前記転写パターンが形成された転写パターン形成領域と、当該転写パターン形成領域を囲むように前記転写パターンが形成されていない外側領域とがその表面に設けられた前記テンプレートを保持する保持部と、
前記保持部に保持されたテンプレートの転写パターン形成領域に、局所的に前記成膜ガスを供給して前記離型膜を形成するための成膜ガス供給部と、
余剰の前記成膜ガスが前記テンプレートの側面に回り込むことを防ぐために前記テンプレートの外側領域に前記転写パターン形成領域の周方向に沿ってパージ用流体を供給するパージ用流体供給部と、
前記外側領域において前記パージ用流体が供給される領域の内側を前記転写パターン形成領域の周方向に沿って排気して、外側領域から転写パターン形成領域に向かう前記パージ用流体と、転写パターン形成領域からテンプレートの側面へ向かう前記余剰の成膜ガスとを除去するための排気部と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記成膜装置の具体的な態様としては例えば下記の通りである。
(1)前記保持部に保持されたテンプレートを加熱するための加熱機構が設けられる。
(2)処理ガス供給部は、前記転写パターン形成領域に対向して設けられる対向部と、前記対向部から前記転写パターン形成領域を囲むように前記テンプレートの外側領域に向けて突出する突出部と、
前記対向部と突出部とに囲まれる空間に成膜ガスを吐出する成膜ガス吐出口と、を備える。
(3)前記パージ用流体供給部は、前記外側領域に近接して設けられるリング部材と、
このリング部材の周方向に沿って開口したパージ用流体吐出口と、を備える。
(4)前記パージ用流体供給部は、パージ用流体としてパージガスを供給するパージガス供給部である。
【0010】
本発明の成膜方法は、基板の一面に形成された塗布膜に押し付けられることにより当該塗布膜にパターンを形成するための転写パターンが設けられたテンプレートに、前記転写パターンを当該塗布膜から離すときに塗布膜が前記転写パターンに付着することを防ぐ離型膜を形成するための成膜ガスを供給する成膜方法において、
保持部により前記転写パターンが形成された転写パターン形成領域と、当該転写パターン形成領域を囲むように前記転写パターンが形成されていない外側領域とがその表面に設けられた前記テンプレートを保持する工程と、
前記成膜ガス供給部により前記保持部に保持された前記テンプレートの転写パターン形成領域に、前記離型膜を形成するために局所的に前記成膜ガスを供給する工程と、
パージ用流体供給部により余剰の前記成膜ガスが前記テンプレートの側面に回り込むことを防ぐために当該テンプレートの外側領域に前記転写パターン形成領域の周方向に沿ってパージ用流体を供給する工程と、
前記外側領域において前記パージ用流体が供給される領域の内側を排気部により前記転写パターン形成領域の周方向に沿って排気して、外側領域から転写パターン形成領域に向かう前記パージ用流体と、転写パターン形成領域からテンプレートの側面へ向かう前記余剰の成膜ガスとを除去する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の記憶媒体は、テンプレートの表面に設けられる転写パターン形成領域に局所的に離型膜を形成する成膜ガスを供給する装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、上記の成膜方法を実施するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、テンプレートの表面の外側領域に囲まれた転写パターン形成領域に、局所的に成膜ガスを供給する成膜ガス供給部と、前記外側領域に転写パターン形成領域の外周に沿ってパージ用流体を供給するパージ用流体供給部と、前記外側領域においてパージ用流体の供給領域よりも内側を排気して前記テンプレートの側方に向かう前記余剰の成膜ガスを除去する排気部と、を備える。従って余剰の成膜ガスがテンプレートの側面及び裏面に回り込むことを防ぐことができ、当該側面及び裏面に離型膜が形成されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る成膜装置の縦断側面図である。
【図2】前記成膜装置のステージの平面図である。
【図3】前記成膜装置のガス処理部の平面図である。
【図4】前記ガス処理部の斜視図である。
【図5】前記成膜装置による処理を示す工程図である。
【図6】前記成膜装置による処理を示す工程図である。
【図7】前記成膜装置による処理を示す工程図である。
【図8】前記成膜装置による処理を示す工程図である。
【図9】前記成膜装置による処理を示す工程図である。
【図10】前記成膜装置による処理を示す工程図である。
【図11】テンプレートの表面を示す模式図である。
【図12】テンプレートの表面を示す模式図である。
【図13】テンプレートの表面を示す模式図である。
【図14】テンプレートの表面を示す模式図である。
【図15】前記他の成膜装置の縦断側面図である。
【図16】他の成膜装置の縦断側面図である。
【図17】更に他の成膜装置の縦断側面図である。
【図18】更に他の成膜装置の縦断側面図である。
【図19】前記成膜装置を含むインプリントシステムの平面図である。
【図20】前記成膜装置を含むインプリントシステムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態である成膜装置1についてその縦断側面図である図1を参照しながら説明する。この成膜装置1は、テンプレートTの転写パターン形成領域T1に局所的に成膜ガスを供給して、既述の離型膜を形成する。成膜装置1は搬送ユニットからテンプレートTを受け取ると共に当該テンプレートTを載置するステージ11と、ステージ11に載置されたテンプレートTに処理を行うガス処理部2と、を備えている。
【0015】
図2は保持部であるステージ11及びテンプレートTの平面図である。テンプレートTについて説明すると、テンプレートTは例えばSiO2からなる矩形状の基板であり、その表面中央部は盛り上がり、周縁部との間で段差を形成している。この中央部は転写パターン形成領域T1として平面視矩形状に形成されており、その表面に転写パターンが形成されている。この転写パターンは微細な凹凸からなるパターンであり、既述のようにレジスト膜が形成されたウエハの前記レジスト膜に押し付けられてレジストパターンを形成する。つまり転写パターンの凹凸がレジスト膜に転写される。なお、図2ではこの転写パターンは省略している。転写パターン形成領域T1の外側を外側領域T2とする。図1に示す転写パターンの凹凸の幅L1、L2は例えば10nm〜40nmである。
【0016】
ステージ11は、その表面に複数の吸引口12が設けられており、各吸引口12はステージ11に形成された流路13を介して真空ポンプなどにより構成される排気機構14に接続されている。各吸引口12によりテンプレートTの裏面が真空吸着され、テンプレートTはステージ11に保持される。また、ステージ11の表面にはテンプレートTの裏面を支持するピン10が設けられ、このピン10によりテンプレートTはステージ11の表面から若干浮いた状態で当該ステージ11に保持される。このピン10は図1及び図2以外の各図では省略している。ステージ11は昇降機構15に接続されており、この昇降機構15によりステージ11はテンプレートTに処理を行う処理位置(図1の位置)と、テンプレートTの受け渡しを行うための前記処理位置の下方の待機位置との間で昇降する。
【0017】
ステージ11内には加熱機構であるヒータ16が設けられている。このヒータ16は、後述の成膜ガス供給時にテンプレートTを加熱することで成膜ガスのテンプレートTに対する反応性を高めて離型膜の形成を促進し、スループットを高める役割を有する。また、ステージ11には上下方向に貫通した例えば3つの貫通孔17(図1では2つのみ示している)が形成されており、各貫通孔17には昇降ピン18が挿入されるように設けられている。各昇降ピン18は支持台18aを介して昇降機構19に接続されており、受け渡し位置にあるステージ11と搬送機構との間でテンプレートTの受け渡しを行う。後述の制御部5により昇降機構15、19の昇降動作が制御される。
【0018】
続いてガス処理部2について、その下面側平面図である図3及び下面側斜視図である図4も参照しながら説明する。このガス処理部2は、前記ステージ11に保持されたテンプレートTの上方に設けられている。ガス処理部2は、径が小さい円形部材の上方に径が大きい円形部材が、互いに円の中心を揃えて積層されたようにその概形が構成されている。そして、ガス処理部2の下方側には後述するリング状の排気溝41が上側に向かって形成され、この下方側を円形部とこの円形部を囲うリング部とに分割している。前記円形部は成膜ガス供給部をなす本体部21として構成され、リング部はパージガス供給部51として構成されている。
【0019】
本体部21について説明すると、本体部21の下部中央には上方へ向かう凹部22が設けられており、当該凹部22はテンプレートTの転写パターン形成領域T1を囲むように形成されている。この凹部22における底面23の中央部にはガス吐出口24が開口している。図1中25はガス吐出口24に連通するガス流路である。
【0020】
凹部22の上方にはガス吐出口24を囲むように加熱機構であるヒータ26が埋設されている。このヒータ26はガス流路25内、凹部22内及びステージ11上のテンプレートTを加熱する。これによって、ガス流路25及び凹部22を流通するガスの液化を防ぐと共にテンプレートTを加熱して離型膜の形成を促進する。
【0021】
凹部22の周囲はガス規制部27として構成されている。つまり、テンプレートTの対向部である凹部22の底面23の周縁からテンプレートTの外側領域T2に向けてリング状のガス規制部27が突出するように構成されている。このガス規制部27は斜め上方外側へ向かって傾斜した傾斜面28を備えており、傾斜面28の上端は前記排気溝41の内周面に連続する。ガス規制部27の先端はテンプレートTの外側領域T2に近接する。これによって、後述のパージガスが凹部22内に進入して、成膜ガスの濃度が低下し、離型膜の形成に必要な処理時間が長くなることを防ぐ。図1に示す前記外側領域T2からガス規制部27の下端までの高さh1は例えば0.1mm〜0.3mmである。
【0022】
前記ガス流路25の上流側には配管31の一端が接続されており、配管31の他端側は2つに分岐して分岐管31A、31Bを構成し、分岐管31Aの端部は、前記離型膜を形成するための液体状態の離型剤が貯留された離型剤貯留部32の前記離型剤の液層に浸漬されている。また、分岐管31Bの端部は、純水が貯留された純水貯留部33の前記純水の液層に浸漬されている。離型剤貯留部32の気層、純水貯留部33の気層にはガス供給管34A、34Bの一端が夫々開口し、各ガス供給管34A、34Bの他端は流量制御部35A、35Bを各々介してN2ガス供給源36に接続されている。また、分岐管31Aには側管37の一端が接続され、側管37の他端は流量制御部35Cを介して前記N2ガス供給源36に接続されている。また図1中各Vはバルブであり、後述の制御部5により互いに独立して開閉が制御される。
【0023】
流量制御部35A〜35Cはバルブやマスフローコントローラにより構成されており、制御部5からの制御信号に基づいて下流側へのN2ガスの供給量を制御する。離型剤貯留部32にN2ガス供給源36から供給されるN2ガスの流量に応じて、離型剤貯留部32の離型剤が気化して既述のガス吐出口24へ供給される。この離型剤は例えばフッ素基を含むシランカップリング剤材料である。純水貯留部33中の純水も同様に、前記N2ガスの流量に応じてガス吐出口24へ供給される。また、各バルブVの開閉により、ガス吐出口24への気化した離型剤である成膜ガス、気化した純水、N2ガスの夫々の給断を行えるように構成されている。
【0024】
前記排気溝41について説明する。排気溝41はガス処理部2を上方へ向かって形成されており、ガス処理部2を側方へ向かって形成された流路42を介して配管43の一端に接続される。図1に示す排気溝41の幅L3は例えば2mm〜5mmである。配管43の他端は真空ポンプなどにより構成される排気機構44に接続されている。また、前記排気溝41を下側から塞ぐようにリング状の排気口形成板45が設けられている。この排気口形成板45には当該排気口形成板45の周方向に沿って多数の排気口46が形成されている。凹部22から見て外側へ周方向に均一性高く排気できるように各排気口46の数、大きさが設定される。
【0025】
続いてパージガス供給部51について説明する。パージガス供給部51は既述のように下方に向けて突出しており、その内部には排気溝41を囲うようにリング状のガス供給溝52が設けられている。ガス供給溝52は下側から上側に向かって形成されており、このガス供給溝52はガス処理部2を外側に向かって形成された流路53を介して配管54の一端に接続されている。配管54の他端は流量制御部35A〜35Cと同様に構成された流量制御部35Dを介して前記N2ガス供給源36に接続されている。
【0026】
パージガス供給部51の下端は、前記ガス供給溝52を下側から塞ぐように設けられたリング状のガス吐出口形成板55として構成されている。このガス吐出口形成板55には周方向に沿って多数のパージガス吐出口56が形成されている。このパージガス吐出口56は、テンプレートTの外側領域T2に向けて周方向に略均一にパージガスであるN2ガスを供給できるような数、大きさを持つように形成される。パージガス供給部51の下端はテンプレートTの外側領域T2上に近接して設けられ、内側へ向かうパージガスの圧力を高め、離型膜を形成する成膜ガスがテンプレートTの側方に回り込むことを防ぐ。図1に示す前記外側領域T2からパージガス供給部51の下端までの高さh2は例えば0.1mm〜1.0mmである。
【0027】
続いて成膜装置1に設けられる制御部5について説明する。制御部5はコンピュータにより構成され、プログラム格納部を備えている。このプログラム格納部には、後述の作用で説明する離型膜形成処理が行われるように命令が組まれたプログラムが格納される。前記プログラム格納部に格納されたプログラムが制御部5に読み出され、制御部5は成膜装置1の各部へ制御信号を送信する。それによって、ステージ11及び昇降ピン18の昇降、流量制御部35A〜35DによるN2ガスの下流側への供給量、各バルブVの開閉による各ガスのテンプレートTへの供給及び供給の停止などが制御され、後述の作用が実施される。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクまたはメモリーカードなどの記憶媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0028】
続いて、成膜装置1の動作を示す図5〜図10を参照しながら当該成膜装置1による処理工程について説明する。また、テンプレートTの表面状態を概略的に示す図11〜図14についても適宜参照しながら説明する。これらの各図中では、矢印でテンプレートTの周囲における各ガスの流れを示しており、パージガス供給部51から吐出されるパージガスを点線の矢印で、本体部21から吐出される各種のガスを実線の矢印で夫々示している。
【0029】
例えば、ステージ11の吸引口12及びガス処理部2の排気口46からはモジュールの稼働中、常に排気が行われている。搬送ユニット10によりテンプレートTが待機位置に位置するステージ11上に搬送されると、昇降ピン18が上昇してテンプレートTの裏面を突き上げ、搬送ユニット10がステージ11上から退避して昇降ピン18が下降し、テンプレートTが吸引口12に吸着されて保持される。このテンプレートTの転写パターン形成領域T1には前段のモジュールにて処理されることで、図11に示すようにその表面にOH基(ヒドロキシ基)が形成されている。ヒータ16によりステージ11が昇温し、テンプレートTが加熱される。然る後、ステージ11が処理位置へと上昇する(図5)。
【0030】
続いてパージガス供給部51のパージガス吐出口56からテンプレートTの外側領域T2にパージガスが吐出される。パージガスは外側領域T2表面をテンプレートTの内側及び外側に向かって広がり、テンプレートTの内側に向かったパージガスは排気口46から除去される(図6)。ヒータ26が昇温して凹部22及びガス流路25内が加熱されると共にテンプレートTがさらに加熱され、例えば150℃になる。然る後、離型剤貯留部32にN2ガスが供給され、貯留部32内の離型剤が気化して成膜ガスとなり、本体部21のガス吐出口24から凹部22内に供給される。この成膜ガスは凹部22の外側の排気口46から排気されているためテンプレートTの転写パターン形成領域T1表面を外側に向かって外側領域T2へと流れる(図7)。
【0031】
そして前記成膜ガスは、ガス規制部27とテンプレートTとの隙間を通過して凹部22の外側へと流れ、排気口46からの吸引力を受けると共にテンプレートTを内側へと向かうパージガスの圧力を受けて、テンプレートTの側方へ回り込むことが阻まれ、前記パージガスと共に排気口46に吸引されてテンプレートTの表面から除去される(図7)。テンプレートTの転写パターン形成領域T1は、この成膜ガスのガス流に曝され、図12に示すように離型剤の分子61が吸着し、この分子61が次第に堆積され、分子層62が転写パターン形成領域T1に形成される。図12では図11に示したテンプレートT表面のOH基は便宜上省略している。
【0032】
次いで純水貯留部33にN2ガスが供給され、貯留部33内の純水が気化して水蒸気となり、凹部22内に当該水蒸気と成膜ガスとの混合ガスが供給される。この混合ガスは単独の成膜ガスと同様に転写パターン形成領域T1の表面を流れ、パージガスによりテンプレートTの側面への回りこみが防がれて排気口46から除去される(図8)。混合ガス中の離型剤の分子61が転写パターン形成領域T1にさらに吸着すると共に、混合ガス中の水蒸気により離型剤の分子61の末端を構成し、化学式で−ORとして示される原子団が加水分解され、離型剤の分子61がOH基を有するように変化する。転写パターン形成領域T1の表面に吸着された離型剤の分子61のOH基と、当該転写パターン形成領域T1のOH基とが脱水縮合し、離型剤の分子61と転写パターン形成領域T1とが結合され、転写パターン形成領域T1に離型膜63が蒸着する。図13ではこのようにテンプレートTの表面と結合した離型剤の分子61について斜線を付して示し、結合していない離型剤の分子61には図12同様に斜線を付けずに示している。
【0033】
ステージ11のヒータ16及び本体部21のヒータ26によりテンプレートTが例えば150℃に加熱され、テンプレートTの表面に結合した離型剤の分子61同士の結合が促進される焼成処理が行われる。続いて、前記混合ガスの凹部22への供給が停止すると共に凹部22にN2ガスが供給される。このN2ガスは前記単独の成膜ガス及び混合ガスと同様にテンプレートT表面を流れて除去される。このN2ガスに押し流されて、ガス流路25及び凹部22に付着した離型剤の分子61及び水がこれらガス流路25及び凹部22から除去される。また、図14に示すようにテンプレートTにおいて当該テンプレートTのOH基との縮合が起こらずにテンプレートTに付着している余剰の離型剤の分子61が、このN2ガスに押し流されてテンプレートT表面から除去され、排気口46から吸引される。
【0034】
その後、凹部22のガス吐出口24及びパージガス吐出口56からのN2ガスの供給が停止し、ステージ11が待機位置へと下降し(図10)、搬入時とは逆の動作でテンプレートTが搬送ユニット10に受け渡され、成膜装置1から搬出される。ところで、複数の離型剤分子61はガスの流路中に含まれる水分と反応することにより互いに結合するが、このように互いに結合した状態でテンプレートTに供給された離型剤分子61はテンプレートTと結合できない。そこで、上記の成膜処理ではこのような状態で離型剤分子61がテンプレートTに供給されることを防ぐために、最初に水蒸気を含まない離型剤単独の成膜ガスを供給している。そして、上記の例では単独の成膜ガスから成膜ガスと水蒸気との混合ガスに切り替えて処理を行っているが、この混合ガスの代わりに水蒸気を単独でテンプレートTに供給してもよい。上記の処理ではテンプレートT表面の未反応のOH基に対して離型剤分子61を供給して、離型膜63を補完する目的から水蒸気と共に成膜ガスを供給している。
【0035】
この成膜装置1は、テンプレートTの表面中央部の転写パターン形成領域T1に局所的に成膜ガスを供給する本体部21と、テンプレートTの外側領域T2にパージガスを供給するパージガス供給部51と、この外側領域T2表面においてパージガス供給部によるパージガスの供給位置よりも内側位置を排気してテンプレートT表面を内側へ向かうパージガス及びテンプレートTを外側へと向かう成膜ガスとを除去する排気口46とを備えている。従って、成膜ガスがテンプレートTの側面及び裏面に回り込んで当該側面及び裏面に離型膜63が形成されることを防ぐと共に転写パターン形成領域T1に離型膜63を形成することができる。従って、テンプレートTの側面を押圧して規制することにより位置合わせしたり、テンプレートTの裏面を吸着保持するときに前記側面及び裏面の離型膜からパーティクルが発生することを防ぐことができる。また、前記位置合わせや吸着保持の際に前記離型膜によりテンプレートTの位置ずれが起きることを防ぐことができる。
【0036】
ところで、上記の例では液体である離型剤を気化させてテンプレートTに供給している。液体状態の離型剤に不純物が含まれていても、気化させることでこの不純物を含まない気体状態の離型剤を精製することができる。従って、上記のように気体状態の離型剤をテンプレートTに供給して離型膜を形成することで、液体状態の離型剤を供給して離型膜を形成するよりも離型膜に不純物が含まれることを防ぐことができる。従ってレジストパターンを形成するにあたり、この不純物がレジストパターンに付着することを防ぐことができ、半導体装置のスループットの低下を防ぐことができる。
【0037】
また、前記液体状態の離型剤を用いて離型膜を形成する場合、余剰の離型剤が転写パターン形成領域T1の凹部に残ることになる。このように離型剤供給後に洗浄液をテンプレートTに供給して前記凹部内の余剰の処理液を除去するときに、上記のように転写パターンが微細であると既に前記離型剤がすでに満たされている凹部に洗浄液が進入し難くなる。従って、液体状態の離型剤を用いる場合に比べて上記のように気体状態の離型剤により離型膜を形成する場合には、当該離型剤供給後に後述のように気体の離型剤供給後に洗浄処理を行うときに、より確実に余剰の離型剤の分子を除去することができるという利点がある。
【0038】
上記の成膜装置1では、離型膜の蒸着処理に続いて離型膜の焼成処理及び余剰の離型剤の除去処理を行っているが、より確実に余剰の離型剤の除去を行うために成膜装置1で上記の処理を行った後、テンプレートTを当該テンプレートTに洗浄液を供給して洗浄して前記離型剤を除去する洗浄モジュールに搬送し、この洗浄処理後にテンプレートTをパターン形成に使用してもよい。また、上記の一連の処理で離型膜の焼成が行われない温度に各ヒータの出力を設定し、焼成処理についてはテンプレートTを装置1とは別の加熱モジュールに搬送して行ってもよい。つまり、成膜装置1で上記の手順で処理を行った後、テンプレートTを前記加熱モジュールに搬送して焼成処理を行ない、この加熱モジュールによる焼成処理後に前記洗浄モジュールで洗浄せずに使用してもよいし、前記焼成処理後に上記のように確実に余剰の離型膜を除去するため洗浄モジュールで洗浄した後に使用してもよい。
【0039】
上記の例では、成膜ガス供給時にテンプレートTを加熱するヒータは例えば赤外線をテンプレートTに照射してテンプレートTを加熱するように構成してもよい。図15はそのような例を示している。この例ではステージ11及び本体部21にヒータ16、26が設けられる代わりに、ステージ11の下方に赤外線照射部61が設けられている。赤外線照射部61は上方へ向けて赤外線を照射する。昇降ピン18を支持する支持台18a及びステージ11には開口部62、63が各々設けられており、赤外線照射部61から照射された赤外線はこれら開口部62、63を介してテンプレートTに供給されて当該テンプレートTを加熱する。
【0040】
また、テンプレートTの裏面を吸着保持し、パターン形成領域T1を下方に向けて配置し、このように配置されたテンプレートTに対して処理を行うようにしてもよい。この場合、ガス処理部2は凹部22、排気口46及びパージガス吐出口56が上方へ向けて開口するように配置する。つまり、図1の例とは上下逆にガス処理部2を配置する。このようにテンプレートTの向きに応じてガス処理部2の向きは任意に設定することができ、例えばパターン形成領域T1が側方を向くようにテンプレートTを配置し、前記凹部22、排気口46及びパージガス吐出口56横方向に向くようにガス処理部2を配置してもよい。また、上記の成膜装置1では成膜ガスを供給する凹部22は円形に構成しているが、角型に構成してもよい。また、パージガス供給部51は角型のリング状に形成してもよく、排気口46についても角型のリングに沿うように配置することができる。
【0041】
さらに上記の例では、本体部21にガス規制部27を設けて凹部22を形成していたが、ガス規制部27及び凹部22を設けず、例えば図16に示すように本体部21のテンプレートTに対向する面を扁平面29とし、当該扁平面29にガス吐出口24を開口させてもよい。また、ガス規制部27の形状も上記の例に限られず、山型であってもよい。図17はそのように山型に構成されたガス規制部27を備えた成膜装置1を示している。
【0042】
また、上記の例では成膜ガスがテンプレートTの側方に回り込むことを防ぐためにパージガス供給部よりパージガスを供給していたが、その代わりに洗浄液供給部を設けて純水等の洗浄液を供給することにより成膜ガスの流出を防止してもよい。この場合、テンプレートTの側面へ洗浄液が流れ込まないように、洗浄液供給部の外側の側壁にシール部材を設けて、テンプレートTの外縁よりも内側の領域に接触させるようにするとよい。図18はそのような構成例を示しており、洗浄液供給部64は、パージガスの代わりに前記洗浄液を供給することを除いてパージガス供給部51と略同様に構成されている。図中65が前記シール部材であり、洗浄液供給部64の外側に洗浄液供給部64の全周に亘って設けられ、洗浄液供給部64と共にテンプレートTに対して昇降する。図18に示すようにテンプレートTに供給された洗浄液は、パージガスと同様、成膜ガスと共に排気口46から除去される。
【0043】
続いて上記の成膜装置1に相当する成膜モジュール125が含まれたインプリントシステム100について、平面図である図19及び斜視図である図20を参照しながら説明する。この例では、前記成膜モジュール125において図11〜図13で説明した離型膜63の形成処理を行い、以降の離型膜63の焼成処理及び余剰の離型剤分子61の除去処理は他のモジュールにより行う。
【0044】
インプリントシステム100は、テンプレート搬入出ステーション111、処理ステーション121、インターフェイスステーション131、インプリントユニット141、ウエハ搬入出ステーション151をこの順に直線状に配列して構成されている。テンプレート搬入出ステーション111は、インプリントシステム100の外部から搬送されたテンプレートカセット112が載置され、テンプレートカセット112は前記テンプレートTをパターン形成領域T1が上方に向くように複数格納する。図中113はテンプレート搬送体である。
【0045】
処理ステーション121には、その中心部に前記搬送ユニット10に相当するテンプレートTの搬送ユニット122が設けられ、その周辺には6つの棚状の処理ブロックG1〜G6が配置されている。搬送ユニット122はこれら処理ブロックG1〜G6を構成する各モジュール間でテンプレートTを受け渡す。第1の処理ブロックG1は受け渡しモジュールTRS1、前記焼成処理を行う加熱モジュール123、テンプレートTを冷却する温度調節モジュールCPL、UVモジュール124及び前記成膜モジュール125が積層されて構成されている。
【0046】
UVモジュール124は離型膜を形成する前にテンプレートTに紫外線を照射してその表面を洗浄し、当該表面にOH基を形成するためのモジュールである。
受け渡しモジュールTRS1はステーション間でのテンプレートの受け渡しを仲介するためのモジュールである。第2の処理ブロックG2は、第1の処理ブロックG1と同様に構成されており、当該第2の処理ブロックG2に受け渡しモジュールはTRS2として示している。
【0047】
第3の処理ブロックG3及び第4の処理ブロックG4は、後洗浄モジュール126と検査モジュール127とにより構成されている。後洗浄モジュール126は使用後のテンプレートTに洗浄液を供給して離型膜の除去を行う。検査モジュール127は、後洗浄モジュールで処理後のテンプレートTの検査を行い、テンプレートTを再使用するか否かを決定するためのモジュールである。第5の処理ブロックG5及び第6の処理ブロックG6は洗浄モジュール128とケミカル室129とにより構成されている。洗浄モジュール128は上記のようにテンプレートTに洗浄液を供給して余剰の離型剤を除去する。ケミカル室129は各モジュールに処理液を供給するためのユニットである。
【0048】
インターフェイスステーション131には、テンプレート搬送体132と、テンプレートTの表裏面を反転させる反転モジュール133と、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファモジュール134とが配置されている。テンプレート搬送体132は、これらのモジュールとインプリントユニット141と処理ブロックG2の受け渡しモジュールTRS2との間でテンプレートTを受け渡す。
【0049】
インプリントユニット141は、ウエハW表面にレジスト膜を塗布する塗布機構、テンプレートTの側面の位置を押圧して規制するアライメント機構、前記位置が規制されたテンプレートTの裏面を吸着保持し、レジスト膜が形成されたウエハW表面に押し付けてレジストパターンを形成するための保持機構及び紫外線を照射して前記レジストパターンを硬化させる紫外線照射機構を備えている。ウエハ搬入出ステーション151は、外部から搬送されたウエハカセット152が載置されるステーションであり、ウエハカセット152には複数枚のウエハWが格納されている。図中153はウエハWの向きを調整するアライメントモジュール、図中154はウエハ搬送体である。
【0050】
テンプレートカセット112からテンプレート搬送体113により取り出されたテンプレートTは受け渡しモジュールTRS1に搬送され、以降、搬送ユニット122によりUVモジュール124、成膜モジュール125、加熱モジュール123、温度調整モジュールCPL、洗浄モジュール128にこの順に搬送されて、紫外線照射によるテンプレートT表面のOH基の形成処理、離型膜形成処理、離型膜の焼成処理、温度調整処理、未反応の余剰な離型剤の除去処理を順次受けた後、受け渡しモジュールTRS2に搬送される。次いで、テンプレート搬送体132により反転モジュール133に搬送されて転写パターン形成領域T1が下方に向けられ、テンプレート搬送体153によりインプリントユニット141に搬送され、当該インプリントユニット141の保持機構に保持される。
【0051】
一方、ウエハ搬送体153によりウエハカセット152からウエハWが取り出され、アライメントモジュール153でアライメントされた後、インプリントユニット141に搬送される。インプリントユニット141ではウエハWにレジスト膜が形成され、当該レジスト膜に前記離型膜が形成された転写パターン形成領域T1が押しつけられてレジストパターンが形成される。そしてレジスト膜に紫外線が照射され、前記レジストパターンが硬化する。
【0052】
前記レジストパターン硬化後、ウエハWはウエハ搬送体153によりウエハカセット152に戻される。テンプレートTは反転モジュール133で転写パターン形成領域T1が上方に向けられた後、受け渡しモジュールTRS2に搬送される。その後、搬送ユニット122により後洗浄モジュール126、検査モジュール127に順次搬送され、洗浄処理及び検査処理を受けた後、受け渡しモジュールTRS1に搬送され、テンプレート搬送体113によりテンプレートカセット112に戻される。成膜装置1の処理で説明したように成膜モジュール125で焼成処理を行う場合は加熱モジュール123への搬送を省略することができ、また洗浄モジュール126への搬送を省略してもよい。
【符号の説明】
【0053】
T テンプレート
T1 転写パターン形成領域
T2 外側領域
1 成膜装置
2 ガス処理部
11 ステージ
21 本体部
24 ガス吐出口
46 排気口
51 パージガス供給部
56 パージガス吐出口
5 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面に形成された塗布膜に押し付けられることにより当該塗布膜にパターンを形成するための転写パターンが設けられたテンプレートに、前記転写パターンを当該塗布膜から離すときに塗布膜が前記転写パターンに付着することを防ぐ離型膜を形成するための成膜ガスを供給する成膜装置において、
前記転写パターンが形成された転写パターン形成領域と、当該転写パターン形成領域を囲むように前記転写パターンが形成されていない外側領域とがその表面に設けられた前記テンプレートを保持する保持部と、
前記保持部に保持されたテンプレートの転写パターン形成領域に、局所的に前記成膜ガスを供給して前記離型膜を形成するための成膜ガス供給部と、
余剰の前記成膜ガスが前記テンプレートの側面に回り込むことを防ぐために前記テンプレートの外側領域に前記転写パターン形成領域の周方向に沿ってパージ用流体を供給するパージ用流体供給部と、
前記外側領域において前記パージ用流体が供給される領域の内側を前記転写パターン形成領域の周方向に沿って排気して、外側領域から転写パターン形成領域に向かう前記パージ用流体と、転写パターン形成領域からテンプレートの側面へ向かう前記余剰の成膜ガスとを除去するための排気部と、
を備えたことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記保持部に保持されたテンプレートを加熱するための加熱機構が設けられることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
処理ガス供給部は、前記転写パターン形成領域に対向して設けられる対向部と、前記対向部から前記転写パターン形成領域を囲むように前記テンプレートの外側領域に向けて突出する突出部と、
前記対向部と突出部とに囲まれる空間に成膜ガスを吐出する成膜ガス吐出口と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記パージ用流体供給部は、前記外側領域に近接して設けられるリング部材と、
このリング部材の周方向に沿って開口したパージ用流体吐出口と、を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の成膜装置。
【請求項5】
前記パージ用流体供給部は、パージ用流体としてパージガスを供給するパージガス供給部であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の成膜装置。
【請求項6】
基板の一面に形成された塗布膜に押し付けられることにより当該塗布膜にパターンを形成するための転写パターンが設けられたテンプレートに、前記転写パターンを当該塗布膜から離すときに塗布膜が前記転写パターンに付着することを防ぐ離型膜を形成するための成膜ガスを供給する成膜方法において、
保持部により前記転写パターンが形成された転写パターン形成領域と、当該転写パターン形成領域を囲むように前記転写パターンが形成されていない外側領域とがその表面に設けられた前記テンプレートを保持する工程と、
前記成膜ガス供給部により前記保持部に保持された前記テンプレートの転写パターン形成領域に、前記離型膜を形成するために局所的に前記成膜ガスを供給する工程と、
パージ用流体供給部により余剰の前記成膜ガスが前記テンプレートの側面に回り込むことを防ぐために当該テンプレートの外側領域に前記転写パターン形成領域の周方向に沿ってパージ用流体を供給する工程と、
前記外側領域において前記パージ用流体が供給される領域の内側を排気部により前記転写パターン形成領域の周方向に沿って排気して、外側領域から転写パターン形成領域に向かう前記パージ用流体と、転写パターン形成領域からテンプレートの側面へ向かう前記余剰の成膜ガスとを除去する工程と、
を備えたことを特徴とする成膜方法。
【請求項7】
加熱機構により前記保持部に保持されたテンプレートを加熱する工程を含むことを特徴とする請求項6記載の成膜方法。
【請求項8】
テンプレートの表面に設けられる転写パターン形成領域に局所的に離型膜を形成する成膜ガスを供給する装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項6または7に記載の成膜方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−84686(P2013−84686A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222225(P2011−222225)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】